製造業をはじめとする、モノづくりは日本の経済の根幹と言って良いでしょう。
しかし、生産したものが不具合を起こした場合には、その責任は生産者が負わなければいけません。
その額は、会社が倒産するだけの額に及ぶことも有るでしょう。
その様な時のために、「生産物賠償責任保険」俗に言う「PL保険」があるのです。
PL保険は、製造業だけではなく、サービス業・小売業・卸売業をはじめとする、様々な業種の生産物賠償に対応した保険となっています。
賠償責任と言うリスクに頭を悩ます経営者も少なくないでしょう。
この記事では、生産物賠償責任保険について、基礎から解説していきますので、ご自分の業種にはどのようなリスクがあるのか?この保険でリスク回避が出来るのか?と言うところを見つけていきましょう。
この記事を読んで、生産物賠償責任保険の加入を検討できるようにしましょう。
1.PLとは何か?
まず、PL保険の話の前に、PLとは何か?を解説していきましょう。
基礎的なところで、知っていると言う方も多いかもしれませんが、意外とPL保険の名前や内容は知っていても、この「PL」ってなに?どういう意味?と聞かれると、答えられる方も少ないのではないでしょうか?
ここでは、基礎的なところを解説していきます。
1.1 PLとは
まず、言葉の意味から説明していきます。
PLとは、(Product Liability=製造物責任)を意味する言葉であり、商品や製品の欠陥によって、消費者となる第三者が身体的障害または財産的破壊を被った場合に、その商品・製品を製造・販売に関与した事業者が、被害者に対して法律上の損害賠償責任を負うという事です。
解りやすく言うと、家電や家具を購入し、使用に問題が無く故障や不具合が生じてケガをした場合や、家の一部を破損したと言うような場合には、その不具合の原因が製造過程であった場合には、製造元もしくは販売会社(メーカー)が責任を負わなければいけないという事です。
これはPL法で決められている事で、製造業をはじめとする様々な業種で、生産物に対して責任を負わなければいけないと言う事です。
1.2 PL法とは
さて、PLと言う言葉を説明しましたので、先ほど少し出てきたPL法について少し解説をしていきます。
PL法とは、正式名称「製造物責任法」と言う名前の法律です。
簡単に言うと、先ほども解説した様に、製造物・生産物に対して、その製造者・生産者は責任を持ちなさいと言う法律です。
概要を解説すると、製造物の欠陥によって生じた損害に対して、その製造業者は損害賠償責任を負う事と言う法律です。
この法律は1995年7月1日に施行された法律であり、PL法における製造物とは「製品または加工された動産」と言う定義があり、欠陥についても「当該製品の特性や予見される使用形態や引き渡し時期など様々な事情を考慮したうえで、当該製品が通常有する安全性を欠いている事」と言う定義もされています。
また、欠陥については「設計上の欠陥」「製造上の欠陥」「指示・警告上の欠陥(設計指示の抗弁)」と分けられています。
また、この法律の意義として、損害賠償責任の追及をしやすくすると言う目的があります。
この法律が出来るまでは、民法の不法行為法において損害賠償責任を追及する場合には、被害者が加害者の故意・過失があったことを立証しなければいけなかったのですが、この立証が非常に難しく、損害賠償責任を追及する事が困難でしたが、このPL法では、製造者の過失を要件とせず、製造物に欠陥があったことが要件になる事で、損害賠償責任を追及しやすくなったのです。
