自動車保険に申込をする場合、いろいろな個人情報や契約車両に関する情報を記載しなければいけないことに、少々戸惑われる方々も多いことでしょう。
この情報によって、保険加入者(記名被保険者)の支払う保険料が決定されます。
自動車保険は、死亡保険や医療保険等の生命保険とは違い、基本的に年齢・性別だけで保険料が決まるわけではありません。
ドライバーの免許証の色や年齢、予想走行距離、契約車両の種類・型式、記名被保険者は誰か、そして「等級」は何等級なのか?が、保険料算定の目安となります
特に等級は保険料の算定へ大きなウエイトを占める基準です。この等級の違いで年間保険料が10万円以上も違ってくることは珍しくありません。
今回は自動車保険の「等級」制度について解説します。この等級の特徴と、それに関する注意点等をわかりやすく説明します。
この記事を読めば、等級に関する基本的知識と、等級のお得な活用術や、等級のリセットを回避する方法等も、良くおわかりになることでしょう。
1.自動車保険について
私は免許を取得したばかりですが、自動車を購入して自動車保険へも加入したいと思っています。
そこで、自動車保険の重要性とか、保険料の決まり方を知りたいです・・・。
第1章では、自動車保険の必要性と、保険料はどのように決まるのかを解説します。
1-1.自動車保険に加入しよう!
自動車保険は、強制加入となる自賠責保険を補完する保険商品です。自動車保険はあくまで任意の保険であり、仮に未加入でも行政からペナルティを受けることはありません。
しかし、自賠責保険では補償しきれない賠償金額を補償し、自賠責保険の補償範囲外の対物賠償・搭乗者のケガ等も補償するのが自動車保険です。
ご自分が加害事故を起こしてしまうと、裁判所から5億円を超える賠償命令が下るおそれもあります。
そのため、自賠責保険だけで対応しきれないのは事実です。しかし、自動車保険に加入しているならば、補償される金額は無制限がほとんどなので、どんな高額賠償にも対応できます。
また、ご自分や同乗者がケガをした場合の補償も設定できるので、まさかの時に入院・手術等の治療補償が受けられて、大助かりですよね。
1-2.自動車保険料の決まり方とは?
自動車保険料の決まり方は、ドライバーと契約車両の申込内容次第で大きく異なります。
ドライバーならば、その年齢・免許証の色・記名被保険者は誰か、運転手の補償範囲そして等級で判断されます。
また、契約車両ならば車種・型式、予想走行距離、車両保険の付帯の有無で判断されます。
つまり、自動車保険は、死亡保険や医療保険のような生命保険へ加入した場合に、原則として性別・年齢だけで決まるような単純なものではありません。
そのため、各保険加入者の保険料は、非常に差が出てきてしまうこととなります。
1-3.保険会社は事故を起こさない人へ安くする
保険料の高い・低いを決める基準は、そのドライバーが“事故を起こし難い人かどうか”です。
事故を起こし難い人であれば、保険事故も発生せず保険会社は保険金を支払う可能性が少なくなります。
保険会社としては、そのような人に加入してもらいたいですし、保険料も安く設定して優遇したいものです。
とは言っても、保険申込の際に保険会社が保険加入希望者の性格検査、適性検査、面接試験などすることはありません。
では、どこで判断するか言えば、免許証の色や、過去の交通事故の有無等です。
そして、後述する「等級」は自動車の運転歴が長く、自動車保険金を請求したことのない人ほど、保険料を割安にする“ものさし”として、大きな影響力を持っています。
2.等級について・その1
各ドライバーによって保険料に差が出てしまうので、申し込みの際は正確に告知する必要がありますね。
では、自動車保険料へ大きな影響を与える「等級」制度について、詳細を是非知りたいです。
第2章では、自動車保険の等級とは何か?等級の特徴等を解説します。
2-1.自動車保険の等級とは?
