ご自分の念願の愛車を購入し、損害保険会社と自動車保険を契約して、スッカリ有頂天のあなた。
保険にも入ったし、友人とドライブをしたり、勤務先や通学先へ自動車を使用したりして、ドンドン愛車を活用していくことでしょう。
でも、取得した保険証券、今どこにご自分で保管してあるかすぐに思い出せますか?
自動車保険の保険証券はただの書面ではなく、ご自分の契約した情報が網羅されています。
以前ご自分が契約締結した内容について確認したいとき、契約の変更手続き、他の保険会社へ乗り換えるとき等には必要となります。
特にネット型自動車保険で、保険証券のペーパーレス化が進んでいます。しかし、決して保険証券が重要な書類でなくなったというわけではありません。
大切な書類である保険証券は、書面であるため保管場所を選びませんが、これは同時に紛失しやすいことを意味します。
紛失したときに放置していまうと、いろいろな手続きが必要となった時、支障が起きるおそれもあります。
そこで今回は、自動車保険の保険証券の内容と、保険証券の紛失時の対処法について解説します。
この記事を読めば、自動車保険の保険証券の特徴と、重要性が良くおわかりになるはずです。
1.自動車保険について
自動車保険を契約したいと考えています。でも、新車の納車日まで余裕があるのでジックリ選ぶつもりです。
まずは、自動車保険はどんな保険なのかについておさらいしたいです・・・。
第1章では、自動車保険の特徴、および保険契約の流れ等を解説します。
1-1.自動車保険とはこんな保険
皆さんが自動車を購入した場合には、必ず自賠責保険へは加入することになります。
自賠責保険は強制加入となっており、未加入の場合は罰則が適用されてしまいます。
一方、自動車保険は任意の保険商品です。未加入の場合でもペナルティは受けません。
しかし、自賠責保険では補償しきれない巨額の賠償金額、補償されていない相手方の財物の破損や、ご自分のケガの補償をカバーします。
自動車保険の加入は、ディーラーや保険代理店の担当者と対面で加入を申し込む場合、またはご自分でインターネットから申し込む場合があります。
1-2.自動車保険は大切な備え
皆さんの中には、「自分は安全運転に徹するから自動車保険はいらない。」と考える人もいるかと思います。
確かに、事故を起こさないこと自体は非常に大切です。
しかし、ご自分が安全運転に気を使っていても、不運な事態が重なって加害者となってしまうことはあるのです。
ほとんど全ての自動車保険では、被害者が死傷した場合の対人賠償、被害者の財物が破損した場合の対物賠償が、上限金額「無制限」として補償されます。
この無制限とは、裁判所からどんなに高額な賠償金額を命じられても、自賠責保険で超過した分が全額補償されることを意味します。
速やかに確実な被害者の救済を行うため、自動車保険へ加入することは必要不可欠の備えと言えます。
1-3.自動車保険の契約の流れ
前述した通り自動車保険の加入申込は、対面またはインターネットで手続きを行います。
この2つの加入申込の手順を解説します。
(1)対面での加入申込の流れ
面倒な見積もりは担当者が出してくれます。専門的なアドバイスを受けながら保険商品を決定します。
手続きを行う中で不明な点があれば、すぐに聞けるのが対面申込のメリットです。
加入申込の手順は次の通りです。
1.車両購入時に加入を申し込む |
保険代理店やディーラーの担当者と、ご自分によりあった保険商品を選びます。
⇓
2.見積りを出してもらう |
担当者が、ご自分のニーズや年齢・免許証の色、契約車両の型式等から、保険料の見積もりを出してくれます。
⇓
3.加入申込書に必要事項をご自分で記載 |
保険料の見積りに納得したら、加入申込書に必要事項を記載します。
⇓
4.申込完了・保険証券交付 |
最後に支払方法を決めます。初回保険料を払い込めば、保険会社から自動車保険証券が送付されます。
(2)インターネットでの加入申込の流れ
ご自分の空いた時間に、ご自分のペースで手続きを進められます。
見積りは全てご自分で行うことになります。しかし、各保険会社とも入力方法をわかりやすいように工夫しているので、安心してご自分でも見積りが出せます。
加入申込の手順は次の通りです。
1.ご自分で申し込みに必要な条件を入力する |
画面の指示に従い、ご自分の氏名や年齢、居住地、契約車両を運転する人の範囲、保険始期日、年齢制限の有無、契約車両の型式、予想される走行距離等を入力します。
⇓
2.ご自分で見積りを出す |
見積りは「1.」の条件や、補償プラン、特約等で決定されます。もしも、保険料に納得できない場合は条件や補償内容を調整し、再度見積りを出してみましょう。
⇓
3.車検証・メールアドレスを入力する |
契約車両の車検証、ご自分のメールアドレスを入力します。
⇓
4.申込完了・保険証券交付 |
最後に支払方法を決めます。初回保険料を払い込めば、保険会社から自動車保険証券が送付されます。
2.自動車保険の保険証券について
加入申込を完了させ、初回保険料を払い込んだら保険証券が交付されるようですね。
この保険証券にはどんな意味があるのでしょう?領収書みたいな書類なんですか・・・?
