介護保険制度の内容と特徴はどうなっているの?わかりやすく解説!

現在の日本では、高齢化が進展し、介護を必要している高齢者の増加や、高齢者の介護期間の長期化で、より充実した介護の必要性が増大しています。

一方、高齢者を介護する家族側の構成も変化し、核家族化の進行、介護する家族も高齢化しており、高齢者の介護を困難にしている要因となっています。

介護保険制度は、高齢者を取り巻く日本国内の変化に伴い創設された公的制度です。この制度は、高齢者の介護を日本社会全体で支え合うことを目的としています。

しかし、公的介護保険は誰でも利用できるわけではなく、原則として利用できる年齢や条件、申請方法は定められています。

そこで、今回は公的介護保険の特徴とその仕組みやサービス、申請方法について解説します。

この記事を読めば、公的介護保険の基本的な知識を得られることでしょう。

また、生命保険会社が販売する民間介護保険も紹介するので、加入を検討する際に良い参考資料となるはずです。

1.公的介護保険制度について

私はもうそろそろ退職年齢に近づいている。ただ、まだまだ身体も健康であるし、当然認知症にもなっていない。

そうはいっても、自分が介護を受ける側になった時に、周りが慌てないように家族と介護制度について話し合っている。

まずは、公的介護保険とはそもそも何かについて知りたい・・・・。

こちらでは、公的介護保険の目的および特徴について解説します。

1-1.公的介護保険とは

公的介護保険は、2000年4月1日から施行された日本の社会保険制度です。

この制度では、介護が必要となった高齢者全てを対象に、一律の介護サービスを受ける支援が行われるわけではありません。

介護が必要となる高齢者は、認定を受ける際、症状により要支援1・2、要介護1~5と区分され、介護保険の対象になるサービスはそれぞれ異なることとなります。

また、高齢者に介護が必要となった場合、自動的に公的介護保険の実施主体であるお住いの市町村から認定されるわけではなく、介護認定の希望者である高齢者側から申請する必要があります。

1-2.公的介護保険の目的

介護保険の目的となる基本的な考え方は次の3点です。

  • [自立支援が目的]介護保険は、ただ単に介護を必要とする高齢者の身の回りの世話をすることに止どまらず、高齢者の方々の自立を支援することが基本的な理念となります。
  • [利用者本位のサービスであること]介護サービスは、介護する側からの一方的な押し付けではいけません。介護保険の利用者(高齢者)自身の選択で、多様な介護主体から保健・医療サービスや、福祉サービスを受けることができる仕組みを目指します。
  • [運用は社会保険方式]給付とその負担との関係を明確にするため「社会保険方式」を採用します。この方式は、基本的に保険加入者が一定期間にわたって保険料を納付し、運営主体がその額に応じた給付をする仕組みです。

これらの考え方をベースとして、わが国の公的介護保険制度は運用・実施されていくことになります。

1-3.公的介護保険の特徴

 

公的介護保険制度は前述した考え方で運用・実施されるので、次のような柔軟かつ効率的な取り組みが行われます。

〇介護予防

介護を必要とする利用者が、要支援・要介護状態を悪化させることを予防し、症状を軽減させる取り組みが行われます。

例えば、介護施設・医療機関でのケア、利用者の自宅へも介護士等が訪問し、運動能力のケアを目的した介護を受けることになります。

〇医療との連携

介護を必要とする利用者の疾病の治療も踏まえたケアが大切です。そのため、入院・転院・退院の各段階で、介護に関するケアを切れ目なく行えるように医療機関との連携が不可欠です。

介護を必要とする利用者が在宅の場合、医療機関と訪問介護施設が連携し、看護師等の在宅医療、介護士等による身の回りの世話・リハビリテーションの取り組みを円滑に実施します。

なお、介護を必要とする利用者が、公的介護保険の各サービスを利用するとともに、公的医療保険からも医療サービスを利用する場合があります。

公的介護保険と公的医療保険で重複しているサービスがあるとき、基本的に介護保険サービスを優先して利用します。

〇ケアマネジメントによるサービスの提供

ケアマネジメントは、介護が必要な人と、福祉・医療サービス主体とをつなぐ手法です。

基本的にケアマネジメント従事者である介護支援専門員(ケアマネージャー)が、介護を必要とする利用者・その家族と面接し、それを踏まえつつ利用者の情報を集積し分析します。