等級とは、保険加入者の払う年間保険料が、自動車保険の利用の有無でいくら割引されるか、それとも割増されかを決定する制度です。
ただし、軽自動車には等級はないので、軽自動車を最初から利用したい人ならあまり気にする必要はありません。
基本的にはじめて自動車保険へ加入した人なら6等級からとなります。
自動車保険の等級は、原則として1等級~20等級となります。20等級で割引率が最大(63%割引)となります。
今年、ご自分が加入している自動車保険の保険金を利用しなければ、来年は必ず1等級上がります。
ただし、保険金を利用した場合は1等級または3等級下がってしまいます。
等級は保険料へ非常に大きな影響があり、年間保険料では10万円以上の料金差が出ることも珍しくありません。
2-2.7等級から20等級の特徴
20等級へ近づくにつれて、年間保険料の割引率は上がっていきます。
そのため、下表を見てもわかる通り、ベテランドライバーであるほど、保険料の割引率は顕著になっていきますよね。
ただし、7等級から20等級では事故があって保険を利用したか(事故有)、無事故かで、同じ等級でも割引率に差が出てきてしまいます。
〇割引率(7~10等級)
等級 | 7等級 | 8等級 | 9等級 | 10等級 |
事故無 | 30% | 40% | 43% | 45% |
事故有 | 20% | 21% | 22% | 23% |
〇割引率(11~14等級)
等級 | 11等級 | 12等級 | 13等級 | 14等級 |
事故無 | 47% | 48% | 49% | 50% |
事故有 | 25% | 27% | 29% | 31% |
〇割引率(15~18等級)
等級 | 15等級 | 16等級 | 17等級 | 18等級 |
事故無 | 51% | 52% | 53% | 54% |
事故有 | 33% | 38% | 38% | 40% |
〇割引率(19・20等級)
等級 | 19等級 | 20等級 |
事故無 | 55% | 63% |
事故有 | 42% | 44% |
保険金請求をすると、等級ダウンに加え、一定期間「事故有」保険料が適用されてしまうことに注意が必要です。
2-3.保険請求は控える方が得?
自動車保険の補償を受けてしまうと、保険料の割引に影響が出てきてしまいます。
保険加入者からすれば「事故を起こしても、保険金さえ請求しなければ良い。」と、考える人もいることでしょう。
〇加害事故なら請求は必要
ご自分が交通事故を起こしてしまったときも、一方的にご自分の運転が原因で、事故が起きたとは言えない場合もあります。
しかし、ご自分側の過失割合がどの位になるにせよ、事故が起きれば保険会社の専用連絡先へ速やかに報告し、指示を受けたり、対応の協議を行ったりしましょう。
事故解決を行う中で、保険金請求をしなければいけない事態と判明したならば、保険利用は必要となります。
〇自損事故等の修理費は自分で何とかする
交通事故ではないものの、車体を壁にこすってしまった、ヘコミができた、車体に誰かがイタズラをした等の場合は修理することになるでしょう。
これらのケースでは、自動車保険を申し込む際にセットした「車両保険」で対応することとなります。
車体のイタズラはご自分が悪いわけではないので、車両保険を利用したいところですが、この場合でも等級は下がってしまいます。
そのため、修理費が数万円程度で済むなら、保険を利用せずに自費で修理をした方が良いでしょう。
来年の年間保険料の割引率がダウンするよりは、等級に影響を与えないことを選んだ方が賢明です。
3.等級について・その2
等級が下がるのを渋るばかりに、保険を利用しないのは問題ですが、修理費等が少額で済むなら、やはり自費で何とかした方が得ですよね。
では、1等級から6等級の特徴について教えてください・・・。
第3章では、1等級から6等級の割引・割増率、等級が低すぎる場合の影響を解説します。
3-1.1等級から6等級の特徴
はじめて自動車保険へ加入したら通常6等級からとなります。
6等級以下ならば、無事故保険料・事故有保険料という区別はありませんが、3等級以下は保険料が割増になってしまいます。
〇割引率(1~3等級)
等級 | 1等級 | 2等級 | 3等級 |
割増率 | 64% | 28% | 12% |
〇割引率(4~6等級)
等級 | 4等級 | 5等級 | 6等級 |
割引率 | 2% | 13% | 19% |
1等級ともなれば、年間保険料は大幅に割増されてしまうことがおわかりでしょう。
あまりに等級が低いと保険会社から、「自分勝手な運転で事故を起こし、保険金を受け取る人」という認識をされてしまいます。
そうなると、ドライバーとしては頭の痛い影響が出てくることになります。
等級が低すぎる影響に関しては次項で解説します。
3-2.等級が低すぎる影響とは?
