純資産価額方式とはいったいどんな方法なの?詳細に解説します!

ご自分が経営している会社の株式、または役員となっている会社の株式について、相続対策をお考えになっている方々もいると思います。

会社を後継者に譲るにしても、どのくらいの税金がかかるのかを知るために株式の財産価値を評価する必要があります。

この株式の財産価値の評価方法の一つとして、「純資産価額方式」という方法があります。

ただし、株主や会社の規模等によっては評価方法がいろいろと変わってしまいます。いろいろな株式の評価方法の中でも、特に純資産価額方式は、会社の正味の資産価値に着目した評価方法といえます。

そして、株主が会社の財産価値を強く支配していれば、純資産価額方式が適していることになります。

そのため、株主と会社との結びつきが強い中小企業では、純資産価額方式が最も多くのケースで用いられる評価方法です。

今回は、純資産価額方式の特徴について、この方式の対象となる株式、その計算方法等について、わかりやすく解説します。

目次

1.法人の相続対策
1-1.事業承継とは
1-2.株式を譲る以上税金がかかる
1-3.事業承継の前に株式の財産価値の評価が必要

2.純資産価額方式について
2-1.原則的評価方式とは
2-2.純資産価額方式とは
2-3.純資産価額方式は単に小さい会社がとる評価法ではない

3.純資産価額方式の対象の株主・株式について
3-1.会社への影響力が大きい株主と純資産価額方式
3-2.会社の規模と純資産価額方式
3-3.特殊な会社の株式と純資産価額方式

4.純資産価額方式の計算方法その1
4-1.相続開始時、評価会社が解散したらを考える
4-2.相続開始時に評価会社を売却した場合の利益金額
4-3.資産・負債の取扱いについて

5.純資産価額方式の計算方法その2
5-1.事例をあげて計算してみる!
5-2.1株はどのくらいになる?
5-3.純資産価額方式の注意点

6.自社株の引き下げ方について
6-1.土地を購入してみる!
6-2.株式を増やしてみる!
6-3.合併や事業分離も良い対策

7.まとめ

1.法人の相続対策

自分の会社も起業したころよりは大きくなったが、まだまだ中小企業。でも、自分もそれなりの年齢になったし、そろそろ後継者を考えるべきだろう。

まずは事業承継や、株式を譲る際の税金等についておさらいしたい。

こちらでは、事業承継とは?株式を譲る際の税金や、株式の財産価値を評価する必要性について解説します。

1-1.事業承継とは

事業承継とは、ご自分の会社の「事業」を後継者に引き継がせることを言います。いわゆる現金・預貯金、不動産等の個別の資産ではなく、会社の事業そのものを引き継がせることが最大の目的です。

この事業には、ご自分の会社が所有している個別資産のみならず、ご自分の会社の経営権やそのブランド、これまで培ってきた信用や開拓してきた取引先、また会社の負債等の一切が該当します。

そのため、単純な個人の被相続人から相続人へ、という遺産分割を行う相続と同じように手続きがすすめられるわけではありません。

1-2.株式を譲る以上税金がかかる

現在の経営者であるご自分から後継者へ事業を承継するということは、前述したご自分の経営する会社の所有権を後継者に譲ることを意味します。

多くのケースでは、非上場会社の株式を譲ることになるのですが、この株式にも金融資産や不動産資産と同様に、財産的な価値があります。

そのため、株式を譲る場合でも相続税が課税されることになります。この非上場株式というのは、原則として現金化ができません。

自社の株式の相続税評価が高くなってしまうと、税務署に納税するための資金が不足してしまうということが問題になるケースもあります。

1-3.事業承継の前に株式の財産価値の評価が必要

この事業承継の前に、いったい自社の株式がどの位の価値があるのか評価することは大切です。

もしも自社の株式の財産価値を評価して高いと判断したなら、節税対策をおこなって自社株の引き下げることが必要になるでしょう。

しかし、この評価の方法は、ご自分の会社の規模・株主の会社への影響力でも、その評価方式が異なります。

まずは、株主とご自分の会社の結びつきの強さ、ご自分の会社が大会社なのか、中会社なのか、それとも小会社なのかをしっかりと判断する必要があります。

次章では、会社の規模によって異なる株式の財産価値の評価方式を解説します。

2.純資産価額方式について

法人の相続対策では、株式の財産価値を評価して節税対策を行う必要があることはわかった。

では、自社の評価方式になると考えられる純資産価額方式について知りたい・・・。

こちらでは、純資産価額方式を含めた取引相場のない株式の評価方法を解説します。

2-1.原則的評価方式とは

取引相場のない株式とは、上場株式・気配相場等のある株式以外の株式を指します。

相続や贈与等で株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を有している同族株主等か、それ以外の株主かによって評価方式が異なります。

