友人・知人から自動車を譲り受けた、または個人売買で購入したという場合、自動車検査証の名義変更をしなけれなりません。また、ご自分の使用している自動車と入替をするならば、車両入替手続きをする必要があります。
その際、取得した自動車の場合なら、前の自動車の所有者が加入していた自動車保険も、自動車と共にご自分が譲り受けることも可能でしょうか?
自動車保険の場合は、配偶者、同居の親族間であれば保険会社に名義変更の手続をして、そのまま保険契約を継続できる可能性があります。
自動車保険の名義変更は、結婚、離婚、ドライバー死亡のようなことを原因として行う必要があります。
一方で、この家族間の引継ぎは、保険料の大幅な割引が期待できお得な一面も有しています。
しかし、このような優遇措置を利用するには、いろいろな条件をクリアしなければいけません。
そこで今回は、自動車保険の名義変更の必要なケースと、等級引継ぎについて解説します。この記事を読めば、自動車保険の名義変更の基本的な知識と、等級引継ぎの方法がよくおわかりになることでしょう。
目次
1.自動車保険の名義について
自動車保険は私が保険会社と保険契約を行い、おそらく私自身が一番よく運転すると思うので、記名被保険者は自分にしました。
でも、契約車両を廃車にするまで、自分がずっと利用することはないかな、とも思います。
まずは、自動車保険の名義の基本的な部分についておさらいしたいです・・・。
第1章では、自動車保険の名義を解説していきます。
1-1.自動車保険の名義は3種類
自動車保険の名義は、一つだけではなく3種類存在します。それが、「保険契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」です。
この3種類が同一人物、つまり、ご自分が保険契約者であり記名被保険者であり車両所有者である場合もあります。
しかし、これら3種類の名義が全然違う方々(場合によっては法人等)であることも十分に想定されます。
こちらでは、3種類の名義について解説します。
(1)保険契約者
保険会社と自動車保険の保険契約を締結し、保険料を払い込む人物が該当します。
保険契約者は、契約時に保険会社へ告知義務を行ったり、締結した内容に変更があったりしたら通知する義務があります。また、保険を解約する権利も有します。
自動車事故や自損事故等を起こし、保険金を請求したいときは、原則として保険契約者の同意が必要不可欠となります。
(2)記名被保険者
契約車両を特に運転する人物が該当します。保険契約者と同一である必要はなく、例えば保険契約者は親でも、契約車両に良く乗るのは子という場合もあります。
(3)車両所有者
契約車両を所有している人物が該当します。基本的に車検証(自動車検査証)の所有者欄に明記されている人が所有者です。
しかし、カーローンを組んで契約車両を購入した場合には、所有者がディーラーまたはローン会社、リース会社となります。
このような時は、契約車両の使用者(車検証の使用者欄に記載されている人)が、自動車保険における車両所有者とされます。
1-2.保険料は記名被保険者が基準
記名被保険者という名称は、ナカナカ聞き慣れない方々もいることでしょう。
火災保険の場合は建物所有者のことを記名被保険者と呼びます。自動車保険で呼称されるだけではありません。
この記名被保険者は、自動車保険の場合は補償内容の「中心人物」と言えます。自動車保険は記名被保険者を基準として、年間保険料が決定されます。
みなさんが保険申し込みの際に、書類に記名被保険者となる人を記載したり、インターネット申込なら手続き画面で、氏名を入力したりしたはずです。
大概は保険契約者が記名被保険者となります。少なくとも、契約車両の記名被保険者を何となく選ぶことは避けましょう。
家族にベテランドライバーがいれば、保険料の大幅に安くなる場合があります。
しかし、契約車両を主に使うのが運転歴の浅い親族の場合は、その人を選ぶ必要があります。
1-3.自動車を運転する人が身近にいれば
ご自分の身近に同居の親族等がいれば、使用中の契約車両を譲ることもあれば、自動車保険の名義を変更しなければならない場合もあることでしょう。
この状況の変化で当初に記名被保険者となったご自分ではなく、同居している子供がより使用する頻度が高くなることもあります。
また、残念ながら記名被験者が病死など何らかの理由で亡くなり、契約車両の自動車保険等の名義を変更しなければならないケースもあります。
第2章では、自動車保険の名義変更が必要な各ケースについて解説します。
2.自動車保険の名義変更が必要なケース
自動車保険の名義はやはり大切ですね。記名被保険者を自分に定めてますが、私の妻も契約車両を利用する予定なので、使用頻度とか気を付けないと。
では、自動車保険の名義変更が必要なケースについて詳細を知りたいです・・・。
第2章では、ご自分のライフステージ等へ変更があった場合に、名義変更する方法とその影響を解説します。
2-1.結婚した場合の名義変更
自動車保険の名義変更が必要なケースには、結婚し「姓」の変わった場合があげられます。
〇旧姓のままで事故を起こしたら
ご自分が結婚しても構わずに旧姓のまま自動車保険を継続し、事故を起こしたらどうなるでしょうか?
