生命保険と税金は私たちの身近な生活と深い関りを持っているのに、
難しすぎて頭を悩ませている人は多いのではないでしょうか
家計の見直しはするのに、保険の見直しは後回しにしてしまう。
ただでさえ生命保険だけでも難しいのに税金まで…。
実は、生命保険も税金もザックリ分けると3種類だけなんです!
いざという時の生命保険なのに、その『いざ』という時に保険金を受け取って困ってしまう。
なんてことが無いように、元保険外交員で現在は家計を握る主婦が
生命保険と税金について分かるやすく解説いたします。
すぐに試せる内容が満載!
難しかった生命保険と税金の関りが7つのポイントを理解するだけで簡単に!
目次
1.元保険外交員が生命保険と税金の関係について分かりやすく解説します!
1.1.現在ご加入の保険を知ることから始めましょう
1.2.保険の内容が分かれば税金も見えてきます
2.生命保険と税金の種類
2.1.生命保険の種類はザックリいうと3種類
2.2.保険の内容によってかわる税金も3種類
3.生命保険の契約形態に注意しよう
3.1.保険契約者と保険金受取人によって税金の種類がかわる
3.2.【死亡保険金】相続税の計算方法
3.3.【死亡保険金】所得税の計算方法
3.4.【死亡保険金】贈与税の計算方法
3.5.【満期保険金】所得税の計算方法
3.6.【満期保険金】贈与税の計算方法
4.収入保障保険は税金の種類が途中で変わります
4.1.収入保障保険とは
4.2.収入保障保険の年金受け取り時の税金
5.生命保険の中で税金が非課税になるものもあります
5.1.非課税になる医療保険の種類
5.2.医療費控除とは
5.3.医療費控除を受けている場合の注意点
6.生命保険の解約返戻金でも税金はかかるの?
6.1.解約返戻金とは
6.2.解約返戻金は一時所得として計算されます
6.3.保険の種類によって返戻金も変わります
7.生命保険料控除を使って毎年払う税金を節約する方法
7.1.生命保険料控除とは
7.2.年末調整や確定申告で減税対策
7.3.生命保険料控除の制度がかわりました
7.4.生命保険料控除額の計算方法
8.まとめ
目次
1.元保険外交員が生命保険と税金の関係について分かりやすく解説します!
1.1.まずは、現在ご加入の保険がどんな種類なのか知ることから始めましょう。
生命保険には目的に応じてたくさんの種類があります。
万が一不慮の事故や病気などで死亡してしまった時、残された家族のためにお金を残しておくことのできる、『死亡保険』なのか、病気やケガの治療のために必要なお金を準備するための『医療保険』なのか、期間を定めて貯蓄をする『満期保険』としれぞれの生活環境や生活設計に応じて保障内容が変わります。
また、保険の期間は終身なのか定期なのか。
契約者・被保険者・保険金受取人が誰なのかなど、ご自身の保険内容を具体的に把握しておく必要があります。
しかし保険証券には死亡保険であっても定期的に保障内容を見直すものの場合
定期特約付終身保険と難しい記載がしてありますので、担当の方に問い合わせをすることをお勧めします。
1.2.保険の内容が分かれば税金も見えてきます
具体的な保険の内容とは『保障の種類』『契約形態』『保険金額』『保険料』『更新時期』の事です。
全てにおいて税金の計算をする際に必要になりますので、これらの情報は事前に調べておきましょう。
2.生命保険と税金の種類
2.1.生命保険の種類はザックリいうと3種類
生命保険は、どんな時にお金が必要なのかという事を考えて加入します。
必要な時期や金額は、それぞれ異なるため、ご自身の現在の生活や今後の生活プランに合わせて保険の内容を決めていきます。
【死亡保険】
被保険者様(世帯主)が不慮の事故や病気などで死亡してしまった場合に、保険金受取人(残されたご家族)にお金をお支払いする保険。
お子様が小さかったり、住宅ローンや自動車のローンが残っていたりと支出が多い方は比較的保障金額も大きく、子供が自立したり住宅ローンを完済した後など支出が少なくなった方は、徐々に保証金額も少なくしていく形が一般的です。
【医療保険】
被保険者様が怪我や病気で入院または治療が必要な場合に、保険金受取人にお金をお支払いする保険。
主に医療費による生活負担を軽減する目的の保険で、公的の健康保険では賄いきれない場合のために、民間の医療保険にも加入する方が多いです。
【満期保険】
名前のとおり期間が満了すると、保険料の金額や支払い期間に応じて計算された金額をお支払いする保険です。
