少子高齢化社会と言われ数十年が経ち、今ではそこに「超」と言う言葉すら付くようになりました。
そして、核家族化が進むにつれて、高齢者だけではなくとも、一人暮らしの世帯が増えて孤独死と言うリスクは決して特別なものではなくなりました。
その孤独死のリスクを非常に重く受け止めているのは、賃貸物件を所有するオーナーさんでしょう。
賃貸物件で孤独死をした場合にはどのような費用が掛かるのか、また、火災保険などで対応が出来るのかなどを解説していきます。
賃貸物件のオーナーさんも、もし自分の所有する物件で孤独死が起こった場合にどうすれば良いのか、そして、賃貸物件に住む方も、もし自分がその様になってしまった場合にはどうすれば良いのか、迷惑を掛けない方法はあるのかという事も解説していきます。
貸す側も借りる側も、様々な事に備えておくことが必要ですので、いま一度火災保険などを確認してみましょう。
目次
1.孤独死とは
1.1高齢者の単身世帯数
1.2孤独死の件数
1.3発見されるまでの期間
2.火災保険
2.1火災保険とは?
2.2火災保険と賠償保険
3.賃貸物件での孤独死
3.1孤独死による損害
3.2孤独死の責任の有無と所在
3.3孤独死は事故物件になるのか
4.賠償責任の考え方
4.1損害賠償責任の基本と考え方
5.保険の対応
5.1火災保険
5.2オーナー向けの保険
5.3孤独死の損害
6.保険商品の紹介
6.1アイアル少額短期保険「無縁社会のお守り」
6.2e-Net少額短期保険株式会社「Re-Room(リ・ルーム)」
6.3その他の保険
7.まとめ
1.孤独死とは
ここ数年で、孤独死と言う言葉は広く広まったと思います。
その背景には、核家族化が進み家族が別々に住むという事が一般的になり、また少子高齢化の問題もあり、親世代の面倒を見きれない、一緒に住むことが難しいという事から、「住み慣れた場所にずっと居ていたい」や「老人ホームなどの施設に入るお金が無い」などの理由や、そもそも一人暮らしで突然、体に異変が起こってしまった場合など理由は様々でしょう。
勤めに出ている方であれば、一人暮らしでも欠勤などが続くことから、発見が早いと言ったケースもありますが、高齢者であれば発見が遅れることも珍しくありません。
孤独死とは、身寄りのない方が多く、亡くなっても発見が遅れることが多いです。
高齢者に限らず、一人暮らしをしている方がどれ程いるのか、また孤独死は年間でどれだけの数があるのかを少しずつ見て行きましょう。
1.1高齢者の単身世帯数
高齢者の単身世帯数は年々増加し、平成27年度(2015年)では、男性では65歳以上の人口の12.9%が単身世帯であり、女性は21.3%が単身世帯となっています。
これはこれからも高くなり、10年後の平成37年(2025年)には、男性で14.6%女性では22.6と言う数字になり、さらに19年後である、平成47年(2035年)には、男性で16.3%女性では23.4%と増加の一途を辿ります。
下の図を見てもらえれば解りやすいのではないでしょうか。
1.2孤独死の件数
孤独死は年間でどれだけの件数が報告されているのでしょうか。
孤独死とは、誰にも看取られない、立会人が居ない方の死を指して言うのですが、高齢者だけではなく、働き盛りと言われる、30代・40代でも他人事ではなくなっています。
孤独死の年間発生数は、3万件とも4万件とも言われています。
その中でも、高齢者と言われる、65歳以上の件数は、1万5千件ほどである事から見ると、半数以上は65歳未満の孤独死と言えます。
決して、高齢者だけの問題ではないという事が言えますね。
1.3発見されるまでの期間
孤独死で問題になる1つが、発見されるまでの期間と言われています。
持ち家でもそうですが、特に問題になるのは賃貸物件での孤独死と言えます。
発見されるまでの期間が長ければ長いほど、人の体は腐敗していきます。
その腐敗具合によっては、後片付けに掛かる費用であったり、近隣住民に与える影響も大きく変わるのです。
それでは、発見されるまでの期間はどれくらいなのかを調べると、男性は平均約7日、女性は平均約2日となります。