その後、利用者へのサービス計画を立案・実施し、その評価を行いつつ、改善点を探り、新たなプランを立てて介護を実施するという手法が行われます。

なお、利用者または家族が自分たちでケアプランを策定し、自己管理でマネージメントする方法もあります。

しかし、制度の複雑さからほとんどの場合、ケアマネジメントはケアマネージャーが行います。

〇在宅生活の充実

介護を必要とする利用者としては、介護のためとはいっても住み慣れた家から離れることは抵抗があるものです。

そこで、できるだけ自宅での介護保険サービスを受け、状態の改善を目指すことも公的介護保険制度では重要視しています。

〇民間事業者等の活用

医療機関や既存の介護事業者だけではなく、民間業者・非営利活動法人(NPO)の参入を促し、民間の組織・団体と連携しながら介護に関する取り組みを実施することになります。

民間の力を活用することで訪問看護のみならず、利用者の健康や身体の状態に異常が無いかを確認する定期巡回、認知症の方々の徘徊を防ぐ見守り活動等が期待されます。

2.公的介護保険制度の仕組み

公的介護保険は、介護を必要とする利用者への一方的な介護の押し付けでないことや、柔軟な制度運営とサービスの実施が行われていて安心した。

しかし、公的介護保険の財源は大丈夫なのだろうか?財源の一つである保険料の徴収について知りたい・・・・。

こちらでは、介護保険料とその徴収方法について解説します。

2-1.介護保険料について

介護保険制度は、各市町村が実施主体となりますが、高齢者の介護を社会全体で支え合うことを目的として運営されます。

〇公的介護保険制度の財源

その財源は、税金が50%と保険料が50%で構成されています。

  • 税金:内訳は市町村が12.5%、都道府県が12.5%、国が25%となっています。
  • 保険料:40歳以上から徴収、介護保険を利用する方々は1割負担~3割負担となります。

〇被保険者は2種類

被保険者は第1号被保険者(65歳以上)、第2号被保険者(40歳~64歳)に分かれます。第1号被保険者については次項で解説します。

この第2号被保険者は、加入している公的医療保険の保険料と合わせて介護保険料を納付することになります。

主に事業所に勤務する給与所得者は加入している事業所の健康保険から、自営業者や自由業者等は加入している国民健康保険を通じて納付します。

なお、健康保険において、健保組合・共済組合・協会けんぽ(全国健康保険協会)等の被用者保険間では、報酬額に比例して介護保険料を負担する仕組みに改める「総報酬割」の導入が2018年8月から開始され、2020年度には全面導入される予定です。

2-2.65歳になったら

ご自分が65歳になれば第1号被保険者に該当します。65歳以上の方々が支払う保険料は、介護保険料の基準額を基に計算することとなります。

〇介護保険料の基準額

第1号被保険者の介護保険料基準額は、国が一律に基準額を指定しているわけではなく、各市区町村の介護の実情に沿って、所得段階に分け算出されることとなります。

どのように計算するかは次の通りです。

各市区町村の介護サービス総費用の中で第1号被保険者分負担分÷各市区町村の第1号被保険者数=介護保険料の基準額

〇所得段階で介護保険料は異なる

介護保険料の所得段階も、その区分が国から一律に取り決められているわけではなく、各市町村が独自に判断して区分していきます。

そのため、市町村によって所得段階も各条件が異なる場合があり、各市町村では概ね11段階~14段階に分かれています。

〇介護保険料は3年ごとに改定

所得段階に分かれても、介護保険料はずっと同じ金額かといえばそうではなく、原則として3年毎に改定されます。

介護保険料は、被保険者本人・世帯員の市民税の課税状況、被保険者本人の合計所得金額等で段階別に決定されます。

〇年間保険料の介護保険料率表

こちらでは茨城県神栖市の設定した所得段階・年間保険料を参考に、介護保険料率表を使って説明します。

  • 参考自治体:茨城県神栖市
  • 対象被保険者:第1号被保険者(65歳以上)
  • 所得段階:11段階
  • 介護保険料の基準額(年額):64,800円(平成30年度~平成32年度)
所得段階 対象 調整率 保険料年額
1 ①生活保護受給者

