資産家、誰もが羨ましがるお金持ちですね。でも、資産家の定義は皆さんご存知でしょうか?
資産家と呼ばれる人は、10億ドル以上の資産を保有する個人とされています。日本円に直せばなんと1,000億円以上の資産を保有する個人と言えます。
正直、大部分の方々には想像を絶する金額です。資産家と呼ばれる方々にもいろいろタイプがあって、企業オーナータイプ、不動産オーナータイプ、金融資産家タイプに分かれます。
100%このようなタイプに分かれるわけではないですが、それぞれの特徴によって、資産をどう管理していくかも違ってくることでしょう。
そして、莫大な資産を得たのは良いものの、どのように生前・相続対策を行えば良いか、迷われることがあるかもしれませんね。
相続税が大部分の方々よりも多額に上ることはやむをえない、と納得しているかもしれません。そうはいっても、国税庁からとられ過ぎるのも考えものです。
そこで今回は、資産家の定義と富裕層も含めた日本の現状、その生前・相続対策について解説します。
この記事を読めば、資産家のタイプごとの生前・相続対策がよくおわかりなることでしょう。
1.資産家について
「資産家」ってやはりお金持ちの皆さんのことですよね。大金持ちという漠然とした印象もありますし、羨ましくもあります。
でも、資産家って一般的にどれ位の資産を持っていたら、そのように呼ばれるのでしょうか・・・?
第1章では、資産家とは何か?富裕層とは何か?その定義と、資産家(富裕層)の現状等について解説します。
1-1.資産家と富裕層
資産家も富裕層も庶民からみれば間違いなくお金持ちです。でも、資産家や富裕層の違いって、あまりよくわかりませんよね。
実は資産家にも富裕層にも実は定義があるのです。こちらでは資産家、富裕層とは何かを解説します。
〇資産家を定義すると
アメリカの著名な経済誌「フォーブス」によれば、資産家とは“10億ドル”以上の資産を持っている人と定義しています。
法人ではなく個人でこの莫大な資産を有する方々が該当するわけです。日本円(1ドル=100円で家庭)に直せば、実に1,000億円以上の資産を有する個人です。
若干、愕然とした方々もいることでしょう。しかし、その位にならなければ資産家と評されません。
〇では、富裕層って?
富裕層は資産家よりは資産が少ないものの、“100万ドル”の資産を持つ個人または世帯と定義されています。
100万ドルと言っても日本円に直せば1億円ですから、大きな資産であることに変わりありません。
〇資産とはいっても現金・預金だけにあらず
資産は現金・預金や株式、保険、年金、投資信託等の金融資産と、土地・家屋の不動産資産が該当します。
つまり、経済的に見て価値があるものを『資産』と呼ぶわけです。
〇一方、日本国の定義は若干違う
日本の最大手シンクタンクである野村総合研究所では、資産家や富裕層を次のように定義しています。
(1)超富裕層
預貯金や株式、債券、投資信託等の「純金融資産保有額(保有金融資産合計額-負債)が、5億円以上」の世帯を超富裕層と定義しています。
つまり、超富裕層の上位に前述した資産家も位置付けられるわけです。
(2)富裕層
こちらは「純金融資産保有額(保有金融資産合計額-負債)が、1億円~5億円未満」の世帯を富裕層と定義しています。
1-2.日本の資産家(富裕層)の現状
前述した野村総合研究所では、2018年12月18日に日本の資産家を含む超富裕層、そして富裕層等の調査結果を発表しています。
下表を参考にしてください(2017年の調査結果)。
分類 | 保有資産規模・世帯数 |
超富裕層(5億円以上) | 84兆円(8.4万世帯) |
富裕層(1億円~5億円未満) | 215兆円(118.3万世帯) |
準富裕層(5,000万円~1億円未満) | 247兆円(322.2万世帯) |
アッパーマス層(3,000万円~5,000万円未満) | 320兆円(720.3万世帯) |
マス層(3,000万円未満) | 673兆円(4,203.1万世帯) |
推計が開始された2000年以降で最も高かった、2015年の資産家を含む超富裕層・富裕層世帯121.7万世帯から、2017年は5万世帯程度増加しています。
2013年以降の景気拡大・株価上昇で、富裕層・準富裕層の資産が増加し、結果として資産家を含む超富裕層および富裕層に移行したと言われています。
庶民には景気拡大はピンと来なくても、準富裕層以上の方々にはその良い影響があったと言えます。
1-3.そもそもどんな風に稼いでいる?
