全額損金の保険とは、法人向けの保険の事であり、ご自身が経営者であれば「一部」または「全額」を損金として計上する事が出来る保険となります。
しかし、2019年に税制改正が行われたため、全額損金が出来る条件が変わりました。
この記事では、全額損金の保険に関する基礎知識と、全額損金に出来る条件・特徴・メリット・デメリット・注意点の解説から、おすすめ商品も併せて紹介します。
- 損金とは法人税を軽減できる費用のこと
- 全額損金とは保険料全額を損金として計上できる法人保険
- 全額損金の法人保険商品は「掛け捨ての定期保険」タイプ
目次
損金の概要
損金と言われても、ピンと来ないという方もいるかもしれません。
そこで、まずは損金についての概要を解説していきます。
損金とは
簡単に言うと、損金とは「法人税を軽減できる費用」となります。
主に、売上原価や販売管理費など、事業に関する費用の事を指します。
因みに、法人の場合は「損金」となり、個人事業主などの場合は「経費」と名称が変わります。
また、法人税の計算は「所得=益金-損金」となります。
一方、簿記会計上と税法上それぞれ法律の認識は異なります。
簿記会計上:利益=収益-費用
税法上:所得=益金-損金
ご自身の会社で生じた費用を損金算入する事が出来るかどうかで、自社に有利な節税になるかが決まります。
益金とは、法人税法上の収益のこと。商品・製品の販売や役務の提供など、土地・建物などの譲渡による収入、預金や貸付金の利息、投資による収入。
損金のメリット
損金の大きなメリットは、法人税を軽減する事が出来ることとなります。
費用を損金算入する事が出来れば、その分節税になりますが、損金に入れることが出来る費用は様々です。
例えば、交際費・旅費交通費・新聞図書費だけではなく、法人保険の保険料も損金として算入できます。
また、損金に算入する事が出来ない費用もあり、その費用を「損金不算入」と呼びます。
事業利益が多くなりそうな年度などでは、出来るだけ損金額を増やすことも考えないといけないとも言えるでしょう。
損金のデメリット
損金においてのデメリットは、法人としての資産が減ってしまうと言う事になります。
損金処理をすると事で節税効果が見込まれますが、その反面、法人としての資産は減少することになります。
その事から、第三者から見ると企業価値が低下するとも言えます。
そうなると、新規の取引などで不利益が生じたり、銀行からの融資などにも影響が出ないとは言い切れません。
節税ばかりに意識が行ってしまい、損金処理ばかりをしてしまうと、法人としての価値を下げかねないことには注意しておきましょう。
法人保険の損金算入に関するルール
法人運営に関して損金は大きなメリットとなりますが、法人が加入する法人保険も損金算入をする事が出来ます。
しかし、2019年7月に税制改正が行われたため、法人保険の損金算入にはいくつかのルールが出来ました。
法人保険の場合は、保険期間を通しての解約返戻金割合に応じて、損金割合が変わる仕組みとなっています。
そのため、損金として算入できる金額と、資産として計上しなければいけない金額とに分れます。
まず、法人保険の保険料における損金割合を表にしてみましょう。
ピークの返戻率 | 損金算入割合 |
---|---|
50%以下 | 全額損金算入可能 |
50%~70%以下 | 保険料の60%を損金算入可能1名あたりの年間通算保険料30万円以下は全額損金可能 |
70%~85%以下 | 保険料の40%が損金算入可能 |
85%超 |
保険期間によって異なる 1年目~10年目:100%-(ピークの返戻率✕0.9) 11年目以降:100%-(ピークの返戻率✕0.7) |
次に、法人保険における資産計上の割合に関しても解説をしておきます。
以下は、法人保険における資産計上の割合を示した表となります。
出典:第3節 保険料等|国税庁
基本的に法人保険として扱われるのは、長期間の定期保険であり、後述しますが経営者や役員の退職金を用意する目的で活用されます。
税制改正前までは、保険料を全額損金する事が可能だったため、効率的に退職金の準備が出来ると好評でした。
しかし税制改正によって、上記のように損金ルールが変更になっていますので、注意するようにしましょう。
また、税制改正前に加入している法人保険は、この税制の適応を受けません。
保険料を損金に出来る法人保険
法人保険の損金は節税効果が期待できますが、効果が大きいほど解約返戻金が活用しにくいと言う面があります。
