がんが特別視されることには理由があります。
たくさんある病気の中で、がんが特別視されることには理由があります。
日本人の半数ががんにかかり、約30%ががんで亡くなっている。
現時点では、がんを予防することはできない。
治療には、年単位の期間が必要になる。
発症する場所や病気の進行度によって、治療法・治療期間などが、別の病気と思えるほど異なる。
日本人にとって、身近な大病でありながら、治療にかかる期間や費用を予測しにくいのが、がんの特徴です。
がんは部位や進行度によって治療費の差が大きい。準備すべき費用を決めにくい。
たとえば、子宮頸部の上皮内がんであれば、病院によっては、日帰り入院で切除でき、翌日から出勤・通学できます。費用は5万円前後のようです。
一方、乳がんになって、がんを手術で切除すると、その後10年くらいは再発・転移の監視が必要とされるようです。また、わきのリンパ節まで切除したときは、後遺症の心配があります。がんの切除後、乳房の再建手術を受けることもあります。
末期のがんになると、治療目的というより、延命を目的に抗がん剤治療や放射線治療などが実施されます。この場合、患者や家族が治療を断念するか、亡くなるまで治療は続けられます。
また、生死にかかわる病気だけに、健康保険などの公的医療保険が適用されない治療法がとられることもあります。
先進医療と呼ばれる治療法のうち、陽子線治療、重粒子線治療は近年実施例が増えています。これらの治療費は、300万円前後かかるようですが、健康保険などの公的医療保険の対象にはなりません。
それ以外にも、漢方、サプリメント、食材などにお金をかける方は少なくないようです。
公的医療保険の範囲内で治療するなら、300万円くらい準備できれば、ひとまず安心。
上のとおり、「がんのために○○○万円準備しておけば確実!」とは言いにくい状況です。
しかし、公的医療保険の範囲内で治療する限り、300万円を超える可能性は低いと思われます。
というのは、健康保険のような公的医療保険制度の中に、高額療養費制度という頼りになる制度が設けられているからです。
たとえば、60歳未満の月収28万~50万円の人が、がんの治療のために、5年間にわたって毎月100万円の治療(自己負担額ではなく実費)を受けたとします。
高額療養費制度をフル活用すれば、5年間の自己負担の合計額は2,793,090円になります。
5年間にわたって毎月100万円の治療という想定をしましたが、これは現実離れした大げさな設定です。
入院した月はこのくらいかかるかもしれません。ただし、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成24年)によると、がんの平均入院日数は22.19日です。
次の月からはもっと安くなります。
放射線治療や抗がん剤治療も、ふつうは、1ヶ月の費用として100万円はかかりません。
かんの統計では、5年生存率(=診断から5年間の生存率)が重視されます。そこで、上の高額療養費制度の試算を5年間としました。
というように、かなり大げさな条件設定で試算しましたが、約280万円という数字になりました。
なお、上の試算は60歳未満でおこないました。70歳以上だともう少し安くなります。といっても、5年間で12万円くらいです。
がんの治療費の準備は、貯蓄でも、医療保険でも、がん保険でも可能です。
上で300万円という数字を出しました。現実問題として、貯蓄で準備する場合、がんだけのために300万円というのは現実的ではないでしょう。がんにならない可能性もけっこうありますし。医療費(入院費用+通院費用)として300万円というのが、ひとつの目安と思います。
保険で備えるとして、もし医療保険をご検討であれば、医療保険だけでがんに備えることは可能です。ただ、標準の保障だけでは手薄なことが多いので、特約を付けて手厚くする必要があります。
医療保険には入らないけれど、がんには保険で備えたい。あるいは、昔に加入した医療保険をそのままにして、がんの保障だけを追加したい。そういう方は、がん保険をご検討ください。
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