中小企業退職金共済制度への加入はお得なの?その特徴を詳細解説!

中小・零細企業の経営者の皆さんの中には、単独で退職金制度をもつことが難しいと頭を抱えている方々もいらっしゃることでしょう。

この実情を考慮して活用できる公的な共済制度があります。それが「中小企業退職金共済制度」です。

この制度は、中小企業の方々の相互扶助の精神、そして国の援助で退職金制度を確立し、これにより中小企業の従業員みなさんの福祉の増進・雇用の安定を図ります。

そして、中小企業の振興と発展に寄与することを目的とする共済として運営されています。

公的な共済制度のため、この制度に加入すれば安定した退職金への備えが期待できます。

ただし、どんな企業でも中小企業退職金共済制度に加入できるわけではなく条件があります。

また、この共済制度に加入する際は、注意点も十分理解して手続きを行う必要もあるでしょう。

そこで今回は、中小企業退職金共済制度の特徴、加入手続きおよび制度の注意点を解説します。

この記事を読めば、中小企業退職金共済制度の加入を検討する際に、良い参考資料となるはずです。

1.中小企業退職金共済制度について

自分は小さい会社を経営しているが、従業員の退職の際には十分な退職金を支払いたいものだ。

退職金制度をサポートしてくれる公的な制度があるなら利用したい・・・・。

こちらでは、中小企業退職金共済制度と、この制度を運営する勤労者退職金共済機構について解説します。

1-1.勤労者退職金共済機構とは

勤労者退職金共済機構とは、中小企業退職金共済制度を運営するために設置された機構です。

平成15年10月より、厚生労働省所管の独立行政法人に移行しています。機構は次の5つの部門に分かれています。

  • 中小企業退職金共済事業本部
  • 建設業退職金共済事業本部
  • 清酒製造業退職金共済事業本部
  • 林業退職金共済事業本部
  • 勤労者財産形成事業本部

中小企業退職金共済制度を利用するためには、事業者は「中小企業退職金共済事業本部」と契約を結ぶ必要があります。

1-2.中小企業退職金共済制度とは

中小企業退職金共済制度は、中小・零細企業で単独の退職金制度をもつことが困難である実情を考慮し、当該企業の退職金のサポートを行う制度です。

この共済制度を活用している企業や従業員等のデータは下表の通りです(平成29年11月現在)。

年度/加入企業数等 加入企業 加入従業員数 保有資産額
昭和50年度末 18万3,000所 146万人 2,021億円
昭和60年度末 25万5,000所 197万人 1兆686億円
平成7年度末 40万5,000所 291万人 2兆7,766億円
平成29年度 36万7,000所 343万人 4兆8,291億円

1-3.中小企業退職金共済制度の特徴

中小企業退職金共済制度の特徴は次の通りです。

  • 掛金を国が助成:新しく中小企業退職金共済制度に加入する事業主・掛金月額を増額する事業主へ、掛金の一部を国が助成します。
  • 管理が簡単:掛金は口座振替なので便利です。また、各従業員の納付状況・退職金の試算額を事業主へ報告します。
  • 掛金は全額非課税:掛金は、法人企業ならば損金として、個人企業ならば必要経費として、全額が非課税となります。
  • 掛金月額が選べる:各従業員に掛金月額を選択でき、加入後いつでも増額できます。
  • 通算制度でまとまった退職金をGET:一定の要件を満たす従業員の方々については、掛金納付月数等の通算が可能です。
  • 退職金は直接従業員へ:退職金は、勤労者退職金共済機構から直接、退職者各自の預金口座に振り込まれます。
  • 従業員の福利厚生も充実:加入企業は、勤労者退職金共済機構・中退共本部と提携しているホテルやレジャー施設等を、割引料金で利用可能です。
  • 解散存続厚生年金基金からの移行先:平成26年4月以降に解散した解散存続厚生年金基金から、中小企業退職金共済制度へ移行の申出ができます。

