わかりにくい障害厚生年金の申請と受給、6つのステップで理解できます!

誰しもいつ・どんな病気やケガをして、働けなくなるかわかりません。

そんな「万が一」のときの生活を守ってくれる公的社会保障制度の要となるのが、障害年金。

障害年金には国民年金加入者の障害基礎年金と、厚生年金加入者が上乗せでもらえる障害厚生年金があります。

6つの段階を経て基礎から給付条件・実例をおさえることで、一般人にはわかりにくい障害厚生年金・障害基礎年金の大筋を理解できます。

目次

1.まずはここから!障害給付の基本、障害厚生年金と障害基礎年金の違いをおさえよう

1.1障害給付の種類には、何があるの?

1.2障害厚生年金と障害基礎年金、それぞれの給付要件は何?

1.3障害厚生年金と障害基礎年金の給付要件、障害等級ってどんな違いがあるの?

2.障害厚生年金を受けるためにはどうすればいいですか?

2.1障害厚生年金は、誰が・どこに申請するもの?

2.2障害年金請求の流れ

2.3プロを味方につけよう

3.厚生年金の請求は、実質個人は無理!?

3.1発病日・初診日とは、いつの時点のことさすの?

3.2医師の診断書は、1通では済まない

3.3カルテが残っているかどうかが分かれ道!?初診日の証明は困難を極める

4.障害厚生年金を受け取れない!?年金加入状況を今すぐチェック!

4.1ここがクリアできなければ話にならない!直近1年の保険料納付要件

4.2若気の至りは大きな痛手!?原則的な2/3要件

4.3正しい申請はされていた?免除期間の確認

5.現在給付されている人も、これからの人も必見!障害厚生年金のQ&A

5.1Q1障害が重くなった場合、どうなりますか?

5.2Q2障害が複数に増えたら、給付額は増えますか?

5.3Q3障害厚生年金は無理・・・一時金ならもらえるって、ホント?

6.諦めない!!私も障害厚生年金がもらえました!

6.1 30代精神の障害(うつ病)のAさん

6.2 40代、循環器障害(弁膜症)のBさん

6.3 50代、肢体の障害(変形性股関節症)のCさん

7.まとめ

1.まずはここから!障害給付の基本、障害厚生年金と障害基礎年金の違いをおさえよう

1.1障害給付の種類には、何があるの?

病気やケガによって一定以上の障害が残り、日常生活や仕事(就労)に障害の出ている場合に受けられるセーフティネット(公的社会保障)を、障害給付と言います。

では、障害給付にはどんな種類があるのでしょうか?

障害給付の種類

  • 障害厚生年金1級、2級、3級
  • 障害基礎年金1級、2級
  • 障害手当金(一時金)

この5種類の年金+一時金が障害給付です。

 

障害年金は、現在保険料を納めているからといって、申請をすれば必ず受け取れるものではありません。

給付には給付要件といって、定められた基準を満たしていることが条件となります。

この要件を満たしているか審査してもらうためには様々な書類や手続きが必要で、時には病気の知識も求められます。

ですから、障害年金は大切なセーフティネットであるにも関わらず、高い壁が存在するのです。

 

1.2障害厚生年金と障害基礎年金、それぞれの給付要件は何?

障害年金には障害厚生年金と、障害基礎年金の2種類があります。

その名の示す通り、障害厚生年金は厚生年金に加入している会社員が給付対象となります。

老齢年金同様に、自営業者などが加入している国民年金から給付される障害基礎年金の上乗せという形で給付されます。

そのため、要件を満たしていれば障害基礎年金+障害厚生年金を合わせて受け取ることができます。

障害基礎年金の給付要件

  • 初診日に被保険者等であること
  • 初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていること
  • 障害認定日に障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあること

障害厚生年金の給付要件

  • 初診日に厚生年金の被保険者であること
  • 初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていること
  • 障害認定日に障害等級1・2・3級に該当する状態であること

