日本に住む人々なら、原則として何らかの公的年金制度に加入し、年金保険料を納付しなければなりません。
給与所得者のように厚生年金へ加入する場合は、毎月の給与から天引きされていきます。一方、給与所得者以外の方々は国民年金に加入し、ご自分で納付する必要があります。
しかし、国民年金加入者の中には、経済的にやむを得ない事情から、はたまた単にお金がもったいないという無責任な理由に至るまで、様々な理由から国民年金保険料を滞納する人がいます。
そんな方々に対しては、日本年金機構の職員等が訪問や電話等で催告します。それでも滞納している時は「特別催告状」が送付されます。
この特別催告状は、所得が一定以上あり支払能力はあるのに、年金保険料を納めない人に対して送付され、自主的な納付を促すという目的があります。
実はこの特別催告状が、強制徴収という最悪の事態へまっしぐらとなるか、それとも自分の年金を見直す機会となるかの分岐点になります。
そこで今回は、特別催告状の特徴と滞納者がとるべき対応について解説します。この記事を読めば、特別催告状の基本的知識と、滞納に関しての対応策がよくおわかりになることでしょう。
1.公的年金について
私の友人の家に「特別催告状」という書類が届いたそうです。年金保険料を結構滞納していたらしく、慌てている様子でした。
私は会社から独立して起業したばかりなので、私自身、国民年金の納付を後回しにしている部分があります。
まずは、公的年金についておさらいしたいです・・・。
第1章では、公的年金とはそもそも何か?その納付の必要性について解説します。
1-1.公的年金とは
公的年金とは我が国が導入している終身年金制度のことです。日本に住む方々ならば、原則として誰もが年金保険料を納付し、一定の年齢になってから積み立てた年金を受け取る権利があります。
終身年金であるため、ご自分が亡くなるまで受け取ることが可能で、老後の生活資金のためには欠かせない給付となります。
公的年金は、その保険料を給与からの天引き、または被保険者自身が納付し、現時点では原則として65歳から、積み立てた年金を受け取ることができます。
1-2.国民年金は公的年金の一つ
国民年金は公的年金の一つであり、厚生年金に加入している事業所へ勤務する従業員以外の方々が加入します。
国民年金の加入者は「第1号被保険者」とされ、年金受給が開始された場合、老齢基礎年金(国民年金)を受け取ることができます。
ただし、年金保険料の納付は、厚生年金加入者のように毎月の給与から天引きされるわけでありません。
国民年金加入者自身が、毎月、金融機関やコンビニ等で年金保険料を納付する必要があります。
1-3.国民年金は被保険者の納付が必要
国民年金加入者は原則として、前述した通りご自分で毎月年金保険料を納付する必要があります。1ヶ月分の年金保険料は16,410円(平成31年度)となります。
ただし、納付方法は国民年金加入者の都合に合わせ、いろいろと選べます。
〇納付方法はいろいろ選べる
ご自分が開設した銀行口座から口座振替で納付しても良いですし、クレジットカードでの支払いも可能です。年金保険料の納付が単に面倒と思う人は、これらの方法で納付できます。
また、ある程度、貯蓄に余裕のある人は、保険料の最長2年分を口座振替または現金・クレジットカードで前納することもできます。前納制度を利用すると、毎月納付するより保険料が割り引かれる特典もあります。
前納方法や納付方法の変更を希望する人は、こちらを参考にしてください。
〇いつからいつまで納める?
国民年金は20歳~60歳までの40年間にわたり納付していきます。つまり、20歳の人で厚生年金に加入していない場合は、国民年金を納付する必要があります。
ちなみに、20歳の人が、無職であっても、大学生であっても、専門学校生であっても、国民年金は原則としてしっかり納付する必要があります。
この40年間にわたり保険料の満額を納めれば、年金受取時、毎年779,300円(平成30年4月分からの年金額)が給付されます。
〇何らかの理由で滞納することも
順調に年金保険料を納付できれば問題ありませんが、家計に重い負担となる、年金の存在自体を知らない、単にお金がもったいない等の理由で年金保険料を滞納する方々が存在します。
やむを得ない理由があるにしても、年金保険料の納付を放置していれば、とんでもない事態に発展することもあるので注意が必要です。
2.特別催告状について・その1
国民年金保険料の滞納は避けるべきことなのですが、滞納を続けるとどうなってしまうのでしょうか?