  • 大会社:原則として、「類似業種比準方式」をとります。この方式は、類似業種の株価を基に、評価会社の1株当たり「配当金額」・「利益金額」・「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価します。
  • 小会社:原則として、「純資産価額方式」をとります。この方式は、原則、会社の総資産や負債を「相続税」の評価とし、その評価した総資産の価額より負債・評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いて算出した残額から評価します。
  • 中会社:大会社・小会社の評価方法を併用することで評価します。

その他、同族株主等以外の株主が取得した株式については、発行会社の規模と関係なく「配当還元方式」という特例的な評価方式を用います。

配当還元方式とは、株式を所有することで受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元し、元本である株式の価額を評価する方法のことを言います。

2-2.純資産価額方式とは

純資産価額方式は、前述したように相続税法上、非上場株式の評価方法の一つです。

課税時期に会社を清算したら1株当たりの純資産価額がどのくらいの評価になるかを、相続税評価額で算定する方法を言います。

純資産価額方式は、会社のいわば「正味」の資産価値に着目した評価方法です。

株主が会社の財産価値を強く支配していれば、この価額方式が適しているといえます。

つまり、純資産価額方式は株主と会社との結びつきが強い中小企業において、最も多く用いられる評価方法とされています。

2-3.純資産価額方式は単に小さい会社がとる評価法ではない

純資産価額方式は、中小企業であれば必ず用いることができる評価方法というわけではありません。

次のような場合が純資産価額方式の対象となります。

  • 株主の会社の意思決定への影響力が強い場合
  • 会社の規模が小さい(ただし、小売業・サービス業、卸売業、その他で会社の規模の条件がそれぞれ異なります。)
  • 特殊な会社の株式(こちらには株式保有特定会社、土地保有特定会社、開業前・休業中・清算中の会社等が該当します。)

つまり、単に会社の規模が小さいだけで、即、純資産価額方式をとるわけではないということです。

次章では純資産価額方式の対象となる株主・株式を解説します。

3.純資産価額方式の対象の株主・株式について

単に会社の規模が小さいだけで、純資産価額方式をとるというわけではないことはわかった。

では、純資産価額方式が適用されるケースと、この価額方式が用いられない場合の評価方法を知りたい・・・。

こちらでは、純資産価額方式またはその他の価額方式がとられるケースについて解説します。

3-1.会社への影響力が大きい株主と純資産価額方式

非上場で取引もされていない株式は、ご自分が経営者または役員を務め会社の株式の多数を有しているケースが該当します。

このケースでは、売り買いされることは全くないとはいえませんが、非常にまれに売り買いされる程度なので、客観的な価格で評価することが難しいことになります。

株式とは、会社の財産価値を細かく均等に分けたものといえます。また、会社の意思決定は、概ね株主総会や取締役会で行われていくことになります。

株主総会の場合は、1株につき1票(1議決権)であることが原則となります。そのため、株式を数多く保有している株主は、その分、会社の意思決定に大きな影響力を持っていると言えます。

その株主がその会社の経営者・役員であるなら、より経営への影響力が強いものとなります。

例えば、500株を発行している株式会社がある場合、ご自分が450株を保有し株式の9割を占めている上に、その会社の社長であるならば、会社の意思決定への影響力は絶大といえます。

このような場合には、原則的評価方式(純資産価額方式または類似業種比準方式)を用いて会社の株式の評価を行うことになります。

一方、500株の内1株しか有しておらず、会社の役員等でもない場合は、会社の意思決定への影響力が非常に弱い株主といえます。こちらの場合には、前述した配当還元方式を用います。

3-2.会社の規模と純資産価額方式

前述したように株主が会社の意思決定へ影響力の大きなケースでは、原則的評価方式がとられます。

この方式は、純資産価額方式と類似業種比準方式を組み合わせ、その評価を試みることになります。

〇会社規模と評価方法

こちらでは、大会社・中会社・小会社の評価方式を説明します(平成29年度改正分)。

[1]大会社

株式の評価方法
純資産価額←(どちらか低い額を選択)→類似業種比準価額(※)

(※)類似業種比準方式の計算方法は次の通りです。

A×{(b/B+c/C+d/D)/3}×0.7(ただし、中会社:0.6、小会社:0.5)

