家族と一緒に賃貸マンション暮らし、でもいつかは憧れの一軒家を持ちたい・・・、そんな方々は数多くいらっしゃることでしょう。
そうはいっても、ご自分の貯蓄等でマイホームを一括購入できるような人はそういないものです。
ほとんどの購入者が「住宅ローン」を利用しています。この住宅ローンとは、住宅を購入したり改築したりするために金融機関より借りるお金のことです。
当然、金融機関から借金をする以上、借りたお金を返すだけではなく利息も返済する必要があります。
そこで、住宅ローンを利用したい人が気になるのは、実際の住宅ローン利用者がどの位のお金を借りて毎月どの位の返済額になっているのか?そして返済完了までの期間はどの位か?ということでしょう。
今回は、住宅ローンを利用した方々のいろいろな平均・目安を明らかにし、その結果を解説していきたいと思います。また、これから住宅ローンを組みたい方々のための借入先や、節税対策、住宅ローンを誰に相談すべきかも取り上げます。
この記事を読めば、住宅ローンを利用する際の借入金額や返済期間の目安について良い参考になるはずです。
目次
目次
1.住宅ローンについて
- 1-1.住宅ローンとは
- 1-2.どんな物件でも利用可能?
- 1-3.ローンには公的ローンと民間ローンがある
- 1-4.金利は3種類
- 1-5.返済方式は2つのタイプ
2.住宅ローンの手続きについて
- 2-1.住宅ローンの手続きの流れ
- 2-2.事前審査にご注意!
- 2-3.住宅ローン手続きの必要書類
3.住宅ローンの平均を考察する・その1
- 3-1.住宅の購入は7割がローン
- 3-2.住宅の購入は新築が6割
- 3-3.ローンの借入額はどの位?
4.住宅ローンの平均を考察する・その2
- 4-1.月々のローン返済額がどの位?
- 4-2.ローンの返済額は世帯月収の何%
- 4-3.ローン返済期間は30年または35年が目安か?
5.住宅ローンの平均を考察する・その3
- 5-1.繰上返済とは
- 5-2.繰り上げた期間平均は11.2年
- 5-3.繰り上げ返済した方法とは?
6.これから住宅ローンを組みたいなら
- 6-1.フラット35とは
- 6-2.住宅ローン控除を利用しよう!
- 6-3.質問は住宅ローンアドバイザーへ
7.まとめ
1.住宅ローンについて
子供も小学生になって親子3人で住む賃貸マンションがそろそろ手狭になってきた。
家族のためにマイホームを持ちたいと思っている。だが、貯蓄はある程度の額になっているものの、マイホームは何千万円もする高額な買い物、当然一括で買うなど無理だ・・・。
ならば住宅ローンを利用しましょう。マイホームを購入した方々のほとんどが住宅ローンを利用しています。
こちらでは住宅ローンの特徴とその金利の種類、返済方式について解説します。
1-1.住宅ローンとは
住宅ローンとは、マイホームの購入や家屋の改築費のために金融機関から借りるお金のことです。
数千万円もする住宅に関する費用をすべて手持ちのお金で支払える人はあまりいません。
そこでマイホームを購入する場合には、大部分の方々が住宅ローンを利用し、毎月の返済をしていくことになります。
ただし、金融機関に借金をしていることに変わりがなく、借りたお金を全額返せば良いだけではありません。更に利息もかかります。
毎月のローンの返済では、借りたお金(元金)の返済分のみならず、利息分も含めた金額をコツコツ払っていくことになります。
1-2.どんな物件でも利用可能?
