公的医療制度があるけど、それだけで将来のケガや病気に対応できるのだろうか?
確かに、ご自身が家族の大黒柱であれば心配になるのも無理はありません。
手術や入院で休職ともなれば、収入の減少は避けられません。
その際に、金銭面での大きな助けになるのが「医療保険」です!
まさかの事態に保険会社から支払われる給付金は、医療費はもちろんのこと、収入が減少した時に生活費を補うお金にもなります。
とはいえ、医療保険には様々なタイプがあり、加入方法もなかなか複雑と言えます。
そこで今回は、まさかの事態へ備えるために医療保険の加入を希望される方へ、医療保険の特徴と注意点を解りやすくご説明いたします。
この記事を読んだ後は、ご自分の収入、健康状態、家庭の事情を踏まえて、どのような医療保険へ加入するべきかを判断する、良き参考資料となることでしょう!
目次
1.医療保険とは何?
- 1-1医療保険の特徴について
- 1-2医療保険を扱う国内生保と外資系生保との比較
- 1-3公的医療保険と保険会社の医療保険の関係
2.医療保険には定期型と終身型がある
- 2-1定期型医療保険の特徴
- 2-2終身型医療保険の特徴
- 2-3定期型と終身型どちらを選ぶ?
3.医療保険には掛け捨て型と貯蓄型がある
- 3-1掛け捨て型医療保険の特徴
- 3-2貯蓄型医療保険の特徴
- 3-3掛け捨て型と貯蓄型どちらを選ぶ?
4.医療保険と特約について
- 4-1医療保険の特約とは?
- 4-2三大疾病特約について
- 4-3女性疾病特約について
- 4-4がん特約について
- 4-5特約で追加するか?単独の保険に入るか?
5.医療保険に加入するには
- 5-1医療保険を申し込む
- 5-2医療保険に必要な書類
- 5-3申し込む際の注意点
6.告知義務について
- 6-1告知義務とは?
- 6-2告知義務違反になると
- 6-3告知書の記載には細心の注意を払うこと!
7.加入審査に落ちた場合の対応
- 7-1落ちても次の保険会社へチャレンジ!
- 7-2条件付きでOKという場合もある
- 7-3加入しやすい保険商品とは?
8.まとめ
1.医療保険とは何?
自分は家族の大黒柱としてバリバリ働いている。大きなケガも病気も今のところは経験が無い。
しかし、将来のことはわからないし、自分がその後に病気をして手術や入院をしてしまうことは十分考えられる。
そのためには、医療保険に加入するのが一番だとは思う・・・。
でも、医療保険に加入して何が得なのか正直ピンとこない。
そんな方のために、こちらでは医療保険の特徴、医療保険を扱う保険会社について、公的医療保険との関係について説明します。
1-1医療保険の特徴について
医療保険とは、病気やケガをした場合の手術・入院費用に関して給付金等を受け取ることができる、民間保険会社または共済が取り扱っている保険商品のことです。
ご自身が以前に大きな病気やケガもなく、普段は健康であっても、将来、病気やケガで手術・入院をしてしまう場合が考えられます。この、まさかの時の備えが「医療保険」です。
ただし、医療保険とは言っても各保険会社から現在でも多くの保険商品が登場しており、TVやインターネットで盛んに宣伝されているので、自分にふさわしい保険を選ぶ際に迷われることでしょう。
また持病や過去の傷病歴によっては加入できない保険商品もあれば、そもそも保険会社の医療保険自体にご自身が必ずしも加入する必要の無い場合もあります。
まず、医療保険の特徴を踏まえ、本当にご自身が医療保険に加入する必要があるのかという点を考えていきましょう。いざという時のために医療保険に加入する必要のある方は、以下の通りです。
①自営業者の方
自営業の方が病気やケガによる治療のために入院してしまうと、その分、収入が減って、入院費や治療費もかかります。
ご家庭をお持ちの方は、子の養育費、世帯員の生活費等の出費を負担しなければなりません。この様な場合に医療保険に加入していると給付金や一時金が出て、生活に係る出費をある程度抑えることも可能です。
逆に会社員の場合であるなら、医療保険に加入する必要性は勤務されている事業所の福利厚生の内容次第といえます。
会社等では、社員が病気やケガをして休職しても長期の療養が必要な場合に備え、労災保険(※1)や、医療保険をかけているケースがほとんどです。
このため、ご自身で保険に加入する前に、一度、勤務する会社の福利厚生の内容を確認してから加入を検討しましょう。
(※1)労災保険・・・業務中や通勤中の病気やケガ等を保障する保険です。
②貯蓄が充分ではない方
貯蓄が充分ではない方とは、まとまった額の貯金がなく、現在の状況で入院した際には医療費、そして家族の生活費等を補填することが難しい方が該当します。
この様な方が医療保険に加入すれば、金銭的負担の軽減を期待することができます。