主に学資保険や貯蓄を目的とした保険で、期間中に契約者様に万が一の事があった場合、死亡保険金として受け取ることも可能です。
このように生命保険は、いつ・どんな時にお金が必要なのかによって分けられます。
2.2.保険内容によってかわる税金も3種類
生命保険に関わる税金は主に誰が保険料を支払い誰が保険金を受け取ったのかによって種類が変わってきます。
【相続税】
相続税は主に保険契約者(保険料を支払っている方)と被保険者(その保険の対象者)が同一で、保険金の受取人が、法定相続人の場合に対象になる税金です。
【所得税】
所得税は主に、保険契約者(保険料を支払っている方)と、保険金の受取人が同一の場合に対象になる税金です。
【贈与税】
贈与税は主に、保険契約者(保険料を支払っている方)と、被保険者(その保険の対象者)、保険金受取人が全て異なる契約の場合に対象になる税金です。
3.生命保険の契約形態に注意しよう
3.1.保険契約者と保険金受取人によって税金の種類がかわる
生命保険の保険金を受け取った場合、課税される税金の種類は、その保険に対して誰がお金を支払ったのかという事と、誰がその保険の保険金を受け取ったかによって変わってきます。
基本的には、契約者=保険料負担者となりますので、ここでは契約者としてご説明させていただきます。
【死亡保険の場合】
保険契約者(夫) | 被保険者(夫) | 保険金受取人(妻) | 相続税 |
保険契約者(夫) | 被保険者(妻) | 保険金受取人(夫) | 所得税 |
保険契約者(夫) | 被保険者(妻) | 保険金受取人(子) | 贈与税 |
【満期保険の場合】
保険契約者(夫) | 被保険者(夫) | 保険金受取人(夫) | 所得税 |
保険契約者(夫) | 被保険者(夫) | 保険金受取人(妻または子) | 贈与税 |
3.2.【死亡保険金】相続税の計算方法
まず、生命保険の死亡保険金にかかる相続税には、遺産や現金の相続とは違い『死亡保険金の非課税枠』が適用になります。
①死亡保険金の非課税枠 【500万円×法定相続人の数=非課税対象額】
それに加え、相続税にはいくつかの控除が適用されます。
②基礎控除 【3000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額】
2015年1月1日以降に相続があった場合の死亡保険金に関わる相続税の基礎控除が改正されました。
改正前→5000万円+1000万円×法定相続人の数=基礎控除額
改正後→3000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額
③債務控除 借金や葬儀費用などがこれにあたります。
(例)借金300万+葬儀費用300万円=600万円 この場合600万円が債務控除額になります。
④配偶者税額軽減 1億6000万円 または、法定相続分のいずれか多い金額のほうになります。
(例)死亡保険金 3000万円 保険金受取人 妻 の場合、1億6000万円以下なので非課税
死亡保険金 2億円
保険金受取人 妻+子 の場合、法定相続分は½なので1億円で1億6000万円以下で非課税。
相続税率早見表
相続税額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | 0円 |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円を超える場合 | 55% | 7200万円 |
相続税の計算において適用される控除は上記のようになります。
計算方法の例
保険契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
夫 | 夫 | 妻+子2人 |
死亡保険金額 5500万円
借金300万円+葬儀代200万円で合計500万円を保険金からお支払い
(債務控除額)−(死亡保険金)=(課税価格)
A.500万円 −5500万円 =5000万円
5000万円のうち、通常の場合は、妻が½ 子供がそれぞれ¼づつ分け合います。
相続人 | 相続額 |
妻(½) | 2500万円 |
子(¼) | 1250万円 |
子(¼) | 1250万円 |
B.500万円×3(法定相続人の数)=1500万円(死亡保険金の非課税枠)
C.3000万円+600万円×3人(法定相続人の数)=4800万円(基礎控除額)
