市場価格調整がわかれば債券と為替リスクをコントロールできる

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「市場価格調整」付生命保険を解約するときに契約時より利率が上がったら解約返戻金が減ってしまい、下がったら増えてしまうなんて不思議ではありませんか? 通常利率が上がったら増え、下がったら減るのではないでしょうか? そんな疑問が生じる市場価格調整付生命保険には市場金利の変動による債券価格リスクがあります。その上、これら保険の多くは「外貨建」が多く、保険料を払うときに「円」を「ドル」交換し、解約返戻金、満期金、保険金受け取るときは「ドル」を「円」に交換しなければなりません。それによって満期金、保険金が支払保険料より減ったり、増えたりする為替変動リスクがあります。

これから市場金利と債券と為替リスクを猿でもわかるようにやさしく解説します。読み終えたときには外貨建市場価格調整付生命保険のリスクコントロールをバッチリ学習できていることでしょう。

 目次

1.「市場価格調整」付生命保険の保険料運用と市場金利の関係は?

1-1「ドル建 利率変動型一時払終身保険」の「市場価格調整」とは?

1-2 「市場価格調整」付生命保険は債券運用で市場金利と連動する

1-3 市場金利が上がって債券価格が下がり解約返戻金が減った

1-4 市場金利が下がって債券価格が上がり解約返戻金が増えた

2.保険料の資産構成、運用方法と「市場価格調整付生命保険」の関係は?

2-1 保険料の運用構成比の内訳は?

2-2 市場金利が上がると債券価格が下落し、下がると債券価格が上昇するカラクリは?

2-3 生命保険の予定利率とそのリスクについて

2-4 市場金利変動リスクを抑えるにはどうしたらよいか?

3. 債券のカラクリがわかると返戻金の増減変動の原因がわかる

3-1 市場金利が上がると解約返戻金が減るカラクリは?

3-2 市場金利が低くなると解約返戻金が増えるカラクリは?

3-3「市場価格調整」とは、

4. 「外貨建」生命保険の為替変動リスクとは?

4-1「外貨建」「市場価格調整」付生命保険

4-2 「円」と「ドル」交換には為替相場リスクと為替手数料がかかる?

4-3 円安、円高のカラクリ?

4-4 「円」を「ドル」に交換して一時払保険料を払うとなると

5. 為替変動で得するか、損するかを損益計算で確認すると

5-1 市場価格調整率を算出する

5-2 解約日の積立金額は?

5-3 市場価格調整率で計算した金額を算出する。

5-4 解約控除率で計算した金額を算出する

5-5 解約返戻金を算出する

5-6 受取解約返戻金を「円」に換算して損益計算する

6. 解約返戻金の所得の税務は

6-1 解約返戻金は一時所得

6-2「特別控除額(50万円)」の使い方

6-3 一時所得は損益通算をできない

まとめ

 

1.「市場価格調整」付生命保険の保険料運用と市場金利の関係は?

1-1「ドル建 利率変動型一時払終身保険」の「市場価格調整」とは?

メットライフ生命「ドル建 利率変動型一時払終身保険」は「市場価格調整」付の生命保険です。平成28年9月版のパンフレットには「市場価格調整」とは「解約返戻金の計算の際に、運用対象となっている資産(債券等)の価値を返戻金に反映される仕組です。一般的に債券の価値は、市場金利が高くなると下がり、市場金利が低くなると上がる性質があります」と書いてあり、パンフレットに下図のように「解約日の積立金額」より解約返戻金が増減している棒グラフと契約条件が載っています(因みに債券の価値とは債券価格のことです)。

1-2 「市場価格調整」付生命保険は債券運用で市場金利と連動する

パンフレットの「市場価格調整」の説明とイメージ図から

・「市場価格調整」付生命保険は「債券」で運用されていること。
・債券の運用価格が解約返戻金に連動すること。
・債券は市場金利が上がると債券価格が下がり、下がると債券価格が上がること。

が理解できます。パンフレットには市場金利が上がった場合と下がった場合の解約返戻金が載っています。それが以下の1-3の表です。

1-3 市場金利が上がって債券価格が下がり解約返戻金が減った

下の表のように一時払保険料10万ドルを払い10年後に解約したときに「適用基準利率 2.5%」より「解約日の基準利率 3.0%」と上がっているのに解約返戻金は93,780ドルと減っています(尚、(この解約返戻金は後で説明する「解約控除」を除いている金額です。適用基準利率はここでは保険期間中の積立運用利率とします)。

1-4 市場金利が下がって債券価格が上がり解約返戻金が増えた

下の表のように「適用基準利率 2.5%」より「解約日の基準利率 2.0%」と下がっているのに解約返戻金は108,690ドルと増えています。

この実例のように市場金利が上がると債券で運用している保険料は減額し、市場金利が下がると増額するカラクリはどうやら債券と市場金利に連動しているからです。そのカラクリを解けば市場価格調整の内実がわかるかもしれません。

2.保険料の資産構成、運用方法と「市場価格調整付生命保険」の関係は?

2-1 保険料の運用構成比の内訳は?

生命保険料が市場金利となぜ関係があるのでしょうか?

