経営セーフティ共済で倒産予防!内容とメリット・デメリットとは?

取引先の倒産の影響で、ベンチャーや中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度があるのはご存じでしょうか?

想像してみてください。たとえ自社の経営は健全であっても、ある日突然大口の取引先が突然倒産すれば、売掛金が回収不能になってしまうことがあります。ベンチャー企業や中小企業にとって大きな打撃となります。

そしてその結果として買掛金を支払えなくなってしまったときには、最悪の場合、会社の倒産危機に追い込まれてしまいます。

特に、特定の大口の取引先との関係が強い傾向のある中小企業にとって、きわめて深刻な問題といえることは間違いありません。

そんなとき、銀行などの金融機関から資金調達をしようとしても銀行は融資に慎重になり、実際に資金を手にするまで時間を要することがあります。

そのような場合に、経営セーフティ共済の共済金で一時的な運転資金を確保することができるのが、この経営セーフティ共済制度の目的です。

またこの経営セーフティ共済は、いざというときの救済機能だけではなく、節税対策としてのメリットがあるとしても有名です。

その他にも様ざまなメリットがありますので、注意すべき点に気を配っておきさえすれば、加入リスクはそれほど大きいものではありません。

今回は、経営セーフティ共済の具体的な仕組みとメリットやデメリットをご紹介していきたいと思います。

1. 経営セーフティ共済とは

中小企業基盤整備機構(中小機構)が、中小企業や規模の小さいベンチャー企業向けに提供している共済制度です。

中小企業は、ちょっとした経営環境の変化、市場環境の変化に影響を受けやすく、気がついた時にはキャッシュフローが悪くなっていることがあります。

ちなみに、キャッシュフローが悪くなるとは以下の3つの状況のことを言いますが、こんな時に活用できるのが経営セーフティ共済です。

●今の時期だけキャッシュフローが厳しい
季節要因、設備投資、人員増加、支払いサイトが長い仕事を受けているなどによって起こります。

●徐々にキャッシュフローが厳しくなってきて今後の見通しも立ちづらい
経営環境の悪化、業績不振などによって起こります。

●突然の出来事でキャッシュフローが一気に悪くなった
震災、金融危機、社員の離反などによって起こります。

経営セーフティ共済は、取引業者の倒産により中小企業の連鎖倒産を防ぐための共済制度というお題目が付いていますが、根本は資金繰りに困った中小企業がすぐに使える融資制度の提供です。

まずは基本的な内容をご紹介していきます。

1.1掛け金と納付方法

【掛金月額・納付方法】
掛金月額は5,000円~20万円(年間6万円~240万円)まで自由に選べ、増額・減額できます。
前納すると掛金が安くなります。
毎月の掛金は、預金口座からの振替による払込みとなります。
振替日は、毎月27日(27日が休日の場合は翌営業日)です。

1.2貸付額の上限

【共済金貸付額の上限】
「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額を受け取ることができます。

*積み立てられる上限は800万円ということになっていますので、最大8,000万円ということになっています。

2.経営セーフティ共済への加入のメリット

次に共済セーフティ共済へのメリットを紹介してきます。

2.1取引先が倒産した場合

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。
いざという時に最大で掛金総額の10倍もの金額を借りられるということは、それだけで非常に心強いものとなるでしょう。

2.2共済金の借入れ

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。

倒産の危機の場合の「共済金」以外にも、お金を借りられる制度があります。

急に資金が必要になった場合に、担保なしで貸付が受けられるのです。

返済は1年以内に一括ですればいいことになっています。

ただし、1年以内に返済しなかった場合、年14.6%の違約金が課せられます。また、返済期限(借入をした1年後)から5ヶ月を経過しても返済がないときは、掛金から貸付金と利息と違約金の額が差し引かれることになるので、注意が必要です。

返済が必要になるものの、こうした制度があることにより、銀行よりも手軽に借入可能な場所が増えるといえるでしょう。

2.3節税対策

節税対策になります。

経営セーフティ共済には税制上の配慮がされていて、確定申告の際、共済へ支払っている掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入することができますので、節税効果になります。

しかも、前納といって、向こう1年分を全額損金にできますので、決算対策にも有効です。

損金に算入できるのは年240万円・合計800万円に限られていますが、連鎖倒産のリスク等に備えることができると同時に、低コストで税負担を軽くできるというのは、大きなメリットといえるでしょう。

2.4解約した場合

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。

自己都合の解約であっても、加入期間12ヶ月未満ならば解約手当金はありませんが、掛金を12ヶ月以上納めているならば掛金総額の80%以上、24ヶ月以上ならば85%以上、30ヶ月以上ならば90%以上、36ヶ月以上ならば95%以上、40ヵ月以上納めていれば掛金全額が戻ってきます。

