一戸建てでもマンションでも、あなたの大切な住宅を守る「火災保険」。実際の火災件数を見てみても、総務省消防庁が発表する平成29年(2016)版「消防白書」によると、平成28年の火災件数は36,831件。これは、1日あたり約101件発生している計算になります。また、出火原因は20年連続で放火が第1位となっており、家や財産だけでなく生命まで奪い去る“火災”の危険は、誰にでも起こりうるということが言えるのです。
乾燥した寒い日が続くこの時期、そんな“火災”はもちろんのこと、台風・水災・雪災など、様々な自然災害も忘れてはいけません。そんな災害から、家や家族・財産を守ってくれる大切な保険が「火災保険」です。
しかし、「火災保険」を販売している保険会社も山ほどある上に種類も多種にわたっており、どれを選んで良いのか分からない、という方も多いのではないでしょうか? また、火災保険の他にも、東日本大震災の発生以降は「地震保険」の需要も増えてきています。「地震保険」は、単体で加入するのではなく、火災保険とセットで加入することが推奨されています。そのため、「地震保険」の補償内容も「火災保険」を選ぶためのポイントとなってきます。
ここでは、火災保険の基礎知識から、それを踏まえた上で”おすすめの火災保険ランキング”などをご紹介します。火災保険で迷っている方、すでに加入していて更新時期に差し掛かっている方は、これを読んで、選び方のポイントや安く契約する方法など、是非参考にしてください。ご自身の納得のいく補償・保険料を考え、見つけてみてください。
目次
1.火災保険とは
「火災保険」は、火災だけを補償する保険ではなく、落雷・風災・水災などの自然災害のほか、水濡れ・爆発・盗難など屋内の事故も補償します。 また、火災の被害による補償対象としては、建物だけではなく建物の中にある家財・家具・什器などの「動産」も補償してくれます。
1.1.補償内容
「火災保険」の一番基本となる補償内容を確認してみましょう。
補償範囲 | 補償内容 |
---|---|
火災 | 失火やもらい火、放火などによる火災の損害を補償 ※契約者または被保険者などが、放火犯の場合は補償されません |
落雷 | 落雷による損害を補償 |
破裂・爆発 | ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害を補償 |
風災・雹(ひょう)災・雪災 | 風災・雹災・雪災の損害を補償 ※風災:台風・旋風・暴風・暴風雨等をいい、洪水・高潮等を除く ※雪災:豪雪・雪崩等をいい、融雪洪水を除く |
水災 | 台風や豪雨等による、洪水などの水災の損害を補償 ※地震による津波を除く |
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突 | 自動車の飛び込みなどによる損害を補償 |
漏水などによる水濡れ | 給排水設備の事故、他人の戸室で生じた事故に伴う漏水による水濡れ損害を補償 ※給排水設備自体に生じた損害は補償されない |
騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為 | 集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害を補償 |
盗難による盗取(とうしゅ)・損傷・汚損 | 盗難による盗取・損傷・汚損などの損害を補償 |
不測かつ突発的な事故(破損・汚損) | 誤って自宅の壁を壊した場合など、偶然な事故による損害を補償 ※すり傷などの外観上の損傷または汚損であっても、その機能に支障をきたさない損害は補償の対象とならない |
なお、地震・地震による津波・火山の噴火による火災は、「火災保険」では補償されません。火災保険に加入しておけば住居の被害は補償されると考えている方は、この点で注意が必要です。上記のような損害を補償するためには、「火災保険」とは別に「地震保険」に加入する必要があります。「地震保険」について、詳しくは3.4.をご覧ください。
1.2.災害別の補償内容
ここから、「火災保険」の代表的な補償内容別に、どのような災害を補償できるのかについてご紹介します。補償範囲の選び方でお悩みの方は参考にしてください。
1.2.1.【風災・雹災・雪災】
風災とは、台風や突風・竜巻・暴風などの強い風による災害のことをいいます。日本は台風などによる暴風や突風、竜巻による被害が多く、強風により災害が起こる恐れがある時は“強風注意報”が発表され、重大な災害が起こるおそれがあるときは“暴風警報”が発表されます。