第2章では、自動車保険証券とは何か?その必要性等について解説します。
2-1.そもそも保険証券とは?
保険証券とは、保険加入者と保険会社との保険契約の成立・契約内容を証明する目的で、保険会社から交付される書面です。
この保険証券は自動車保険をはじめとした損害保険、死亡保険や医療保険のような生命保険を契約した際に、ほとんどのケースで取得することになります。
保険証券の内容をみれば、ご自分がどんな条件で契約を締結したのか、利用できる補償内容、まさかの時の連絡先も全て記載されています。
そのため、単なる領収書のような書類ではなく、保険へしっかりと加入した証拠として、保険加入者各自で大切に保管することが必要です。
2-2.保険証券はどんな時に役立つ?
保険証券は、契約した内容の確認の他、主に次のようなケースで利用します。
(1)保険金請求
保険金を請求する場合には、保険証券そのものというよりは、本人確認および保険証券に記載されている「証券番号」が必要となります。
保険会社への電話連絡等で、本人であることがわかり、証券番号がわかっていれば、もちろん保険証券そのものを提示する必要はありません。
(2)契約内容変更・他社への保険の乗り換え
契約締結後、後発的な事情等から保険契約した内容を変更したい場合や、他社の保険商品が自分に合っているので、他社への乗り換えたい場合もあることでしょう。
この場合には、保険証券の証券番号を確認した後に、手続きが開始されます。
また、保険会社への手続きの他に、ご自分の事業所から自動車保険証券のコピーを求められることがあります。
こちらは次項で解説します。
2-3.自動車保険証券のコピーが必要なケース
ご自分の事業所から自動車保険証券のコピーを求められる理由は、事業所より通勤費が支給されるマイカー通勤を行う場合に必要とされるためです。
〇提出は両面コピーが無難
事業所が確認したいのは、ご自分が保険加入者(記名被保険者)か、加入している保険会社名、証券番号、契約車両のナンバープレート、保険期間が有効かどうか、補償内容の範囲、そして契約車両の使用目的が「通勤」用であるかです。
〇事業所の指示に従う
事業所の中には、保険会社名、証券番号、契約車両のナンバープレートだけわかれば良い、というところがあるかもしれません。
しかし、通勤費を支給してもらうためには、個人情報を理由にコピー提出を拒否するのはやめましょう。
3.自動車保険証券の内容・その1
自動車保険証券はやはり大切ですね。私は契約車両を通勤に使う予定だったので、後日、事業所へ保険証のコピーを提出することになるでしょう。
では、自動車保険の保険証券に、具体的にどんな内容が記載されているのかを教えてください。
第3章では、自動車保険の保険証券の記載内容について解説します。
3-1.自動車保険の契約情報が網羅されている
保険証券は各保険会社とも両面に情報が記載され、基本的におもて面は、保険契約者氏名、住所、証券番号、保険期間、いざといういう時の問い合わせ先等が記載されています。
