学資保険は、主にお子さんの教育資金を積み立てるための保険です。お子さんが生まれたきっかけで、加入を検討している保護者の方々も数多くいらっしゃることでしょう。
幼稚園の入園から高校卒業までの教育資金は私立か公立かで相当差があり、早い段階からどちらに進学しても良いように積立を考えておくべきでしょう。
また、現在では大学も入りやすくなり、大学進学を想定した備えが必要となることでしょう。
ただし、学資保険にはいろいろな保険商品があり、どのような保険を選ぶか迷われるかもしれません。
そこで今回は、戻り率の高い学資保険について説明します。この保険は、支払った保険料よりも実際に受け取るお金(学資金)の方が多く、加入契約者が得をする仕組みになっています。
この記事を読めば、戻り率の高い学資保険の特徴と注意点を理解することができ、学資保険選びをする際の有効な参考資料になることでしょう。
目次
1.学資保険と戻り率(返戻率)について
- 1-1.学資保険とは
- 1-2.戻り率(返戻率)とは
- 1-3.貯蓄型学資保険が人気
2.ソニー生命保険「学資金準備スクエア」
- 2-1.学資金準備スクエアとは
- 2-2.学資金準備スクエアの内容
- 2-3.米ドル建てプランについて
3.明治安田生命「つみたて学資」
- 3-1.つみたて学資とは
- 3-2.つみたて学資の内容
- 3-3.戻り率の他に注目したい点
4.日本生命保険相互会社「ニッセイ保険学資」
- 4-1.ニッセイ保険学資とは
- 4-2.ニッセイ保険学資の内容
- 4-3.戻り率の他に注目したい点
5.戻り率の高い学資保険の注意点その1
- 5-1.戻り率が高いほど税金はかかる?
- 5-2.受取人が加入契約者(保護者)の場合
- 5-3.受取人が被保険者(子)の場合
6.戻り率の高い学資保険の注意点その2
- 6-1.戻り率の高さだけが大切か?
- 6-2.親と子の保障について考えてみる
- 6-3.保障を重視した保険もある
7.まとめ
目次
1.学資保険と戻り率(返戻率)について
教育資金は幼稚園の入園から大学進学まで、かなりの金額が必要であると聞く。
教育資金は、子が生まれる前や生まれて間もないころからコツコツ準備すべきだろう。
その際に頼りになるのが学資保険といえる。この保険へ加入するからには積み立てるだけではなく、何かメリットは期待できないだろうか?
こちらでは、学資保険の特徴と戻り率について、現在人気の学資保険のタイプについて説明します。
1-1.学資保険とは
学資保険とは、子を被保険者として、子の将来の教育資金を積み立てるための生命保険会社または共済が扱う保険のことです。
加入希望者(保護者)は事前に、子(被保険者)が何歳になった時にお金を受け取るのかを契約で決めます。
その後、保険料の月払いや年払い等でコツコツ積み立て、子が契約で決めた年齢に達すると学資金を受け取ることができます。
学資保険を契約する際には、ご家庭の経済状況の他、子が何歳の段階で学資金を受け取れば良いのか、加入希望者がそのタイミングを慎重に検討する必要があります。
1-2.戻り率(返戻率)とは
戻り率(返戻率)とは、支払った保険料総額と学資金として受け取るお金の割合のことです。支払った保険料より受け取るお金の方が高ければ、加入契約者がそれだけ得をすることになります。
支払った保険料総額を100%とするならばこの割合を少しでも超えれば、加入契約者の得になったと言えます。
例えば、支払った保険料総額を100万円とすると、受け取るお金が160万円であるなら60万円得をしたことになります。この得をした金額が多ければ多いほど「戻り率(返戻率)が高い」と呼ばれます。
一方、支払った保険料総額が100万円であっても、実際に受け取るお金が100万円を下回ることがあります。このように、支払った保険料より受け取るお金が少なければ元本割れを起こしたことになります。
1-3.貯蓄型学資保険が人気
貯蓄型学資保険とは、幼稚園から大学までにかかってしまう多額の学習費に充てるための保険です。
このタイプの保険は基本的に、満期保険金・入学祝い金が保障内容とされる場合が多いです。保障内容はシンプルでわかりやすく、積み立てたお金が元本割れすることはほとんどありません。
契約が満期になった時の戻り率(返戻率)はそれぞれの保険プランにもよりますが、約103%~108%の保険商品が多いです。
学資保険の上位のランキングは以下の表の通りです。
順位 | 保険商品 | 戻り率(返戻率) |
1位 | ソニー生命「学資金準備スクエア」 | 学資保険スクエアⅢ型:約107.2% |
2位 | 明治安田生命「つみたて学資」 | 約104.7% |