住宅ローンは、人が住むことを目的とした住宅の購入であれば、基本的にどんな物件でも利用可能です。
新築戸建、中古戸建、新築マンション、中古マンション、更に住宅を建てるための土地の購入の場合でも、住宅ローンの利用ができます。
ただし、住宅ローンはどんな物件へ利用するかにより借り入れ条件が異なります。
例えば、新築の一戸建の場合なら建物の耐久性も十分であるため、ローンを組む際には借り入れ期間が長く設定できます。
一方、中古の一戸建の場合には、建物の耐久性が問題にされるため、借り入れ期間が短く制限されます。
1-3.ローンには公的ローンと民間ローンがある
公的ローンと民間ローンについては次の種類があります。
〇公的ローン
財形融資と自治体融資の2種類があります。
[1]財形融資財形貯蓄(※)を1年以上続け貯蓄残高が50万円以上ある人が受けられる融資のことです。住宅金融支援機構からお金を借りることになります。
借りられる金額は、財形貯蓄の残高の10倍の額以内で、4000万円までが上限とされています。金利は5年固定金利型(5年毎に適用金利を見直し)です。
(※)財形貯蓄:給与取得者(サラリーマン等)の毎月の給料やボーナスから天引きで積み立てる貯蓄です。そのため、財形融資は給与取得者を対象とした融資といえます。
[2]自治体融資都道府県や市町村レベルの地方自治体が行う融資です。ただし、この融資は日本全国の自治体が一律に実施しているわけではありません。実施していない地方自治体もあります。
実施している場合であっても、融資内容・融資条件は各地方自治体によって異なります。実施している地方自治体のほとんどが、その地域に一定期間以上居住しているかどうか、また年間収入が一定金額以下等の条件を定めているようです。
〇民間ローン
提携ローンと非提携ローンの2種類があります。
[1]提携ローン金融機関と不動産会社、または金融機関とローンを申し込んだあなたの勤務先が提携して提供する住宅ローンのことです。
提携ローンでは、通常の金融機関窓口では扱わない金利優遇が適用される等のメリットもあります。ただし、利用できる金融機関は限定されます。
[2]非提携ローン住宅ローン利用者が金融機関に直接ローンを申し込み、その金融機関の審査を受けた後、融資を受けるものをいいます。
1-4.金利は3種類
住宅ローンの金利「固定金利」、「固定金利選択型」、「変動金利」の3種類があります。
[1]固定金利お金を借りた時に契約で定めた金利が返済期間まで変わらないタイプのことです。返済金額が変化しないので、返済計画が容易にたてやすく、家計の管理もしやすいのが特徴です。
また、市場金利が低い時にお金を借りれば、金利上昇時のリスクを減らせるのも魅力です。ただし、市場金利が下降した場合、金利負担が大きくなります。
なお、固定金利は、他のタイプより比較的高めに設定されています。
[2]固定金利選択型5年や10年というように一定期間金利を固定するタイプです。その固定期間が終わると、その時点で改めて変動型または固定金利を選ぶことが可能です。
ある程度状況に応じて選択が可能なので自由度は高いですが、固定期間終了後に変動型にして市場金利が上昇すると金利負担は大きくなります。
[3]変動金利金融情勢に応じて金利が変動していくタイプです。原則として金利は年2回見直され、返済額は5年毎に変更されます。
変動型を選ぶと、市場金利が下がると住宅ローンの金利も下がり、利用者は得をすることができます。
しかし、市場金利が上昇した場合、それに合わせて住宅ローンの金利も上昇するので金利負担は大きくなります。
1-5.返済方式は2つのタイプ
住宅ローンには「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つのの返済方式があります。
[1]元利均等返済元金分(実際に借りたお金)と利息分を合わせた毎月の返済額を一定に維持する返済方法です。
ローンの返済額は元金+利息となりますが、その返済額に占める元金と利息の割合が変化していくことを特徴とします。
元利均等返済のメリットは、毎月の返済額が一定なので、返済計画を立てやすい点です。