契約者が払った保険料を生命保険会社がどのように運用しているかに気づけば理解できます。下図を見てください。保険会社の生命保険料運用先の割合です。

一般社団法人生命保険協会の 「2016年版 生命保険会社のディスクロージャー~虎の巻」によると2015年の保険料資産の運用構成比は「有価証券」81.8%、「貸付金」9.5%、その以外の「現金・預金、有形固定資産、金銭信託、コール・ローン、その他」の合計が8.7%です。

有価証券81.8%のうち「国債」「社債」「地方債」つまり「債券」が約半分の51.1%占めています。保険会社はこれらを運用して保険金・満期金・解約返戻金の支払に備えています。「国債」「社債」「地方債」などの「債券」の運用は市場金利の変動で債券価格が上がったり、下がったりします。

2-2 市場金利が上がると債券価格が下落し、下がると債券価格が上昇するカラクリは?

これから簡単な事例で、債券価格変動のカラクリを説明します。

某生命保険会社は契約者の保険料で金利3%の債券を100万円購入したとします。保険会社は契約者が解約請求したので、解約返戻金の支払のためにこの債券を市場で売ろうとしました。ところが市場金利が上昇して金利4%の債券が発行されていました。そうすると金利3%100万円で購入した債券を買おうとする投資家はいないです。金利4%債券が売りだされているから投資家は3%債券を買うはずはありません。解約返戻金を用意しなければならないのに債券購入者がいないでは、契約者に解約返戻金の支払をできません。保険会社は、この債券を買ってもらうために、債券価格を値下げせざるをえません。つまり金利が3%から4%に上がったら下の図の通りに3%債券価格が下落してしまうのです。

このように「市場金利が上がると債券価格が下落し」逆に「市場金利が下がると債券価格が上昇する」のが債券価格変動のカラクリです。

2-3 生命保険の予定利率とそのリスクについて

保険会社は生命保険の保険料運用については契約時に予定利率決めています。予定利率は市場金利が上下しても変更しません。

バブル期に予定利率が6%の生命保険は現在の市場金利の低い時代でも6%と変わっていません。市場金利が下がっているのに予定利率の高い生命保険を保有しているから生命保険会社所有の6%の契約生命保険は逆ざやとなって運用資産が減少するリスクを負っています。

2-4 市場金利変動リスクを抑えるにはどうしたらよいか? 

そこに登場してきたのが「市場価格調整」付の「生命保険」です。

「市場価格調整」付なら解約時の市場金利が契約時より上がれば解約返戻金は減少します。逆に、下がれば増加する仕組みになっています。市場金利に保険料運用を連動させることで保険会社は市場金利による債券価格変動リスクを抑える一方、契約者にリスクを転化できるのです。それが「市場価格調整付」生命保険で、市場金利の変動応じて解約返戻金が反映される仕組みなので逆ザヤリスクを軽減できるのです。

3. 債券のカラクリがわかると返戻金の増減変動の原因がわかる

3-1 市場金利が上がると解約返戻金が減るカラクリは?

保険料を運用している債券のカラクリを知ると、解約するときに債券利率が上がると解約返戻金が減り、下がると増える理由がわかります。

例えば額面100万円、期限10年、表面利率4%の債券を購入すると10年間の利息収入は下の図のように毎年4万円の利息収入が10年間で40万円なります。

10年後には債券ですから額面の100万円が戻ってきます(これを償還といいます)。元本100万円に対し利息収入40万円ですから下表の計算の通り年利回りは4%になります。

さて、期限10年の債券が5年経過した時点で契約者が解約返戻金を請求したとします。保険会社は4%の債券を売って解約返戻金を用意しなければなりません。

ところが、そのときに売り出されていた債券は償還期間(満期)5年の利率10%でした。利率の高い10%債券が売りだされているのですから4%債券を買うとするう投資家はいません。それでは解約返戻金の原資をつくることはできません。

では、どうしたらよいでしょうか?

4%債券100万円の価格を下げて売り出すほかありません。

では、いくらで売りだしたらよいでしょうか?

現在10%の債券が売り出されているのですからそれと同価値になるようにしなければなりません。

4%債券の満期(償還)までの残存期間は5年です。金利10%債券は5年間で50万円の利息を受けとれます。

5年間の利回りは50万円÷100万円×100÷5年=10%です。4%債券の利回りを10%にすれば投資家に買ってもらえます。

債券価格をいくら値下げするかは下記の計算式によって求められます。

上記計算式の表面利率:売りだす債券の利率(この場合は4%の債券)。現利回り:現在発行されている債券(この場合は10%の債券。計算の際は表面利率の数値にします。この場合は4%と10%なので「4」と「10」にします)。

計算結果は80万円です。

100万円の債券価格を80万円にすれば利率10%5年債券と同じ価値になります。これで債券価格変動のカラクリがわかりましたね。保険会社は市場金利が上がると債券価格を下げて売りだし解約返戻金を捻出するのです。その結果、「市場価格調整」付生命保険なら解約返戻金を請求した契約者は80万円の解約返戻金を受けとることになってしまいます。

市場価格調整付生命保険だと市場金利が4%から10%に上がると解約返戻金は減ってしまうのです。これが債券と市場金利のカラクリなのです。

では、債券価格を80万円にすると表面利率4%の国債が10%の利回りになるかを検証してみましょう。

下の表を見てください。毎年4万円の利息が5年間で20万円になります。100万円の債券を80万円で購入したから満期時に償還差益が20万円。利息20万円+償還差益20万円=40万円の差益に対し元本は80万円ですから40万円÷80万円×100÷5年=10%の利回りになります。

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