正直、不安になってしまいます・・・・。
こちらでは、 国民年金保険料を滞納することで考えられる事態、および特別催告状とは何かを解説します。
2-1.国民年金保険料を滞納すると
国民年金の保険料は、滞納した時期があっても納付期限から2年以内であれば納めることができます。ただし、納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなります。
一見すれば、期限が定められているので、納付するもしないも自己責任として判断できなくもないですし、ペナルティはその未納分だけ受け取る年金額が少なくなるだけとも思われます。
しかし、明らかに滞納時期が長期であり、年金機構から「悪質」と判断されると、最悪の場合は強制徴収という形で、強制的に財産を差し押さえられることとなります。
次項では、年金保険料を滞納した場合、日本年金機構の初期対応から強制徴収までの流れを解説します。
2-2.いきなり取り立ては無い
日本年金機構は、実のところ行政機関ではありません。厚生労働大臣から委任や委託を受け、公的年金に係る一連の運営業務を担う特殊法人です。
しかし、日本年金機構は厚生労働大臣(厚生労働省)の承認を受ければ、裁判を起こす必要もなく強制徴収を実行できる、強大な権限を持っています。
そうは言っても、例えば滞納月が2.3ヶ月あるという程度で、いきなり年金機構から差し押さえを受けることはありません。
差し押さえまでに至る流れは次の通りです。
- 滞納している場合、まずは年金機構から納付を促すハガキが来る
- 年金機構から納付を促す電話がかかる
- 年金事務所または委託を受けた業者が、督励(納付を促す)のため自宅を訪れる
- それでも滞納を続ければ「特別催告状」が送付される(※1回のみの送付ではなく何度か送付されることになります。)
- 最終催告状が送付される
- 督促状が届く(※年金機構側は滞納者の財産調査を開始します。)
- 強制徴収(差し押さえ)の予告通知
- 強制徴収(差し押さえ)へ
このように、年金機構からの納付を促す働きかけが何度かあった後、それでも納付に応じなければ強制徴収(差し押さえ)が実行されます。
2-3.特別催告状とは
特別催告状とは、滞納者の所得が一定以上あり支払能力はあるのに、保険料を納めていないときに、自主的な納付を促すという目的で送付されます。
実はこの特別催告状が、強制徴収という最悪の事態へまっしぐらとなるか、それとも自分の年金を見直す機会となるかの分岐点となります。
特別催告状が届いた時点でも良いので、ご自分に無理のない納付方法や、免除・猶予制度も考慮して、滞納をしない努力が求められます。
次章では、特別催告状という書類がどんな形で届くのか、その内容等について解説します。
3.特別催告状について・その2
日本年金機構にこんな強力な権限があるとは知りませんでした。正直、恐怖です。
では特別催告状の内容や、その後の対応方法について知りたいです・・・。
第3章では、特別催告状の特徴と、その後の対応の必要性について解説します。
3-1.特別催告状は色で危険度UP?
特別催告状は1回キリ送付されるものではなく、何度か滞納者宅へ届けられます。その催告状内容は回を経て、滞納者にとってプレッシャーを与えるような、厳しいものとなっていきます。
〇青色の封筒の場合
まず青色の封筒に入った催告状が送付されてきます。年金機構側はこの時点では、滞納者を「悪質な滞納者」と認めているわけではなく、納付するかどうかの反応を待っている段階にあると言えます。
そのため、特別催告状の内容も、これまでの電話等の内容と同じような納付を促す文章が記載されています。内容としては、「年金保険料が未納なので納付しましょう。」というソフトな言い回しになります。
また、年金保険料が払えない場合の対応方法のお知らせ、特別催告状を無視をした場合の説明も明記されています。
〇黄色の封筒の場合
次に送付されてくるのが黄色の封筒に入った催告状です。ただし、赤色(ピンク)の封筒が届く場合もあります。この「黄色」は注意を促す色であり、年金機構側はこの時点で滞納者を、若干 「悪質な滞納者」と疑い始めたと思って良いでしょう。
特別催告状の内容自体は、青色の封筒に入った催告状と変わりないですが、やや文章表現は厳しいものになっています。
〇赤色またはピンク色の封筒の場合
特別催告状の最終バージョンといえるのが、この赤色またはピンク色の封筒に入った催告状です。この段階では年金機構側は滞納者を「悪質な滞納者」と疑っているとみて良いでしょう。
滞納者に、強制徴収というペナルティが待っていることは明確に記載されます。
内容としては、「決められた期限までに納付を行い、免除申請・猶予の手続きを行うこともしないで滞納を続けていると、強制徴収(差し押さえ)を行う準備に入る。」という文章が記載されています。
3-2.特別催告状が送付された時点で対応を考える
特別催告状がいずれの段階にあるとしても、滞納している方々は納付に関して何らかの対応をとるべきなのは間違いありません。
強制徴収の準備に入ると予告している以上、滞納を続ければ年金機構側は機械的に強制徴収の手続きを進めていくこととなります。
この場合、滞納者が放置することで最悪の事態となり得ることは、これまで述べてきた通りです。