次章では本制度の加入手続きの手順と必要書類を解説します。

2.中小企業退職金共済制度への加入手続きについて

中小企業退職金共済制度は、事業者側にとって手間要らずで安心して利用できる制度のようだ。

当該制度への加入手続きを是非知りたい・・・・。

こちらでは、中小企業退職金共済制度の加入条件、手続きの流れ、必要書類について解説します。

2-1.中小企業退職金共済制度の加入条件とは

中小企業退職金共済制度は、どんな企業でも利用できるわけではありません。加入できる企業は、業種によって異なります。

〇加入可能な企業

常時雇用する従業員数または資本金の額・出資の総額のいずれかが条件の範囲内であれば加入できます。

一方、個人企業や公益法人等ならば、常時雇用する従業員数によります。

下表を参考にしてください。

業種/企業等 企業 個人企業・公益法人等
一般業種

※製造・建設業等

常用従業員数300人以下または資本金・出資金3億円以下 常用従業員数300人以下
卸売業 常用従業員数100人以下または資本金・出資金1億円以下 常用従業員数100人以下
サービス業 常用従業員数100人以下または資本金・出資金5,000万円以下 常用従業員数100人以下
小売業 常用従業員数50人以下または資本金・出資金5,000万円以下 常用従業員数50人以下

〇加入させる従業員

対象となる従業員は基本的に常時雇用する従業員となります。

常時雇用する従業員には次の方々が該当します。

  • 1週間の所定労働時間が、同じ企業に雇用されている通常の従業員と概ね同等である人
  • 雇用期間の定めのない人、雇用期間が2か月を超えて雇用される人

従業員は原則として全員加入させる必要があります。ただし、次の従業員は加入の必要がありません。

  • 期間を定めて雇用される従業員
  • 季節的業務に雇用される従業員
  • 試みの雇用期間中の従業員
  • 短時間労働者
  • 休職期間中の従業員
  • 定年等で短期間の内に退職することが明らかな従業員

2-2.加入手続きの流れ

新規加入手続きの流れは次の通りです。

  1. 新規申込書の作成、提出書類の収集
  2. 金融機関、委託事業主団体または委託保険会社へ提出(なお、契約成立日は提出先の受付日です。)
  3. 中小企業退職金共済事業本部は、退職金共済契約を結んだことを示す「加入通知書」・「退職金共済手帳」(1人につき3枚綴り)を事業主へ送付

なお、加入申込は中小企業退職金共済事業本部へ直接行うのではなく、金融機関や委託団体へ申し込むことになります。

加入申込先は次の通りです。

  • 金融機関:銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・商工中金
  • 委託団体:労働保険事務組合・中小企業団体中央会・商工会議所・商工会・青色申告会・労働基準協会・ハイヤー・タクシー協会・社会保険労務士会・中小企業勤労者福祉サービスセンター・税理士協同組合・TKC企業共済会 等

2-3.手続きの際の必要書類

加入申込には次の手続きが必要です。

〇共通の必要書類

こちらはどんな場合でも申込に必要な書類となります。

  • 新規申込書:加入申込先の金融機関等から取得します。
  • 預金口座振替依頼書(届出書):新規申込書とセットになっています。掛金を納付する金融機関で、預金口座の確認印を受けましょう。

〇短時間労働者を加入させる場合

  • 労働条件通知書(雇入通知書)または労働契約書のいずれかの写しを添付します。

〇常時雇用する従業員数が、一定規模以上の場合

  • 中小企業者であることの証明:商工会議所・商工会・県の出先機関等に相談しましょう。

一般業種(製造業・建設業等)は250人以上、卸売業・サービス業は90人以上、小売業は40人以上の場合に必要です。

〇同居の親族を雇用する場合

  • 申込み従業員についての確認書
  • 労働条件通知書の写しまたは労働条件確認書
  • 賃金台帳、経費帳または所得税源泉徴収簿のいずれかの写し

※なお、新規加入後、従業員を採用した場合等、新たに従業員を加入させるときは「追加申込書」を加入申込先に提出しましょう。

3.中小企業退職金共済制度の掛金について

中小企業退職金共済制度へ新規加入する場合は、掛金の納付が必要になる。

この掛金の支払の流れや、掛金の選択方法について詳細を知りたい・・・。

こちらでは、掛金の支払の手順や、金額の選択方法、国の助成等について解説します。

3-1.掛金支払の流れ

毎月の掛金はその全額を事業主が負担することになります。掛金の支払の流れは次の通りです。

  1. 事業主が各従業員の「契約成立日」の属する月分より、口座振替で掛金納付
  2. 毎月の掛金(加入従業員総額)は、事業主が指定した金融機関の預金口座より、毎月18日(当日が金融機関の休業日の場合は翌営業日)に振替
  3. 中小企業退職金共済事業本部から、各従業員の「納付状況」および「退職金試算額」を、年1回事業主へ報告