  • A:類似業種の株価
  • b:評価会社の1株当たりの「配当金額」
  • c:評価会社の1株当たりの「利益金額」
  • d:評価会社の1株当たりの「純資産価額」(帳簿価額により計算した金額)
  • B:課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの「配当金額」
  • C:課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの「年利益金額」
  • D:課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの「純資産価額」(帳簿価額により計算した金額)
[2]中会社

規模 株式の評価方法
中の大 純資産価額←(どちらか低い額を選択)→類似業種比準価額×0.9+純資産価額×0.1
中の中 純資産価額←(どちらか低い額を選択)→類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25
中の小 純資産価額←(どちらか低い額を選択)→類似業種比準価額×0.6+純資産価額×0.4
[3]小会社

株式の評価方法
純資産価額←(どちらか低い額を選択)→類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5

〇業種別の会社規模

こちらでは、業種別の大会社・中会社・小会社の規模を説明します(平成29年度改正分)。

[1]大会社

平成29年度税制改正から、従業員数が70人以上の会社は全て「大会社」となります。

業種別 内容
小売業・サービス業 総資産価額・従業員数が15億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が20億円以上
卸売業 総資産価額・従業員数が20億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が30億円以上
その他 総資産価額・従業員数が15億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が15億円以上
[2]中会社

小売業・サービス業 内容
中の大 総資産価額・従業員数が15億円未満5億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が20億円未満5億円以上
中の中 総資産価額・従業員数が5億円未満2.5億円以上でかつ35人以下20人超または取引金額が5億円未満2.5億円以上
中の小 総資産価額・従業員数が2.5億円未満4,000万円以上でかつ20人以下5人超または取引金額が2.5億円未満6,000万円以上
卸売業 内容
中の大 総資産価額・従業員数が20億円未満4億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が30億円未満7億円以上
中の中 総資産価額・従業員数が4億円未満2億円以上でかつ35人以下20人超または取引金額が7億円未3.5億円以上
中の小 総資産価額・従業員数が2億円未満7,000万円以上でかつ20人以下5人超または取引金額が3.5億円未満2億円以上
その他 内容
中の大 総資産価額・従業員数が15億円未満5億円以上でかつ69人以下35人超または取引金額が15億円未満4億円以上
中の中 総資産価額・従業員数が5億円未満2.5億円以上でかつ35人以下20人超または取引金額が4億円未満2億円以上
中の小 総資産価額・従業員数が2.5億円未満5,000万円以上でかつ20人以下5人超または取引金額が2億円未満8,000万円以上
[3]小会社

業種別 内容
小売業・サービス業 総資産価額・従業員数が4,000万円未満でかつ5人以下または取引金額が6,000万円未満
卸売業 総資産価額・従業員数が7,000万円未満でかつ5人以下または取引金額が2億円未満
その他 総資産価額・従業員数が5,000万円未満でかつ5人以下または取引金額が8,000万円未満

3-3.特殊な会社の株式と純資産価額方式

これまで会社の規模において、純資産価額方式になるかどうかを述べてきましたが、特殊な会社の株式の場合は大会社・中会社・小会社のいずれの規模を問わず、純資産価額方式で評価します。

特殊な会社は次の通りです。

  • 株式保有特定会社:会社の株式が総資産額の50%以上を占めている場合が該当します。
  • 土地保有特定会社:総資産額の中で小会社・中会社は原則90%以上、大会社であれば70%以上を土地が占めている会社の株式が該当します。
  • 開業3年未満の会社:財産を持っている富裕者が、単なる節税目的で会社を設立、評価額が低めに出てしまう類似業種比準方式の適用を受けることを防止する目的があります。
  • 過去2期分の利益・配当がなくて直前期の純資産が0の会社:このような会社の株式は、類似業種比準方式で評価すると評価額がかなりに低く出てしまうからです。
  • 開業前や休業中、清算中の会社:類似業種比準方式は、業種毎の収益率等から評価額を算定しますので、事業活動を行っていない会社の株式は純資産価額方式で評価します。

4.純資産価額方式の計算方法その1

前章の説明で、私の会社がどのくらいの規模の会社であるかよくわかった。

それでは、純資産価額方式の計算方法について知りたい・・・・。

こちらでは、純資産価額方式の計算式と、評価の基準となる時期について解説します。

4-1.相続開始時、評価会社が解散したらを考える

純資産価額方式は会社のどんな時期の資産を基準として評価するのでしょうか?

