生命保険受取人を決める際には、よくよく考えなければなりません。なぜなら、保険金受取人を誰にするかで、税金が変わってくるからです。生命保険及び受取人と税金とは、必ず関わってきます。税金とは相続税・所得税・贈与税の3つのことであり、ゆくゆくは、年末調整・控除にも関係してきます。
しかし、「生命保険金という大金を『誰が受け取るか』」という問題だけでも難しい上、複雑でよく分からない税金となると、頭が痛くなってきますよね。いざ決めても、その後、生命保険受取人は変更できるのかどうか、色々考えていくと、どうしても悩んでしまいがちです。
今回は、「損をしない生命保険受取人の設定」について、簡単すっきり解決します。生命保険受取人と税金との関わり方、誰にしたらメリットがあるのか、丁寧に詳しくお伝えします。
1つ1つメリットを確認する事で、生命保険によってどう税金が変わるのか、どうしたら損をしないように受取人を決められるのか等が分かります。このページを読んで、是非、損をしない受取人と税金を覚えていただけたらと思います。
目次
1.生命保険受取人を誰にするかで税金が変わる!
生命保険加入時は、生命保険受取人(保険金受取人)を決める必要があります。
生命保険受取人は誰かにより、「税金がどのようにかかるのか」が変わります。加入時は、税金のかかり方を意識しながら、生命保険受取人を選ぶようにしましょう。
税金とは、大きく分けて次の3つのケースとなります。
①生命保険受取人により、相続税となるケース
②生命保険受取人により、所得税となるケース
③生命保険受取人により、贈与税となるケース
受け取る保険金には、相続税・所得税・贈与税がかかります。
税金には各々、非課税枠というものがあります。これは、「税金がかからない枠」のことを言います。非課税枠とは大きければ大きい程良いですが(非課税が大きい=税金がかからない)、相続税・所得税・贈与税の3つの税金の非課税枠はそれぞれ差があります。
従って、各税金にはどのような非課税枠があるのか、しっかり知っておく必要があるでしょう。
生命保険加入時は、「生命保険受取人は誰にするか」「どのケースなら、どの税金になるのか」「各税金のうち、非課税枠が大きいのはどれか」などを勘案して加入する事が得策だと言えます。
1-1.絶対に分かる!生命保険受取人と税金のポイント
保険金には全て税金がかかるのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
例えば、入院したり手術を受けたりした際に受取る保険として「医療保険」がありますが、これには税金はかかりません。法令(所得税法施行令第30条第1号)で決まっています。
また、同じように病気やけがをして会社を長期間休まなければならなくなったり働けなくなったりした保険として「就業不能給付金」がありますが、これも、医療保険と同じく税金はかかりません。
しかし、被保険者死亡または高度障害になった時に保険金が支払われる「死亡保険」は違います。この死亡保険には、税金がかかります。
なお、この死亡保険というのは、通常、生命保険の事を呼びます(「死亡保険」「満期保険」の2つを生命保険と呼びます)。
生命保険とは、人間の生命にかかわる損失を保障することを目的とされています。
さて、生命保険において、かかる税金は3つ(相続税・所得税・贈与税が)だとお伝えしました。「生命保険受取人はどのケースにした場合、最も税金が抑えられるのだろうか」ということを考えた方が良いとも、「契約者は、加入時『生命保険受取人を誰にするか』よくよく考える必要がある」ともお伝えしました。
その生命保険受取人と税金とにおいて、何に気を付けたら良いのでしょうか。それは2つあります。
・受取人の決め方(受取人を誰にするか)
・契約形態(契約者・被保険者・受取人)
上記の2つにより税金のかかり方が大きく変わってくるのです。
生命保険加入時には、十分に注意しましょう。
1-2.メリットが大きいのは、相続税となる生命保険受取人って本当?