掛金の増額または加入従業員の追加、退職金支給まで、事業主は指定口座に現金さえ振込めば、基本的に何もしなくとも良いこととなります。

ただし、いかなる場合でも従業員に掛金を負担させることは厳禁です。

3-2.掛金の選択

掛金月額は、全従業員に対して選択可能な掛金月額と、短時間労働者にのみ選択可能な特例掛金月額があります。

〇掛金月額(全従業員選択可)

5,000円 6,000円 7,000円 8,000円
9,000円 10,000円 12,000円 14,000円
16,000円 18,000円 20,000円 22,000円
24,000円 26,000円 28,000円 30,000円

〇特例掛金月額(短時間労働者のみ選択可)

2,000円 3,000円 4,000円

ただし、短時間労働者の場合は3種類の特例掛金月額に限定されず、前述した16種類の掛金月額を設定しても構いません。

3-3.掛金月額の助成とは

新規加入と月額変更の場合に国の助成が受けられます。助成期間中に、掛金月額から助成額を控除した金額を納付することになります。

〇新規加入助成

中小企業退職金共済制度に新規加入する事業主に対して、加入後4か月目~1年間にわたり国が助成します。

ただし、その助成期間内に追加で従業員を加入させた場合、その残存期間が助成の対象になります。

助成期間中は、加入中の従業員の掛金月額1/2(従業員1人につき上限5,000円)を助成します。

また、短時間労働者の特例掛金月額は、掛金月額の1/2へさらに上乗せして助成します。

なお、短時間労働者の特例掛金月額の上乗せ助成は次のようになります。

  • 掛金月額2,000円→1,000円(月額1/2)+300円(上乗せ分)=助成額1,300円
  • 掛金月額3,000円→1,500円(月額1/2)+400円(上乗せ分)=助成額1,900円
  • 掛金月額4,000円→2,500円(月額1/2)+500円(上乗せ分)=助成額2,500円

〇月額変更助成

掛金月額を増額変更した事業主に対し、増額する月から1年間にわたり国が助成します。

  • 18,000円以下の掛金月額を増額変更→増額分(増額前と増額後の掛金月額の差額)の1/3
  • 20,000円以上の掛金月額からの増額変更→助成の対象外

なお、月額変更助成期間中に再び増額変更する場合は、以前の月額変更助成は中止され、新しい月額変更助成が対象となります。

3-4.掛金月額はこう決める

事業主にとっては、それぞれの従業員にどの位の掛金月額を定めるか悩むところです。

〇掛金月額の決め方

掛金月額の決め方としては、次の方法があります。

  • 賃金を基準にして掛金月額を決める方法
  • 役職を基準にして掛金月額を決める方法
  • 定年や勤続年数等を基準にして退職金額を決め、掛
    金月額を逆算する方法

①賃金を基準にして掛金月額を決める方法

賃金の5%程度を掛金月額としたときは次のようになります。

毎月の給与 掛金月額
~16万円未満 8,000円
16万円〜20万円未満 10,000円
20万円〜24万円未満 12,000円
24万円〜28万円未満 14,000円
28万円〜32万円未満 16,000円
32万円〜36万円未満 18,000円
36万円〜40万円未満 20,000円
40万円~ 22,000円

②役職を基準にして掛金月額を決める方法

一般社員~部長まで概ね掛金月額は次の通りです。

役職 掛金月額
一般社員 5,000円
主任 8,000円
係長 12,000円
課長補佐 18,000円
課長 24,000円
部長 30,000円

③勤続年数を基準にして掛金月額を決める方法

勤続35年で退職金1,000万円とした場合は次の通りです。

勤続年数 掛金月額
~2年未満 5,000円
2年~5年未満 8,000円
5年~10年未満 12,000円
10年~15年未満 18,000円
15年~20年未満 24,000円
20年~ 30,000円