この場合でも自動車保険が利用できないということはありません。自動車保険の補償対象となる人と、同一人物であると保険会社から確認されれば補償は受けられます。
ただし、それまでに若干手間がかかってしまうことも想定されます。速やかな補償を受けるためには、自動車事故・自損事故が起きて大慌ての時に時間のロスとならないよう、事前に名義変更を行いましょう。
〇変更に必要な書類とは?
名義変更は保険会社の指示で手続きを進めましょう。概ね、必要となってくる書類はご自分の運転免許証の他、次のいずれかです。
- 住民票:ご自分が現在住んでいる地域の市区町村役場で取得します。窓口へは「住民票の写し」を請求することになります。市区町村によって手数料は異なりますが、200円~500円程度です。
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書):ご自分の本籍地を管轄する市区町村役場で取得します。手数料は450円です。
2-2.離婚した場合の名義変更
ご自分が離婚したときも、自動車保険の名義変更が必要なケースとなります。
〇変更が必要になるケースとは
自動車保険の契約がご自分で、自動車保険の名義は変わらず配偶者と離婚する場合なら、補償範囲の見直しをすれば問題ありません。
しかし、例えば契約車両が配偶者(夫)名義の自動車保険に加入していたものの、離婚するのでその後に利用するのがご自分だけということもあります。
この場合には、自動車保険の名義変更が必要となります。
〇離婚してしまうと・・・
離婚後、自動車保険の名義変更を元配偶者からご自分に変更した場合は、等級引継ぎ(第3章で詳細を解説)という保険料の割安になる制度が使えなくなります。
つまり、この制度が使えないと、元配偶者が20等級など保険料の割安になる等級になっていても、ご自分は初めて自動車保険へ加入した場合と同様、6等級からとなってしまいます。
ただし、ご自分と配偶者の関係がすっかり冷め切っていて、別居をしていても、離婚届を市区町村役場に提出・受理されていなければ、「夫婦」であることに変わりありません。
そのため、等級引継ぎを行う場合は、離婚届の提出前に済ませておくことが大切です。提出書類は「2-1.結婚した場合の名義変更」の場合と同様です。
2-3.ドライバー死亡の場合の名義変更
保険契約者が亡くなった場合、法定相続人(配偶者・子等)が保険契約者となる名義変更手続きを行います。
〇他に運転する人がいないと
亡くなった保険契約者の他、配偶者や、同居の親族に運転免許証を所持している人がいなければ、名義変更ではなく自動車保険の解約手続きを行わなければいけません。
解約する時は保険会社の指示に従って手続きを進めていきましょう。その際に気を付けなければいけないのは、「保険証券の返却」です。手続きを行う場合は解約申込書への記載の他、保険証券を保険会社へ提出する必要があります。
もしも、亡くなった保険契約者がどこに保管したかわからず、返却ができないような場合は、保険会社のカスタマーセンターへ連絡し、相談してください。
〇名義変更ができる場合
名義変更を行う場合には、その自動車保険の補償範囲に気を付けましょう。
例えば、記名被保険者である父親が亡くなり、子であるご自分が記名被保険者となる場合、保険契約に夫婦限定が付加されいれば、ご自分とご自分の配偶者のみが補償範囲となります。
つまり、以前の記名被保険者だった父親の配偶者であるご自分の母親は、補償対象外となってしまいます。
なお、こちらの名義変更手続きも、まず保険会社に連絡後その指示で必要書類を収集し、提出しましょう。
3.名義変更で行う等級引継ぎについて・その1
名義変更を行うと、補償範囲に影響が出てくることもあるわけですか。それを踏まえて手続きを行う必要がありますね。
では、第2章でも少し話題にでていた、「等級」について詳しく教えてもらいたいです。
第3章では、等級とは何か?その制度の特徴を解説します。
3-1.そもそも等級って何?
