みなさんは保険についてどのくらいの知識をもっていらっしゃいますか?ファイナンシャルプランナーや保険会社勤務など保険に関するお仕事でもしていないかぎり、保険の知識に自信があると答えられる方は少ないのではないでしょうか?
すでに保険に加入している保険でも、何のための保険なのか?どうしてその保険に加入しているのか?などを即答するのは難しいですよね。
ある特定の保険の説明だけを受けても、保険という仕組みの全体像が理解てきていないとほんとうに必要な保険なのかどうか判断するのは容易ではありません。
わたしもFPさんとの打ち合わせを何度も重ねて、ようやくじぶんの保険加入状況に自信を持てるようになったパターンでした。
そこで、今回は保険のプロではない方が、保険の仕組みの全体像を理解できるようになるために必要な知識を一般の人の視点からまとめました。
保険のことばは専門用語が多い上に複雑なので一般の人には理解が難しく、苦手意識を持たれることの多い保険。しかし、保険の仕組みの全体像を知ることで、個別の保険に関する理解度がぐっと高まります。
木を見て森を見ずという諺は、保険の仕組みにもぴったりと当てはまります。
全体像を理解して、賢く保険を選べるようになっていただければ幸いです。
目次
1 そもそも保険って何だろう?
1-1 小学生でもわかる保険の仕組み
1-2 保険はいつどこで始まったのか?
1-3 保険が必要なワケ
2 保険を分類分けできるようになろう
2-1 もしもに備える保障は3つあることを理解しよう
2-2 「生命保険」と「損害保険」何が違う?
3 生命保険はどんな保険があるの?
3-1 生命保険の3つの基本形
3-2 生命保険の種類
4 損害保険はどんな保険があるの?
4-1 目的別の4分類
4-2 自動車(バイク)事故の補償を目的とした保険
4-3 住まいの損害補償を目的とした保険
4-4 身体の補償を目的とした保険
4-5 その他の補償を目的とした保険
5 公的保障は何があるの?
5-1 遺族年金があります
5-2 働けなくなったときには障害年金
5-3 公的な医療保険があります
6 法人保険ってなんだ?
6-1 経営者保険メリットとは
6-2 福利厚生保険のメリットとは
7 保険選びの基本ステップ
7-1 まずは現状を把握すべし
7-2 必要保障額を試算してみよう
7-3 保険の賢い選び方とは
8 まとめ
目次
1 そもそも保険って何だろう?
保険の仕組みを理解するために、まず知っておきたいのが「保険とはなにか?」ということです。
ぼんやりとしたイメージしか浮かばないという方がほとんどなのではないでしょうか。
ここでは保険の仕組みの概要と歴史、保険が必要だと言われる理由を探っていきましょう。
1-1 小学生でもわかる保険の仕組み
保険の仕組みとはいったいどんなものなのでしょうか?わかりやすくするために、例を挙げて考えてみましょう。
むかし昔、あるところで農民たちが大金持ちに道具を借りて畑を耕していました。
ある日、農民の正吉がいつものように道具を借りて作業していると、道具が壊れてしまいました。
道具が壊れてしまったことを知った大金持ちは激怒して言いました。
「壊したのは正吉なんだから正吉が道具の修理代を払え!!
さもないと道具は使わせない。道具がないと畑も耕せず飢え死にしてしまうぞ。」
正吉の生活は楽ではなく、とても困りましたが仕方なく10万円支払いました。
100名の農民で使っているその道具は、だいたい年に1度壊れます。
壊れるたびに農民の誰かが10万円を大金持ちに支払っていました。
そこで正吉は考えました。
農民100名が毎年一人当たり1,000円のお金を出し、お金をまとめておき100名のうち誰かが使っているときに道具が壊れたら修理代はまとめたお金から支払う仕組みにすれば安心して農作業ができるかもしれない!
