配偶者と死別または離別し、ひとり親家庭となった方々もいらっしゃることでしょう。ひとり親家庭は、両親のいる家庭よりも年間収入は低い傾向があり、生活費や子の教育費、医療費で家計が圧迫される恐れもあります。
親族等から支援してもらう方法もありますが、親族と離れて暮らしている場合や、疎遠になってしまった場合には、それも難しくなります。
その場合には、年間収入の低い世帯や、ひとり親家庭を対象とした地方自治体の各支援策を活用しましょう。
しかし、年間収入が低くなったり、ひとり親家庭になったりしたとき、自動的に市区町村から支援が受けられるわけではありません。
家庭の大黒柱であるあなたが、各支援策の内容、条件を確認し市区町村へ申請を行う必要があります。
この支援策は各地方自治体で数多く行われており、どんな公的な支援制度がご自分の家庭に必要かを判断しなければなりません。
そこで、今回はひとり親家庭の支援について、「生活費」、「医療費」、「自立」、「その他」に分けて解説していきます。
この記事を読めば、数々の頼りになる支援策に加え、ひとり親と保険のことについても理解でき、様々な制度を活用するための良い参考資料となるでしょう。
目次
1.ひとり親家庭について
ひとり親家庭は生活費・医療費・教育費を賄うことが、経済的に厳しいとよく言われている。
それでも親子が健やかに生活していくことは大事だ。まずは、ひとり親家庭の平均年間収入はどの位なのだろう?
こちらでは、ひとり親家庭の平均年間収入と、地方自治体の支援策等について解説します。
1-1.ひとり親家庭の平均年間収入はどのくらい?
ひとり親家庭の最近の平均年収の調査結果が、厚生労働省により報告されています。
やはり、両親のいる家庭よりも、ひとり親家庭の年収は低い状況であることがわかります。
厚生労働省の公表した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、ひとり親世帯の平成 27 年の年間収入は下表の通りとなります。
平成27年 | 年間収入 |
児童のいる世帯 | 707.8万円 |
母子世帯 | 348万円(母親自身の収入243万円) |
父子世帯 | 573万円(父親自身の収入420万円) |
子がいるご夫婦の世帯は年間収入が約700万円ですが、母子世帯はその半分以下、父子家庭もその2/3程度と、年間収入は低くなっています。
特に母親自身の収入は平均で243万円なので、母1人だけで子を養育することは、子が進学するにつれどんどん難しくなっていくことも考えられます。
1-2.親族の援助も必要ではあるが・・・
ひとり親家庭であっても、親族や親類縁者がいる以上、何らかの支援を受けている世帯は多いことでしょう。孫のために教育費を肩代わりする祖父母もいらっしゃるはずです。
当然、親族や親類縁者とお住いの場所が近いなら、支援を受ける機会は多いと思いますが、遠く離れて暮らしていたり、親族等と疎遠になったりしているひとり親の場合は、それを頼りにするのは難しいことでしょう。
そうはいっても、ご自分が子を養育しながら困窮しない生活するためには、ご自分の年収の低さを補う何らかの対策を考えなければなりません。
1-3.地方自治体ではいろいろな支援策を行っている
日本全国の市区町村レベルの地方自治体では、厚生労働省や都道府県と協力しながら、ひとり親のみならず年収が低い世帯の子育てや医療費等の支援を行っています。
つまり、公的な助成金等の制度を利用するために、相談や申請の窓口になるのは、住民に身近な市区町村ということになります。
非常に支援制度は多種多様あり、その各制度の中からご自分の世帯に必要な支援を選ぶこととなります。
ただし、ご自分の世帯がひとり親世帯であったり、年収が低い世帯であったりしたら、地方自治体の方からいろいろな支援策を積極的に勧めてくれるわけではありません。
ご自分の世帯の家族構成、経済状態を考慮した上でご自分で申請する必要があります。