「火災保険」に加入すると、風災による被害は、基本補償に含まれているのが一般的で、風災・雹(ひょう)災・雪災がセットになっています。そのため、いずれかの災害が原因で建物や家財が所定の損害を受けた場合、補償が受けられます。「火災保険の風災」で補償されるものは以下の通りです。
保険の対象 | 主な対象物 |
---|---|
建物 |
一戸建て・マンション 扉や窓などの建具 門・塀・垣 物置・車庫 庭木 畳や床 ボルト・ナット・ネジなどで固定されている電気・ガス・冷暖房設備 物干・敷物など固定されていない屋外設備 |
家財 |
家具 家電製品 衣類 自転車・排気量が125cc以下の原動機付自転車 明記物件 |
上の表は一例であり、保険会社によって「主な対象物」が異なる場合があります。また、風災から想定される被害と、その被害が「火災保険の風災補償」の対象となるのかを詳しく見てみましょう。
風災で想定される被害例 | 保険の対象 | ||
---|---|---|---|
建物のみ | 家財のみ | 建物と家財 | |
強風で屋根の瓦が飛んでしまった | ○ | × | ○ |
強風で庭の物置が倒れ、隣家の塀を壊してしまった | × | × | × |
竜巻による風で物が飛んで来て窓ガラスが割れた | ○ | × | ○ |
台風並みの暴風によりベランダが破損した | ○ | × | ○ |
台風で屋根瓦が飛び、そこから入る雨により家具がぬれた | 屋根瓦の修理○ 家具の損害× |
屋根瓦の修理× 家具の損害○ |
○ |
強風により自転車が倒れ破損した | × | ○ | ○ |
突風で自動車が横転した | × | × | × |
突風でカーポートの骨組みが傾斜した | ○ | × | ○ |
強風の影響で転んでケガをした | × | × | × |
竜巻とともに飛んできた木材が体に刺さりケガをした | × | × | × |
この被害例は一部にすぎませんが、建物や家財、人などに及ぶ風災は様々あることが分かります。
1.2.2.【水災】
水災(水害)とは、台風や暴風雨、豪雨などによる洪水・高潮・土砂崩れなどによる災害のことをいいます。都市部では、集中豪雨の際に大量の雨水がマンホールや側溝から地上に溢れる都市型水害も見られます。日本は降水量が多いため、私たちは水災と隣り合わせの生活を送っていると言えるのです。
「火災保険」の水災補償では、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水による災害が原因で、建物や家財が所定の損害を受けた場合に補償が受けられます。一般的な「火災保険の水災」で補償されるものについては、風災と同様です。一般的に下記のいずれかの支払い要件に当てはまった場合に、損害保険金が支払われます。
支払要件 |
再調達価額の30%以上の損害を受けた場合 床上浸水または地盤面から、45cmを超えて浸水した場合 |
---|---|
損害保険金の支払金額 | 損害保険金(保険金額が上限)=損害額-免責金額 |
損害保険金として支払われる金額は、損害額から免責金額を差し引いた残りの金額です。なお免責金額とは、契約時にあらかじめ決めた保険会社が保険金を払う責任の無い金額(自己負担額)のことを指します。免責金額を除いた損害額の全額を補償するものばかりではなく、損害保険金の支払要件を厳しくしたり、支払い割合を下げたりすることで、保険料を抑える特約を付加できるものもあります。
では、水災で想定される被害例と、その被害が「火災保険の水災補償」の対象になるのかを詳しく見てみましょう。
水災で想定される被害例 | 保険の対象 | ||
---|---|---|---|
建物のみ | 家財のみ | 建物と家財 | |
台風で近くの川が氾濫し、床の上まで浸水し家具も水浸しになった | 建物○ 家具× |
建物× 家具○ |
○ |
集中豪雨による土砂崩れで、家のなかに土砂が流れ込み被害に遭った | 建物△ 家具× |
建物× 家具△ |
△ |
豪雨により裏山で土砂崩れがおき、建物に土砂が寄りかかり外壁と柱が傾いた | △ | × | △ |
ゲリラ豪雨でマンホールの排水が追いつかず、浸水被害に遭った | 建物△ 家具× |
建物× 家具△ |
△ |
集中豪雨のさなかに雨漏りがおこり、家具が台無しになった | × | × | × |