3位 | 日本生命「ニッセイ学資保険」 | こども祝金なし型:約107.2% |
4位 | JPかんぽ生命「学資保険 はじめのかんぽ」 | 約95% |
5位 | フコク生命「みらいのつばさ」 | ステップ型:約104.7% |
上位にランクされているのは戻り率(返戻率)が高い保険や、有名な保険会社の商品となっています。表の1位~3位までの保険商品を紹介します。
2.ソニー生命保険「学資金準備スクエア」
ソニー生命の学資金準備スクエアは高い戻り率(返戻率)になっている。また、その他にも特色のある運用方法が人気のようだ。
学資金準備スクエアについて評価できる点や注意点を知りたい・・・。
こちらでは、学資金準備スクエアの特徴と注意点について説明します。
2-1.学資金準備スクエアとは
こちらの学資保険・学資プランは、「学資金準備スクエア」という保険商品として販売されています。各プランを加入希望者が選んで学資金の積み立てを行うことになります。
将来の教育資金は学資保険として日本円で備えるか、米ドル(養老保険)で運用するのかを選択します。
なお、自分の希望に合ったプランを最終的に決定するのは加入希望者自身ですが、加入希望者へプランの提案や、アドバイスをするのは「ライフプランナー」と呼ばれる専門の営業担当者です。このライフプランナーと話し合いながら最適なプランを決定します。
2-2.学資金準備スクエアの内容
学資金準備スクエアのプランは、学資保険(円建て)の場合、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の3種類があり、内容は次の通りです。
①プランⅠ型:小学校高学年~高校生(大学入学前の受験生等)を想定した学資金の受け取りプランとなります。
②プランⅡ型:大学入学前(高校3年時)に一括で学資金が受け取れるプランとなっています。
③プランⅢ型:大学在学中の4年間で受け取れるプランとなっています。
上記プラン3種類の戻り率(返戻率)について事例をあげると下表の通りです。
- 加入契約者:父親(30代)
- 被保険者:男子0歳
- 受取学資金総額:200万円
- 保険料払込期間:被保険者が10歳まで
学資保険
(円建て) |
支払保険料(月払) | 払込保険料総額 | 戻り率
(返戻率) |
Ⅰ型 | 15,792円 | 1,895,040円 | 約101.3% |
Ⅱ型 | 16,020円 | 1,922,400円 | 約104.0% |
Ⅲ型 | 15,540円 | 1,864,800円 | 約107.2% |
その他、米ドル建養老保険「学資プラン」もあります。こちらのプランについては次項で説明します。
2-3.米ドル建てプランについて
ドル建て(米ドル)の場合には、米ドル建養老保険「学資プラン」があります。非常に高い戻り率(返戻率)になっています。こちらの事例については次の通りです。
①事例
- 加入契約者(被保険者):30代男性(こちらのプランでは被保険者が子にはなりません。)
- 保険金総額:2万米ドル
米ドル建養老保険
「学資プラン」 |
支払保険料(月払) | 払込保険料総額 | 戻り率(返戻率) |
保険料払込期間5年 | 259.18米ドル | 15,550.80米ドル | 約128.6% |
保険料払込期間18年 | 85.36米ドル | 18,437.76米ドル | 約108.4% |
②注意点
米ドル建養老保険「学資プラン」は戻り率(返戻率)は高いですが、外貨建てで運用している以上、為替レートの変動で運用に影響が出てしまう場合があることに十分注意しましょう。
外貨建ての場合は、好不況に影響されるばかりではなく、国内・海外がどんなに好景気であっても、戦争や大規模テロ、被害が重大な自然災害等でも為替が大きく変動することがあります。
こちらの「学資プラン」を希望する場合には、ライフプランナーとメリットだけでなく、想定されるリスクを十分に話し合った上で加入をするかどうかを判断しましょう。
3.明治安田生命「つみたて学資」
明治安田生命「つみたて学資」も戻り率(返戻率)は高いことが魅力だが、保護者の妊娠・育児について色々とアドバイスしくれるサービスがあるらしい。
つみたて学資についても内容を詳しく知りたい・・・。
こちらでは、つみたて学資の特徴について説明します。
3-1.つみたて学資とは
つみたて学資は、学資金の受取総額が300万円以上になると高額割引適用の対象になり、戻り率(返戻率)が更に高くなります。
また、2つのタイプの保険料払込免除事由が設けられ、死亡または所定の障害状態に該当した場合には以後の保険料が免除されるI型と、死亡または所定の障害状態に該当した場合の他、初めて所定の悪性のがんと医師より診断確定された場合も免除対象となるII型があります。
