意外と簡単!基本からきっちり相続税の計算を解説します

もしも、大切なご家族が亡くなってしまったら・・・というようなことは、誰しも、あまり想像したくはないものですよね。

ただし、自分の親が亡くなってしまうといったようなことは、いつかは誰でも、経験することでもあります。

そして、「人がひとり亡くなると、こんなにも雑多な手続きをして、書類を提出するものなのか」と、驚くことになります。

相続税の計算も、その中の手続きのうちのひとつです。

そうはいっても、「うちには相続するものなんてない!」と思っておられる方が、ほとんどではないでしょうか?

でも、本当に、いざその時に直面すると、少し、心配になる方が多いのも、また事実です。

今回は、少し複雑なイメージのある相続税の計算について、しっかりと見ていきましょう。

そうすれば、いざという時になって、無用な心配をしたり、家族のあいだでのもめ事を回避することができますよ!

目次

1.相続税ってなに?
1.1亡くなった人の財産って?
1.2相続税の対象になる財産って?
1.3相続税の対象にならない財産って?

2.相続税は誰が払う?
2.1法定相続人って?
2.2法定分割って?

3.相続税の計算って?
3.1 Step1.亡くなった人の意向を確認する
3.2 Step2.相続人は誰であるかを確認する
3.3 Step3.亡くなった人の『財産』を確認する
3.4 Step4.亡くなった人の『財産』の財産をどうするか、相続人同士で話し合う

4.相続税の控除って?
4.1基礎控除って?
4.2配偶者控除って?

5.葬儀費用も控除できる?
5.1葬儀費用
5.2債務(一般的な意味での『債務』)

6.死亡保険金・死亡退職金の場合

7.相続税を計算してみよう!

8.まとめ

1.相続税ってなに?

『相続』とは、亡くなった人の財産を引き継ぐことを言います。

たとえば、会社を経営していた人が亡くなられた後に、その会社を引き継いだり、亡くなった人が所有していた土地や建物を引き継いだり、一般的には、亡くなられた人が、『財産』として所有していたものを受け継ぐことを、『相続(相続する)』と言います。

日本では、憲法の上でも、個人が財産を所有することが、認められていますから、たとえ、亡くなった後であっても、所有していた財産をどうしたいかといったことについては、亡くなった方ご本人の意志が、なによりも一番に尊重されます。

また、もし仮に、『相続』によって、亡くなった人から財産を受け継いだ場合、受け継いだ人は、『相続税』といった名目の税金を納める必要があります。

これは、『相続』によって亡くなった人の財産を受け継いだ場合、受け継いだ人にとっては、『本来の収入以外の収入があった』とみなされるためです。

たとえば、個人が、経済活動を行うことによって得た収入(本来の収入)であれば、個人の所得に対して課される、『所得税』の課税対象となります。

これに対して、収入を得た理由が、相続であった場合には、その『収入』については、『相続税』の課税対象となります。

1.1亡くなった人の財産って?

一般的に、『財産』とは、『経済的に価値のあるもの』のことを指して言います。

具体的には、土地や建物などの、『不動産』と、預貯金、株券などの有価証券、債権、骨董品や宝飾類、ゴルフ会員権などの、『動産』の2つの種類に分けて、考えられています。

また、自動車や、土地の借地権、著作権なども、『財産』に該当します。

つまり、通常、『財産』と言った場合では、『お金に換金することのできるもの全て』のことを指して言っていることになります。

また、不動産や動産などの、いわゆる、プラスの『財産』の他にも、負債や借金などの債務についても、『財産』として考えられています。

少し、簿記や、会計学に明るい方でしたら、すでに、ご存知であると思われますが、企業の財政状態をあきらかにするために作成する貸借対照表(バランスシート)には、資産、純資産だけでなく、負債も含めて作成しますが、個人の財産についても、同じようなイメージとなります。

亡くなった人の『財産』のことは、『遺産』と言ったり、あるいは、『相続財産』と言うことがあります。

『遺産』、あるいは、『相続財産』の場合であっても、プラスの『財産』とともに、債務などのマイナスの『財産』についても、同様に、『財産』として考えられています。

1.2相続税の対象になる財産って?