この考えを仲間の農民に話すとみんな大喜び。この仕組みのおかげで安心して農作業ができるようになりましたとさ。
この正吉の考え方が「保険」の仕組みそのものなのです。農民みんなが農具が壊れたときに備えて出し合うお金が保険料(掛け金)。そして、修理代が保険会社から支払われる保険金というわけです。
起こったら困る事態に備えるために、多くの賛同者が少しずつお金を出し合って大きな準備財産を作り、仲間にもしものことが起こった場合にはそこからお金を出して仲間を助けるのが保険の仕組みなのです。
つまり、多くの人が抱えるリスクへの不安と助け合いの精神から生まれたものなのですね。
1-2 保険はいつどこで始まったのか?
上の例では正吉という仮想の日本の農民を主役にしましたが、実際には保険という仕組みはいつどこで始まったのでしょうか?
生命保険は中世のヨーロッパの都市ではじまったといわれています。
ギルドという同業者の組合があり、ギルドでは仲間が仕事で困ったときの資金援助や、病気やケガで働けなくなっときの生活援助。家計を支えていた人が亡くなったときには遺族への生活援助を行っていたそうです。
17世紀にはイギリスのセントポール寺院にて仲間が亡くなったときに香典を出すために毎月一定額のお金を支払うという制度ができたという記録が残っています。
やがて、18世紀になると実際の死亡率に基づいた生命表が作られます。この生命表に基づき、合理的に保険料計算した「生命保険」がついに誕生します。17世紀のセントポール寺院ではじまった生命保険の元祖ともいえる仕組みは、保険料と保険金のバランスが取れていなかったため破たんしてしまっていました。
しかし、18世紀の生命表に基づいた生命保険は、理論的な計算基礎に基づいて保険料をもらうことができたため、破たんすることなく保険金の支払いもきちんとできるようになったそうです。
その後、生命保険は生活環境の変化に応じて多彩な進化をとげ現在に至っています。
1-3 保険が必要なワケ
このように保険はリスクへの不安と助け合いの精神から生まれたものです。
17世紀の生活と比較すれば、わたしたちの生活はずっと安定し豊かになりました。豊かになったと同時に、リスクへの不安は消えたのでしょうか?まったく、生きていく上での不安は消えていませんね。
17世紀では想像もつかなかったほど多くの人が車を運転して生活しています。車を運転できることにより、人々は短時間で以前より体力の消耗も少なく移動できるようになりました。
しかし、それは徒歩や馬での移動ではありえなかったほどの事故のリスクも抱えています。
病気やケガで高額の治療代を抱えるリスクも消えていませんし、老後の不安もあります。
時代は変わっても姿を変えて存在し続けるリスクや不安に備えるために、保険の必要性は現在も続いています。
保険商品だけみていると、リスクや不安に備えることだけ考えがちですが、保険には時代が変わっても続く暖かい心、助け合いの精神も根底に流れていることをぜひ認識していただきたいと思います。
2 保険を分類分けできるようになろう
助け合いの精神とリスクへの不安に備えるために誕生した保険ですが、人生にはいろいろなリスクが存在しています。
様々なリスクに対応するために、新しい保険商品が開発され続けています。
そのため一般の人にとっては、保険の種類も数も多すぎてわかりにくいと感じている方がほとんどです。
そんな保険の全体像をつかむために、まずは保険の分類分けをご紹介いたします。
2-1 誰が保障してくれるの?
保険は様々な「もしも」に備えるものですが、誰が保障してくれるのか?という観点からみると大きく3つにわけることができます。
それは「公的保障」「企業保障」「個人保障」の3つです。
公的保障とは国民年金や国民健康保険など国などの公的機関による保障です。日本国籍をもっており年金の支払いなど所定の条件を満たしていれば、もしものときには保障を受けることができます。
企業保障は死亡退職金や厚生年金など、勤めている会社による保障です。個人事業主の方などは企業保障がない場合もあります。
そして最後に個人保障です。個人保障は自分で準備する保険や貯金などのことを指します。
保険というと、個人保障だけを想像しがちですが日本には充実した公的保障があります。もしもの時に必要な保障を個人保障だけを前提にして予想するのではなく、どんな公的保障や企業保障が受けられるのか知っておくことで無駄な保険への加入を防ぐことができます。
2-2 「生命保険」と「損害保険」何が違う?