D.妻325万円+子137.5万円+子137.5万円=600万円
妻 | 2500万円×15%−50万円=325万円 |
子 | 1250万円×15%−50万円=137.5万円 |
子 | 1250万円×15%−50万円=137.5万円 |
Dの金額がCの基礎控除額より少ないので、この場合税金の支払いはなくなります。
計算方法としては、
(死亡保険金)−(債務控除額)−(非課税枠)−(基礎控除額)=(課税価格)
5500万円−500万円−1500万円−4800万=0円 となります。
3.3.【死亡保険金】所得税の計算方法
契約者(保険料負担者)と保険金受取人が同一の場合、死亡保険金であっても、一時所得の課税対象になります。
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
夫 | 妻 | 夫 |
計算方法の例
・死亡保険金5000万円
(この他に収入がないものとしての計算になります。)
・保険料の払込総額 60万円
(月々10000円を5年間支払ったと想定)
(保険金額)−(保険料総額)−(一時所得控除)=(一時所得)
5000万円 − 60万円 − 50万円 =4890万円
さらに課税対象となるのは、
(一時所得) × (½) = (課税対象額)
4890万円 × (½) =2445万円
所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 63.60万円 |
900万円を超え1800万円以下 | 33% | 153.60万円 |
1800万円超 | 40% | 279.60万円 |
(課税対象額)×(税率)−(控除額)=(納税額)
2445万円 ×40% −279.60万円=698万4000円 となります。
3.4.【死亡保険金】贈与税の計算方法
契約者(保険料負担者)と被保険者(保険の対象者)、保険金受取人が、全て異なる契約の場合、贈与税の課税対象になります。
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
夫 | 妻 | 子 |
計算方法の例
・死亡保険金1000万円
(死亡保険金)−(基礎控除額)=(課税額)
1000万円−110万円 =890万円
(課税額)×(税率)−(控除額)=(贈与税額)
890万円×40% −125万円=231万円
贈与税速算表
課税額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1000万円超 | 50% | 225万円 |
3.5.【満期保険】所得税の計算方法
満期保険は主に貯蓄を目的とされており、学資保険や養老保険などがあります。
学資保険の場合
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
夫 | 子 | 夫 |
計算方法
・満期保険金300万円
・払込保険料総額273万円
(満期保険金)−(払込保険料総額)−(一時所得の特別控除額)=(課税価格)
300万円−273万円−50万円=0円
学資保険の場合、払込保険料分を差し引くと特別控除額の50万円より少なくなるため所得税がかからないことの方がほとんどです。
養老保険の場合
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 |
夫 | 夫 | 夫 |
・満期保険金500万円
・払込保険料総額460万円
(満期保険金)−(払込保険料総額)−(一時所得の特別控除額)×½=課税価格
500万円−460万円−50万円×½=0円
満期保険などの貯蓄型の保険は、保険金額そのものに税金がかかるわけではなく、保険金額から払込保険料総額を引くため、こちらも税金がかからない場合が多いです。
3.6.【満期保険金】贈与税の計算方法
満期保険金も契約者(保険料負担者)と保険金受取人が異なる場合、贈与税の課税対象になります。
主に貯蓄型である満期保険金には贈与税の中でも子や孫への贈与の場合と妻の場合とでは種類が違います。
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 贈与税の種類 |
夫 | 夫 | 子や孫 (20才以上) |
特例贈与 |
夫 | 夫 | 妻 | 一般贈与 |
保険金額を同じにして比較してみましょう。
特例贈与の例
・保険金額500万円
・保険金受取人 子供(20才)