どちらもほとんど要件は同じですが、障害厚生年金には3級が含まれていますね。

つまり、障害等級が3級の人は厚生年金に加入していれば障害厚生年金を受け取れますが、国民年金の人は障害年金の給付が受けられないということです。

ここは大きな違いですね。

また、障害年金には所得制限があります。

受給者本人の年間所得が360万4,000円以上あると1/2が支給停止、462万1,000円以上の所得があると全額支給停止になります。

(扶養家族がいる場合は、扶養家族1人につき38万円を加算した額が所得制限額となります)

障害を負った状態でもこれだけの所得のある人は生活に困っていないと判断されるのでしょう。

これまで通りの仕事ができない場合には所得は下がるのが一般的なので、やはり障害年金は大きなセーフティネットなのです。

1.3障害厚生年金と障害基礎年金の給付要件、障害等級ってどんな違いがあるの?

障害厚生年金では給付要件に障害等級3級が含まれるのに対し、障害基礎年金には含まれません。

ここが一番の違いとなります。

では、障害等級の違いは何でしょうか?

障害等級の目安

<1級>

身体機能の障害または長期にわたる安静が必要であり、日常生活に支障をきたしているもの

身の回りのことはできるものの、ベッドの周辺に限られる状態

<2級>

体機能の障害または長期にわたる安静が必要であり、日常生活に著しい制限を受けるもの

身の回りのことと軽い家事はできるものの活動範囲が自宅に限られ、働くことができない状態

<3級>

労働が著しい制限を受けるもの

 

更に実際の障害等級の認定は、障害されている部位別に決められています。

障害等級認定基準

  • 第1節 眼の障害
  • 第2節 聴覚の障害
  • 第3節 鼻腔機能の障害
  • 第4節 平衡機能の障害
  • 第5節 そしゃく・嚥下機能の障害
  • 第6節 音声又は言語機能の障害
  • 第7節 肢体の障害
  • 第8節 精神の障害
  • 第9節 神経系統の障害
  • 第10節 呼吸器疾患による障害
  • 第11節 心疾患による障害
  • 第12節 腎疾患による障害
  • 第13節 肝疾患による障害
  • 第14節 血液・造血器疾患による障害
  • 第15節 代謝疾患による障害
  • 第16節 悪性新生物による障害
  • 第17節 高血圧症による障害
  • 第18節 その他の疾患による障害
  • 第19節 重複障害

例えば視力障害の場合は、このような具合です。

日本年金機構

国年=障害基礎年金、厚年=障害厚生年金のことで、障害厚生年金の1級と2級は障害基礎年金と同じ条件となっています。

実際は、この表の下にもぱっと見ただけでは理解できない条件がたくさんあります。

細かい区分を覚えることは必要ありませんが、障害等級がこのように規定されていることを理解していただければよいでしょう。

ただし、この障害等級の区分は、身体障害者手帳の等級とか必ずしも一致しないので、注意が必要です。

仕事上どの程度支障が出るかは業種にもよりますが、3級と認定されていても正規職員としての雇用がある人もいれば、1人前の仕事ができなくなってしまい、実質働き口のなくなってしまう人もいます。

障害年金の仕組みを勉強したところで、次章で障害年金の請求方法についてお伝えしていくことにしましょう。

 

2.障害厚生年金を受けるためにはどうすればいいですか?

2.1障害厚生年金は、誰が・どこに申請するもの?