メリットが一番大きいのは、「相続税となる生命保険受取人」です。
「生命保険受取人により、相続税となるケース」を選びましょう。
それでは、「相続税となる生命保険受取人」とは誰のことでしょうか?特にメリットが大きいのは、相続人である「配偶者や子」の場合です。
加入目的は様々かと思いますが、生命保険というのは、基本的には、一家を支える「生計の主体者」に万一の事があった場合、残された家族を守る為にあります。その為、相続人が保険金を受け取る時には、税金が抑えられるように出来ています。この相続人とは、残された家族である家族つまり、主に配偶者もしくは子供のことを指します。
相続税は全くかからない訳ではなく、発生自体はするのですが、非課税限度額(500万×法定相続人の数)まで課税されない(税金がかからない)ようになっています。その為、例えば内縁関係など、相続人以外が生命保険受取人となる場合は、この非課税枠の特典は適用されず、税金が多くかかるようになっています。
メリットを考えると、生命保険金受取人を相続人「配偶者や子」にすること、これがポイントです。そしてもう一つポイントは、契約形態です。契約者と被保険者が同じであることが大事です。
こういったことに注意しながら生命保険へ加入する事がベストです。
1-3.相続税になる場合の生命保険受取人とは
先ほど、メリットが大きいと書いた「相続税になる生命保険受取人」ですが、具体的に生命保険受取人及び契約形態を見て行きましょう。
一般的に多い例としては、契約者・被保険者を夫、生命保険金受取人を妻とするケースが挙げられます。
先ほど申し上げた通り、生命保険というのは、一家を支える「生計の主体者」に万一の事があった場合、残された家族を守る為に作られており、相続人(残された配偶者や子)が保険金を受け取る時に税金が抑えられるように出来ています。
その非課税枠は大きく、税金面で考えれば非常に有利だと言えます。
「相続税となる場合の生命保険受取人」の場合、税金が一番かかりません。
最後に、相続税の非課税枠について確認してみましょう。
相続税の非課税についての計算の仕方は次のようになっています。
・非課税限度=(500万円×法定相続人の数)
・相続税の基礎控除額=3,000万円×(600万円×法定相続人の数)
1-4.所得税になる場合の生命保険受取人とは
次に、「所得税になる場合の生命保険受取人」及びその契約形態を見ていきましょう。
例えば、契約者が夫、被保険者が妻、死亡保険金受取人を夫にした加入形態があります。この場合の契約形態は、契約者・受取人が同じです。つまり、契約者が保険料を払って、保険金を受け取るということになります。
このように、契約者と生命保険受取人とが同じになる場合、所得税となります。一時所得として、その年の給与所得や他の所得との合計金額に課税されるようになっています。
最後に、所得税の非課税枠について確認してみましょう。
所得税の非課税についての計算の仕方は次のようになっています。
・課税一時所得の金額=(保険金-支払い保険料合計-50万円)×2分の1
1-5.贈与税になる場合の生命保険受取人とは
最後に、「贈与税になる場合の生命保険受取人」及び契約形態を見ていきましょう。
例えば、契約者を夫、被保険者を妻、受取人を子にしたとします。つまり受取人(子)は何もせず、契約者から無償で保険金を受け取ることになります。
この場合の契約形態は契約者・被保険者と異なります。それに加え、契約者以外の人が生命保険受取人となった場合、贈与税となります。
最後に、贈与税の非課税枠について確認してみましょう。
贈与税の非課税についての計算の仕方は次のようになっています。
・課税所得=生命保険(死亡保険金額)-基礎控除110万円
2.生命保険 受取人は誰にしたら良い?
ここで、ポイント3点を再確認しましょう。
・生命保険金の受取人
・生命保険金の税金
・契約形態
生命保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係で税金が大きく変わるという事を、再度認識しておいて下さい。
2-1.解決!生命保険 受取人は誰にしたら良いか
結局、生命保険受取人は誰にしたら良いのでしょうか?
生命保険金受取人を相続人「配偶者や子」にすること、これが良いでしょう。メリットが最も大きいです。
但し、「契約者と被保険者が同じであること」が前提です。
一般的に多い例としては、契約者・被保険者を夫、生命保険金受取人を妻とするケースが挙げられます。この形態が良いでしょう。被保険者の相続人を生命保険受取人にすると良いということです。
2-2.生命保険受取人は誰にでもなれる?