等級とは、保険申込の際に記名被保険者となったご自分の保険料の割引率または割増率を区分する制度です。ただし、軽自動車に等級制度はありません、
前述した通り、記名被保険者を基準に保険料が決定されます。もちろん、記名被保険者のみで保険料が決定されるわけではなく、ドライバーの免許証の色、走行距離、使用目的、契約車両の型式、補償内容でも保険料に大きく差が出てきます。
〇ご自分の等級で保険料に大きさ差が出る
等級は基本的に1等級~20等級まで存在します。この等級が高くなればその分保険料の割引率は大きくなります。ご自分が20等級なら最大63%も保険料が割引されます。
一方、ご自分が1等級ならば保険料は64%割増となってしまいます。1等級と20等級の差は、年間保険料に大きく反映され、ケースによっては10万円以上も差が開いてしまいます。
〇何故、等級で保険料に差が出る?
保険会社からすれば、自動車保険へ加入してドライバーが補償のあることに安心し、事故を起こしやすくなる「モラルハザード」を最もおそれています。
当然、契約車両に事故が起きれば、ドライバーがわざと事故を起こした場合のような免責事項に該当しない限り、保険金を支払う必要が出てきます。
保険金支払いが頻繁に起これば、保険料の収益・運用が利得となる保険会社にとって、死活問題へ発展するおそれがあります。
そのため、自動車保険を利用しない人には保険料を割安に、自動車保険を頻繁に利用する人には保険料を割高にして、保険会社の収益の安定、保険契約者間の保険負担の公平を図っているのです。
3-2.はじめての加入は基本的に6等級
はじめてご自分が自動車保険へ加入した場合には、原則として6等級からとなります。
当初は結構割高な自動車保険料と感じられるかもしれませんね。しかし、自動車保険を利用しなければ、翌年に1等級上がります。
自動車事故や自損事故に遭わないよう安全運転に心がけ、自動車保険を利用しなければ、ご自分がベテランドライバーになる頃には、20等級をはじめとした高い等級になっていることでしょう。
前述したように、等級が高くなれば保険料の割引率もドンドン大きくなります。
3-3.親族にベテランドライバーあり!
そうはいっても皆さんの中には、「自動車保険を6等級からはじめて、高い等級になるまではるかな道のりだ。」と、尻込みしている方々がいるかもしれませんね。
確かに、数年程度でいきなり6等級から20等級となるのようなサービスは、いくら販売競争の激しい自動車保険といえども皆無です。
しかし、ご自分の配偶者や同居親族の人に「ベテランドライバー」がいれば、非常にお得な保険料割引が利用できる可能性もあります。
第4章以降では、名義変更で行う等級引継ぎで、保険料を大幅に安くする方法を解説します。
4.名義変更で行う等級引継ぎについて・その2
等級引継ぎにとても興味があります。これで家族の保険料が大幅に安くなるなら願ってもないこと。
等級引継ぎの仕組みについて詳細を知りたいです・・・・。
こちらでは等級引継ぎとは何か?その条件等を解説します。
4-1.等級引継ぎはどんな方法?
