市場価格調整がわかれば債券と為替リスクをコントロールできる

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4%の債券を購入した投資家は5年間にわたって4万円の利息をえられます。それと80万円で債券を購入したのですから5年後の満期には100万円を受けとれます。100万円の債券を80万円で購入したから償還差益が20万円です。利息20万円と償還差益20万円の合計40万円が収益ですから元金80万円で10%の利回りとなります。

3-2 市場金利が低くなると解約返戻金が増えるカラクリは?

では、逆に市場金利が下がると債券価格が上がるカラクリを検証してみましょう。

保険会社は表面利率10%の償還期間10年(満期)の債券を運用しています。5年経過した時点で解約返戻金の請求がありました。そのときに表面利率4%の債券が売りだされていました。

債券価格はいくらになるでしょうか?

債券価格は125万円になります。市場金利が10%から4%に下がったから解約返戻金は増えたのです。

では、4%利率を検証してみましょう。下の表を見てください。利息10万円が5年間で50万円。償還差益は100万円の債券を125万円で購入したので▲25万円。利息収入は50万円から▲25万円が引かれて差益は25万円。元本125万円に対する利回りは4%になります。

以上おわかりですね。市場金利が上がれば債券価格は下がり、逆に市場金利が下がれば債券価格は上がるカラクリを。つまり

3-3「市場価格調整」とは、

・生命保険料が「債券」で運用されていること。

・債券の運用価格が解約返戻金に連動すること。

・債券は市場金利が上がると債券価格が下がり、市場金利が下がると債券価格が上がること。その結果支払保険料より解約返戻金が増減すること。

これら3要素を契約者が生命保険会社と約束することを意味しているのです。

4. 「外貨建」生命保険の為替変動リスクとは?

4-1「外貨建」「市場価格調整」付生命保険

メットライフ生命「ドル建 利率変動型一時払終身保険」のパンフレットには「市場価格調整」の解約返戻金変動リスク以外に為替相場の変動リスクについて

「為替相場の変動により、保険金等の受取時の円換算額が一時払保険料や保険金等の契約時の為替レートによる円換算額を下回ることがあり、損失が生じる恐れがあります」と書いてあります。

「市場価格調整」付生命保険の多くは「外貨建」生命保険です。「外貨建」生命保険だと支払保険料を「円」から「外貨」に交換して保険料を支払います。逆に、解約返戻金、保険金、満期金は「外貨」から「円」に交換して受け取ることになります。

「市場価格調整」付&「外貨建」生命保険だと市場金利と債券連動リスク以外に「為替相場」リスクを負うことになります。以下どんなリスクが生じるかを説明していきましょう。

4-2 「円」と「ドル」交換には為替相場リスクと為替手数料がかかる?

一時払い保険料が100,000ドルの終身保険に保険料を払い込むときに銀行で「ドル」を求めなければなりません。この場合に「円」を「ドル」に交換する際の交換比率によってリスクが生じます。いわゆる為替相場リスクです。

それと「円」を「ドル」に交換する場合に手数料がかかります。これは「円」を「ドル」に交換する場合と「ドル」を「円」に交換する場合の両方に手数料がかかります。いわゆる為替手数料というものです。

4-3 円安、円高のカラクリ?

「円」で「ドル」を買うときに1ドルを購入するには「円」はいくら必要になるかは「為替相場」で決まります。

為替相場で1ドル=100円が、1ドル=80円になったとします。「100円」が「80円」と少なくなったのに「円高」といい、逆に1ドル=110円になったて、「100円」が「110円」と多くなったのに「円安」といいます。なぜなのか疑問をもちませんか? その回答は、

あなたは今10,000円で1ドル=100円の「ドル」を買うと10,000円÷100円=100ドル買えます。ところが為替相場で1ドル=80円と少なくなると10,000円÷80円=125ドル買えます。10,000円で100ドルより多く125ドル買えたのですから「円」の価値が上がった、つまり「円」は「ドル」に対し高くなったから「円高」になります。

1ドル=120円だと10,000円÷125円=80ドルしか買えません。つまり「円」は「ドル」に対し安くなったので「円安」です。これが為替相場円高、円安のカラクリです。