解約手当金の払い戻し率は高く設定されているといっても過言ではありません。

2.5再加入も出来る

経営セーフティ共済は一旦解約しても、加入条件を充たしていれば再び加入し直すことができます。

ただし、その場合、加入後6ヶ月間は共済金の貸付を受けることができませんのでご注意ください。

2.6全納減額金が戻ってくる

前納減額金によってお金が戻ってくる

既に前納がお得であることは前述しておりますが、年払い(前納)を行うと前納することで、前納減額金と呼ばれる割引金が支給されることがあります。

また、前納減額金について消費税は非課税ですので、消費税なしに受け取ることができます。

3. 経営セーフティ共済への加入のデメリット

では、経営セーフティ共済への加入のデメリットはどのようなものがあげられるでしょうか。デメリットをご紹介していきます。

3.1いつか解約しなくてはならない

節税しながら積み立てた掛金は、いつか解約する必要があります。

経営セーフティ共済は、節税効果の高い共済ですが、解約するときにこの解約手当金の受け取り方によっては、増税になってしまうケースがあります。

というのも実はこの解約手当金として受け取るお金は、事業所得として計上することになるからです。

つまり、いままで必要経費として控除されてきた税金を、解約して返戻金を受け取った時に一気に支払わなくてはならないということです。

そのため結局のところ税金の支払いを先延ばしにしただけではないのかと疑問がわいてきます。

では、みなさんどのように対策をしているのかというと、解約のタイミングを上手に見極めています。タイミングさえ注意すれば、お得になる場合があります。

例えば、多額の出資が必要になる設備投資をされるときに解約する。もしくは事業が厳しくなり資金繰りが悪く今年は全く利益が出てないから、経営セーフティ共済の解約手当をもらっても税金があまり掛からないという状況で解約するという方法です。

また、退職金の準備としてもよく利用されています。

加入する前に、解約時に受取金を何に利用するのかを考えてから加入しましょう。考えずに加入してしまうと結局は損をしてしまうことにもなりませんので、解約返戻金の使い方をよく考える必要があります。

3.2掛金の一部だけを引き出すことは出来ない

掛金の一部を引き出すことはできません。

解約手当金を数年に分割して受け取れば、税金も少なくて済むかもしれませんが、残念ながらそれは出来ません。

経営セーフティ共済では、掛金の一部を引き出すことは出来ません。一度に全て受け取るしかありません。

3.3掛金の上限は800万円

経営セーフティ共済の掛金の上限は800万円と定められています。それ以上は掛金を増やすことができません。

3.4借り入れをすると、掛金が10%減らされる

無担保、無利子とはいいつつも、実は掛金が担保であり利子になっています。

共済金の借入れは無利子です。ただし、借入れ後は、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。

つまり、経営セーフティ共済から資金を借り入れすると、借入額の10%を中小機構に支払うことになります。

例えば、掛金が100万円の時に,1000万円の資金を借り入れた場合、(1,000万円)×10% = 100万円が掛金から控除されることになり、せっかく積み立てた掛金がゼロになってしまいます。借り入れのために10%の利子を払ったのと同じことになります。

3.5加入期間が40ヶ月未満で解約すると元本割れする

経営セーフティ共済は、元本割れしないように40ヶ月間(3年4ヵ月)は加入するようにしましょう。特に12カ月未満だと解約返戻金がなく、元本割れとなってしまうので注意が必要です。

ただし、解約返戻金は高い返戻率が設定されています。12ヵ月以上を継続して支払った場合、80%が戻っています。(また、年払いによる前納を行う場合、それだけで解約返戻率は80%になります。)

40ヵ月以上を支払った場合には、自己解約の場合でも100%のお金が戻ってきます。

掛金納付月数に応じて解約返戻金がいくらになるかの詳細は、中小機構のホームページでも確認することができます。

3.6個人事業主の場合は節税効果が薄い

多くの人は節税と退職金の準備のために経営セーフティ共済を活用しますが、そういう意味だと個人事業主が経営セーテフィ共済を利用するのは、節税という観点からいえばほぼ意味がありません。

個人事業主が解約返戻金を受け取った場合、そのときの入金は全額が所得になるからです。

日本の所得税は非常に高額なため、すべてに税金がかかってきます。せっかく利益を繰り延べたにも関わらず、個人事業主は法人のように退職金制度を用意することができないため、節税は、まったくもってできません。