記録的な大雨により高潮が発生し、海水が防波堤を超え被害に遭った | 建物△ 家具× |
建物× 家具△ |
△ |
台風による大雨で、車が水没してしまった | × | × | × |
記録的な大雨で土石流が発生し、家が流されてしまった | 建物○ 家具× |
建物× 家具○ |
○ |
豪雨で自宅の塀が壊れ、隣家の車を傷つけてしまった | × | × | × |
強い雨風のなか、庭に置いてあるものを家のなかに入れようとしたら滑って転びケガをした | × | × | × |
1.2.3.【不測かつ突発的な事故】
不測かつ突発的な事故、または偶発的な事故、破損・汚損とは、誤って自宅の壁を壊した場合など、故意ではない予測不能な事故のことです。
日々の暮らしのなかで起こりがちな、“うっかり”によって生じた損害について補償してくれます。
- 子供が室内で遊んでいて、誤って壁に穴を開けてしまった
- 室内で移動中にテレビを落とし、破損した(家財を補償対象とするプランの場合)など
ただし、すり傷などの外観上の損傷・汚損で、その機能に支障をきたさない損害は補償の対象となりません。家財を補償対象とされる場合や、ペットや小さいお子さんがいらっしゃる家庭において需要の高い補償です。
1.2.4.【家財】
火災保険では、補償範囲の他にも補償対象をご自身で決めることができます。簡単に言うと、建物だけを保険の対象とするのか、家財も保険の対象にするのかを選択できます。
さらに、家財に対する補償金額もご自身で自由に設定することが可能です。建物・家財の判別方法としては、保険会社によって解釈の違いはありますが、建物に付随していて動かせない部分、動かせるものという点が1つの判断基準となります。
「火災保険」に加入する前に、ご自身の家財の保険料を大まかに計算してみましょう。家財について、保険金額を高くすればするほど保険料も上がります。手持ちの家財を全て買い替えた場合、いくらくらいになるかを考えた上で保険金額を設定することをオススメします。
1.3.災害別の加入割合
では、1.2.で紹介した火災保険の代表的な補償内容別に、実際の希望加入割合と契約時の加入割合を見てみましょう。
【風災・雹災・雪災】
①一戸建て住宅
②マンション
【水災】
①一戸建て住宅
②マンション
【不測かつ突発的な事故】
①一戸建て住宅
②マンション
【家財】
①一戸建て住宅
②マンション
出典:価格.com火災保険「補償内容別 みんなの加入状況とコンサルタントからのアドバイス」より
2.火災保険の必要性について考える
2.1.火災に遭う確率
1年間に発生した住宅火災は、全国で10,523件、同年の世帯数が約56,95万世帯なので約0.018%という割合です。耐火建築物の増加や、火災警報器の普及などの理由により火災件数は減少傾向にあります。統計によると、建物火災の損害額平均は約358万円ですが、家が燃えてしまい建て直す場合は、この金額では到底不足しています。火災が発生すると、建物が燃えるだけでなく家具や家電、身の回り品など家財にも被害は及び、たとえ全焼しなかったとしても、消火活動によって消火剤や水をかぶり家財が使いものにならない可能性は高いのです。出典:総務省消防庁、平成29年(2016)版「消防白書」より
火災は、ご自身で気をつけることでリスクを減らすことは可能です。しかし、日本では隣の家の火事によって自分の家が火事になっても、原則として相手に責任を求めることができません。つまり、その場合もご自身の財産や保険金で家を建て直す必要があるのです。
1.で紹介した通り、「火災保険」は火災による建物の損害だけでなく、住まいにまつわる損害を全体的に補償してくれる保険です。そのため、自分の身や家族、財産を守るためにも火災保険に入っておくことが望ましいでしょう。
2.2.持ち家の場合
では、まず持ち家の場合の火災保険を考えてみましょう。
住宅ローンを組む際、万が一火事で自宅が燃えてしまってローンだけが残ってしまうことを避けるため、建物に関しては火災保険に加入するのが一般的です。最近は少なくなってきましたが、火災保険金が金融機関(保証会社)に優先的に支払われるように「質権設定付」の火災保険を義務付けている金融機関もあります。
オール電化の家庭、喫煙者のいない家庭は、もちろん火災のリスクが低いのですが、放火または隣の家からのもらい火で自宅が燃えてしまう可能性もあります。実際、出火原因は20年連続で放火が第1位となっているのです。
