「女性も輝く社会!」の掛け声とともに、主婦であっても、フルタイムでお勤めをされていることは、今や、ごく普通のことになっていますよね。
でも、中には、小さいお子さんのお母さんだったり、家族の中に介護が必要な人を抱えていたり、夫が激務だったりと、まだまだ、主婦の働き方としては、パートタイムで、というのが、一般的なのではないでしょうか?
また、主婦の方だけでなく、パートタイムでお仕事をされている方でしたら、一度くらいは、「社会保険への加入条件が変わった」ということを、耳にされたことがあるのではないでしょうか。
中には、「社会保険への加入は義務」とか言われていることもあったりして、ちょっとザワザワしてしまいますよね。
今回は、「パート」と「社会保険」の関係を、基本の「キ」から、解説していきます。
なにかと、ややこしい感のある、「パート」と「社会保険」の関係ですが、ポイントをおさえてしまえば、意外とすんなり理解できますから、この機会に、是非、すっきりさせましょう!
今まさに、「そろそろ、パートでも・・・」と思われている方も、是非、参考にして下さいね!
1.社会保険って?
社会保険とは、簡単に言うと、私たちが生活していくうえで起こりうるさまざまなリスクを、社会全体で分散して支え合う仕組みのある、公的な保障制度のことを言います。
現在の日本の公的な保障制度には、社会保険の他にも、公的扶助(=生活保護)、社会福祉、公衆衛生があります。
公的扶助(=生活保護)、社会福祉、公衆衛生と、社会保険とを合わせて、「社会保障の4本柱」と言われています。
社会保険以外の保障制度は、すべて、国が費用を負担して運営されています。
1.1広い意味での社会保険
一般的に、私たちは、学校を卒業すると、なんらかの職業に就いて、お金を稼いで生活していきます。
ところが、病気になったり、ケガをしたり、あるいは、事故や災害に遭ったり、お勤め先が倒産するなどで、生活するためのお金を稼ぐことができなくなってしまうかもしれません。
そういったお金を稼ぐことができなくなるリスク以外にも、誰しも高齢になれば、働くことが難しくなります。
私たちが、病気やケガで働けなくなった時や、事故や災害に遭ったり、高齢のために、仕事に就くことができなくなった時に、公的扶助(=生活保護)以外にも、生活を守るために、セーフティネットとして設けられているものが、社会保険と言われる公的な保険制度です。
社会保険は、国や地方公共団体などの公的な機関が、母体となって運営し、費用は、加入者(=被保険者)の納める保険料と、国からの負担金により、まかなわれています。
広い意味での社会保険には、次の5つのものがあります。
1.医療保険
2.年金保険
3.介護保険
4.雇用保険
5.労働者災害補償保険(労災保険)
このうち、1.医療保険、2.年金保険、3.介護保険の3つは、強制保険と言われるもので、日本にお住まいの方であれば、誰しも必ず加入する義務があります(ただし、介護保険には40歳以上の人が加入します)。
4.雇用保険と、5.労働者災害補償保険(労災保険)には、会社などにお勤めの方が加入します(このため、この2つは、労働者保険と言われています)。
1.2健康保険って?
社会保険の中の医療保険は、年齢や、職業によって加入する医療制度が異なります。
大きくは、国民健康保険と、健康保険(被用者保険)の2つに分けることができます。
国民健康保険には、原則、日本にお住まいの方、すべての人が加入します。
健康保険(=被用者保険)には、会社にお勤めの方で、1年以上継続して雇用される見込みがある、一定の時間以上(週の勤務時間が20時間以上)に該当する人が、加入します。
健康保険(被用者保険)の保険料は、収入によって異なった金額のものを、お勤め先と折半して、負担します。
75歳以上の人は、後期高齢者医療制度に加入します。
1.3厚生年金って?
社会保険の中の年金保険には、原則、20歳~60歳までの日本にお住まいのすべての人が、国民年金保険(=基礎年金)に加入します。
国民年金保険(=基礎年金)は、働き方や、社会的な立場によって、第1号保険者、第2号保険者、第3号保険者に分かれています。
会社にお勤めの方や公務員の方は、2階建て部分と言われている厚生年金保険に加入すると同時に、国民年金保険(=基礎年金)の第2号保険者として加入することになります。
また、第2号保険者の配偶者(=妻や夫)は、国民年金保険(=基礎年金)に第3号保険者として加入します。
1.4狭い意味での社会保険
通常、「社会保険」と言った場合には、健康保険(=被用者保険)、厚生年金保険、介護保険(ただし、40歳以上の方のみ)の3つを指して言います。
健康保険(=被用者保険)、厚生年金保険、介護保険の3つは、狭い意味での社会保険とも言われています。
たとえば、求人案内などに、「社保あり」や「社保完備」とあれば、健康保険(=被用者保険)、厚生年金保険、介護保険の3つに加入することができるという意味になります。
ただし、「社保完備」(社会保険完備)の場合では、健康保険(=被用者保険)、厚生年金保険、介護保険の3つに、雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)の2つを加えた、5つの社会保険すべてが揃っているという意味になります。
また、医療保険制度と年金保険制度には、必ず、セットで加入します。
どちらか一方を選択して加入することは、できません。
2.扶養を知ろう!
