法人の方 におススメの逓増定期保険のしくみと活用法・選び方について詳しく解説!

逓増定期保険は、満期保険金がない掛け捨ての保険ですが、契約後早い段階で解約返戻率が高率になるという特徴から、法人の財務強化対策や役員退職金の準備として活用されることが非常に多いで保険です。

今回は、逓増定期保険のしくみと活用法・選び方について詳しく解説していきますので最後までお読みください。

1.逓増定期保険

逓増定期保険についてよく言われていることは、法人の「節税」に役立つ保険商品ということです。

しかし、言葉が「逓増」と聞き慣れないこともあって、よく分かっていないと言うことが現実ではないでしょうか。

「節税」ということについて懐疑的に思っているのではないでしょうか。

でも、実は節税のための保険と言うことは事実なのです。

しかし、それには前提条件があります。

それは、加入時に正しい商品を選ぶのはもちろんのことですが、いくつかあるポイントを押さえた上でということです。

これから、逓増定期保険の基本的なしくみと正しい活用法、選び方について、分かりやすく解説いたします。

1.1.逓増定期保険とは?

まず、逓増定期保険とはどんな保険なのかを解説します。

次の2つの重要なポイントがあります。

  • 保険金が5倍にまで増えていくということ
  • わりと短期間で保険料総額の90~100%台のお金が貯まるということ

です。

1.2.保険金が5倍にまで増えていく

一つ目の特徴ですが、逓増定期保険は、法人専用に設計されています。

そして、保険金が当初の5倍にまで増えていく生命保険であるということです。

それは、法人が将来成長していくのを見越して想定している設計になっているからです。

起業した当時の企業は、どんな大企業も、小さかったと言うことがいえます。

法人が成長して大きくなっていくに従って、万一のことが経営者の方にあった場合には、その分、必要な保険金の額も大きくなるということがお分かりかと思います。

逓増定期保険は、そのことを重点においているのです。

1.3.短期間で保険料総額の90~100%台のお金が貯まる

2つ目の逓増定期保険の特徴は、多くのお金が短期間で貯められるということです。

それは、解約する場合に適切なタイミングで行うと、「解約返戻金」が、それまでに支払った保険料の90%~100%台が受け取れるということです。

ただし、受け取れる率である返戻率は、釣鐘型に推移します。

ですから、返戻率は最高になるタイミングのピークを過ぎると下がっていきます。

このことから、解約する場合は返戻率のピークの頃にする必要があります。

ピークが来る時期については、商品によって幅がありますが、おおよそですが

  • 1/2損金の商品:5~10年後
  • 1/3損金の商品:15~20年後
  • 全額損金の商品:5年後くらい

となっています。

2.逓増定期保険の3つのタイプと選び方のポイント

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逓増定期保険の3つのタイプと選び方のポイントについて解説します。

2.1.逓増定期保険の3つのタイプ

逓増定期保険は、損金に保険料のうちどのくらいの割合を算入できるかに応じて、3つに分かれます

なお、かなり特殊な1/4損金の商品もありますがこれは省きます。

  • 1/2損金タイプ
  • 1/3損金タイプ
  • 全額損金タイプ

これらのうち全額損金タイプについては、35歳までしか加入することができません。

2.2.逓増定期保険は経理処理に注意

逓増定期保険を活用する上で、経理処理を押さえておくことが重要なこととなります。

簡単に説明します。

1/2損金タイプと1/3損金タイプについては、損金に算入されなかった保険料の額は、資産計上されていきます。

経理処理は、1/2損金タイプを例にとると次の通りです。

契約例として54歳・男性とします。

保険期間については20年で74歳満了としますと、

  • 保険料は20年間で5,084,150円です。
  • 万が一の場合に受け取れる保険金については5,000万円です。
  • 返戻率のピークは10年後で96%の48,615,000円となります。

保険料を支払った場合については、

  • 1/2がその時点の保障を受けるための「支払保険料」『費用』
  • 1/2が将来の保障のため積み立てる「前払保険料」『資産』

となります。

保険料支払段階の経理処理については、48,615,000円の解約返戻金を受け取るとその分、現金・預金という資産が増加します。

ただし、解約返戻金の一部は、「前払保険料」として保険料の1/2を保険会社に預けて積み立ててきた合計25,420,750円の資産が姿を変えて戻ってくるということです。