2.3.賃貸の場合
一方、賃貸住宅の場合は、建物自体は大家さん(貸主)が所有しているため、火災保険も貸主が加入することになります。しかし、入居者(借主)であっても、貸主に対して原状回復をする義務を負っているため、万一火事を起こしてしまった場合は、入居者の責任で元通りにしなければなりません。そのため、賃貸の場合に加入する火災保険は、家財の補償に「借家人賠償責任補償」を付けたものが一般的です。
2.4.火災以外の補償
火災保険は、火災以外の自然災害も補償することは前述した通りです。保険金の推移を見てみると、火災、落雷、破裂・爆発を原因とするものは横ばいなのに対して、自然災害に対する支払いは大きく増加傾向にあることが分かります。
出典:損害保険料率算出機構、2017年度版「火災保険・地震保険の概況」より
騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為、盗難による盗取(とうしゅ)・損傷・汚損などの補償について、火災保険でカバーするか否かはご自身の考え方次第です。お住まいの立地条件や地域性、建物の構造などを考慮し、被害をイメージしながら必要な補償を選びましょう。
3.火災保険の選び方4つのポイント
火災保険は、保険商品・補償内容ごと、建物の構造や所在地、建物の用途(住宅・店舗など)によって保険料が異なります。ご自身の必要とする範囲で、次のポイント決めた上で火災保険を契約しましょう。
3.1.補償対象、補償範囲
火災保険には様々な補償がありますが、補償対象・補償範囲は自由に設定できます。補償範囲を狭くすればするほど保険料は割安になる傾向にあるため、ご自身で必要な補償をよく検討しましょう。保険をかける対象になり得るもの、なり得ないものは以下の通りです。賃貸住宅や店舗兼住宅に関しては、保険の対象にできるものが異なります。
保険の対象 | 持ち家 | 借家 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
在宅 | 空き家 | 別荘 | 店舗兼住宅 | 住宅 | 店舗 | |
建物 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
家財 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
什器(じゅうき)・設備 | × | × | × | ○ | × | ○ |
火災保険の対象を建物とするのか、または家財とするのか、あるいは両方とするのかについて決められない場合は、建物と家財の両方を対象とする見積書を依頼しましょう。見積書には、それぞれの保険料が明記されているため、保険料を考慮して検討することが出来ます。
また、火災保険は、火災のほか自然災害による損害、盗難や破損など日常生活による損害も補償することができます。補償範囲を広げれば保険料は高くなり、反対に補償範囲を狭めれば保険料を抑えることができます。火災や落雷など、基本補償となっていて外せない補償もありますが、水災の補償は、マンションの高層階や高台に住んでいる方にとっては必要のない補償と言えるでしょう。ただし、豪雨による土砂災害のリスクは避けられないため、ハザードマップ等でお住まいのエリアが災害の警戒区域でないかどうかを確認した上で、必要な補償を選びましょう。
3.2.補償金額
建物の補償金額は、現在の建物の価格+-30%で設定でき、家財の補償金額も自由に設定できます。補償金額を増やせば増やすほど保険料は高くなるため、万一の場合、保険金がいくらあれば良いかをよく考えて補償金額を設定しましょう。
まず、建物の保険金額を決定するためには、建物の価値を評価する必要があります。その評価基準には、「新価」と「時価」の2つがあります。火災保険では、建て替えに必要な価額を全てまかなえる「新価」で評価した金額で保険金額を設定することをおすすめします。
評価基準 | 説明 |
---|---|
新価 | 新品に建て直すための価額。再取得価額、再調達価額ともいう。 |
時価 | 時価=新価-時間経過による消耗分 |
また、持ち家の火災保険は、建物のが何で出来ているかによって保険料が変わってきます。建物の構造は次のように階級が分けられます。
物件種別 | 構造級別 | 建物の種類(材質) |
---|---|---|
住宅物件 (専用住宅) |