5等級以下となれば急激に保険料割引率は低下し、3等級から保険料は割増に転じます。
20等級のような高い等級と比較すれば、年間10万円以上の保険料の差は発生していることでしょう。
更に、2等級以下ならば保険会社の中には、自動車保険の申し込みを拒否するところも出てきます。
自動車保険へ加入できなければ、万が一の備えは最悪の場合、自賠責保険のみとなってしまいます。
前述したように、自賠責保険だけでは現在の巨額となる賠償責任へ十分な備えとなりません。
等級の低すぎるドライバーは、保険料の重い負担や十分な備えが確保できなくなることを考慮し、今後、決断を迫られることが考えられます。
3-3.時には自動車を運転しないことも有効
等級の低すぎるドライバーの方々の中には、「だったら、等級を偽って別の保険会社へ乗り換えればよい。」と、安易な考えを持つ人がいるかもしれません。
しかし、この企ては各保険会社に全く通じないので注意が必要です。
〇保険会社間での情報交換
各保険会社では、加入申込者が等級を偽ったり、事故を起こした事実を隠したりして、不正な保険会社の乗り換え行為を防止する対策が取られています。
その方法として、各損害保険会社の中心的なとりまとめ役である「一般社団法人 日本損害保険協会」(略してSONPO)を通して、ドライバーの情報のやり取りを行っています。
つまり、不正目的で保険会社を乗り換えようとしても、すぐにわかってしまうこととなります。
〇低い等級はリセットできる
低い等級で万策尽きたあなた、この場合は自動車保険を解約するか、満期になるまで待って以後は更新せず、自動車の運転を諦めましょう。
そうは言っても、「一生乗るな!」と言っているわけではありません。
加入している自動車保険はたとえ解約しても、その満期日より13か月間は等級に関する履歴が保存されます。
しかし、14か月以降はその履歴はリセットされ、再び自動車保険へ加入したら6等級からとなります。
そのため、保険解約日からではなく満期日より13か月間、運転を何とか我慢して、自動車保険へ入り直すことを検討しましょう。
4.等級ダウンとノーカウント事故について
やはり等級ダウンはしたくないものですよね。身勝手な運転を避け、事故を起こさないよう安全運転しないと。
では、等級ダウンとなるケースについて詳細を教えてください・・・。
第4章では、1等級ダウン事故・3等級ダウン事故、そして等級がダウンしないノーカウント事故を解説します。
4-1.1等級ダウンは極めて不条理なケースも
1等級ダウン事故は、契約車両等の被害に関するケースへ適用されます。この場合には車両保険が適用されます。
ただし、その中にはドライバーの不注意で起こした事故と言えず、かなり不条理と思われるケースも存在します。
なお、1等級ダウン事故で事故有保険料となっても、保険金利用後の2年目から無事故保険料へ戻ります。
こちらでは、主な1等級ダウン事故のケースを解説します。
(1)契約車両の火災または爆発事故
例えば、ご自宅が火災になり、その敷地内に保管していた契約車両の焼損した場合があげられます。
この契約車両の焼損へ車両保険を利用すれば翌年1等級ダウンし、事故有保険料となってしまいます。
皆さんの中には、「では建物や建物内の財物にかけている火災保険で対応できないのか?」と疑問に思う人もいることでしょう。
残念ながら、火災保険で補償可能なのはスクーターや自転車のみとなります。
(2)契約車両の盗難
しっかりとドアをロックし、キーをご自分で保管していて契約車両が盗難に遭った場合も、保険を利用すれば1等級ダウン事故となります。
当然警察に盗難届は出すと思いますが、契約車両が100%無事に帰って来るとは限りません。
ご自分にとって到底納得できない事態ですが、補償を使わざるを得ないケースと言えるでしょう。
(3)暴力行為または破壊行為
例えば労働争議や、政治団体の抗議運動の最中、デモ隊と機動隊が衝突し暴動・騒乱状態となり、それに巻き込まれ契約車両の破損した場合が該当します。
(4)自然災害
契約車両が台風や竜巻、洪水、高潮で損壊・流出被害を受けた場合が該当します。