②世帯全員が市民税非課税で、老齢福祉年金受給者

③世帯全員が市民税非課税で、前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の人

基準額×0.45 29,160円
2 世帯全員が市民税非課税で、前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円超120万円以下の人 基準額×0.75 48,600円
3 世帯全員が市民税非課税で、前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が120万円超の人 基準額×0.75 48,600円
4 世帯の誰かが市民税を課税されているものの、本人は市民税非課税で、前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の人 基準額×0.9 58,320円
5 世帯の誰かが市民税を課税されているものの、本人は市民税非課税で、前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円超の人 基準額 64,800円
6 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が120万円未満の人 基準額×1.2 77,760円
7 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が120万円以上200万円未満の人 基準額×1.3 84,240円
8 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が200万円以上300万円未満の人 基準額×1.5 97,200円
9 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が300万円以上500万円未満の人 基準額×1.7 110,160円
10 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が500万円以上800万円未満の人 基準額×1.85 119,880円
11 本人が市民税を課税され、前年の合計所得金額が800万円以上の人 基準額×2.0 129,600円

〇介護保険料納付方法

65歳以上の方々の場合、介護保険料が年金から天引き(特別徴収)になるのは、基本的に老齢・退職年金、障害年金、遺族年金のいずれかを年額18万円以上受給されている人が対象となります。

では、年額18万円未満ならば納付しなくても良いのか?と言えば、そうではありません。

市区町村から送付される納付書で、コンビニ・金融機関等で納付します(普通徴収)。なお、口座振替で納付することもできます。

2-3.介護が必要となったら

ご自分や家族が介護保険で介護サービスを必要と感じたら、市区町村の窓口で書類申請を行います。

その後、要介護認定のランクを判定してもらい、サービスを利用することになります。

ただし、要介護認定のランクを判定するには、書類提出だけ行えばよいわけではありません。

介護認定と申請方法の手順については次章で説明します。

3.介護認定と申請方法について

年齢で介護保険料の徴収方法は異なり、介護保険料は所得によっても変わることがわかった。

では、自分や家族が介護の必要性を感じたら、申請はどうすればよいのだろう?

こちらでは、介護の必要な度合い(ランク)と、介護認定申請の手順・必要書類を解説します。

3-1.介護の必要な度合い

介護の必要な度合いは、利用者側で決定するわけではなく、介護保険の実施者である市区町村によって決定されます。

ケアマネジャーの訪問調査等を基に、市区町村の介護認定審査会が度合い(ランク)を判定することになります。

介護の必要な度合いは、要支援・要介護の次の7つのランクに分かれます。下表を参考にしてください。

介護ランク 対象者
要支援1 要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態の人
要支援2 生活の一部について部分的に介護を必要とする状態で、適切な介護予防サービスの利用で、状態の維持、状態の改善が見込まれる人
要介護1 生活の一部で部分的に介護を必要とする状態で、次に該当する人

①食事や排泄はほとんど単独でできるものの、時折介助が必要である

②立ち上がり・歩行等に不安定さが確認できる

③問題行動や理解の低下が確認できる

要介護2 軽度の介護を必要とする状態で、次に該当する人

①食事や排泄に何かしらの介助が必要

②立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行などに何らかの支えが必要

③衣服の着脱がやや不自由

④物忘れ・直前の行動の理解の一部に低下がみられる

要介護3 中等度の介護を必要とする状態で、次に該当する人

①食事や排泄の一部に介助が必要

②立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行等が一人では不可能

③入浴・衣服の着脱に介助が必要、④問題行動・理解力の低下がみられる

要介護4 重度の介護を必要とする状態で、次に該当する人

①食事に介助が必要

②排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要

③立ち上がり・両足での体勢の保持がほぼ不可能

④問題行動が目立ち・理解力のかなりの低下がみられる

要介護5 最重度の介護を必要とする状態で、次に該当する人

①食事・排泄が単独では不可能

②立ち上がり・両足での体勢の保持が不可能

③意思伝達がほぼ不可能

3-2.申請の流れ

利用希望者が前述した要支援・要介護認定受けるまでの流れは、次の通りです。

  1. 市区町村窓口(主に福祉保健部等が担当)へ必要書類の提出
  2. 訪問調査の日程調整
  3. 市区町村担当者またはケアマネジャーの訪問調査
  4. 介護認定審査会が、要介護認定のランクを判定
  5. 認定結果・介護保険被保険者証を利用者宅へ郵送(申請から約30日以内)