これも少し解りやすく言うと、損害賠償責任の要件が「人」から「物」に変わったという事です。
人の過失ではなく、その製品が欠陥品であるかどうか?という所がPL法の焦点になってくるという事です。
このPL法については、少しかいつまんで解説していますので、詳しく知りたい方は、PL法を調べてみてください。
2.PL保険とは
PL(製造物責任)についての基礎的なところを解説したので、ここからはPL保険についての概要から種類・対象業種について解説していきます。
PL保険とは一体どのような保険なのか?という所を、一緒に見て行きましょう。
2.1 PL保険とはどのような保険なのか?
それでは、PL保険とはどのような保険なのか見て行きましょう。
PL保険は、生産物賠償保険とも言われる保険で、基本的に商工会議所の会員向けの保険であり、中小企業PL保険と言われるモノです。
引き受け保険会社としては下記の保険会社が取り扱いをしていますので、保険会社か商工会議所に問い合わせるようにしましょう。
取扱い保険会社
・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
・共栄火災
・現代海上
・セコム損保
・損保ジャパン日本興亜
・大同火災
・東京海上日動
・三井住友海上
上記の損害保険会社にて、中小企業PL保険は取扱いされています。
2.2 補償内容
PL保険は、製造業や小売業、卸売業など製品の製造・販売に関わる事業者の製造物賠償責任に備える保険となっています。
先ほども解説した様に、製造した製品や部品の欠陥によって第三者に損害を与えてしまい、損害賠償請求をされた時に備える保険であり、製造業だけではなく小売業や卸売業やサービス業など、幅広い業種を対象とした保険です。
補償内容としては、製造物の欠陥により損害賠償を負った場合の補償からリコールの費用なども補償してくれる保険となっています。
2.3 補償額
補償内容を解説しましたので、次に補償額について見て行きましょう。
「中小企業PL保険制度」と「全国商工会議所PL団体保険制度」では、補償額が変わってきますので、それぞれ紹介していきます。
・中小企業PL保険制度
基本補償
タイプ |
支払限度額 |
免責金額 (自己負担額) |
S型 |
5,000万円 |
3万円 |
A型 |
1億円 |
|
B型 |
2億円 |
|
C型 |
3億円 |
リコール特約
タイプ |
支払限度額 |
免責金額 (自己負担額) |
充実補償リコール特約 |
3,000万円(3,000万円タイプ) |
なし |
1億円(1億円タイプ) |
||
限定補償リコール特約 |
3,000万円(3,000万円タイプ) |
|
1億円(1億円タイプ) |
・全国商工会議所PL団体保険制度
タイプ |
支払限度額 |
免責金額(自己負担額) |
2型 |
2億円 |
5万円 |
3型 |
3億円 |
|
5型 |
5億円 |
上記が、「中小企業PL保険制度」と「全国商工会議所PL団体保険制度」の補償限度額となります。
また、中小企業PL保険制度のリコール特約の補償内容の違いは、ホームページ等で確認していただければと思います。
2.4 対象業種
それでは、PL保険の対象業種について見て行きましょう。
PL保険の対象業種は意外に幅広く、製造業だけではなく飲食業や工事業や請負業など幅広く設定されています。
その対象業種は以下のようになります。
・製造業
・小売業
・卸売業
・サービス業
・飲食業
・工事業
・請負業
・販売業
・その他
一般的な業種は加入できるようになっていますが、特定の業種であるIT関係などの情報を扱う業種は対象とならない場合がありますので、特定の業種の方は確認するようにしましょう。
また、事業規模によって「中小企業PL保険制度」か「全国商工会議所PL団体保険制度」かわかれます。これに関しては次の章で解説していきます。
2.5 保険の種類
中小企業PL保険には、先ほど少し書いたように、「中小企業PL保険制度」と「全国商工会議所PL団体保険制度」の2種類の保険がります。
これは、事業規模によって加入できる保険が違うという事です。
比較的事業規模の小さい、いわゆる中小企業は「中小企業PL保険制度」へ加入し、中規模から大規模の事業規模の会社は「全国商工会議所PL団体保険制度」へ加入するようになっています。
この保険制度は、中小企業の生産物賠償責任への備えと言う考え方ですので、前述している「中小企業PL保険制度」の方が補償内容は充実していると言って良いでしょう。
しかし、「全国商工会議所PL団体保険制度」が劣っている訳ではなく、補償額が大きくなりリコールなど細かな補償がないと言うだけで、基本的な補償内容や支払い要件は同じになっております。
それでは、それぞれの加入条件を少し紹介していきます。
・中小企業PL保険制度
業種 |
条件(常用の従業員数または資本金・出資金) |
一般業種(製造・建設業など) |
300人以下または3億円以下 |
卸売業 |
100人以下または1億円以下 |
小売業 |
50人以下または5,000万円以下 |
サービス業 |
100人以下または5,000万円以下 |