これは相続の場面でも同じであり、全額に相続税がかかります。そのため、節税のために個人事業主が経営セーフティ共済を利用するメリットは低いといえるでしょう。

なお、個人事業主が法人成りした場合、手続きを踏めばそれまで支払っていた掛金を法人に引き継ぐことができます。継承可能なため、将来は必ず法人成りする人の場合は意味があるといえます。法人に引き継ぐとき、特に税金などはかかりません。

また、余談ですが、共済契約者の方に相続、合併、分割、事業の全部の譲渡があった場合、包括承継人や譲受人が経営セーフティ共済の加入資格を満たしていれば、3カ月以内に申し出ることで、共済契約者の地位を承継できます。

ただし、共済金や一時貸付金などの返済が残っていた場合、その返済義務も引き継ぐことになります。

4. 経営セーフティ共済への加入の条件とは

経営セーフティ共済には加入条件があります。中小企業であれば誰でも加入できるような条件になっています。

【業種】→資本金の額または出資の総額/常時使用する従業員数
・製造業、建設業、運輸業その他の業種 →3億円以下/300 人以下
・卸売業 →1億円以下/100 人以下
・サービス業 →5,000 万円以下/100 人以下
・小売業→ 5,000 万円以下/ 50 人以下
・ゴム製品製造業(※)→3億円以下/900 人以下
・ソフトウェア業または情報処理サービス業→3億円以下/300人以下
・旅館業→ 5,000 万円以下/200 人以下
(※)自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。

なお、加入するとき「1年以上、事業を継続している会社や個人事業主」という条件があります。そのため、起業して1年間は入ることができません。

ただ、個人事業主から法人成りした人のように、ビジネス経験自体は既にあるという状態の人もいます。この場合、法人成りしてすぐに利用することができます。

個人事業主としてビジネスを開始し、1年が経過したのであれば、どの時点でも経営セーフティ共済に入れます。これは、途中で法人成りしても同様です。例えば個人事業主として8ヵ月活動後に法人成りした場合、4ヵ月が経過した後から加入できるようになります。

なお、組合については「企業組合」「協業組合」「共同生産」「共同販売などの共同事業を行っている事業協同組合」「事業協同小組合」「商工組合」で加入できます。ただ、それ以外に該当する「医療法人、農事組合法人、NPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人など」の会社や組合は加入できません。

5. 共済金の借入れが受けられる・受けられない取引先の倒産とは?

会社を経営していると、急なキャッシュショートや今後の資金繰りが苦しい場面があります。

そんな時、銀行などの金融機関から資金調達をしようとしても、簡単に融資はしてくれません。しかも、融資されても、2か月から3か月ほど時間がかかります。

経営セーフティ共済の融資であれば、融資実行までの平均日数は10日ほどです。金融機関から融資経験がある社長なら、経営セーフティ共済がどれだけ価値があるかわかるはずです。

では、共済を受け入られる場合と、受け入れてもらえない場合をご紹介します。

【借り入れが受けられる】
・法的整理(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、特別清算開始の申立てがされること)
・取引停止処分(手形交換所に参加する金融機関によって取引停止処分を受けること)
・でんさいネットの取引停止処分
・私的整理(債務整理の委託を受けた弁護士等によって、共済契約者に対し支払いを停止する旨の通知がされること)
・災害による不渡り(甚大な災害の発生によって、手形等が「災害による不渡り」となること)
・災害によるでんさいの支払不能
・特定非常災害による支払不能(特定非常災害により代表者が死亡等した場合に、弁護士等によって、共済契約者に対し支払いを停止する旨の通知がされること)

【借入れが受けられない】
・夜逃げ

6. 加入手続きと解約手続きの方法について

それでは、加入・解約・手続き変更について、ご紹介いたします。

6.1加入手続きの方法

それでは、実際にはどのようにすれば倒産防止共済へ加入することができるのでしょうか。これについては、利用している銀行の窓口に出向けば問題ありません。ネット銀行は無理ですが、ネット銀行以外の金融機関窓口へ出向きます

このとき、必要書類としては以下のようなものがあります。
・申出書:掛金預金口座振替申出書、掛金前納申出書など(金融機関の窓口にある)
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・法人税の確定申告書
・法人税の納付を証明する「納税証明書」

掛金を一括前納する方法の書類を記していますが、特別な理由がない限りは一括前納にしましょう。毎月支払いを行い、金額変更などを行いながら利益調節してもいいですが、最も分かりやすいのは決算の前になって一括前納により振込をすることです。

これによる利益調節の方が圧倒的にやりやすいため、毎月払いではなく、前払いによる一括前納(年払い)を選択しましょう。

なお、申請書については「中小機構のホームページ」からダウンロードできるようになっています。

また銀行窓口の担当者に聞いて書類をもらい、どのように手続きをすればいいのか確認しても問題ありません。

このとき前述のように、書類として登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、法人税の確定申告書、法人税の納付を証明する「納税証明書」を揃えておく必要があります。

