セカンドオピニオンとは、ご自分を診療している主治医以外の医師に第2の意見を求めることです。
セカンドオピニオンという考え方が広がってきた背景には、従来からの医師に任せきりの医療ではなく、インフォームド・コンセントを受けつつ、患者自身も治療の決定に関わる医療に変化してきたという社会背景があります。
患者自身がより良い選択肢を見つけるために、主治医だけではなく他の医師の意見も参考にして、多角的な視点から判断するという意味で、非常に意義のあることといえます。
しかし、セカンドオピニオンは基本的に、然るべき手続きや必要書類等を揃え利用しなければいけません。そして、全額自己負担で利用することになります。
セカンドオピニオンを利用したくても、何から準備したらよいかよくわからない患者の皆さんも多いことでしょう。
そこで今回は、セカンドオピニオンの特徴と利用の際に気を付けるべきこと、ご自分の加入している民間の保険を、セカンドオピニオンに役立てる方法を解説します。
この記事を読めば、セカンドオピニオンの基本的知識と、その利用の際の心構え、セカンドオピニオンをお得に受ける方法が、良くおわかりになることでしょう。
目次
1.セカンドオピニオンについて
現在、私は元気ではありますが、もしも病気の治療を受けたとき、その治療法が適切か少し心配になった場合のことを考えています。
他の医師の意見を聞くセカンドオピニオンを利用した方が良いと聞いているものの、その利用方法が良くわかりません。
まずは、セカンドオピニオンとは何かからおさらいしたいです・・・。
こちらでは、セカンドオピニオンという制度と、その歴史等について解説します。
1-1.セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、患者本人が納得した上で治療法を選択するために、ご自分の病気治療の進行状況、次段階の治療法の選択等を、主治医とは別に、違う医療機関の医師から「第2の意見」を求めることを言います。
つまり、セカンドオピニオンとは患者であるご自分の治療のために、主治医を変えることではありません。
もしも、患者側で医師を変える希望があるならば、転院や転医という方法を行うことになります。
ただし、セカンドオピニオンを受けた場合、結果的に主治医以外の医師が提供する治療を受けることを希望し、医師を変えるケースはあります。
1-2.セカンドオピニオンの歴史
セカンドオピニオンは、米国で患者の医療費の軽減を図るため、保険会社が外科医に要求したのが起源とされています。
1980年代の米国では、外科手術が一方的に外科医の意見で行われてしまい、過剰な手術が行われる傾向にありました。
保険加入している患者の医療費を支払う保険会社は、本当にその手術が必要なのか、2番目の医師の意見も聞くことを要求したと言われています。
米国では日本のような公的な健康保険はなく、医療費は民間保険会社が払うことになります。
不必要に過剰な手術、または成功の可能性がほとんどない手術を行わせないように、保険会社の主導で始められました。
そこで、最低2人の医師が手術を必要と判断しなければ、保険会社は手術代を支払わない仕組みがつくられました。
この制度は外科医の義務となり、アメリカ社会に広がりました。その一方で、患者本人にとって、自分自身が納得して手術を受けられるという利点も見出されることとなります。
1-3.セカンドオピニオンの役割
セカンドオピニオンは、「インフォームド・コンセント」を徹底する手段の一つとしての役割を担っています。
このインフォームド・コンセントとは、患者本人を中心に据えた医療体制への流れと合致し、正確な情報に基づき、患者自身が自己責任により、検査・治療などの医療行為を選択するという考え方です。
〇セカンドオピニオンはインフォームド・コンセントの手段の一つ