本来、老齢年金を始めとした公的年金は、受給資格をもつ本人が必要書類をそろえた後、年金事務所に請求手続きを行うことで支給されます。

いくら給付要件を満たしていても、請求(申請)しない限り受けられないのが日本の年金制度です。

その割に、引かれるものは頼まなくても勝手に引かれていくのですが・・・。

しかし、障害を負っている人は必ずしも自分で手続きを行うことができません。

寝たきりになってしまった人には、書類に名前を書くことすらできません。

うつ病など精神に障害のある場合は、身体になんの障害もなくても年金事務所や市役所に出向くことができないだけではなく、起き上がることすらできない場合もあります。

ですから、障害が重度になればなるほど家族が代理申請をすることが多くなります。

近年は40代・50代の働き盛りで倒れてしまった息子の代わりに、高齢の母親が請求手続きを踏むことも増加しており、制度の理解そのものが難しいケースもあります。

2.2障害年金請求の流れ

障害厚生年金を受けるためには、障害基礎年金の要件を満たしていることが条件ですので、請求手続きはどちらも同じです。

その流れを示したものが、下のフローチャートです。

日本年金機構

こうやってみると、あまり難しい手続きではなさそうに感じますね。

ところが実際は、初診日を証明するための書類や複数の医療機関を経て現在に至る場合には、各医療機関での診断書や病状を説明する書類や資料(検査データや画像などを含む)を用意する必要がありますので、簡単にはいきません。

ちなみに「必要な書類」等を一覧にしたものがコチラです。

日本年金機構

日本年金機構では、障害年金に関しては原則として受付日から3か月半以内に年金証書(または不支給通知書・却下決定通知)を送付することになっています。

もし4か月を過ぎても連絡がない場合には、年金事務所へ確認しましょう。

2.3プロを味方につけよう

障害年金は障害の程度や初診日を証明する必要があるため、請求に必要な書類は多岐にわたります。

場合によっては、書類だけではなくレントゲン写真や診療明細書・お薬手帳・自身の受診記録などが必要になることもあります。

そのため、請求は非常に複雑で難しく、一般人(家族含め)が行うことは難しいのが現状です。

とくに、初診日が現在から遠ざかるほどその証明は困難になります。

もちろん、書類の不備や内容が不足する場合は、支給されません。

そこで障害年金の請求は、社会保険労務士やケアワーカーが代理人となって委任状を交わしたのち、代理申請を行うケースが多くを占めます。

障害年金の代理申請は社会保険労務士の業務の一つではありますが、全ての社会保険労務士が業務に慣れているとは限りません。

障害年金に力を入れている人に相談にのってもらうとよいでしょう。

必要書類のアドバイスなどを受ける場合もあれば、書類を受け取ったり医師との面談まで代行することもあり、金額は各社会保険労務士事務所によって違います。

個人でも請求は可能ですが、障害厚生年金・障害基礎年金の給付を1日でも早く受けるためには、プロを味方つけるのが近道となります。

 

3.厚生年金の請求は、実質個人は無理!?

3.1発病日・初診日とは、いつの時点のことさすの?

障害年金の請求には、いくつかのポイントとなる日付があります。

どれも似たように感じますが、この違いを理解しておかないと、請求にかかる書類を用意したりどこの時点までさかのぼって請求するかが決められません。

  1. 発病日   :自覚的・多角的に症状の認められたとき
  2. 初診日   :障害の原因となった病気(ケガ)について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日
  3. 障害認定日 :「初診日から1年6か月経過した日」もしくは「それまでにな治った(症状固定)日」)のどちらか早い方
  4. 請求日   :申請した日

ちなみに、症状固定日というのは治癒したということではなく、「その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日」ということです。

この初診日や障害認定日というのは、非常に重要です。

なぜだと思いますか?

