心の病気は何がきっかけで発症するのでしょうか?
現実には、心の病気を発症することで、親の育児の面が重視されることがあります。
また、心の病気を患っている人の子供も心の病気を罹ってしまったり、看病している人も心の病気を患ってしまうことがあります。
そういったことからも、心の病気と遺伝の関係性は大きく取り上げられることがあります。
ではストレスと遺伝の関係性はどのようなものがあるのでしょうか?
はじめに
一般的に、心の病気は環境の要因・遺伝の要因・性格の要因によって発症すると言われています。
これは、一つの要因によって心の病気が発症することは稀で、基本的にはこれらが複雑に絡み合うことで発症します。
遺伝の面で言えば、特に、うつ病になりやすい遺伝的素因や、ストレスを受けやすいまじめな性格など、本人がもつ生物学的要因や心理学的要因が基本としてあり、それに外的なストレスなどの環境要因が作用することで発症が促されると考えられています。
そのため、うつ病になりやすい人とそうでない人がいるのは確かなことです(ストレス脆弱性仮説)。
1.うつ病の性格傾向
うつ病の人には、以下のようなある一定の性格傾向や気質があることが知られています。
1.執着性格
仕事熱心、凝り性、完璧主義、正直、几帳面といった気質が特徴です。
正義感に溢れ、責任感が人一倍強いことから、周囲からの信頼が厚い優等生タイプです。
しかし、まじめすぎて融通がきかないといった面もあり、頑張りすぎて適度に休むことができず、うつ病になりやすくなります。
2.メランコリー親和型性格
生真面目さという点で執着性格と同じですが、それに加えて秩序や調和を重んじて、人と争うことを好まず、義理がたく、他人への配慮に富み、人に頼まれると断れない性格がみられます。
このタイプの人は人に気をつかいすぎてストレスを溜め込みやすいため、うつ病になりやすくなります。
また、何か問題が起こったときは自分のせいにしがちで、それもまたストレスを抱え込み神経質になってしまう原因にもなります。
3.循環気質
躁うつ病の人に多いとされる性格です。
社交的、善良、親切という基本的な性格に加えて、活発で陽気な気質がある場合には躁に傾きやすく、物静かで柔和な気質がみられる場合にはうつに傾きやすいとされています。
社交的で明朗快活、親しみやすく人を喜ばせるのが好きな性格という性格の一方で、裏返したように失敗をくよくよ悩んだり決断が苦手であったり、必要以上にプレッシャーを感じたりするという面が見られます。
社会的には好まれる性格とされていますが、気分の浮き沈みが激しいという面が「双極性うつ病」になりやすいタイプとされています。
4.自己愛性格
軽症うつ病にみられる性格で、未熟で自己愛の強いタイプです。
他人への依存心が強いのですが、他人への配慮はなく、失敗すると自分を責めるのではなく、他人や他のことのせいにします。
物事が自分の思いどおりに進まないと気がすまず、その葛藤がストレスとなってうつ状態になります。
自己愛性性格、または自己愛性パーソナリティ障害とも言われ「自分は特別である」という肥大した自己意識を持っていることが最大の特徴です。
自己に特別な意識があり(才能がある等)、特別扱いを求める傾向があるといわれています。
その他のケース
以上のような、うつ病になりやすい一定の性格傾向がある一方で、喜ばしいことでもうつ病を引き起こすことがあります。
これは誰にでも起こりうることで、例えば、昇進や家の新築、子どもの進学や独立などがあります。
たとえ喜ばしいことでも、これまでの生活環境が変わってしまう「日常生活上の変化」があると、それがきっかけとなることもあるのです。
2.鬱の始まり
うつ病の始まりは朝起きにくくなること、夜寝付きにくくなることです。
これがしばらく続くと今度は日中だるくなってきます。それを放っておくと頭痛や吐き気、極度の倦怠感など、身体症状が出てきます。
こうなったら既に遅く、しばらくの休養と薬の服用が必要になってしまいます。
朝起きられなくなった時点で改善策を練ります。週末などの休みを利用して1日中自分のためにぐっすりと休みましょう。夜は早めに就寝するようにします。ストレスはできるだけ抱えないよう、工夫をしましょう。
3.すぐにできる3つの予防
うつ病になりやすい性格的傾向があると思われる方も、意識して行動することで予防できることがあります。
ただ、極端な行動はストレスになることもあるので、無理をしない程度に行動します。
1.思考を変える
例えば物事を白か黒かで考えるというタイプの人はグレーがあってもいい、そういった自分を受け入れるように意識することが大切になってきます。
2.食生活を整える
2つ目の食生活の見直しですが、うつ病は脳内のセロトニン不足による説が有力とされています。
セロトニンは「トリプトファン」という成分から作られるため、トリプトファンを多く含む肉類・乳製品・納豆はうつ病予防に効果的。
ただし食事はバランスよく摂取することが大切です。
3.太陽の光を浴びる
3つ目の太陽の光ですが、日照時間が少ないことで起きるといわれる「冬季うつ」というものがあり、北欧で発症する率が高いと言われています。
高緯度のため日照時間が極端に短かったり、日が昇らない期間があるなどの理由です。
陽の光はセロトニンを増やす上で効果的と言われています。
朝の起床とともに5分日差しを浴びるこことでも自律神経も整えられると言われているため、天気が良ければカーテンを開け、朝日を浴びましょう。
まとめ
「心の病気は本人が弱いせいだ」と断言する人がいますが、以上のようなストレス脆弱性は皆が少しずつ持っているものです。
遺伝の影響は少しずつあるにしろ、それが環境の変化や大きなストレスに促され発症します。
また、家族が病気になることで、病気のうしろめたさから、一人だけで懸命に看病した結果、疲れてしまい、看病していた人が心の病気になってしまうこともあります。
他にも、心の病気を患っていると思われる人は、小さな子供にも影響してしまうことがあります。
看病は家族や友人等、皆で支え、医療機関とも連携することで早期治療に繋がります。
周りの方が気にかけてあげることで病気が広がらないようにしてあげるといいでしょう。