全額損金タイプ
全額損金タイプとは、保険料全額を損金として計上できる法人保険です。
会社から保険会社に支払う保険料全額を損金として処理できるため、会社を立ち上げたばかりで資金繰り(資金の調達、運用)が潤沢では無い法人に向いている保険と言えます。
最近では、全額損金タイプの保険はバリエーションが広がり、経営者が幅広い目的に合わせて保険選びができる法人保険が増えました。
1/2損金タイプ
1/2損金タイプは、1/2が損金算入、1/2が資産計上となる法人保険です。
保険会社に支払う保険料の半分を損金に入れることができ、残りの半分は資産として計上します。
1/2損金の保険商品としては次のようなものがあります。
逓増定期保険
逓増定期保険は、保険金額が一定の率で増えていく保険のことです。
保険料を平準化(一定の基準に合わせる)していることで、支払う保険料は大きくなりますが、解約返戻率は高めに設定されています。
保険料が高額になるため、お金の流れが明確で継続的に安定した経営を実現している法人に向いている保険と言えます。
長期平準定期保険
定期保険ですが、保険期間が非常に長い商品のことです。
およそ100歳までの長期契約が多いです。
保険料を平準に長期間積み立て、資産形成を行います。
会社の役員向けの退職金対策として人気があります。
1/3損金タイプ
1/3損金タイプは、1/3損金算入、2/3が資産計上となる法人保険となります。
解約返戻率が非常に高いものの、損金算入が1/3ですので節税効果は薄くなります。
資金繰りが潤沢な法人に向いている保険と言えます。
1/3損金の保険商品には逓増定期保険があり、1/2損金の保険商品と同様の効果が期待できます。
解約返戻率が高いので、役員や従業員のための退職金対策として、長期の積立てを目的とした場合に適した法人保険です。
他にも1/4損金算入の商品もあります。
全額損金の法人保険について
損金算入が出来る法人保険について解説をしましたが、実際にどのようなタイプの保険商品なのかを詳しく解説します。
全額損金の法人保険とはどんなタイプの保険か?
全額損金の法人保険商品は「掛け捨ての定期保険タイプ」となります。
保険期間は一定で、その期間に死亡した場合に死亡保険金が受け取れます。満期保険金はありません。
保険期間には、「年満了」(10年、15年など)と「歳満了」(60歳まで、70歳までなど)があります。
保険金額が保険期間中一定で変わらない定額タイプが一般的ですが、保険料が一定で、契約後一定期間ごとに保険金額が減っていく逓減定期保険や、保険金額が増えていく逓増定期保険もあります。
出典:定期保険|主契約の種類|知っておきたい生命保険の基礎知識|生命保険を知る・学ぶ|公益財団法人 生命保険文化センター
しかし、この特徴が全ての全額損金の保険商品に当てはまるかと言えば、そうではありません。
つまり、各保険会社が工夫を凝らし、定期保険とはいっても多彩な特色を持つ保険商品を開発して、保険選びの幅が広がっています。
主に、次のような全額損金の法人保険商品が登場しています。
- 全額損金算入できるが解約返戻金も高い商品
- 三大疾病(がん・心疾患・脳疾患)になったときにお金が受けとることができる商品
- 資産形成ができる商品
- 介護保険商品
なお、主な法人保険商品の紹介は後述します。
全額損金の法人保険のメリット
全額損金の法人保険のメリットは、保険に加入していたか、加入していないかではっきりと分かります。
事例を挙げて説明します。
- 普通法人(資本金1億円超)
- 利益(年間):1,500万円
- 法人税の税率適用関係:平成30年4月1日以後開始事業年度
保険に加入してしない場合
年数 | 利益 | 法人税(23.2%) | 会社に残るお金 |
---|---|---|---|
1年目(平成30年) | 1,500万円 | 348万円 | 1,152万円 |
2年目(平成31年) | 1,500万円 | 348万円 | 1,152万円 |
3年目(平成32年) | 1,500万円 | 348万円 | 1,152万円 |
会社に残るお金:1,152万円×3=3,456万円
保険に加入していた場合(年払い1,500万円の保険を契約)
年数 | 利益 | 保険料 | 法人税(23.2%) | 会社に残るお金 |
---|---|---|---|---|