ここで注意すべきなのは、地震・噴火・津波被害は補償外となってしまう点です。
これらも補償範囲へ入れるには、別に地震等の被害も補償する特約を付加する必要があります。
(5)窓ガラス破損
例えば飛び石が契約車両の窓ガラスに命中、ヒビが入る等の被害が該当します。
(6)いたずら
何者かが契約車両の車体にペンキを塗ったり、コイン等で車体を削るような行為が該当します。
(7)飛来または落下中の物体との衝突
あまり考えられない事故と言えますが、契約車両にセスナ機やヘリが墜落したケース等が該当します。
(8)他の偶然な事故
前述した事例以外のケースで、修理等の必要になった場合が該当します。
4-2.3等級ダウンは主に加害事故のケース
自動車保険の場合は、契約車両で交通事故を起こしてしまい、相手方を死傷させたり、相手方の財物を破損させたりしたときに、保険金を利用すると3等級ダウン事故となります。
また、車両保険の場合は車対車の衝突事故、当て逃げ事故、ご自分が運転を誤り、契約車両を壁や電柱にぶつけた場合等が該当します。
一見、自業自得のケースは多いですが、相手方がケガをせず財物を破損したケースにとどまっても、損害の状況によっては億単位の賠償命令が下る場合はあります。
対人賠償・対物賠償いずれのケースでも、保険金を利用する必要が出てきます。
3等級ダウン事故で事故有保険料となった場合、保険金を利用後4年目からようやく無事故保険料へ戻ります。
4-3.ノーカウント事故というものもある
保険金を何回利用しても、事故件数としてカウントされることのない場合があります。それが「ノーカウント事故」です。
主に、搭乗者に関係する補償やオプションが該当し、ノーカウント事故に関する保険しか利用しなかった場合、問題なく翌年は等級が1上がることになります。
〇搭乗者に関係する補償
ノーカウント事故となる自動車保険の補償は主に下表の保険・特約等です。
①搭乗者傷害保険(補償金額:500万円~2,000万円程度) |
契約車両の運転者・同乗者が事故に遭い、入院、通院する場合、その負傷の状況によって入院治療等が補償されます。 |
②人身傷害保険(補償金額:無制限、3,000万円~1億円程度) |
契約車両の運転者・同乗者が事故に遭った場合、過失割合に関係なく保険金が下りる補償です。 |
③無保険車傷害特約(補償金額:2億円程度) |
保険未加入の車両との事故で、その相手方から賠償金をえることが困難な時、保険金が下りる特約です。 |
④ロードサービス |
多くの自動車保険で自動付帯されるサービスです。ガス欠、タイヤ交換、バッテリー上がり等の際に、助けを呼べます。 |
〇その他のサービス
自動車事故とあまり関係のない補償特約は、ノーカウント事故に該当します。もちろん、何回利用しても等級は下がりません。
例えば、事故の加害者との交渉や訴訟を行う際、その弁護士費用等に補償が下りる「弁護士費用補償特約」、スクーターの事故・トラブルが対象の「バイク特約」、日常生活で他人へ損害を与えた場合の「個人賠償責任特約」等が該当します。
5.自動車保険の等級で得することについて
自動車保険や車両保険を利用する際、どんなケースでも等級に影響が出るわけでないのは助かります。
この等級制度で、保険料がお得になる方法もあると友人から聞いたのですが、どんな方法か気になります・・・。
こちらでは、家族間での等級引き継ぎ、セカンドカー割引等について解説します。
5-1.家族間での等級引き継ぎを考える
かかる保険料は等級に影響されてしまいますが、この等級を利用して、お得に家族全体の保険料を下げることもできます。それが「等級引き継ぎ」という方法です。
〇どんな効果が
ご自分が家族と同居していて、家族のどなたかがベテランドライバー、かつ20等級のような高い等級に達しているならば、その人の等級を引き継ぐことが可能です。
例えば、新車等の購入時、父親が20等級でご自分は自動車保険へ入りたてで6等級の場合、父親が引き継ぎに応じれば、ご自分はいきなり20等級からはじめられます。
父親は6等級になってしまいますが、父親の免許証の色や年齢、割引制度を活用すれば、家族の保険料がトータルで10万円近く軽減できる場合もあります。