さて、あなたはメットライフ生命「ドル建 利率変動型一時払終身保険」に一時払保険料10万ドル払い込みました。「円高」と「円安」どちらの方が「円」払いを少なくできるでしょうか? 下の図をみてください。「円高」の方が得なことがわかりますね。

4-4 「円」を「ドル」に交換して一時払保険料を払うとなると

一時払保険料10万ドル払い込む場合に銀行から「円」で「ドル」を購入しなければなりません。上記のように1ドル=110円ならば10万ドルを銀行で購入するには110円×100,000ドル=11,000,000円必要になります。ところがそれだけではすまないのです。「円」で「ドル」を購入するには銀行に交換手数料を払わなければならないのです。

下図のように「円」を「ドル」に交換するとなると「為替手数料」が1ドルあたり1円銀行に払うことになります。逆に「ドル」を「円」に交換する場合には銀行が「1円」手数料を取るから解約返戻金から1ドルあたり1円銀行に取られることになります。

従って、為替相場と交換手数料によって一時払保険料10万ドル払い込むとなると以下のように1ドル=90円と1ドル=110円では一時払保険料11,000,000-9,100,000円=190万円の差がでます。いつ契約するかによって保険料が変動するのです。

5. 為替変動で得するか、損するかを損益計算で確認すると

ここからはあなたがメットライフ生命「ドル建 利率変動型一時払終身保険」の契約者になったという前提で為替変動による損益を確認していきます。

あなたは一時払保険料10万ドルを「円」に交換して支払いました。それから10年後に解約することにしました。解約日に市場金利で変動する市場価格調整付だから解約返戻金がいくらになるかは解約日の基準利率が契約時の適用基準利率2.5%より上がっているか、下がっているかによって変動します。

次に、解約返戻金を受けとるときに「ドル」を「円」に交換します。その際に為替相場によって契約時に支払った「円」が一時払保険料と比べて得か損かの損益計算をすることになります。これからあなたは損益を計算するために解約返戻金の計算を学習していきます。

その手順は以下です。

5-1 市場価格調整率を算出する

まず、解約返戻金を計算する計算式の全体を知っておきましょう。それが以下です。

上図を見てください。解約返戻金を算出するには

①市場価格調整率を算出します➜②市場価格調整率で計算した金額を算出します。その時に契約時から解約日まで適用基準利率で運用した結果の積立金額を保険会社から教えてもらいます。その解約日の積立金額に①で算出した市場価格調整率を掛けて②市場価格調整率で計算した金額を算出します。

③の解約控除率で計算した金額とは:基準利率保証期間(この場合は30年)の途中で解約する場合に解約日までの経過年数によって解約控除率を掛けた金額を保険会社に支払うことです。

以上②と③の2つの金額を算出してから解約返戻金を算出します。

解約返戻金は解約日の積立金額から②市場価格調整率で計算した金額と③解約控除率で計算した金額を引いた金額になります。それが下図です。

 

では、①市場価格調整率を算出しましょう。計算式と結果は下記です。

①の市場価格調整率の計算式の残存月数とは:解約日をスタートにして基準利率保証期間(30年間)までの残存月数が120ヵ月以下の場合は:残存月数。残存月数が120ヵ月以上の場合は:残存月数÷2+60ヵ月にします。

契約生命保険の適用基準利率の保証期間は30年、10年経過しましたから残存年数は20年になります。従って残存月数は120ヵ月以上になるので残存月数÷2+60ヵ月=(12ヵ月×20年)÷2+60ヵ月=180ヵ月になります。

 市場価格調整率を計算する分母の「解約日の基準利率」は解約日基準利率が適用基準利率2.5%より上がった場合の3%と逆に下がった場合の2%の2通りを計算します。その結果は以下です。

 

5-2 解約日の積立金額は?

