資産とは単に貯金としてご自分が蓄えているお金のことを示すだけではありません。資産は、個人や法人等が所有している、お金にかえられる財産全般を指します。
前述した貯金をはじめ株券、公社債等は金融資産であり、所有する土地・家屋は不動産資産です。
ご自分の資産を運用することで、お金に代えられる財産を着実に増やしていくことが期待できます。
当然のことながら、それには色々なコツや条件があり、大事な資産である以上、大博打のようなことを行わないのは当然です。
そこで今回は、コツコツと個人や法人が資産を増やす方法として、保険を利用した運用法に焦点をあて解説していきます。
この記事を読めば、保険を利用した運用法の基本的な知識を得られ、保険選びの際の良い参考資料となるはずです。
目次
1.資産について
巷ではよく、「資産運用」とか「資産管理」とか言われていますが、そもそも資産とは何なのでしょう?
単純にお金のことなんでしょうか・・・・?
第1章では、資産とは何か?個人の資産・法人の資産について解説します。
1-1.資産とは
資産は、個人や法人等が所有している、お金にかえることができる財産全般を指します。
資産というからには、お金の価値を有した財産であると共に、お金を価値基準としたときに合理的な評価の可能であるものが該当します。
この資産は「資本」として利用することが目的です。資産と資本は似ている言葉ですが、資本はお金そのものを指します。
とりわけ法人にとっては、会計上、会社を新設するとき等の必要な元手を意味します。
次項では個人、法人の資産にはどんなものがあるかを解説します。
1-2.個人の資産にはどんなものがある?
個人の資産としてすぐに思い浮かぶのは、現金や銀行の預金、土地・家屋と言ったところでしょう。
それぞれ金融資産、不動産資産としての価値を有しています。当然のことながら資産に該当するのはこればかりではなく、金融資産では株券、公社債、終身保険等があげられます。また自動車のような動産も資産に該当します。
相続のときに、被相続人の遺したこれらの資産を、被相続人自身が相続人へ分与する遺志を遺言書に記載したり、相続人間で遺産分割協議をして分与したりすることを、よく見聞きしているのではないでしょうか。
1-3.法人の資産にはどんなものがある?
法人の資産も会社の預金等は金融資産ですし、所有している土地・建物は不動産資産です。
しかし、法人の場合は個人とは異なり、資産には現金や預金の他にもいろいろな「流動性資産」が該当します。
この流動性資産とは、法人(企業)が保有する資産のうちで、その決算日(貸借対照表)の翌日から1年以内に、現金化または費用化する資産をさします。この1年という基準は「ワン・イヤー・ルール(1年基準)」と呼ばれています。
その他、法人が原材料を取得してから、製造や販売、現金回収までの平均的期間(正常営業循環基準)を適用することも該当します。
この流動性資産には当然、現金・預金も含まれますが、売掛金、受取手形、有価証券の他、製品、原材料、仕掛品などの「棚卸資産(※)」が含まれます。また、前渡金、前払金、短期貸付金等も当てはまります。
(※)棚卸資産:将来に販売または一般管理活動を行うために保有している資産を指します。
2.個人のための保険を活用した資産運用その1
資産とはいっても個人と法人とで、随分資産に該当する範囲は異なるものですね。
では、個人の資産を運用して安全に貯蓄を増やすには、どうすれば良いのでしょうか?
私と妻との間に子供が生まれるので、長期的で堅実な資産運用を行いたいのですが・・・・。
こちらでは、保険を活用した資産運用の方法について解説します。
2-1.各家庭を取り巻く環境は厳しい
勤務先から毎月給与は貰っていても、生活費のために毎回お金が出て行ってしまい、思うように貯蓄できない方々もいらっしゃることでしょう。
今のところはご自分と配偶者で、何とか生活は維持できているものの、子が誕生する等、ライフステージも変化すれば、それだけ支出は増加するかもしれません。
少なくとも、現在の日本では金融機関にお金を預けても、政府の超低金利政策で利息は限りなく0%に近い状態です。
預金口座を開設しても、資産運用どころか、ただ保管のために預けるだけの役割しか持っていないのと同じです。
〇投資信託をやってみる?