それは、障害年金は、5年前までさかのぼることができるからです。

障害認定日が6年前なら5年前の分までさかのぼって年金を受給できるということです。

3.2医師の診断書は、1通では済まない

障害年金を請求するには、たくさんの書類が必要となりますが、中でも医師の診断書は重要。

しかし、医師の書類は1枚では済まないことがあります。

障害認定日と現在で同じ医療機関に通院しているとは限らないからです。

そもそも、障害年金は初診日から1年6か月以上経過していなければ請求しません。

しかし、1年6か月の間に症状が落ち着いた場合などは、大学病院や総合病院などの大きな病院に通院する必要がなくなっていることがあります。

そうなると、今通院している医師には現在の状態を、障害認定日にはその時点での状態を記載した診断書が必要になるのです。

場合によっては、初診日の病院でカルテを借り(開示してもらい)、開業した医師を追いかけて記入してもらうこともあります。

また、診断書とは別に「受診状況証明書」をそろえる必要もあります。

場合によっては、初診の病院では病気を発見してもらえず(誤診)で嫌悪感を抱いている場合や、医師との関係が悪化して転院していることもあります。

当時の担当医が異動してしまい、不在ということもあります。

「受診状況等証明書ができない添付できない証明書」を自己申告で記載して初診日を申請することもできますが、医療機関で受診状況証明書をもらっている場合に比べ、信用性はありません。

診断書が1通では済まないことも、障害年金の高い壁のひとつの要因となっているのです。

3.3カルテが残っているかどうかが分かれ道!?初診日の証明は困難を極める

総合病院レベルの規模なら、この10年でほとんどの医療機関がカルテを電子化しています。

電子化された記録は、原則破棄することはありません。

しかし、クリニックや個人病院では今も紙カルテでの運用をしています。

そうなると、保管スペース上の問題で、いつまでもカルテを保存しておくわけにはいきません。

そこで、5年間は保管を義務付けられていますが、それ以降は破棄してよいことになっています。

カルテが破棄=捨てられるって、ありえないと思っていましたか?

もちろん、現在も定期的に通院している患者さんのカルテを捨てることはありませんけれど、医療機関側からすると、ほんの数回通っただけの患者のカルテを保管するコストはムダなのです。

カルテが破棄されていると、初診日を証明することができなくなってしまいます。

ここが、障害年金を請求する際の大きな壁になっています。

もし初診日を証明できない場合は、「受診状況等証明書ができない添付できない証明書」を添付し、また別の医療機関での初診日を証明してもらえるように証明書を請求します。

どうしても医療機関で発行してもらえない場合は自己申告のみとなってしまいますが、診療明細やお薬手帳などを添付することで信用性を高めることが可能になります。

 

4.障害厚生年金を受け取れない!?年金加入状況を今すぐチェック!

4.1ここがクリアできなければ話にならない!直近1年の保険料納付要件

障害厚生年金・障害基礎年金ともに、年金を受給するためには初診日の前日において保険料の滞納・未納がないことが条件となります。

そのうちのまず第一段階として、

初診日の前々月における直近1年間に未納期間がないこと

という納付要件があります。

これは簡単にクリアですよね!?

4.2若気の至りは大きな痛手!?原則的な2/3要件

次の要件は、20歳からの加入状況です。

初診日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料納付済期間または保険料免除期間であること

これは直近1年は当たり前だけれども、本来払っていなければならない期間のうち2/3は保険料を納めていましたか?というものです。

1/3の期間未納があった場合は、ペナルティとして障害年金を支払いませんってことになるのです。

厚生年金に加入している人は、基本的に国民年金の保険料が未納ということはありません。

障害厚生年金の年金が障害基礎年金に上のせされるということは、大前提として国民年金に加入していなければなりません。

ずっと会社員生活を送ってきた人は、給料から天引きされているので問題ありません。

しかし、自営業や非正規雇用を経て厚生年金に加入した場合にはわかりません。

ですから、全加入期間のうち、2/3の期間納めていたかどうか確認しましょう。

障害年金を受け取るために今から過去の分を支払おうと思っても、年金の未納分をさかのぼれるのは原則2年、平成30年9月30日までは5年しか認められていません。

ちなみに、障害年金を請求する際に2/3要件を満たしていないことに気づいたとしても、その時点での追納は認められません。

今後障害年金を受け取るために、数十万円の追納をしておく方がお得・・・と思っても、そうはいかないということですね。

4.3正しい申請はされていた?免除期間の確認

国民年金の加入期間は、20歳からです。

大学生の場合、学生時代に既に年金に加入していることになります。

しかし、学生で収入がないのに保険料を払わないといけないのか?という問題が出てきますね。

親から仕送りをもらい、更に自分もアルバイトをして生活費の足しにしている大学生が、保険料を払うのは現実的ではありません。

そこで、学生の間は申請を出すことによって保険料の納付が猶予される学生納付特例制度があります。

20歳の学生が年金制度を知っているとは思えないので、ここは親が気付いて申請を進めるようにしておきたいところ。

そして就職したあとに金銭的余裕があれば、学生納付特例期間の分の保険料を10年間(例えば、平成29年4月分は平成39年4月末まで)さかのぼって納めること(追納)ができます。