主治医は、患者の病状や適応される治療法の成功率、副作用のリスク等を患者へ正確に提供することとなります。
患者はその情報を十分に理解した上で、自らの意志に基づいて治療法を決定する必要があります。
しかし、主治医にも知識や経験等により限界があり、他の医者ならば同じ状況の場合、どのような診断を行い、どんな治療を施すか方針が異なる場合もあります。
そんな他の医師の意見も参考にしながら、患者の判断・選択肢の幅を広げる役割がセカンドオピニオンにはあるのです。
〇セカンドオピニオン利用と担当医との関係
これまで主治医と仲良くやってきたのに、セカンドオピニオンを利用したら関係が険悪にならないか、という不安を持つ方々はいるかもしれません。
しかし、患者にとって最善だと考える治療を患者と主治医とで判断するため、別の医師の意見を聴くいうことがセカンドオピニオンの前提です。
基本的に、主治医との関係悪化を心配する必要はありません。
結果的に、転院や転医を行うことになったとしても、ご自分の今後の治療を効果的に行うため、必要な対応であると言えます。
2.セカンドオピニオンのメリット・デメリット
セカンドオピニオンの役割は、他の医師から意見を聴くだけにとどまらないものであることはわかりました。
では、セカンドオピニオンのメリット・デメリットについて詳細を知りたいです・・・・。
こちらでは、セカンドオピニオンの利点や注意点等について解説します。
2-1.セカンドオピニオンのメリット
最近の医療機関では、患者中心の医療体制を確立すべく「セカンドオピニオン外来」を設置しているところが増加しています。
セカンドオピニオンをどの医療機関で利用するか迷う場合、相談支援サービス(後述します。)に問い合わせると、ご希望の地域のセカンドオピニオン外来を行っている医療機関や、セカンドオピニオンが可能な専門領域の情報を得ることができます。
例えば、がん治療の際に手術療法を主治医から勧められたが、自分の体力が心配で他の療法を選びたい場合には、抗がん剤治療(薬物療法)または放射線治療を専門とする医師にセカンドオピニオンを受け、ご自分の納得した治療法を選ぶことが可能です。
その際には、セカンドオピニオンを受けるときに医師へ報告すること、尋ねたい内容をきちんと整理し、自分の症状の経過や質問事項をメモにとっていれば、効率的に医師から意見・アドバイスをもらうことができるはずです。
セカンドオピニオンを利用する際は、患者であるご自分一人だけではなく、ご自分の配偶者や親族に同行してもらい、医師の意見を聴くことが良いでしょう。大切なアドバイスを聞き漏らすことも少なくなります。
2-2.セカンドオピニオンのデメリット
セカンドオピニオンを利用する際には次の2点がデメリットとなります。
〇セカンドオピニオンの費用は全額自己負担
セカンドオピニオンの重要性は、最近とくに認められるようになってきましたが、残念ながら公的医療保険の対象外となります。
セカンドオピニオンは、主治医以外の医師から有効な意見・アドバイスを受けるため、必要な資料等を集め、セカンドオピニオンに充てる時間を設ける必要があります。
そのれらの費用はすべて自己負担であり、各医療機関や、セカンドオピニオンの内容等によって1時間程度の相談時間で、数万円かかることもあります。
少なくとも、気軽に受けられるサービスというわけではないので、患者本人はもとより家族とも相談して、利用を希望するかどうか判断しましょう。
〇緊急性の高い病気には不向き
病気の中には発症してしまうと、急激にご自分の身体、場合によっては生命に影響が出てしまうケースもあります(特に血液疾患等)。
そのため、セカンドオピニオンを利用している間に、病気が進行してしまう事態が想定されます。
このようなケースでセカンドオピニオンを利用する場合、まずは主治医に時間的猶予の有無を相談してから利用することが大切です。
2-3.セカンドオピニオンはここに気を付ける!