一方で、返済初期段階では元金分がなかなか減少しないので、総返済額はどうしても大きくなってしまいます。
[2]元金均等返済毎月同額の元金に、利息を加えて支払う方法です。残高が減れば利息もそれに比例して減るため、利息額は毎回減っていきます。
返済額も回数を重ねれば減少していくことになります。毎回一定額を返済できるので、総支払額は元利均等返済よりも少なくて済みます。
しかし、返済初期は元金が多いので、それだけ利息額も大きく、利用者に返済負担が重くなります。
2.住宅ローンの手続きについて
住宅ローンを利用するにしても、金利の種類や返済方式の特徴を慎重に確認して選ぶ必要があるということはわかった。
では、住宅ローンを利用する場合、どんな手続きを踏めば良いのだろう?詳細を知りたい・・・・。
こちらでは、住宅ローンの手続きと申請の際の必要書類について解説します。
2-1.住宅ローンの手続きの流れ
住宅ローンの手続きは大きな買い物のためお金を借りることになりますので、とにかく必要書類は多くなります。
手続きの手順としては次の通りです。
- 事前審査:欲しい物件が見つかったら購入の申し込みをします。それと共に金融機関へローンの事前審査を申し込みます。この審査が通れば「正式申込」となります。
- 正式申込:事前審査に通り、物件の売買契約が終了すればローンの正式な申し込みとなります。事前審査の内容と違っていなければ、まずこの申し込みが通らないということはありません。
- 金銭消費貸借契約:お金を借りる承認が出れば、次はローンの金銭消費貸借契約の手続きです。こちら手続きで①実際の借り入れ期間、②金利について決めることになります。なお、こちらの手続きは原則としてローン申し込んだ本人が決済の10日~1週間前に行います。それまでに返済のための口座を作っておきましょう。
- お金を借りる:決済当日には、新しく作った口座に金融機関から借り入れたお金が振り込まれます。そのお金は、そのまま売主に送金されます。売主は着金確認を行った後、購入物件が引き渡しとなります。ローンを申し込んだ本人の作った口座にお金が振り込まれると、それと同時に、購入物件へ抵当権(※)の設定が行われます。
(※)抵当権:債務の担保へ供した物について、他の債権者に先立ち自己の債権の弁済を受ける権利です。住宅ローンの場合には、もしローンを利用するご自分の返済が滞ったとき、お金を貸した金融機関からその物件を差し押さえられてしまうということです。くれぐれも、返済は計画的に行いましょう。
2-2.事前審査にご注意!
住宅ローンを希望する場合には、この事前審査が最大の難関となります。こちらに通らないと金融機関からお金を借りることができません。
では、金融機関はローンを申し込んだ本人のどんな部分をみて、お金を貸すのでしょうか?
次の4点から審査されることになります。この4点のいずれかに問題があると審査に通ることは極めて難しくなります。
[1]返済比率
ローンを借りたいあなたの年収に占めるローン返済額の割合のことです。
返済比率には上限があり、多くの金融機関で25~35%以内と設定されています。この上限を超えるような借入金額を希望しているならば、その金額はあなたの年収に対して過剰であると判断され、審査は通ることが困難になります。
[2]ローン申込者の属性
ローンを申し込んだあなたの信用力も判断材料となります。申込者の属性とは、あなたの年齢や年収、勤務先はどこか、その勤続年数、家族構成等を指します。
基本的に審査を通る目安としては、給与所得者の場合なら正社員で勤続3年以上です。一方、自営業の人ならば、事業の継続が3年以上で、かつ過去3年間の収入が安定していることが判断基準になります。
[3]他のローンの有無
マイカーのローンやお子さんの教育ローンの有無、クレジットカード等の支払い状況も審査に含まれます。
ただし、このような借り入れがあったからといって審査が通らないというわけではないものの、他にローンがあると住宅ローンの借り入れ金額は縮小します。
住宅ローンの利用を希望するならば、現在返済中のローンは速やかに完済した上で住宅ローンを申し込みましょう。