2.ひとり親家庭の生活費を考える・その1
ひとり親世帯こそ、様々な公的な支援策を確認して、活用することが大切であることはわかった。
市区町村の行う公的な支援策に児童手当制度がある。この制度の詳細な内容を是非知りたい・・・・。
こちらでは、児童手当制度とは何か?条件や申請方法について解説します。
2-1.児童手当制度とは
児童手当は、ひとり親家庭のみならず、全ての家庭の児童を対象とした手当金制度です。
しかし、すべての世帯が手当金を受け取れるわけではなく、所得によっては利用できない場合もあるので注意が必要です。
児童手当の支給対象は、中学校修了までに国内に住所を有する児童が対象です(15歳に到達後の最初の年度末まで)。
当然のことながら手当金を対象児童に渡すわけではなく、父母または児童が施設に入所しているならば施設設置者等が受給資格者となります。
〇手当月額
子の年齢や子の数でも支給額が異なります。
- 0歳~3歳未満:一律15,000円
- 3歳~小学校終了:(第1子、第2子)10,000円、(第3子以降)15,000円
- 中学校:一律10,000円
- 所得制限以上:一律5,000円(当面の特例給付となります。)
〇支払期日
毎年2月、6月、10月に支払われます。各前月までの分を支払われることになり、例えば、6月の支給日には、2月~5月分の手当金を受け取ることになります。
2-2.児童手当の条件
児童手当制度では、確実に児童のために手当金が支給されるよう次の条件があります。
〇手当金受け取りの条件
手当金の受給資格者は、現時点で児童と密接な関係にある人が対象です。
- 父母が離婚協議中等で別居している場合→児童と同居している親へ優先的に支給
- 父母が海外に住んでいる場合→日本国内で児童を養育する人を指定すれば、その指定者に支給
- 児童を養育している未成年後見人がいる場合→未成年後見人に支給
- 児童が施設に入所している場合・里親等に委託されている場合→原則としてその施設の設置者・里親等
〇所得制限限度額
扶養親族の数で、所得制限も変わってきます(内閣府「リーフレット「児童手当」平成30年度版を参考に作成)。
扶養親族数 | 所得制限限度額 | 収入額の目安 |
0人 | 622万円 | 833万3,000円 |
1人 | 660万円 | 875万6,000円 |
2人 | 698万円 | 917万8,000円 |
3人 | 736万円 | 960万円 |
4人 | 774万円 | 1,002万1,000円 |
5人 | 812万円 | 1,042万1,000円 |
2-3.児童手当の申請方法
新たに認定請求をする場合、原則、申請した月の翌月分から支給されます。
ただし、次のようなケースであれば申請月から支給されます。
- 初めて子が生まれた場合→出生により受給資格が生じた日の翌日から15日以内に申請
- 第2子以降の出生の場合→手当金額が増額される事由が発生した日の翌日から15日以内に申請
- 他の市区町村に住所が変わった場合→転入した日(転出予定日)の翌日から15日以内に転入した市区町村へ申請
新たに認定請求をする場合の必要書類は次の通りです。これらの書類を市区町村の窓口(主に児童福祉課等が担当)へ提示します。
- 認定請求書:請求先の市区町村から取得します。
- 印鑑
- 通帳等(請求者名義の普通預金口座)
- 請求者の健康保険被保険者証
- 個人番号カード等(請求者のマイナンバー確認書類)
- 運転免許証・パスポート等(請求者の本人確認書類):ただし、個人番号カードを提示すれば不要
- 課税(所得)証明書
なお、受給をその後も継続したい場合には、毎年6月に「現況届」を市区町村役場へ提出する必要があります。
3.ひとり親家庭の生活費を考える・その2
児童手当は適用範囲の広い制度で安心した。では、ひとり親家庭に特化した手当制度は無いものだろうか?