・全国商工会議所PL団体保険制度
業種 |
条件(常用の従業員数または資本金・出資金) |
製造業・その他 |
300人超または3億円超 |
卸売業 |
100人超または1億円超 |
小売業 |
50人超または5,000万円超 |
サービス業 |
100人超または5,000万円超 |
上記の様に、中小企業PL保険制度の加入条件を超えた事業者の場合は、全国商工会議所PL団体保険制度への加入となります。
3.業種別のリスクとは
それではここからは、それぞれの業種のリスクについて少し解説していきましょう。
業種によっても抱えているリスクは異なる事から、どのようなリスクがあるのかを把握しておきましょう。
ここで書くのは賠償責任に関してのリスクになりますので、このリスク以外にも様々なリスクがあると思いますので、細かなリスクについても常日頃から考えるようにしておきましょう。
3.1製造業のリスク
それでは製造業のリスクについて考えていきましょう。
製造業は、製品を製造する工場などになると思いますが、主なリスクは製造した製品に欠陥があり、その製品を使用した消費者がケガをしたり、消費者の財産に危害が及んだ場合の賠償責任になります。
また製造物には、いくつもの部品が使用されていると思いますので、自社で製造した部品以外に外注している部品が原因での欠陥などの責任を被る可能性もあります。
外注部品の場合は、その契約形態にもより責任の所在が異なりますので、その辺りもしっかりと取り決めをしておくようにしておきましょう。
3.2卸売業のリスク
次に卸売業のリスクについて考えていきましょう。
卸売業には、食品や衣料品など様々な分野の卸売業者がり、それぞれの扱う商品によってリスクも異なると思います。
水産卸売業者であれば、扱う魚などの魚介類で食中毒が発生してしまったり、洋服などの衣料品であれば、仕分け作業中に異物が混入してしまい消費者がケガをしたなど、扱うモノによってリスクも様々です。
卸売業で考えられるリスクに関しては、主に水産卸売や農作物の卸売業に関するリスクが高いと言えるでしょう。
食中毒をはじめとする、商品(魚介類や穀物)の鮮度や異物の混入などには十分に注意を払うようにしましょう。
3.3請負業・工事業
次に、請負業や工事業のリスクに関して考えていきましょう。
請負業も工事業も、建築や設計・施工などに携わる事が多いと思いますが、少し業種が異なりますので、細かなところでの違いはあると思いますが、同じようなリスクと考えられますので、まとめて書いていきます。
この業種での考えられるリスクとしては、工事・施工の不備・欠陥による損害が考えられます。
水道工事をする業者であれば、施工ミスにより水漏れが発生し壁や床を汚してしまう事もあれば、配管だけではなく洗面台やキッチンやお風呂場などの商品を破損してしまうケースも考えられるでしょう。
また、ボイラーや給湯器・配電盤などの工事を施工する業者や請け負う業者に関しては、設置ミスや設定ミスなどでトラブルになるケースも考えられるでしょう。
その様な場合に、設置・施工によるトラブルに関しては、メーカーが責任を負う訳ではなく、設置・施工した業者に責任がありますので、損害賠償を負わなければいけないという事になります。
製造業の次位にリスクが多い業種と言っても良いかもしれないですね。
3.4飲食業・サービス業
最後に飲食業やサービス業に関してのリスクについて考えて行きましょう。
この業種が一般の方にとってはいちばん身近な業種と言えるかもしれませんね。
飲食業で言えば、店内で調理をしたものを提供する場合が大半であり、その場合には食中毒のリスク・異物混入のリスクが考えられるでしょう。
食中毒や異物混入によって、商品を購入したり食べた方が体調を崩された場合には、多額の賠償金になる可能性もあり、どこの飲食業でも起こりえる話と言えるでしょう。
また、荷物やコートなどを預かるようなお店であれば、預かっているモノを汚したり破損させてしまった場合にも損害賠償を負う事になるでしょう。
食中毒や異物混入だけではなく、お客様の荷物やコートなどの衣服など、様々なところにリスクが存在するので、ご自分のお店などではどのようなリスクがあるのか?としっかりと考えるようにしておきましょう。
また近年では、アルバイト従業員などの不適切な行動で思わぬトラブルが発生しますが、監督責任などを考えた場合には、損害賠償責任はそのお店に発生する場合もありますので、従業員の教育などもしっかりと考えるようにしておきましょう。
業種によってリスクは様々ですが、基本的に消費者に危害を加えてしまった場合と考えれば簡単だと思います。
考えられるリスクは多いと思いますので、細かなところまで気を付けておくようにしましょう。
また、日ごろからリスク管理をしっかりとして、未然にトラブルを防げるように注意しておくことも重要でしょう。
4.PL保険の必要性
PL法とPL保険の基本について解説してきましたので、ここからは、PL保険の必要性について考えていきましょう。
それぞれの業種におけるリスクも考えましたので、ご自身の業種・業務のリスクなども考えながら読んでいただければと思います。
4.1PL保険の必要性とは?