病気やケガの程度、手術内容、入院期間により入院費や治療費は大きく異なりますが、それら費用が100万円を超えるケースも想定されます。そのために、医療保険に加入して備えておく必要があるのです。
1-2医療保険を扱う国内生保と外資系生保との比較
医療保険を扱うのは生命保険各社です。その保険商品の内容は各社とも様々ですが、ある程度、国内の生命保険会社と、外資系の生命保険会社では、扱う医療保険の内容に特徴があります。
①国内生保の医療保険
日本国内の生命保険会社の医療保険では、概ね保険のことを知らない方でも、保険の担当者が丁寧に内容を説明し、加入希望者にふさわしい保険商品を提案してくれることが特徴です。
また、医療保険契約後の対応もきめ細やかで、担当者に連絡をすれば質問に応じてくれますし、実際に給付金等を受け取れる場合には、親切に対応してくれることが期待できます。
ただし、保険加入者が支払う保険料は比較的高く設定されています。また、加入希望者によっては営業マンの営業行為に関して、「執拗な勧誘」と捉え、契約上のトラブルに発展してしまう事態も見受けられます。
②外資系医療保険
この医療保険は、外国の法人もしくは外国人が1/3以上の株式・持分を保有している保険商品を指します。
外資系の医療保険は、支払う保険料が比較的安く、保険商品をオーダーメイドで保障の内容を選び、ご自身に合った医療保険に加入できることが特徴です。
しかし、加入希望者には、ある程度の医療保険を知識を持ち合わせていることが必要とされます。
保険に関する知識が不足していると、保険商品をオーダーメイドで選ぶとしても、どのように商品を組み合わせるべきか、内容が複雑すぎて全く判断できないという事態になるかもしれません。
迷われた際には、保険会社の担当者に詳しい説明を受けながら選択していくしかありません。
国内の生命保険会社と、外資系の生命保険会社が扱う医療保険の比較を表にすると次の通りです。
国内生保の医療保険 | 外資系医療保険 | |
保険料 | 比較的高い | 比較的安い |
内容 |
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|
対応 |
|
|
注意点 | 営業マンの執拗な勧誘、不必要な保障内容の契約に誘導され、トラブルのおそれがある | 担当者のアドバイスが必要最小限で、自分に不必要な保障に加入してしまうおそれがある |
1-3公的医療保険と保険会社の医療保険の関係
公的医療保険とは、主に事業所の従業員(会社員等)が加入する「健康保険」と、主に自営業者、無職者が加入する「国民健康保険」があります。
加入していることで、医療機関で治療等を受けた際に医療費の3割を自己負担するだけで足りる医療保障制度です。
大きな手術等をしても高額医療費制度(※1)もあり、一見、公的医療保険だけで足りるように思えます。
しかし、前述したようにご自身が、手術・入院で休職した場合の収入の減少は、公的医療保険で賄うことはできませんし、入院の際に必要になる食事代や差額ベッド代、治療の際の先進医療に関しては保障の適用外になります。
この休職の際の収入の減少や、治療や入院に必要ではありますが保障外となるものを補う役割が、保険会社の医療保険にはあるといえます。
(※1)高額医療費制度・・・自己負担限度額を超えた分の医療費を支払った後に、請求をすることにより一定の金額が払い戻される制度のことです。
2.医療保険には定期型と終身型がある
医療保険には、国内の生命保険会社と、外資系の生命保険会社では、扱う医療保険の内容に差があって、公的医療保険にも保障の限界があるのはわかった。
しかし、医療保険は様々な商品が登場して、いろいろなタイプの保険内容があるはず、もっとタイプ別に知りたいものだ。
こちらでは、医療保険を「定期型」と「終身型」に分けて説明していきます。
2-1定期型医療保険の特徴
定期型医療保険とは、一定の期間内での保障が可能な保険のことです。例えば、5年または10年という一定のスパンで保障を受けられ、保険の見直しがしやすいという特徴があります。
毎月の支払う保険料は割安な場合が多く、経済的な負担をあまり感じずに、将来の病気やケガに備えることができます。
ただし、契約更新時に支払う保険料が値上がりし、その分の負担は大きくなってしまいます。
2-2終身型医療保険の特徴
終身型医療保険とは、生涯にわたり、いつ入院しても保障を受けられる保険のことです。
この保険は、一度契約をすると生涯支払う保険料は変わることはないので、支払う保険料が低い若い時期(20代・30代)で加入しておけば、その後も支払う保険料を安く抑えることができます。
ただし、保険料はもとより保障内容も固定化されたまま継続するため、後から登場した保険商品の方が、よりご自身に合った内容の商品だったということもあります。
2-3定期型と終身型どちらを選ぶ?
