最近ニュースでもよく取り上げられる議題である母子家庭の貧困問題。
離婚すると生活費や養育費は具体的にどの程度必要になるのでしょうか。
また、母子家庭が受けることが可能な公的支援や元の配偶者に養育費を請求する方法についても気になりますよね。
この記事では、母子家庭のメリットとデメリット、公的支援サービスや気になる年金、税金の免除方法について紹介してきます。
母子家庭の生活費・年収の平均と内訳
子供1人のケースの場合の生活費は子供の人数や年齢、性別によって異なってきます。
松葉 直隆
母子家庭の生活費
子供1人の場合、家賃が平均して5万円、光熱費は1~2万円程度となり、携帯代は8千~1万円、食費が2~3万円程度になります。
日用品は3千円程度で、生命保険料は3千円程度となります。
松葉 直隆
節約をしていても、ご自身に何かあった時のために生命保険に加入しておくのはおすすめです。
また子供が小学校に通っている場合は給食費が4,500円で、自分の化粧品・美容院代等で5,000円、衣料費等が6,000円程度となるでしょう。
交際費用やレジャー費用は1万円程度になるため、頑張って節約をしてもどうしてもこの程度はかかってきます。
そして子供の習い事があれば1万円程度かかってきます。
家賃は6万円程度で、光熱費が1万3千円~2万円程度、携帯代が1万円~1万5千円となってきます。
食費や3万円~3万5千円で給食費も倍の9千円となってしまいます。
理由別の母子家庭の平均収入は?
母子家庭全体の平均収入は、223万円になります。
仕事をしているシングルマザーの割合は全体で見て80.6%ですが、正社員の割合はたったの39.4%となります。
これに対、パートやアルバイトが47.4%となっていますので、シングルマザーの収入は低く、さらに不安定であることが分かります。
- 離婚
- 未婚の母
- 死別
例えば、全体の80.8%の母子家庭は離婚によって生まれています。
母子家庭である要因が離婚の場合、平均収入は175万円となります。
死別の場合は全体の7.5%となり、原因が離婚の場合より割合は少なく、平均就労収入は256万円となります。
夫と死別して母子家庭となった場合は比較的高い収入を得られることが多いのです。
未婚の母の場合は全体の7.8%となり、死別のケースと同じくらいであることが分かります。
未婚の母の平均就労収入は160万円で、こちらは離婚の場合よりも数字が低く、原因として年齢が若くて就労前に子供を産んだという例も多いという見方があります。
養育費のもらい方
松葉 直隆
母子家庭で父親が生きている場合は、相手に対して養育費を請求することが出来ます。
離婚した場合でも未婚のまま母親になった場合でも可能なのですが、その方法が異なります。
離婚の場合は相手に直接連絡をして、養育費用を支払ってもらうように要求します。
相手が支払いに応じない場合には家庭裁判所で「養育費調停」を申し立てることが出来ます。
どうしても支払いに応じない場合には「審判」に移行し、裁判所が相手に支払いを命令をするようにしてくれます。
もし相手が審判に内容に従わない場合は、給料を差し押さえることもできます。
未婚の場合は、未婚のままシングルマザーとなって相手に養育費用を請求する場合にはまず相手に「認知」をしてもらう必要があります。
これに対して相手が認知に応じないのであれば、家庭裁判所で「認知調停」をしなければいけません。
相手が調停で認知に応じたら父子関係が確認されるのですが、調停でも相手が認知しない場合は「認知訴訟」という裁判が必要になってきます。
また、母子家庭では自身だけの収入で生活を賄い難いので、公的支援の利用を検討する必要性も出てくるでしょう。
では公的支援とはどのようなものなのでしょうか?