巨額の資産・・・我々の金銭感覚がマヒしそうな資産規模に唖然としますよね。
少なくとも資産家を含む超富裕層・富裕層の方々は、働いた年収をコツコツ貯金して増やしたお金だけで、これほどの大きな資産を保有できたわけでないことはおわかりでしょう。
超富裕層・富裕層の方々がいかに優秀な人物であっても、その個人の労働時間や働き続けられる期間は限られています。
つまり、高所得によるお金の収入のみならず、保有資産(株や土地等)の価値上昇で財産を増やした方々と言えます。
特に超富裕層の上位者といえる資産家の方々は、保有資産の価値上昇で成功を収めた人達と言えますが、大きく3つのタイプに分かれると言われています。
第2章ではその資産家の種類について解説します。
2.資産家の種類について
余りの保有資産の違いに何だか頭がクラクラしてきました。保有資産の価値上昇で、いわば打ち出の小槌のようにお金が貯まっていくわけですか・・・・羨ましい。
では、資産家と呼ばれる方々はどのように分類できるのか、是非教えてください・・・。
第2章では、資産家が3タイプに分けられる点、各タイプの生前・相続対策について解説します。
2-1.資産家は3分類できる
資産家のタイプは次の通りです。
(1)企業オーナー
企業の所有権者を指します。企業オーナーの個人財産には、主に未公開株(非上場株式)があげられます。
この未公開株(非上場株式)は、企業の創業者・親族が多く保有しています。ただし、未公開株は株式公開していない以上、証券取引所で売買は認められません。
ただし、当事者間で譲渡価格等に関する諸条件へ納得したなら、未公開株の売買は可能です。
(2)不動産オーナー
不動産の所有権者を指します。不動産オーナーの個人財産には、主に土地やビル・マンションのような建物があります。先祖代々の土地を守っている人も多いです。
(3)金融資産家
現金や株式、社債や国債、FXのような投資信託、小切手等を主な個人財産とする人が該当します。
2-2.資産が増えたのは良いけれど
企業オーナーや、不動産オーナー、金融資産家は誰しも1代だけで巨額の資産を保有したわけではなく、親から受け継いだ資産も多いことでしょう。
それを更に増やし続けたわけですから、この資産は到底、ご自分一人で使い切れる金額ではありません。
つまり、資産家であるご自分が亡くなれば、原則として法定相続人(配偶者・子等)が莫大な遺産を相続し、それに伴い多くの相続税も発生してしまいます。
そもそも、相続人達は遺産を取得しても、ダイレクトにその分の相続税がかかるわけではありません。
相続税には「基礎控除額」という、いわばこの金額に相続財産が収まるならば、税金を支払わなくても良いという枠があります。
基礎控除額は次のような方法で算出します。
基礎控除額=3000万円+(600万円×相続人数)
ただし、資産家ともなればこのような金額が設定されても、それをはるかに上回る資産が相続人へ配分されることも、当然あり得ます。
2-3.生前・相続対策は同じで良い?