〇引き継ぎの流れ
引き継ぎ方法は家族の協力も必要ですが、手続きはそれほど難しくありません。こちらでは、新車を購入したケースを取り上げ説明します。
(事例)ご自分が新車を購入、父親の等級を引き継ぐことにした。
- ご自分の新車の納車日を確認、父親へ報告
- 父親は保険会社へ連絡し、車両入替することを報告
- 父親から新車の記名被保険者を同居しているご自分へ変更、保険名義もご自分に変えてもらう
- 父親はあらためて、父親の名義で保険会社と新規契約締結
〇条件にはある程度限定される
引き継ぎが可能な人や、そのタイミングに制約があります。
(1)引き継ぎ可能な人
- 配偶者:別居していても可能、内縁関係の人も含まれます。
- 同居の親族:ご自分の子、親、兄弟姉妹、配偶者の同居親族が該当します。
(2)引き継ぎ可能なタイミング
- 新しく自動車を購入・契約した
- 契約車両を配偶者や同居親族へ譲渡した
- 契約車両を廃車にした
- 複数台の契約で所有台数を増減した
5-2.セカンドカー割引とは?
ご自分が自動車保険にはじめて加入する場合、原則6等級からですが、いきなり7等級からはじめられることもできます。
ご自分・同居の親族が現在自動車を1台所有し、新規加入する2台目の自動車があれば、「セカンドカー割引」の利用も検討してみましょう。
契約車両にかけている自動車保険・保険会社がそれぞれ異なる場合も、この割引制度は問題なく適用できます。この割引を利用したい場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。
ただし、こちらの割引制度にもいろいろな条件があり、以下の条件へ合致する必要があります。
〇契約車両1台目の条件について
1台目の車両はノンフリート等級で11等級以上が必要です。ノンフリートとは自動車保険へ入っている車両台数が9台以下の場合を言います。
また、自家用8車種に該当していなければいけません。主に自家用普通自動車や自家用小型自動車が該当します。
そして、契約車両の所有者は原則として個人である必要があります。ただし、車検証の所有者欄が法人でも、使用者欄が個人名なら問題ありません。
〇契約車両2台目の条件について
肝心の2台目の車両は、新規の自動車保険の加入に限定されます。また前述したように、自家用8車種へ該当し所有者は個人の場合が要求されます。
また、車両の所有者は次のいずれかに該当する必要があります。
- 1台目の保険加入者本人
- その配偶者
- 保険加入者本人or配偶者の同居親族
- 1台目車両所有者
保険加入者(記名被保険者)に関しては、次のいずれかに該当する必要があります。
- 1台目の保険加入者本人
- その配偶者、
- 保険加入者本人or配偶者の同居親族
なお、セカンドカー割引は、等級引き継ぎを行う場合に利用できないというわけではなく、両者を併用して保険料割引に役立てることが可能です。
5-3.等級のリセットに注意!
前述した通り、等級が低い場合ならリセットは有効です。しかし、等級が高い場合でも、利用する契約車両を手離したり、ご自分の転勤で契約車両が不要になったりする場合はありますよね。
この場合でも自動車保険の満期後14か月以上経てば、等級がリセットされてしまいます。
これではせっかく高い等級まで上がったのに、再び自動車保険へ加入する場合には、原則として6等級からはじめなければいけません。
配偶者がいれば別居していても引き継ぎが可能なので、そちらの方法を使うのも有効です。
ただし、ご自分に配偶者がいない場合は、この方法が利用できません。
非常にこのようなケースはもったいので、何らかの対策が必要になってくるでしょう。
第6章では、その対策の一つである「中断証明書」の利用について解説します。
6.中断証明書について
自分が安全運転して等級が高くなったにもかかわらず、それがリセットされるのは悔しいです。
何らかの理由で保険契約を中断しなければならなくなったとき、等級をリセットされなくて済む対策を教えてください・・・。
こちらでは、中断証明書とは何か?発行条件・必要書類について解説します。
6-1.中断証明書はどんな時に役立つ?