皆さんは、「扶養」と聞くと、どういったことをイメージされるでしょうか?
中には、「あぁ、年末調整の時の・・・」と、真っ先に、扶養控除のことを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
扶養とは、社会概念のひとつで、ざっくり言うと、『自力で生活することが難しい人に対する生活上の支援や援助のこと』を言います。
扶養の概念は、私的扶養と社会的扶養の2つに分かれて、考えられています。
たとえば、高齢期を迎えた親と同居して生活をサポートしたり、仕送りしたりすることは、私的扶養に当ります。
これに対して、高齢の人が、公的なサポートを受けて生活したり、年金の支給を受けて生活していく仕組みは、社会的扶養に当ります。
このように、扶養とは、高齢者や、なんらかの事情があって働くことのできない人を、家族や社会で支援したり、援助すること言います。
私的扶養や社会的扶養以外にも、扶養には、 社会保険の扶養や、 税法上の扶養があります。
社会保険 の扶養や、 税法上の扶養では、基準となる収入や、被扶養者(扶養を受ける人)の条件も異なっています。
次に、2つの扶養の違いについて、見ていきましょう。
2.1社会保険の扶養って?
広い意味での社会保険には、国民健康保険や国民年金も含まれますが、一般的には、社会保険と言った場合では、会社にお勤めのサラリーマンの方や公務員の方が加入する、健康保険(=被用者保険)と厚生年金保険のことを指して言われています。
また、健康保険(=被用者保険)のみを指して、「社会保険」や、「社保(しゃほ)」と言われる場合もあります(「社保」とは、社会保険の略)。
少し、ややこしいので、注意するようにしておきましょう。
国民健康保険や国民年金には、「扶養」の概念はありませんが、健康保険(=被用者保険)と厚生年金保険※には、「扶養」の概念があります。
※厳密に言うと、厚生年金保険に、「扶養」の概念はありませんが、健康保険の扶養の範囲が適用されるため、健康保険への加入の可否が、そのまま厚生年金保険に適用されます。
健康保険(=被用者保険)での扶養の範囲は、次のようになります。
●扶養を受けることができる人
①配偶者( 法律上の妻や夫であれば、同居・別居問わず、法律上の妻や夫でない内縁関係の場合は、同居していること)
②18歳未満の子供※
③60歳以上の家族
※18歳以上59歳までのお子さんについては、就労可能であるとみなされるため、就労できない状態であることを確認できる書類の提出が、必要になることがあります。
●扶養を受けることができる人の収入限度額
①59歳以下・・・年間の収入※が130万円未満(目安として月額108,334円未満)
②60歳以上・・・年間の収入 ※ が180万円未満(目安として月額150,000円未満)
※ 健康保険での年間の収入は、直近の3カ月の収入から、申請以後1年間の年収見込み額を推測して、計算されます。
このため、給与収入証明として給与明細書などで申請をする時に、 直近の3カ月 に、108,334円(または、150,000円)以上の月があった場合では、収入見込み額が、年間130万円( または、180万円)未満であることが確認できないと判断されます。
この場合には、雇用契約書などで、年間収入が限度額未満であることの確認が必要になります。
2.2税法上の扶養って?