将来の年金額を増やすことを考えると追納すべきですが、障害年金を考える上では学生納付特例制度を申請してあればOKです。

学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になりますので、万が一のときにも安心です。

また、社会人になっても給料が少なかったり奨学金の返済で経済的に厳しい人も、学生と同様に申請すれば保険料の納付を免除もしくは猶予してもらうことができます。

障害年金の請求をする上で大切なのは、保険料を払わない・払う気がないのではなく、払えないのだと申し出ていたかが重要。

同じように保険料を納めていない若者がいたとして、申請をしてあった人は納めていない期間も障害年金の加入要件を満たしますが、申請をしていない人は納めていなかったものとされます。

どんなに重度の障害を負ったとしても、障害厚生年金だけでなく障害基礎年金も認められないのです。

義務を果たすことは、もしものときの一番の備えとなるのです。

国民年金の加入は決して老後の問題だけではありません。

「どうせ払った分はもらえないから」と言って保険料を納めないのは、若気の至り・・・・ではすまない問題なのです。

 

5.現在給付されている人も、これからの人も必見!障害厚生年金のQ&A

5.1Q1障害が重くなった場合、どうなりますか?

障害を負った当初は障害年金の給付対象となるほどではなかったものの、その後症状が悪化して障害の程度が重くなった場合は、もう一度請求することができます。

これを事後重症による請求といい、実際はこの事後重症が多くを占めます。

事後重症の障害厚生年金・障害基礎年金は、請求を行った日に受給権が発生するので、請求をした月の翌月から年金が支給されます。

5.2Q2障害が複数に増えたら、給付額は増えますか?

例えば、足の障害によって障害等級2級(A)と認められて既に障害年金を受給していた人に、更に障害等級2級に該当する手の障害(B)が加わった場合、2つの障害年金を受け取ることはありません。

AとBの2つの障害を合わせて、Cという新たな1級の障害年金の受給権が発生します。

介護保険もそうですが、障害年金は1度申請して終わりではありません。

障害年金の仕組みは複雑なので、わからない場合は年金事務所や社会保険労務士事務所で相談してみましょう。

請求しないことには、どんなに給付対象となっている人も受け取れないのが日本の制度ですから。

5.3Q3障害厚生年金は無理・・・一時金ならもらえるって、ホント?

障害厚生年金は障害等級1.2.3級以上、障害基礎年金は障害等級1.2級以上で、かつ他の給付要件を満たして請求が認められた場合、初診日までさかのぼって(最長5年)年金を受け取ることができます。

しかし、障害の程度がそこまで重度ではなく、障害年金の給付されない人に朗報があります。

3級よりも少し軽い障害が残ってしまった場合、一時金として障害手当金を受けとることができます。

金額は障害厚生年金3級の年金額の2年分となります。

最低でも、1,169,000円を最低保障額として受け取ることができます。(2018年現在)

年金としては受け取れなくても、100万円を超える手当金はたいへんありがたいですね。

ただし、障害手当金は厚生年金加入者にのみ認められているもので、残念ながら国民年金加入者には適応されません。

 

6.諦めない!!私も障害厚生年金がもらえました!