一方、うら面は主に契約した補償内容が記載されており、主契約情報や、追加した特約の情報が記載されています。
〇当然自賠責保険にも保険証券はある
自賠責保険も契約した際には保険証券が交付されます。正確には、「自動車損害賠償責任保険証明書」と書面に明記されています。
自賠責保険も自動車保険も同じ保険会社で契約した場合には、自賠責保険証明書の証明書番号と、自動車保険証券の証券番号を混同しないように気を付けましょう。
〇自動車保険証券はカラフルな書面が多い
自賠責保険証明書の方は、どちらかと言えば地味な書面となります。
一方、自動車保険証券は保険内容も細かく記載され、色彩も豊かです。
自賠責保険証明書・自動車保険証券共に同じ保管場所で保管しても、どれが自動車保険証券かわからなくなることはないでしょう。
3-2.自動車保険の保険証券(おもて)の内容
こちらでは、保険証券のおもて面の内容を解説していきます。
(1)基本情報
自動車保険を契約したご自分の氏名・住所はもちろん、契約を締結した損害保険会社名・その住所が記載されています。
①自動車保険の証券番号
各手続きに重要な番号であるため、書類の一番目立つ部分(書面の上部)に記載されている場合が多いです。
まさかの時を考え、証券番号をメモした紙切れに記載し、ご自分の運転免許証と共に携帯して置くことが賢明です。
②契約内容
加入した保険の種類(保険商品名)、契約区分(ノンフリート)、契約日、保険期間が記載されています。
なお、ノンフリートとは、ご自分が所有・使用する車両の契約台数が、他社と保険契約した台数も含め、9台以下の場合の契約を指します。
③記名被保険者
主に契約車両を使用する人の氏名・生年月日・住所が記載されます。
④契約自動車
契約した車両の車名・型式・料率クラス・車両番号・車台番号・初度登録・用途車種が明記されます。
また、その車両の主な使用地はどこか、使用目的は何か、車両所有者は誰かも記載されます。
なお、主な使用地から外れて自動車を走行しても契約違反や、補償範囲外にはならないのでご安心を。
更に、走行距離も詳しく表示され、前年走行距離やオドメーター値、その確認日も記載されます。
⑤補償対象の運転者の範囲
契約車両を運転する人の範囲に関する特約の有無、契約した運転者の範囲が表示されています。
⑥等級や割引
記名被保険者(ご自分)の現在の等級(事故有係数適用期間 )と、その他の特則、適用されている割引が記載されています。
⑦保険料の払込方法
支払った(支払う予定の)保険料額と、払込方法(一括か分割か)、支払方法(口座引落かクレジットカード払か)が表示されています。
(2)保険会社・事故・ロードアシスタンスの連絡先
保険の質問や契約内容変更等がある場合の連絡先、保険事故の発生またはロードアシスタンスの必要がある場合に連絡する専用電話番号も明記されています。
(3)契約内容変更が必要な場合の項目
記名保険者を変更したり、使用用途が変わったり、解約を希望したりする場合等は、契約変更手続きが必要な旨を記載しています。
3-3.型式・料率クラスとは何?