投資信託とは、複数の投資家から集めたお金を一つの資金としてまとめ、運用の専門家が株式・債券等に投資・運用する商品です。
投資信託の購入後、その運用がうまくいけば利益が得られるものの、運用がうまくいかなければ投資額を下回り、損をすることも想定されます。
〇仮想通貨をやってみる?
ひと頃話題になった仮想通貨ですが、こちらは、インターネットを通じて不特定多数者間で物品やサービスの対価に使用できる通貨を指します。専門の取引所を介して円・ドル・ユーロ等の通貨と交換可能です。
この仮想通貨で、短期間の価格の浮き沈みでお金を得る試み(投機)を行うことができます。
短期間で大きな利益をえるチャンスはありますが、仮想通貨はその価値の浮き沈みが非常に激しく、こちらを利用した資産運用はとてもお勧めできる方法といえません。
〇堅実な資産運用は長期にコツコツと
ご自分が家庭の大黒柱なら尚更、資産運用は慎重に行うべきでしょう。大博打的な運用で自分の資産を短期間で何十倍にも増やす人は、ほんの一握りの方々だけです。
なるべく家計に影響がなく、急激な資産の増大が期待できなくても、長期にコツコツ堅実に運用し、いざという時のお金として、はたまたご自分や配偶者の豊かな老後を送るための資産として、活用したいものですね。
2-2.資産運用に向いている保険とは
生命保険にはいろいろな保険の種類が存在します。ご自分の病気やケガの治療を保障する「医療保険」、がん治療を保障する「がん保険」、介護認定され介護が必要になったとき金銭的なサポートが受けられる「介護保険」、いずれも十分な治療・看護のためには有効な保険と言えます。
しかし、資産運用に向いている貯蓄性を有した保険は、主に次のような商品があげられます。
- 死亡保険(終身保険)
- 養老保険
- 個人年金保険
いずれも、資金をコツコツと積立て、解約すれば解約返戻金が受け取れたるものばかりです。
死亡保険は、そもそも被保険者が亡くなった時に保険金受取人(遺族等)へ死亡保険金が下りる商品です。中途解約すれば返戻金が受け取れます。
養老保険は、一定期間にわたり保険料を積み立て満期となった時、死亡保険金と同じ額の満期保険金が受け取れます。
個人年金保険は、一定期間にわたり保険料を積み立てた後、契約時に設定した年齢から年金という形で、お金が受け取れます。
2-3.いきなり運用成果が出るわけではない
前述した資産運用に向いている保険商品は、予定利率(保険加入者に約束する運用利回り)が銀行の金利より高くなっています。
ただし、保険による資産運用は短期間で大きな効果が表れるものではなく、十数年、何十年と長期間の運用で資産を増やすことになります。
できるだけ資産を速やかに増やしたいならば、毎月支払う保険料を半年払いや年払い、前納、一時払い(ただし利用できる商品は限られます。)にすることで、保険料を抑え予定利率を上げる方法もあります。
ご自分の家計の状況を踏まえ、効率な運用方法を選びましょう。計画的な運用のために、保険会社や代理店の担当者と相談しながら方法を選ぶことも大切です。
3.個人のための保険を活用した資産運用その2
現在は、私も妻もお金に困っていませんが、将来まとまったお金が必要となったり、子ができれば進学費用も考えなければいけません。
そのための資産運用に向いている保険商品は何かないでしょうか・・・?