誰が保障してくれるのか?という観点からは3つに分類できた保険ですが、次は「何を補償するのか?」という観点から考えると2つに分けることができます。
生命保険は「人」に関わるリスクを保障してくれる保険です。
病気やケガ、死亡など私たちが生きていく上で、身体上のリスクやアクシデントは避けられません。
自分や家族が病気やケガ、死亡するなどの事態と遭遇してしまったとき、生活が経済的に困難になってしまうというリスクに備えるのが生命保険です。
生命保険は生命保険会社が取り扱っています。
これに対し、損害保険は「モノ」に関わるリスクを保障してくれる保険です。
私たちは様々なモノを使って生活しています。
車や住宅などが事故や火災、地震、盗難などにより損害を受けると、生活が経済的に困難になってしまうリスクが存在します。
そんなリスクに備えるのが「損害保険」です。損害保険は損害保険会社が取り扱っています。
大きく分けるとこの2つに分けられる保険ですが、次からは生命保険と損害保険の保障内容を少し掘り下げてみてみましょう。
3 生命保険はどんな保険があるの?
「人」に関わるリスクを保障してくれる生命保険ですが、人に関わるリスクとひとことで言っても様々です。そこで生命保険をわかりやすくするために使われている基本的な分類をご紹介します。
3-1 生命保険の3つの基本形
生命保険には大きく分けて3つの基本形があります。
その3つとは「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」の3つです。
「死亡保険」はその名のとおり死亡や高度障害状態になったときに保険金の支払い対象となる保険です。定期保険や終身保険がこれにあたります。
例えば、毎月一定額の死亡保険料を支払っていた方が亡くなった場合、家族などの受取人に契約していた額の保険料が支払われます。
「生存保険」は契約してから満期まで亡くなっていない場合に保険金が支払われる形です。年金保険がこれにあたります。
たとえば、毎月一定額の生存保険料を支払っていた方が満期である60歳になった場合、被保険者に対し契約していた保険金が支払われます。
そして「生死混合保険」は死亡や高度障害状態になった場合には死亡保険金が、満期まで生存していた場合は生存保険金が支払われる形です。養老保険がこれにあたります。
たとえば、毎月一定額の生存保険料を支払っていた方が満期である60歳までに亡くなった場合は死亡保険金が、生存したまま60歳になった場合には満期金が支払われます。
このように生命保険は保険金が支払われる条件によって3つの基本形があります。
現在は3つの基本形に加えて、病気やケガで入院や手術などで一定の条件を満たした場合に給付金が支払われる「医療保険」や、特定の病気にかかったり、要介護状態になったりして経済的に困窮することが予想できる状態となった場合に、一時金が支払われる「生前給付保険」なども生命保険の一種です。
「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」などを単独で、あるいは組み合わせることで生命保険は成り立っています。
3-2 生命保険の種類
3つの基本形と派生商品から成り立っている生命保険には、「リスク」に応じた3つの種類があります。
1)死亡のリスクへの備え
死亡により残された家族の生活が困窮するリスクに備える保険の種類があります。定期保険、収入保障保険、終身保険がこれにあたります。
定期保険は保険加入期間のみしか保障がなく掛け捨てとなる可能性がありますが、安い保険料で大きな保障ができるというメリットがあります。
収入保障保険も保険加入期間のみしか保障がありませんが、年金方式で保険金が受け取れます。
これに対し保障が一生涯続き、掛け捨てタイプの保険ではないのが終身保険です。ただし保険料が高くなるというデメリットがあります。
2)入院・手術費用への備え
入院や手術費用が高額になり本人やた家族の生活が困窮するリスクに備える保険の種類があります。医療保険、がん保険、特定疾病保障保険などがこれにあたります。
医療保険は、入院や手術時の出費に備える保険です。保険料の支払期間中のみ保障する定期タイプと、保障が一生涯続く終身タイプがあります。
がん保険は病気のなかでもがんによる入院や手術時の出費に備える保険です。
生涯でガンと診断される確率は男性で63%、女性で47%というデータ(国立がん研究センターがん対策情報センターの2012年データ)にあるように、日本人にとってガンへのリスクが身近なものであることから生れた保険商品です。
近年では、ガン以外にも特定の病気での入院や手術時の出費に備えるために開発された特定疾病保障保険などもあります。
3)将来の生活資金の備え
資産形成を主な目的とした保険がこれにあたります。養老保険、年金保険、こども保険、貯蓄保険がこれにあたります。
高齢化により収入が減ってしまうリスクに備えるために貯蓄という方法だけではなく、年金保険で資産を形成することができます。
年金保険は年金開始日まで生存していた場合には、保険料の支払総額よりも保険金の受取金額が大きくなるケースが多いのですが、年金開始日までに死亡した場合の死亡時の保障は小さいというデメリットがあります。
また、こども保険は生計を支えている親にもしものことが起こった場合に、こどもの進学などの夢を経済的な面で支えるために生まれた商品です。
このように目的や支払い条件によって分類できる生命保険ですが、基本は「人」に関わるリスクに備える保険です。
一見複雑に見える保険でも、具体的にどんな場面のリスクに備えた保険なのか、どんな条件で保険金が支払われるのかに注目すると保険の全体像がわかりやすくなるはずです。
4 損害保険はどんな保険があるの?