定期型医療保険と、終身型医療保険の比較を表にすると次の通りです。
定期型医療保険 | 終身型医療保険 | |
保障期間 | 一定の期間内 | 一生涯 |
保険料 | 比較的安い | 比較的高い |
注意点 | 契約更新時に保険料が値上がりして、その分負担感が増す | 保険料は上がらないが、保障内容が時代にそぐわなくなる可能性がある |
定期型医療保険の中には、若い世代の方(20代・30代)を対象に、毎月の保険料支払額が1,000円を切る商品も登場し、割安感があります。ただし、契約を更新すれば支払う保険料も値上がりしていきます。
一方、終身医療保険に加入すると、若い世代の方(20代・30代)は毎月の支払う保険料を抑えたままで継続することができます。
若い世代の方(20代・30代)での加入は保険各社とも毎月2,000円前後の負担で保障を継続できるのに対して、50代での加入になると毎月4,000円前後の負担となり2倍以上差が出ることがあります。
確かに若い内から終身医療保険へ加入することは、現状を維持していく上で「お得」であると言えます。
しかし、その後の医学の進歩により新しい治療方法が登場した場合には、その保障は対象外となります。
また、若い世代の方々は、将来的に結婚・出産を望んでいる方もたくさんいらっしゃると思います。
その結婚・出産が叶った時点で、お子さんや配偶者のために現在契約している保険内容を見直し、世帯員の生活に係る出費を補えるような、より手厚い保険へ加入したいと思い立つこともあるでしょう。
そのため、独身で貯蓄も少なく働き初めて年数が浅い若い世代の方は、まず格安の定期型医療保険に加入した後に、結婚や子の誕生を機に、更に保障内容が充実した終身型医療保険に加入し直すということも有効な選択肢といえます。
3.医療保険には掛け捨て型と貯蓄型がある
医療保険には一定期間保障されるものと、生涯にわたって保障されるものがあることはわかった。
しかし、医療保険の中には、毎月支払った保険料で貯蓄ができる医療保険があると聞いた。
貯蓄性のある保険と無い保険の特徴も知りたい・・・・。
そこで、こちらでは医療保険を「掛け捨て型」と「貯蓄型」に分けて説明していきます。
3-1掛け捨て型医療保険の特徴
医療保険を解約した場合にお金が戻ってこない商品のことです。毎月の保険料の支払額が比較的安く、保障の内容が現在の医学の治療方法に合わなくなってきた場合、他にご自身にとって都合の良い保険商品が出てきた場合に、見直しが容易なことが特徴です。
ただし、何十年も長期にわたって保険料を支払っても解約して戻ってくるお金はありません。
3-2貯蓄型医療保険の特徴
医療保険を解約した場合にお金が戻ってくる商品のことです。「積立型」とも言われています。
加入した保険内容や保険料の支払い期間によっては、解約した場合に高額な返戻金が期待できます。
また、貯蓄性(一定の時期に満期金や一時金の支給)があるため、貯金がなかなか思うようにできない方には有利な保険と言えます。
しかし、保険各社とも毎月の保険料の支払額を高く設定していること、短期間で解約する場合には戻るお金が少ないという特徴があります。
3-3掛け捨て型と貯蓄型どちらを選ぶ?