私たちは、なんらかの収入があった時に、所得税として、国に税金を納めています。
この時、所得税を納める人に、控除対象となる扶養親族がいる場合、扶養控除が適用されます。
扶養控除が適用されると、収入から、一定の金額を差し引いて、所得税の金額を計算することができます。
所得税での扶養親族には、おもに、納税する人の兄弟や親、配偶者(法律上の夫や妻)の親や、16歳以上の子供が該当します※。
※所得税法上では、納税者の6親等の血族(および、法律上の配偶者の3親等 )とありますが、 6親等とは、おじ、おば、おじ、おばの子供(またいとこ)、曾祖父の 曾祖父 、ひ孫のひ孫まで含まれるため、あまり現実的ではありません。
※16歳未満の子供については、平成23年(2011年)に子ども手当が創設されるとともに、扶養控除の対象からはずれています。
納税者と扶養親族は、 必ずしも、同じ所に住んでいる必要はありませんが、生計がひとつ(同じ財布で生活している)であることが、必須条件です。
また、扶養控除とは別に、 所得税を納める人に、控除の対象となる 配偶者がいる場合、配偶者控除、あるいは、配偶者特別控除が適用されることがあります。
所得税での配偶者控除は、次の①~④に該当した場合に適用されます。
①法律上の婚姻関係にあること
②納税する人と生計がひとつであること
③配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること
④青色申告者や白色申告者でないこと(青色申告や白色申告とは、おもに個人事業主の方に関係します)
配偶者控除での、配偶者の年齢や、納税者の所得によって控除される金額については、次のようになります。
納税する人の 合計所得金額 |
一般の配偶者 (69歳以下) |
70歳以上の配偶者 (老人控除対象配偶者) |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超え 950万円以下 |
26万円 | 32万円 |
950万円 超え 1000万円以下 |
16万円 | 16万円 |
配偶者の方に、なんらかの収入があり、年間に38万円を超える所得がある場合には、配偶者特別控除が適用されることがあります。
配偶者特別控除での、配偶者の所得や、納税者の所得によって控除される金額については、次のようになります。
配偶者の 所得金額 |
納税する人の合計所得金額 900万円以下 |
納税する人の合計所得金額 900万円超え950万円以下 |
納税する人の合計所得金額 950万円超え1000万円以下 |
38万円超え 85万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万円超え 90万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 |
90万円超え 95万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 |
95万円超え 100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
100万円超え 105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
105万円超え 110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
110万円超え 115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
115万円超え 120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
120万円超え 123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
このように、配偶者特別控除は、最高控除額38万円(配偶者の所得金額38~85万円、納税者の合計所得金額900万円以下)から、1万円( 配偶者の所得金額120~123万円、納税者の合計所得金額900万円~1000万円以下 )まで、変化します。
なお、所得税での合計所得金額とは、1年間の収入を合計したものから、「必要経費」を差し引いたものを言います。
また、お勤め先から給与を受けている方が納める所得税には、給与所得控除として、一律65万円を差し引くことができる税法上の取り決めがあります。
給与所得控除は、一般的には、会社などにお勤めされている方の「必要経費」として、考えられています。
このため、会社などにパート勤めをされている方でしたら、所得金額に 給与所得控除 (65万円)を加えた金額を、ざっくりと、1年間の収入として計算することができます。
たとえば、所得合計が38万円の方であれば、1年間の収入は、38万円(年間の所得)+65万円(給与所得控除額)=103万円となります。
所得合計が85万円の方であれば 、1年間の収入は、 85万円(年間の所得)+65万円(給与所得控除額)=150万円 となります。
つまり、パートのお給料の年間合計金額が、103万円以下の方は、配偶者控除、103万円以上であれば、配偶者特別控除の適用となります。
ただし、配偶者控除や配偶者特別控除は、納税者の所得金額が1000万円以下の場合に適用されるため、1000万円を超える場合は、配偶者控除、配偶者特別控除とも適用されません。
配偶者控除は、103万円まで、配偶者特別控除の最高控除額(=38万円)は、パート先でのお給料が、150万円までの方に適用されるため、このことを指して、「103万円の壁」や「150万円の壁」と言われています。
3.よく聞く「130万円の壁」って?