②の市場価格調整率で計算した金額を算出するには解約日の積立金額を確認します。

メットライフ生命「ドル建 利率変動型一時払終身保険」のパンフレットに適用基準利率2.5%(適用基準利率適用保証期間30年)で10年間一時払保険料を運用して、10年後に契約した月日に解約した場合の積立金額は以下の107,690ドルでした。

5-3 市場価格調整率で計算した金額を算出する。

計算式はと計算結果は以下です。

2.5%➜3.0%と2.5%➜2%の両方を計算すると以下の通りです。

5-4 解約控除率で計算した金額を算出する

解約控除率で計算した金額の計算式は以下です。解約控除率は10年経過して解約するので下の表から4.0%になります。

5-5 解約返戻金を算出する

いよいよ解約返戻金を算出します。計算式は以下です。

メットライフ生命保険会社は一時払保険料を米国国債や企業社債等の債券で運用しています。債券は市場金利が上がると債券価格が下がり、市場金利が下がると債券価格が上がります。結果は市場金利を反映して2.5%➜3.0%は一時払保険料10万ドルより少なくなっています。逆に2.5%➜2.0%は多くなっています。

5-6 受取解約返戻金を「円」に換算して損益計算する

この「ドル」の解約返戻金を「円」で受け取るとなると1ドルあたりの円相場と交換手数料を計算して一時払保険料と比較した損益計算をします。それが以下の表です。

表の損益の基準利率2%の表組みの①を見てください。為替レート90円で一時払保険料を払い、同じ為替レートで解約返戻金を円で受け取った差益は⑦170,240円の益になります。

例えば、基準利率2%の表組みの③の為替レート110円で一時払保険料を払い、⑦の1ドル90円で解約返戻金を受けとると解約返戻金のドルは一時払保険料10万ドルより増えていますが、為替レートによって

③11,100,000円-⑦9,270,240円=▲1,829,760円損失しています。

④を見てください、1ドル=90円で10万ドルの保険料9,100,000円を払います。「ドル」ベースでは解約返戻金は10万ドル以下なのに⑫だと解約返戻金は日本円で⑫9,751,140円-④9,100,000円=651,140円と差益が出ます。

このように「外貨建」「市場価格調整」付生命保険は市場金利変動による債券リスクで解約返戻金が変動し、それに「ドル」を「円」に交換する際に為替リスクと交換手数料で「ドル」ベースでは差益がでていても「円」に交換したら為替相場で損が出てしまったと、市場金利、債券リスク、為替相場リスクが複雑に絡むのが外貨建市場価格調整付生命保険の実態なのです。

6. 解約返戻金の所得の税務は

6-1 解約返戻金は一時所得

解約返戻金は一時所得になり、その所得の計算方法以下の計算式です。

この場合、総収入金額:は解約返戻金、その収入を得るために支出した金額:は一時払保険料になります。

6-2「特別控除額(50万円)」の使い方

一時所得には解約返戻金から一時払保険料を引いた残額から「特別控除額50万円」を引くことができます。この控除額は内部通算した後で引くようにします。

先の「損益計算書」の具体的な支払保険料と受取解約返戻金例で説明しましょう。

あなたは外貨建市場価格調整付生命保険をAとBの2本を契約しました。その解約返戻金と支払保険料は以下の通りです。

この場合の「特別控除額(50万円)」の使い方は、A保険の2,253,440円の差益からB保険の▲348,860円を引いてから特別控除50万円引くようにしますから1,404,580円が一時所得になります。

つまり、一時所得計算ではAとBと個別の保険ごとに特別控除額50万円を引くのではなく一時所得全体で特別控除50万円があります。従って一時所得内で「内部通算」した後に特別控除額50万円を引くようにします。

6-3 一時所得は損益通算をできない

では、次のような内部通算した結果損失が出てしまった場合はどうなるのでしょうか?

内部通算した結果、▲1,178,620円の損失が出てしまい、特別控除額50万円を引くと▲678,620円になりました。このように一時時所得全体ではマイナスとなってもこのマイナスは他の所得との相殺はできないのです。他の所得と差し引き処理することを「損益通算」といいますが、一時所得の損失は「損益通算」できないので、損失が生じても一時所得は0円ということになります。

まとめ

「市場価格調整付生命保険」は市場金利の上昇・下落によって債券価格が変動し、それが解約返戻金に反映します。その上、「外貨建」なら為替相場の変動によって解約返戻金が多くなったり、少なくなったりします。このような生命保険ですから「市場価格調整付」を契約する際には充分に商品内容を理解することと市場金利とそれに連動、影響を受ける債券価格、為替相場に注視して解約のタイミングを図るリスクコントロールが重要であることをいままでの説明でおわかりいただけたと思います。

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