(満期保険金額)−(基礎控除額)=(課税価格)
500万円 − 110万円 = 390万円
特例贈与速算表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
200万円超~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超~1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1000万円超~1500万円 | 40% | 190万円 |
1500万円超~3000万円以下 | 45% | 265万円 |
3000万円超~4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
(課税価格)×(税率)−(控除額)=(控除後の課税価格)
390万円×15% − 10万円=48.5万円
一般控除の例
・保険金額500万円
・保険金受取人 妻
(満期保険金額)−(基礎控除額)=(課税価格)
500万円 − 110万円 = 390万円
一般贈与速算表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0円 |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超~1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1000万円超~1500万円以下 | 45% | 175万円 |
1500万円超~3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
(課税価格)×(税率)−(控除額)=(控除後の課税価格)
390万円× 20%−25万円 = 53万円
上記の場合、特例贈与48.5 一般贈与53万円 差額4.5万円
4.収入保障保険は税金の種類が途中で変わります
4.1.収入保障保険とは
収入保障保険とは、世帯主の方が病気や事故などで万が一のことがあった場合に、残されたご家族のために死亡保険金を毎月に分割してお支払いする保険です。
受取方法は、死亡保険金を一括で受け取るか、毎月に分割するか、または一部だけを一括で受け取り残りを分割で受け取るかを選択でき、どう受け取るかによって税金の種類が変わります。
一括で受け取った場合は、基本的な死亡保険と同じ扱いになりますので、相続税の課税対象だけですが、一部を一括で受け取る場合や、毎月受け取る(年金受け取り)場合などは、相続税に加え所得税の課税対象にもなります。
ここまでの説明ですと、二重課税のように思えて損していると考える方も多いかもしれませんが、実は得する場合もあるのです。
保障金額に関しては、定期保険と違い一定の金額ではなく、効率よく年々下がっていく仕組みです。
例えば、お子様が0歳の時に必要な保障金額が8000万円だとしても、お子様が10歳になれば5000万円になるように、お子様の成長とともに必要な金額も減っていきます。
そのため、効率よく保障金額も減っていくため、定期保険のように同じ8000万円を10年間かけ続けるよりも、保険料が格段に安くなるのです。
4.2.収入保障保険の年金受け取り時の税金
収入保障保険の死亡保険金を一部一括で受け取り、残りを分割で年金受け取りにする場合と、最初から年金受け取りにする場合には、相続税に加え所得税も加算されますが、二重課税にならないように計算されています。
また、年金受け取りの場合、一括で受け取るよりも長く保険金を保険会社に預けているためその分の保険金を運用して増やしてくれます。
そのため、年金受け取りの方が、一括受け取りよりも実際にもらえる保険金額が増えるメリットもあります。
収入保障保険 受け取り方法別 具体例
・契約期間20年の収入保障保険に加入
・受取人 妻+子二人
・ご加入後5年で亡くなってしまった場合
受け取り方法 | 保険金額 | 税金の種類 |
一括で受け取る場合 | 総額4600万円 | 相続税 |
年金として受け取る場合 | 総額5400万円 | 相続税+所得税 |
・一括で受け取る場合と年金として受け取る場合の差額は800万円(運用利益分)
・相続税の基礎控除3000万円+600万円×3(法定相続人の数)=4800万円
・毎月30万円(年間360万円)を15年間
この場合、基礎控除額が4800万円なので、相続税の4600万円は課税対象にはなりません。