ご自分の収入や家計の負担を考え、無理のない納付方法を検討するべきです。また、条件によってはご自分が免除・猶予制度に該当することも考えられます。
このような制度の活用も視野に入れ、滞納しない方法を考えましょう。
3-3.無視し続ければ強制徴収されることも
再三にわたり、特別催告状をはじめとした年金保険料の納付の催促を無視し続けると、日本年金機構は強制徴収という強力な権限を発動します。
ここで問題なのは、厚生労働大臣(厚生労働省)の承認を得れば、裁判所の許可なくこの権限を行使できることです。
例えば、裁判所から「これはやりすぎ。」とその権限行使に待ったをかけるような対応を、行政機関も司法機関も事実上行わないことになります。
つまり、滞納者へ強制徴収を行うことが決まれば、その行使は予定通り進められることになります。
次章では、強制徴収の条件と内容について解説します。
4.強制徴収について
強制徴収まで進んでしまうと、どんな事態になるのか想像も尽きません。非常に恐ろしい。
強制徴収の内容や条件に付いて詳しく知りたいです・・・。
こちらでは、強制徴収を日本年金機構から行使された場合の内容と、強制徴収を行う滞納者の条件を解説します。
4-1.強制徴収とは
強制徴収とは、本来義務を履行しなければならない人がその義務を怠った場合に、ご自分の金銭・財産等が差し押さえられることです。
〇強制徴収の準備は周到に行われる
強制徴収は、厚生労働大臣が認めたら、突如、徴収員が滞納者の家に上がり込み財産を持ち出すというわけではなく、滞納者がどんな銀行口座を保有していて、どんな財産があるのか等を綿密な調査で洗い出していきます。
そして、確実に徴収(差し押さえ)できる財産を選定し、差し押さえを実行します。非常に周到な準備の下で実行されるので、ご自分がその事実を知って慌てたころには、銀行口座の預金が差し押さえられていたという事態になります。
そうなっては、納付するからと年金機構に泣きついてもお金は返してもらえません。
〇強制徴収の対象財産
対象となる財産は滞納者本人のみならず、連帯納付義務者(配偶者等)の財産も対象になります。差し押さえの可能性があるのは次の財産です。
- 預貯金
- 売掛金
- 給与
- 生命保険の解約返戻金
- マイカー 等
また、滞納が非常に悪質である場合や、滞納者が暴力行為や狡猾な隠ぺいを行う危険性がある等、執行に困難を伴う場合、徴収のプロ集団である「国税庁」に権限を委任することが可能です。
〇徴収されるのは滞納分だけではない!
強制徴収で、ご自分の滞納した分の年金保険料だけが差し押さえられるわけではありません。その保険料に「延滞金」も上乗せされ徴収されてしまいます。
特別催告状・最終催告状の後、督促状が送付されてくるのは前述した通りですが、この督促状の指定する期日までに納付されない場合は、延滞金が発生します。延滞金の割合は下表を参考にしてください。
期間 | 特例基準割合 | 延滞金の割合 |
平成21年12月31日まで | ‐ | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→14.6% ・その翌日以降→14.6% |
平成22年1月1日~平成26年12月31日 | 4.3% | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→4.3% ・その翌日以降→14.6% |
平成27年1月1日~平成27年12月31日 | 1.8% | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→2.8% ・その翌日以降→9.1% |
平成28年1月1日~平成28年12月31日 | 1.8% | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→2.8% ・その翌日以降→9.1% |
平成29年1月1日~平成29年12月31日 | 1.7% | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→2.7% ・その翌日以降→9.0% |
平成30年1月1日~平成30年12月31日 | 1.6% | ・納付期限の翌日から3ヶ月を経過する日まで→2.6% ・その翌日以降→8.9% |
当然のことながら時間が経過すればするほど、延滞金の割合は増大します。速やかに年金保険料を納付しないと、本来は必要なかった金額分まで強制徴収の対象となってしまいます。
4-2.強制徴収の条件
この強制徴収は、滞納者が誰であっても行使されるわけではありません。強制徴収を濫用し、本来ならば保護されなけれならない低所得者が弾圧に近い憂き目となることは、少なくとも先進諸国ではあってはならない暴力行為と解されます。
〇強制徴収者の対象は拡大している
実は強制徴収の該当者になる人は、年々増加の一途を辿っています。なぜなら、日本年金機構側が強制徴収を行う対象者のハードルを、年々引き下げているからです。
日本年金機構側では、2018年度より年間所得が300万円〜350万円の世帯についても、差し押さえる強制徴収の基準を、以前の「13ヶ月以上の未納」→「7ヶ月以上」へ変更しました。
気を付けなければならないのは、更にこれ以降、 強制徴収を行う対象者のハードルを下げる可能があるという点です。そのため、早めの年金保険料の納付を行うべきでしょう。