したがって、その分だけの前払保険料という資産がなくなってしまいます。

そして、収益として前払保険料を解約返戻金から差し引いた23,194,250円はとらえます。

税務上、これが益金に雑収入として計上されます。

解約返戻金受取段階の経理処理については、しくみは1/3損金タイプも全額損金タイプも同じです。

違いは、保険料を払った時に資産計上する「前払保険料」が、全額損金タイプの場合についてはないことだけです。

このことから、「前払保険料」という解約返戻金を受け取った時に減少することがないことから、全額が「雑収入」になります。

2.3.重要なのは「いつ解約するか」と「解約返戻金を何に使うか」

受け取った解約返戻金は雑収入で益金です。

従って、それと同額以上の損金を出さないと、税金がかかってしまいますので、「節税」の効果を得ることが出来ません。

そこで、逓増定期保険をプランニングを行う際には、

  • 解約時期について、解約返戻金のピークの時期はいつか
  • 解約返戻金を受け取った時に損金を計上できるどのような使い道があるか

ということが、非常に重要な点です。

前述の2.1で逓増定期保険には3つのタイプがあると紹介しましたが、では、どのように使い分けるべきでしょうか。

次に、解約時期と、解約返戻金の使い道に注目して、大まかな傾向についてそれぞれみてみましょう。

3.「1/2損金」「1/3損金」「全額損金」はこう使う

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逓増定期保険で「1/2損金タイプ」は最もメジャーで、その次が「1/3損金タイプ」、最もマイナーなのが「全額損金タイプ」と言えます。

最もマイナーな全額損金タイプについてその最大の理由は、35歳以下しか加入できないことと、保険料の設定について、あまり大きな保険料を設定できないことからです。

3.1.「1/2損金タイプ」の活用法|5~10年後の資金準備と事業承継に

例外もありますが、大まかな1/2損金タイプの特徴は次のとおりです。

  • ピーク時の解約返戻金の返戻率が90~100%台であるということ。
  • ピーク(90%以上)の時期については5~10年後であるということ。
  • ピーク期間の長さについては長短があるということ。

これらのことからすれば、2分の1損金の傾向としては、資金準備とすれば5~10年後に向いていると言えます。

特に、加入するケースが多いのが、50~60代の経営者の方の退職金を積み立てるためのようです。

また、保険料の1/2を損金算入するので、退職金の積み立てをしながら、会社の資産価値を減らしていくことができますので、後継者の方への事業承継にも役に立つということです。

その結果、後継者の方に自社株式を引き継ぐ時に、後継者の相続税・贈与税を抑えることができます。

3.2.「1/3損金タイプ」の活用法|40代~50代の方の退職金準備に

大まかな1/3損金タイプの特徴は次の通りです。

  • ピーク時の解約返戻金の返戻率は95~110%台ということ。
  • ピークの(100%以上)時期については15~25年ということ。
  • ピーク期間の長さについては非常に長いということ。

3分の1損金の傾向としては、特に40代~50代の経営者の方の退職準備として最適と言うことです。

理由は、40代~50代の経営者の方の場合、リタイア適齢期にさしかかる60~70代にピークがくることからです。

しかも、返戻率100%以上の期間が非常に長く続くものがあります。

極端な例として、そのタイミングで解約返戻金を受け取ったとします。

そのことによって、雑収入が出た場合に、損金を計上する使い道がなくて税金が掛かったとしても、損をするということはありません。

3分の1損金は「節税」の効果はそこまで高くはありませんが、その反面、損をするというリスクについては低いことが言えます。

3.3.「全額損金タイプ」の本当の活用法は?