ここからは、実際の請求事例を紹介しましょう。

どれも、最初は認められなかったケースですが、書類を添付したり内容を見直すことで認められたものです。

参考:3訂版 障害年金の知識と請求手続ハンドブック

6.1ケース①30代精神の障害(うつ病)のAさん

H19 .1.22:緊張性頭痛(初診:A大学病院)

H19.2.23:うつ状態・緊張性頭痛・不眠症(Bクリニック)

H22.8.10:うつ病(Cメンタルクリニック)

現在の障害の程度:薬物療法で月2回受診しており、仕事は休みがち。

衝動的感情を抑えられず怒鳴ってしまうなど、会社でも上司や同僚とトラブルを起こしてしまう。

本人は申請ができないため、妻が社会保険労務士に相談し、申請することにしました。

<ポイント>

  1. 事後重症(あとで重症化したもの)として請求しており、因果関係のあるH19のA大学病院神経内科の初診日の受診状況証明書を添付する。
  2. 診断書に、日常生活能力・労働能力・予後が正確に診断・記載されている必要がある。
  3. 病歴・就労状況等申立て書に、就労と日常生活における支援の状況を記入する。

⇒日常生活には支障がなく、障害を認定することが難しい精神を問題とするケースでした。

6.2ケース②40代、循環器障害(弁膜症)のBさん

発病:H.23.7頃

初診日:H23.8.7(S大学病院循環器科)

<障害の状態>

初診日から現在に至るまで、S大学病院に月1回薬物療法のため通院。

H23.10.20人工弁装着の手術を受けているが、その後の病状が改善せず、現在も着替えやトイレはできるが買い物や掃除などの家事労働は制限が出ており、働くことは困難。

H28.5.20に障害認定を請求しました。

<ポイント>

  1. 人工弁を装着した場合の障害の程度を認定すべき日は、手術の日(初診日より1年6か月以内)とする。
  2. 人工弁装着時点では3級相当であったが状態が悪く、現在の症状は2級相当であることを考慮して申請する。
  3. 臨床所見・一般状態区分・検査所見・現在の日常生活の程度・労働能力・予後を記載する。

⇒手術から5年近く経ってからの事後重症請求でした。

6.3ケース③50代、肢体の障害(変形性股関節症)のCさん

発病:H16.4頃

初診:H16.6.9(K病院)

<障害の状態>

K病院に初診ののち、T総合病院にてH27.7.1人工関節挿入手術を受け、現在も通院中。

着替えやトイレなどの日常生活動作は行うことができるが、痛みは治まったものの歩きづらさや残っている。

事務職のため職務には支障はないが、外出には杖が必要。

初診から約10年後に手術を受けており、事後重症としてH28.5.13に請求。

<ポイント>

  1. 初診日から1年6か月以上経過してからの人工関節装着で、詳しい経過・診断書をつける。
  2. レントゲンの添付が必要である。

⇒就労や日常生活動作には支障がなく、10年以上前の初診日から書類を作成する必要があるケースでした

うつ病などの精神疾患や、初診が医療機関のカルテ保存期間を過ぎているもの、手術を受けてから請求をする場合など、難しい症例もあります。

全てが請求通りに認定され、給付を受けることができるとは限りません。

今回ご紹介したケースは、障害年金に特化しているプロ(社会保険労務士)に書類作成を依頼し、書類を手直しすることで認定された実例です。

 

7.まとめ

障害厚生年金・障害基礎年金は、障害等級による障害の程度だけではなく、年金の加入要件や初診日・現在の障害の程度を証明する書類をどのように作成するかによっても、支給されるかどうかが変わります。

書類や制度の複雑さだけではなく、どうやって認めさせるかや長い経過を経ている場合にはどこまでさかのぼって請求するかといった見通し(方針)を立てることも必要です。

また、さかのぼることができるのは5年というタイムリミットもありますので、やたらと請求に時間をかけるのも賢明とはいえません。

今後年金を受け取ることができるかどうかは、障害者・障害者家族にとっては死活問題です。

個人での請求も不可能ではありませんが、障害厚生年金・障害基礎年金の請求はできるだけ障害年金の対応に力を入れている社会保険事務所で相談することをおススメします。

障害年金という制度の勉強は個人でもする必要がありますが、申請はプロに任せるのがベターと言えそうです。