亡くなった人の『財産』は、プラスの『財産』と、マイナスの『財産』のどちらとも、『財産』としてみなします。

また、税法上では、相続税の対象となるものと、ならないものの、2つの種類に分けて、考えられています。

相続税の対象となる『財産』とは、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて」(国税庁:タックスアンサー NO.4105)と、国税庁により解答されています。

相続税の対象となる『財産』で、代表的なものは、次のようなものがあげられます。

●相続税の課税対象となる『財産』の代表例

プラスの財産 マイナスの財産
●不動産(土地・建物) (例)一軒家・マンション・農地・店舗・貸地 ●借金 金融機関からの借入金など
●不動産上の権利 (例)借地権など ● その他  未払い金など
●現金・預貯金・有価証券
●その他 (例)ゴルフ会員権・著作権
●動産 (例)自動車・宝石・骨董品など

これら以外にも、次のようなものは、相続税の課税対象となります。

①名義預金

名義預金とは、金融機関の口座の名義人と、実際に、その口座を使用している人が、異なっている場合の口座のことを言います。

たとえば、配偶者の方や、お子さんを口座の名義人として、定期貯金や積立貯金などを行っていたような場合では、亡くなった人が所有していたものとして解釈され、相続税の課税対象である『財産』として取り扱われます。

②亡くなる前に贈与された財産

亡くなった人が、死亡前3年以内に行なった『贈与』や、『財産』の引き渡しは、『相続』としてみなされるため、相続税の課税対象となります。

③亡くなった人の口座から死亡直前に引き出された現金

②のケースと同様に、亡くなった人の死亡する直前に引き出された預貯金は、実質的には、相続された『財産』とみなされるため、相続税の課税対象となります。

1.3相続税の対象にならない財産って?

相続税の課税対象とはならない『財産』については、国税庁(タックスアンサーNo.4108)により、次の7つのものが、解答されています。

①墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

②宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

③地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

④相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

⑤相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

⑥個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。

⑦相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

(平成29年4月1日現在法令等)

これら以外にも、次のものについては、相続税の課税対象とはみなされません。

①損害賠償金

亡くなった人の死亡した原因が、不慮の事故などであった場合、損害賠償金が支払われることがあります。

通常、損害賠償金とは、ご遺族の方への精神的苦痛に対する賠償として支払われる性質のものですから、相続税の課税対象とはなりません。

②弔慰金

亡くなった人が生前にお勤めされていた会社から、弔慰金が支払われることがあります。

弔慰金の場合も、ご遺族の方への「お見舞い金」といった性質のものですから、相続税の課税対象とはなりません。

ただし、受け取った弔慰金の金額が、次のような金額以上であった場合には、相続税の課税対象となることがあります。

●業務中の死亡であった場合

亡くなった人の死亡当時の普通給与※の3年分に相当する額

●業務外での死亡であった場合

亡くなった人の死亡当時の普通給与※の半年分に相当する額

※普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額を言います。

③相続財産を取得しない人が得た贈与財産

相続税とは、相続された『財産』に対して課税されるものですから、相続をしていない方に対して、相続税の支払義務は生じ得ません。

 

2.相続税は誰が払う?

相続税は、亡くなった人の『財産』を引き継いだ時に、引き継いだ側の人が、引き継いだ『財産』の金額に応じて、納める必要のある税金です。

この時、亡くなった人のことを、『被相続人』と言います。

また、亡くなった人の『財産』を引き継ぐ人のことを、『相続人』と言います。

原則として、『相続人』には、誰でもなることができます。

亡くなった人が、ご自分の『財産』を、誰に引き継いでもらいたいかといった意志を表明している場合、亡くなった人の意向を、無効にすることはできません。

亡くなった人の意向については、遺言書などで確認することができます。

これとは別に、法律で定められた、『相続人』の存在があげられます。

2.1法定相続人って?