M構造 | コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火建築物の共同住宅建物 |
T構造 | コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、鉄骨造建物、耐火建築物(共同住宅建物以外)、準耐火建築物、省令準耐火建物 | |
H構造 | M構造、T構造に該当しない建物 | |
一般物件 (店舗併用住宅) |
1級 | コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造、耐火建築物 |
2級 | 鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物 | |
3級 | 1級、2級に該当しない建物 |
保険料は、住宅物件ではM(マンション)構造<T(耐火)構造<H(非耐火)構造の順に高くなり、一般物件では1級<2級<3級の順で高くなるため、住んでいる建物がどの構造級別にあたるかを確認しましょう。
なお、家財の保険金額は、日常生活で使うものの多くが火災保険の補償対象になります。火災に遭った場合、当面の生活に必要な家財の購入、また元の生活に戻すにはさらに費用がかかるため、家財の補償もあると安心でしょう。
3.3.保険期間
火災保険は、1年契約から最長10年までと保険期間を選択できます。一般的に、火災保険料は長期契の一括払いをするほど割安になります。一度にまとまった保険料の支払いが必要にはなるため、長期的に考えて無理のない保険期間を設定しましょう。
割引率は全ての保険会社で同一ではありませんが、1年契約と長期契約を比べた時、割引率の目安をまとめました。
契約年数 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 | 8年 | 9年 | 10年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
割引率 | 7.13% | 9.58% | 12.09% | 13.60% | 14.56% | 15.29% | 15.83% | 16.82% | 17.59% |
保険会社や契約のプランによっては長期契約ができない場合もありますが、上記の例では、10年契約の場合、1年契約と比べると10年間で17.59%も保険料を節約できるのです。
3.4.地震保険のセット
前述した通り、火災保険だけでは地震による火災や津波などでの損害は補償されません。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失などの損害は補償するのが「地震保険」であり、対象は居住用の建物・家財です。一部の火災保険では、地震などによる火災で半焼または全焼した場合に、地震火災費用保険金として火災保険金額の5%程度が支払われるケースがありますが、地震保険の補償とは異なります。
地震保険は民間の保険会社と国が共同で運営する公共性の高い保険です。大規模な地震が発生し、保険会社だけでは補償しきれないような損害が発生した場合は、政府が代わって保険金を支払う仕組みになっています。また、地震保険は「被災者の生活の安定」を目的としており、建物や家財の損害額すべてを補償するものではありません。つまり、地震保険で受け取った保険金で今と同等の家を建て直す(家財を購入する)ことは難しく、生活を建て直すための資金と位置づけられています。
「地震保険」は、単独では契約することが出来ず火災保険とセットで加入する必要があるため、すでに加入中の火災保険に付加することも可能です。地震保険も1年~5年まで保険期間を選択できるため、無理のない範囲で地震保険への加入も検討しましょう。
4.【一戸建て】火災保険ランキングTOP5
一戸建て、マンション・アパートに分けて、おすすめの火災保険をご紹介します。
比較する条件は、以下の通りです。
- 建物構造:鉄筋構造
- 保険金額:2,000万円
- 補償内容:火災・風災・水災・盗難・水漏れ
- 地震保険:あり
- 支払方法:10年一括払い
4.1.セコム損害保険「セコム安心マイホーム保険」
セキュリティを導入している家や、オール電化の家の場合、保険料が13~31%割引を受けられるなど、特定の条件に当てはまれば保険料を大きく抑えられることが特長になっています。臨時費用の特約や、地震による火災についての補償も付けることができますが、選べるプランが「ワイド」「ベーシック」「スリム」の3種類ほどしかなく、補償の選択の自由度は高いとは言えません。