④その他

定額方法で勤続35年で退職金1,000万円としたならば、掛金月
額は2万円となります。

〇自己都合退職と会社都合退職のモデル退職金

退職とはいっても、労働契約の解除が労働者からの申し出による「自己都合退職」と、会社(事業主)による「会社都合退職」があります。

それぞれの退職方法で退職金(一時金)額を決める場合は次のモデルが参考になります(東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」平成28年版を参考に作成)。

①高校卒の場合(例:18歳入社)

年齢(勤続年数) 自己都合退職 会社都合退職
19歳(1年) 62,000円 101,000円
21歳(3年) 159,000円 238,000円
23歳(5年)  311,000円 440,000円
28歳(10年)  897,000円 1,166,000円
33歳(15年)  1,714,000円 2,168,000円
38歳(20年)  2,904,000円 3,452,000円
43歳(25年) 4,326,000円 5,014,000円
48歳(30年)  6,038,000円 6,818,000円
55歳(37年) 8,272,000円 9,135,000円
定年 10,416,000円

②高専・短大卒の場合(例:20歳入社)

年齢(勤続年数) 自己都合退職 会社都合退職
21歳(1年)  57,000円  94,000円
23歳(3年)  172,000円 242,000円
25歳(5年) 343,000円 458,000円
30歳(10年) 934,000円  1,174,000円
35歳(15年) 1,804,000円  2,178,000円
40歳(20年) 3,065,000円  3,524,000円
45歳(25年)  4,543,000円  5,026,000円
50歳(30年) 6,224,000円  6,785,000円
55歳(35年)  7,873,000円  8,446,000円
定年  9,658,000円

③大学卒の場合(例:22歳入社)

年齢(勤続年数) 自己都合退職 会社都合退職
23歳(1年) 71,000円 118,000円
25歳(3年) 228,000円  334,000円
27歳(5年)  427,000円 575,000円
32歳(10年) 1,102,000円 1,410,000円
37歳(15年) 2,144,000円 2,591,000円
42歳(20年) 3,625,000円 4,172,000円
47歳(25年) 5,318,000円 5,850,000円
52歳(30年) 6,973,000円 7,691,000円
55歳(33年) 8,186,000円 8,927,000円
定年 10,164,000円

※退職金を設定する場合は、退職金規程を作成し基準を明確化するようにしましょう。

4.中小企業退職金共済制度の通算制度について

掛金を設定するコツはわかったが、加入前から長い期間、勤務している従業員もいる。

従業員の勤務期間に応じた退職金が支給できるよう、加入前の勤務期間分の掛金を納付することができないだろうか?

その場合には「通算制度」を利用しましょう。

こちらでは、過去の勤務期間の通算方法と、ケースごとの対応方法を解説します。

4-1.過去勤務期間の通算

通算制度では次の勤務期間・月額を考慮します。

  • [過去勤務期間]企業で従業員の採用日から当該制度の「契約成立日」の前日まで、継続して雇用された期間(休職期間等は除くことも可)が対象です。1年単位(端数月切り捨て)で、10年が限度です。
  • [過去勤務通算月額]新規契約申込時の「掛金月額」と同額以下で、掛金月額の中から従業員ごとに選択可能です。短時間労働者の場合は、特例掛金月額も選択できます。前述した「3-2.掛金の選択」を参考にしてください。

〇過去勤務期間の掛金率

過去勤務期間の掛金率は次の通りです。

①過去勤務期間(1年~4年)

過去勤務期間 納付期間 掛金率
1年 12か月 1.01
2年 24か月 1.02
3年 36か月 1.03
4年 48か月 1.04

②過去勤務期間(5年~10年)

過去勤務期間が5年以上の場合、納付期間は一律60か月で納付することになります。

過去勤務期間 納付期間 掛金率
5年 60か月 1.05
6年 60か月 1.27
7年 60か月 1.49
8年 60か月 1.71
9年 60か月 1.93
10年 60か月 2.16