3-2.つみたて学資の内容
こちらでは事例をあげて説明します。
- 加入契約者:父親(30代)
- 被保険者:男子0歳
- 受取学資金:教育資金3回+満期保険金1回に分けて受取
- 保険料払込期間:被保険者が10歳まで
つみたて学資 | 支払保険料(月払) | 払込保険料総額 | 戻り率(返戻率) |
受取学資金200万円 | 15,910円 | 1,909,200円 | 約104.7% |
受取学資金300万円 | 23,640円 | 2,836,800円 | 約105.7% |
学資金の受取総額が300万円以上になると高額割引適用の対象となり、結果として戻り率(返戻率)が高くなります。毎月支払う保険料は高くなりますが、戻り率(返戻率)もupし学資金の受け取りの際に得をすることになります。
3-3.戻り率の他に注目したい点
こちらの学資保険の加入契約者を対象に「24時間妊娠育児相談サービス」を提供しています。看護師・保健師等が24時間対応にあたり、妊娠・育児等に関する的確なアドバイスを行います。
妊娠や子供の病気・ケガに対して、初めての経験となる加入契約者(保護者)には困惑することもあるでしょう。
加入契約者の周りで相談に応じてくれる方がいない時には、専門家からのアドバイスは非常に頼りになります。
保険選びの際には戻り率(返戻率)ばかりではなく、保険に加入した後にどのようなケアやアドバイスをしてくれるのかを確認しておくことも大切です。
4.日本生命保険相互会社「ニッセイ保険学資」
ニッセイ保険学資は非常にシンプルなプランでわかりやすく戻り率(返戻率)も高いようだ。徹底した貯蓄型設計をしているようで興味がある。
このニッセイ保険学資について、保険内容を知りたい・・・・。
こちらでは、ニッセイ保険学資の特徴について説明します。
4-1.ニッセイ保険学資とは
貯蓄性を重視した保険内容となっており、こども祝金なし型とこども祝金あり型に分けられます。それぞれの内容は次の通りです。
①こども祝金なし型(被保険者年齢0歳~6歳対象):こども祝金は受け取れませんが、大学入学にあたる年齢から毎年1回、合計5回学資年金を受け取れるプランになっています。
②こども祝金あり型(被保険者年齢0歳~2歳対象):小学校、中学校、高校入学の時期にこども祝金が受け取れる他、大学入学にあたる年齢から毎年1回、合計5回学資年金を受け取れるプランになっています。
4-2.ニッセイ保険学資の内容
こちらでは事例をあげて、こども祝金なし型とこども祝金あり型とに分けて戻り率(返戻率)を説明します。
①こども祝金なし型
(事例)
- 加入契約者:父親(30代)
- 被保険者:男子0歳
- 保険料払込期間:被保険者が10歳まで
祝金なし型 | 受取学資金300万円 |
支払保険料(月払) | 23,320円 |
払込保険料総額 | 2,798,400円 |
戻り率(返戻率) | 約107.2% |
②こども祝金あり型
(事例)
- 加入契約者:父親(30代)
- 被保険者:男子0歳
- 保険料払込期間:被保険者が18歳まで
祝金あり型 | 受取学資金360万円 |
支払保険料(月払) | 16,300円 |
払込保険料総額 | 3,520,800円 |
戻り率(返戻率) | 約102.2% |
こども祝金なし型で、かつ、保険料払込期間が短ければ毎月の支払保険料も高くなりますが、戻り率(返戻率)もupします。加入契約者はお金を受け取りたいタイミングを慎重に検討してプランを選びましょう。
4-3.戻り率の他に注目したい点
加入契約者を対象に「育児ほっとライン」という電話サービスを提供しています。看護師・保健師等が24時間対応にあたり、子の健康や育児等に関する的確なアドバイスを行います。
また、女性限定で「ウェルネスダイヤル(エフ)」という電話サービスを提供しています。こちらでは女性特有の疾病についての質問や的確なアドバイスを医師・看護師・保健師等から受けることができます。
ただし、「ウェルネスダイヤル(エフ)」は24時間対応ではなく、受付時間が月曜日から土曜日の9時から21時までとなっています。相談がある場合は早めに連絡を取りましょう。
5.戻り率の高い学資保険の注意点その1
戻り率が高いことはうれしいし、まとまった教育資金が必要になった時の頼もしい金銭的サポートになる。
しかし、問題なのは受け取る学資金が課税対象になるかどうかだ。自分でコツコツ積み立てたわけだから課税対象となるのは抵抗がある。
残念ながら、学資金は場合により課税対象になることがあります。こちらでは、学資金の受け取りの際に想定される税金について説明します。
5-1.戻り率が高いほど税金はかかる?