年齢別でも日数は異なりますが、70歳以上の高齢者よりも、50代の方が、発見日数が掛かっているというデータもある事から、働いている世代の方が発見まで時間がかかるという事が言えます。
季節や生活環境にもよりますが、これだけの時間がかかるという事は、少なからず腐敗をするという事です。
もし、自分が孤独死をしてしまったら、もし自分の所有する物件で孤独死が起こってしまったら、どれだけの費用が掛かり、どのような対応をすれば良いのでしょうか。
次はその事を書いていきましょう。
2.火災保険
火災保険と言われれば、身近に感じる人も多いのではないでしょうか。
また、孤独死と火災保険はどのような関係があるのか、ピンと来ない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
火災保険と言えば、戸建ては勿論ですが、マンションやお店や倉庫など建物全般に掛ける保険です。
そして、その補償は火災の時だけではないのです。
水災・風災・雪災から、外部からの落下・飛来など、補償範囲が広いという事は知らない方も多いと思います。
ここでは、火災保険の補償範囲なども含めて、火災保険とはという所を説明していきたいと思います。
2.1火災保険とは?
火災保険とはどのような保険なのか?と聞かれて大半の方は、「家が燃えた時の保険でしょ?」と答えるでしょう。
その通りなのですが、火災保険とはもっと補償範囲が広いのです。
ここでは、火災保険の基礎的な知識を説明していきます。
まず、覚えていてほしい基本は次の様になります。
・補償の対象は、建物と家財道具
・補償対象の事故は、火災・破裂・爆発・風災・水災・雪災・落雷
上記の事を覚えておけば大丈夫です。
補償対象の事故に関しては、その他の事故も対象になるのですが、書くとキリがないので、またの機会に詳しく書こうと思います。
上記の事だけでも、知らなかったという方も多いのではないでしょうか?
近年多い川の氾濫や竜巻のような突風や落雷での事故も火災保険の対象になるのですよ。
2.2火災保険と賠償保険
火災保険について、少しわかったと思いますが、ここでは賠償責任保険についても書いておこうと思います。
あまり馴染みのない保険の名前かもしれませんが、近年すごく注目されている保険が賠償責任保険です。
これは、自動車保険の対人・対物と言われるものや、自転車保険や日常生活賠償保険などと様々な名称で存在しますが、損害保険の基本と言っても過言ではないものです。
火災保険にも賃貸物件に住む方に向けて、借家人賠償責任保険と言うものがあります。
これは、火災保険の特約の1つですが、一人暮らし等で部屋を借りる時に火災保険に加入すると思います。
この火災保険は、家財道具の補償が主契約になり、特約である借家人賠償責任が重要な役割を持つ保険となっているのです。
賃貸物件では、退去時等に原状復帰をして貸主に返さないといけないですよね。
例えば、火事を出してしまった時などは、火事を起こしてしまう前の状態に戻さないといけません。
しかし、火事を起こしてしまった場合には、多額の修理費用が掛かりますので、もし保険に入っていない場合は、全額自己負担になり「とてもじゃないけれど払えない」という事になりかねません。
そうなってしまった場合には、貸主・借主共に困ったことになってしまいます。
それを防ぐためにも、火災保険は必要になりますね。
また、賠償責任保険と言うのは、この場合だけでなく、他人の物を壊してしまった場合や、他人にケガを負わせてしまった場合の保険であり、民法上の損害賠償を請求された時に助けてくれる保険となっています。
その種類は、個人から法人や製品など多岐にわたって存在しますので、意外なところにもさまざまな保険が掛かっているという事を覚えておいてくださいね。
3.賃貸物件での孤独死
近年、核家族化が進み、高齢者だけではなく働き世代である40代や50代の1人暮らしも増えている中で、持ち家ではなく、賃貸住宅にお住まいの方も多くなっています。
その中で、賃貸物件での孤独死は、決して高齢者だけの問題ではなくなってきています。
