みなさんは、自動車保険に、「免責」があることをご存じでしょうか?
「免責」とは、「責任を免れる(まぬがれる)」ことを指して言います。
保険契約の場合では、保険会社が保険金を支払わなくてもよいとされている、特定の条件のことを、「免責事項」(または、「免責事由」)と言っています。
どのような保険契約であっても、「免責事項」(または、「免責事由」)は、必ず、約款に記載されています。
また、自動車保険には、「免責事項」(または、「免責事由」)の他にも、車両保険に加入する際に設定する、「免責金額」といったものがあります。
今回は、保険料に関わってくる自動車保険の、「免責金額」を中心に、自動車保険の「免責」について、詳しく解説していきます。
上手に利用すれば、保険料をリーズナブルすることも可能な、「免責」。
でも、後になって、後悔することになっては、元も子もなくなってしまいますよね。
この機会に、自動車動車保険の「免責」を正しく理解して、ナットクの保険料で、自動車保険を備えましょう!
目次
1.自動車保険をおさらいしよう!
自動車ユーザーの方でしたら、すでに、自賠責保険には、ご加入されているのではないでしょうか?
自賠責保険は、法律で、加入することが義務づけられている、自動車保険ですよね。
自賠責保険に加入しないまま、運転してしまうと、重い罰則が課されることが、法律で決まっています。
また、運転するだけでなく、運転している車の中に、自賠責保険の保険証(自賠責保険証明書)が携行されていない時も、懲罰の対象とされています。
このように、自賠責保険は、法律によって、加入することや、保険証の携行が義務づけられいる、非常に、強制力の高い保険であることから、「強制保険」とも言われています。
一方、自動車保険には、加入するかしないかを、個人の意思で選択できる自動車保険もあります。
こちらは、自由意志(=任意)で加入を決めることができるため、任意保険(=任意の自動車保険)と言われています。
「強制保険(=自賠責保険)」と、「任意保険(=任意の自動車保険)」。
自動車保険には、2つのタイプがあります。
それぞれの違いについて、さくっと、おさらいしてみましょう。
1.1強制保険と任意保険の違いって?
強制保険(=自賠責保険)と任意保険(=任意の自動車保険)の一番の違いは、加入するかしないかを自由に決められるか否かですが、それ以外にも、事故の時に支払われる保険金の上限金額にも、違いがみられます。
強制保険(=自賠責保険)では、保険金の上限金額が、法律で決められており、もしも仮に、事故での賠償金が、上限金額を超えてしまった時には、自己負担する必要があります。
また、被害者のいない単独事故(いわゆる、自損事故)で、運転している人がケガをしたり、なにかの物を壊してしまった時に、強制保険(=自賠責保険)では、補償を受けることができません。
これは、強制保険(=自賠責保険)が、自動車事故で被害にあった人の救済を第一の目的としていることに関係しています。
強制保険(=自賠責保険)は、どちらかというと、公的な意味合いの強い自動車保険であるため、保険金の支払い対象になる人や、補償される範囲が、法律によって、制限されています。
一方、任意保険(=任意の自動車保険)は、個人の自由意志で加入できる自動車保険です。
任意保険(=任意の自動車保険)は、強制保険(=自賠責保険)ではカバーされない単独事故(いわゆる、自損事故)に備えたり、相手方への賠償金が、強制保険(=自賠責保険)の上限金額を上回るようなケースに備えて、保険金の金額に、上限金額を設けずに加入することも可能です。
●強制保険(=自賠責保険)と任意保険(=任意の自動車保険)の違い
強制保険(=自賠責保険) | 任意保険(=任意の自動車保険) | |
加入義務 | 有 | 無(任意) |
補償を受ける人 | 相手・同乗者 (ケガの治療費や休業補償・死亡保険金・後遺障害保険金) | 運転者本人・相手・同乗者 (ケガの治療費や休業補償・死亡保険金・後遺障害保険金) |
補償を受ける物 | 無 | 相手の所有物(車など)・第三者の所有物・運転者本人の車、物など |
保険金の上限金額 | 法律によって制限あり (傷害120万円・死亡3,000万円・後遺障害4,000万円まで) | 任意で設定 (対人対物無制限など、制限を設けずに加入できる) |
2.自動車保険の免責って?
加入義務の有無や、保険で補償を受けることが可能な範囲、上限金額が制限されているか否かなど、強制保険(=自賠責保険)と、任意保険(=任意の自動車保険)では、それぞれに違いがみられますが、「免責」についても、2つの自動車保険では、異なっています。
次に、強制保険(=自賠責保険)と、任意保険(=任意の自動車保険)の、「免責」について、見ていきましょう。
2.1故意免責って?