1年目(平成30年) | 1,500万円 | 1,500万円 | 0円 | 0円 |
2年目(平成31年) | 1,500万円 | 1,500万円 | 0円 | 0円 |
3年目(平成32年) | 1,500万円 | 1,500万円 | 0円 | 0円 |
会社に残るお金:0円
会社自体に、お金はありませんが、保険を解約する場合に解約返戻金が受け取れます。
受け取った解約返戻金が4,000万円であるならば、保険に加入してしない場合に会社に残ったお金が3,456万円なので、544万円得をしたことになります。(返戻率約116%)
保険に加入することにより、節税もできて解約のタイミングが良ければ解約返戻金で得をすることもできます。
全額損金の法人保険のデメリット
全額損金の法人保険は、決算時に払い込んだ保険料ならば全額損金算入が可能です。
しかし、解約返戻金は全額雑収入として計上されることになり、税務上は益金となります。
つまり、解約返戻金に多額の法人税が掛かると言うことになります。
多額の法人税を抑える方法には、解約返戻金のピークに合せて、退職金の払い出しや会社の設備投資を行うと良いでしょう。
全額損金の法人保険に関する注意点
全額損金が出来る法人保険に関して、いくつか注意しなければいけない事があります。
ここからは、全額損金の法人保険に関する注意点を解説します。
資産計上できない
全額損金に算入した法人保険の保険料は資産計上できなくなります。
そのため、保険会社から受け取った保険金・解約返戻金は、その金額から資産計上分を差し引くことで、雑収入(益金)となり課税対象となります。
解約返戻金が期待できない
損金算入額が多い法人保険は、それだけ節税効果に優れている一方で、解約返戻金が活用し難い点もあります。
まず、解約返戻金の返戻率が低くて、貯蓄を目的とした加入には向いていないことがあげられます。
支払った保険料より受け取るお金の方が高ければ、加入契約者がそれだけ利益を得たことになります。
支払った保険料総額を100%とするならばこの割合を少しでも超えれば、加入契約者が得をしたと言えます。
例えば、支払った保険料総額を100万円とすると、受け取るお金が140万円であるなら40万円得をしたことになります。
この得をした金額が多ければ多いほど、返戻率が高いと呼ばれます。
一方、支払った保険料総額が100万円であっても、実際に受け取るお金が100万円を下回ることがあります。
解約返戻金:保険契約が解約、あるいは告知義務違反などにより解除された場合、保険契約者に払い戻す金額。生命保険会社によっては、解約払戻金などともいいます。
返戻率:支払った保険料総額と解約返戻金として受け取るお金の割合のこと
支払った保険料より受け取るお金が少なければ“元本割れを起こした”ことになります。
損金算入額が多い法人保険は、解約返戻金を受け取る際に元本割れを起こしやすいと言われています。
また、返戻率のピーク時には、それなりに高い解約返戻金が期待できるものの、返戻率がピークになるまで長期間かかってしまうこともあります。
少なくとも契約後すぐに解約する場合には、どんな保険も返戻率は低くなっています。
また、保険期間中に、何かしらの原因で保険を解約する場合には、支払った保険料はほとんど戻ってこない状況になることがあります。
全額損金が出来る保険の活用法
全額損金が出来る法人保険は、どのように活用をすれば良いのか気になる方も多いでしょう。
全額損金が出来る保険の主な活用方法は、以下のようになります。
- 経営者及び役員の退職金の準備
- 従業員への福利厚生
全額損金が出来る法人保険は、経営者及び役員の退職金の準備として活用されるケースが多いです。
解約返戻金のピークを退職時期に合わせて、保険期間の設定を行う事で、損金処理をして法人税の軽減を図りながら退職金を準備してく事になります。
また、従業員を被保険者とした死亡保険や医療保険に加入することで、従業員への福利厚生としても活用することが出来ると言えるでしょう。
わかりやすく言うと、社会保険の上乗せとして活用するというケースになります。
全額損金が出来る法人保険では、先ほど解説しましたように、資産計上などの税務面での注意点がありますが、上手く活用することで節税や福利厚生にも役立つと言えるでしょう。
ネオファースト生命「ネオdeきぎょう」
出典:ネオファースト生命
新しく販売されたネオファースト生命の「ネオdeきぎょう」は、どんな保険内容となっているのでしょうか?