「モノ」に関わるリスクを保障してくれる損害保険にはどんな種類の保険があるのでしょうか。具体例をみていきましょう。
4-1 目的別の4分類
生命保険と同じように損害保険も目的別で分類することで理解しやすくなります。
損害保険の場合は4つの目的「自動車」「住まい」「身体」「その他」に対するリスクを保障する目的に分けることができます。
まずは最も身近な存在である「自動車」に関わるリスクを保障してくれる損害保険からみていきましょう。
4-2 自動車(バイク)事故の補償を目的とした保険
私たちの生活で身近な道具となった自動車。その自動車事故による損害の補償を目的とした保険が自動車保険です。
自動車保険は法律で加入が義務付けられている「自賠責保険」と個人の判断で加入する「任意保険」の2つに大きく分けられます。
「自賠責保険」のみではなく多くの方が保険費用負担が発生しても「任意保険」に加入しています。
その大きな理由が「自賠責保険」の補償範囲の狭さです。「自賠責保険」の人身事故で生じる損害補償費(治療費、損害賠償費)は最大保証額が低く、物損事故は補償対象外です。
車の事故では1億円近くの賠償金を支払うリスクで抱えいます。このリスクに対する保障内容として「自賠責保険」だけでは足りません。そのため多くの方が「任意保険」にも加入しています。
近年では、自動車保険と似た商品で「自転車保険」も注目を集めています。
エンジンの付いてない自転車に保険の加入義務はありません。しかし、自転車事故でも高額な損害賠償請求が発生するケースが話題となり、兵庫県や大阪府では自転車保険への加入を義務付ける条例が施行されました。
我が家もこれらの流れを受けて、小学生の息子と娘を数億円の損害賠償にも対応してくれる自転車保険に加入させています。自転車保険は月500円程度の保険商品が多く、手ごろな価格で大きな保障が得られるので安心ですね。
4-3 住まいの損害補償を目的とした保険
建物や家財の損害に備える保険として、火災保険と地震保険があります。
火災保険はその名のとおり火事で経て建物や家財が燃えてしまうことによる損害を保障してくれる保険です。
火災のみではなく、風災、雹(ひょう)災、雪災などによる損害も補償範囲に含むことができ、どのような災害に備えるのか選択できる商品が一般的です。
また火災保険で注意が必要なのが「建物」のみを保障の対象とするのか、「家財」も保障の対象とするのか選択する必要があることです。
もしも火災が発生した場合、被害の範囲は建物のみではなく家の家電や家具などの家財にも及ぶはずです。しかし、家財も保障対象とすれば保険料は値上がりします。
さらに、火災保険の保険料は自転車保険のように一律ではありません。建物が木造なのか?鉄筋コンクリートなのか?耐火基準は?建物が立っている環境は?などの条件によって大きく保険料が変わります。
雑誌やパンフレットの例がじぶんに当てはまるとは限りませんので、保険の見積はきちんと実際のじぶんの建物の条件で算出しなければなりません。
地震保険も同様です。地震による建物や家財の損害に備える保険が地震保険ですが、地震のリスクが高いと予想されている地域は保険料が高くなります。
4-4 身体の補償を目的とした保険
続いては病気や事故による入院、通院、死亡などで生じた損害を填補する損害保険です。
生命保険の保障と似た内容の保険もありますが、旅行傷害保険やスポーツ障害保険など損害保険ならではの保険があります。
旅行傷害保険は加入したこともある方が多いのではないでしょうか。旅行中のケガや病気に対する補償を受けることができます。
スポーツ傷害保険はスポーツのプレー中に起こる事故に備えることができます。自分のケガだけでなく他のプレーヤーの身体やモノを傷つけてしまった場合も対象となります。
地元のサッカーチームに所属する甥っ子はスポーツ損害保険に加入しています。サッカーは相手と接触することも多く、保険に加入していた方が親として安心なのだそうです。
4-5 その他の補償を目的とした保険
上記には分類できないこれ以外の損害保険はいくつかありますが、その1つが盗難保険です。
特定の持ち物が盗難にあった場合に、その損害を補償してくれる保険です。
火災保険や旅行傷害保険に盗難補償を付帯したり、自動車保険やバイク保険にも付帯させるケースがあります。