結論として述べれば、生命保険受取人は誰にでもなれます。例えば内縁関係の人でも可能です。
※但しこれは保険会社によって違います。色々な場合があるので、生命保険受取人の査定は厳しくなってきていると考えられます。
血縁がないと指定できない会社もあります。また一方で、保険会社によっては、内縁関係及び婚約関係であっても、一定の条件をクリアできれば受取人に指定可能という場合もあります。自分が加入しようとしている会社では、内縁の人の場合、生命保険受取人をどのように扱うのか、事前に保険会社へ確認することが必要です。
しかし、仮に内縁の人を受取人に指定可能であった会社の場合でも、内縁関係の人というのは相続人となる人(配偶者や子)以外である為、相続税の非課税限度額(500万×法定相続人の数)の対象外となり、ひいては高額な税金がかかるという点は改めて注意しなければなりません。
また、生命保険受取人は、基本的に誰に指定しても良いのですが、被保険者が誰なのかをよく吟味しなければなりません。というのは、昨今、保険金殺人など公序良俗に反する行為で保険金を得る事件が起こっているからです。
従って保険会社は、契約を承諾する際は契約者・被保険者・受取人を査定するようになっています。
それでは、今度は血縁関係の人を具体的に見てみましょう。
一般的に、生命保険受取人に指定できる血縁とは、以下の通りです。
☆配偶者
☆一親等・・・親・子
☆二親等・・・祖父母・兄弟・姉妹・孫
(ただし保険会社によっては、これもまた考え方が違います。二親等内の血族がいなければ、三親等内の血族でも可能だという場合があります。三親等内とは、叔父・叔母・甥・姪などのことを言います。こちらも必要であれば、事前に保険会社に確認してみましょう)
2-3・生命保険受取人は1人だけ?
生命保険受取人は、1人だけではありません。
最高7人まで選べます。
例えば、子供が1人だけではない場合などがあります。こういった場合、契約者の意向に沿って、子供全員を生命保険受取人として、複数指定することが可能です。
但し、加入の際、契約者は、「誰に〇〇%の割合で渡すか」ということ(指定割合)を保険会社に報告しなければなりません。
3.生命保険受取人は変更できる
生命保険受取人は、契約者の権限で変更できます。
生命保険とは、通常、長い間にわたってつきあっていく保険です。勿論、その間、家庭により、様々な事情が出てくるでしょう。離婚や死別その他、家庭により加入時と状況が変わっていることも大いに考えられます。
変更については以下の通りです。
☆契約者の権限で生命保険受取人は変更できる
☆いつでも、また何回でも変更可能
3-1・契約者により、生命保険金受取人は変更できる
契約者により、生命保険受取人は変更できます。受取人を変更できる権利は契約者だけの権限です。
例えば、契約者の遺言によっても生命保険受取人は変更できます。
ただし、遺言にて受取人を変更する場合、遺言書が法律上適切でなければ、変更が受け付けられない場合があります。また、遺言の有効性を確認する手続きが必要になるため、通常の手続きに比べ、支払いまでに時間がかかる可能性があります。
3-2・生命保険の受取人と離婚した場合
生命保険の受取人と離婚した場合には、直ちに生命保険受取人の変更手続きをしなければなりません。
生命保険受取人を元配偶者から変更していなければ、万一の場合、元配偶者が受け取ることになってしまいます。
例えば、次の様なケースもあります。
契約者(夫)・被保険者(夫)・生命保険受取人(妻)という契約形態で、被保険者の夫が亡くなりました。妻が保険金受取りの手続きをする際、夫の母親が保険会社に同行し、「この保険は息子が保険料を払ってきたのだから、母親の私も保険金を受け取って良い筈だ」と怒鳴ってきたのです。どうやらこの時にはほぼ離婚に近い状態だったようですが、勿論、どのような事情があるにせよ、この場合、保険会社は妻と手続きを交わしました。
(この場合は離婚していなかったにせよ)ともあれ離婚した場合、すぐに変更手続きをした方が良いです。本来残された家族に残すものが生命保険だからです。
受取人と離婚した場合は、その時点で、契約者が希望する相続人、つまり子供や再婚相手(新しい配偶者)、又は親等に変更すると良いでしょう。