学資保険に入っていると、進学の際に祝金や、保険が満期になれば満期金を受け取ることができます。
しかし、受け取る学資金(保険金)の総額が多ければ、それだけで課税対象になるわけではありません。
問題は、保険会社からお金を受け取る人が加入契約者(保護者)になるか、被保険者(子)になるかでかかる税金が異なります。
つまり、受取人が誰になるかでどんな所得税がかかるかや、課税条件ついても変わってきます。学資保険の契約をする際には、誰が受取人となればどれくらいの税金を納めなければいけないかも考慮していないと、後から予想外に多額の税金を納めなければならない事態が想定されます。
5-2.受取人が加入契約者(保護者)の場合
受取人が加入契約者(保護者)である場合に想定される所得税は、「一時所得」と「雑所得」です。それぞれについて説明します。
〇一時所得
一時所得とは、営利を目的とした継続的行為から生じる所得以外の所得のことです。労務・役務の対価として受け取る性質の所得ではなく、また資産の譲渡による対価としての性質を有しない所得とされています。所得の具体例をあげれば、懸賞等で賞金を獲得した場合や、競馬・競艇等での払戻金があります。
学資保険の場合は、学資金(保険金)を一括で受け取った時に一時所得として課税対象となることがあります。
①課税条件
一時所得の場合は、加入契約者(保護者)が受け取った学資金と支払ってきた保険料の差額が50万円を超えたときしか課税対象とはなりません。
つまり、戻り率(返戻率)が150%を超えるようなかなり高い割合でないと課税されないことになります。
例えば、返戻率が160%で、払ってきた保険料の総額が100万円であった場合は、受け取る保険金の総額160万円の内、差額50万円を超える10万円分の金額が課税対象になります。
②一時所得の計算式
(学資金―保険料総額―50万円[特別控除])×1/2=税金
前述した例をあてはめれば次のようになります。
(160万円―100万円―50万円)×1/2=5万円
しかし、計算で税額として5万円と算出されたから、必ず確定申告をしなければいかないのかと言えばそうではありません。
給与所得者であるなら、確定申告をする場合には次の要件を満たし
- 1か所から給与の支払を受けている人であること
- 学資金の受取等の一時所得のみであること
かつ、計算後の金額が20万円を超えるか否かで判断します。
前述の1と2の条件に該当し、一時所得が年間20万円を超えない、給与等の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者なら、申告は不要です。
〇雑所得
雑所得は、一時所得の他、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得以外の所得を指します。所得の具体例をあげれば、公的年金(国民年金・厚生年金)、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の方が受ける原稿料・印税等が該当します。
学資保険の場合は、学資金(保険金)を毎年分割で受け取る方法が課税対象となることがあります。つまり学資金の受け取り方法が違うだけでも、所得の分類の他、税金の計算が大きく異なります。
・雑所得の計算式
雑所得は一時所得となる場合と受け取る学資金が同じ金額であっても、課税対象となることが多いです。雑所得の計算式は次の通りです。
受け取る学資金[1回分]―(受け取る学資金[1回分]×支払った保険料総額÷学資金総額)=雑所得
前述した例をあてはめれば次のようになります。学資金を5分割で受け取る契約を結んでいた場合、160万円÷5=32万円
32万円-(32万円×100万円÷160万円)=12万円
つまり、学資金の受取総額が一時所得と同じ160万円でも分割にしただけで7万円も税金がupすることになります。
5-3.受取人が被保険者(子)の場合
では、学資金の受取人を被保険者(子)にした場合はどうなるでしょうか?こちらの場合は、子に学資金を贈与したことになり、「贈与税」に該当します。
贈与税は、ある個人から財産を贈与されたときに対象となる税金です。被保険者である子が保険料を負担しておらず、学資金を受け取った場合の他、生命保険金を受けた場合、または債務の免除等により利益を受けた場合もまた、贈与を受けたとみなされます。
①課税条件
贈与税は特に一括でまとまったお金を受け取る場合、非常に不利な税金といえます。1年間で110万円(基礎控除)を超えれば課税対象となってしまいます。また、受取人である子が20歳未満か20歳以上かで贈与税の税率・控除額もそれぞれ異なります。以下の表を参考にしてください。
[子が20歳未満]基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
~200万円以下 | 10% |
– |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 |
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
~200万円以下 | 10% |
– |
200万円超~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超~1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
②贈与税の計算式
贈与税の計算式は次の通りです。
(学資金―110万円[基礎控除])×税率―控除額=税金
学資金(一括で受取)の他に贈与されたものがなければ、次のようになります。なお、例では基礎控除後の課税価格(160万円―110万円=50万円)なので、子が20歳未満でも20歳以上でも控除額は0円です。
(160万円―110万円)×10%―0円=5万円
ただし、学資金を分割して受け取る形にしても他に贈与した分がある場合、その分も含め1年間で110万円を超えてしまえば、課税対象となります。
6.戻り率の高い学資保険の注意点その2
戻り率の高い学資保険は確かにお得感はある、学資金にかかる税金だって受け取り方さえ気を付ければ問題にはならない。
しかし、学資保険で大切なのは教育資金をお得に受け取ることだけなのだろうか?