なお、金融機関により、クレジットカードについているキャッシング枠も借り入れ金額とみなされます。
[4]購入物件の価値
前述したように、金融機関は貸したお金が戻ってこない場合を想定して、あなたの購入物件へ抵当権を設定することになります。この物件が担保となり、金融機関は安心してあなたにお金を貸せるわけです。
そのため、購入物件が貸した金額に見合う価値を持っているかどうかが審査の大きなポイントといえます。
2-3.住宅ローン手続きの必要書類
こちらでは事前審査と正式申込の際にそれぞれ必要な書類を説明します(給与所得者・個人事業主で確定申告している方対象)。
〇事前審査
- 記載書類:住宅ローン借入申込書
- 本人確認書類:運転免許証と健康保険証両方必要
- 収入に関する書類:給与所得者→源泉徴収票(前年分)、個人事業主で確定申告している方→確定申告書(写し・3年分)
- 他に借入がある場合:残高証明書等
- 借りかえの場合:借入中の償還予定表(写し)および返済口座通帳1年分
これに下表の購入物件の資料を加えて提出します。
物件の確認資料 | 書類 |
土地購入 | ①パンフレット・チラシ、②土地登記事項証明書、③土地の公図 |
土地・建物購入(新築) | ①パンフレット・チラシ、②間取図・配置図(写)、③土地登記事項証明書、④土地の公図 |
土地・建物購入(中古) | ①パンフレット・チラシ、②土地登記事項証明書、③建物登記事項証明書、④土地の公図 |
新築増改築 | ①工事請負契約書(写)、②建築確認済証(写)、③間取図(写)、④土地登記事項証明書、⑤建物登記事項証明書、⑥土地の公図 |
マンション購入(新築) | ①パンフレット・チラシ |
マンション購入(中古) | ①パンフレット・チラシ、②建物登記事項証明書 |
借りかえ(戸建) | ①土地登記事項証明書、②建物登記事項証明書、③土地の公図 |
借りかえ(マンション) | ①間取図(写)、②建物登記事項証明書 |
更に、金融機関によっては追加の書類を要求する場合があります。
〇正式申込
- 記載書類:①住宅ローン借入申込書、②個人情報に関する同意書、③告知書
- 本人確認書類:①運転免許証と健康保険証両方必要、②住民票、③印鑑登録証明書
- 収入に関する書類(給与所得者):①源泉徴収票(前年分)、②住民税決定通知書(直近分)または課税証明書(直近分)
- 収入に関する書類(個人事業主で確定申告している方):①確定申告書(写し・3年分)、②申告所得税納税証明書および事業税納税証明書(各3年分)
- 他に借入がある場合:借入中の償還予定表(写し)・残高証明書
- 借りかえの場合:借入中の償還予定表(写し)および返済口座通帳1年分
これに下表の購入物件の資料を加えて提出します。
物件の確認資料 | 書類 |
土地購入 | ①売買契約書(写)、②重要事項証明書、③パンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表等の写し、④土地登記事項証明書、⑤土地の公図・実測図・住宅地図 |
土地・建物購入(新築) | ①売買契約書(写)、②重要事項証明書、③パンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表等の写し、④間取図・配置図(写)、⑤検査済証(写)、⑥土地登記事項証明書、⑦建物登記事項証明書、⑧土地の公図・実測図・住宅地図 |
土地・建物購入(中古) | ①売買契約書(写)、②重要事項証明書、③パンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表等の写し、④間取図・配置図(写)、⑤土地登記事項証明書、⑥建物登記事項証明書、⑦土地の公図・実測図・住宅地図 |
新築増改築 | ①工事請負契約書(写)、②建築確認済証(写)、③間取図・配置図(写)、④検査済証(写)、⑤土地登記事項証明書、⑥建物登記事項証明書、⑥土地の公図・実測図・住宅地図 |