3-3・生命保険の受取人が亡くなってしまった場合
生命保険受取人が死亡した場合も、契約者は早めに受取人を変更する必要があります。
というのは、変更手続きをせず、そのままにしてしまうと、生命保険受取人の法定相続人が保険金を受け取ることになってしまいかねないからです。
法定相続人とは、相続人になれる人のことです。民法により法定相続人は定められており、また、相続人になる人の順序も決められています。配偶者は常に相続人ですが、他の血族相続人の場合には、優先順位があります。
しかし、本来、受取人及び(受取人が複数であれば)指定割合などは契約者により決められ、契約者はその権利があるにもかかわらず、生命保険受取人が死亡し、変更手続きをせずにいると、この場合は結果的に人数で均等にわけられてしまいかねません。
この場合も、出来るだけ早く生命保険受取人を変更しましょう。
また、生命保険の受取人が亡くなってしまった場合、それが通常の病気や事故ではなく、例えば地震や水害など大規模な災害などであれば、通常の生命保険受取人の枠以上に広がることもあります。
実際にあった例を紹介しますと、
〇30年以上前に長崎大水害で299人以上が死亡
〇契約者・被保険者は夫、受取人は妻という契約形態。
不幸にもご夫妻もお子様も亡くなられ、生命保険受取人の権利は妻の法定相続人になりました。最終的にブラジル在住の妻の血族の方に保険金が支払われました。つまり夫の血縁関係ではなく、妻の血縁関係の方が浮上しました。
4.今あなたは絶対に読むべき!年末調整と生命保険
話は変わりますが、年末調整の時期です。会社によってはもう既に提出した人も多いことでしょう。
年末調整は、一見複雑で面倒な内容に思われがちですが、実は非常にメリットが大きいのです。何故なら、後々、お金が戻ってくるからです。この時期になると、年末調整で更に還付金が多くなり、「いくら還付されるかな?」とサラリーマンの方々は楽しみにしていることでしょう。
特に、生命保険加入者は、生命保険料控除が受けられるメリットがあります。生命保険料控除を受けない手はありません。
今回は、年末調整で賢く控除を受けきるためのコツをご紹介します!
4-1・生命保険と年末調整
年末調整時には、いくつか控除が受けられますが、その中の一つに、生命保険料控除があります。これで、所得税と住民税が安くなります。
(保険料が給与から天引きされていれば、控除の申請は必要ありません)
生命保険料控除とは、生命保険に加入し1年間に支払った生命保険料を、所得から差し引かれる事を言います。
それにより、「所得が少なくなる=支払うべき税金金額が少なくなる」と言うように、税金が軽減されるという事です。
4-2・そもそも、年末調整って何?
会社に勤めている人は、年末になると、年末調整をしなければなりません。
年末調整とは、社員のこの1年間の給料から所得税額を計算し、毎月の給料から天引きしている所得税額の合計から足し引きし、12月の給料で納税を終わらせるという仕組みになっています。
ところが毎月の給料から天引きしている所得税額の中身は、以下の項目は考慮されてはいません。
☆民間の生命保険料や地震保険料などの所得税控除額
何故なら、会社は社員一人一人がどの様な保険に加入し、保険料をいくら払っているのかは分からず把握していないからです。つまり、1年間に源泉徴収した所得税とその人が納めるべき所得税とは、必ず一致する訳ではありません。
そこで、年末調整では、控除を反映させられるよう、会社側は社員に確認作業をします。その上で、その人が納めるべき所得税を計算し、その差額を調整(還付または徴収)する作業が行われます。
このようにして、所得税の過不足を調整する事を「年末調整」と言います。
控除申告すれば、かかる税金は少なくなり、引いては還付金が戻るので非常にメリットが大きいと言えます。
以下は、年末調整で受けることのできる所得控除です。生命保険料控除以外にも、多くのものがあります。
・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・障害者控除・寡婦(寡夫)控除・勤労学生控除
の10種類になります。
仮に年末調整が間に合わない場合でも、諦めず、会社の経理の方に相談してみましょう。