ご自分の家族の中には、自動車保険継続中に保険金請求を行わず、20等級のような高い等級になっている人がいるかもしれませんね。
このようなベテランドライバーの人なら、6等級からはじめた頃より、年間保険料の割引額は大幅に安くなっていることでしょう。
ベテランドライバーの非常に保険料が割安となった状態を、自動車の購入等をした配偶者や同居親族へ引き継ぐことが可能です。
つまり、等級を引き継いだ人は6等級から等級を上げる必要はありません。そのため、いきなり大幅な保険料の軽減が可能です。
一見、反則技にも思える方法と言えなくもないですが、次項で説明する条件へ合致していれば、保険会社からも認められた保険料軽減方法として利用可能です。
4-2.等級引継ぎの条件
等級引継ぎは友人・知人同士というように、どなたにも行える方法ではありません。
等級引継ぎができる対象者の条件は、次のように限られています。
- 配偶者
- 記名被保険者と「同居」の親族
親族はどこまでが範囲なのかと疑問に思う人も多いことでしょう。この親族の範囲は民法の規定でわかります。
民法上は「六親等内の血族」・「配偶者」・「三親等内の姻族」と明記されています(民法第725条)。
六親等内の血族とは、記名被保険者であるご自分の直系の先祖・子孫が該当します。
もっとも、自動車保険に加入し自動車を運転する人は六親等内の血族の中でも、ご自分の子(孫)や親に限定されることでしょう。
一方、三親等内の姻族とは、婚姻関係を契機とした配偶者の血族となります。三親等内には配偶者の親や兄弟姉妹が該当します。
皆さんお気づきのこととは思いますが、各保険会社のホームページ等をみても、等級引継ぎの条件として配偶者は「同居」の親族と別に列記されています。
なぜ配偶者が同居の親族とは別に明記されているのか、次項で解説します。
4-3.配偶者は一心同体!
どの保険会社でも、記名被保険者本人にとって配偶者は最も近い存在と位置付けられています。
〇配偶者はとりわけ好条件
そのため、実は配偶者である場合、記名被保険者本人と別居していても等級引継ぎが可能なのです。
例えば、記名被保険者であるご自分が単身赴任をする場合、契約車両を使用する頻度が大幅に下がることもあるでしょう。
その際に契約車両を配偶者へ譲渡し、その自動車保険の記名被保険者を配偶者にして、等級引継ぎを行えば、ご自分の高い等級から配偶者がはじめられるのです。
〇内縁関係の場合はどうなの?
最近増えているのが、法律上必要な婚姻届けを市区町村役場へ提出せず、婚姻生活を送る「内縁」の夫婦です。
日本では婚姻届けをしなければ「法律上の夫婦」とは認められません。
法律の諸手続きも非常に制約されることがあるので、一見等級引継ぎが認められないようにも思えます。
しかし、各保険会社では内縁関係も「配偶者」と認められます。
〇ただし、内縁関係を証明する必要も
内縁関係を証明するのは、当事者の出張だけでは残念ながら認められません。保険会社から単なる恋人関係としか見られなければ、「赤の他人」としか判断されません。
内縁関係を証明する方法は、各保険会社によってそれぞれ基準の異なる可能性が考えられます。
保険会社に内縁関係である旨を報告し、その指示に従うべきでしょう。ただし、内縁関係契約書、事実婚契約書を作成しておいて、この契約書を「公正証書」にすれば、まず問題なく内縁関係を証明できることでしょう。
公正証書とは公証人が作成する公文書のことです。公文書となる以上はご自分・パートナーとの内縁関係の証拠となります。
5.名義変更で行う等級引継ぎについて・その3
等級引継ぎに関して、配偶者に別居の制約がないのはうれしいですね。
自分が単身赴任をする際には、契約車両を使わないこともあるでしょう。その場合は家内に譲渡し等級引継ぎを行いたいです。
では、等級引継ぎの方法と、保険料が軽減される効果について教えてください。
第5章では、等級引継ぎの手順、等級引継ぎをしない場合・等級引継ぎをした場合に分けて、保険料を比較してみます。
5-1.等級引継ぎの流れ
こちらでは、配偶者または同居親族が新車を購入した場合を事例に、等級引継ぎを解説します。
- 配偶者または同居親族の新車の納車日を確認