マンション購入(新築) | ①売買契約書(写)、②重要事項証明書、③パンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表等の写し、④建物登記事項証明書 |
マンション購入(中古) | ①売買契約書(写)、②重要事項証明書、③パンフレット・チラシ・販売図面・物件概要書・価格表等の写し、④土地登記事項証明書、⑤建物登記事項証明書 |
借りかえ(戸建) | ①土地登記事項証明書、②建物登記事項証明書、③土地の公図・実測図・住宅地図 |
借りかえ(マンション) | ①間取図・配置図(写)、②建物登記事項証明書 |
更に、金融機関によっては追加の書類を要求する場合があります。
3.住宅ローンの平均を考察する・その1
住宅ローンの申し込み方はよくわかった。注意しなければならない点を踏まえて手続きをしたい。
ところで、マイホーム購入の際に何割くらいの人達が住宅ローンを利用しているのだろう?借り入れ金額も気になる・・・。
こちらでは、マイホームの購入に関するいろいろな平均・目安を取り上げます。
3-1.住宅の購入は7割がローン
住宅の購入は非常に大きな買い物になります。購入費をどうするかしっかりと考えてから売買契約を行う必要があります。
住宅の購入に関しては、やはり7割以上の方々が住宅ローンを希望しています。下表を参考にしてください(マネーゴーランド「住宅購入に関する意識調査」を基に作成)。
順位(購入方法) | 割合 |
1位:住宅ローン | 71.5% |
2位:現金一括購入 | 8.7% |
3位:相続 | 7.5% |
その他 | 12.3% |
なお、何歳の時に住宅を購入したかは次の通りです。
順位(年齢) | 割合 |
1位:20~24歳 | 24.1% |
2位:25~29歳 | 23.3% |
3位:30~34歳 | 19.0% |
3位:35~39歳 | 19.0% |
5位:40~44歳 | 9.1% |
6位:45~50歳 | 3.6% |
7位:50歳~ | 1.9% |
意外にも20歳前半が高い割合を占めています。20代の方々の割合が47.4%となっています。
3-2.住宅の購入は新築が6割
購入した住宅の築年数に関しては新築が6割という結果が出ています。
憧れの購入住宅はやはり新築であることが統計からもわかります(マネーゴーランド「住宅購入に関する意識調査」を基に作成)。
順位(築年数) | 割合 |
1位:新築 | 60.1% |
2位:築10年~20年未満 | 14.3% |
3位:~築10年未満 | 13.7% |
4位:築20年~30年未満 | 8.3% |
5位:築30年~ | 3.6% |
3-3.ローンの借入額はどの位?
当然のことながら住宅価格全額分をローンの借入額で賄う方々はいません。下表を参考にして下さい(アットホーム「住宅ローン完済」の実態調査を基に作成)。
住宅 | 住宅価格 | ローン借入額 |
平均 | 3,911万円 | 2,472万円 |
戸建(新築) | 3,977万円 | 2,434万円 |
戸建(中古) | 3,955万円 | 2,656万円 |
マンション(新築) | 4,189万円 | 2,695万円 |
マンション(中古) | 2,699万円 | 1,754万円 |
ローン借入額は、購入した住宅価格の概ね60%~70%が平均となります。
その他は、手持ちの現金・親族からの資金援助等、住宅ローン以外の方法により手配するお金で賄うことになります。このお金を「頭金」と言います。
表を見てもわかる通り、ローン借入額を差し引いても頭金の額はほとんど1,000万円を超えています。
住宅価格の購入には、基本的に1,000万円前後のお金(目安)をあらかじめ用意できる資力が求められることになります。
4.住宅ローンの平均を考察する・その2
ローン借入額は60%~70%が平均、そして基本的に1,000万円前後のお金をあらかじめ用意できる資力・・・、なんとか私の場合は都合がつきそうだ。
では、ローン返済額やローン返済期間の平均・目安はどの位なのだろう?
こちらでは、月々のローン返済額、およびローン返済期間の平均・目安について解説します。
4-1.月々のローン返済額がどの位?