35歳以下しか加入できない全額損金タイプには、その他に、次のような特徴があります。

  • 返戻率については80%台~90%前後ということ。
  • ピークの時期は4~5年後ということ。
  • ピークの期間については2~3年ということ。

このように、全額損金タイプはピークはすぐに来て、すぐ終わってしまいます。

したがって、おススメできるのは、解約返戻金の明確な使い道が5年後くらいにある場合くらいです。

例えば、多額の出費を業務拡大のための予定しているとか、役員・従業員の方が現在60代くらいの場合に、退職金を準備したいとかの場合といえます。

4.逓増定期保険のメリット

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逓増定期保険にはいくつものメリットがあります。

ここでは、逓増定期保険のメリットについて紹介します。

4.1.逓増定期保険のメリットとは?

逓増定期保険は、満期保険金がない掛け捨ての保険ですが、契約後早い段階で解約返戻率が高率になるという特徴から、法人の財務強化対策や役員退職金の準備として活用されることが非常に多いで保険です。

この保険の特徴は死亡保険金額が経営者・役員の年々増加する責任にあわせて大きくなることです。

実は法人契約で逓増定期保険に加入することで、得られるメリットがたくさんありますので、ここでは逓増定期保険について具体的な6つのメリットを解説していきます。

 4.1.1.一定期間経過後に保険金が増加する

逓増定期保険は、一定期間死亡や高度障害状態に備えることができるという定期保険になります。

これだけ聞くとなんだ普通の定期保険で良いのではないかと思われたのてはないでしょうか。

逓増定期保険の特徴は、契約期間中の保険料は一定のまま、死亡保険金額は契約満了までに契約時の5倍まで増加するという点にあります。

例として、契約当初に保険料2000万円・基本保険金額2億円で契約したものが、契約満了時点では保険料はそのまま2000万円、保険金額は逓増して10億円になるということです。

逓増定期保険の保険料については、年齢・性別・ご契約年数・払込方法等によって変わります。

逓増定期保険は保険料を押さえながら、経営者や役員の方の万一に備えて、保障をその方のその時点での役職や責任に合わせて得ることが可能な保険となっています。

 4.1.2.保険料の一定割合が損金算入できる

上記のように逓増定期保険には死亡保障があります。

しかし、逓増定期保険に多くの法人で加入される一番の目的は、法人税対策と言えます。

逓増定期保険の多くは、損金に保険料の2分の1を算入することが可能です。

また、加入する際に年払にすることで短期前払費用の特例により、その事業年度において1年分の保険料を損金算入することが可能です。

例として2000万の年払保険料のうち、2分の1の2000万円は損金となります。

仮に法人税の実効税率が35%だとすると、「1000万円×35%=350万円」が税金から軽減されたということになります。

この税軽減効果を考慮すると、保険料の実質負担は「年払保険料2000万円▲法人税軽減額350万円=1650万円」となります。

現実は、有効な決算対策が決算間際になるとないということではないでしょうか。

ぎりぎりで資産を購入しても1月分しか減価償却の計上ができません。

更に社宅制度を導入したとしても当期においてはその効果はありません。

駆け込みで300万円以内の少額資産の償却を利用して、備品等を購入したとしても、本当にその備品が必要だったのか疑問が残ります。

そういった中、決算対策にこの逓増定期保険は効果的な手段となります。

 4.1.3.退職金や事業資金に充てられる

逓増定期保険は、死亡保険金や解約返戻金を、

  • 経営者・役員などの死亡退職金・弔慰金や勇退退職金
  • 債務返済や従業員の給与などの事業保障資金
  • 相続対策などの財源確保

のために活用することが可能です。

逓増定期保険は短期間で解約返戻率がピークを迎える特徴があります。

このため、解約返戻金を、5~15年スパンでの役員・従業員の退職金の積立や大きな設備投資のための資金積立などに活用することが出来ます。

この資金積立を仮に銀行預金で行うと全額資産に計上されます。

しかし、保険料の2分の1が逓増定期保険を活用することによって損金算入されますので、利益を圧縮されたその分について法人税の節税が図れるというメリットがあります。

 4.1.4.数年で解約する場合、解約返戻金の返戻率が高率となる

「解約返戻金の返戻率が、契約後数年で95~100%になる」ということが、逓増定期保険の大きな特徴としてあげることができます。

解約返戻金をこの特徴を生かして、有効に活用できる例を2つご紹介します。

 4.1.4.1.解約返戻金を損失補填金に充てる

会社を経営すると、どの会社にも起こりうることが経営状況が浮き沈みすることです。

例として、経営が悪化し赤字決算となったり、資金未回収が発生してしまった場合などにおいては、逓増定期保険を解約することによって、キャッシュとして補填するなどして有効に活用することが出来ます。