こちらでは、低解約返戻金型保険の特徴、活用例について解説します。
3-1.低解約返戻金型保険とは
低解約返戻金型保険とは、保険加入者(被保険者)が保険料を支払っている期間中に解約すると、戻ってくるお金が低くなってしまうものの、払い込む保険料を割安にした死亡保険のことです。
〇死亡保険の本来の役割+α
死亡保険は前述したように被保険者が亡くなった場合、保険金受取人(主に遺族)が死亡保険金を受け取る商品です。
家族の大黒柱であるご自分が亡くなっても、残された家族の当面の生活費や葬儀費用が賄えるように、事前に保険会社と契約を結ぶこととなります。
しかし、低解約返戻金型保険は主に終身保険(一生涯保障の保険)という形で運営され、保障期間の制約もなく、保険加入者が任意で解約し、解約返戻金を受け取ることも可能です。
〇将来の資産としての有用性
払い込む保険料は割安なので、ある一定の期間を経過して解約した場合、返戻率(保険加入者側が得する割合)は高くなります。
また、被保険者(ご自分)が亡くなったり、解約をしたりしなければ、お金は受け取れないので、毎月保険料をコツコツ支払えば、ドンドンお金は積み立てられていきます。
つまり、浪費癖のある人でも、堅実に資産を運用するための有効な方法と言えます。
3-2.低解約返戻金型保険の特徴
この保険は、通常の死亡保険より保険料が安い反面、保険料の払込を満了しないと、その途中で解約したら解約返戻金が元本の7割程度に減額されます。
ただし、保険料の払込満了後に解約したなら、解約返戻金は多く戻ることになります。各保険プラン、契約期間等にもよりますが、払込満了後は約105~120%の解約返戻率が期待できます。
例えば、ご自分が払込満了まで1,000万円の保険料を支払った場合、返戻率110%ならば1,100万円が受け取れます。つまり100万円分、保険加入者は得することになります。
銀行預金の利息はもとより、低解約返戻金型ではない通常の死亡保険は、およそ101%が平均的な解約返戻率といわれています。
それと比較すれば、低解約返戻金型保険は資産運用の手段として優れた保険商品といえます。
こちらでは具体例をあげて解約返戻率の推移をみてみましょう。
(例)
- 保険加入者(被保険者):30歳男性
- 死亡保険金額:500万円
- 保険期間:終身
- 保険料払込期間:60歳満了
- 保険料払込方法:口座振替(月払)
- 月払保険料:10,795円
年齢 | 解約返戻金額(返戻率) |
50歳 | 1,854,500円(71.5%) |
60歳(満了前) | 2,893,000円(74.4%) |
60歳(満了後) | 4,133,000円(106.3%) |
70歳 | 4,404,500円(113.3%) |
3-3.低解約返戻金型保険の活用例
低解約返戻金型保険の返戻率を迅速に上げるためにはどうすればよいのでしょうか?
それは、保険料払込期間を短期間で設定することです。
月払で保険料を払い込む場合は、その分、毎月の保険料は高くなりますが、保険料払込期間が満了すれば、いっきに返戻率は上昇します。
〇我が子の教育資金として活用
子が誕生してから、だいたい15年で保険料を支払い終えるように低解約返戻金型保険を契約すれば、子の教育資金として、まとまったお金が必要となりはじめる高校進学・大学進学等のとき、有効活用できます。
もっとも、子の教育資金には「学資保険」という保険商品もあるのですが、子の教育資金に特化している分、契約の際、設定した年齢に子が達すればお金を受けとる必要があります。
例えば、子が18歳の時に大学へ進学することを想定して、学資金が下りるよう設定しても、実際には子が高校を卒業して就職し自立することも考えられます。
このような場合、今はお金が不要だからといって学資金を受けとらないわけにはいかなくなるのです。
〇より柔軟な活用ができる低解約返戻金型保険
当初、子の進学のためお金を積み立てていたとしても、子が就職してしまえば進学資金として使う必要性はなくなります。
その場合、低解約返戻金型保険ならばそのまま据え置くと、まだまだ返戻率は上がっていきます。
この据え置いたお金を、今度はご夫婦の老後の資金のために活用するのです。
そうすれば、将来まとまったお金が必要になっても、保険を解約して解約返戻金として受け取り、必要な費用に充てればよいのです。
4.個人のための保険を活用した資産運用その3
低解約返戻金型保険は、保険料払込期間満了前の解約は気を付けるべきですが、非常に柔軟な資産運用ができてお得ですね。
では、自分の老後のための資産運用に向いている保険はないでしょうか・・・・?