月々のローン返済額はバラつきはありますが5万円~7万円未満で25.9%と最も多くなっています。下表をご覧てください(マネーゴーランド「住宅購入に関する意識調査」を基に作成)。
順位(月々の返済額) | 割合 |
1位:5万円~7万円未満 | 25.9% |
2位:7万円~9万円未満 | 22.7% |
3位:~5万円未満 | 18.8% |
4位:9万円~11万円未満 | 16.6% |
5位:11万円~13万円未満 | 8.3% |
6位:13万円~ | 7.7% |
月々の返済額が9万円未満の方々は67.4%と7割近くに上ります。
概ね、月々の返済の目安は9万円未満を目安としておくのが無難といえます。
4-2.ローンの返済額は世帯月収の何%
月々のローン返済額は世帯月収の何%に上るかについては、世帯月収の10%~20%未満が最も多いです。下表をご覧ください(マネーゴーランド「住宅購入に関する意識調査」を基に作成)。
順位(世帯月収占める割合) | 割合 |
1位:10%~20%未満 | 31.5% |
2位:20%~30%未満 | 28.2% |
3位:~10%未満 | 24.9% |
4位:30%~40%未満 | 9.4% |
5位:40%~ | 6.0% |
月々のローン返済額は世帯月収の30%未満が84.6%となっています。
給与の3割くらいを目安に返済していけば、無理なく支払い続けられるとローン利用者は考えているようです。
4-3.ローン返済期間は30年または35年が目安か?
ローン利用者は完済の予定はどれ位の期間で考えているのかといえば、返済期間35年と回答している方々が4割を超えています。下表をご覧ください(マネーゴーランド「住宅購入に関する意識調査」を基に作成)。
順位(返済期間) | 割合 |
1位:35年 | 43.6% |
2位:30年 | 16.6% |
3位:25年 | 11.6% |
4位:20年 | 10.5% |
5位:15年 | 6.1% |
5位:10年 | 6.1% |
6位:5年 | 5.5% |
30年以上の返済期間で住宅ローンを組んでいる方々は60.2%となっています。
やはり、人生で最も高い買い物はそれだけ返済期間も長期間かかってしまうことがわかります。
5.住宅ローンの平均を考察する・その3
前章では30年以上の返済期間で住宅ローンを組む方々が多いことがわかった。
完済はやはり私が退職してからになってしまうか・・・。
実は繰上げて返済した場合は利息も軽減されるためお得と言えます。
こちらでは、ローン利用者が繰上げ返済した場合の、繰上げ返済期間と完済の平均期間、どのような繰り上げ返済法をとったかを解説します。
5-1.繰上返済とは
繰上返済とは、毎月のコツコツ行う返済とは別に、借りたお金の一部またはは全額を返済することです。
通常の返済では返済額に利息分が含まれます。しかし、繰上返済の場合は返済分が全て実際に借りたお金(元金)の返済に充てられることになります。それにより、支払う利息を軽減することが可能です。
この繰上返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
〇期間短縮型
こちらのタイプは、毎月の返済額等は変わりませんが、返済期間は短くなるので期間の短縮分、支払う予定だった利息が軽減されます。
〇返済額軽減型
こちらのタイプは、返済期間は変わらずに毎月の返済額を引き下げる方法です。
実質的に毎月の返済額が下がるため、例えばお子さんに教育資金が必要になった、妻が入院して医療費がかかるなど、将来的に住宅ローンの負担が重くなることも予想されるとき、家計の安定に効果を発揮します。
5-2.繰り上げた期間平均は11.2年
繰上返済を行ったローン利用者の繰上げ返済期間の平均は11.2年となっています。下表をご覧ください(アットホーム「住宅ローン完済」の実態調査を基に作成)。
住宅 | ローン設定期間 | 完済期間 | 繰上げ返済期間 |
平均 | 25.0年 | 13.7年 | 11.2年 |
戸建(新築) | 23.4年 | 13.9年 | 9.5年 |
戸建(中古) | 19.5年 | 11.3年 | 8.2年 |
マンション(新築) | 28.0年 | 14.2年 | 13.8年 |
マンション(中古) | 22.3年 | 12.8年 | 9.5年 |
ローン設定期間ギリギリの完済になる場合は、利息も非常に大きくなっている場合があります。
まとまったお金が受け取れる状況ならば、それを機会にいっきに支払う方々が多いようです。
5-3.繰り上げ返済した方法とは?