法律で定められた『相続する権利』を有する『相続人』のことを、『法定相続人』と言います。

法定相続人の場合では、相続する順位も、法律によって定められています。

また、法定相続人は、『配偶者相続人』と、『血族相続人』の2つに分かれています。

①配偶者相続人(亡くなった人の夫や妻)

配偶者相続人とは、亡くなった人(被相続人)の夫、または、妻のことを言います。

配偶者相続人は、必ず、戸籍上の夫、または、妻である必要があります。

たとえば、事実上は、夫婦として、一緒に生活していた場合であっても、戸籍の上で、婚姻関係が成立していなければ、法定相続人とはみなされません(民法890条)。

また、配偶者については、相続順位はありません。

これは、常に、配偶者は、法定相続人となるためです。

亡くなった人(被相続人)の配偶者は、血族相続人がいない場合には、単独で、血族相続人がいる場合には、次の順序で、血族相続人とともに、法定相続人となります。

②血族相続人(亡くなった人と血縁関係にある相続人)

1.亡くなった人(被相続人)の子供(第1順位)

その子供が、すでに死亡している場合には、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。

子供も孫もいるときは、亡くなった人(被相続人)により近い世代である子供の方が、優先されます。

直系卑属(子供や孫など)の相続順位は、第1順位となります。

2.亡くなった人(被相続人)の父母や祖父母(第2順位)

父母も祖父母もいる場合は、亡くなった人(被相続人)により近い世代である父母の方が、優先されます。

直系尊属(父母や祖父母など)の相続順位は、第2順位となります。

第2順位の人は、第1順位の人がいないときに、法定相続人となります。

3.亡くなった人(被相続人)の兄弟姉妹(第3順位)

兄弟姉妹が、すでに死亡している場合は、その人の子供が相続人となります。

傍系血族(兄弟姉妹)は、第3順位となります。

第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないときに、法定相続人となります。

(民法887、889、890、900条)

2.2.法定分割って?

亡くなった人(被相続人)の『財産』を、相続人が、分割して引き継ぐ場合、法律によって、その持ち分の割合が、定められています。

法律に定められている持ち分の割合に則して、亡くなった人(被相続人)の『財産』を分割して相続することを、『法定分割』と言います。

『法定分割』する場合では、亡くなった人(被相続人)と、相続人の関係性によって、各相続人の持ち分の割合も、法律によって定められています。

この持ち分の割合のことを、『法定相続分』と言います。

法律に定められている、『法定相続分』は、次のようになります。

イ. 配偶者と子供が相続人である場合

配偶者:1/2

子供:1/2(2人以上のときは全員で1/2)

ロ. 配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)が相続人である場合

配偶者:2/3

直系尊属:1/3(2人以上のときは全員で1/3)

ハ.配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合

配偶者:3/4

兄弟姉妹:1/4(2人以上のときは全員で1/4)

(民法900条)

子供、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として、均等に分割します。

また、『法定相続分』とは、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分のことであり、必ずしも、この相続分で、遺産の分割をしなければならないということではありません。

 

3.相続税の計算って?

亡くなった人が、「誰に財産を引き継いでほしいか」といったこと意思表示している場合は、その内容に従います。

亡くなった人の意思は、遺言書などで確認することができます。

遺言書がない場合であって、相続人が複数いるときには、相続人のあいだで、亡くなった人の『財産』をどのようにするかといった話し合いをします。

「亡くなった人の『財産』をどのようにするか」と話し合うことを、『遺産協議』と言います。

また、相続人のあいだで遺産の分割について話し合うことを、『遺産分割協議』と言います。

亡くなった人の、ご自分の『財産』をどうしたいかといった意向確認ができない場合には、相続人のあいだで話し合いをして、亡くなった人の『財産』を分割してもよいことになっています(民法907条)。