セカンドオピニオンを利用する前に、まずはご自分の主治医から病状の正確な情報を聞き、その治療法・治療スケジュール等を十分聞いて把握しましょう。
当然のことながら、その治療方針に関してご自分も率直な意見を述べることが必要です。
医療はまだまだ進歩の途上にあります。つまり、確立した方針・治療法の方がまだ少なく、いろいろな医師の意見を聴くことは確かに大切です。
しかし、主治医の治療方針を最初から気にくわないからと言って、セカンドオピニオンを利用するのは早計です。
治療の提示を受け、どうしても主治医の方針に合点が行かないとき、セカンドオピニオンを利用することが賢明です。
3.セカンドオピニオンを利用するには
セカンドオピニオンの利点や注意点はよくわかりました。セカンドオピニオンを利用する場合のことを考えて、利用方法を確認したいです。
セカンドオピニオンの手続き・必要書類について教えてください・・・・。
こちらでは、セカンドオピニオンの流れと、必要書類等について解説します。
3-1.セカンドオピニオンの手続き
セカンドオピニオンは単に、利用したい医療機関へ申込だけではなく、現在治療を受けている医療機関の主治医にも協力してもらう必要があります。
セカンドオピニオン(外来)の利用の流れは次の通りです。
[1]主治医の了承 | 主治医に、別の医療機関でセカンドオピニオン外来を受けたい旨を申し出て、了承を得る |
患者であるご自分・家族が、診療情報提供書の作成と、検査データ等資料の提供を依頼することになります。
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[2]主治医のデータ提供 | 主治医は、患者側からの要請により、診療情報提供書・検査データ等資料を提供 |
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[3]提出資料の収集 | 患者本人は申込書を作成し、必要な添付資料を収集する |
申込書はセカンドオピニオンを受ける医療機関から取得します。医療機関によっては、当機関のホームページから取得できる場合もあります。必要資料については次項で説明します。
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[4]医療機関へ提出 | セカンドオピニオンを受ける医療機関へ必要書類を提出 |
医療機関によっては、持参または送付で書類を受け付けています。提出方法は、事前にセカンドオピニオンを受ける医療機関へ問い合わせて確認しましょう。
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[5]医療機関側の受理 | セカンドオピニオンを行う医療機関は、提出された必要書類を確認し、実施の可否を確認、診療科と調整 |
セカンドオピニオンは必要書類を提出しても、ケースによっては利用できない場合があります。また、提出後すぐに利用することはできないので注意しましょう。
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[6]医療機関側の連絡 | セカンドオピニオンを行う医師と日程調整が行われ、相談日が決定しすると、相談者へ連絡 |
セカンドオピニオンを行う医師と日程調整が行われ、相談日(予約日時)が決定されます。ただし、医師との調整には時間を要する場合もあるので、患者側は余裕を持って申込む必要があります。
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[7]セカンドオピニオン実施 | 相談日に来院し、手続き・料金支払後、セカンドオピニオン外来による医師との相談 |
セカンドオピニオンを行う医師は、患者側の方で指定ができません。申込書の相談内容・専門性を考慮し、医療機関側で決定することになります。
また、セカンドオピニオン外来では、診察・検査を行わず、あくまで患者の担当医の検査データ等資料を踏まえて、診断内容・治療方針についての意見や判断が伝えられます。
相談時間は基本的に1時間程度となります。
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[8]報告書作成 | セカンドオピニオンを行った医師は、相談者の主治医への報告書(返書)を作成し、相談者に渡す |
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[9]担当医に提出 | セカンドオピニオン終了後、相談者が報告書を担当医に提出 |
セカンドオピニオン外来を行った医療機関によっては、患者の治療を行っている主治医へ郵送してくれる場合もあります。
3-2.セカンドオピニオンの必要書類
セカンドオピニオンを利用する際に必要な書類は次の通りです。
- 申込書:セカンドオピニオンを利用する医療機関から取得します。必要事項を記載し、押印が必要となります。
- 診療情報提供書:患者が現在治療を受けている主治医から取得します。原則として様式は問われません。
- 相談同意書:患者本人ではなく、ご家族が相談を受けたい場合に必要となる書類です。
- 検査データ等:セカンドオピニオンを行う医師が、事前に患者本人の状態を確認するため、主治医から検査データ等の資料提供が必要となります。主治医から取得することになります。
なお、セカンドオピニオンを受ける医療機関によっては、追加の書類を患者側に要求する場合もあるので、指示に従い書類を収集していきましょう。
3-3.セカンドオピニオンの対象外となるケース
セカンドオピニオンは必要書類を提出したからと言って、確実に利用できる制度ではありません。
場合によってはセカンドオピニオンの対象と認められない場合もあります。
主な対象外となるケースは次の通りです。
- 患者のご家族の利用で「相談同意書」を持参していない場合、相談予約の手続きをしていない場合
- セカンドオピニオンを受ける医療機関において、専門外となる質問の場合
- 現在の主治医、治療中の医療機関からの転医・転院を希望する場合
- 主治医からの診療情報提供書や、必要な資料等が十分に用意できない場合
- 主治医に対する不満や不信、医療事故訴訟等に関する内容である場合
- 遺族が死亡した患者本人を対象とした利用を希望する場合
- その他、セカンドオピニオンを行う医療機関が本来の目的に該当しないと判断した場合
4.セカンドオピニオンサービスについて
セカンドオピニオンはいろいろな手間がかかりそうですね。年に何度も行えるものではない。また、自分でセカンドオピニオンを行ってくれる医療機関探しも一苦労です。
セカンドオピニオンに関するいろいろなサービスを提供してくれる、便利な方法は何かないでしょうか?