ただし、認定結果は要支援・要介護の7つのランクの内、利用希望者の状態がいずれにも当てはまらなかったならば、介護保険適用外(非該当)となります。

3-3.申請のための必要書類

必要書類の取得・作成は原則として、介護を必要としている利用希望者本人またはその家族が行います。

申請するのは市区町村の窓口(主に福祉保健部等が担当)です。なお、地域包括支援センター・居宅介護支援事業者・介護保険施設の職員が申請を代行することも可能です。

必要な書類は次の通りです。

  • 要介護・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 健康保険被保険者証(第2号被保険者のみ)

利用希望者側が取得・作成するのは上記の書類のみです。この書類提出後、提出先の市区町村が、利用希望者の主治医に意見書の作成を依頼します。

4.介護サービスについて

要介護・要支援認定申請手続きは慎重に進められるようだ。ただし、利用者の状況によっては、非該当になる場合もあるので注意すべきだな。

では、公的介護保険の対象となる介護サービスについて知りたい・・・。

こちらでは、介護サービスの特徴と、その内容について解説します。

4-1.公的介護保険は現物給付

現物給付とは、公的保険の給付方法の一つです。治療・介護等の医療サービスを「現物」(お金ではなく実際の品物・方法)で支給することを言います。

介護保険給付では、利用者各自が認定された要介護認定基準ごとに手厚い現物給付を受けることができます。

また、現物給付は、利用者のこれ以上の症状の悪化を防ぐ「介護予防サービス」と、利用者の基本的な身の回りの世話である「介護サービス」に分けられます。

ただし、この現物給付は利用者が当然無料で受けられるわけではなく、ある程度費用を負担しなければなりません。

この利用者負担割合は年金収入等の違いで変わってきます。

〇利用者負担割合(2018年8月~)

年間 負担割合
年金収入等 280万円未満 1割
年金収入等 280万円以上

(夫婦世帯:346万円以上)

2割
年金収入等 340万円以上

(夫婦世帯:463万円以上)

3割

また、要支援・要介護認定のランクによって、介護保険サービスの給付される限度額も定められています。

この限度額を超えて利用した場合、超過分は利用者側が負担しなければなりません。要介護認定のランク別の限度額は下表を参考にしてください。

介護ランク 単位(平成30年現在) 円(1単位=原則10円)
要支援1 5,003単位 50,030円
要支援2 10,473単位 104,730円
要介護1 16,692単位 166,920円
要介護2 19,616単位 196,160円
要介護3 26,931単位 269,310円
要介護4 30,806単位 308,060円
要介護5 36,065単位 360,650円

4-2.要支援1・2で受けられるサービス

要支援1・2に該当する利用者の場合は、要介護にならないための介護予防サービスが受けられます。

〇居宅サービス

  • 介護予防訪問介護:要介護にならないための、身体介護・生活援助等が受けられます。
  • 介護予防訪問入浴介護:要介護にならないために、浴槽を積んだ入浴車で利用者宅を訪問し、入浴サービスを行います。
  • 介護予防訪問看護:要介護にならないために、看護師等が訪問し看護を行います。
  • 介護予防訪問リハビリテーション:要介護にならないために、介護スタッフが利用者宅に訪問し、必要なリハビリを行います。
  • 介護予防通所介護:利用者が施設に通い機能訓練・レクリエーションを行い、要介護の進行を予防します。
  • 介護予防通所リハビリテーション:要介護にならないために、利用者が施設に通い筋力トレーニング・栄養指導・口腔ケア等を受けます。

〇その他のサービス

利用者へ福祉用具の貸与や、住宅改修等のサービスもあります。また、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防認知症対応型共同生活介護等、各利用者の症状に合った生活介護が選択できます。