こちらでは、ネオファースト生命について、そしてこの保険会社が扱う保険商品「ネオdeきぎょう」の特徴を説明します。
ネオファースト生命とは
ネオファースト生命保険株式会社は、1999年4月23日に設立された比較的若い会社です。
第一生命ホールディングス株式会社が主要株主です。
ネオファースト生命が扱う保険は、医療保険が主力商品と言えますが、2018年3月12日に販売された法人向け保険「ネオdeきぎょう」は、今後有力な保険商品になることが予想されます。
社名 | ネオファースト生命保険株式会社 |
---|---|
設立 | 1999年4月23日 |
資本金 | 251億円 |
保険料等収入 | 38億円(2016年3月時点) |
保有契約高 | 5,950億円(2016年3月時点) |
主要株主 | 第一生命ホールディングス株式会社(100%) |
ネオdeきぎょうの保険内容
ネオdeきぎょうの保険プランは、2種類あります。
経営者の目的に合わせて選択することができます。
保険期間は10年以上となります。
基本タイプ
基本タイプは、保険期間を通じて一定の金額を準備できるタイプです。
前期期間(5 年~ 30 年まで選択可能)の災害死亡保険金額を「基本保険金額」とし、後期期間の死亡保険金額は基本保険金額と同額です。
なお、全額損金の計上は80歳の方まで取扱うことが可能です。(前期期間5年)
逓増タイプ
逓増タイプは、後期期間の保障が逓増するタイプです。
前期期間の災害死亡保険金額を基本保険金額とし、前期期間終了後、基本保険金額の 5 倍を上限として毎年 50%ずつ保障が逓増します。
なお、全額損金の計上は35歳の方まで取扱うことが可能です。
給付内容
基本タイプも逓増タイプも次のような給付を受けることができます。
前期期間 | 後期期間 |
---|---|
[災害死亡保険金] 支払事由:不慮の事故による傷害を直接の原因として 死亡したとき。 支払額:基本保険金額 [死亡保険金] 支払事由:死亡したとき。ただし、災害死亡保険金が支払われる場合を除く。 支払額:支払事由発生日における責任準備金額 |
[死亡保険金] 支払事由:死亡したとき。 支払額:基本保険金額 ただし、後期保障逓増特則を適用した場合は、 支払事由発生日における保険金額 |
タイプ別の保険内容
基本タイプ、逓増タイプによって契約年齢・満期・加入限度額が異なります。下表を参考にしてください。
タイプ別 | 契約年齢 | 満期 | 最低基本保険金額 | 加入限度 |
---|---|---|---|---|
基本タイプ | 20歳~80歳 | 70歳~99歳満期(契約年齢により異なります) | 500万円(10万円単位) | 基本保険金額5億円 |
逓増タイプ | 20歳~75歳 | 45歳~85歳満期(契約年齢により異なります) | 500万円(10万円単位) | 基本保険金額1億4千万円 |
ネオdeきぎょうの注目点
ネオdeきぎょうの注目点は、非常に簡易な告知で加入が可能という点です。
- 現在入院していますか。あるいは医師により今後3か月以内に入院するようにすすめられていますか。
- 過去5年以内に、がん(上皮内新生物を除く)で入院または手術を受けたことがありますか。
- 過去2年以内に表1の病気で、医師による診察・治療・投薬・検査を受けたことがありますか。または経過観察中ですか。
- 過去2年以内に、病気で2週間以上続けて入院したことがありますか。(ケガ・腰痛・分娩による入院は除く)
保険金額に関わらず、医師などによる診査もありません。
また、全額損金の法人保険のため、節税に特化した保険と言えますが返戻率は下表のとおりです。
基本タイプ(前期期間5年)の場合
死亡保険金額:1億円
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
40歳 | 86.6% | 86.6% |
50歳 | 84.8% | 84.8% |
60歳 | 85.0% | 85.0% |
70歳 | 84.7% | 84.7% |
80歳 | 82.4% | 82.4% |
逓増タイプ(前期期間5年)の場合
死亡保険金額:1億円
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳 | 95.5% | 95.6% |
25歳 | 95.4% | 95.5% |
30歳 | 95.2% | 95.2% |
35歳 | 94.1% | 94.2% |