また、相続税の計算は、原則、各相続人ごとに、相続された金額に応じて、計算します。

相続税を計算する前には、必ず、次の4つのステップを踏襲する必要があります。

3.1 Step1.亡くなった人の意向を確認する

亡くなった人の意向が確認できるものであれば、形式などは、特に、問われませんが、法的な効力を持つものと、持たないものがあります。

一般的には、遺言書などで、『財産』の内容についてや、死後、『財産』を、どのようにしたいかを確認します。

3.2 Step2.相続人は誰であるかを確認する

遺言書がある場合であれば、そこに記載されている人が相続人となります。

遺言書などがなく、とくに、亡くなった人の意向が確認できない場合は、婚姻関係や血族関係のある法定相続人が、相続人となります。

3.3 Step3.亡くなった人の『財産』を確認する

亡くなった人の『財産』を、預貯金や不動産などのプラスの『財産』と、債務などのマイナスの『財産』とに分けて、確認します。

また、亡くなった人の『財産』は、土地や建物などの不動産や、有価証券、骨董品、宝飾品など、すべて金額に換算して、時価(亡くなった時点の金額)にて、計算します。

3.4 Step4.亡くなった人の『財産』をどうするか、相続人同士で話し合う

遺言書がある場合は、その内容に従います。

遺言書などがなく、とくに、亡くなった人の意向を確認できない場合は、相続人が複数いる時には、相続人同士で話し合いを持ち(『遺産分割協議』と言います)、各人の持ち分の割合を決めます。

 

4.相続税の控除って?

亡くなった人(被相続人)の『財産』については、まずは、亡くなった人ご本人の意志が、なによりも一番に優先されなければなりません。

遺言書などがなく、亡くなった人の意向が確認できない場合、通常は、婚姻関係や血縁関係にある相続人が、亡くなった人の『財産』を引き継ぐことになります。

さらに、相続人が複数人いる場合には、亡くなった人の『財産』について、どのようにするかといった話し合いをします。

話し合いにて、亡くなった人の『財産』を分割して『相続』することが決定した後に、各相続人の持ち分の割合を確定し、持ち分の割合に応じて、納めるべき相続税の金額を計算します。

つまり、1.亡くなった人の意向が確認された後に、2.『相続する財産』が確定され、3.誰が相続するかといった相続人が確定され、4.各相続人の持ち分の割合が決まらないかぎりは、納めるべき相続税の金額を計算することはできません。

また、『相続する財産』には、相続税の課税対象となる『財産』と、相続税の課税対象とはならない『財産』があります。

相続税の課税対象となる『財産』は、プラスのものと、マイナスのものをすべて、時価にて、金額に換算します。

また、相続税の課税対象とはならない『財産』(非課税財産)以外にも、『相続する財産』から、差し引いてもよいとされているものがあります。

『相続する財産』から差し引いてもよいとされているもののことを、『控除』と言います。

『控除』には、次のような種類があります。

4.1基礎控除って?

相続税では、税の負担を軽減させる目的で、相続財産から、一定の金額を差し引いてもよいことが認められています。

この差し引くことが認められいる一定の金額のことを、『基礎控除』と言います。

相続税の『基礎控除』は、原則、相続税を計算する際には、ほぼ無条件で、適用することができます。

基礎控除の金額は、以下の計算式で算出されます。

3, 000万円+(法定相続人の人数×600万円)

たとえば、法定相続人が1人であった場合、

3,000万円+(1人×600万円)=3,600万円

となり、『相続財産』から、3,600万円を差し引いた後、残った金額に対して、一定の税率を乗じた金額が、納めるべき相続税の金額となります。

同様に、法定相続人が2人であった場合には、

3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円

となり、『相続財産』から、4,200万円を差し引いた後、残った金額に対して、一定の税率を乗じた金額が、納めるべき相続税の金額となります。

同様に、法定相続人が3人であった場合には、

3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円

となり、『相続財産』から、4,800万円を差し引いた後、残った金額に対して、一定の税率を乗じた金額が、納めるべき相続税の金額となります。

なお、『相続財産』から『基礎控除』を差し引いた金額が、ゼロであったり、マイナス金額である場合には、相続税を納める必要はありません。

4.2配偶者控除って?