介護保険サービス利用者が、認定された要支援に合ったサービスを利用できるよう、利用者の依頼を受け、ケアマネジャー・保健師等がケアプランを立てることや、連絡調整を行う支援サービスも継続して行われます。

4-3.要介護1~5で受けられるサービス

要介護1~5に該当する利用者は、これ以上、症状を悪化させないための介護サービスを受けることができます。

〇居宅サービス

  • 介護訪問介護:入浴、食事、排せつ等の身体介護、掃除、洗濯、調理等の生活援助を行います。
  • 介護訪問入浴介護:浴槽を積んだ入浴車で利用者宅を訪問し、入浴サービスを行います。
  • 介護訪問看護:看護師等が訪問し、利用者へ療養上の世話・診療補助をします。
  • 介護訪問リハビリテーション:介護スタッフが利用者宅に訪問し、必要なリハビリを行います。
  • 介護通所介護:利用者が施設に通いまたは送迎で、機能訓練・レクリエーションを行い、要介護の進行を予防します。
  • 介護通所リハビリテーション:利用者が施設に通いまたは送迎で、筋力トレーニング・栄養指導・口腔ケア等を受けます。

〇施設サービス

介護の利用者が次のサービスを受けることができます。

  • 特別養護老人ホーム:原則として65歳以上・要介護3以上の利用者が対象となります。認知症・寝たきり等の方々が日常生活上の介護を受ける施設です。
  • 介護老人保健施設:原則として65歳以上・要介護1以上の利用者が対象となります。病状の安定している方々が、ご自宅への復帰を目的をしたリハビリテーション、介護・看護を受ける施設です。
  • 指定介護療養型医療施設:原則として65歳以上・要介護1以上の利用者が対象となります。医療面が充実し、長期間の療養を必要とする方々が治療・療養を目的としたサービスを受ける施設です。

その他に、「地域密着型サービス」という市区町村の提供するサービスがあります。例えば認知症高齢者を対象とするグループホーム等がこれに当たります。

〇その他のサービス

要介護に該当する利用者の場合も、福祉用具の貸与や、住宅改修等のサービスがあります。

また、介護保険サービス利用者が、認定された要介護に合ったサービスを利用できるよう、利用者の依頼を受け、ケアマネジャー・保健師等がケアプランを立てることや、連絡調整を行う支援サービスも継続して行われます。

5.公的介護保険制度の注意点

公的介護保険は、各利用者の症状に合わせた効率的な介護給付が期待できるようだ。

では、公的介護保険の注意点は何かあるのだろうか?

こちらでは、公的介護保険を運用・実施していく際、想定されるリスクについて解説します。

5-1.介護保険料の負担増

介護保険料はいつ何時でも一定ではなく、将来に改定され負担増へつながることも懸念されます。

2018年8月から年金収入等340万円以上(夫婦世帯:463万円以上)の利用者の方々が、2割負担から3割負担となりました。

介護保険の財源事情によっては、3割負担となる利用者の範囲が拡大する可能性も否定できません。

これは、今のところ公的介護保険給付を必要としていない第1号被保険者・第2号被保険者も同様で、将来の少子高齢化の進展状況によっては、更なる保険料負担を強いられる可能性があります。

5-2.第2号被保険者が要介護認定をうける場合

第1号被保険者(65歳以上)であれば、要介護状態になった原因がどのような場合であっても、認定されれば公的介護保険のサービスを受けることができます。

しかし、第2号被保険者(40歳~64歳の方々)の場合は、老化に起因する16種類の特定疾患によって要介護状態になったとき、介護サービスを受けることができます。

つまり、第2号被保険者はその適用範囲が、非常に限定されてしまうこととなります。

16種類の特定疾患は次の疾病を指します。

  • がん(ただし末期がんの場合)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • アルツハイマー病、脳血管性認知症等の初老期における認知症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳梗塞、脳出血等の脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 肺気腫、慢性気管支炎等の慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