母子家庭の公的支援・助成金の種類
母子家庭の公的支援や、助成金の種類についてみていきましょう。
公的扶助や優遇措置
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 児童育成手当
- 特別児童扶養手当
- 遺族年金
- ひとり親か手の住宅手当
- 生活保護
- ひとり親家族の医療費助成制度
- 国民年金、国民健康保険の免除
- 交通機関の割引
- 粗大ごみ等処理手数料の減免
- 上下水道の減免
- 保育料の減免
児童手当とは、0歳から中学卒業までの子供が対象となります。
受給金額は3歳未満の場合には月額1万円、3歳以上の場合は1子と第2子は月額5千で第3子以降は月額1万円となります。
児童扶養手当とは一人親の家庭が受けられる支援となり、金額は所得に応じて変わってきますが、基本の額は4万円~5万円程度となります。
また所得制限があります。
児童育成手当は、子供が18歳になるまでのひとり親家庭が対象となり、子供1人につき1万3,500円(/月額)の支給を受けられます。
またこちらも所得制限があります。
特別児扶養手当とは子供に障害がある場合に支給される手当であり、1級の場合は5万円程度で2級の場合には3万3千円程度となります。
またこちらも所得制限があります。
遺族年金とは夫と死別した場合に遺族年金を受け取ることが出来るものになります。
ひとり親家庭の住宅手当は、20歳未満の子供がいるひとり親家庭で、月額1万円を超える家庭を負担している場合、市町村から助成金を受取ることが出来ます。
生活保護尾は、自力ではどうしても生活できない場合には生活保護を受けることも可能になります。
ひとり親家族の医療費助成制度とはひとり親の場合、市町村から医療助成を受けることが出来ます。
国民年金・国民健康保険の免除は所得が少なくて支払いが困難な場合に免除や減額してもらうことが出来ます。
では次に母子家庭で助成金を得られる種類についてみていきましょう。
トライアル雇用奨励金の詳細
トライアル雇用奨励金とは一体何?
トライアル雇用奨励金とは、「ひとり親」の世帯について子育てとの両立のために求職活動が制限されてしまう、未就業期間が長いために就労能力に不安があるといった就職が特に困難な状況にある母子家庭の方を支援する助成金になります。
この制度は、母子家庭の母の適正や業務を遂行するための能力に合った環境で働けるよう原則3か月間の試用期間を行って、早期雇用促進のきかっけとしてもらうことを目的としています。
また、試用期間を設けることによって仕事内容や就業環境を知ることが可能となり、労働内容との適合性を労働者自身が判断できる期間があることは雇用の際のミスマッチ防止にも役立ちます。
また妊娠や出産によって離職してしまい、トライアル雇用開始前までの1年以上安定した職業に就いていない方も対象になります。
特定就職者雇用開発助成金
助成金は母子家庭の就職困難者の雇用機会を増やすために、ハローワーク等の紹介によって継続雇用する労働者として雇入る事業に対して賃金の一部を助成する制度となります。
松葉 直隆
そして支給にあたり助成金の金額は企業規模によって異なってきます。
中小企業の範囲についてはこの通りになります。
資本金の額や出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 | |
小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは?
キャリアアップ助成金は、日本国内の「非正規労働者の減少」を目的とし、有期労働者やアルバイト等「非正規の雇用者を正社員にする為の制度」を会社が設けて、実際に対象者が発生した時に受給できる助成金になります。
また「正社員化コース」とは、6ヶ月以上雇用実績のある正規雇用労働者が多様な正社員に転換し、さらに6ヶ月継続雇用すると助成金が支給されるコースです。
松葉 直隆
助成金併用で支給額が増額できる
この2つの制度を併用して母子家庭を雇用した場合には、次のような計算式で支給額が受けらえれます。
トライアル雇用奨励金(トライアル雇用期間:3か月間)
月額5万円×3か月間=15万円
特定求職者雇用開発助成金
第1期支給対象期:支給なし
第2期支給対象期:30万円
支給額の合計は45万円となります。
母子家庭のメリットとは?
さて、それでは母子家庭のメリットとは一体何なのでしょうか?
母子家庭になることは、デメリットだけではなくメリットも存在します。
母子家庭用の手当てを貰えることがある
母子家庭のメリットとして挙げられるのは、手当をもらうことが出来る点です。
母子家庭になり、シングルマザーになると国や役所から手当をもらうことが出来ます。
これら手当は、母子家庭の大きなメリットであると言え、活用すべきものだと言えるでしょう。
税金の減免がある可能性がある
2つ目のメリットは、税金の減免がされる可能性があることです。
松葉 直隆
国民年金が半額になる事もある
母子家庭のメリットの3つ目としては、国民年金が半額になる可能性があることです。
国民年金は家計においては大きな負担となりますが、母子家庭なら半額になることもあります。
国民年金額を考慮してくれる点も母子家庭の大きなメリットです。
母子生活支援施設に入れる可能性もある
松葉 直隆
例えば仕事が無くてDBを受けているなどの場合は、施設に入れれば母子の自立を支援してもらえるので、必要な場合にはぜひ活用することをお勧めします。
保育園などに入りやすい
5つ目のメリットとしては、保育園などに入りやすくなることです。
保育園への入所は年々困難になっていますが、母子家庭はたいていの場合優遇されやすいため、大きなメリットとなります。
では反対に母子家庭のデメリットとはいったい何なのでしょうか?