この場合には、全額解約せずに部分的に解約することもできます。

このため、受取りたい金額を柔軟に調整することができるというメリットがあります。

このように、上手に逓増定期保険を活用することによって財務強化を図ることが可能となっています。

 4.1.4.2.解約返戻金を退職金に充てる

逓増定期保険の加入の目的として退職準備金とする場合が多いのですが、方法として退職予定時期に解約返戻金の返戻率のピークを合わせて設定するという方法もあります。

そうすることで、退職金の準備について、退職予定時期までの保険料のうち2分の1を損金に算入させつつ準備するということが可能となります。

大きなキャッシュを退職金は伴います。

資金積立を計画的に行わないと実際に退職金を支給できない、もしくは支給できたとしても大きく資金繰りが悪化することなとが懸念されます。

うまく逓増定期保険を活用することによって、準備を計画的に行うことが可能となります。

この2つの例をお読みになって、会社で必要となりそうな資金を、効率よく短期間のうちに積み立てできることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

この活用方法は、短期間で解約返戻金のピークが到来する逓増定期保険ならではの方法と言えます。

この場合、元々解約返戻金で戻ってくる部分については資産計上をしていたため、利益になるということはありません。

しかし、解約返戻金として契約期間に損金として算入していた部分も戻ってきます。

解約返戻金と資産計上の累計の差額が実際に解約した際には含み益としてなることが考えられますので、資産成形の観点からも効果的といえます。

 4.1.5.契約者貸付制度を利用することができる

会社の資金運用で経営者・役員にとって最も頭を悩ませるということは、一時的な資金需要ではないでしょうか。

資金調達の目処が緊急時なのに立たない、融資を銀行から受けるには時間がないというような場合に、逓増定期保険に加入していれば逓増定期保険の「契約者貸付制度」を利用することが可能です。

この「契約者貸付制度」は、保障を継続しながら、解約返戻金を担保として、保険会社から低金利で審査なく資金の借り入れができるという制度です。

多くの保険会社で、貸付額の範囲を解約返戻金の8割~9割前後としています。

この貸付制度を利用することで、一時的にまとまった金額を調達することが可能です。

さらに返済と同時に解約する場合は、解約返戻金から貸付金を相殺する形となります。

会社経営に大きな負担をかけることなくキャッシュを確保することが可能となります。

 4.1.6.契約名義の変更が可能

実は、逓増定期保険を法人契約として契約していて、数年間法人名義で保険料を支払った後に個人名義に契約者を変更する方法があります。

この契約名義を変更する仕組みは一部特殊な逓増定期保険で行うことができます。

法人から個人へ名義変更することによって、法人側では法人税の節税を個人側では所得税の節税を行うことが可能となります。

また、手法によっては自社株対策としても有効といえます。

5.逓増定期保険のデメリット

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逓増定期保険にはいろんなメリットがありますがその仕組上、必ず確認しておかなければならないデメリットがあります。

ここでは、逓増定期保険の具体的な5つのデメリットをみていきましょう。

5.1.キャッシュフローが固定されてしまう

1つめの大きなデメリットとしてあげられるのが、保険期間中はキャッシュが固定されてしまうという点です。

逓増定期保険を特に決算対策で活用する場合は、節税効果を高めるためには、保険料設定をそれ相応とすることになります。

まず初めに、逓増定期保険への加入を検討される場合に考えなくてはならないのが、将来における保険料の支払いが可能かどうかという点についてです。

後述のデメリット5.2で詳細を解説しますが、逓増定期保険は契約後すぐに解約できない仕組みとなっております。

損失なく解約返戻金を受け取るためには、少なくとも4~5年程度は契約を継続する必要があります。

加入する前に、出口までのキャッシュフローを十分に検討する必要があります。

保険料設定の誤りによって保険料を支払うことが出来なくなって、結果的に返戻率の低い段階で解約をしなければならなくなってしまって、大きく損してしまうことや、資金繰りが悪化してビジネスチャンスを逃してしまうこともあることが考えられます。