このように損害保険はその保障が必要な一定期間加入するのが一般的です。生命保険とは異なり、しっかり「損害保険だ!」と意識せずに加入していたり、保険のお世話になった経験がある方も多いのではないでしょうか?
私も自動車保険の任意保険の付帯サービスを利用した経験があります。車のバッテリーあがりで車が動かなくなってしまうというアクシデントのときに、自動車保険のサービスを利用しました。
身近な場所で支えてくれる損害保険。生活環境に応じて必要な保険を選択して、安心して毎日を過ごしたいものですね。
5 公的保障は何があるの?
ここまでみてきた生命保険と損害保険は、個人や企業が選択加入する保険でした。
私たちが住んでいる日本には国が国民の損害リスクを保障してくれる「公的保障」があります。
公的保障は具体的にどんな状態になったときに、どんなことを保障してくれるのか知っておきましょう。
5-1 遺族年金があります
まず、はじめにご紹介するのが遺族年金です。
年金と聞くと、高齢になったときの生活を維持するために高齢者を対象に一定額のお金をもらうものだと考えている方が少なくありません。
しかし、それは年金の一部である老齢年金の部分だけを指したものです。
年金には生命保険に似た機能をもつものがあます。それが「遺族年金」です。
遺族年金は家計を支えている人にもしものことがあったとき、残された家族に支払われる年金です。
加入している年金や子どもの年齢や人数によって支給される額が異なります。
国民年金 | 厚生年金 | 共済年金 | ||
子どもあり (18歳未満) |
子1人 | 84,358円 | 134,441円 | 134,441円 |
子2人 | 103,575円 | 153,358円 | 153,358円 | |
子供なし | 妻40歳未満 | 0円 | 49,783円 | 59,733円 |
妻40-64歳 | 0円 | 99,091円 | 109,041円 | |
妻65歳以降 | 65,741円 | 115,525円 | 125,475円 |
※詳しくは日本年金機構の遺族年金ページでご確認ください。
家計を支えている人にもしものことがあった場合に、残された家族のために保険を検討する場合に「遺族年金」があることを意識せずに必要保障額を計算してしまう人が少なくありません。
今のじぶんの条件でどのくらいの額を受取れるのか、おおよその額を把握しておきましょう。
5-2 働けなくなったときには障害年金
生活を支えている人が亡くなった場合に、残された家族に支給されるのが遺族年金です。しかし、亡くなりはせずとも病気やケガで働けなくなってしまったら生活は困窮します。
そんな事態に支払われる年金が障害年金です。
障害年金が支払われるにはは、初診日当日に国民、厚生、共済年金のいずれかに加入しており一定期間保険料を払っており、障害の程度が条件を満たしていることが条件となります。
障害年金の受給要件を満たさない場合でも「障害手当金」であれば受給できる場合があります。
障害等級は障害の程度によって1級から3級に分けられています。
障害年金の受給額は、平成26年 年金制度基礎調査によると厚生年金保険に加入していて3等級の方の平均が月額56,289円。2等級の方は115,651円。1等級だと153,399円。
国民年金で2等級の方の平均が月額65,491円。1等級だと80,844円だそうです。
上の数値はあくまで平均で、実際の受給金額は加入していた公的年金や障害等級の違い、配偶者や子どもの有無などによっても金額が変わってきます。
5-3 公的な医療保険があります
さらに、私たちが住んでいる日本には公的な医療保険があります。
すでに当たり前になりすぎていて、意識していないかもしれませんが、健康保険などが適用される医療費の場合の自己負担は基本的に70歳未満で3割におさえられています。
窓口で3000円の医療費を支払い「高いな」と感じていたとしても、もしも公的な医療保険がなければ10,000円支払う必要がある治療を受けているわけですから、ありがたいですね。
また、高額療養費制度というものも存在しています。1ヶ月の医療費の総額が100万円であっても自己負担額は約9万円程度に抑えられる仕組みです。
治療内容によっては対象外となるものも存在するので、それらについても保障を求める場合であったり、自己負担をさらに減らしたい場合は、個人で医療保険を検討することとなります。
6 法人保険ってなんだ?