こちらでは、セカンドオピニオンに関するサービスを提供する、「ティーペック株式会社(T-PEC)」という会社について説明します。
4-1.T-PECとは
T-PECとはセカンドオピニオンに関するサービスを提供する民間会社です。電話による健康相談、医療関連サービス、EAP(従業員支援プログラム)の関連サービスを行っています
こちらではT-PECの概要とサービス内容を説明します。
〇会社概要
概要は次の通りです。
商号 | ティーペック株式会社 |
設立年月日 | 1989年6月15日 |
資本金 | 2億5,000万円 |
売上高 | 45億8,200万円(第29期) |
従業員スタッフ | 257名(2018年8月現在) |
相談スタッフ | 471名(2018年8月現在) |
支店 | 新宿支店・名古屋支店・大阪支店・メディカルネットワーク部 |
〇サービス内容
T-PECの会員になると、次のようなサービスが受けられます。
[1]セカンドオピニオンサービス
ドクターオブドクターズネットワークと呼ばれる評議員を中心に、医学界の各専門分野を代表する医大教授、名誉教授クラスの方々が総合相談医となります。セカンドオピニオンおよび必要に応じ、優秀な専門臨床医の紹介が行われます。
[2]24時間電話健康相談サービス
医師・保健師・助産師・看護師・心理カウンセラー・ケアマネジャー等の専門スタッフが、24時間かつ年中無休体制で相談者の健康相談に応じます。
[3]医療機関情報サービス
「医療機関情報」、「夜間・休日の医療機関情報」、「専門医療情報」等の豊富なデータベースを利用し、独自の情報サービスを提供します。
〇その他の医療に関するサービス
会員となれば他に次のようなサービスが利用可能です。
- ベストホスピタルネットワーク/受診手配・紹介サービス:ご自分の担当医のもとでは対応が難しい治療法・手術方法が必要と判断されたとき、手配・紹介先の医療機関へ専門分野の医師が在籍し、受け入れができる場合、受診の手配・紹介をするサービスです。
- 四大疾病ヘルスケア・サポートサービス:がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病の早期発見による医療費適正化を推進するため、健康診断後の二次検診受診~治療をシームレスに利用できるサービスです。
- 生活習慣病受診サポートサービス:生活習慣病に関するご相談への回答や、医療機関を紹介・手配をする等、生活習慣病の早期治療、重症化予防をサポートするサービスです。
その他にも、労働に関するストレスチェックや集団禁煙プログラム、法律相談サービス等も設けられています。
4-2.T-PECの特徴
T-PECのセカンドオピニオンサービスは、「名医」と呼ばれる方々の診断を受けることができます。
そのため、相談者ご自身でセカンドオピニオンを行ってくれる医師を探すよりも、はるかに効率的で有益なアドバイスを受けることが期待できます。
このセカンドオピニオンサービスには、もちろん面談により医師のセカンドオピニオンを受けることができます。
専任スタッフが総合相談医との面談を手配し、総合相談医へ現在の診断に対する見解、そして今後の治療方針・方法などについて意見をもらうことができます。
また、電話によるセカンドオピニオンサービスも利用できます。こちらでは、病名等が判明している症状について、現在の診断に対する見解、今後の治療方針・方法等の医師の意見を電話で聴くことが可能です。
なお、セカンドオピニオンが可能な地域は、日本全国というわけではなく、札幌・仙台・首都圏・名古屋・近畿圏・倉敷・福岡・熊本のいずれかに限定されます。
そして、電話相談してから総合相談医との面談を行うまでは、平均して1~2週間を必要としています。
ご自分の病気の症状が緊急の治療を必要とするものであるかどうかを、事前に現在治療を受けている主治医へ確認しましょう。
4-3.個人加入の場合の注意点
T-PECのサービスは有料となります。個人が直接加入する場合、「新21世紀健康クラブ」というサービスに申し込む必要があります。
その際には入会金として54,000円、毎月の会費が10,800円となります。つまり、このサービスを利用する場合、初年度ならば183,600円が必要となります。
名医から有益な意見をもらえることはありがたいですが、それなりに毎年費用がかかってしまうことは留意しておきましょう。
5.生命保険会社とセカンドオピニオン
T-PECのサービスは頼りになりますが、やはりそれなりの費用がかかってしまいますね。
セカンドオピニオンは治療が必要となった場合、有益なアドバイスになるかもしれません。
何とか、セカンドオピニオンの費用負担が軽減される方法はないものでしょうか・・・・?