- ご自分が加入した保険会社へ車両入替を伝える
- ご自分の名義から購入車両を使用する配偶者または同居親続へ変更
- ご自分が運転する車両はあらためて保険会社と契約締結
つまり、ご自分が記名被保険者として20等級ならば、等級引継ぎをすると配偶者または同居親続は20等級となります。
一方、ご自分は保険会社と新規で保険契約を締結する形になるので、原則として6等級となってしまいます(セカンドカー割引を申し出たら7等級から)。
等級引継ぎである以上、ご自分も配偶者または同居親族も、それぞれ20等級になるわけではないので注意が必要です。
5-2.家族間で等級引継ぎをしない場合
こちらでは事例を上げて、等級引継ぎをしない場合の世帯で負担する、年間保険料を算出してみましょう(セカンドカー割引不適用でシミュレーション)。
(事例)自分と子は同居しているが、子が新車を購入し、それぞれ1台ずつ所有し各々の名義となる予定だ。等級引継ぎは行わない。
(1)親
(例)
- 男性(1968年4月6日生まれ)
- 運転免許証の色:ゴールド
- 等級:20等級(事故無し)
- 初度登録年月:2019年4月
- 保険期間1年
- 車名(型式)トヨタ ・プリウス (ZVW55)
- 契約距離区分:5,000km以下
- 使用目的:主に家庭用
- 車両保険:あり
→年間保険料31,270円
(2)子
(例)
- 男性(1996年6月21日生まれ)
- 運転免許証の色:ゴールド
- 等級:6等級(事故無し)
- 初度登録年月:2019年4月
- 保険期間1年
- 車名(型式)ニツサン・スカイライン (YV37)
- 契約距離区分:7,000km以下
- 使用目的:主に家庭用
- 車両保険:あり
→年間保険料204,960円
(1)親+(2)子の年間保険料の合計額は236,230円となります。
それぞれ車種や走行距離は違いますが、子の年間保険料は親と比べて20万円以上も上回っています。
5-3.等級引継ぎをシミュレーションしてみる!
こちらでは、前述した事例をもとに、等級引継ぎを行うケースで算定してみます(セカンドカー割引不適用でシミュレーション)。
(事例)自分と子は同居しているが、子供が新車を購入し、自動車保険に加入する必要が出てきたので等級引継ぎを行う。
(1)親
(例)
- 男性(1968年4月6日生まれ)
- 運転免許証の色:ゴールド
- 等級:6等級(事故無し)
- 初度登録年月:2019年4月
- 保険期間1年
- 車名(型式)トヨタ ・プリウス (ZVW55)
- 契約距離区分:5,000km以下
- 使用目的:主に家庭用
- 車両保険:あり
→年間保険料76,130円
(2)子
(例)
- 男性(1996年6月21日生まれ)
- 運転免許証の色:ゴールド
- 等級:20等級(事故無し)
- 初度登録年月:2019年4月
- 保険期間1年
- 車名(型式)ニツサン・スカイライン (YV37)
- 契約距離区分:7,000km以下
- 使用目的:主に家庭用
- 車両保険:あり
→年間保険料52,000円
(1)親+(2)子の年間保険料の合計額は128,130円となります。
それぞれ車種や走行距離は違いますが、「5-2.家族間で等級引継ぎをしない場合」でシミュレーションした保険料と比較してみましょう。
年間保険料 | 親 | 子 | 合計 |
等級引継ぎをしない場合 | 31,270円 | 204,960円 | 236,230円 |
等級引継ぎを行った場合 | 76,130円 | 52,000円 | 128,130円 |
等級引継ぎをしない場合と、等級引継ぎを行った場合の差は108,100円となります。
等級引継ぎを行った場合の方が、年間保険料は1/2近くにまで軽減されることとなります。
なお、軽自動車には等級制度はないので、どちらか一方または双方が軽自動車を契約車両とする場合、等級引継ぎは利用できません。
6.名義変更で行う等級引継ぎの注意点
等級引継ぎは、契約車両や走行距離、等級にもよるとは思いますが、大幅な保険料の軽減が期待できますね。
では、等級引継ぎを行う場合に注意点があれば教えてください・・・。
第6章では、等級引継ぎを行う際、注意しなければいけない点を解説していきます。