実際に経営セーフティ共済を支払ったときは領収書をもらえます。これが証拠となるため、掛金の全額を損金算入できるようになります。

なお、決算月に経営セーフティ共済の事務手続き処理を行ってもいいですが、これだとその年への損金参入ができなくなります。決算月までに掛金の前納支払いを完了したい場合、その月の5日までに中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)へ書類が届いていなければいけません。

そのため、決算月の前月までには手続きを済ませるようにしましょう。期限に間に合うように、早めの手続きが必要です。これにより、ようやく決算前に利益を圧縮できるようになります。

ちなみに手続きについては毎年必要です。手続きを忘れると、自動的に年払いから月払いに変更されます。月払いにメリットはほぼないため、必ず年払いにするように手続きをしましょう。

6.2解約手続きの方法

経営セーフティ共済は、いつかは解約し、解約返戻金を受け取らなくてはいけません。

このとき、手続きをするために必要な書類としては、こちらも「中小機構のホームページ」からダウンロードできます。これに記入し、加入手続きをした金融機関へ出向くようにしても問題ないですし、銀行の窓口でどの書類になるのか聞いてみても問題ありません。

中途解約で必要な書類としては、以下のようなものがあります。
・中小企業倒産防止共済契約(※)に関する解約手当金請求書(金融機関の窓口にある)
・掛金預金口座振替解約申出書(金融機関の窓口にある)
・中小企業倒産防止共済契約締結証書
(※)中小企業倒産防止共済とは、経営セーフティ共済のことを指しています。

このうち、あなたが用意しなければいけないのは中小企業倒産防止共済契約締結証書になります。他は金融機関に出向けば用意してくれます。

中小企業倒産防止共済契約締結証書は再発行することができます。

実際の受け取り方については、銀行振込になります。通常は経営セーフティ共済の手続きをしている金融機関の法人口座に振込処理されます。

受取をしたお金については、繰り返しになりますが、そのままの状態であると全額収入(益金)になります。返戻金に消費税はかからないものの、益金として高額な税金を課せられるようになるため、退職金に充てるなど出口戦略を立てておくようにしましょう。

6.3 変更手続きはすべて金融機関で行う

加入や解約に限らず「金額変更(掛金変更)」「口座変更」「個人から法人への変更(法人成り)」「再加入をしたい」などを含め、手続きはすべて金融機関で行うようになります。どの書類が必要なのかを含め、銀行の窓口担当者と相談するようにしましょう。

7. 経営セーフティ共済と小規模企業共済の節税対策はどっちがお得?

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経営セーフティ制度と似たような制度で、『小規模企業共済制度』というものもあります。

個人事業主の方は、経営セーフティ共済と小規模企業共済とどちらに加入したらよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。

2つ同時に加入もできますし、自分の事業の特徴に合わせて、どちらか一方を選ぶこともできます。どちらの共済も事業資金の貸し付けなども可能ですが、個人事業主の節税の観点で比較していきたいと思います。

7.1 月額掛金の比較で分かること

【経営セーフティ共済】
経営セーフティ共済の月額掛金は、5,000円以上・上限20万円まで・5,000円単位・年額では最大240万円です。
掛金の全額が事業所得の必要経費となります。
掛金の積立金額は上限800万円です。

【小規模企業共済】
小規模企業共済の月額掛金は、1,000円以上・上限7万円まで・500円単位・年額では最大84万円です。
掛金の全額が所得控除となります。
掛金の積立金額は上限なしです。

経営セーフティ共済が年間で240万円を掛けられますが、小規模企業共済は84万円までになります。

年間84万円より多く掛け金を支払いたい場合は経営セーフティ共済、年間84万円以下の支払いがよい場合には小規模企業共済制度が良いといえるでしょう。

税金に関しては、経営セーフティ共済も小規模企業共済も、掛金の全額が所得税と住民税の対象外となり、節税することができます。

経営セーフティ共済の月額掛けられる金額は最大で20万円、小規模企業共済は最大で7万円になりますので、例えば両方の共済に加入すれば、最大年間324万円の掛金が、所得税と住民税の課税対象から外すことができます。

また、どちらか一方の加入を検討されている場合には、最大20万円の月額を掛けられる経営セーフティ共済の方が、節税効果が高いといえるでしょう。

また、経営セーフティ共済は事業税と健康保険料まで安くなります。

国民健康保険料と事業税が安くなるのは、掛金が必要経費となる「経営セーフティ共済」だけです。住んでいる地域で違いはありますが、国民健康保険料は10%程度、一般的な事業税は5%です。健康保険料と事業税を合わせると15%も、経営セーフティ共済の方がお得になると思います。