ここでは、賃貸物件で起こりえる孤独死について少しまとめていきます。
孤独死があった部屋はどの様な扱いになるのか、もし身内で孤独死を迎えた方がいた場合には責任が残るのか、また賃貸物件のオーナーは自身の物件で孤独死が起こったら、どうすれば良いのか、様々な問題がそこにはあります。
3.1孤独死による損害
それでは、賃貸物件での孤独死が発生した場合、いったいどのような損害が発生するのかを考えていきまましょう。
賃貸物件で人が亡くなった場合に良く聞く話かもしれませんが、第一に臭いの問題があります。
孤独死と一言で言っても、発見されるまでの期間・季節などによっても様々ですが、身寄りもなく、他の人との交流が少ない方は、発見まで時間がかかる可能性が非常に多いです。
逆に、働き世代とも言われる世代では、出社しない・連絡が取れないなど他の人との関わりがある方であれば、比較的発見までに時間は要さない場合があり損害は大きくならない可能性が高いと言えます。
発見まで時間がかかった場合には、異臭・床などの腐敗など原状復帰するまでに多額の費用・時間がかかる可能性が高く、臭いを取り除くのに数週間、その後に床材の張り替え・壁紙の張り替えなどその費用自体が、損害額になります。
ざっくりとした金額で言うと、数十万~数百万円にも及ぶことがあります。
その費用は、誰が負担するのでしょうか。
一般的な退去であれば、クロスの張り替えなどはオーナー負担になる場合が多いのですが、オーナーからすれば、孤独死を起こされて物件価値や部屋の修復費用などは、入居者かその保証人または遺族に請求したい気持ちになるでしょう。
しかし、孤独死と言う事でその責任の有無や所在に関してはあやふやになることも多いのではないでしょうか。
そこに関して、次の章で少し説明します。
3.2孤独死の責任の有無と所在
孤独死が起こった場合の損害に関しては先ほど説明したとおりです。
臭いの除去・床・壁紙の張り替えなど多額の費用が掛かる可能性があると言うことを説明しました。
賃貸物件への入居の際に火災保険加入に関する話でも少し説明しましたが、民法上では、その物件を借りている者は、退去時などには借りた時の状態で返却しなければいけない(原状復帰)という事が定められています。
これは、火災事故を起こした場合や、故意・事故によって物件の一部を破損・汚損した場合などの事になります。
それでは、孤独死の場合はどのような扱いになるのか。
これは、考え方や捉え方ひとつで様々な意見がありますが、民法上の損害賠償と言う面でみると、他人の物を破損・汚損したという事で、損害賠償の対象になりえる事例だと思いますが、その賠償責任を負う人は亡くなっています。
亡くなった人に対して、損害賠償を請求できるかと言う問題になります。
また、孤独死と言え遺族の方がいた場合には、その損害賠償までも相続財産として認められる場合があり得ます。
そうした場合には、責任がありその損害額を支払わなければいけない可能性が0ではないという事になります。
また、遺族もいない孤独死だった場合には、その損害賠償自体が成立しない可能性もあり、仮に損害賠償が認められたとしても、入居者の火災保険等から保険金が下りるかはまた別の話になるという事を覚えておいてください。
3.3孤独死は事故物件になるのか
事故物件と聞けば、自殺や事件などで人が亡くなっている物件を思い浮かべると思います。
それでは、孤独死などの自然死が起きた物件に関しては事故物件と言えるのでしょうか。
これに関しては、厳密な規定が無いという事から、自己物件という所もあれば、事故物件と言わないところもあります。
また、事故物件という言葉は解りやすい表現であり、不動産屋さんなどに行っても、事故物件と表現したり、心理的瑕疵(かし)ありと表現したりします。
心理的瑕疵と言えば、自殺・殺害事件などが起こったという事も含まれますが、近隣に小中学校がある、暴力団の事務所がある、風俗営業店があるなど、人それぞれ心理的に負担に感じることが違うため、様々な要因を総称して、「心理的瑕疵あり」と表現する場合があります。