まず、PL保険の必要性に関してですが、必要かそうでないかと言われると、はっきり言って必要です。
PL法が施行されて以降、生産物に対する責任を問われた場合には、多額の賠償金の支払いが考えられます。
万が一、製造物に欠陥があり消費者に損害を与えてしまった場合には、冒頭でも書きましたように、会社の存続にかかわる可能性もあります。
中小企業・零細企業ともなれば、経営者だけではなく従業員や取引先など多方面に影響が出る事でしょう。
そうならないためにも、PL保険などでリスク管理をしておくことは必要であると言えます。
また大きな会社になれば、従業員・下請け企業・孫請け企業など影響が大きくなることで、万が一に備えることは必然と言えるでしょう。
そして何よりも、製造物の欠陥や不具合は意図しない時に急に起こることも有り、何時ご自身の企業に降りかかるかはわかりません。
万が一の時に困らないようにしておきましょう。
5.事故例と対策
次に、製造業や工事業・サービス業における事故の例と対策について少し書いていきましょう。
保険の仕事をしていても、正直に言って企業の生産物賠償責任保険(PL保険)を使う様な事故が起きることはそうそうありません。
代理店の規模や得意分野・顧客層などの違いによって、事故・トラブルの処理件数は異なりますが、多くの場合はPL保険以外での対応となる場合が多いので、そのあたりに関しては、後ほど少し解説していきます。
5.1事故例その1
美容室でのカラーリング剤でのトラブル事例
美容室でカラーリングをしたお客様が、頭皮のかぶれを訴え原因が美容室でのカラーリングだったことが分かった。
この場合、責任の所在が美容室なのか、カラーリング剤を作ったメーカーなのかが焦点になります。
美容室がメーカーの使用方法(パッチ検査など)をしっかりと守った上で、カラーリング剤を使用した場合には、責任はメーカー側の製造物賠償責任になります。
しかし美容室側が、メーカーの使用方法と異なる使用をした場合には、賠償責任は美容室側の責任になります。
5.2事故例その2
マンションのオーナーが、マンションの水道配管が劣化してきために、水道業者に配管及び周辺設備の補修および入れ替えを頼み、工事完了後にマンションの一室で水漏れが発生した。
この場合には、水漏れ箇所は工事をした場所か違う場所なのか?という所や、工事をした場所と違うのであれば、工事が原因で水漏れを起こしているのか?と言うのが焦点になってきます。
工事をした場所や工事をしていない場所でも工事が原因で水漏れを起こしている場合には、施工した業者に損害賠償責任が生じます。
その場合には、PL保険などで対応するようにしましょう。
また、工事とは関係のない場所であれば、当たり前ですが、工事をした業者に責任はありません。
6.PL保険以外でリスクに備える方法
企業のリスクには生産物賠償以外のも様々なリスクがあると思います。
生産物だけではなく、様々なリスクに対する備えをここでは解説していきましょう。
企業のリスクに関しては多岐に亘るため様々な保険がありますが、近年ではあらゆるリスクに備えるパッケージ商品も各社が取り揃えていますので、保険を考えている方はどのような保険があるのかをしっかりと知っておきましょう。
6.1施設賠償保険
施設賠償保険とは、飲食店や小売業など多くのお客さんの出入りのある業種などに必要な保険と言えます。
飲食業や小売業だけではなく、イベントホールや会議場など人の集まる場所を管理している業種の方も必要となる保険です。
この施設賠償保険とは、被保険者が保有・管理・使用をしている施設の構造上の欠陥・管理上の不備などによって損害を与えてしまった場合の保険です。
具体的な例を言うと、「床を水拭き等していて滑りやすい状態になっているにもかかわらず注意喚起を怠りお客さんが滑りケガをした」や「天井にある照明施設が落下して下にいた来訪者がケガをした」と言うのがイメージしやすい事故だと思います。
また、この施設賠償保険は法人の方だけではなく、街の自治体が公民館などを維持・管理・所有している場合などにも役に立つ保険と言えるでしょう。