あれば詳細を知りたい・・・・。
こちらでは、児童扶養手当制度とは何か?条件や申請方法について解説します。
3-1.児童扶養手当制度とは
児童扶養手当とは、両親の離婚、父母の一方が亡くなってしまうなどして、母子家庭または父子家庭になった児童を対象に、市区町村から手当が支給される制度です。
児童扶養手当は、児童の母または父、もしくは父母に代わって児童を養育している人が受け取れます。
児童扶養手当の支給要件とされる子の年齢は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童、または20歳未満で政令で定める程度の障害のある子が対象です。
〇扶養手当月額
扶養手当の支給額は毎年改定されます。本年度の支給額(平成30年4月分~平成31年3月分まで)は次の通りです。
児童数 | 児童扶養手当支給額 |
1人 | 全額支給:月額42,500円
一部支給:所得に応じ月額42,490円~10,030円まで(10円単位で変動) |
2人 | 全額支給:42,500円+10,040円を加算
一部支給:所得に応じ月額42,490円~10,030円+10,030円~5,020円を加算(10円単位で変動) |
3人以上 | 全額支給:3人目以降1人につき6,020円を加算
一部支給:所得に応じ、3人目以降1人につき6,010円~3,010円まで(10円単位で変動) |
〇支払期日
児童扶養手当は毎年3回(2019年10月末まで)に分けて、市区町村から指定された金融機関の口座へ振り込まれます。
①現在~2019年10月末まで
- 12月支払(8、9、10、11月分)
- 4月支払(12、1、2、3月分)
- 8月支払(4、5、6、7月分)
②2019年11月~
支払回数が年3回から年6回に変わります。
- 1月支払(11、12月分)
- 3月支払(1、2月分)
- 5月支払(3、4月分)
- 7月支払(5、6月分)
- 9月支払(7、8月分)
- 11月支払(9、10月分)
3-2.児童扶養手当の条件
児童扶養手当の支給要件とされる年齢は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童、または20歳未満で政令で定める程度の障害がある子が対象となります。
〇児童のおかれた状況
年齢制限に加え、次の条件に該当することが必要です。
- 父母が離婚してどちらか一方に養育されることになった児童
- 父母のいずれかが亡くなった児童
- 父母のいずれかが重度の障害を患っている児童
- 父母のいずれかが生死不明となっている児童
- 父母のいずれかから1年以上遺棄されている児童
- 父母のいずれかが裁判所の保護命令(DVを回避するための措置)を受けている児童
- 父母のいずれかが1年以上拘禁(刑務所や拘置所に入所)されている児童
- 女性が未婚のままで生まれた児童
- 父母の双方が行方不明の状態である児童
〇所得制限限度額
扶養する児童等の数で、所得制限も変わってきます(厚生労働省「平成30年8月から、支給制限に関する所得の算定方法が変わります。」を参考に作成)。
扶養する児童等の数 | 所得制限限度額 | 収入額の目安 |
0人 | 49万円 | 122万円 |
1人 | 87万円 | 160万円 |
2人 | 125万円 | 215万7,000円 |
3人 | 163万円 | 270万円 |
4人 | 201万円 | 324万3,000円 |
5人 | 239万円 | 376万3,000円 |
3-3.児童扶養手当の申請方法
児童扶養手当を希望する場合は、お住まいの市区町村役場の窓口(主に児童福祉課等が担当)に申請書類等を提出し、認定を受ける必要があります。
申請者は基本的に児童を養育している父または母となります。必要な書類は次の通りです。
- 児童扶養手当認定申請書:請求先の市区町村から取得します。
- 印鑑
- 通帳等(請求者名義の普通預金口座)
- 申請者と対象児童の戸籍謄本(または戸籍抄本)
- 個人番号カード等(請求者のマイナンバー確認書類)
- 運転免許証・パスポート等(請求者の本人確認書類):ただし、個人番号カードを提示すれば不要
- 課税(所得)証明書
場合によっては、市区町村窓口から追加の書類を要求されることがあります。
なお、受給をその後も継続したい場合には、毎年8月に「現況届」を市区町村役場へ提出する必要があります。
4.ひとり親家庭の医療費を考える
ここまで紹介された手当制度は、子の養育費のための支援として役立つ内容となっている。
では、子の医療費を支援する制度にはどんあものがあるのだろう?