また、「事故物件」や「心理的瑕疵あり」に関しては、告知義務が生じるため、不安な方は不動産屋さんなどで聞いてみることをお勧めします。
また、孤独死などの場合も「事故物件」や「心理的瑕疵あり」となる場合は、告知義務の対象になるために、敢えて事故物件にしないという事も考えられます。
これはオーナーや管理会社次第になりますので、何とも言えません。
4.賠償責任の考え方
賃貸物件での孤独死に関しての説明をしましたが、その中で責任の所在などの話をしましたが、その損害賠償についての考え方を少し説明していこうと思います。
4.1損害賠償責任の基本と考え方
損害賠償責任とは、第三者の身体及び財産に損害を与えた場合に被る責任の事を指します。
例えば、交通事故で相手の車を壊してしまった場合や、相手にケガを負わせてしまった場合には、車の損害と相手の治療費を支払うと思います。
これが、損害賠償責任を負ったという事です。
交通事故に関しては、過失割合がありますので、損害に対して何割の支払いとなりますが、過失が100%の場合は、すべての損害に対して責任を負わなくてはいけません。
賃貸物件でも、物件の一部を壊した場合は、貸主さんの財産に損害を与えたという事で、損害賠償責任の対象になりえるという事です。
それでは、孤独死の場合はどうなるのでしょうか。
これは、孤独死を起こして、その事に直接起因する損害に関しては損害賠償責任の対象になりえるという事で、貸主は借主に損害賠償を請求できる可能性があります。
しかし、回収できるかは別の話になりますが、可能性は0ではありません。
これが、損害賠償の基本的な考え方になります。
5.保険の対応
孤独死に関して様々な事を書いてきましたが、もし孤独死が起こった場合に貸主・借主共にどのような対処方法があるのだろうか。
損害賠償請求にしても、貸主は部屋のリフォームなどをしなければならず、その費用は貸主の完全負担なのか、また借主の遺族などに請求できるものなのか。
そして、請求できたとして回収が出来るのか。
これから、貸す側も借りる側も増えるであろうリスクに対応するにはどうすれば良いのかなど、様々な疑問が出てくると思います。
そこで、保険での対応が出来るのかどうかを見て行こうと思います。
保険と一言で言っても、火災保険や賠償責任保険など考え方によって対応が変わる可能性があるので、様々な目線から見て行きましょう。
5.1火災保険
少し前のところで、火災保険の基本的な事は説明しましたが、火災保険での対応と言う面でみると、借主側のリスクに関してという事になると思います。
賃貸物件に入居する場合には、火災保険に加入すると思います。
この火災保険の主な補償対象は、契約者(入居者)の家財道具一式になります。
しかし、本当に重要なのは、先ほども少し説明した、「借家人賠償責任」と言う特約です。
この「借家人賠償責任」は、名前の通り借りている人が賠償責任を負った場合に補償される特約です。
主な事故で言うと、「ボヤを出して部屋の一部を焦がしてしまった」や「部屋の模様替えをしていて、誤って壁を破損させた」などになります。
要は、不慮の事故で借りている物件(貸主の財産)に損害を与えてしまい、修理をしないといけないという時です。
もし、家主さんが「弁償や修理をしなくても良いよ」と言うのであれば、この特約のお世話になることはありません。
この定義で言うと、孤独死は対象になり保険金は支払われるのだろうかと思う方もいるかもしれませんが、結論から言うとこの特約での保険金支払いは難しいと思います。
少し難しい話になりますが、損害賠償が認められたとしても、それを誰に請求するかという所になります。
借主に請求するのであれば、その方は亡くなっています。
亡くなった方に対して損害賠償が請求できるかどうか、また請求できたとしても、保険金の請求者は基本的には契約者になり、保険金請求者は亡くなっているため、手続きは出来ません。
また、相続財産と認められた場合には、遺族に請求できますが、遺族がこの火災保険の請求者として認められれば、良いですが認められない場合には、この借主が加入していた火災保険は意味を持たないという事になります。