繰り上げ返済の方法は、堅実な節約を行って返済した方々が5割以上となります。中には、宝くじが当たったという運のよい人もいます。下表をご覧ください(アットホーム「住宅ローン完済」の実態調査を基に作成)。
返済方法 | 割合 |
1位:節約 | 52.2% |
2位:ボーナス | 32.5% |
3位:退職金 | 22.1% |
4位:昇進して増えた分の収入 | 12.8% |
5位:妻の収入を利用 | 11.1% |
6位:投資で儲けた分 | 8.7% |
7位:遺産をもらった | 4.2% |
8位:転職して上がった分の収入 | 2.8% |
9位:宝くじに当選 | 0.3% |
その他 | 9.0% |
表をみれば、節約こそ住宅ローン完済への1番の近道であることがわかります。
6.これから住宅ローンを組みたいなら
住宅ローン、いよいよ申し込んでみたくなったが初めて利用を希望するので、どんな住宅ローンがお得なのかわからない。
また、住宅ローンの手続きを進めていくうちにいろいろ質問も出てくるかもしれない。
はじめて住宅ローンを組む人にやさしい制度やサービスはないものだろうか?
こちらでは、はじめて住宅ローンを組む人に便利な制度やサービスを解説します。
6-1.フラット35とは
フラット35は、住宅金融支援機構および民間金融機関が提携する最長35年の長期・固定・低金利の住宅ローンです。申込窓口は住宅金融公庫ではなく、提携している民間金融機関となります。
フラット35メリット・デメリットは次の通りです。
〇フラット35のメリット
- 15~35年の長期固定金利で返済額は上昇することがない
- 保証人・保証料不要で、繰上返済の手数料無料
- ローン利用者が、申込日現在の年齢で70歳未満ならば借り入れができ、親子リレー返済を利用すると70歳以上の人でも申し込み可能
〇フラット35のデメリット
- 借入れ金額は8,000万円が上限
- 審査や融資実行までの時間も長くかかる
- 繰上返済は最低100万円からしか行えない
6-2.住宅ローン控除を利用しよう!
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を買った人を対象に、年末ローン残高に控除率をかけた金額を、一定期間にわたって所得税額から差し引くという税制優遇措置です。
2009年度の税制改正によって、住宅ローン控除が600万円規模に拡充されています。
ただし、所得が3,000万円以下であること、返済期間が10年以上の住宅ローンであること等の条件があります。
また、初年度の申告は基本的に確定申告で行います。給与所得者であっても同様です。確定申告期間は2月16日~3月15日となります。また、申告が住宅ローンだけであれば還付申告(原則としていつでもOK)で行っても良いです。
なお、給与所得者の方々が初年度の確定申告を済ませたら、2年目以降は年末調整で申告しても構いません。
詳細は最寄りの税務署や、勤務先の総務課等で確認してみましょう。
6-3.質問は住宅ローンアドバイザーへ
住宅ローンは仕組みがかなり複雑で、前述した通り申込の際の必要書類も数多く、初めて申し込む人たちは困惑することでしょう。
そこで住宅ローンへの質問やアドバイスを受けたい人は「住宅ローンアドバイザー」へ相談してみましょう。
住宅ローンアドバイザーは、住宅金融普及協会が認定する有資格者です。専門の知識があるので有力なアドバイスも期待できます。
住宅ローンアドバイザーはファイナンシャルプランナー(FP:金融・保険の専門家)が資格を有していることが多く、独立FPは個人事務所を構えている場合がほとんどです。
7.まとめ
住宅ローンは仕組みが複雑で手続きには一苦労です。しかし、夢のマイホームを持つ最も頼りになる足掛かりといえます。
住宅ローン利用者のいろいろな平均や目安は参考になりますが、まずはご自分の家計状態をしっかり把握する必要があります。