ここまで様々な保険をご紹介してきましたが、最後に「法人保険」と呼ばれる保険をご紹介します。
法人保険は契約者を個人ではなく、法人にして加入するタイプの保険です。
法人という立場の特性上、単なる保障だけではなく税金対策、退職金の準備、福利厚生など様々な目的で加入することができます。
法人保険は、誰を保障するのか?という被保険者で二分することができます。
経営者にかける「経営者保険」と、従業員にかける「福利厚生保険」の2つにわけで法人保険の基礎をご紹介します。
経営者の方は、法人保険の基礎知識も身につけて、従業員の為にも経営者の為にも、上手に保険を利用して安心を増やして頂ければ幸いです。
6-1 経営者保険メリットとは
貯蓄性のある生命保険は、個人でも貯蓄目的で利用されることの多い商品ですが、法人の場合は退職金等の資金を積み立てるのに利用できます。
終身保険以外の保険は、保険料の全部または一部が損金に算入されるので節税になります。
また保険を適切なタイミングで解約して解約返戻金を受け取れば、退職金や大規模な出費に充てることができます。経営悪化のリスクに備えることもできるのです。
医療保険に関しては、終身タイプの医療保険の保険料を短期払いにし、払込が終了してから経営者個人に名義変更するというプランがあります
在職中は病気・ケガの場合に給付金を受け取れるので、、もしもの時の治療費や、経営者が働けないことによる赤字を経済的にサポートしてくれます。
医療保険も保険料は全額が損金に算入されれるので、節税対策にもなります。
そして、保険料の払込が終わったら、保険の契約者名義を会社から個人に変更します。
このようにすれば、経営者・役員は退職後、一生涯にわたり、保険料を1円も支払うことなく、医療の保障を受けられるというメリットがあります。
このように契約者を経営者にすることにより、様々なリスクに備えることができます。
6-2 福利厚生保険のメリットとは
続いては従業員を被保険者とする福利厚生保険をみていきましょう。
「福利厚生保険」は、従業員の福利厚生の制度を効率よく整えるために活用される保険です。
一定の条件をみたす従業員を全員にかけることが原則となっています。従業員と一緒に、経営者や他の役員にもかけることができます。
福利厚生保険は「養老保険」「医療保険」「がん保険(解約返戻金なし)」の3つがあります。
養老保険は、従業員を被保険者として加入することで、従業員自身の退職金と、遺族のための「死亡退職金」の制度を同時に整えることができます。
この制度により、従業員に万一のことがあった場合や従業員の老後への心配を和らげることができます。
医療保険とがん保険は、従業員が病気になったときには会社に対して所定の給付金が支払われ、その全部または一部を「見舞金」として従業員に支払うことができます。
こういった会社の福利厚生制度は従業員の心身の健康に配慮しているという姿勢を示すことができます。
会社にとっても従業員にとってもメリットが大きな福利厚生保険ですが、1つ注意点があります。
福利厚生に保険を活用するのであれば「福利厚生規定」が必要となります。
もしも「福利厚生規定」を作成しておかなければ、保険金受取の時に従業員や遺族とトラブルになる可能性や税務調査が入った時保険料の損金算入という扱いが否定されてしまう可能性があります。
福利厚生に保険を活用することになったら「福利厚生規定」を作ってくださいね。
7 保険選びの基本ステップ
これらの基礎知識を踏まえた上で、保険選びの基本ステップを確認していきましょう。
7-1 まずは現状を把握すべし
保険選びで最初にすべきことは、会社であっても個人であっても現状は把握です。
- 年金に加入していると思っていたが、実は年金保険料を支払っていなかった。
- どんな保険にどんな目的で加入しているのか実は理解していない