自動車保険を申し込む際に申告した、契約車両の自動車名・エンジンの種類等を表す記号が「型式」です。
この型式は1段階~9段階に区分され、この区分を「型式別料率クラス」と呼びます。この料率クラスは、保険料の算定に大きく影響を及ぼします。クラスが1段階上がるれば、それだけ保険料の負担も大きくなります。
料率クラスは軽自動車を除いて適用され、料率クラスを決めるのは、損害保険料率算出機構という団体です。
機構では、事故率・保険金の支払額の多い自動車を高いクラスに区分します。
もしも、自動車保険証券で記載されている型式・料率クラスの内容が、保険契約の際に設定したはずの契約車両の内容と相違していた時は、速やかに保険会社へ報告し、訂正してもらいましょう。
特に、ネット型の自動車保険を契約する際、型式・料率クラスの内容の入力を間違った可能性も否定できません。これでは、保険料の算定が正確に行われなかったこととなります。
4.自動車保険証券の内容・その2
自動車保険証券には、やはり大事な内容が記載されていますね。しかし、おもて面の記載内容で気になる項目が何個かありました。
オドメーターや等級・事故有係数適用期間の意味がいまいちピンときません。こちらの内容を教えてください・・・。
第5章では、オドメーターや等級・事故有係数適用期間の意味、保険証券のうら面を解説します。
4-1.オドメーターは意外に重要
積算走行距離計とも呼ばれています。契約車両が製造されてから現在に至るまでの走行距離を示す計器のことです。その数値のリセットは不可能です。
オドメーターでは、契約車両の年間走行距離自体を計測することはできません。
しかし、ご自分で年の初めの走行距離を記録しておかば、1年間にどのくらい走行距離を走ったかがわかります。
その数値を参考にして翌年の年間走行距離を予想することができます。
保険契約時または契約更新の際、年間の走行距離を「無制限」と設定しない限り、走行距離が長ければ長いほど保険料に影響する場合があります。
予想走行距離を下回ると、保険継続の際に割引サービスが受けられる商品もあるので、まめにチェックしておきましょう。
4-2.等級・事故有係数適用期間 とは何?
こちらでは等級および事故有係数適用期間について解説します。
〇等級とは?
等級とは、ご自分(記名被保険者)の支払う保険料が、保険金を利用したか否かでいくら割引されるか、それとも割増されかを設定する区分です。
はじめて自動車保険へ加入する人は、基本的に6等級からはじまります。前述した料率クラスとは違い、等級が増えるほど保険料は割安になります。
等級は原則として1等級(64%割増)~20等級(最大63%割引)となります。
保険金を利用しなければ翌年に1等級上がります。しかし、保険金を利用すると1等級または3等級下がってしまうので気を付けましょう。
等級の違いで顕著なケースとなると、年間保険料に10万円近く差ができることもあります。
〇事故有係数適用期間とは?
いざという事態でご自分が保険金を利用したならば、等級が下がるだけはなく、事故有保険料として割引率が制限されてしまいます。
例えば、20等級で無事故なら63%割引となりますが、保険料を利用すると44%割引にとどまります。実に19%の差が出ます。
ただし、保険金を利用して3等級ダウンの場合なら4年目から、1等級ダウンの場合なら2年目から、無事故保険料が適用されます。
つまり、事故有係数適用期間とは、割引率が制限される適用期間を意味します。
保険を契約しても安全運転を心がけ、事故を起こさず、保険金を請求しないことが、ご自分の等級をスムーズに上げるコツです。
4-3.自動車保険の保険証券(うら)の内容
保険証券のうら面は、主に契約した補償内容、保険金額、自己負担額が記載されています。
(1)被害者への賠償
対人賠償・対物賠償の金額(概ね無制限)、どのような場合に保険金が下りるかを記載しています。
(2)ご自分・搭乗者等の補償
人身傷害、搭乗者傷害、自損事故傷害 、無保険車傷害の補償内容が明記されます。契約の際に補償を選んでいない場合は、「×」が表示されていることもあります。
(3)契約車両に関する補償
車両保険やロードアシスタンス等、車両のトラブルに関する補償内容が記載されています。
(4)その他の補償
他にオプションとして追加した特約の補償内容が表示されています。
5.自動車保険証券の紛失について
保険証券は場所を取らない分、時間が経つとどこに保管したかわからなくなる可能性もありますね。
その場合、各保険会社で保険証券の再発行は行われているのでしょうか・・・?