会社により提出期限は違うかと思いますが、通常は、翌年1月末、各市町村に給与支払報告書の提出期限までであると思われます。但しこの時期も過ぎると、ご自身で確定申告をしなければなりません。
4-3・これで丸わかり!生命保険とお得な年末調整・控除の仕方
年末調整で生命保険料控除を受けるべき、受けるメリットが大きいということはご理解いただけたかと思います。
ここでは、年末調整で賢く控除を受けきるためのコツをお伝えする為に、生命保険料控除とは何か、またどのようなものが対象になるのかなど、その内容をご紹介します。
生命保険料控除は、以下の3つに区分され、それぞれの区分ごとに控除額が計算されます。
①一般生命保険料
②個人年金保険料(税制適格特約付加条約)
③介護医療保険料
(平成24年以後の締結条約により③の区分も決められています)
生命保険料控除は民間の保険契約の他、JA共済の生命共済、年金共済、また全労済の「こくみん共済」や各都道府県民共済の掛金などにも適用されます。
生命保険料控除の対象となるのは、保険金などの受取人が「本人または配偶者もしくはその他の親族」となっている契約です。なお、「その他の親族」とは、六親等内の血族と三親等内の姻族(配偶者の血族や血族の配偶者などを指します)のことですが、親族であれば、生命を一にしていなくても、生命保険料控除を受けることができます。
また、個人年金保険料や介護医療保険料などは、それぞれ別枠で控除の対象になります。
ただし、財形貯蓄制度に利用される保険や保険期間が5年未満の貯蓄保険、団体信用生命保険などは対象外となります。
なお、生命保険料控除の対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までに支払った保険料です。
会社に勤めている方であれば、毎年12月の給与の支払われる前日までに提出し年末調整で控除を受け、それ以外、例えば事業取得者などといった申告納税者の方であれば、「確定申告書」を翌年の2月16日~3月15日までに税務署に提出して控除を受けるようになっています。
〇年末調整では、以下の2つの書類を添付し、会社に申請しましょう。
・給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
・生命保険料控除証明書
①給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
会社員の方は、会社から「給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を渡されます。この書類は年末調整に必要です。
②生命保険料控除証明書
生命保険料控除には、①の他に、毎年保険会社から秋以降に送られてくる「生命保険料控除証明書」が必要です。
保険会社から届く郵送物の中に「生命保険料控除証明書」があるはずです。これは、所得税の生命保険料控除を受けるための証明書です。保険会社からの郵送物をきちんとチェックして、大事に取っておいて下さい。年末調整の際、必要です。
この「生命保険料控除証明書」は、通常、秋頃から生命12月上旬までにハガキや封書で届くようになっています。
(もし紛失した場合は、急いで保険会社に再発行をお願いしましょう!)
5.生命保険金の基本
ここまでは、生命保険受取人と税金、また年末調整・生命保険料控除についてみてきました。
さてここでは、生命保険金のキホン知識を確認していきましょう。
具体的には、次の3つの項目について、1つ1つ見ていきます。
①保険料
②保険金
③受け取る保険金の種類
知っている言葉がある一方で、実は詳しい内容はよく分かっていないという場合があります。また、目線を変えて保険会社から見てみた場合に、より詳しく理解出来るということもあると思います。時々、保険会社からの目線でも見ていきましょう。
5-1.保険料
保険料とは、契約者が保険会社に支払うお金の事です。
ここで、一言、時々勘違いされる方のために確認です!
「毎月2万円の保険金を支払っています」という声をよく耳にします。しかし、契約者が払っているのは、「保険金」ではありません!契約者が払っているのは、「保険料」です。
では、保険料は皆同じ金額でしょうか?