事故が起こったからと言っても、必ず保険金が支払われるとは限らないという事です。
5.2オーナー向けの保険
入居者目線のリスクに対する対応は書いてきましたが、オーナー目線でのリスクに対応する保険はあるのだろうか。
孤独死が起こってしまった物件では、様々なリスクが生じる可能性があります。
例えば、物件内のリフォーム代金や空室のりクスや賃料の値下げなどが主なリスクになってくると思います。
それに対する、備えはどのようにするのか。
賃貸物件に限らず、持ち家を所有している方などは、火災保険に加入している方が多いと思いますが、この火災保険の補償対象は建物への損害になります。
例えば、火災や風災や落雷や水害などが主な補償対象になり、近年多い集中豪雨や突風により建物が破損した場合には、火災保険での対応が出来るのですが、孤独死が起こってしまい、部屋をリフォームしなければいけなくなった、空室なった際の家賃を補償して欲しい、などは補償の対象外になります。
今後、増える可能性もある孤独死に対して、オーナーはどのように備えれば良いのかが解らないと思いますが、近年では、各保険会社が孤独死に対する損害を補填する商品を販売し始めています。
あまり一般的には知られていない保険にはなりますので、そのような商品があるという事は覚えておいてください。
5.3孤独死の損害
孤独死が起こってしまった場合には、様々なリスクと損害が生じると書いてきましたが、保険会社が認めるであろう損害はどの程度なのかを少し書いていこうとおもます。
基本的に、損害保険は事故が起こりその事故に直接起因する損害に対しての、補償になります。
そのため、損害として認められる可能性が高いのは、床材やクロスの張り替えや脱臭までは損害として認められるケースが多いと考えられます。
ただ、脱臭も保険会社の考え方次第や程度にもよると考えられます。
また、気分的に、エアコンやキッチン建具なども総入れ替えしたい気持ちになると思いますが、事故に直接起因していないので、それは損害として認められないケースがほとんどだと思います。
定義は保険会社によって変わりますので、直接確認する方が良いですね。
6.保険商品の紹介
ここでは、賃貸物件オーナー向けの孤独死に備える保険商品を数種類紹介していこうと思います。
先ほどの賃貸物件オーナーのリスクにどこまで応えられる商品があるのか、またどれだけの商品があるのかなど、また賃貸物件を借りている立場の方も見方を変えてどう備えるのかのヒントなども少し書いていきたいと思います。
6.1アイアル少額短期保険「無縁社会のお守り」
この保険は少額短期保険であり、少し馴染みもないと思いますが、賃貸物件のオーナー向けに作られた、孤独死に備える保険です。
補償内容も、先ほどあげたリフォーム費用や空室リスクに賃料値下げによる家賃損失まで補償の対象になる保険です。
また、孤独死だけでなく、自殺や犯罪死など物件内で起こった事故・事件等で人が亡くなった場合に幅広く対応できること、そして実損被害(リフォームなどの費用)が無かった場合でも、お見舞金の支払いがあるという所も特徴の1つかと思います。
ただし、少し注意する必要があるのは、4戸室以上の物件に限るという事と、物件すべての部屋での加入が条件という所で、マンションやアパートを所有するオーナーさんであれば加入できますが、長屋や戸建ての借家や4戸室以下の物件などをお持ちのオーナーさんでは加入が出来ないという所が注意点ですね。
6.2e-Net少額短期保険株式会社「Re-Room(リ・ルーム)」
この保険も、先ほどの保険と同様の補償内容になり、補償金額等も同じ内容になっています。
賃貸物件オーナーの孤独死などのリスクには応えられる内容かどうかと言えば、充分ではないかと思います。
少し、違う点は、4戸室以上などの規定がパンフレット等には無いので、戸数が少ない物件でも対応できるのではないかと思います。
6.3その他の保険
その他の保険では、三井住友海上の火災保険であるGKシリーズの中の賃貸物件オーナー向け商品に特約として、「家主費用特約」と言うのがありますが、この特約も基本的には家賃の逸失損害や片付け費用などを補償してくれる特約になっています。