掛け捨て型医療保険と、貯蓄型医療保険の比較を表にすると次の通りです。
掛け捨て型医療保険 | 貯蓄型医療保険 | |
特徴 | ・解約返戻金(※1)が無い | ・解約返戻金がある
・満期金や一時金が支給される |
保険料 | 比較的安い | 比較的高い |
注意点 | 保険内容の見直しがし易い反面、解約した場合の保険料は戻ってこない | 解約をした時期により戻ってくるお金が少ない場合がある |
掛け捨て型医療保険は、解約返戻金がないものの、毎月の支払う保険料は安いことが特徴です。
一方、貯蓄型医療保険は、解約時に返戻金がもらえたり、一定の期間にわたって保険料を納めていれば、満期金や一時金がもらえるなど、保険料を通してコツコツ貯蓄して行きたい方に向く保険商品といえます。
ご自身の給料やボーナスを毎月コンスタントに貯蓄できている方なら、安い掛け捨て型医療保険で十分な備えになると言えます。
逆に、なかなか貯蓄ができない方は、なかば強制的にご自身の金融口座から差し引かれる保険料を貯蓄として、まさかの時に備える貯蓄型医療保険をお勧めします。
(※1)解約返戻金・・・医療保険を解約した際に戻ってくるお金のことです。
4.医療保険と特約について
貯蓄までできる医療保険があることはわかった。
しかし、医療保険に加入するからには本来保障されるべき、病気やケガに十分な備えとなることが大切だ。
医療保険で、どこまで病気やケガが保障されるか是非知りたい。
こちらでは、医療保険で十分に対応できない疾病であっても、「特約」を付ける形で保障される場合があることを説明します。
4-1医療保険の特約とは?
医療保険は、加入すれば病気やケガの全てが保障されると言うわけではありません。まずは、各保険会社のパンフレット等でどのような場合の病気やケガが保障される内容となっているかを確認しましょう。
なぜなら、がん、心筋梗塞、脳卒中は日本での死因が多いと言われ「三大疾病」と呼ばれる深刻な病気ですが、保障の対象外とされるケースが多いです。
女性特有の疾病である乳がん、子宮がん、卵巣がんも通常の医療保険では十分に保障されない場合があります。
また、男女とも発症してしまうと重大な事態になる胃がん、肺がん、肝臓がん等も通常の医療保険では保障が十分とは言えない場合が多いです。
このため、上記のような疾病の備えも充実させたい場合は、ご自身の医療保険に付け加える「特約」制度を活用しましょう。特約とは、主契約にオプションとして付加する保障のことを指します。
前述した、「三大疾病特約」、「女性疾病特約」、「がん特約」として保険契約の際に付加することで、保障範囲を拡大させることができます。ただし、月々の保険料の支払額は特約を付加した分だけ高くなります。
4-2三大疾病特約について
三大疾病とは、悪性新生物(がん)・心疾患(心筋梗塞)・脳血管疾患(脳梗塞)を指し、生活習慣病とも言われていて誰にでも発症の危険がある病気のことです。
こちらの特約を付けると、この疾病による入院の際、所定の条件を満たすと長期入院のサポートを目的として、給付金(日額)を無制限で保障している保険会社や、一時金を支給する保険会社が多いです。
4-3女性疾病特約について
女性特有の病気である子宮内膜症、子宮がん、乳がんや卵巣がん、帝王切開による出産等を対象とした特約のことを言います。
女性特有の病気になった場合は、一律で保障の対象外となるわけで無いですが、加入する医療保険によりその保障内容は異なります。
女性特有の病気で手術や入院することになった場合に、特約を付けていると、通常の医療保険と比較して給付金が2倍受け取れる等の保障があります。
4-4がん特約について
男女とも発症してしまうと重大な事態になる胃がん、肺がん、肝臓がん等も通常の医療保険に特約を付加することで、一時金の支給等が受けられます。
ただし、特約の場合には、単独のがん保険のように手術をすれば手術給付金、入院をすれば入院給付金、通院でも通院給付金がケース毎に支払われるわけではなく、広範囲な保障をサポートするオプションの一つと言う位置付けになります。
4-5特約で追加するか?単独の保険に入るか?