第5章では、保管場所を選ぶには?保険証券再発行の方法等について解説します。
5-1.保管場所をひと工夫
自動車保険証券は紙面であるため、保管場所には困りませんが、時間の経つうちに置いた場所がわからなくなってしまうこともあります。
証券番号を他に明記していれば、手続きに支障が出ないものの、証券は大切な個人情報である以上、紛失は可能限り避けましょう。
そうは言っても、保管場所をどこにするかナカナカ迷いますよね。
そんな時は、ご自分の銀行等の通帳の保管場所と一つにしておくことが賢明です。
預金通帳は、自動車保険証券以上に利用頻度が多くあることでしょう。
通帳を利用する際に、保険証券も同じところにあると度々確認できます。そうすれば結構時間が経っても忘れる心配はないはずです。
5-2.保険証券の紛失は大変!
保険証券が紛失した場合でも第三者に渡り、いきなり本人と偽って保険金請求をされても、保険会社は保険金を支払うことはありません。
保険証券は、そもそも本人確認書類ではないため、本人になりすまして悪さをするようなことはないでしょう。
ただし、保険証券が紛失してしまい個人情報が他人に渡ったら、その情報が流出する危険性があります。
一方、保険金等の請求に関しては、保険証券番号がわかっていれば問題なく支払われることになります。
また、保険証券がなくとも保険契約は今後も継続しますが、大切な個人情報であるため、大切に保管しておきましょう。
5-3.保険証券再発行手続きの流れ
こちらでは、紙面で請求する場合と、電話の自動再発行受付サービスで請求する場合の流れを解説します。いずれの場合も、請求から再発行まで10日程度かかることになります。
(1)紙面で請求する場合
保険証券の再発行手続きは、まず保険会社へ連絡することからはじまります。カスタマーセンターに電話連絡し、紛失した旨を伝えましょう。
紙面で再発行をする手順は概ね次の通りです。
1..保険会社へ電話連絡 |
保険加入者本人が、加入した保険会社のカスタマーセンターへ問い合わせます。ただし、保険代理店等で契約したとき、店舗を訪問し再発行の手続きをしても問題ありません。
⇓
2.保険会社から再発行請求書が届く |
保険会社側で保険加入者(ご自分)の確認が取れた場合、再発行請求書等がご自宅へ郵送されてきます。必要書類は原則として①再発行請求書、②ご自分の運転免許証・パスポート等、契約者本人であることがわかる書類の写しとなります。
⇓
3.提出書類を返送 |
再発行請求書に必要事項を記載し、添付書類と共に保険会社へ提出します。
⇓
4.手続き完了 |
再発行手続きが完了したら、新しい保険証券がご自宅へ届きます。新しい保険証券の内容を確認し、大切に保管しましょう。
(2)電話の自動再発行受付サービスで請求する場合
こちらの場合は、保険証券番号がわからないと対応できません。保険証券番号が不明なら、やや面倒でも「(1)紙面で請求する場合」の方法で、カスタマーセンターの電話対応者に事情を話し再発行してもらいましょう。
自動再発行受付サービスで再発行をする手順は概ね次の通りです。
1..保険会社へ電話連絡 |
こちらの場合は、保険加入者(ご自分)生年月日を、電話でプッシュすることになります。
⇓
2.契約情報を入力 |
ご自分の保険証券番号や郵便番号、電話番号等をプッシュします。
⇓
3.保険加入者(ご自分)の氏名を録音する |
概ね録音に3回失敗してしまうと切電になってしまいます。
⇓
4.氏名を録音内容を確認 |
⇓
5.受付の完了 |
新しい保険証券がご自宅へ届きます。新しい保険証券の内容を確認し、大切に保管しましょう。
6.自動車保険証券の今
再発行の方法は色々あっても、やはりなくさないのが一番ですね。でも、近頃は自動車保険証券を発行しない保険会社もあると聞きました。
このペーパーレス化のメリット・デメリットについて知りたいです・・・。
第6章では、ペーパーレス化の利点・注意点等を解説します。
6-1.自動車保険証券はペーパーレス化
自動車保険のみならず火災保険等にも該当しますが、インターネット申込を行うと「証券不発行で〇〇〇円割引」という表示が合って、発行してもらうか不発行かを選べる場合があります。