〇過去勤務掛金月額の計算

計算式は次のようになります。

過去勤務通算月額(掛金率+厚生労働大臣の定める率)×過去勤務期間=過去勤務掛金月額(納付額)

事例を上げて計算してみます。

(例)平成30年4月から加入し、掛金月額を7,000円と設定した常時雇用する従業員について、加入前の勤務期間が4年2か月の場合

  • 勤務期間が4年2か月→端数月切り捨てのため4年
  • 過去勤務通算月額→7,000円、6,000円、5,000円のいずれか

過去勤務通算月額7,000円を選択した場合、過去勤務掛金月額は次のようになります。

なお、平成30年4月から加入したので、厚生労働大臣の定める率は0となります(中小企業退職金共済事業本部「厚生労働大臣が定める率」についてのお知らせ 平成30年3月30日告示を参照)。

7,000円×(1.04[掛金率]+0円)=7,280円

なお、納付期間内の毎月の納付額に関して、掛金月額と過去勤務掛金月額を合算した金額となります。

4-2.転職した場合の通算ケース1

退職金は基本的にその企業限りのものですが、従業員の転職時に今まで積み立てられていた退職金を引き継ぐことが可能なケースもあります。

その一つとして、中小企業退職金共済制度間での移動のケースが該当します。

例えば、当該制度に加入している企業を従業員が退職し、退職金の請求をしないまま他の企業に転職し、その企業で再び同制度に加入した場合があげられます。

ただし、次の要件に該当することが必要です。

  • 前に勤めていた企業で掛金が12か月以上納付されている(ただし、12か月未満であっても退職した事由を厚生労働大臣が認定したときは該当)
  • 前に勤めていた企業を退職してから3年以内に申し出た場合

4-3.転職した場合の通算ケース2

中小企業退職金共済制度と特定業種退職金共済制度間での移動のケースが該当します。

なお、特定業種退職金共済制度とは、建設業、清酒製造業または林業で働く従業員のための退職金制度です。

例としては、同一企業内で職種変更等に伴い中小企業退職金共済制度と特定業種退職金共済制度間を移動した場合、通算することができます。

その他、中小企業退職金共済制度加入企業と特定業種退職金共済制度加入企業間を転職した従業員が、退職金を請求せずに新しい企業で加入した場合も同様です。

ただし、次の要件に該当することが必要です。

  • 前に勤めていた企業を退職してから3年以内に申し出た場合
  • 退職した事由が本人の都合によるものでないと厚生労働大臣が認めた時

4-4.転職した場合の通算ケース3

中小企業退職金共済制度と特定退職金共済事業間での移動のケースが該当します。

例えば、中小企業退職金共済制度加入企業と特定退職金共済事業加入企業間を転職した従業員が、退職金を請求せずに新しい企業で加入した場合、通算することができます。

ただし、次の要件に該当することが必要です。

  • 中小企業退職金共済事業本部と、特定退職金共済実施団体との間に退職金引渡契約が締結されている場合
  • 前に勤めていた企業を退職してから3年以内に申し出た場合

5.中小企業退職金共済制度の退職金請求について

中小企業退職金共済制度を活用し掛金を納付して、いよいよ退職金を請求することになれば、どんな手続きが必要なのだろう?

退職金の請求について詳細を知りたい・・・・。

こちらでは、退職金請求の流れと、退職金の支払い方法等について解説します。

5-1.退職金請求の流れ

退職した従業員の請求により、中小企業退職金共済事業本部から退職金が直接支払われます。請求の流れは次の通りです。

  1. 事業本部は、事業主からの「退職届」を受け、退職した従業員の掛金振替を中止します。
  2. 事業主は、退職した従業員に「退職金共済手帳(請求書)」を忘れずに渡します。
  3. 退職した従業員は、この請求書を事業本部へ送付します。事業本部は、受け取った請求書に基づいて、退職した従業員の預金口座に退職金を振り込みます。
  4. 事業本部から退職金額等を、事業主と従業員へ振り込み前に報告します。