「三大疾病特約」、「女性疾病特約」、「がん特約」いずれも医療保険のオプションと言えます。
つまり主契約の医療保険に付け加えられたサービスであり、保障の範囲を広げるということでは付加する意味がありますが、単独の保険である「三大疾病保険」、「女性疾病保険」、「がん保険」ほど、手厚い保障が受けられるとは一概に言えません。
そのため、今までずっと健康だったが家庭の大黒柱であり、自分が倒れてしまうと家計の負担が重くなるから、通常の病気やケガに加えて、重大な疾病にかかった場合の保障も念のため加えておく、という場合であれば特約の付加で十分と考えます。
しかし、生活のリズムが不規則で脳卒中や心筋梗塞になるかもしれない、ご自身の家系でがんを発症した方が多い、女性特有の病気に祖母も母親もかかったことがあるという場合には、それぞれ単独の保険に加入し、きめ細やかな保障を受けることを検討しておくのも大切なことです。
5.医療保険に加入するには
通常の医療保険だけでは、なかなか満足な保障が受けられない場合もあることが理解できた。
でも、今のところ大した病気をしたことは無いので、医療保険に加入して、いざと言う時の備えを準備したい。
こちらでは、医療保険に加入するための手続きと注意点を説明します。
5-1医療保険を申し込む
医療保険は、ただ申し込むだけで加入できるという商品ではありません。
医療保険の加入は、保険加入希望者と生命保険会社の双方が保険契約を結ぶことで決定されます。つまり、片方でも契約の締結に難色を示せば加入することができないと言うことです。
生命保険会社は、契約の相手方である加入希望者が信頼のおける人で誠実であるかどうか、職業や傷病歴を含めた個人情報を審査し、契約を締結するか否かを決めることになります。
5-2医療保険に必要な書類
医療保険を申し込む際に必要な書類は、概ね以下のものを準備します。
1.申込書・・・医療保険への加入を申し込む旨を記載する書面です。
2.意向確認書・・・申込を行う保険商品が、加入希望者のニーズに合致しているものか否かを、契約を締結する前に確認するための書類です。
3.告知書・・・加入希望者が傷病歴等を記載する重要な書類です。
4.本人確認書類・・・主に運転免許証やパスポート、マイナンバーカードをはじめとした加入希望者本人と確認できるものを指します。
5-3申し込む際の注意点
申込書、意向確認書、そして告知書には、必ず嘘偽りなく、あえて記載しないと言うこともせずに、誠実に事実を記載しましょう。
嘘の記載や、不都合だからと事実を記載しないと、契約の際にそのことが発覚した場合には契約不成立、契約を締結し後に発覚した場合にも契約解除等、重大な事態が生じるおそれがあります。
6.告知義務について
医療保険に加入する場合には、いろいろと申し込むための書類が必要なことはわかった。
でも、自分の個人情報なんて加入者が多くて保険会社は詳しくなんて調べないし、嘘を書いたってバレない・・・。
いえ、バレます。
こちらでは、加入審査の際に重要な判断材料になる告知書と、告知義務に違反すればどうなるかを説明します。
6-1告知義務とは?