保険料設定に当たっては、今後の資金繰り対策やビジネス展開などを、よく検討したうえで行うべきです。

また、例えば向こう5年分の保険料を支払いたいといった場合、前納という形で支払は可能ですが、あくまでも損金算入が可能なのは1年分となります。

5.2.早期解約はリスクしかない

前述のデメリット5.1で「逓増定期保険は契約後すぐに解約できず、少なくとも4~5年程度は契約の継続が必要」と説明しましたが、このことは逓増定期保険の仕組みに起因しています。

この逓増定期保険の解約返戻金は、各社それぞれが取り決めしていて、解約年度のタイミングで払込済保険料に対して何%返戻するとしています。

また現在多くの保険会社では、解約返戻率については、1~2年目が0~30%前後に設定されております。

主流となっているのが、そこから5~10年目にかけて右肩上がりに上昇、ピーク時に90~100%となった後、右肩下がりに下降していって、保険期間満了時には0%となるものとなっています。

つまり、1000万円の年払保険料逓増定期保険を、契約後1~2年で解約してしまうと、解約返戻金が0円となるケースがあり得るということです。

したがって、保険料の資金繰りが契約後数年で困難になったり、あるいは今後の資産管理上、保険の継続を不要と判断したことなどを理由として早期に解約してしまうと、上記の例のように払込済保険料がほとんど返ってこない場合や、あるいは全く返ってこないというケースが発生してしまうということです。

万が一保険料の支払いが困難となった場合は、契約者貸付制度を利用することや保険金額を減額することなどをして、解約のタイミングをなるべくピークまたはピークに近い段階で行うことをおススメします。

解約時期には、折角払ってきた保険料が無駄払いとならないよう、十分注意することが必要です。

5.3.解約返戻率のピークには注意が必要

解約については、早期解約だけでなく、返戻率のピークや、保険期間後期のタイミングでの解約についても注意することが必要です。

まず「ピークは1度しかやってこない」ということが、必ず留意していただきたということです。

どの逓増定期保険でも必ず、最大返戻率となる契約年度が設けられております。

高返戻率とその前後の契約年度もなりますが、最大返戻率については契約期間中あくまでも1回のみということです。

もしも、この1回を逃してしまうと、その後徐々に返戻率は下がっていって、最後には0%となってしまいます。

ここで、併せて注意していただきたいことは、このピークのタイミングについては保険会社は通知してこないということです。

保険会社としては、保険商品の販売の前提をあくまでも「経営者・役員のための死亡・高度後遺障害に備える保険」ということで販売しています。

約款上、初回契約時にピークのタイミングを通知すことは義務付けられていますが、その後のピーク通知の義務は規定されていません。

つまり、ピークが来たら解約することは、契約者自身の管理のもと、自己判断で行わなければなりません。

経営者・役員は常に多忙ですが、自身の加入している契約の解約返戻率のピークと解約のタイミングを確実に記憶していなければなりません。

もし、ピークを見落としてしまうと損失が発生する可能性があるという点は、多くの場合でデメリットとなり得ます。

それを防ぐためには、契約のアフタァーフローが加入後にできる、信用のおける保険代理店から加入することが大切なことです。

5.4.「いつ解約するか?」という出口戦略が必要

解約返戻金を受け取る際、解約返戻金に対しては収益とみなされることから、 法人税がかかってきます。

逓増定期保険に加入される一番の目的は法人税対策であるという点を、逓増定期保険のメリットのとこでご説明しました。

保険料の2分の1を、損金に算入することで、逓増定期保険は法人税の圧縮を図ることができるというメリットのある商品です。

これは収支が解約時に赤字となる見込みで、かつ解約返戻金で相殺することができて初めて節税の効果が発揮できるという仕組みになっています。

解約返戻金の取り扱いは収益となります。

そのため、解約返戻金の受け取り時に会社に利益が出ている黒字決済の時点で、解約返戻金を受け取ってしまうと、当然この解約返戻金も収益となりますので、課税対象となってしまいます。