付加できる条件もあるみたいですので、現在加入している方でも途中付帯など考えてみるのも良いかもしれません。
また、入居者に関しても、少額短期保険会社で死亡保障に加入しておくのも、孤独死対策になるかもしれません。
この場合は、残された遺族が損害賠償の請求を受けた場合に活用することなど、考え方や使い方次第で孤独死に対する備えをすることが出来るという事です。
7.まとめ
孤独死に関しては、年々増加していく中で、決して高齢者だけの問題ではなく、30代でも80代でもリスクは同じであるという事は解ってきたと思います。
また、核家族化が進むにつれて、一人暮らしが増えて、また近所付き合いなども希薄になっている世の中であり、単身世帯のマンションなどでは、余計に周囲との交流は無い事でしょう。
そうした中で、孤独死を迎えてしまった場合に、その後どのような責任が待っているのかを少し考えてみる機会になったのではないでしょうか。
また、賃貸物件に入居しているという事は、原状復帰の義務がある事なども覚えておかなければいけないという事や、死亡保障などで万が一の場合に掛かる費用を残しておくことも大切な事であると言えるでしょう。
そして、孤独死にならないためには、周囲と関わることをして、万が一の時は発見を速めてもらえるようにしておくことも重要ではないかと思います。
また、賃貸物件のオーナーの方にしてみれば、賃貸物件を所有している以上は、様々なリスクがある事も重々に理解はしているものの、いざ事故や事件が起こった場合には想定していたこと以上の事が起こる可能性もあります。
通常の火災保険だけではなく、孤独死に限らず居室ないでの死亡事故などにも備えておく必要が高まっているのも事実であり、これからどんどん増えていく可能性が高いです。
学生向けマンションだから大丈夫、高齢者は極力入居を断っている、審査もしっかりしているから大丈夫と思っていても、いつ起こるかは解りません。
孤独死は決して若いから起こりえないと言うことではないという事、また孤独死などが起こってもいかに早い段階で発見できるかと言う対策も必要になってくるでしょう。
賃貸物件の管理や運営にはすごく神経も使うことも多いと思いますが、管理会社頼みにせずに、定期的に物件の様子を見に行く、どんな人が住んでいるのかを確認する、本人との連絡先や保証人や家族などの連絡先や交友関係など知れる情報は知っておくことも重要になってくるのかもしれません。
その他には、居室内にセンサーを付けて、3日以上動きが無ければ知らせてくれるものなどもあるみたいです。
リスクは考えればきりがないものですが、未然に防ぐ事を考えてみて、それでも防げない時には、保険で対応できるという安心を備えておくのも良い事でしょう。
長い間、孤独死に関する保険が無く、困っていた賃貸物件のオーナーさんにもやっと、対応できる保険が出てきたこと、そして考え方ひとつで様々な対処の方法があるという事を知っておいてください。
また、オーナーさんだけではなく、入居者の方も様々な備えをしておくことで、迷惑をかけることも少なくなるかもしれません。
最後になりますが、保険と言うと大半の人が、事故が起こっても支払われない事が多いなど言われることがありますが、決してそんなことはなく、事故があって認められれば保険金支払いの対象になります。
また、火災保険も補償対象がすごく広くなっていますので、「こんなことでは対象にならないだろう」と思うのではなく、「こんなことでも対象になるかな?」と思っている方が良いかもしれません。
また、この事も言っておきますが、保険は決して万能ではなく、保障範囲が広がったからと言ってすべての事故が対象になるのではなく、事故と認められなければいけないという事は理解しておいてください。
また、損害保険に関しては、報告の仕方や保険会社の捉え方によっても有責・無責になること、同じような事故でも支払いの対象になる事もあれば、対象にならない事もある。
少し複雑ですが、事故性や損害の程度など様々な規定があり、また調べることも多くなる可能性もあるという事も覚えておいてください。