会社員や公務員の方が加入する健康保険には、「協会けんぽ」(中小企業にお勤めの方)や、「組合健保」(大企業やそのグループ会社にお勤めの方)など、いくつかの種類がありますが、いずれも、「扶養」の概念があります。
このため、扶養の範囲に該当している方の場合は、同じ健康保険を利用することができます。
一般的に、健康保険での 扶養の範囲に該当 するケースは、次のようになります。
1.被保険者(健康保険に加入している人)の配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母
1.の方については、同居、別居は問われませんが、年間の収入の見込み額が、130万円未満(60歳以上、または障害者の方は、180万円未満) であることが、必須条件になります。
また、配偶者は、必ずしも法律上の婚姻関係である必要はありませんが、その場合には、同居していることが必須条件になります(内縁関係の相手の子供の場合も、同居していることが 必須条件になります )。
2.上記以外の3親等以内の親族 (伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
2.の方については、同居、かつ、年間の収入の見込み額が130万円未満(60歳以 上、または、障害者の方は、180万円未満) であることが、必須条件になります。
同居の場合、被保険者(=健康保険へ加入している人)の年間の収入の半分であることが、扶養の要件になる場合があります。
たとえば、 被保険者(=健康保険へ加入している人)が、年収200万円であった場合、被扶養者(扶養を受ける人)の年収は、130万円ではなく、100万円が上限金額になります※。
※ただし、特別な事情などが認められる場合には、この限りではありません。
つまり、夫の勤め先で加入している健康保険に、「扶養」として加入できるのは、妻、子供、孫、夫の両親、夫の両親の兄弟、夫の祖母・曾祖母、夫の兄弟、夫の兄弟の子供ということになります。
このうち、よく言われる「130万円の壁」とは、配偶者や子供に、年間の収入として、130万円以上の収入がある場合に、健康保険の扶養範囲からはずれることを指して言われています。
ただし、健康保険での年間の収入とは、年間の『見込み』収入額のことを言っています。
たとえば、パートやアルバイトの雇用契約で、月額10万8333円以下であったとしても、場合によっては、残業が多かったり、休日出勤をしたりして、12万円になってしまったり、あるいは、通勤手当や精勤手当、賞与などがあって、ひと月の収入が 10万8333円 をオーバーするようなことも考えられます。
このようなケースでは、 実際にいくら受け取ったかという収入の金額ではなく、雇用契約上の金額が、年間の収入の『見込み』金額として優先されますから、ただちに、扶養の範囲からはずれる(はずれなければならない)ということではありません。
ただし、次のようなケースでは、健康保険の扶養からはずれる手続きをする必要があります。
1. 月額 10万8333円 以上の雇用契約を結んだ場合
雇用契約以外にも、失業保険など、日額3,611円以上の給付を受ける場合も該当します。
2.パート先で社会保険の加入対象になる場合
パート先の企業などで、社会保険の加入対象になる場合には、健康保険の扶養より、優先されます。
もう少し詳しく、見ていきましょう。
3.1 パートの社会保険加入の条件って?
社会保険(健康保険や厚生年金保険)への加入は、以前は、お勤め先の企業などで、週30時間以上働く方が対象とされていました。
つまり、週休2日などで、1日の勤務時間が6時間に満たないアルバイトやパートタイム勤務の場合、1週の勤務時間は30時間に満たないため、社会保険(健康保険や厚生年金保険)に加入させなくてもよいといった法律上の取り決めがあったということです。
この取り決めが、平成28年(2016年)に、週30時間以上から、週20時間以上に変更されました。
これにともない、社会保険に加入している従業員の人数が、常時501人以上の企業に対して、社会保険へ加入できる条件に当てはまる人がいる場合には、必ず加入させなければいけないという義務が発生することになりました。
社会保険へ加入できる条件は、次のようになります。
①1週あたりの労働時間が20時間以上であること
労働時間の中に、残業時間は含まれません。
1週の労働時間とは、雇用契約書などで、あらかじめ決まっている労働時間(所定労働時間)のことを言います。
②1カ月の賃金が8万8000円以上であること
賃金には、残業手当の他、通勤手当、賞与などは含まれません。
1カ月の賃金は、雇用契約書などで確認できない場合には、『時間給×あらかじめ決まっている労働時間(所定労働時間)×52週÷12カ月』で計算します。
③雇用期間の見込みが1年以上であること
雇用期間が1年未満である場合であっても、就業規則や雇用契約書に更新されることが明示されている場合には、該当します。
④学生ではないこと
ただし、学生であっても、夜間、通信、定時制の学生であれば、該当します。
また、平成29年(2017年)より、社会保険に加入している従業員の人数が、常時500人以下の企業であっても、労使の合意(雇用する側と雇用される側で話し合いをし決定すること)がある場合、条件に該当する人であれば、社会保険に加入することができるようになっています。
4.パートの社会保険のメリット
パート勤務で社会保険に加入すると、次の4つのメリットがあります。
①将来受け取る年金が増える
厚生年金保険に加入すると、国民年金保険(=基礎年金)に加えて、2階建て部分の厚生年金を受け取ることができます。