亡くなった人と婚姻関係が成立している妻や夫である配偶者の方は、『配偶者の税額軽減』(一般的には、『配偶者控除』と言われてます)を、利用することができます。

『配偶者の税額軽減』とは、相続した財産の金額に対して、1億6千万円までを上限として、非課税としている制度です。

つまり、『配偶者の税額軽減』を利用すれば、『相続した財産』の金額から、1億6千万円を差し引きくことができ、残った金額に対して、一定の税率を乗じたものが、納めるべき相続税の金額となります。

また、亡くなった人と婚姻関係が成立してる配偶者の方であれば、『配偶者の税額軽減』か、あるいは、法定相続分のいずれかを、『控除』として選択することも可能です。

たとえば、お子さんのいる方でしたら、法定相続分は、1/2として計算されます。

この方の正味の相続財産が4億円であった場合、

配偶者の税額軽減を利用:1億6千万円までが非課税

法定相続分を利用:4億円-(4億円×1/2)=2億円までが非課税

となり、法定相続分を利用したほうが、控除される金額が大きいことになります。

また、お子さんのいない方で、他にどなたも法定相続人がいない場合には、

配偶者の税額軽減を利用:1億6千万円までが非課税

法定相続分を利用:4億円-(4億円×1)=0円

となり、『配偶者の税額軽減』を利用をした方が、控除される金額が大きいことになります。

 

5.葬儀費用も控除できる?

亡くなった人のお葬式にかかった費用は、『相続財産』から、差し引くことが認められています。

これを、『債務控除』と言います。

『債務控除』は、大きくは、『葬儀費用』と、その他の『債務』の2つに分かれています。

5.1葬儀費用

亡くなった人のお葬式にかかる費用は、一般的な意味での『債務』にはあたりませんが、社会通念上、必ず、執り行われるものとして、『相続財産』から、差し引いてもよいとされています。

また、葬儀にかかる費用であっても、差し引くことができるものと、できないものに分かれています。

1.葬式費用として控除できるもの

葬儀料(お葬式当日やお通夜にかかる費用)、お布施代、火葬費、納骨費、遺骨の回送費など、一般的なお葬式にともなう費用。

2.葬式費用として控除できないもの

お香典返しの費用、初七日や四十九などの法要の費用など。

5.2債務(一般的な意味での『債務』)

1.金融機関などからの借入金や未払い利息

亡くなった人が、自営業や、会社経営していたり、不動産などを購入するために、金融機関などから、借入金をしている場合があります。

完済せずに亡くなった場合には、相続人が、その債務を引き継ぐことになります。

借入金や利息については、本来であれば、亡くなった人が支払うべきものとして、『相続財産』から、差し引いてもよいとされています。

2.治療費・入院費などの医療費の未払い分

亡くなった人の未払いの医療費などは、『債務控除』として、『相続財産』から、差し引いてもよいとされています。

3.税金の未納分

亡くなった人に、固定資産税、所得税、住民税など、税金の未納分があった場合には、相続人に、納税義務が生じます。

亡くなった人の税金の未納分についても、『債務』として、『控除』の対象とすることができます。

なお、葬儀費用については、『債務控除』の対象となりますが、お墓の購入費用は、控除の対象とはなりません。

また、実際的に、借入金を返済していない保証債務(借入金の保証人になっている場合など)も、控除の対象とはなりません。

 

6.死亡保険金・死亡退職金の場合

生命保険の死亡保険金や、会社から支払われる死亡退職金は、厳密にいうと、相続税から『控除』される性質のものではありませんが、一定の金額までであれば非課税(課税対象にならない)ため、『相続財産』から、差し引いてもよいとされている『控除』として、認識されています。

とくに、生命保険の死亡保険は、受取人を指定して加入するものであり、その場合、死亡保険金の受取人の割合を指定して、複数人を受取人として指定することも可能ですが、原則として、指定された受取人以外の人が、生命保険の死亡保険金を受け取ることはできません。

死亡保険金や死亡退職金は、次のような計算式で、非課税となる金額が算出されます。

500万円×法定相続人の人数=非課税限度額

つまり、法定相続人の人数が、1人であった場合、

500万円×1人=500万円

となり、500万円までが、死亡保険金や死亡退職金の非課税金額となり、500万円を超える金額に対して、一定の税率を乗したものが、相続税の課税対象となります。

同様に、法定相続人の人数が、2人であった場合、

500万円×2人=1,000万円

となり、1,000万円までが、死亡保険金や死亡退職金の非課税金額となり、1,000万円を超える金額に対して、一定の税率を乗したものが、相続税の課税対象となります。

 

7.相続税を計算してみよう!