生命保険各社は、全ての保険加入者(被保険者)と公正かつ公平な条件で給付金を支払う必要があるため、各保険加入者と契約した内容や、告知書に記載した内容を確認しなければなりません。保険加入者本人も、公正かつ公平な条件に従い、正確な告知をしなければならない義務があると言うことです。
告知書の内容は各保険会社により異なりますが、主に以下のようなことを記載します。
①加入希望者の氏名、性別、年齢、生年月日、住所、職業、身長・体重等の記載
②過去の手術、入院の有無
回答の仕方は「はい」or「いいえ」をチェックし、過去に診察や手術歴等がある場合に、事実を記載する欄へ詳細な経緯・結果を記載します。
主に以下のような事実があるか否かを質問されます。
- 最近3ヶ月以内に医師による診察や検査、治療等を受けたか
- 過去5年以内に病気、ケガが原因で入院や手術を受けたか
- 過去2年以内に健康診断、人間ドック等で、「要再検査」または「要治療」、「要経過観察」という形で異常を指摘されたことがあるか
以上のような内容を、診療に関する書類等やご自身の過去の記憶を辿りつつ、慎重かつ正確に記載する必要があります。
6-2告知義務違反になると
保険加入を拒否されることを恐れて嘘の記入をしたり、わざと傷病歴等の事実を告知しなかったり、不注意で事実を記載し忘れたりした場合、「告知義務違反」になることがあります。
医療保険契約を締結した時点はもとより、加入してから長期間が経過した場合も、更にケガや病気をして給付金が支払われる段階であっても、違反が発覚するとやはり告知義務違反になります。
この場合は、生命保険会社から契約を解除されてしまい、必要な時に給付金が下りないという事態を招く可能性もあります。
6-3告知書の記載には細心の注意を払うこと!
告知書には、正直に事実を記載して、わざとでは無いにしても不注意による記載漏れもできるだけしないようにして、正確な情報を伝えることに努めましょう。
ご自身の健康状態を「実はこうである。」と、保険会社の担当者に口頭で伝えただけでは告知に該当しません。
告知書に面倒ではありますが、しっかりと記載することこそ、いざという時に給付金が受け取れないという状況を回避する備えとなります。
7.加入審査に落ちた場合の対応
告知書をはじめ提出書類には、全て真実を記載した。
これで加入できる・・・・。
ただし、傷病歴によっては契約不成立となる場合があります。
こちらでは万が一、加入審査に落ちてしまった場合の対策について説明します。
7-1落ちても次の保険会社へチャレンジ!
希望していた保険に加入できなかったことは無念ですが、生命保険各社から様々な医療保険が登場しています。ご自身に合う保険商品はたった一つではありません。
加入の審査基準は全ての保険各社に共通するものではなく、保険会社ごとにそれぞれ審査基準が異なっています。
そのため、「保険会社Aの審査に落ちたけども、保険会社Bの審査には見事に通った。」ということもあるのです。
医療保険の加入を希望する際には、複数の保険会社の資料を取り寄せ、あらかじめ気に入ったいくつかの商品を選んでおきましょう。そして、「こちらの保険会社の審査に落ちたら、次はこの保険会社の加入を目指す。」と言うように、落ちてもその度に頭を切り替えて、粘り強く加入を目指すことをお勧めします。
7-2条件付きでOKという場合もある
提出した書類を審査した保険会社の回答は、「契約成立」、「契約不成立」だけではありません。
「条件付きで契約が成立」する場合もあります。これは、過去に病気やケガした部分の保障を除いて契約するのなら、医療保険に加入できますよ、というものです。これを「部位不担保」と呼んでいます。
この条件付きの場合は、加入希望者が過去に病気やケガした部分の保障を除いてもかまわないのなら契約が成立します。
一方で、その部分も保障しなければ嫌だという場合には、契約は成立しません。
7-3加入しやすい保険商品とは?
複数の保険会社と契約をしようとしても、過去に傷病歴等があるため加入が難しい状態にあるなら、審査条件を緩和または審査すらしない保険商品もあります。次の2種類があります。
①引受基準緩和型医療保険
保険会社の引受基準が緩和されている保険商品のことです。持病等があっても加入できる可能性が期待できます。
しかし、毎月の支払い保険料が割高で、受け取れる給付金の額が低く抑えられてしまうなどの傾向があります。
②無選択型医療保険
健康状態に関係なく、どなたでも加入することできる保険商品のことです。しかし、こちらも毎月の支払い保険料が高くなり、受け取れる給付金の額が低く抑えられてしまいます。
8.まとめ
医療保険には、さまざまなタイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。医療保険に加入する際も、書類の記載に手間取ることもあるかと思います。
しかし、生命保険各社が提供する保険商品は、日々進歩しており、ご自身の役に立つ保険商品も存在するはずです。
今回の記事を参考に、是非、ご自身のニーズに合った保険商品を発見してみてください。