こちらでは、こども医療費助成制度とは何か?条件や申請方法について解説します。
4-1.こども医療費助成制度とは
日本全国の地方自治体(市区町村)では、児童の医療費に関しても「こども医療費(乳幼児)助成制度」があります。
ひとり親家庭のみならず、全ての家庭の児童を対象とした助成制度です。
この助成制度を申請することで、子が一定の年齢になるまで医療費が無料または減額される仕組みです。
こども医療費(乳幼児)助成制度の内容としては、次のような措置が上げられます。
- 0歳~未就学児(6歳到達年度末)まで:医療機関への通院や入院共に無料
- 小学1年生~中学3年生まで:(通院の場合)医療機関への初診時500円を支払い再診時は無料、(入院の場合)1回の入院につき10日目までは1日500円を支払い、11日目以降は無料
ただし、高額療養費制度のような公的な医療費軽減の制度を活用した場合、その支給額を差し引いて助成されることになります。
この制度を利用することにより、公的医療保険制度の適用の他、公的な助成制度でも子供の医療費が賄われ、ご家庭の金銭的負担は大きく軽減されることになります。
4-2.こども医療費助成の条件
児童を対象にした医療費助成は頼もしい制度ですが、前述した手当金制度のように、日本全国の市区町村で一律の条件・助成内容となっているわけではありません。
〇各市区町村で異なる条件
その地域の経済的な事情や子の出生率等、いろいろな条件を考慮し、各市区町村で異なった医療費助成の条件・助成内容があります。
例えば、お隣の市区町村で高校卒業までの子が医療費助成制度の対象となっても、ご自分が住んでいる市区町村では中学卒業までが対象となるケースもあるということです。
このような市区町村のバラバラの対応で、地域的な不均衡が最もあらわれている制度といえます。
〇所得制限がある市区町村も
子供の医療費助成制度は、どんなご家庭でも利用できるわけでは無く、各世帯の所得制限にも大きく影響される場合があります。
例えば、子供の医療費助成制度を利用する条件として、前年の所得状況により判定する市区町村も存在します。一例を上げます。
扶養する児童等の数 | 所得制限限度額 |
1人 | 570万円 |
2人 | 608万円 |
3人 | 646万円 |
4人 | 684万円 |
表のように給与所得等の上限額が定められ、この上限額を超えるご家庭だと、当該助成金制度の利用は原則として認められないことになります。
ただし、所得制限を既に撤廃した市区町村もあります。まずは、ご自分のお住いの市区町村で、どんな条件を設定してるのかを確認することが大切です。
4-3.こども医療費助成の申請方法
こども医療費(乳幼児)助成制度を利用したい場合、まず市区町村の窓口で担当者と相談した上、資格登録を行う必要があります。
この登録の際に必要な書類は次の通りです。
- 申請書:市区町村の窓口で取得します。
- 健康保険証:子の名前の記載された保険証が原則として必要です。ただし、子の健康保険証取得前でも申請可能です。
- 通帳等(申請者名義の普通預金口座)
- 個人番号カード・運転免許証・パスポート等(申請者の本人確認書類)
なお、市区町村から追加の書類を要求される場合があります。用意した書類は、市区町村の担当窓口(主に保険年金課等)に提示します。
5.ひとり親家庭の自立を考える
子の養育費と医療費に関する支援策があって、ひとり親家庭ならばこれらの制度を利用することが大切だ。
では、ひとり親がスキルアップして、より安定的な職業に就くための支援策はあるのだろうか?