保険料と支払要件は、大手損保と比べても申し分ありません。セキュリティやオール電化に対する割引が唯一あるため、保険料を安くしたい方、セキュリティを手厚くしたい方にとってはお得に契約できるでしょう。
4.2.朝日火災「ホームアシスト オールリスクプラン」
朝日火災は、1951年から続く老舗の保険会社です。保険料は安く、その分選べるプラン、割引、特約などを少なくしているのが商品の特長です。
火災・風災・水災など、自分のニーズに合わせて組み合わせられる基本的な補償が充実しています。緊急時の仮住まい費用も特約で出すことができますが、選べる特約の種類は比較的少なく、具体的に補償したい内容の特約がないこともあります。
他社では、地震保険をセットしてこの保険料はなかなかありません。その保険料の安さから新築以外は保険料の割引がありませんが、シンプルで選びやすい商品であり、保険料を抑えたい方や付帯したい特約が決まっている方におすすめです。
4.3.東京海上日動火災「トータルアシスト 住まいの保険」
東京海上日動は、日本最大手クラスの保険会社ですです、特約の種類が多いことや、支払要件が易しい点が特長です。
保険料は、10年一括払いでも割高ではあり、割引もそれほど充実していません。しかし、復旧にかかる修理費については、直接損害を受けた部分以外も必要に応じて損害保険金が支払われるという強みがあります。また、「超保険」という形で契約をすることで、地震保険の保険金額を100%にすることも可能です。
支払い要件のとして、門・塀・垣・外灯・屋外設備装置までが支払いの対象となり、何かあった時に万全の補償ができる火災保険と言えるでしょう。
4.4.日新火災「住宅安心保険」
日新火災は、1908年に設立された東京海上グループの子会社であり、規模は中堅保険会社ですが支払い能力も高い保険会社です。
保険料は、東京海上日動火災と同様で割高なのですが、「住自在」のプランにすることで保険料を少し抑えられます。基本補償にフルカバーで補償がついているため、特約を付帯することで補償を外すという仕組みの保険です。地震保険と合わせて加入することで、地震などが原因の火災被害についても保険金が100%支払われます。
じっくり補償を考えて、自分に合った特約をカスタマイズできるのであれば安心な保険と言えるでしょう。
4.5.あいおいニッセイ同和損保「マイホームぴたっと」
あいおいニッセイ同和損保は、あいおい損保やニッセイ同和損保などの会社が合併して設立された保険会社です。また、三井住友海上火災保険とも経営統合しているため、火災保険・自動車保険・医療保険・介護保険・傷害保険など多様に揃っています。
保険料は10年一括払いでも少し高めであり、特約を付加するとさらに保険料が上がる可能性もあります。大手損保なので、付帯できる特約の種類は豊富です。大手で入った方が安心できるという方、特約で必要な補償を足していきたいという方におすすめの火災保険です。
5.【マンション・アパート】火災保険ランキングTOP5
比較する条件は、以下の通りです。
- 建物構造:マンション構造
- 保険金額:1,000万円
- 補償内容:火災・風災・盗難
- 地震保険:あり
- 支払方法:10年一括払い
5.1.セコム損害保険「セコム安心マイホーム保険」
マンションであれば、セキュリティやオール電化が備わっている物件が多いのため、保険料の割引を受けられる可能性が高いでしょう。保険料は10年一括で46,270円と安めです。免責金額も20万円まで設定することが出来るため、リスクが低いと感じる場合は免責設定によりさらに保険料を下げることも可能です。
バルコニーなどは自分の専用ですが、一般的に補償の無い共用部分の損害も補償されたり、水道管修理費も自動付帯サービスとして受けられるなどの特長があります。選べるプランは少ないですが、補償内容をシンプルにしたい方や保険料を安く抑えたい方にはおすすめです。
5.2.SBI損保「SBI損保の火災保険」
SBI損保は、SBIホールディングスのグループ企業で、2006年からサービスが開始されました。
保険料は、10年一括で48,350円と、基本料金はやや安めです。たばこを吸わない世帯向けには、「ノンスモーカー割引」、オール電化住宅向けの「オール電化住宅割引」などの割引があり、これらの割引を適用するとさらに保険料を抑えることができます。