前述したような資産が、相続人達にとって巨額な遺産となれば、それにかかる税金も巨額となります。
遺言を残したり、亡くなってからその資産をどう配分するか相続人達に決めさせたりしても、有効な相続対策にはなりません。
資産家の方々の場合は、相続税の軽減そして相続人達がケンカをしないよう、「生前に」対策を行っておく必要があるのです。
とはいえ、資産家は前述したように3分類あり、資産を増やした方法が異なっています。
当然、企業オーナーでありながら不動産所有や金融資産で財をなした方々は当然います。
しかし、その比率は資産家によってそれぞれ大きく異なるはずです。
第3章以降では、主な個人財産の違いで、生前・相続対策も異なってくる点を解説していきます。
3.資産家の生前・相続対策その1
企業オーナーともなれば、単純な相続対策だけでは足りず、経営権をどう穏便に後継者へ譲るか等も考えなければいけませんね。
では、企業オーナーの生前・相続対策のコツについて教えてください・・・。
第3章では、企業オーナーが注意すべきトラブルや、有効な生前・相続対策を解説します。
3-1.企業オーナーの場合
資本家として絶大な企業の経営権を握る人の場合は、主な個人の財産である非上場株式(自社株式)をどうするかが最大の課題です。
企業オーナーは、その経営権・財産権の承継のバランスを考えて生前・相続対策を行っていく必要があります。
このバランスを無視して自分の気に入った人物だけを優遇すれば、当然法律上の問題が発生するおそれや、親族間で企業の支配権争いが勃発する事態も想定されます。
そのため、次のような優先順位で生前に対策を取ることがベストと言われています。
- 企業の経営権承継
- 法律上の相続財産配分
- 納税資金の調達手段の決定
- 相続税の軽減策
特に「1.企業の経営権承継」と「2.法律上の相続財産配分」は、最優先で慎重に考慮しながら進める必要があります。
3-2.自社株の承継方法を考える
企業オーナーは、後継者に経営権の承継だけではなく財産権を円滑に承継させる必要があります。
〇自社株式は取扱い注意!
この財産権は「自社株式(自己株式)」が該当します。この自社株式(自己株式)は、日本の同族会社では、企業オーナー自身が大半の自社株式を所有している傾向があります。
このような財産の所有方法で、強固な経営権を確保しているわけです。そのため、後継者はその経営権の裏づけとなる自社株式が十分に承継されないと、強固な経営基盤は維持できません。
だったら、「後継者に現・企業オーナーの自社株式を全部承継させれば良いだろう?」、そう思われる皆さんもいるかもしれませんね。
〇しかし、そうすると不穏な空気が
後継者に現・企業オーナーの自社株式を全部承継させれば、さすがに企業の所有権者としての地位は盤石となります。
しかし、そこで問題となるのは法律上のトラブルです。そうはいっても後継者だけに自社株式を承継させるのは違法でも犯罪でもありません。資産家の親族が納得すればこのような方法でも構いません。
ただし、被相続人となる企業オーナーの兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子等)は、被相続人の財産の1/2(企業オーナーの親なら1/3)を遺留分として、受け取る権利を有します(民法第1028条)。
この権利が侵害された(この事例では自社株式を後継者だけに承継した)場合、自社株式を取得できないその他の相続人は、自分たちの遺留分を保全するため必要な限度で、遺留分の減殺を請求できます(民法第1031条)。
〇自社株式承継と法律のバランスに苦慮する場合も
では、法定されている通り(例えば配偶者1/2、子1/2等)に、自社株式を相続人達へ分割して相続させれば良いかと言えば、やはりそうとは言い切れません。
このような形で持株比率を配分してしまえば、今度は企業の支配権争いという困った問題が生じるおそれもあります。これでは、被相続人となる企業オーナーから引き継ぐ強固な経営が成り立たなくなります。
そのため、会社法からみて強固な経営の安定を目指すならば、後継者の自社株式承継割合は2/3が理想です。最低でも過半数の保有は必要でしょう。
他の相続人には、残りの自社株式と他の資産を受け取れるようにして、納得してもらうことが必要です。