なお、この保険は期間が定められ確実に解約するべき商品ですので、解約返戻金のピークに合わせ、役員の退職金にうまく利用していきましょう。
FWD生命「生活障がい定期保険」
ネオファースト生命の保険商品「ネオdeきぎょう」は節税に特化した保険でしたね。
次は、死亡保障や高度障害状態、日本人の死因の上位に位置する病気に備えられる保険を紹介します。
こちらでは、FWD生命の保険商品「生活障がい定期保険」の特徴を説明します。
FWD生命とは
FWD生命保険株式会社は、1996年8月8日に設立された会社です。
香港・FWDグループの完全子会社です。
FWD生命の法人向け保険商品は「生活障がい定期保険」が販売されています。
社名 | FWD生命保険株式会社 |
---|---|
設立 | 1996年8月8日 |
資本金 | 262億5,000万円(2017年8月31日時点) |
保険料等収入 | 1,942億円(2016年時点) |
保有契約高 | 4兆4,829億円(2016年時点) |
主要株主 | FWDグループ(100%) |
生活障がい定期保険の保険内容
生活障がい定期保険は、経営者・役員の死亡、所定の高度障害状態・要介護状態、5つの疾病による重篤な状態を保障する法人向けの保険です。
支払われる保険金は、死亡退職金・弔慰金等として活用が可能です。
なお、生活障がい定期保険は個人契約も可能です。
法人契約の場合は、一定の要件の下で保険料を全額損金扱いにできます。
契約例を挙げておきますので、参考にしてください。
- 契約者:法人
- 被保険者:経営者
- 保険金受取人:法人
- 契約年齢:45歳
- 性別:男性
- 保険期間:75歳
- 保険料払込期間:75歳
- 年払保険料:3,012,922円
- 保険金額:1億円
経過年数 | 年齢 | 払込保険料累計 | 解約返戻金額 | 返戻率 |
---|---|---|---|---|
1年 | 46歳 | 3,012,922円 | 1,974,100円 | 65.5% |
5年 | 50歳 | 15,064,610円 | 12,664,700円 | 84.0% |
10年 | 55歳 | 30,129,220円 | 25,135,400円 | 83.4% |
15年 | 60歳 | 45,193,830円 | 34,153,000円 | 75.5% |
20年 | 65歳 | 60,258,440円 | 40,097,100円 | 66.5% |
25年 | 70歳 | 75,323,050円 | 36,764,000円 | 48.8% |
30年 | 75歳 | 90,387,660円 | 0円 | 0.0% |
生活障がい定期保険の注目点
生活障がい定期保険の注目点は、保険料を全額損金扱いに出来るだけではありません。
生活障がい定期保険では、生活障害状態(5つの疾病により重篤な状態等)になった場合にも死亡時と同じ保障が受けられます。
状態 | 支払事由 |
---|---|
死亡保険金 | 死亡した時 |
生活障害保険金 | ・所定の高度障害状態になったとき・所定の要介護状態になり、その状態が180日間継続し、終身回復する見込みがないことを医師から診断確定されたとき
・5つの疾病により所定の重篤な状態になったとき |
高度障害状態とは、日常生活を送るのにかなりの支障が出てしまう障害を指します。
主に以下のような状態が挙げられます。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
出典:高度障害保険金を受け取れるのは、どんなときなの?|生命保険に関するQ&A|生命保険Q&A|生命保険を知る・学ぶ|公益財団法人 生命保険文化センター
また、要介護状態とは、介護保険制度において、身体上または精神上の障害により、入浴や排せつ、食事などの日常生活に支障があると見込まれる状態のことです。
所定の条件では、要介護度がかなり進んだ状態が保険金の対象となります。
5つの疾病は次の通りです。
悪性のがん
疾病 | 悪性のがん |
---|---|
内容 | がんとは、人体を構成する細胞が何らか原因により変異して増殖し、その異常な細胞が正常な細胞を破壊していく病気です。 |
支払事由 | 今までに悪性のがん(悪性新生物)と診断確定されたことがなく、初めて転移性の悪性新生物に罹患した、と医師により診断確定された時が支払対象になります。 |
急性心筋梗塞
疾病 | 急性心筋梗塞 |