母子家庭のデメリット
母子家庭のデメリットは経済的な不安定さになります。
もっと言えば、ほとんどの母子家庭では所得が低くて贅沢な暮らしや余裕のある生活は出来ないという点です。
もちろんセレブ的な贅沢な生活をしたいと思っているわけではないでしょうが、子供には不自由のない暮らしをさせてあげたいと思うのが親心だと思います。
そういった意味では余裕がない、贅沢は出来ない、という経済面の弱さが辛いところになります。
老後が怖い
まず1つ目は、老後が怖いということです。
子供が巣立った後の自分一人の生活を考えると、不安でたまらなくなることがあるでしょう。
老人ホームに入るにしてもお金がかかりますし、公営住宅などで細々と暮らす一人暮らしの老人の方もいます。
万が一何かあっても誰にも気づかれずに孤独死なんてことも考えてしまい、恐怖と戦わなければいけません。
子供の思春期や反抗期が大変
2つ目のデメリットは、思春期や反抗期が大変ということです。
子供にはある一定の年齢がきたら思春期や反抗期という時期がやってきます。
母子家庭は学校行事への参加が大変
母子家庭は学校への行事への参加が大変です。
特に両親そろって学校へ行く最大の機会である運動会は、明らかに母子家庭と分かってしまいます。
また授業参観なのに仕事が休めなかったりすることもあります。
松葉 直隆
新しい出会いが困難
母子家庭の母親も、若いうちはまだ新しい出会いを求めてしまうかもしれません。
ある程度の年齢になってからも、老後を考えると新しい出会いを探してしまうかもしれません。
母子家庭であることが新しい出会いの障害となることも少なくないのです。
子供がいる=既婚者という一般的な見方があるために、それだけでも出会いの機会は失われていきます。
自分の楽しみは諦める
子供の年齢によって変わってきますが、自分のために自分の時間を使うということはほとんどできません。
こうしたことから趣味や、自分の楽しみを全て諦めなくてはならない場合もあります。
母子家庭である以上は、必然的に女親としての役割だけではなく男親としての役割も果たさなければならなくなるでしょう。
母子家庭の生命保険の選び方
母子家庭の方にとって大きな心配ごとの一つに挙げられるのが、「子供の教育費や養育費」、あるいは「将来の自身の収入」、「自分に万が一の場合の子供の生活費」など経済的な要因が挙げられます。
松葉 直隆
そんな母子家庭の方に、できるだけ少ない保険料で必要な保障を確保できるおすすめの生命保険をご紹介していきます。
学資保険で学業費用の準備をする
学資保険で学業費用の準備をしましょう。
「もし自分に万が一のことがあっても、子供の教育費用について経済的に困らないようにしたい。」と母子家庭の方にとってはそう思うのが人一倍強いことだと思います。
ある程度の教育資金を効率的に積み立てることが出来るのが学資保険になります。
学資保険とは?
一定金額を毎月積み立てることで、高校や大学の入学資金などの教育資金を確保する保険となります。
また学資保険には貯蓄型と保障型の2種類のタイプがあります。
貯蓄型では、教育費用を計画的に確実に積み立てることが出来ます。
またお子様の高校入学や大学入学時に祝い金や満期保険金が支給されます。
またお母様に万が一のことがあった場合には、支払っていた保険料はそれ以後免除されて祝い金や満期保険金は確実に受け取ることが出来ます。
万が一、母親が亡くなった場合には死亡保険金が支払われるために、自立するまでの子供の生活費用として活用することが出来ます。
また、子供がケガや病気になった場合も、医療保険が受け取れて教育費用を確実に貯めながら万が一の場合の子供の生活費用も補填できることを考えると、母子家庭の方にとっては保障型の学資保険を選択される方が良いでしょう。
ただし保障型の学資保険の場合は、充実した保障がある分、貯蓄型に比べて保険料が上乗せすることが出来ます。
収入保障による子供の生活費確保も
「万が一、子供が自立するまでの生活費用は何とか確保してあげたい。」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
母子家庭の方に万一のことがあった際に、お子様には母親が加入している公的年金から最低でも遺族基礎年金は支給されるようになります。
「子供を経済的には困らせたくない」と考えるお母さんにおすすめなのが収入保障保険になります。
収入保障保険とは?