第4章では、個人年金保険の特徴、そして注意点について解説します。
4-1.個人年金保険とは
個人年金保険は、保険加入者(被保険者)が年金保険料をコツコツ積み立て、保険契約時に設定した年齢から年金受取を開始する保険商品です。
公的年金が十分受け取れるか不安という方々が多い中、注目されている私的年金です。
また、個人年金保険は加入が容易で、原則として健康診査は不要です。持病や傷病歴のある方々でも加入できます。
個人年金保険は、払い込んだ保険料よりも受け取る年金額の返戻率が高く、日本円で運用する円建て個人年金保険の場合は約103%~108%となります。
一方、ドル等の外貨で運用する外貨建て個人年金保険の場合は、150%にも上ることがあり、非常に高い返戻率が期待できます。
4-2.個人年金保険の特徴
個人年金保険の特徴には「定額タイプ」と、「変額タイプ」があります。
〇定額タイプ
定額の個人年金保険は、保険契約時、既に将来の年金受取額が決定している年金保険のことです。
この定額タイプには、利益配当のあるもの(5年毎)と、無配当のものがああり、利益配当がある場合は保険会社の運用次第で、ご自分の年金額が上乗せされます。
どちらにしても、年金の積立金および受け取る年金額は元本が保証されているので安心です。
〇変額タイプ
変額タイプは、保険会社等の運用で受け取る年金額が変動する商品です。資産の運用のため、投資対象を自分で選ぶことができます。
投資対象が好調ならば、積立金は増加しますが、不調だと減少します。運用に失敗した場合、元本割れ(つまり、払い込んだ保険料より実際に受け取るお金が少ない)を起こすリスクがあります。
運用次第で受取年金額に差が出るため、常に運用成績を注目する必要があります。
4-3.個人年金保険の注意点
個人年金保険には前述した大きく2つのタイプがあります。これらの特徴を理解することは大切ですが、それらを運用する場合の通貨にも注意しましょう。
〇外貨建ては人気がある反面・・・
最近は「利回りが非常に良い。」と評判が高い、外貨建て個人年金保険が人気となっています。
確かに、日本円よりも好調なアメリカ・ドル、オーストラリア・ドルで資産を運用した方が、お得であることは間違いありません。
しかし、円建てとは違い、様々なリスクがあることは事前に確認しておくべきでしょう。
外貨建ての場合は外貨から日本円へ両替する際、為替変動の影響を強く受けます。日本円で年金を受け取る場合、円安であるなら保険契約者(被保険者)は得をし、円高の場合は損をします。
年金を受け取る場合には、為替相場の状況をしっかり確認する必要があります。
その他、保険料を振り込む際の手数料や、逆に受け取る場合も手数料が発生します。
外貨建ては仕組みが非常に複雑で、資料をみてすぐにその内容が理解できる人はあまりいません。
加入者と保険会社との間で、外貨建て保険に関するトラブルは多くなっています。加入を希望する人もが担当者に相談してみたものの、内容がどうしても良くわからないという場合は加入を見送った方が無難です。
〇資産運用は本人の理解と納得の上で!