火災、落雷、破裂・爆発の補償をベースに、付保したい補償を足していくという仕組みの商品であり、水災は基本補償で不担保であるため、マンションプランの充実度が高いと言えます。ただし、地震火災費用保険が保険金額の5%までしか設定できないため、地震に備えた火災保険を希望するなら、あまりおすすめできません。補償はシンプルに、よく分からない補償にお金をかけたくないという方にはおすすめの火災保険と言えるでしょう。
5.3.日新火災「住宅安心保険」
日新火災は、火災保険以外の水漏れも補償してくれたり、鍵の紛失や故障に対応して貰えるなど、補償内容が充実している火災保険です。保険料は、10年一括で56,050円と割高ですが、住宅ローンを組んでいるのであれば「住自在」プランでかなり安くなります。
事故時の費用補償が支払われるのは70%以上の被害が出てから、風災は20万円以上の被害が出ないと払われないという条件もあるため、支払い要件については注意が必要です。保険料は少し高めではありますが、付帯したい補償が具体的に決まっている方にはおすすめの火災保険です。
5.4.朝日火災「ホームアシスト オールリスクプラン」
朝日火災の保険は、シンプルで安いのが特長であり、基本のプランから自分にあった特約をカスタマイズしていく仕組みの火災保険です。ワイド・ベーシック・エコノミー・フリーと4種類のプランから選ぶことができ、賃貸の方向けには共有部分修理費用補償特約も用意されています。
保険料は10年一括で44,150円と安く、新築割引を付帯するとさらに安くなります。しかし、保険料が安いだけに特約等での支払い要件は細かく決まっているため注意が必要です。とにかく保険料の安さを重視する方、補償を細かく組み立ててカスタマイズしたい方にはおすすめと言えるでしょう。
5.5.三井住友海上「GKすまいの保険」
三井住友海上は、最初からマンションに必要な補償がついてくる保険ですが、保険料は10年一括で52,680円と、やや高めです。ただし、建物と家財で別に免責金額を設定することで、保険料を少し抑えることができます。また、「バルコニー等修繕費用保険特約」が自動で付いてくるため、マンションの共用部分の火災も追加保険料なしで付けることができます。
また、大手ならではの特約の多さも特長の1つであり、細かな特約の多さから、補償の拡充がピンポイントでかなう保険と言えます。
6.火災保険の見積もりをする
6.1.直販
保険商品を販売しているのは保険会社ですが、その他にも保険代理店という、保険会社の商品を紹介したり販売する専門ショップがあります。生命保険は保険会社の社員が営業で回っているイメージなのに対して、損害保険は9割が代理店を通じた販売です。
それでも、最近は自動車保険を中心に直販を行う損保会社も増えてきており、これをダイレクト型保険といいます。火災保険については、まだ代理店が優勢ではありますが、インターネットから見積もりや申し込みが出来る火災保険も増えていくでしょう。
メリットとしては、資料請求・申し込みなどが簡単かつスピーディーであること、デメリットとしては商品内容を自分でよく理解する必要があることが挙げられるでしょう。
6.2.代理店
保険代理店は、大きく2つに分けられます。
1つ目は、専業代理店・プロ代理店と呼ばれる保険販売そのものが主な事業である会社。保険ショップなどがこれにあたり、最近は複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店もたくさんありますが、従来は特定の保険会社の販売代行を行うタイプが中心でした。現在は、火災保険を扱うプロ代理店はどちらの形もたくさんあります。
さらに、2つ目は、兼業代理店と呼ばれるものです。本来、保険販売を主な事業とはしていなくても、業務の傍らで保険を販売する会社であり、具体的には自動車保険の販売を行う自動車ディーラーなど指します。実は、損害保険はこのタイプの代理店から販売されるのが主流となっています。
火災保険の場合は、兼業代理店として不動産業者と金融機関が機能しています。不動産業者は賃貸に入居したとき、金融機関は住宅ローンを利用したいときに合わせて火災保険を案内・販売する形態になります。
メリットとしては、契約後の管理や手続き、見直しをまとめて任せることができること、乗合代理店であれば複数の商品から比較して選べることが挙げられます。デメリットとしては、特定損保会社の代理店では商品を選べず、反対に乗合代理店によっては合わない商品を勧められてしまうという恐れがあります。