この価額方式では、評価会社が相続開始時、仮に解散したならば1株当たりの評価額はいくらになるのかを基に計算を行うことになります。

会社が解散した場合、解散後から通常の事業は停止されることになります。事業を停止したならば清算業務に入ります。

この清算業務を行うならば、解散する会社が有している全資産・負債の時価評価をして売却等により現金化処理をします。現金化処理として売却により得た利益には当然法人税等が課されます。

そして、資産の現金化を行って最終的な財産を確定したら、その財産を株主に分配することで会社は解散します。

つまり、評価会社が解散した場合の株価の総額は、時価で売却して得た利益(税引後)の金額となります。

4-2.相続開始時に評価会社を売却した場合の利益金額

評価会社が相続開始時、仮に解散したならば1株当たりの評価額はいくらになるのかを計算する場合、次のような計算式となります。

1株当たり純資産価額={相続評価額による総資産価額-相続評価額による負債価額-評価差額の法人税等相当額(※)}÷課税時期における発行済株式数

(※)評価差額の法人税等相当額については次のような計算式となります。

(相続評価額による総資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%

第5章では具体的な例をあげて、純資産価額方式の計算を行います。

4-3.資産・負債の取扱いについて

こちらでは純資産価額方式を計算する際の、評価会社の保有する資産・負債の取り扱いを説明します。

〇資産の取り扱い

計算上は資産の時価と帳簿価額の両方を用いることになります。帳簿価額には、毎期に会社が決算を組み計算をする会計上の帳簿価額ではなく、法人税法上の税務調整後の帳簿価額が該当します。

そして、資産の時価の場合、時価とは評価会社の保有する資産について、財産評価基本通達の定めるところにより評価した価額の合計を意味します。

しかし、一定の条件で保有する不動産および非上場株式の評価については、次のように評価することが認められています。

評価会社の資産 評価
土地・家屋等の価額(相続開始日前3年以内に取得または新築) 相続開始日の通常の取引価額に相当する額(ただし、帳簿価額が課税時期における通常の取引価額に相当すると認められならば、当該帳簿価額に相当する額)
非上場株式 法人税額等相当額は控除せず、1株あたりの純資産価額を計算する→A/発行済株式数

〇負債の取り扱い

負債については、法人税法上の帳簿価額を使用します。

負債
該当 貸倒引当金 一定のものを除いた退職給与引当金 納税引当金 その他の準備金 その他の引当金
非該当 事業年度開始の日~相続開始日までに対応する法人税等の内、未払いのもの 相続開始日以前、不可期日のある未払いの固定資産税額 死亡退職手当金等の額

5.純資産価額方式の計算方法その2

なかなか純資産価額方式の計算は難しそうだ。しかし、計算をしないことには自社の株式の評価は出せない。

是非、事例をあげて計算方法を解説してもらいたい・・・・。

こちらでは、具体例をあげ純資産価額方式で計算してみます。

5-1.事例をあげて計算してみる!

事例をあげて計算する会社のデータは次の通りです。

〇会社の貸借対照表(BS)

[1]資産

  • 預金4,000万円
  • 土地5,000万円(ただし40年前に購入)

資産合計:9,000万円

[2]借入金:5,000万円

[3]純資産:4,000万円

[4]発行済み株式:50株

〇まずは借入金の返済から

この場合、最初に行うのはいきなり解散ではなく、借入金5,000万円を返済することです。

借入金5,000万円が会社の預金4,000万円を上回っているため、この状態では5,000万円を返済することはできません。

この場合には、土地を売り払いお金にかえる必要があります。その際に不動産会社へ相談すると、非常に高値がつくことがあります。

仮に8,000万円で売れると指摘を受けた場合、現金化すれば3,000万円分増加したことになります。

  • 土地5,000万円+3,000万円=8,000万円

貸借対照表の土地は5,000万円と言っても40年前に購入した金額です。つまり、現在の時価で換算すれば大きく金額が異なることもあるのです。

土地を売却した代金で現金はいっきに次のように増加します。

  • 預金4,000万円+8,000万円=1億2,000万円

現金化したその金で借入金5,000万円を返済しましょう。

1億2,000万円-5,000万円=7,000万円

貸借対照表では単純に借入金を返済すれば次のようになります。

現金 7,000万円 純資産 7,000万円

更に次項に続きます。

5-2.1株はどのくらいになる?