決してそうではありません。契約した保険の内容により、異なります。また、被保険者の年齢や健康状態などによっても保険料は異なってきます。
保険者(保険会社)というのは、選択する権利があります。
契約者・被保険者・保険金受取人に関し、査定をします。保険会社は、信頼性・公平性・換金性・安全性、有利性などの義務の上に成り立っています。これは、一部の人だけが利益を得ないように経営していく義務も併せ持っているからです。
人は、各々、様々な面で多少のリスクを抱えています。大別すると、保険者(保険会社)は以下の3つの危険の観点から査定します。
①身体上の危険…健康面の範囲から判断
②環境上の危険…収入面の範囲から判断
③道徳上の危険…長幼を順序に反する加入
例えば、20才の人と50才では健康上多くの違いがあるため、保険料は同じにはなりません。年齢別の予定死亡率を使って保険料が算出されますが、その事は上記①身体上の危険と公平性が加味されているのです。また、同じ20才の人の場合でも、その人の健康状態や既往症により、保険料は変わってきます。
5-2.保険金
保険金とは、保険契約者(保険会社)が支払うお金の事を言います。
保険会社の立場から見てみましょう。
保険金は、どのようにして成り立っているのでしょうか。
毎月、保険会社には、契約者からの保険料が入ってきます。その保険料は、保険会社では、主に次の2つに分けられるようになっています。
①純保険料(死亡保険料・生存保険料)
→死亡時の保険金支払いに備える保険料
3つの予定率(予定死亡率・予定率・予定事業費率)により、保険料を算出
②付加保険料
→満期時の満期保険金や解約時の解約返戻金の支払いに備える保険料
保険会社は、このようにして契約者からの保険料をやりくりしながら、保険金を準備しているのです。
一方、契約者側から見た場合、保険金とは、「何かあった時に、契約により保険会社から支払われるお金」のことを言います。生命保険の場合、誰に支払われるかというと、保険金受取人(生命保険受取人)に支払われるようになっています。
生命保険受取人が保険金を受け取った場合、契約形態(契約者・被保険者・生命保険受取人)により異なりますが、所得税・相続税・贈与税のいずれかの税がかかるようになっています。
5-3・受け取る保険金の種類
生命保険で受け取る保険金は、大別すると、以下の2つがあります。
①死亡保険金→被保険者が死亡または高度障害になった時に受け取る保険金
②満期保険金→満期時に受け取る保険金
契約者は、加入時、大方、以下の様な形態で契約されます。その契約形態により、税金のかかり方が変わってきます。
最初にお伝えした死亡保険金と共に、改めて契約形態と税金とのかかわり方をご確認下さい。改めて、相続税の場合が最も税金がかからないとわかります(契約者と被保険者が同じであり、相続人となる保険金受取人が受け取る場合)。
6.生命保険制度と4つのコトバ
最後に、保険金受取人を詳しく理解して頂くための補足として、生命保険制度と4つのコトバをご紹介いたします。
①保険者
②保険契約者
③被保険者
④保険金受取人
生命保険制度はこれらから形成されており、各々、権利と義務を負います。
6-1・保険者
保険者とは、保険会社の事を言います。
保険者(保険会社)は契約時、選択する権利を有し、又、保険金支払事由が発生した場合には、保険金受取人に保険金を支払う義務を負います。
6-2.保険契約者
保険契約者とは、保険料を支払う人の事を言います。
契約者は、契約手続きの際、保険金受取人を指定する事が出来ます。
その他の諸手続き(保険期間中に保険金受取人を変更する名義変更手続き、解約、減額、契約者貸付等)が出来る権利を有します。
6-3.被保険者
被保険者とは、保険をかけられる人の事を言います。
契約時、健康診断や健康状態を保険会社に告知する義務を負います。
入院給付金を受取る権利を有します。
6-4.保険金受取人
保険金受取人とは、契約者から保険金を受け取るように指定された人の事を言います。
保険金支払事由が発生すると、がぜん権利を有します。保険会社は、直接、保険金受取人と手続きを対応します。
保険金受取人は選ばれる立場にありますが、保険金支払事由が発生すると同時に唯一、権利を有する者が保険金受取人です。
7.まとめ
これで、「生命保険受取人によって税金が変わる」ということについて、ご理解頂けたかと思います。
改めて、最後にポイントを10個挙げます。
1.生命保険金は受取人によって税金が変わる
2.相続税・所得税・贈与税のうち、最も税金がかからないのは相続税
3.生命保険と言うのは、残された家族が生活に困らないようになっている
4.損をしないのは、生命保険の受取人を相続人である「配偶者や子」にしておくこと
5.契約形態に気を付けましょう「契約者と被保険者が同じであること」
6.非課税限度額=(500万円×法定相続人の数)
7.相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
8.生命保険の受取人は誰でもなれる。(保険会社によっては、血縁のみの場合もあり。)
9.契約者により、生命保険受取人はいつでも何回でも変更可能
10.年末調整でのメリットは「生命保険料控除」が受けられ、お金が戻ること。
生命保険にこれから加入される方、もしくは既に加入されているけれども受取人の変更など見直しをされる方は是非これらを参考にしていただければと思います。