つまり契約時に節税対策として加入していたとしても、解約時点で課税対象になってしまうのであれば、単なる税の繰り延べとなりますので、全く節税効果はなくなってしまうのです。

勇退退職金や事業保障資金などの財源確保を、折角節税をしながらしていたにも関わらず、解約のタイミングを誤ってしまうと解約返戻金にまで課税をされては、保険へ加入したこと自体が無意味になってしまうことも少なくありません。

加入に際しては、契約時に加入目的の明確化と、何に解約返戻金を充てるのか、解約時点での必要経費や解約返戻金について相殺できる金額でなおかつ節税に効果的なのかどうかなど、様々な点を十分考慮する必要があります。

5.5.解約すると保障が得られなくなる

どの保険にも、このことは言えることですが、一旦保険契約を解約すると、保障をそれ以降一切受けることができなくなります。

特に逓増定期保険のように保障内容が大型で契約している場合、当初の加入目的自体が、万が一の場合に大きな保障で備えるという場合も少なくありません。

解約を行おうとする場合に重要課題となることは、解約することによって今後の計画に支障がないか、解約後の継続商品について検討しているか、あるいは他の金融商品を代替案として検討しているかなど、将来を見据えてしっかりとプランニングしていくことです。

6.逓増定期保険の支払保険料の経理処理

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法人名義で契約者及び死亡保険金受取人として生命保険に加入する場合、法人で支払う保険料の経理処理・法人税が加入する保険種目によって変わってきます。

支払保険料の経理処理のみならず、解約した際の仕訳と死亡保険金を受け取った際の仕訳についても解説していきます。

6.1逓増定期保険の支払保険料の経理処理

平成20年2月28日の税務通達により、法人名義で加入する逓増定期保険の支払保険料の経理処理については、次のようになっています。

法人税基本通達9-3-5、同2-2-14、昭和62年6月16日付直法2-2(平成8年7月4日付課法2-3、平成20年2月28日課法2-3課審5-18により改正)によります。
全額損金、1/2損金、1/4損金など、ご加入いただく・被保険者の年齢、・保険期間、・保険料払い込み期間、の設計方法によって損金算入額は異なり、法人税の課税範囲も異なります。

例)

  • 保険期間満了が45歳の場合、保険料は期間の経過に応じて全額を損金の額に算入します。
  • 保険期間満了が70歳~82歳の場合、保険料は期間の経過に応じて下記の通り取り扱います。

(a)保険期間の前半6/10の期間(前払期間)、支払保険料の1/2を資産に計上し、1/2を損金算入します。
(b)保険期間の後半4/10の期間(前払期間経過後)、各年の支払保険料を損金に算入し、(a)により資産に計上した保険積立金を、その後半4/10の期間で均等に按分して損金に算入します。