---|---|
内容 | 急性心筋梗塞は、脈の乱れを起こす不整脈や、先天性の心臓病、心筋・心膜の病気等、様々な疾病を伴う心疾患の一つです。心筋梗塞になると、完全に血管が詰まったことが原因で、胸部に強烈な痛みが生じ、最悪の場合は死にいたります。 |
支払事由 | 急性心筋梗塞を発病したと医師によって診断され、その治療を目的として医師の判断により、7日以上継続して人工心肺を使用した時、または心臓弁を人工弁に置換したときが、支払対象になります。 |
脳卒中
疾病 | 脳卒中 |
---|---|
内容 | 脳卒中は、脳の血管が狭窄または閉塞し、血液が脳へ流れなくなり、脳が壊死または壊死に近い状態になる病気です。症状も深刻で、片麻痺、意識障害、最悪には死に至ることになります。 |
支払事由 | 脳卒中を発病し、それを原因として所定の要介護状態になり、その状態が90日間継続し、終身回復する見込みがない、と医師により診断確定された時が支払対象になります。 |
慢性腎不全
疾病 | 慢性腎不全 |
---|---|
内容 | 慢性腎不全とは3ヶ月以上にわたり蛋白尿・血尿などの尿異常、腎形態異常、腎機能が約60%未満にまで低下した状態のことをいいます。 |
支払事由 | 慢性腎不全になったと医師によって診断され、その治療を目的として医師の判断により永続的に行う人工透析を開始した時に、支払対象になります。 |
肝性脳症を伴う肝硬変
疾病 | 肝性脳症を伴う肝硬変 |
---|---|
内容 | 慢性の肝障害の進行によって、肝細胞が死滅・減少し、肝臓が硬く変化し、肝機能が著しく減衰した状態を指します。肝性脳症にまでなれば意識障害を引き起こします。 |
支払事由 | 肝性脳症を伴う肝硬変になったと医師によって診断され、その治療を目的として肝移植を行った時に、支払対象になります。 |
生活障がい定期保険は、保険料を全額損金扱いにできる節税を目的とした部分と、まさかの事態になった場合に手厚い保障を受けられる部分が評価できます。
東京海上日動あんしん生命 「災害保障期間付定期保険」
出典:生命保険・保険 | 東京海上日動あんしん生命保険会社【公式】
FWD富士生命「生活障がい定期保険」は、保険料を全額損金扱いに出来る節税を目的とした部分と、まさかの事態になった場合の保障にも気を使った保険だった。
次は、全額損金タイプに限られない損金処理が出来る法人保険を紹介します。
こちらでは、東京海上日動あんしん生命が扱う保険商品「災害保障期間付定期保険」の特徴を説明します。
東京海上日動あんしん生命とは
東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、1996年に東京海上の100%子会社となった生命保険会社の大手企業です。
東京海上日動あんしん生命のデータは以下の表の通りです。
会社名 | 東京海上日動あんしん生命保険株式会社 |
---|---|
設立 | 1996年8月6日 |
資本金 | 550億円 |
保険料等収入 | 7,791億円(2015年時点) |
保有契約高 | 26兆8,286億円(2015年時点) |
主要株主 | 東京海上ホールディングス株式会社(100%) |
災害保障期間付定期保険の保険内容
災害保障期間付定期保険には、2種類の損金処理のタイプがあります。
内容は次の通りです。
I型(全額損金タイプ)
II型に該当しない場合に、保険料は全額損金となります。
定期保険料は全額損金に算入します。
II型(1/2損金タイプ)
こちらのタイプは次の条件に該当する場合に、保険料の1/2が損金となります。
- 契約年齢+保険期間>70
- 契約年齢+保険期間×2>105
2つの条件を共に満たす場合
保険期間開始から60%に相当する期間(前払期間)については、年間支払保険料の1/2を損金に算入し、残りは前払保険料として資産に計上します。
残りの40%に相当する期間は、前払保険料累計額(保険期間開始から60%に相当する期間で資産計上した部分)を、残期間で均等に取り崩し、1年分保険料相当額と合わせて損金に算入します。
I型・II型の契約年齢と保険期間
I型 | 第1保険期間 | 保険期間 |
---|---|---|
20歳~65歳 | 10年 |
20年以上かつ満了時年齢85歳以下 (契約年齢により、保険期間は自動的に設定) |
20歳~55歳 | 15年 |
20年以上かつ満了時年齢85歳以下 (契約年齢により、保険期間は自動的に設) |