個人年金保険で一番シンプルな商品は円建て定額個人年金保険です。保険内容はわかりやすく、当然為替変動の影響外です。
既に将来の年金受取額が決定しているので、安心して資産運用ができ、将来設計も容易となります。
確かに、返戻率は高くても108%以内に収まるケースがほとんどです。しかし、理解しやすく堅実な資産運用を考えるなら、こちらの保険を活用した方が賢明です。
5.法人のための保険を活用した資産運用その1
私は法人の資産運用にも興味があります。自社で利益を上げることは大切ですが、法人税等の税金対策も必要となるでしょう。
法人の資産運用を行う場合、最も堅実な方法を知りたいです・・・。
こちらでは、法人保険の資産運用への有効性について解説します。
5-1.法人の資産運用は社用車から飛行機まで
法人の資産には金融資産や不動産資産の他、社用車や、前述した流動性資産も該当します。
法人の資産運用は個人とは比較にならないほど多用で、意外な方法も数多く存在します。
例えば、船舶や航空機のリースを行い資産運用と節税に役立てる方法です。
当然、船舶や航空機を購入しても、その会社が船舶に関する事業、航空事業に参入するわけではなく、船舶会社や航空会社にリースして料金を受け取ったり、購入費を損金へ計上したりして、資産運用や節税を行います。
非常にスケールの大きな話ですが、このような方法は大企業でなければ現実に行えない資産運用と言えます。
5-2.中小企業は現実的な資産運用を
まだまだ経営規模は小さく、余剰資金も豊富にあるとはいえない中小企業はどのように資産運用を行えば良いのでしょうか?
当然、現実的な資産運用法を駆使して、着実に資産を増やすことが大切です。
また、中小企業では従業員の福利厚生にも腐心していることでしょう。経営者と共に、長年仕事に従事してきた従業員の皆さんも多いはずです。
彼らが、不運にも病気やケガをした時は、会社で金銭的なサポートを行い元気に職場へ復帰してもらいたいですよね。
その他、忘れてはいけないものに前述した法人税等の節税対策があります。中小企業には、その経営状態、経営規模へ適した節税方法があります。
この資産運用・福利厚生・節税がどれも欠けることなく、成り立つ方法はないものでしょうか?
その方法こそ「法人保険」の活用なのです。
5-3.法人保険は資産運用に有効?
法人保険は商品ごとに特徴もありますが、次のようなニーズに対応できます。
〇法人保険で企業経営を安定
法人保険では、被保険者(役員・従業員)の万が一の場合には死亡保険金が、解約する場合は解約返戻金等が現金で受け取れます。これは個人向け保険でも同様です。
必要な時にお金が下りるので、資金調達のため事業資産を売却する必要もなく、事業継続への障害を回避したり軽減させたりすることができます。
また、このような保障機能に加え、計画的に将来の資金需要(役員・従業員の退職金等)へ対応できる、貯蓄機能のある商品も販売されています。
〇福利厚生へ活用できる
法人保険は死亡保険等にかかわらず、がん保険や医療保険も取り扱われています。
役員・従業員が死亡に至らなくても、三大疾病(がん、心疾患、脳疾患)等の深刻な病気で入院治療が必要な際、給付金等が受け取れます。
このような保険を備えていれば、従業員は不安なく業務へ打ち込むことができます。結果、勤労意欲が向上し、高いパフォーマンスが期待できます。
〇保険料が損金に計上できる
法人保険も保険料を払い続けることで、保障が継続されます。ただし、この保険料はただ出ていくわけではなく、その何割かを損金に計上できます。
法人の収益が好調であっても、それだけ法人税等の税金額はより高くなってしまいます。
経営規模がまだまだ発展途上の中小企業には重い負担と言えます。そんな負担を、支払った保険料を損金として扱うことで軽減することができます。
保険料を損金として計上できる割合は、主に1/2、1/3、中には全額を損金に算入できる商品まであります。
6.法人のための保険を活用した資産運用その2
法人保険は、いろいろなことに役立つ商品といえます。ただし、法人保険にも多種多様なタイプがあるようですね。
法人保険の種類や、資産運用の活用法について知りたいです。
こちらでは、法人保険の各種類、その活用法を解説します。
6-1.法人保険はいろいろある
法人保険に加入する場合は、自社の経営状態・規模等を考慮し、自社に合った保険商品を選ぶことが必要です。