- 貯蓄の総額が不明でもしもの時にどのような経済状況になるのかわからない。
- 親が知らないうちに自分名義の保険を作っていたことを知らなかった。
このような事態は珍しいことではありません。
まずは現在の資産状況、加入している保険、家計の状況の棚卸をすることが、一番大切なステップとなります。
7-2 必要保障額を試算してみよう
次にすべきことは必要保障額です。もしものことが起きた場合に、どのくらいの保障が欲しいのか必要保障額を試算してみてください。
保障額が高額になればなるほど、保険料も高くなります。現在と少し先の未来の家計の状況を予想しながら検討します。
家の購入や、進学、車の購入、海外旅行などの夢を持っている方は、ぜひライフプランニングをしてみてください。
保険は上手く利用すれば、夢を実現するサポートにもなります。面倒だと思わずに、ざっくりとした内容で十分なので、ぜひワクワクしながらライフプランを立ててみてください。
家計の現状が楽ではない場合は、無理なく払える保険料を基準に保険商品を探した方が賢い保険商品を選択できる場合もあります。
すでに保険に加入している方も、ぜひ必要保障額を算出してみてください。場合によっては、過剰な保険に加入しているケースもみつかるかもしれませんよ。
7-3 保険の賢い選び方とは
保険の賢い選び方とはなんでも安い商品を選んだり、とにかくオプションが多い商品を選ぶことではありません。
自分のほんとうの夢と、ありのままの現状を知り、それらをサポートしてくれる保険を選ぶのがもっとも賢い選択です。
また、自分自身の生活環境が過去にシュミレーションしたとおりに展開するとは限りません。
ぜひ定期的に保険を見直してください。年に1度加入している保険を確認してみたり、住宅購入や進学など生活環境が大きく変わる時期にFPさんに相談してみるのも良い選択です。
保険商品自体が時代の変化とともに進化しているので、定期保険を機械的に更新するのではなく、新しいタイプの保険に乗り換えた方が得をする場合も少なくありません。
現状把握と定期的な見直しという基礎的で難しくない行動ができるかできないかが、保険で損をしないカギとなります。
保険の見直しをきっかけに自分の夢を再確認できたり、やめられなかった悪い生活習慣を絶つきっかけになる方も少なくありません。
ぜひ、この記事を読んだことを機に現状把握してみてください。
8 まとめ
ここまで超初心者向け保険の教科書ということで保険の全体像をご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
予想外に公的保険に守られていることを知った方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちょうど昨日、わたしの手元に日本年金機構からねんきん定期便が送られてきました。
よく意味が理解できないからと、よく読みもせずに捨ててしまっている方が多いかもしれませんね。
確かにねんきん定期便のハガキには老齢年金しか記載されていません。
しかし、実際には家族の生計を担っている人にもしものことが起きた場合には、遺族年金が支払われますし、何らかの理由で働くことができなくなってしまった場合には障害年金だって受給できます。
これらのことを理解していただけれたのであれば幸いです。
プロではない方は保険商品の細部まで理解する必要はないと思います。
しかし、まったく知識がないというのも問題です。
今回の記事を理解できるレベルになれたのであれば、おそらくファイナンシャルプランナーや保険の営業さんの説明がぐっとわかりやすくなったはずです。
保険の基礎は自ら学び、家計の現状や将来への夢を描きながら、必要であればファイナンシャルプランナーや保険の営業さんなどプロのアドバイスを求めましょう。
そして、最終的にはみなさんが自ら適切な保険を選択できる賢いお客さんになっていただければ幸いです。