6-1.やはりタイミングは大事
配偶者や同居親族との等級引継ぎは、好きな時に行えるわけではありません。
次のようなケースで等級引継ぎが可能となります。
- 自動車を新しく購入・契約したとき
- ご自分の契約車両を配偶者または同居親族へ譲渡するとき
- ご自分の契約車両を廃車にしたとき
- 複数台の契約で所有台数を増減するとき
これら以外のタイミングで、等級引継ぎを行うことは認められません。
例えば、同居の子が数年経ってたから、保険料が高いという理由で、等級引継ぎをしたい旨をご自分に申し出ても、やはり等級引継ぎは上記のケースが発生しない限り、残年ながら不可能となります、
6-2.子が別居してしまったら
等級引継ぎは配偶者を除いて同居が前提条件です。つまり、子供がご自分と別居している最中に、新車を購入しても等級引継ぎは認められません。
そのため、子や親と同居している期間に「6-1.やはりタイミングは大事」で述べたケースが発生した上で、等級引継ぎを行う必要があります。
一方、配偶者は別居していても前記したケースに該当するならば、等級引継ぎが可能です。
仮に離婚をする予定で別居していても、離婚届を出していない以上は法律上の夫婦です。
ご夫婦の仲がどれだけ冷め切っていても、離婚前に等級引継ぎをすればその効果は当然有効です。
6-3.等級下がった側はつらいよ
例えば、ご自分が大黒柱で、実質的にご自分の自動車保険も、配偶者または同居親族の自動車保険も支払っているならば、等級引継ぎは非常に有効な保険料軽減策です。
タイミングを見計らって等級引継ぎを行いましょう。しかし、保険料の支払いがそれぞれ別なら、ご自分の負担は重くなってしまいます。
ご自分は再び原則として6等級からはじまるので、20等級になるまで自動車保険をたとえ利用しなくても、14年はかかってしまいます。
保険料が気になる場合は、セカンドカー割引を利用したり、契約更新の際などに補償内容を縮減したり、走行距離等を見直したりして保険料の軽減を工夫することが必要です。
ご自分で等級引継ぎを行った後に、後悔しないよう等級引継ぎを行う配偶者または同居親族と事前に十分話し合い、この方法を行うかどうか決定しましょう。
7.まとめ
最後に、名義変更の相談や、最近の痛ましい交通事故について解説します。
〇悩んだときは無料保険相談サービスへ
自動車保険の名義変更や、等級引継ぎに関する相談は、かつて自動車保険の契約で利用した、無料保険相談サービスでアドバイスを受けることもできます。
この無料保険相談サービスとは、現在、ご自分の駅ナカや、大型のショッピングモールにどんどん出店している相談窓口です。
無料保険相談サービスは、何回相談しても無料であり、保険相談を行い保険契約した後も、アフターフォローを行う窓口があります。
かつて、無料保険相談サービスを利用し、自動車保険をこちらの窓口を通して契約した場合、名義変更や、等級引継ぎのアドバイスにも応じてくれることが期待できます。
専門スタッフのアドバイスを必要と感じたなら、再び利用してみても良いでしょう。
〇最後に
ご自分や家族の保険料を安くするため、名義変更を行い、等級引継ぎをすることは賢明な方法と言えます。
その際に、最優先されるべきは“事故を起こさず、自動車保険を利用しない”ということでしょう。
「仮に自動車事故を起こしても、保険金は下りるから大丈夫。」という、根拠のない安心や自信は改めなければなりません。
最近は、高齢者が自動車を運転し、歩行者を巻き込む大事故や、対向車が車道を横断する際に、車道を譲る譲らないで車同士が衝突、歩行する園児たちの列に突っ込み死傷者を出す大惨事が連続しています。
遺憾ながら、ドライバーが自分自身を「特別な存在」などと感じているのであれば、それは『驕り』といえます。
ご自分が事故を起こした場合、金銭賠償のみならず刑事責任も当然問われます。
そして、遺族の恨み・社会からの制裁、それに耐えきれなくなりご家族が離散することも十分考えられます。
その責任の重さを肝に銘じて、安全運転に心がけ対向車のみならず歩行者を思いやる姿勢が望まれます。
自動車は、鉄の塊であり凶器となることを今一度、ご確認下さい。