法人の資産運用や節税に向いている保険は、主に次の3種類です。
〇逓増定期保険
逓増定期保険は、保険契約してから一定期間経過し、保険期間が満了するまでに、保険金額が契約当初の金額よりも最大5倍まで増額されます。
経営規模が順調に拡大している会社では、それに比例して、経営者・役員の責任は重くなります。
この保険は、その重くなった責任に見合った保険金額へ備えられることが魅力です。
逓増定期保険は、払い込んだ保険料の一部を損金へ算入することができます。被保険者の年齢や保険期間に応じて1/2、1/3、1/4の3種類が設定されています。
〇長期平準定期保険
長い保険期間(99歳または100歳)を利用し、経営者・役員の万が一の事態へ十分な対応や、勇退のタイミングを容易に選ぶことが期待できます。
長期平準定期保険では払い込んだ保険料の1/2が損金に算入され、その分法人税は軽減されます。一方、もう1/2は資産計上されることになります。
〇全額損金定期保険
保険料の全額が損金として計上できる保険です。節税を行う上で大変頼りになる保険ですが、いろいろと注意点もあります。
こちらについては「6-3.起業したばかり法人の保険活用法」で解説します。
6-2.従業員の福利厚生を合わせて考えよう
法人保険は資産運用な節税に役立つ商品と言えますが、大切なのは保障の中身です。
確かに死亡保険金が下りる死亡保険(定期保険)に加入し、役員・従業員がまさかの事態で死亡した場合、遺族へ死亡退職金を支払うことは大切なことです。
〇傷病を保障する法人保険の加入は大切
ただし、従業員を大切に思う企業ならば、従業員が病気やケガをした場合、しっかりと入院保障や手術保障の治療が受けられる保険へ加入することも検討するべきでしょう。
資産の運用や節税目的の法人保険には、従業員が重大な病気に罹患した場合や、高度障害状態になった場合を保障する内容も設定されています。
経営者の立場からすれば、従業員の気になる病気へ事前に備え、従業員が疾病した時、速やかに給付金等が受けとれるよう準備をしておきましょう。
〇保険には従業員〇〇名コース等のプランがある
医療やがん治療を保障する法人保険では、従業員10名コースや20名コースというように、まとめて従業員を被保険者として保険契約を締結できる商品も数多くあります。
このような保険契約を結んでおけば、従業員が病気やケガをしたとき平等に保障が約束され、安心して業務を行うことができるはずです。
6-3.起業したばかり法人の保険活用法
起業したばかりなので経営が安定していないものの、資産運用や役員・従業員等の福利厚生になり、節税にもなるという保険が、前述した「全額損金定期保険」です。
〇全額損金定期保険の役割
保険料を毎月支払うことで、その全額が損金として計上され税金が軽減される他、役員・従業員に深刻な事態が起これば、本来の保障としての役割を担います。
経営がマダマダ安定していない状況でも、役員・従業員の福利厚生を充実させ、税金の負担を大きく軽減できることが特徴です。
〇ただし、注意点もある
この保険は定期保険である以上、役員・従業員にこの保障を使わなければ、いずれ返戻金として、会社がそのお金を受け取ることになります。
保障期間中、自社の役員・従業員に、まさかの事態が起きなかったのは幸いではありますが、この返戻金を役員等の退職金として利用する機会もないと、その全額が雑収入として計上されます。
そのため、税務上は益金となり、受け取ったお金をそのまま放置していると、多額の法人税がかかってしまいます。
資産と税金のバランスは、経営が安定していない法人なら尚更考慮するべきことです。
そこで、受け取ったお金を、会社に必要な設備投資・人材投資へ使用することや、従業員の慰安旅行等で福利厚生費として利用し、受け取ったお金を有効活用することが大切です。
7.まとめ
資産が大切なのは当然と言えますが、将来に備えるため資産の維持ばかりを重視するのではなく、運用して増やしていくことも重要です。
しかし、その運用にはいろいろと条件や制約があり、華々しい運用成果が期待されるものであるほど、その反面、損をするリスクも大きい場合があることに注意するべきです。
資産の運用はそのリスクも踏まえ、ご自分の家計等も考慮に入れながら、何割まで運用に回し、あとの何割を保管(貯蓄)しておくというように決めておくことが賢明です。