なお、退職金を従業員にかわって事業主が受け取ることはできませんので、注意が必要です。

5-2.退職金額の内訳

退職金は「基本退職金」と「付加退職金」の両方を合算したものが、従業員の受け取る退職金額となります。

〇基本退職金

掛金月額・掛金納付月数に応じて法令で定められている金額で、共済制度全体として、予定運用利回りを1%として設定された金額となります。

〇付加退職金

機構の運用利回りが予定運用利回りを上回ったならば、その分を基本退職金に上積みし、運用収入の状況等に応じて定められる金額です。

具体的には、掛金納付月数の43か月目、およびその後12か月ごとの基本退職金相当額に、厚生労働大臣が定めるその年度の支給率を乗じて得た金額を、退職時まで累計した総額となります。

5-3.退職金の支払い方法

支払い方法は、原則として従業員の退職時に一時金払い(一括払い)となります。

ただし、退職日に従業員が60歳以上で下表の条件に該当すれば分割払いも可能です。

なお、分割支払方法は年4回(2月・5月・8月・11月)払いとなります。

〇支払期間5年間の場合

項目 内容
全額分割払い 退職金額(分割払対象額):80万円以上
一部分割払い(併用払い) 退職金額:100万円以上

一時金払対象額:20万円以上

分割払対象額:80万円以上

支払回数 20回
分割支給率 51.0/1,000(年1.0%の利息相当)+厚生労働大臣の定める率

〇支払期間10年間の場合

項目 内容
全額分割払い 退職金額(分割払対象額):150万円以上
一部分割払い(併用払い) 退職金額:170万円以上

一時金払対象額:20万円以上

分割払対象額:150万円以上

支払回数 40回
分割支給率 26.0/1,000(年1.0%の利息相当)+厚生労働大臣の定める率

6.中小企業退職金共済制度の注意点

中小企業退職金共済制度に加入してみたくなった。しかし、この制度にも注意すべき点があるのだろうか?

注意点があれば是非知りたい・・・。

こちらでは、加入前に知っておいた方が良い当該共済制度の注意点について解説します。

6-1.掛金の減額は事実上困難

中小企業退職金共済の掛金は、増額の際には国から助成されますが、減額したい場合は非常に面倒な手続きとなります。

例えば、従業員を懲戒解雇した場合、会社は退職金の減額を請求することは可能です。

しかし、厚生労働大臣に認定してもらうことが必要です。仮に減額できても、減額した分のお金は会社に戻ってきません。

また、新規加入した後、従業員の掛金を減額したい場合なら、従業員全員に同意してもらい、従業員全員の署名または押印が必要です。

前述の手続きの他、厚生労働大臣より、当該企業が現在の掛金を納付することついて、著しく困難であると認定してもらえれば減額は可能です。

しかし、現実的に、このような同意または認定を取り付けることは、困難な場合が多いといわれています。

6-2.死亡退職金を用意が難しい

従業員は転職や懲戒解雇等の退職を除いて、誰でも定年まで元気に働いて退職金を受け取れるわけではありません。時には在職中に亡くなってしまうこともあります。

企業では退職金制度の他、従業員に万が一の事態があった場合を想定して「死亡退職金」の制度も定めるケースが多いです。

しかし、死亡退職金として中小企業退職金共済を活用すると、例えば掛金月額が12,000円で勤続3年後に亡くなった場合、死亡退職金は、それまで積み立てられた43万円程度しか準備できません。

これでは遺族に渡すお金として少ない額といえるでしょう。

この不足を補うため、次項では法人保険の必要性を検討してみます。

6-3.法人保険も検討してみる

法人保険とは、生命保険会社が役員・従業員の福利厚生と節税対策のために販売している保険商品です。

法人保険はその種類も多く、役員・従業員が死亡または高度障害状態となった場合に保険金が下りる商品や、がんをはじめとした三大疾病や、生活習慣病になった場合に給付金が下りる商品もあります。

このような保障を活用し、従業員のまさかの事態に手厚い対策がとれるよう備えておくことも大切です。

また、支払う保険料は全額損金、1/2損金、1/3損金として法人税等の節税対策にも活用できます。

7.まとめ

会社の収益も大切ですが、従業員に対する金銭的な配慮もそれと同じくらい大切です。

中小企業退職金共済制度を活用し、安定した退職金制度を設けることも、事業主と従業員の信頼関係の維持に役立つことでしょう。

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