〇2年逃げ回れば助かるは幻想
国民年金の納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなることは、第1章で述べた通りです。
とするなら、2年間にわたり滞納者は逃げ回っていれば、強制徴収を回避できると思い込む人も中にはいます。
確かに、保険料を徴収する権利は納付期限(翌月末)から2年で消滅します。つまり、時効となるわけですが、前述した督促状の送付によってこの時効が中断されます。
これはさらに2年間時効が伸びてしまうことを意味します。つまり2年ごとに督促状を滞納者へ送付すれば、永遠に時効となることはありません。延滞金もドンドン加算され、滞納者へ不利になる一方となります。
4-3.強制徴収を回避するために
強制徴収を回避する最善の方法は、素直に年金保険料を納付することです。それが無理な場合は、免除・猶予制度を活用し、滞納状態を回避することが大切です。
滞納者が切羽詰まった経済状況で、すぐに納付が難しいなら、まずは最寄りの年金事務所に相談しましょう。
今後の対応を担当者と相談することで、ご自分の年金納付の見通しが明確になるはずです。
次章では、利用可能は納付方法や、免除・猶予制度を解説します。
5.特別催告状が届いたら・その1
特別催告状が届いた場合はもちろん、年金保険料の納付に行き詰まったら、日本年金機構に相談すべきだと思いました。
その際にどんなことを相談すればよいか教えてもらいたいです・・・。
こちらでは、年金機構への相談で考慮すべき納付方法と、免除・猶予申請の方法等を解説します。
5-1.まず分割支払いを相談!
特別催告状が送付されるタイミングとしては、概ね毎年6月となります。この催告状が届いた時点でも、年金納付の目途がナカナカ立たないときは、最寄りの年金事務所に相談しましょう。
別に特別催告状が届いた人であっても、年金事務所の職員が罵倒することはもちろん、滞納者へ侮辱的な発言をすることはありません。
相談は年金を分割で払えないかどうかを質問しましょう。ただし、滞納した年金についての分割払いは、法定された制度ではなく特例となります。経済的にみて一括支払いが困難であると判断されて、具体的な納付金額が決定されます。
なお、最終的な相談は、お住いの市区町村役場の窓口(国民年金課)で行います。
5-2.免除・猶予制度を活用する
本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下で、失業した場合等、国民年金保険料を納めることが経済的に困難なこともあるでしょう。
そんな時は、本人が申請書を記載・提出し、申請後に承認されれば保険料の納付が免除になります。 免除される金額は、「全額」・「4分の3」・「半額」・「4分の1」の4種類です。
一方、20歳から50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合、申請すれば年金保険料の納付が猶予される制度があります。
ただし、免除制度を活用した場合は、その後に追納しないと、年金を受け取るときの年金額は、低いままとなってしまうことに注意しましょう。
例えば、ご自分が40年間全額免除となった場合(国庫負担1/2で算出した場合)は、年間389,700円(満額なら779,300円)となります。
さすがにこのケースでは受取額がかなり低くなるので、ご自分の収入が安定したら追納することも大切です。この追納は承認された月の前10年以内の免除等期間であれば可能です。
5-3.免除・猶予制度の申請方法
免除制度・猶予制度を利用したい場合は、申請をして日本年金機構から承認を受けなければなりません。
申請書の提出先は、ご自分の住所地の市区町村役場(国民年金課)または年金事務所です。持参または郵送して提出できます。なお、免除・納付猶予の申請年度は7月~翌年6月までとなります。
〇提出書類
提出書類は次の通りです。
(1)国民年金保険料免除・納付猶予申請書:最寄りの年金事務所や日本年金機構のホームページから等から取得できます。
(2)添付書類
ケースによって添付する書類が多くなる場合もあります。
①年金手帳(氏名の記載ページ)または基礎年金番号通知書(コピー)
②公的扶助を受けている場合(生活保護除く)
- その事実を確認できる公的機関の証明書(コピー)
- 受給資格者証(コピー): 特別障害給付金を受け取ってい場合に必要です。
〇提示書類
申請者本人が窓口で申請書を提出するときは、次のような書類を提示します。
①マイナンバーカード(個人番号カード)
窓口へ持参する場合はこちらを提示します。
②マイナンバーカード(個人番号カード)を持っていない場合
マイナンバーが確認できる書類+本人確認書類の2点を提示します。
- マイナンバーが確認できる書類:通知カードや個人番号の表示がある住民票の写しが該当します。
- 本人確認書類:運転免許証、パスポート、在留カード等が該当します。
③郵送の場合
次の3点すべてのコピーを提出書類と共に郵送します。
- マイナンバーカード(個人番号カード):裏表両面の写し
- マイナンバーが確認できる書類の写し
- 本人確認書類の写し
6.特別催告状が届いたら・その2
免除・猶予制度は、年金を納め難い人にとってありがたい制度ですね。
その他にも、頼りになる免除・猶予制度はないでしょうか・・・?