こちらでは、生命保険会社を活用し、お得なセカンドオピニオンの利用法について解説します。
5-1.生命保険会社と契約すると無料に!
実は生命保険会社の医療保険やがん保険に加入すれば、T-PECのセカンドオピニオンサービスをはじめ、様々なサービスが付帯されている場合もあります。
この付帯されたサービスを利用すれば、個人が直接加入する場合に必要な、入会金や毎月の会費は無料となります。
もしも、ご自分が現在、医療保険やがん保険に加入を希望しているなら、保険商品を選ぶ際にT-PECと提携しているかどうかを、一つの判断基準としても良いでしょう。
優れた医療相談ネットワークシステムを構築しているT-PECのサービスが無料で活用できるならば、医療保障で入院給付金や手術給付金が受けられる金銭的サポートのみならず、ご自分で治療法を選択する際の有益なアドバイスも期待できます。
5-2.T-PECと提携している保険会社は数多い
T-PECと提携している生命保険会社は次の通りです。
- アクサ生命
- アクサダイレクト生命
- アメリカンホーム保険
- FWD富士生命
- オリックス生命
- マニュライフ生命
- 明治安田生命
- メットライフ生命
- メディケア生命
主に9社がT-PECと提携しています。いずれの会社も専用のフリーダイヤルから電話でき、電話担当者に予約をすることとなります。
5-3.生命保険会社を通したセカンドオピニオンの流れ
こちらでは、T-PECと提携している生命保険会社を通じて、セカンドオピニオンを行う手順を説明します。
- 専用のフリーダイヤルから電話連絡します。
- セカンドオピニオンを予約します。
- 必要書類を用意します。「3-2.セカンドオピニオンの必要書類」で述べた書類となります。
- 総合相談医に面談、セカンドオピニオンを受けます。
- より専門性が必要と判断された場合、必要に応じ優秀専門臨床医が紹介されます。
なお、セカンドオピニオンを行う際の面談場所はT-PECが指定した場所となります。
この面談場所への交通費、優秀専門臨床医による診療等の費用は、自己負担となります。
6.セカンドオピニオンを利用する前に
自分はまさかの事態を想定して、医療保険やがん保険を探していたので、セカンドオピニオンがお得に利用できる商品を見つけたいです。
では、実際にセカンドオピニオンを利用した方々の感想には、どんなものがあるのでしょうか?是非知りたいです・・・・。
こちらでは、セカンドオピニオンを受けた感想と、セカンドオピニオンを有効に活用のコツを取り上げます。
6-1.セカンドオピニオンが有効に活用できたケース
セカンドオピニオンが有効に活用できたという感想には、次のようなものがあります。
〇30代男性
主治医の提示した治療法には納得がいかなかった。そこで自分でインターネット等から情報を集めて、自分に合う治療法を探した。
その後、自分に合う治療法を実施している医療機関を探してセカンドオピニオンを受けた。
セカンドオピニオンを受けた医療機関では、自分が希望していた通りの治療をしてくれることがわかり、その治療法の注意点についてもわかりやすく説明してくれた。
主治医の提示している治療法の注意点については、質問しても詳細な回答を得られず不安だったが、セカンドオピニオンを受けた医療機関では、そのことについてもアドバイスしてもらい、有益な診察だった。
〇60代女性
主治医が提示した治療法で良いのではないかと感じたのですが、大きな病気だったので念のためセカンドオピニオンを受けました。
セカンドオピニオンを受ける医療機関選びには悩みましたが、受診した医師は、私の主治医と同じ意見を持っていて、治療を選んだ理由もわかりやすく説明してくれました。
二人の医師が同じ意見で、説明の内容もわかりやすく、納得できたので、主治医の元で安心して治療を受けることができます。