こちらでは、自立支援教育訓練給付金制度とは何か?条件や申請方法について解説します。
5-1.自立支援教育訓練給付金制度とは
ひとり親家庭の母親または父親が、適職に就くために必要な資格や技能を取得することを支援する制度です。
ただし、どんな技能講座でも支援対象になるわけではなく、厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講した場合、受講料の一部が支給されます。
受講を始める前に、市区町村の母子・父子自立支援員による事前相談が必要です。
〇対象となる講座
希望者が次のような指定講座の中から選択することになります。
- 雇用保険制度における教育訓練給付の指定教育訓練講座
- その他、市区町村長が特に必要と認める講座
〇訓練給付金額
支給額は各ケースで異なります。
- 雇用保険制度から給付金の支給を受けることができない人の場合→対象講座の受講料60パーセント分(上限200,000円)
- 雇用保険制度から給付金の支給を受けることができる人の場合→上記の金額より雇用保険からの支給額を差し引いた金額
5-2.自立支援教育訓練給付金制度の条件
支給を受ける市区町村内に居住しており、20歳未満の子を養育しているひとり親家庭の母親または父親で、次のすべての要件を満たす人が該当します。
- 児童扶養手当の支給を受けている、または児童扶養手当の支給要件と同等の所得水準の人
- 講座を受講することが、適職に就くために必要であると認められる場合
- 原則として、過去に同じ給付金を受け取ったことが無い人
なお、自立支援教育訓練給付金制度を申請する前に、必ず市区町村窓口で事前相談が必要です。
子の相談の際に適職につくための必要かどうかが審査されます。受講する講座の資料を持参し、市区町村の窓口(主に子育て支援課等が担当)で相談を行います。
5-3.自立支援教育訓練給付金制度の申請方法
事前相談後に審査で給付金が必要と判断されたら申請に移ります。申請は二段階(講座申請・給付金の支給申請)に分かれます。
いずれも市区町村の窓口(主に子育て支援課等が担当)へ申請します。
〇受講対象講座指定申請
受講前に講座申請を行います。必要書類は次の通りです。
- 受講講座申請書:市区町村の窓口で取得します。
- 受講講座の資料
- 印鑑
- ひとり親家庭の親・児童の戸籍謄本等
〇給付金支給申請
講座を受けて修了の翌日から30日以内に、今度は給付金の支給申請を行います。
- 給付金支給申請書:市区町村の窓口で取得します。
- 講座の修了証明書
- 受講料の領収書
- 印鑑
- ひとり親家庭の親・児童の戸籍謄本等
なお、市区町村によっては追加の書類を要求される場合があります。
6.その他のひとり親家庭の支援策について
子の養育費や医療費、ひとり親の自立支援策は充実していることがわかった。
では、その他に支援策は何かあるのだろうか?
こちらでは、障害児のための支援策や、自治体だけではないNPO等の支援についても解説します。
6-1.障害児のための支援策
国が行っている制度として、「障害児福祉手当」があります。ひとり親であるか否かは問われず、身体的または精神的な障害のため日常生活を自力で送ることが難しく、常時介護を必要とする20歳未満の子が対象とです。
〇支給金額と支払時期
障害児福祉手当で支給される手当月額は一律14,650円となります。請求が認められると、申請月の翌月分から、毎年2月・5月・8月・11月に各月の前月分までの手当が支給されます。
受給を継続させたい場合、毎年8月に児童扶養手当現況届を提出しなければなりません。
〇所得制限限度額
扶養親族の数に応じて世帯所得制限も異なります。下表を参考にしてください。
扶養親族の数 | 本人 | 配偶者及び扶養義務者 |
0人 | 360万4,000円 | 628万7,000円 |
1人 | 398万4,000円 | 653万6,000円 |
2人 | 436万4,000円 | 674万9,000円 |
3人 | 474万4,000円 | 696万2,000円 |
4人 | 512万4,000円 | 717万5,000円 |
5人 | 550万4,000円 | 738万8,000円 |
〇必要書類
請求には次の書類が必要です。国の制度ですが、提出は市区町村が窓口(主に障害福祉課・心身障害者福祉センター等が担当)となります。
- 認定請求書
- 所得状況届
- 個人番号カード・運転免許証・パスポート等(申請者の本人確認書類)
6-2.こんな自治体の支援制度もある