3-3.その他の方法を検討する
こちらでは、前述の生前対策をクリアした後の対策を解説します。
〇自社株式は売却が難しい
遺産は莫大になっても、自社株式は非上場株式である以上、容易にお金へ換えることはできません。
しかし、当然のことながら相続に関する納税は必要となります。巨額の相続税の負担となるならば、会社がそのオーナーの保有株式を、自己株式として買い取る方法が考えられます。
この方法で納税資金を準備し、相続が発生(つまり被相続人である企業オーナーが死亡)したら、こちらの資金で賄うことが有効です。
〇その他節税したいなら
企業オーナーとして潤沢に有する資金を、不動産投資に充てるという方法をとる等、各企業オーナーの事情に合わせた節税対策を実施するべきでしょう。
これらの生前・相続対策は、正確な財産管理が行われることで、効率の良い運用を行っていくことが実現できます。
4.資産家の生前・相続対策その2
資産家には多くの不動産を所有している人もいますよね。オフィスビルやマンションとか、何もしなくてもお金が入ってきているみたいで羨ましいです。
では、不動産オーナーの生前・相続対策のコツについて教えてください・・・。
第4章では、不動産オーナーが注意すべきトラブルや、有効な生前・相続対策を解説します。
4-1.不動産オーナーの場合
日本国内の資産家の方々の中には、先祖代々の土地を相続してきた所有者(不動産オーナー)がたくさんいます。
このタイプの資産家は、日本の高度経済成長期~バブル期にかけ、土地の高騰などにより、不動産で大きな利益を得た方々と言えます。
不動産オーナーは文字通り、保有する資産に占める不動産の比率が、非常に高くなります。
不動産オーナーの生前・相続対策では、その対策の必要性を感じたら、なるべく早く、将来課税されることになる不動産の評価を行いましょう。
とはいえ、それぞれの資産家が持つ不動産の評価は、所有する地域、不動産の利用形態、評価単位、その地積、不動産の賃貸の有無等の様々要素が必要となります。
資本家自身でその評価を行うのは資産の技でしょう。また、法定相続人の遺産の配分にも気を付けないと、深刻な相続問題に発展するおそれがあります。
4-2.不動産所有会社設立は有効?
多額の相続税の支払いを回避するためには、「不動産所有会社設立」が有効と言われています。
例えば、不動産オーナーが賃貸不動産を、自分の所有から法人所有にすることが該当します。
不動産所有会社設立の方法は次のようなメリット・デメリットがあります。
〇メリット
メリットは主に次の通りです。
- 家賃収入の所得分散が可能
- 法人から役員報酬という形でお金を受け取り、給与所得控除額を適用できる
- 法人として生命保険へ加入すれば、保険料の全額・1/2を損金にできる等、法人税等の節税に利用できる
- 株式という形で不動産を間接保有すると、その評価額が下がることもある
- 役員等の死亡退職金を支給して、その非課税枠が利用可能
不動産所有会社設立は、不動産オーナーのいろいろな税金対策として生前に行うことが有効です。
〇デメリット
デメリットは主に次の通りです。
- 会社を設立するので初期費用がそれなりにかかる
- 不動産オーナーの不動産資産を法人で買い取るので資金が必要
- 不動産オーナーが法人に不動産を売却すると、譲渡所得税が課税されることもある
- 不動産所有会社の維持管理コスト・手間が発生する
不動産所有会社の設立や維持管理に、コストや手間がかかることは難点と言えます。
4-3.小規模宅地等の特例等も考えてみる
当然、賃貸不動産以外にも不動産オーナーが住んでいた土地は課税対象です。
被相続人である不動産オーナーの相続人へ、当該土地を相続させたい場合には、「小規模宅地等の特例」の活用を検討しておきましょう。
〇小規模宅地等の特例の節税効果と条件
この特例は土地の減税措置です。土地相続に関する税金が50%~80%減額されます。
最大8割も税金が軽減されるのでお得ですね。ただし、次のような条件が必要です。
- あくまで対象は土地に限定
- 特例に該当する土地は、①住宅を建てて使用していた土地、②事業で使用していた土地、③賃貸に使った土地
こちらでは特例に該当する土地の適用範囲と減税率を解説します。