収入保障保険は、働き手である母親に万が一のことがあり家族だけとなってしまった場合においても、家族の毎月の生活費用を補ってくれる保険になります。
この収入保障保険は「お子様の成長に合わせて保険金総額が徐々に減少していく」タイプの保険であり、無駄な保障を削減している分、保険料が比較的割安となっています。
また掛け捨て型の保険であり、10年、20年やお母さんが60歳になるまでといった期間で加入することが出来るので、お子様が自立する20歳になるまでの間だけ保険に加入することで合理的に万が一の場合の保障を得ることが出来ます。
年収に関係なく加入が可能であり、加入者自身で保障額を決めることが出来る点もお母さまにとってもメリットといえるでしょう。
学資保険と収入保障保険をセットにする
松葉 直隆
教育資金は学資保険、万が一の場合のお子様の生活費用を確保する手段として収入保障保険を選択されるのが良いでしょう。
また女性特有の病気があるので、余裕があれば医療保険に加入しておくのも良いでしょう。
母子家庭の年金は免除される?
母子家庭の方は年金は免除されるのでしょうか?
残念ながら母子家庭ということで年金が免除されることはありません。
ですが国民年金保険には、失業などで収入が減少した時や収入が少なくて国民年金保険料が払えない人のために免除制度が設けられています。
母子家庭で収入が少ないという場合は、国民年金保険料の免除制度を利用できる場合があります。
国民年金保険料の免除が認められた場合、以下の通りに免除されることになります。
全額免除
国民年金保険料の全額
一部免除
国民年金保険料の一部(「4分の3」、「半額」、「4分の1」)が免除されます。
免除されると月々の国民年金保険料はいくら?
母子家庭で国民年金が免除されると、月々の国民年金保険料はいったいいくらぐらいになるのでしょうか?
免除が認められた場合に国民年金保険料は毎月下記の位になります。
全額免除 | 4分の3免除 | 半額免除 | 4分の1免除 |
月額0円 | 月額4,130円 | 月額8,250円 | 月額12,370円 |
全額免除になるケースを確認する
国民健康保険料が「全額免除」になる母子家庭の例を計算式に当てはめて確認してみましょう。
全額免除の計算式なてはめて計算するとAさんの所得は「108万円」なので、全額免除の「127万円」以下となります。
母子家庭のAさんの場合を例で考えてみましょう。
母親の場合、年収が180万円で給与所得控除の金額が108万円で子供が2人いたとします。
Aさんの所得は108万円なので全額免除の127万円以下となります。
松葉 直隆
将来の年金への影響は?
全額納付した場合と比べると受け取れる年金額の割合はこのようになります。
全額免除 | 1/2 |
4分の3免除 | 5/8 |
半額免除 | 3/4 |
4分の1免除 | 7/8 |
では母子家庭の税金の免除方法はどうすれば良いのでしょうか?
母子家庭の税金免除方法
母子家庭の場合、一定の条件を満たしていると、税金の減免や免除、助成金や手当などを受けることが出来ます。
1つ1つは小さなものでも積み重ねていくと大きな節約となっていきます。
では税金の減免や様々な割引方法とはどのようなものなのでしょうか?
所得税と住民税の減免
所得税とは?
所得税とは働いたことで得るお給料に対して課される税金であり、住民税は住んでいる場所に支払う税金のことで、前年の所得金額に課税される「所得割」と所得金額に関係なくて皆、同じ金額を課税される「均等割」を合わせた額の税金を納めます。
母子家庭の場合、一定の条件を満たすとこれらの税金が安くなる寡婦控除を受けることが出来て、寡婦控除を適用すると、27万円の所得控除を受けることが出来るのです。
寡婦控除とは夫との死別や離婚をした人を対象にした控除制度になります。
支払う税額が軽減される仕組みのことで、寡婦控除の対象となるには2つの条件のうち1つを満たす必要があります。
- 条件1:夫と死別の後、婚姻しておらず、合計所得金額が500万円以下であること
- 条件2:夫と死別又は離婚後に婚姻しておらず扶養親族がいること
国民年金と国民健康保険の免除
国民年金では前年度の所得が低くて、年金を納めることが困難な場合には申請をすると免除になる場合があります。
免除される額は前年度の所得によって判断されます。
また国民健康保険でも保険料の支払いが困難な場合は、保険料の全額もしくは一部が免除されることもあります。
松葉 直隆
預金利子非課税制度
その他の割引制度として預金利子非課税制度というものがあります。
児童扶養手当や遺族年金を受給している場合に、郵便貯金や銀行預金の350万円までの利子が非課税となります。
通常、銀行などにお金を預けてつくりしいは税金が差し引かれた後の金額となり、この手続きをしておくと税金が引かれずに利子が振り込まれることになります。
まとめ
母子家庭のメリットやデメリットから助成金の種類や公的支援、生命保険の選び方など幅広いことについて紹介してきました。
現状、離婚や未婚によっての母子家庭は生活費の抽出が厳しいのが現状であり、それによって育児ノイローゼになってしまう方もたくさんいらっしゃると聞きます。
松葉 直隆