6.3.不動産業者・金融機関
賃貸に入居するときや住宅ローンを利用するとき、不動産業者や金融機関から特定の商品を勧められても、必ずそれに加入しなければならない義務はありません。
兼業代理店では、有利な専用商品(特定の金融機関で住宅ローンを利用した方だけが加入できる商品など)が存在する場合があるため、他と比較して良いと思えば加入して問題ありません。直販やプロ代理店を通じて加入する場合でも、結局は保険の内容をよく理解しておくことが必須になります。その上で、自分が一番良いと思った商品に、都合の良い方法で加入するのが良いでしょう。
メリットとしては、保険料などが有利な専用商品に入れることがあること。デメリットとしては、商品を自由に選べないことが挙げられます。
6.4.ネットで一括見積もりサービス
火災保険見積もりを行う方法として最もおすすめなのが、ネットでの一括見積もりサービスの利用です。複数社の保険を比較することで、希望に沿った保険に加入できる可能性が広がるため、より安く、より納得できる保険選びができるでしょう。
4.、5.で、火災保険のランキングをご紹介しましたが、必ずしもランキング上位の商品があなたにピッタリであるとは限りません。火災保険は、家ごとに料金や最適な補償内容が変わるため、実際にご自宅の条件で見積もりを取りましょう。一括見積もりサービスは、5社以上の保険会社を比較することが可能で、何度も入力する手間が省けるため、手軽に火災保険を検討することができます。出来るだけ多くの会社から見積もりを取ることで、料金やサービス内容などを比較しやすくなり、最適な保険会社選びに繋がるのです。
【一括見積もりサービスを利用する流れ】
- STEP1.物件情報の入力
- STEP2.提携代理店から申込確認
- STEP3.提携代理店からの見積もり提示
- STEP4.申込書類のやりとり
- STEP5.保険会社と契約
インターネットで、一括見積もりサービスを検索し、物件情報の入力→見積もりの請求が完了すると、提携代理店から担当者から連絡が来ます。申し込み事項を確認が完了すると、複数社の保険会社見積もりが届くため、それぞれの内容を確認して自分の希望に沿った火災保険を見つけましょう。もちろん、見積もりだけで申込みをしないことも可能です。商品の知識を深めるため、相場の把握に役立ててください。
6.5.保険料の相場はどのくらい?
火災保険の保険料は、補償内容によっても大きく変わってきます。代表的な補償内容別での火災保険料の相場を見てみましょう。前提条件は以下の通りです。
- 保険金額:建物/1,500万円、家財/300万円
- 火災保険:日新火災「住宅安心保険」
- 地震保険:なし
- 支払方法:10年一括払い
補償内容 | 保険料/10年 | ||
---|---|---|---|
一戸建て | マンション | ||
H構造 | T構造 | M構造 | |
【火災、破裂・爆発、落雷】 【風災、雹災、雪災】 【水災】 【破損・汚損】 |
278,190円 | 124,710円 | 88,110円 |
【火災、破裂・爆発、落雷】 【風災、雹災、雪災】 【水災】 【破損・汚損】 |
181,590円 | 92,100円 | 68,850円 |
【火災、破裂・爆発、落雷】 【風災、雹災、雪災】 |
168,930円 | 79,320円 | 56,070円 |
【火災、破裂・爆発、落雷】 | 79,050円 | 46,260円 | 42,960円 |
7.まとめ
火災に遭う確率は決して高くありませんが、「火災保険」は自然災害に備えるという役割もあります。“滅多に起きないが、起きた時には損害が大きくなるものに備える”というのが保険の本質であり、万一の時に家族と財産を守る大切な保険です。火災保険の基本を理解した上で、改めて火災保険を見直してみましょう。
賃貸に入居するとき、住宅ローンを利用するときに、不動産業者や金融機から勧められるままに加入するのではなく、インターネットの一括見積もりサービスを利用して、複数社の火災保険を比較、検討した上で契約しましょう。複数の保険会社を比較することで、火災保険の知識をつことにも繋がりご自身に合った保険選びができるでしょう。
加入する火災保険を決めた場合は、ネットで直販されていないか、最寄りの代理店で取り扱っていないかをネットで探すことができます。または、保険会社に問い合わせることで、自社商品を扱う代理店を紹介してもらうことも出来ます。