II型 | 第1保険期間 | 保険期間 |
---|---|---|
20歳~79歳 | 10年 | 99歳満了 |
20歳~55歳 | 65歳満了 | 99歳満了 |
20歳~60歳 | 70歳満了 | 99歳満了 |
災害保障期間付定期保険の注目点
災害保障期間付定期保険は、第1保険期間で災害死亡・災害高度障害のみ保障します。
死亡保障の範囲を限定する分、解約返戻金を高く設定していることが注目すべき点と言えます。
- I型(全額損金タイプ)
- 契約者:法人
- 被保険者:経営者
- 保険金受取人:法人
- 契約年齢:55歳
- 性別:男性
- 保険期間:80歳
- 保険料払込期間:80歳
- 年払保険料:6,030,600円
- 保険金額:3億円
経過年数 | 年齢 | 払込保険料累計 | 解約返戻金額 | 返戻率 |
---|---|---|---|---|
1年 | 56歳 | 6,030,600円 | 3,210,000円 | 53.2% |
5年 | 60歳 | 30,153,000円 | 24,450,000円 | 81.0% |
10年 | 65歳 | 60,306,000円 | 51,480,000円 | 85.3% |
15年 | 70歳 | 90,459,000円 | 55,530,000円 | 61.3% |
20年 | 75歳 | 120,612,000円 | 44,160,000円 | 36.6% |
25年 | 80歳 | 150,765,000円 | 0円 | 0.0% |
面倒でも可能な限り複数の無料相談所を利用するべき!
法人保険で悩んだ場合には、保険の専門家に相談するのも手段の一つと言えます。
ここからは、無料の保険相談所を利用するメリットについて解説をします。
また、法人保険に強い保険代理店さんや税理士さんとお付き合いのある方は、そちらに相談するのも良いと言えます。
無料相談所は、あくまでも意見を聞くだけでも良いかもしれません。
そして、可能ならば1つの代理店ではなく複数の代理店で相談をしてみましょう。
複数人に担当してもらうメリット
保険に限らず、どの業界でも同じことが言えますが、担当してもらう人の質はやはり運という部分も無きにしもあらずです。
保険に限って言えば、保険の相談を何年もしてきている人もいれば、経験の浅い新人に担当される場合もあるでしょう。
こればかりは仕方がないことでもありますので、時間が許す限り、様々な代理店で相談をしてみることに損はありません。
面倒に思われるかもしれませんが、何十年と払うこともある生命保険です。
この時ばかりは時間を作ってみても良いかもしれませんね。
複数の商品を知れるメリット
さらに、担当して下さる方によっては、あなたに勧めてくる保険の商品も異なってくる可能性も十分にあります。
しかし、保険会社や保険商品は今や五万とある時代。
同じ商品を勧めて来られるほうが稀かもしれません。
ここでは、色んな商品を知ることができるキッカケでもありチャンスでもあると考えてみるのも良いと思います。
あなたにとってのベストな選択肢が増えることはメリットでしかないでしょう。
長い付き合いになる保険会社と商品とのお付き合い。
損をしないためには、少なくとも2つから3つの代理店に相談をして比較することが出来ると良いでしょう。
全額損金についてよくある質問
全額損金の法人保険についてよくある質問について解説をしていきます。
売上原価・営業費・支払利息・雑損失などが、主な損金となります。
上記以外には、一定額を超えない減価償却費・交際費・寄付金なども損金となります。
資産の評価損や法人税などは基本的に全額損金不算入となります。
そのまま継続する・解約する・払済保険にする・減額するの4つの対策方法があります。
解約返戻金はピークを過ぎると、徐々に減少していきますので、減少する金額を確認しながら継続するようにしましょう。
また、解約をする場合や払済・減額などの場合は、雑所得などの税務面に注意するようにしましょう。
損金算入がされなければ、節税が出来なくなります。
また、損金算入が出来ると思っていた費用が損金不算入だったというケースも多いので、損金算入が出来る費用かどうかを、しっかりと確認しましょう。
全額損金の法人保険を上手く活用してみよう!
全額損金の法人保険は、非常に魅力的な保険商品ではありますが、解約返戻金の使途をしっかりと定め、法人税対策を抜かりなく行いましょう。
また、全額損金ばかりではない保障内容も十分検討した上で保険選びをしましょう。