ここまで、相続税を計算するための、おおまかな流れを見ていきました。

相続税を計算するための流れとしては、おおよそ、次のような5つのステップに分かれています。

1.まずは、亡くなった人の意向がどういったものであるか、遺言書があるかないかといったことを確認します。

2.続いて、相続する財産を、プラスのものだけでなく、マイナスのものについても、確認し、すべて時価に換算して、合計します。

3.さらに、相続人を確認します。

相続人には、通常は、亡くなった人と婚姻関係か、血縁関係にある人が、相当します。

4.相続人が複数人いる場合には、相続人同士で、相続財産をどうするかを話し合い、分割して相続することになった場合には、各相続人の持ち分の割合の取り決めを行います。

5.続いて、相続財産から、基礎控除や債務控除できるものを、差し引いて、正味の相続財産の金額を算定します。

さっくり言ってしまうと、ほとんどの方は、相続財産から、基礎控除の金額を差し引いた時点で、相続税の計算は終了します。

仮に、相続財産から、基礎控除や債務控除を差し引いても、一定の金額が残る場合には、次のような手順で、納めるべき相続税を計算します。

①正味の相続財産を、いったん、法定相続分で振り分けます

たとえば、確定した相続人が、妻と、子ども2人であった場合で、相続財産から基礎控除などの控除を差しい引いた正味の相続財産が1億円であるとします。

この場合、法定相続分は、妻1/2、子ども1/2となります。

子供の人数は2人ですから、均等に頭割りにして、各1/4が、子ども1人についての法定相続分となります。

妻 1億円×1/2=5,000万円

子供1 1億円×1/4=2,500万円

子供2 1億円×1/4=2,500万円

②正味の相続財産を、いったん、法定相続分で振り分けて算出した金額に、相続税の税率を乗じ、税率ごとに定めらた控除額を減じます

妻 1億円×1/2=5,000万円×20%(5,000万円以下の場合の税率)-200万円(5,000万円以下の場合の控除額)=800万円

子供1 1億円×1/4=2,500万円×15%(3,000万円以下の場合の税率)-50万円(3,000万円以下の場合の控除額)=325万円

子供2 1億円×1/4=2,500万円×15%(3,000万円以下の場合の税率)-50万円(3,000万円以下の場合の控除額)=325万円

③上記で算出した各相続人の相続税を合算します

妻(800万円)+子供1(325万円)+子供(325万円)=1,450万円

この場合、1,450万円が、相続人全体で納める相続税の金額となります。

④家族全体で納める相続税の金額を、実際の持ち分の割合で、各相続人に振り分けます

法定相続分の持ち分で遺産を分割する場合、この計算は必要ありませんが、相続人で話し合った結果、妻と子供1のみで、相続することにした場合や、相続人の持ち分の割合を法定相続分ではない割合にした場合には、その割合で、あらためて、相続税を計算する必要があります。

たとえば、妻と子ども2人の持ち分の割合を1/3づつにした場合、1,450万円×1/3=483万円が、相続税の金額となります。

このように、相続税の計算は、相続財産の規模に応じて、少々、複雑なものとなります。

8.まとめ

余談ですが、亡くなった日から半年後に、突然に、税務署から、「相続税についてのお尋ね」というお知らせのハガキが届くことがあります。

これは、相続税を納める必要のあるなしに関わらず、一律に、送付されるものであるらしいのですが、ドキリとされる方もおられるかと思います。

一般的にいって、相続税を納める必要がある人は100人中、8人であるとも言われています。

だからといって、あまり気を抜いていると、抜き差しならない事態に陥らないとも限りませんので、相続については、なるべく早めに、そして、家族のあいだで、落ち着いて、きちんと話し合いたいものですね!