こちらでは、加入契約者(保護者)と被保険者(子)が、万が一の事態になった場合の保障の大切さについて説明します。
6-1.戻り率の高さだけが大切か?
学資保険では、確かに戻り率(返戻率)の高い保険商品が人気となっています。しかし、戻り率(返戻率)と同じくらい大切なのは、被保険者(子)が将来育っていく過程で、病気やケガをした際の保障です。
不運な事態は保護者であっても想定することがなかなか困難です。戻り率(返戻率)を重視した貯蓄型学資保険に加入したとしても、教育資金のみへ備えを行ったに過ぎません。
貯蓄型学資保険に加入した場合、子供の病気やケガをした備えとして医療保険等に加入することは有効な方法の一つです。
しかし、学資金として積み立てを行いつつ、子のために医療保障や死亡保障を備えることができる保険もあります。このような保険は「保障型学資保険」と呼ばれています。
6-2.親と子の保障について考えてみる
学資保険ではほとんどの場合、保護者(父または母)が加入契約者になることでしょう。前述した戻り率(返戻率)の高い学資保険でも、加入契約者が亡くなったり障害状態になったりした場合に、保険料の払込が免除される措置があります。
これが「保険料払込免除事由」とよばれるもので、保険料は免除されますが契約通り学資金を受け取ることは可能です。
ただし、子のための医療保障等を設けている保険は貯蓄型学資保険ではほとんどありません。どうしても、子の万が一の病気やケガが心配な場合は個別に医療保険へ加入するか、子の出生前または出生直後に貯蓄型ではなく保障型の学資保険へ加入を検討するべきでしょう。
特に、夫婦の双方または一方の家系で大病を患う親類縁者が多い等病弱な家系であり、成長する過程で子も体が丈夫になっていくとは限らない、というような不安をもっているならば保障型学資保険はおすすめです。
6-3.保障を重視した保険もある
保障型の学資保険の特徴は保障を手厚くしている分、学資金を受け取る場合には元本割れを起こすケースが非常に多いことがデメリットといえます。
しかし、保障に関しては入院給付金や手術給付金、死亡または障害状態になった場合の保険金等、オーソドックスな保障が設けられ、まさかの時に頼りになる保険と言えます。
こちらでは、保障型の保険商品の一例をあげます。保険選びの参考にしてください。
〇JPかんぽ生命「学資保険はじめのかんぽ」
かんぽ生命の学資保険です。貯蓄型というよりも保障型に近く、特約で医療特約・災害(死亡・障害保障)特約を付加することができます。受け取る学資金は元本割れを起こすことがほとんどですが、教育資金を積み立てながら、子の病気やケガの際に保障を活用できます。
保険の構成 | 保険内容 |
主契約 | 教育資金の積み立てのため3つのコースがあります。
|
医療保障特約 |
|
死亡・障害保障特約 |
|
〇損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「こども保険」
学資保険と言うよりは、保障を重視する「子供保険」という種類の保険です。保障の他、進学・成人・大学卒業等で6回程度、教育資金として成長祝金を受け取ることができます。
保険の構成 | 保険内容 |
子の進学・卒業時 | 成長祝金
|
加入契約者が死亡または高度障害状態 | 保険料免除+お見舞い金50万円+養育年金(毎年)100万円+成長祝金 |
子が死亡 | 死亡保険金100万円 |
7.まとめ
学資保険は、より良い教育を受けるために戻り率も大切ですが、子供が安全に健やかに育つため万が一の備えを重視することも大切です。
加入契約者は加入目的をご家族とも話し合い、子の将来のために一番何が必要かを慎重に検討しましょう。その上で目的のために最もふさわしい保険選びを行うべきです。