6.2人権侵害等の保険
飲食店や小売業などでは、誤ってお客さんを泥棒や詐欺の犯人と勘違いするケースも少なくありません。
こうした場合には、人権侵害などで損害賠償を負わなければいけませんが、PL保険や施設賠償保険では補償の対象ではありません。
その様な時に、人権侵害なども補償してくれる保険商品の加入が必要となってきます。
6.3火災保険や動産総合保険
損害賠償責任などの話をしてきましたが、それ以外にも当たり前の話になりますが、事務所や店舗・工場を運営している方であれば、その財産である店舗の火災保険・設備什器の火災保険、また現金などの保険は必須となります。
建物が自社所有の場合には、建物と収容動産(設備や什器)にしっかりと火災保険を掛けておき、テナントに入居の場合には、収容動産(設備や什器)にしっかりと保険を掛けておかなければ、火事を起こした場合や泥棒が入った場合などに対処できなくなります。
損害賠償だけが、リスクではなく、当たり前のリスクもしっかりと考えておきましょう。
7.法人向けの保険
法人向けの保険を少し紹介したので、もう少しだけ詳しく解説しておきます。
法人向けの保険には事業のリスクを補償する保険と財産を補償する保険に大きく分けることが出来ます。
損害保険各社で、様々な商品を取扱いしていますが内容をしっかりと把握しておきましょう。
7.1財物を補償する保険
これは、建物や設備什器を補償する保険であり、企業総合保険と言われる保険です。
この保険は火災保険と同じような保険ですが、少し規模が大きな法人では事業者が2つ3つと複数の建物を所有していたりしますが、その場合建物ごとに火災保険を契約すると、手続きや管理が煩雑になるという事で、この事業所などを包括して補償すると言う商品があります。
この様な保険では、年度中に新規に事業所が増えたと言うような場合でも自動的に補償されるケースが多いため、少し規模の大きい法人にとっては手続きやリスク管理の煩雑さを解消できる商品となるでしょう。
また、補償内容も火災保険と異なり、工場や事業所の特性に合った補償内容にできるメリットもあります。
7.2事業内容を補償する保険
これは、PL保険の内容も含めて、賠償責任や商品の運搬から、先ほども書いたような人権侵害など、事業を行う上での様々なリスクをカバーできる商品となります。
業種によってリスクを選べる内容になっている場合が多く、財物・賠償責任・傷害・休業など必要な補償を選び加入する事が出来るため、それぞれ単一に加入するよりも、1つの契約でまとめられる事で、先ほどの企業総合保険の様に手続きや管理がしやすくなると言うメリットがあります。
近年では各社ともに、企業向けのパッケージ商品を販売していますので、リスク管理もしやすくなっています。
この様な保険もあるという事をしっかりと把握しておきましょう。
8.まとめ
最後は少し話がずれましたが、PL保険や法人の保険について解説してきました。
事業を行う上で、賠償責任と言うリスクに関しては避けては通れない問題であると言えます。
また、製造業などでは、生産物に対する責任もPL法で定められたという事もあり、PL保険や賠償責任保険を考えている、加入したと言う経営者の方も多いのではないでしょうか。
そして生産物だけではなく、PL保険と言うのは飲食業や小売業でお客様に対しての補償もあります。
お客様の財物を破損・汚損してしまったという事もあり得る話ですが、保険に入っていなければ、充分な補償をすることが出来ないという事もあり得ます。
保険に加入していれば100%大丈夫!と言う訳ではありませんが、この記事を読んでPL保険の加入を考えていただければ幸いです。
また、PL保険だけではなく企業の財物・損害賠償などを補償する保険は、各損害保険会社から販売されています。
そして、補償内容も幅広く管理もしやすい商品も新たに出ていますので、これまでずっと面倒だからとそのまま更新していた火災保険や賠償責任保険などあれば、一度保険を見直してみると、管理もしやすく保険料も安くなる可能性もあります。
事業をする上で、様々な保険をしっかりと考えてみましょう。