最初の一年目は運用利益は含まれず100%保険金から支払われるので税金は0円です。
ただし、二年目以降は元金から運用した利益分を足しての360万円になるので、年々運用利益分が増えるため所得税も増えていきます。
保険会社は元金が減っても毎年均等に360万円をお支払するために運用益の累計から少しづつ保険金に当てていきますが、年数とともに元金が減っていくので補う運用利益分の割合が自然と高くなり、所得税も増えていく仕組みになっています。
ここまでの説明ですと、所得税の金額が高いのでは…と不安になってしまいますが、この場合一番高い所得税でも控除を引いて納税金額は数千円です。
※運用利率は保険会社や保障金額によって異なりますので、ご加入の保険会社へお問い合わせすることをお勧めします。
5.生命保険の中で税金が非課税になるものもあります
5.1.非課税になる医療保険の種類
医療保険は病気や事故などで入院・手術が必要な時のために、加入する保険です。
『保険金』は、死亡保険や満期保険のように、一度きりの受け取りですが、『給付金』は必要に応じて受け取ます。
非課税の対象になる給付金の種類
・入院給付金
・手術給付金
・通院給付金
・障害保険金
・特定疾病保険金
・疾病療養給付金
・がん診断給付金
・先進医療給付金
・高度障害保険金
・介護保険金
・リビングニーズ特約保険 など
身体の傷害に基因して支払われるものに対しては非課税として扱う事ができるため、医療保険は基本的に税金がかかりません。
5.2.医療費控除とは
医療費控除とは、医療費などを実際に支払った金額が一年間に10万円を超えた場合に、超えた分(所得金額が200万円に満たない方は所得金額×5%の額)に対して所得から差し引くことのできる、所得控除の一つです。(控除できる金額は最高で200万円までです。)
5.3.医療費控除を受けている場合の注意点
医療費控除は、先にも述べたように実際に支払った金額にのみ適応されますので、給付金で受け取った金額は差し引いて計算されます。
例としては、入院費用が5万円かかったが、入院給付金で5万円受け取った場合、確定申告の必要はなく医療費控除の対象にもなりません。
あくまでも実質負担の場合に、その分の領収書を提出して医療費控除が受けられる仕組みになっています。
6.生命保険の解約返戻金でも税金はかかるの?
6.1.解約返戻金とは
解約返戻金とは、ご加入の保険を解約した時に、払込保険料の一部が保険会社から返還されるお金の事です。
返戻金額は、保険をかけている年数が長ければ長いほど増えていきますが、途中解約の場合、払込保険料よりも上回ることはほとんど無いです。
解約返戻金の額は、保険の種類や保障内容・保険料によって金額が変わりますので、解約をお考えの方は手続きを始める前に、保険会社に問い合わせることをお勧めします。
6.2.解約返戻金は一時所得として計算されます
保険を中途解約し、解約返戻金を受け取った場合、一時所得として課税対象になりますが、その際の計算方法として『解約返戻金−払込保険料−所得控除×½=課税金額』になりますので、ほとんどの保険で払込保険料よりも解約返戻金の方が少ない時点で、税金はかからないと言えるでしょう。
6.3.保険の種類によって、返戻金も変わります
保険の種類によっては、中途解約をしても解約返戻金がないことがあります。
基本的には、定期保険など掛け捨ての保険は、解約返戻金が無い代わりに保険料を安くしています。
解約返戻金がある保険は、主に満期保険や学資保険などの積み立て型や終身保険です。
終身保険の場合、払込満了後に解約すると支払った保険料よりも解約返戻金の方が上回り一時所得の課税対象になりますが、所得控除を受けるので税金はほとんどの場合が0円になります。
また、同じ終身保険であっても、契約後数年で中途解約すると解約返戻金の額はかなり少なくなってしまいます。
7.生命保険料控除を使って毎年払う税金を節約する方法
7.1.生命保険料控除とは
一年間に払い込んだ保険料の全額または一部を、給料などで得た所得から差し引く所得控除のうちのひとつです。
生命保険料控除を使うことにより、所得税や住民税を少しでも減らすことができます。
7.2.確定申告や年末調整で減税対策
保険会社から届く『生命保険料控除証明書』というハガキを、会社員の方は年末調整の時に、お勤めの会社に提出、自営業の方は確定申告の際に一緒に申告をすることにより、所得控除が受けられ住民税と所得税を減税することができます。