②障害がある状態になった場合に、より多くの年金が支給される
厚生年金保険に加入した場合、万が一、障害がある状態になった時には、障害基礎年金のほかに、障害厚生年金を受け取ることができます。
障害厚生年金には、月額約4万9000円の最低保障額が設けられています。
また、障害基礎年金は、障害等級1級または2級の場合に支給されますが、障害厚生年金は、障害等級3級の場合も支給されます。
もし仮に、被保険者が亡くなられた場合には、遺族の方は、遺族基礎年金のほかに、遺族厚生年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金は、18歳未満の子がいない場合、配偶者の方は受け取ることができませんが、遺族厚生年金は、18歳未満の子がいない場合でも、配偶者に支給されます。
③医療保険(健康保険)の給付が充実する
健康保険に加入すると、病気やケガ、出産などで仕事を休まなければならない場合に、傷病手当金や出産手当金として、賃金の3分の2の給付を受け取ることができます。
④会社が保険料の半分を負担する
国民年金や国民健康保険では、被保険者が保険料を全額負担しますが、健康保険や厚生年金保険に加入した場合には、保険料の半分は、会社側の負担となります。
つまり、健康保険や厚生年金保険では、払い込んだ保険料の2倍の額が支払われていることになるため、給付もその分だけ手厚くなります。
5.パートの社会保険のデメリット
パート勤務で社会保険に加入すると、次のようなデメリットが考えられます。
①実質の手取り金額が目減りする
お勤め先の社会保険の加入条件に該当したたために、社会保険(健康保険、厚生年金)の保険料の負担が発生すると、毎月のお給料が8万8000円であった場合には、健康保険の保険料の負担が約4000円、厚生年金保険の保険料の負担が約8000円、合計約1万2000円(40歳以上の方では、介護保険料の保険料の負担が約700円となり、約1万3000円)となります。
このため、実質の手取り額は、8万8000円-1万2000円(1万3000円)=7万6000円(7万5000円)となります。
もし仮に、時給870円(平成30年度の全国時給平均は874円)で雇用契約をしていた場合には、約14時間分の時間給を、社会保険の保険料の支払いに充てることになります。
1日6時間のパート勤務をしている場合には、約2.3日分になります。
②夫の会社の家族手当や扶養手当がなくなってしまう
たとえば、妻が、パート先で社会保険へ加入した場合には、夫のお勤め先から家族手当や扶養手当が支給されいるケースでは、支給の対象からはずれてしまう可能性があります。
詳しくは、就業規則や、会社などの担当者に確認するようにしましょう。
6.『働き損』を回避する!
アルバイトやパートタイム勤務の方の社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入は、非正規雇用(=正社員ではない)と言われる、いわゆる派遣社員などの増加にともない、同じ会社で同じ仕事をする人の労働条件を整えるためには、とても有効な手段です。
たとえば、今まで、国民健康保険や国民年金保険に加入していた人が、健康保険や厚生年金保険に加入することによって、手厚い保障を受けることができるようになったり、お給料の金額は同じであっても、保険料の半分は会社が負担するため、個人で払い込む保険料の負担が軽くなるケースも広くみられます。
ただし、夫の勤め先で社会保険に加入している方のケースでは、少々、事情が異なります。
家計への負担がどのように変化するか、見ていきましょう。
6.1パートの年間収入が103万円以下
●夫の年間給与収入=600万円(合計所得金額195万円~330万円、所得税率10%)
●夫は社会保険(健康保険・厚生年金)加入者
妻のパート給与が年間で103万円以下(目安月収8万5000円まで)であれば、手取り収入がそのまま家計にプラスされます。
※ただし、年間収入が100万円以上で、住民税(10%)の負担が発生します。
6.2パートの年間収入が130万円以上153万円未満
●夫の年間給与収入=600万円(合計所得金額195万円~330万円、所得税率10%)
●夫は社会保険(健康保険・厚生年金)加入者
妻のパート給与が年間で130万円以上(見込み月収10万8334円以上)になる場合、夫の社会保険の扶養からはずれることになり、妻個人が、国民健康保険や国民年金保険に加入する必要があります。
この場合、単純計算すると、妻のパート年収が153万円になるまで、家計への影響が続くことになります。
一般的に、家計へのプラスが実感できるのは、妻のパートの年収が160万円(ひと月の収入13万円以上)になった時であると言われています。
たとえば、週休2日で勤務する場合には、平均時給(870円)であれば、1日8時間の勤務時間がひとつの目安になります。
7.まとめ
以上、パートと社会保険について見ていきましたが、いかがでしたか?
私が学生だった頃、「学生のアルバイトは1日4時間まで」と、よく言われていました。
今から30年くらい前の話ですが、4時間を超える長時間のアルバイトをすると、学業に支障がでて、単位が足らなくなって留年してしまったり、アルバイトに熱がはいってしまうあまり、学業を途中で放り出すことになる、と。
個人的には、主婦のパートも、1日4時間くらいが適当(家事がうまくまわる)なように思います。
ただし、バックアップ体制がのぞめる人は、がっつり働いて、キャリアに見合ったお給料をもらえるようになった方が、断然、お得だと思います。
それが、『働き損』を回避するための一番の近道だと思いますが、いかがでしょうか!?