〇小括
ご自分が望む治療法の有効性がセカンドオピニオンで確認できたこと、担当医が提示した治療法が正しい方法であることをセカンドオピニオンで再確認できたことに、いずれの相談者も納得したという感想です。
セカンドオピニオンの最大の目的は、多角的な視点からの医師の意見をきいて相談者が納得することにあります。
こちらのケースでは、主治医が提示した治療法と別の治療法を受けるにしても、主治医が提示した治療法でこのまま治療を受けるにしても、第2の医師の意見が、患者の治療法選びに大きな要素となったことは間違いないでしょう。
6-2.セカンドオピニオンで愕然としてしまうケースも
一方で、第2の意思の意見が逆に患者の不安を高める結果になったケースもあります。
〇40代女性
主治医はがんの治療に手術が一番良い治療法だと言っていました。でも、同じ手術を受けて後遺症に苦しんだ患者さんを知っているので、放射線科の医師にセカンドオピニオンをお願いしました。
すると、放射線治療が一番良い治療法だと言われて困惑しました。主治医とあまりに違う意見のため、主治医への不信感が募り、逆に相談し難くなってしまいました。
〇60代男性
がんを患う私に、主治医は治療法がないと言って、病気と共存する必要性を指摘されたが、正直愕然とした。
治療を諦めたくなかったので、他の医療機関でセカンドオピニオンを受けた。
セカンドオピニオンを受けた医師から余命、治療効果についてかなり詳細な回答を受けた。
しかし、内容は非常に厳しいもので、知りたくなかった現実に打ちのめされてしまった。
〇小括
40代の女性の方の場合は、セカンドオピニオンを受けた医師から、放射線治療の有効性をしっかり聞き出せたのか非常に疑問です。
がん治療には手術療法の他、放射線治療を合わせて行う場合もあるので、その際のメリット・デメリットの詳細な指摘が必要だったと考えられます。
また、60代男性のケースでは、知りたくもない情報を告げられてしまい愕然としている状態となっています。
重篤な症状であることは事実ですが、可能な限り相談者を感情を汲み、言葉を選んだアドバイスが必要だったと解されます。
6-3.セカンドオピニオン活用のコツ
医師も人間である以上、相談者の期待に反した回答を行う場合もあります。
相談者自身が、ご自分が納得いく有益な回答を得るためには、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- セカンドオピニオンを利用する目的の明確化:ご自分が何を聴き、どんな希望を持っているかを明確にします。メモに箇条書きしておけば相談の時に忘れずに済みます。
- ご自分の病気の勉強:ご自分がどんな病気になっているかを可能な限りご自身で情報を集め、内容を把握しておきます。その中で自分に合った治療法を発見できるかもしれません。
- 医師の所見・検査データを用意する:正確な情報の収集は有益なセカンドオピニオンのために必要不可欠です。
- なるべく主治医と別の視点を持った医師の意見を聞く:主治医とあまりにかけ離れた見解を持つ医師の意見もあるかと思いますが、その理由をわかりやすく教えてもらい、今後の治療法の選択肢の一つと考えましょう。
- セカンドオピニオンの内容を主治医に伝え意見を聞く:主治医が気づかなかった内容である場合も考えられます。そのため、今後の治療法選びの良い参考になることもあります。
- ご自分の聞きたい意見を聞けたか考える:質問漏れがないかを確認し、あらためて今後の治療法に活かされる回答だったか考えましょう。
7.まとめ
セカンドオピニオンで最も大切なことは、相談者であるご自身と意見を述べる医師との間で本音のコミュニケーションをすることです。
「お医者さんに失礼では。」と遠慮すれば、それだけご自分にとって、有益な意見が聞き出せなくなるおそれもあります。