7.3.生命保険料控除の制度がかわりました
生命保険料控除の控除金額と、控除の種類がかわりました。
平成24年1月1日から加入した保険に関しては新制度が適用され、平成23年12月31日までに加入した保険は旧制度のままで計算されます。
【旧制度の場合、生命保険料控除の対象となるもの】
平成23年12月31日以前に契約した保険
・一般生命保険料控除
主に死亡保険がこれにあたります
・個人年金保険料控除
個人年金保険料税制適格特約を付加し、さらに一定の条件を満たしている契約
所得税
一般生命保険料控除・個人年金保険料控除
年間払込保険料 | 控除金額 |
25000円以下 | 払込保険料全額 |
25000円超~50000円以下 | (払込保険料×½)+12500円 |
50000円超~100000円以下 | (払込保険料×¼)+25000円 |
100000円超 | 一律50000円 |
住民税
一般生命保険料控除・個人年金保険料控除
年間払込保険料 | 控除金額 |
15000円以下 | 払込保険料全額 |
15000円超~40000円以下 | (払込保険料×½)+7500円 |
40000円超~70000円以下 | (払込保険料×¼)+17500円 |
70000円超 | 一律35000円 |
【新制度の場合、生命保険料控除の対象となるもの】
・一般生命保険料控除
・個人年金保険料控除
・介護医療保険料控除
新制度からの適用。主に医療保険やがん保険などがこれにあたります。
所得税
一般生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除
年間払込保険料 | 控除金額 |
20000円以下 | 払込保険料全額 |
20000円超~40000円以下 | (払込保険料×½)+10000円 |
40000円超~80000円以下 | (払込保険料×¼)+20000円 |
80000円超 | 一律40000円 |
住民税
一般生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除
年間払込保険料 | 控除金額 |
12000円以下 | 払込保険料全額 |
12000円超~32000円以下 | (払込保険料×½)+6000円 |
32000円超~56000円以下 | (払込保険料×¼)+14000円 |
56000円超 | 一律28000円 |
このように新制度と旧制度を比較してみると、所得税では旧制度の上限が5万円ずつなのに対し、新制度では4万円ずつになるため控除額が減ったように思えますが、実際には介護医療保険料控除がプラスされるため旧制度よりも合計の控除額が増える仕組みになっています。
7.4.生命保険料控除額の計算方法
まずはご自身の保険が、新・旧どちらの制度が適用されるかを確認しましょう。
(例)
・死亡保険の保険料月額10000円(年間12万円)
・医療保険の保険料月額5000円(年間6万円)
・個人年金保険の保険料月額10000円(年間12万円)
旧制度で計算した場合(介護医療保険料控除は適用外)
A.所得税
一般生命保険料 12万円→控除金額 5万円
個人年金保険料 12万円→控除金額 5万円
合計10万円
B.住民税
一般生命保険料 12万円→控除金額 3.5万円
個人年金保険料 12万円→控除金額 3.5万円
合計7万円
新制度で計算した場合
A.所得税
一般生命保険料 12万円→控除金額 4万円
介護医療保険料 6万円→控除金額 3.5万円 (60000×¼)+20000円=3.5万円
個人年金保険料 12万円→控除金額 4万円
合計11.5万円
B.住民税
一般生命保険料 12万円→控除金額 2.8万円
介護医療保険料 6万円→控除金額 2.8万円
個人年金保険料 12万円→控除金額 2.8万円
合計8.4万円
このように新制度と旧制度では控除金額が違うので、一度ご自身がご加入の保険を確認して、ご不明な点は保険の担当者に問い合わせましょう。
8.まとめ
生きていく中で切っても切れない保険と税金。
しかし、難しくて分からないから、いまいち理解できないまま保険屋さんの言う通りに加入してしまっている方も多いと思います。
保険料ももちろんですが、保険に関わる税金を知ることで家計の負担も少しは減らせるのではないでしょうか?
ポイントを押さえるだけで、税金の仕組みが分かりやすくなります。この機会に一度現在ご加入の保険を見直してみましょう。