(1)特定居住用宅地
住宅を建てて使用していた土地が該当します。適用される範囲は330㎡以内で、減税率は80%です。
(2)特定事業用宅地
事業で使用していた土地が該当します。適用される範囲は400㎡以内で、減税率は80%です。
(3)貸付事業用宅地
賃貸(マンションや駐車場等)に使った土地が該当します。適用される範囲は200㎡以内で、減税率は50%です。
〇特定同族会社事業用宅地等の特例もある
不動産オーナーが同族会社を経営し、その会社へ土地を賃貸していたとき適用されます。適用される範囲は400㎡以内で、減税率は80%です。
こちらの特例もあくまで適用されるのは土地に限定されます。
5.資産家の生前・相続対策その3
何だか企業オーナーも不動産オーナーも、資産が潤沢にある分、節税対策には苦労するなあ、と痛感しました。
では、金融資産家の生前・相続対策のコツについて教えてください・・・。
第5章では、金融資産家が注意すべきトラブルや、有効な生前・相続対策を解説します。
5-1.金融資産家の場合
こちらは、株の売買や企業の合併等で多額の現金を得た人、医師や弁護士、高収入の会社員等、財産のほぼ全てを現預金・金融資産で保有する方々を指します。
ただし、金融資産を保有したままで相続が開始された場合、各相続人は重い相続税負担で頭を抱える可能性があります。
なぜなら、保有する金融資産の相続税の評価は、市場価格と一致するので、例えば相続税の評価が低い不動産と比較しても、より相続税はかかってしまいます。
そのため、生前からこまめに各相続人へ、資産を贈与することが大切です(基礎控除110万円)。
また、金融資産家の方々は、将来の各相続人の相続税の支払いも考慮し、長期的な資産運用を考え、賃貸不動産を取得しておくことも有効です。
5-2.相続税対策で賃貸不動産を建てるのは有効?
将来に必ず発生する相続税を安く抑えるならば、アパート・マンションの建設が有効です。
なぜなら、相続開始時にアパート・マンション等の不動産は、その価値を計算しますが、購入時の価格よりも安い不動産評価額で判断されるからです。
こちらでは賃貸不動産のメリット・デメリットを解説します。
〇メリット
メリットは主に次の通りです。
- 相続時、不動産の評価額は金融資産より低くなる
- 土地&アパート・マンションを建てれば評価額をさらに下げることが可能
- 賃貸料等の収益がある
- 前述した不動産所有会社設立をすれば更にその効果が増す
賃貸不動産経営は収入のみならず、相続税の軽減へ非常に効果を発揮します。
〇デメリット
デメリットは主に次の通りです。
- 賃貸不動産経営に失敗すれば、相続税対策どころではなくなる
- 売却先が容易に見つからないケースもある
- やはり初期費用・維持管理はそれなりにかかる
- ローンを組んだ場合はその負担に苦しむことも
- 自然災害や火災で大損失も
賃貸不動産経営や維持管理に費用がかかること、経営失敗のリスク、火災や自然災害のリスクを十分考慮しなければいけません。特に火災や自然災害の被害に備え、保険へ加入しておくことが必要不可欠です。
5-3.生命保険は加入すべき!
その他の節税対策には、死亡保険や医療保険、個人年金保険等の生命保険の活用が考えられます。
例えば、金融資産家本人が保険契約者(保険を支払う人)となり、相続人を被保険者として、生前に自分の資産から保険料を払い込めば、順当に資産を減らすことができます。
そして、医療保険へ加入し被保険者が医療機関で治療するなら医療給付金の支払いが、個人年金保険へ加入し被保険者が一定の年齢になったら個人年金の支払いがあるように設定すれば、相続人の利得にもなります。
当然、金融資産家自身に死亡保険をかけ遺族を受取人にすれば、死亡保険金の非課税枠が適用され、前述した基礎控除の他に、「法定相続人数×500万円」分が免除されます。
現金等で相続人達に遺産を残すのも良いですが、生命保険を活用すればより節税効果が期待できるのです。
6.生前・相続対策の相談について
巨額の資産を自分で管理し把握するというのは、そう簡単にできるものではありません。資産家といえども、生前・相続税対策の全てを熟知しているわけではないはずです。
そんな時に、これらの対策の良いアドバイザーはいないものでしょうか・・・?