残念ですが、経営セーフティ共済の弱点といえる点は、掛金の積立金額に800万円という上限額があることです。積立金の総額が800万円に達すると、掛金が停止されます。

7.2 共済金受取りについての比較

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共済を解約したときの税金に関しても比較していきましょう。

経営セーフティ共済は事業所得、小規模企業共済では退職所得(ただし65歳未満の任意解約は一時所得)になります。

もう少し具体的にお話していきましょう。

経営セーフティ共済では、積み立てた掛金を共済金として受け取る時には、事業の収入になります。共済金を受け取る時には、通常の収入と同じように、事業所得として課税されてしまうのです。(掛金を支払う時には、必要経費として、事業の収入から差し引けます。)

前述でも述べている通り、節税目的での経営セーフティ共済は、課税を先送りする制度になります。

黒字の年に掛金を多く積み立て、赤字の年に積立金を受け取れば、大きな節税効果があります。ただ、掛金支払い時より、将来収入が増えた時点で積立金を引き出すと、結果的に増税になることもあります。

小規模企業共済では、廃業での積み立てた共済金の受け取りは、退職所得にできます。

所得税法31条と所得税法施行令72条3項に、退職手当とみなす規定があります。

なお、本人死亡での共済金受け取りは、みなし退職金となり、遺族への相続財産となります。

退職所得は、節税効果が大きい、有利な受け取り方法です。

退職所得が節税に有利な理由は、2つあります。
①勤続年数に応じて控除額が大きくなる。
②他の所得と合算せずに分離して税率をかける計算。

【退職所得の課税額の計算式】
(退職手当-退職所得控除)× 1/2

「退職所得控除」は、勤続年数に比例して控除額が増えて、退職所得に課税される税金は、安くなります。

小規模企業共済では、加入期間ではなく、「掛金納付期間」が勤続年数となります。

所得税法施行令69条1項2号で、加入期間から、掛金を支払っていない期間を除外して、勤続年数の計算を行うと、規定されているからです。

つまり、小規模企業共済は、早めに加入して、掛金は少額でもいいので、掛金を払い続けていれば、それだけ勤続年数が長くなり、節税効果が大きくなります。

小規模企業共済の必勝法は、少額でも掛金を長期間払い続けることです。

任意解約でも65歳以上の場合は、有利な退職所得になります。しかし、65歳未満の任意解約の場合は、一時所得になります。

【一時所得の課税額の計算式】
((収入金額)-(支出した金額)-(最高50万円の控除))× 1/2

この金額をその年の他の所得と合算します。

小規模企業共済の任意解約で一時所得になる場合は、掛金を計算式の中の(支出した金額)に算入できません。これは、所得税法施行令183条2項2号のニの規定です。

小規模企業共済では、掛金を積み立てる時に、非課税の特典があるので、任意解約に厳しいです。

例えば、5年間で300万円の掛金を積み立てた場合、任意解約での受け取りは80%の240万円です。

この場合でも、(240万円-50万円)×1/2=125万円が一時所得として、その年の他の所得と合算して、課税されます。

掛金の300万円が一時所得の計算で「支出した金額」にできれば、課税所得はゼロになっていただけに残念です。

小規模企業共済の受け取りは、やはり廃業が有利です。

なので、受け取るときの費用計上方法で選ぶという方法もひとつの手段です。

事業所得と扱いになってもよい場合には経営セーフティ共済、退職所得として退職所得控除をかならず受けたい場合は小規模企業共済制度を選びましょう。

8.まとめ

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もともと経営セーフティ共済は、倒産を防止する危機時に貸し付けが受けられ、掛金が損金・必要経費となるので節税になる、解約しても掛金が戻ってくるなどのメリットがあります。

一方、貸し付けを受けると掛金の一部がなくなること、掛金納付期間が40カ月未満だと元本割れすること、解約手当金を受け取ると益金となるなどのデメリットがありますので、その点も理解して加入を検討してください。

民間企業ではなく国が管理提供するものなので、いままで掛けていたお金を持ち逃げされる心配がなく、経営セーフティ共済が倒産する確率は低く、信頼度の高い共済になります。

もちろんメリットだけではなく、このようにデメリットもあるので、両方の側面を比較しつつ、注意点を加入されてから加入されることが1番大切なことだと思います。

また他の共済制度を調べることで、さらに理解が深まると思い、今回ご紹介させていただきました。

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