当然、証券不発行の場合でも保険契約は有効に成立します。最近では紙類の削減を図り、環境に負荷をかけないシステムづくりを各保険会社が行っています。
大概、インターネット申込の場合には「MYページ」を作成して、そこに保険会社はおしらせを送る場合があります。
このMYページに証券番号はもちろん、ご自分の保険契約した内容が詳細に表示されています。
ただし、MYページに記録されているからと言っても、ログインパスワード等を忘れると面倒な変更手続きが待っています。
念のために、MYページの情報をコピー機でプリントアウトし、保険証券代わりとして大切に保管して置きましょう。
6-2.ペーパーレス化のメリット・デメリット
こちらでは、ペーパーレス化のお得な点や、気を付けなければならない点を解説します。
〇ペーパーレス化のメリット
証券不発行を選ぶと保険料の割引になることは前述しましたが、ご自分の「MYページ」から、好きな時間にパソコン・スマートフォンで契約内容を確認できることが利点です。
保険証券の管理に気を付けたり、証券を紛失したりした際の再発行手続きも必要なくなります。
当然、ご自分のパソコン・スマートフォンを買い替えても、パスワード等を入力すれば確認可能です。
〇ペーパーレス化のデメリット
あまり短所は見受けられないものの、前述したようにパスワードを忘れたら、その再発行が面倒です。
また、「MYページ」を開くためのパスワード等を他人に知られてしまうと、その他人から個人情報を盗み見られるリスクもあります。
そのため、パスワードの管理もやはり必要になります。少なくとも、ご自分の生年月日や電話番号の数字で、安易にパスワードを登録しないことが大切です。
6-3.自動車保険証券のコピーが準備できない!
ここまで読んできて、ある不安を覚える方々もいるのではないでしょうか?
それは、ペーパーレス化しているのに、ご自分の事業所から自動車保険証券のコピーを求められた場合です。
「2-3.自動車保険証券のコピーが必要なケース」でも解説した通り、事業所へ通勤するためにマイカーを利用する時は手続きが必要とされます。
この場合に保険証券のコピーができなくても、その手続きが可能なのかと疑問は残りますよね。
ペーパーレス化が進展しているのは、主にインターネットで申込む(ダイレクト型)自動車保険です。事業所側もそれを認識していることでしょう。
保険証券のコピーを要求されたら、自動車保険へ加入し証券不発行を選んだことについて事業所へ話しておきましょう。
そして、MYページに表記されている、契約内容の照会ページをコピーして提出します。
事業者側も保険証券のコピーの代用として、照会ページのコピーを認めてくれるはずです。
7.まとめ
最後に単なる物忘れではない、やむを得ない事情で保険証券がなくなった場合について解説します。
〇続発する自然災害
最近日本では、各地で大きな地震が発生し、自動車をはじめとした財物にも被害が出ています。
本来、地震や噴火、津波被害の場合には、車両保険の自然災害に該当しないため補償は下りません。
しかし、自動車保険の中にはこれらの自然災害も補償する特約が登場しており、それに加入している方々も多いことでしょう。
そんな場合でも、家屋自体が倒壊または流出してしまい、保険証券を見つけられない事態もあります。
〇自然災害損保契約照会制度を利用!
証券番号もわからない、加入していた保険会社も忘れてしまった場合、日本損害保険協会が設置する「自然災害損保契約照会センター」で、契約照会を行いましょう。
保険証券をなくした時、保険契約に関する手掛かりを調べることが可能です。
ただし、利用は災害救助法が適用される地域住民に限定され、照会の回答も受付から連絡まで2週間程度かかってしまいます。
〇自然災害時まずは家族の安否を
地震等の自然災害が発生した時は、ご自分の住宅やマイカーよりも、家族の安否確認を最優先に行いましょう。
負傷した世帯員はいないか、残念ながら亡くなった世帯員はいないかをしっかり確認し、全員の安否確認を行ったうえで、ご自分の財産の補償について手続きを進めましょう。
人命に勝る財産は他にありません。