地方自治体には「児童育成手当」という、児童扶養手当と似た制度もあります。18歳までの児童を扶養する母子(または父子)家庭が対象で、児童1人につき月額13,500円が支給されます。
各市区町村で受給の制限が異なるので、お住いの市区町村の窓口で内容を確認してみましょう。
また、児童育成手当や児童扶養手当、生活保護世帯を対象に電車・バス等の公共交通機関の利用割引や、上下水道料金・粗大ごみの手数料の減免措置をとる自治体もあります。
ご自分がお住いの市区町村で、このような減免措置を行っているかを確認し、これらの制度も積極的に活用することで、できるだけ生活費の軽減を図る努力を行ってみましょう。
6-3.NPO等でも支援の輪は広がっている
ひとり親家族を応援するNPOも続々と発足しています。ひとり親の子育てや経済的な悩みの相談、NPOが主催するイベントに参加することで、ひとり親同士のコミュニティ作りに役立つことが期待できます。
市区町村の窓口でも、ひとり親家族を応援するNPOを紹介していることがあるので、自治体の支援策を確認する傍ら、同じ立場や悩みを持つ者同士のつながりを作ることも検討してみましょう。
NPOには、病児保育専門スタッフを設けていたり、認可保育事業を行っていたりするユニークな団体もあります。
7.ひとり親と保険について
市区町村の取り組みや制度も素晴らしいが、民間でもひとり親家庭を支援する動きがあるのは素晴らしいことだ。
しかし、手当や助成制度を活用するばかりではなく、ひとり親であっても、自分の万が一の事態には気を配るべきだ・・・。
そこで、こちらではひとり親が検討するべき保険加入について解説します。
7-1.公的医療保険の納付額が減免されることも
公的医療保険では国民健康保険の場合、低所得世帯に対する保険料の減額措置があります。なお、申請は不要です。
所得申告(確定申告、住民税の申告、国保の所得申告のいずれか)を済ませ、下表に該当する世帯の場合、国民健康保険料のうち、均等割額(人数割額)と平等割額(世帯割額)が減額されます。
平成30年度の場合、低所得世帯に対する保険料の減額は次の通りです。
平成29年中の所得が下記の金額以下の世帯 | 減額割合 |
33万円 | 7割 |
33万円+(27万5千円×加入者数) | 5割 |
33万円+(50万円×加入者数) | 2割 |
7-2.ひとり親と民間の生命保険
ひとり親家庭は、大黒柱であるご自分が死亡または高度障害状態になった場合、特に子に対して経済的な困窮のリスクがダイレクトに発生します。
ご自分が会社員のような給与所得者なら、勤め先から死亡退職金の下りることも考えられますが、ご自分の勤め先の生活保障に不安を感じたり、自営業・自由業者であったりした場合には、子が生活に困窮しないように十分な備えが必要です。
そこでおすすめな生命保険が、「定期保険特約付終身保険」です。こちらは、定期保険と終身保険がセットになった保険商品です。保険内容としては終身保険がメインとなり、定期保険をオプションとして保険金を上乗せするという形になります。
ご自分が働き盛りの時、定期保険を加えて保障をより厚くし、その期間に死亡した場合は遺族(子)へ数千万円に上る多額の保険金が下ります。
その後、ご自分が退職間近になれば子も就職し、独り立ちすることでしょう。この時期には定期保険の保障期間が消滅し、終身保険のみが継続します。
つまり、子に最もお金のかかる期間に、ご自分にまさかの事態が起きた場合、死亡保険金等を手厚くできるのがこの保険の強みです。
7-3.ひとり親と民間の医療保険
ひとり親家庭である以上、親であるご自分が死亡等の事態にならないまでも、病気やケガで入院してしまうことがあります。
その場合、重い医療費によって生活が困窮してしまうリスクは、両親がいる場合よりも高まります。
このため、特にひとり親に関しては手厚い医療保険への加入を考慮に入れるべきでしょう。
例えば、入院給付金・手術給付金の他、医療機関への交通費を賄う通院給付金や、入院給付金(日額)の設定に加え、入院一時金という形で入院時にお金が受け取れる医療保険へ加入することで、下りたお金を子の養育費・教育費に充てる方法も良い備えと言えます。
大黒柱であるご自分が休業し、当分収入が見込めなくても、子の生活水準をできるだけ落とさない工夫は行うべきでしょう。
8.まとめ
ひとり親の場合、市区町村からいろいろな手当金制度や、助成金制度が用意されていても、周囲の助けが全く不要とはいえません。
ご自分の最も身近な存在である親族を頼れない場合は、他の方法を検討するべきです。
例えば、ご自分の生活圏にある、ひとり親家庭を支援するNPOへ相談したり、協力してもらったりして、生活を安定させる努力も必要になることでしょう。