※ 1の法人契約はレアケースであり、2の法人契約による経理処理が大半です。

これにより、逓増定期保険に加入した際の経理処理として、支払保険料の1/2が損金になると言われています。

 6.1.1.保険期間の当初6/10の期間の仕訳

保険期間の当初6/10の期間の仕訳については、支払保険料の1/2が損金算入(支払保険料)、残り1/2が資産計上(前払保険料)となります。

例)年払保険料400万円の場合

借方 支払保険料 2,000,000円 前払保険料 2,000,000円

貸方  現金・預金 4,000,000円

6.1.2.保険期間の残り4/10の期間の仕訳

  • 保険料の全額が損金算入(支払保険料)となります。
  • 当初6/10の期間の資産計上額を残り4/10の期間で按分し、毎年損金に算入します。

例)年払保険料400万円の場合

借方 支払保険料 7,000,000円

貸方 現金・預金 4,000,000円
前払保険料 3,000,000円

6.2.逓増定期保険の解約返戻金と死亡保険金の仕訳

逓増定期保険の解約返戻金と死亡保険金の仕訳について紹介します。

 6.2.1.解約(解約返戻金受取時)の仕訳

解約時点での解約返戻金から保険積立金として資産計上している額いわゆる前払保険料を差し引いた額を雑収入もしくは雑損失として計上します。

例)年払保険料400万円、5年で解約、解約返戻金は1,900万円の場合

借方 現金・預金 19,000,000円

貸方 雑収入     9,000,000円
前払保険料 10,000,000円

 6.2.2.保険金(死亡保険金受取時)の仕訳

保険金(死亡保険金受取時)の仕訳

死亡保険金から保険積立金として資産計上している額いわゆる前払保険料を差し引いた額を雑収入として計上します。

例)年払保険料400万円、5年後に死亡、保険金は8,000万円の場合

借方 現金・預金 80,000,000円

貸方 雑収入   70,000,000円
前払保険料 10,000,000円

※なお、将来、税制改正された場合には、経理処理が異なることがあります。
実際の税務の取り扱いについては税理士などの専門家にご相談ください。

7.逓増定期保険の払済保険への変更

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逓増定期保険へ加入後、解約返戻金の額が一定の期間を経て一定以上貯まっていれば「払済保険(はらいずみほけん)への変更」という手段がとれる保険会社があります。

払済保険とは、

  • それ以後の保険料は支払う必要はありません。
  • 逓増定期保険から終身保険に変更されますが、その際、死亡保険金は少なくなりますが残ります。
  • 健康診断・告知等は必要ありません。
  • 解約返戻金を受け取ることはできませんが、それ以降運用され徐々に増えていきます。

保険料の支払いを止めようとした考えた場合、まず思いつくのが通常の解約です。

しかし、それでは死亡保障がなくなってしまい、且つ解約返戻金を受け取るということになります。

企業にとって、会計処理は雑収入として益金処理を行い、且つ解約返戻金という現金を受け取る「解約」ではなく、会計処理のみを行い解約返戻金をその時点では受け取らないという、会計処理とキャッシュフローのタイミングをずらす「払済保険への変更」が都合が良いケースがあります。

 7.1.どういう時に払済保険に変更するのか

どういう時に払済保険に変更するのかといいますと、次のような場合です。

  • やむを得ない事情が生じて保険料の支払いをストップさせたい場合。
  • 会計上の損失が発生したため、それを補う益金を計上したい時。
  • その時点では資金繰りに問題はないことから解約返戻金を受け取る必要がない場合。
  • 退職時期まで数年あるため、解約返戻金をその時点で受け取る必要はなく、少しでも運用して解約返戻金を増やしたい場合。
  • 健康上、新たな生命保険には加入することができない理由があって、保険料の支払いはストップしたいけども死亡保障は幾分でも残したい時。

これらの場合に払済保険に変更を行います。

 7.2.払済保険へ変更した場合の会計処理

払済保険へ変更した場合の会計処理についてですが、それまで資産計上していた前払保険料から解約返戻金を差し引いた金額を雑収入として益金計上します。
また、その時点での解約返戻金を保険積立金として資産計上します。

例)40歳 男性経営者、逓増定期保険1億円に加入、年払保険料は400万円
5年後に払済保険へ変更。その時点での解約返戻金は1,900万円

借方 保険積立金  19,000,000円

貸方 雑収入      9,000,000円
前払保険料  10,000,000円

 

8.まとめ

法人の方 におススメの逓増定期保険のしくみと活用法・選び方について詳しく解説!

いかがでしたでしょうか。

法人の方 におススメの逓増定期保険のしくみと活用法・選び方について詳しく解説してまいりました。

逓増定期保険は、保険金がだんだん増えて当初の5倍までになる保険です。

法人の方には、保険料の一部または全部を損金算入できることと、解約した時に高率の返戻金を受け取れることから、節税のための保険商品と言われることもあります。

ただし、リスクとして活用を誤ってしまうと、かえって損をしてしまう場合があると言うことがお分かりになられたのではないでしょうか。

逓増定期保険には、保険料を払った時に損金算入できる割合に応じた「1/2損金タイプ」「1/3損金タイプ」「全額損金タイプ」の3つのタイプがあって、それぞれ、特徴と活用法には違いがあります。

重要なのは、「解約時期」と「解約返戻金の活用法」についてです。

活用する際にはそれぞれの特徴を見極め、また、会社とご自身とのニーズを見極めて、プランニングをしっかり行った上で選んで活用しましょう。

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