第6章では、生前・相続対策の相談や、そのアドバイザーとなり得る専門家を解説します。
6-1.自分だけで生前・相続対策するのは難しい
資産家自身の生前・相続対策とはいっても、その保有資産は非常に多く、自身で対応するのは至難の業です。
近親者に税金や資産管理・資産の売却に精通した人がいれば、手分けして対応できるかもしれません。
しかし、この場合には、税金や相続に関する専門家のアドバイスを受けつつ、対策を講じていくことが現実的でしょう。
次項では、税金や相続に関するアドバイザー選びについて解説します。
6-2.税理士等に相談してみる
資産家に日ごろからの法的なアドバイザーとして顧問弁護士がいて、資産管理や税金に詳しい人物なら、そちらに任せても良いでしょう。
しかし、適切な資産管理や運用、税金対策により深い知識を有しているのは、「公認会計士」や「税理士」のような方々です。
〇公認会計士とは
公認会計士は会計監査を独占業務とし、経理業務、コンサルティング業務、税務業務を担う会計・税金のプロです。
日ごろからの資産の把握や、税金への備えをアドバイスしてもらうには適任と言えます。
しかし、相続対策は専門の範囲外なので、後述する税理士資格を有する人物でないと十分な対応ができない可能性もあります。
〇税理士とは
税理士とは、業務として他人の求めにより、各種税金の申告やその申請、税務書類の作成や税務相談を行う専門家です。
相続税も当然守備範囲ではありますが、各税理士によって相続対策が苦手な場合もあります。
税理士に相続税等の対策をアドバイスしてもらいたいならば、各税理士事務所のホームページを確認してみましょう。
相続に関する業務を専門に行って経験豊富な税理士なら、ホームページ内にその実績を具体的に明記しているはずです。
そのような方々を選べば、生前・相続対策がスムーズに進むことでしょう。
6-3.生命保険選びはどこに相談すれば良い?
節税対策として生命保険への加入は有効ですが、どんな保険を選べば良いかわからない方々も多いことでしょう。
生命保険でも個人向け・法人保険向けの商品が存在し、これらの商品を節税に活かす方法は、それぞれ異なる場合もあります。
〇ファイナンシャルプランナーとは?
略称は(FP)です。保険や税金、教育資金、老後の生活資金、円滑な相続のために総合的な資金計画を立てる専門資格者です。
このような各人の人生設計の実現の提案を行うアドバイザーとして相談にのってくれます。ファイナンシャルプランナーは、企業に勤務する人もいますが、個人でコンサルティングするため個人事務所を構える場合も多いです(独立系FP)。
このファイナンシャルプランナーとコンサルティング契約を結べば、保険を利用した効率的な資産運用のアドバイスが期待できます。
〇無料の保険相談窓口もある
ファイナンシャルプランナーと、いきなりコンサルティング契約を結ぶのではなく、もっと気軽に保険の相談をしたい場合は、無料の保険相談サービスを利用しましょう。
このサービスを使えば、保険相談が何回でも無料で受けられます。店舗を構えている窓口もありますが、内容を他人に知られたくないなら、ご自宅等へ相談スタッフを読んで相談できる訪問サービスもあります
ただし、全ての相談スタッフが前述したファイナンシャルプランナー資格を有しているわけではありません。
また、保険以外の税金等の知識は、これまで述べてきた専門家ほど深い知識があるとはいえません。
7.まとめ
資産家は巨額の資産を保有していますが、その資産管理や将来必ず訪れる相続に関して、より慎重な対応が求められます。
企業オーナーなら自分が亡くなった後も、企業の経営安定のため適切な措置を取りましょう。企業オーナーの他、不動産オーナーや金融資産家は、遺族が遺産分割で揉めないように配慮した対策が必要です。
資産家自身で生前・相続対策を行うのが難しいなら、税理士等の専門家のアドバイス等を受けながら、円滑に事前の措置を行っていきましょう。