5-3.民間会社が現物給付サービスを行うと

後述しますが、生命保険会社等が扱う民間介護保険も存在します。こちらは現金給付が一般的です。

しかし、民間介護保険へも、条件によっては現物給付サービスを認めようという動きがあります。

この給付方法は、公的介護保険で認められてきましたが、民間の介護保険にも認められる可能性が高まっています。

確かに、民間介護保険でも現物給付サービスが盛んに取り扱われれば、ユニークな介護サービスが発案され、介護の質の向上につながる効果があるかもしれません。

しかし、民間の介護保険で現物給付サービスが認められるようになれば、いろいろな課題も想定されます。

民間会社が現物給付サービスを行う場合、経営不振や、他社との価格競争が原因で逆に質の低下も懸念されます。

また、公的介護保険との競合も想定され、公的・民間の介護保険が同じ適用範囲で取り扱われると、ある介護サービスが公的介護保険を適用するのか民間介護保険を適用するのか区別が煩雑になり、利用者のみならず医療・介護現場も混乱するリスクがあります。

6.民間介護保険制度について

民間介護保険もいろいろな生命保険会社から販売されているようだ、公的介護保険の他にこちらも検討してみたい。

民間介護保険ではどんなサービスを行っているのだろう?

民間介護保険の特徴と、そのおすすめ商品を解説します。

6-1.民間介護保険は現金給付

生命保険会社が販売する介護保険商品は、「現金給付」となります。介護サービスが必要になった場合、介護保険金や介護保険一時金という形で受け取ることになります。

公的介護保険の加入は前述した通り40歳からですが、民間介護保険の加入条件は、各保険会社が定めた規約・約款の条件に従います。

保険会社の中には、未成年または20歳から加入できる場合もあれば、60歳~80歳くらいでも加入できる商品があります。

また、民間介護保険は、保障を受ける内容を選んだ上で自分が納得し保険料を払い込むことになります。保険会社によって、様々なプラン・費用が設定されています。

6-2.民間介護保険のおすすめ商品その1

こちらでは、ソニー生命の介護保険「終身介護保障保険」を説明します。一生涯を通じて介護保障を受けることができます。

利用者が公的介護保険制度の要介護2以上になった場合、生涯にわたり年金という形で受け取ります。死亡保障・解約返戻金額を抑えた分、保険料が割安です。

〇保険料(月払)

毎月の支払保険料は次の通りです(保険料終身払プラン)。

加入年齢 男性 女性
40歳 4,740円 6,660円
45歳 5,700円 7,920円
50歳 6,960円 9,660円
55歳 8,640円 12,000円

〇保障内容

保障内容は非常にシンプルとなっています。

  • 介護一時金:要介護2以上になった場合等に支給される一時金です。基本介護年金額60万円の場合は、120万円(1回のみ)が受け取れます。
  • 介護年金:所定の要介護状態が継続している限り受け取れます。基本介護年金額60万円の場合は、毎年60万円が受け取れます。
  • 介護一時金特約:この特約を付加すれば100万円が受け取れます。

6-3.民間介護保険のおすすめ商品その2

こちらでは、アフラックの介護保険「スーパー介護年金プランVタイプ」を説明します。65歳未満でも介護保障を受けることができます。

利用者が認知症または寝たきりによる所定の要介護状態となった場合、最長10年まで年金という形で保険金を受け取れます(基準介護年金額60万円コース)。

〇保険料(月払)

毎月の支払保険料は次の通りです(基準介護年金額60万円コース)。

加入年齢 男性 女性
20歳 3,420円 4,272円
30歳 4,224円 5,304円
40歳 5,478円 6,870円
50歳 7,554円 9,468円
60歳 11,298円 14,412円

〇保障内容

65歳以降の保障内容は次のようになっています。

  • 介護一時金:所定の要介護状態になった場合に支給される一時金です。基準介護年金額60万円コースの場合は、60万円(1回のみ)が受け取れます。
  • 介護年金:所定の要介護状態が継続している限り受け取れます。基準介護年金額60万円コースの場合は、60万円(最長10年)が受け取れます。
  • 死亡保険金:被保険者が亡くなった場合、一律60万円が受け取れます。

7.まとめ

介護保険制度、そして介護サービスは今後も充実されていくことが考えられます。

しかし、なるべく利用者自身で現状を改善する努力も必要になることは間違いありません。

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