前述した借入金5,000万円を返済したのち、貸借対照表に残った

現金 7,000万円 純資産 7,000万円

から、株主へ分配するわけではありません。

5,000万円で購入した土地が8,000万円で売却できたので、差額の3,000万円の固定資産売却益が出ています。

会社に利益が出ている場合は法人税・事業税を支払う必要があるので、こちらも計算に加える必要があります。

なお、税率は最高37%となります。

固定資産売却益3,000万円を計算すると、

3,000万円×税率37%=1,110万円

1,110万円を納税します。

そのため、純資産から法人税・事業税としてかかる1,110万円を差し引きます。

純資産7,000万円-1,110万円=5,890万円

貸借対照表では

現金 5,890万円 純資産 5,890万円

発行済み株式は50株なので、

5,890万円÷50株=117万8,000円

1株117万8,000円となります。

5-3.純資産価額方式の注意点

純資産価額方式は他に次のような注意点があります。

  • 繰延資産は財産性があるわけではないので、評価額がゼロとなる
  • 課税時期の事業年度にかかる法人税額・消費税額・事業税額・道府県民税額・市町村民税額で、その事業年度開始の日~課税時期までの期間に対応する金額は、負債に計上
  • 評価会社が自己株式を有している場合、資産の合計額からその自己株式の価額を除き、発行済株式数からも自己株式数を控除

このような点にいろいろと注意していきながら計算すると、自社株の評価が高く、それを引き下げたいと思う経営者の方々も多いことでしょう。

次章では、自社株の引き下げ方について解説します。

6.自社株の引き下げ方について

自社株の評価はしてみたが、自社にかかる税金は抑えたい。なるべく税金はかからないようにしたいものだ。

何か節税対策としてできる方法はないだろうか?

こちらでは、自社株の引き下げ方のいろいろな方法を解説します。

6-1.土地を購入してみる!

ご自分の会社の総資産価額を下げる方法として、不動産の取得が有効といえます。土地は相続税財産評価通達上、路線価方式(※1)または倍率方式(※2)で評価されます。

原則として、土地の路線価は地価公示価格の8割程度の水準に設定されることにないrます。

例えば、2億円の預貯金で購入した土地は、路線価評価額で1億6,000万円となり、資産4,000万円を圧縮できます。

(※1)路線価方式:路線価が定められている地域の土地を相続税の評価をする方法です。路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を指します。この方式で土地の相続税評価を求める際には、その土地の形・奥行きの長さ・間口の広さ等に応じて評価額を算出します。

(※2)倍率方式:路線価が定められていない地域の土地を相続税の評価をする方法です。倍率方式の土地の価額は、土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算することで評価します。

6-2.株式を増やしてみる!

純資産価額方式は、前述したように相続税評価を行った純資産を発行済株式数で割り算出します。そのため、株式数が増加すると株価は下がることになります。

第5章の事例では発行済み株式は50株だったので、5,890万円÷50株=117万8,000円でした。

しかし、発行済み株式は100株であれば、5,890万円÷100株=58万9,000円となります。

ただし、株式数を増やすための第三者割当増資(※1)を行う場合には、発行価額により、みなし配当(※2)等が発生することもあります。

(※1)第三者割当増資:株主であるか否かを問わないで、特定の第三者へ新株を引き受ける権利を付与し、それを引き受けさせる増資です。この増資方法は主に取引先や普段の取引金融機関、自社の役員等の会社にかかわりのある方々に権利を与えて発行するケースの多いのが特徴です。

(※2)みなし配当:所得税法上では、自己株式の取得等で株主が金銭等の交付を受けた場合、一定の条件に該当すれば、会社内部に留保されていた利益の払い戻しと考えられる部分が、正規の配当金と同様にみなされ、配当金として課税される場合を指します。

6-3.合併や事業分離も良い対策

その他にも、自社株の引き下げが考えられます。まず、「会社合併」という方法があります。この会社合併とは複数の企業が1つの会社になることです。

会社が合併すると、合併で消滅する会社の株主に対し、存続会社の株式が割り当てられます。合併の場合には純資産価額がマイナスになります。つまり自社株の相続税評価額は0円となります。

また、「事業分離」という方法もあります。こちらは、ある会社の事業の一部を、他の会社または新会社を設立しそこへ移転することで、会社本体から分離させることを言います。

ご自分の会社で業績のよい事業を別会社にすることで、自社株を引き下げる有効な方法といえます。

7.まとめ

純資産価額方式を含めた原則的評価方式の計算は、いろいろと面倒な一面もありますが、自社株を正確に評価し、次にどんな節税対策をとるべきかの参考となります。

法人の相続対策を考え始めたら、まずはご自分の会社の株がどの位の評価を得ているかを把握し、事業承継に支障がでないように取り組んでいくことが大切です。

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