ご自分が何らかのやむを得ない理由で、契約車両を手放し保険を解約する必要がある場合も考えられます。
その場合、「中断証明書」を取得すれば、再び自動車保険へ加入する場合、ご自分の等級を10年間引き継ぐことが可能となります。
この方法に関して保険会社では海外特則も設定しています。こちらはご自分が長期的に海外へ渡航する必要のある場合、適用されます。
こちらの特則を利用する場合はご自分の海外出国日が、中断する契約満期日or解約日から、6か月遡った日以降であることが必要です。
6-2.中断証明書発行の条件
中断証明書の発行には、ご自分が再び新規の契約を結んだ場合、7等級以上になることが前提条件となります。
それに加え、次のような理由のいずれかに合致する必要があります(国内特則)。
- 契約車両を廃車や譲渡、またはリース業者へ返還
- 車検満了時、継続検査を受けず自動車検査証が効力を消失(いわゆる車検切れ)
- 契約車両が盗難被害に遭った
- ご自分の契約車両を別の保険契約へ車両入替した
前述した車検切れ、または運よく盗難された車両が戻ってきた場合、中断証明書を発行されているなら、中断時と同一の契約車両であっても、中断証明書を使用して再契約が可能です。
6-3.発行に必要な書類とは?
中断証明書は、加入中の自動車保険の保険会社へ請求します。その際には提出書類が必要となります。
中断証明書を取得するためには次のような書類が必要です。
(1)各ケースに共通する書類
- 中断証明書発行申請書:保険会社より取得します。必要な記載事項を漏れなく記入します。
(2)契約車両を廃車や譲渡、またはリース業者へ返還
次のいずれかの書類を陸運局で取得します。
- 登録事項等証明書:車検証の内容が明記されている書類です。
- 登録識別情報等通知書:登録車両を一時中止することが明記された書類です。
(3)車検切れ
次のいずれかの書類が必要です。
- 登録事項等証明書:陸運局で取得します。
- 自動車検査証:各運輸支局長から発行された書類です。
(4)契約車両の盗難被害
まず、契約車両の盗難が判明したら警察署へ盗難届を提出します。
- 盗難届出証明書:警察署窓口で作成してもらう書類です。
(5)車両入替
保険会社の発行する次の書類が必要です。
- 契約内容変更通知書
- 異動承認書等
※再び自動車保険契約を締結する場合は、ケースによって締結先の保険会社から、追加の書類を要求される場合があります。
7.まとめ
年間保険料の軽減を図るため、安全運転に気を付け、保険を利用しないよう心がけるのは大切なことです。
ただし、自動車保険へ加入し、手厚い補償があるからと油断してしまう方々も残念ながら存在します。
〇自動車保険を備えても油断は禁物
自動車保険へ加入し補償を備えていても、ご自分が加害事故を起こした場合は、賠償金を支払ったからと言って刑事上の責任は消えません。
また、相手方が負傷した場合はもとより、最悪のケースでは死亡することもあります。
その場合に、あなたへ向ける遺族の怒りと憎しみは非常に大きなものとなるでしょう。
このような事態になっては、保険料が割増となるなどというペナルティだけでは、とても済まなくなります。
〇歩行者を巻き込む事故が多発
最近では、自動車同士が左折・右折の際に譲り合わず、衝突事故を起こし歩行者が巻き込まれるケース、高齢ドライバーによる運転ミスで歩行者をなぎ倒す等、痛ましい事故が多発しています。
ドライバーの判断ミスもありますが、ドライバー側の『驕り』が原因となった事故も存在するのは事実です。
各ドライバーは走行の際、安全運転を徹底し、歩行者・対向車を常に思いやる姿勢が求められています。