こちらでは、学生納付制度や、新しい免除制度等について解説します。
6-1.学生さんには猶予制度あり
学生であっても、20歳を過ぎれば年金保険料の納付義務があります。しかし、親の仕送りに頼っている人や、バイトしていても独り暮らしで生活費が大変という方々も多いはずです。
強制徴収を受けるリスクは非常に低いものの、未納期間があると、将来の受け取る年金額にも影響が出てきてしまいます。
そこで、「学生納付特例」を活用し、納付を猶予してもらいましょう。なお、前年の所得が118万円を超える場合は税申告も必要となります。
学生納付特例申請書の提出先は、ご自分の住所地の市区町村役場(国民年金課)または年金事務所です。また、こちらの制度の場合は、学生納付特例事務法人(ご自分が在学している教育施設に設置されている場合)へ、申請を委託することもでき ます。持参または郵送して提出できます。
提出書類は次の通りです。
- 国民年金保険料学生納付特例申請書:最寄りの年金事務所や日本年金機構のホームページから等から取得できます。
- 在学期間がわかる学生証のコピー(裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面 のコピーを含む)か、在学証明書(原本) のどちらか
- 年金手帳(氏名記載ページ)コピー
- 失業した事実が確認できる書類:学生でありながら事業へ勤務し、失業等が理由で申請を行う場合に必要です。
6-2.失業したら特例免除を!
ご自分が失業したときも申請することにより、保険料の納付免除・猶予制度を利用できる場合があります。
申請書の提出先は、ご自分の住所地の市区町村役場(国民年金課)または年金事務所です。持参または郵送して提出できます。
必要書類は次の通りです。
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書:最寄りの年金事務所や日本年金機構のホームページから等から取得できます。
- 失業した事実が確認できる雇用保険受給資格者証または雇用保険被保険 者離職票等のコピー
- 年金手帳(氏名記載ページ)コピー
その他、事業の廃止・廃業または休止の届出を行っている人は、次の書類等のコピーを添付しましょう。
- 総合支援資金の貸付決定通知書のコピー・その申請をした時の添付書類のコピー
- 履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書のいずれか
- 税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書のコピーで受付印のある書類
- 保健所への廃止届出書(控)で受付印有または廃止届証明書
- その他、公的機関が交付する証明書等で、失業の事実が確認可能な書類
6-3.新しい免除制度も開始!
平成31年4月より国民年金保険料の「産前産後期間の免除制度」が開始されます。こちらについても解説しましょう。
国民年金第1号被保険者で出産日が平成31年2月1日以降の方々ならば、出産前後一定期間の国民年金保険料が免除される制度です。
出産予定日または出産日が属する月の前月から、4か月間の国民年金保険料が免除対象となります。
なお、多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前~6か月間の国民年金保険料が免除されます。なお、この免除制度は、残念ながら死産、流産、早産された方々も含みます。
出産予定日の6か月前から提出可能ですが、本制度が開始される平成31年4月からの提出となります。
申請書は、提出が可能な平成31年4月から年金事務所または市区町村役場の国民年金課に備え付けられます。
現時点は、日本年金機構のホームページにも申請書用紙は掲載されていない状態です。そのため、この免除制度が該当する人は平成31年4月以降に書類等を取得し、申請手続きを行いましょう。
7.まとめ
特別催告状が届いても、いきなり年金保険料の滞納を理由に強制徴収は行われません。ただし、放置すれば結局、ペナルティがご自分に及ぶことは間違いないでしょう。
ご自分が年金保険料を納付し難い状況なら、最寄りの年金事務所の職員等へ相談して解決策を探るべきです。
免除・猶予制度の利用も検討するべきですが、追納しないと受け取る年金額がその分減少してしまいます。
できるだけ未納期間を無くし、満額が受け取れるよう、ご自分の生活費等の状況も考えながら納付していきましょう。