「故意免責」とは、「わざと、自動車事故を引き起こした時には、保険金が支払われない」としている契約条項のことを言います。
たとえば、任意保険(=任意の自動車保険)では、保険を契約している車で、相手に対して、「ケガをさせようと思って、ケガをさせた」(これを、確定的故意と言います)ケースでは、保険金が支払われないことが、約款に記載されています。
また、「ケガをさせるかもしれないが、ケガさせてもかまわない」(これを、「未必の故意」と言います)といったケースも、「故意(=わざと)」にあたるものとして、「故意免責」として扱われることが、一般的です。
一方、強制保険(=自賠責保険)では、「故意」ではなく、「悪意」によるケースが、「免責」に該当します。
強制保険(=自賠責保険)の、「悪意」と、任意保険(=任意の自動車保険)の、「故意」は、どちらも同じく、「わざと」という意味なのですが、強制保険(=自賠責保険)では、「悪意」=「不正に他人を害する意思(=害意)」として、解釈されています。
たとえば、自動車事故の原因になった、「ケガをさせるかもしれないが、ケガさせてもかまわない」行為は、任意保険(=任意の自動車保険)では、「故意」には該当していますが、強制保険(=自賠責保険)での、「悪意」には、該当しません。
任意保険(=任意の自動車保険)では、「ケガをさせようと思って、ケガをさせた(確定的故意)」ケースと、「ケガをさせるかもしれないが、ケガをさせてもかまわない(未必の故意)」ケースを区別せずに、両者とも、「故意免責」にあたるものとして、契約条項に含まれています。
一方、強制保険(=自賠責保険)では、「確定的故意」にあたるケースのみを、免責としているため、「未必の故意」は、免責事由として挙げられていません。
具体的には、強制保険(=自賠責保険)での「悪意」とは、刑事事件で、確定的故意犯(いわゆる、確信犯)として有罪判決を受けるようなケースや、殺人罪が成立するようなケースなど、他人に害を与えようとする意思が明確であるとされるケースが、強制保険(=自賠責保険)では、「免責」に該当しています。
2.2異常危険免責って?
「異常危険免責」とは、「予測不可能な異常危険時には、保険金が支払われない」としている契約条項のことを言います。
「異常危険免責」の事例には、おもに、次の4つのものがあります。
1.戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱、その他の事変、暴動 2.地震、噴火、これらを起因とする津波 3.核燃料物質や、それによって汚染された物の放射性・爆発性に起因する事故 4.3.以外の放射線照射、または、放射能汚染 |
2.3告知義務違反免責って?
自動車保険では、契約する際に、保険会社が告知するように求めている項目が、いくつかあります。
保険に加入する人は、保険会社から告知を求められた項目について、事実を正確に報告する義務があります。
これを、「告知義務」と言います。
任意保険(=任意の自動車保険)の「告知義務」には、具体的に、次のようなものがあります。
1.契約する自動車の情報 (用途車種、登録番号、使用目的など)
2.記名被保険者(=おもに、運転する人)の情報 (年齢、性別、氏名、免許証の色など)
3.契約者の自動車保険契約台数 (10台以上かどうか)
4.以前に自動車保険を契約していたのであれば、その時の等級、事故の有無など
5.他に、自動車保険を契約していないか (重複保険契約)
「告知義務違反免責」とは、もしも、「告知義務に違反していたことが判明した場合には、保険金が支払われない」としている契約条項のことを言います。
また、保険会社は、告知義務違反がみとめられる場合には、保険契約を解除することができます。
ただし、一般的には、差額分の保険料を納めるなどして、なんらかの回避措置がとられるため、告知義務違反=契約解除とはならないことが、通例です。
また、強制保険(=自賠責保険)での告知義務には、1.自動車の番号(ナンバープレートや、車体番号)、2.自動車の種別の2つがあります。
告知義務違反がみとめられると、契約の解除が行われます。
ただし、強制保険(=自賠責保険)では、契約した人が解除の通知を受けた日から、7日間の猶予を経た後に、解除が行われます。
任意の自動車保険には、こういった猶予期間はありません。
強制保険(=自賠責保険)では、5.他に、自動車保険を契約していないか(重複保険契約)があった場合、「免責」とされています。
もしも、重複加入している場合であれば、契約日の新しい保険契約は、解約手続きがとられるため、結果的に、通常の契約(自動車1台につき1契約)として扱われることになり、重複契約していた場合であっても、2台分の保険金が支払われることはありません。
つまり、強制保険(=自賠責保険)で、重複契約があった場合、1台分以外の契約は、「免責」されることになります。
2.4限定特約免責って?
強制保険(=自賠責保険)では、保険料は、ほぼ一律、自動車の区分や、お住まいの地域によって、多少の違いはありますが、基本的には、決められた金額の保険料を納めます。
一方、任意保険(=任意の自動車保険)は、保険で補償される範囲を限定(狭く)することで、保険料をリーズナブルにすることができます。
たとえば、記名被保険者(=おもに、運転する人)の年齢を限定したり、補償を受ける人の範囲を本人や家族に限定することで、範囲を限定していない時に比べると、保険料を割安にすることができます。
ただし、限定した範囲からはずれていると、万が一の時、補償を受けることができません。
たとえば、記名被保険者(=おもに、運転する人)の年齢を、26歳以上に限定している場合では、その年齢以下の人が、運転している時に、万が一、自動車事故を起こした時には、補償されません。
これを、「限定特約免責」と言います。
「限定特約免責」は、上手に利用すれば、保険料を抑えることができますが、いざという時に、きちんとカバーされるかどうかを、注意する必要があります。
以上の4つ以外にも、1.国や自治体などの公的権力が行使された時の損害や、2.詐欺や横領による損害、3.競技や曲技などへ使用したケースで、任意保険(=任意の自動車保険)では、「免責」とされていることが、一般的です。
3.自動車事故!補償はどうなる?!
ここで少し、自動車事故を起こしてしまった時のことを考えてみましょう。
ちょっとした不注意や気のゆるみから、もしも、自動車事故を起こしてしまった時、第一にするべきは、ケガをした人がいないかどうかの確認です。
ケガをした人がいるのであれば、救急車を呼ぶなどの救護活動をしなければなりません。
ケガ人の救護は、事故の当事者だけでなく、同乗者がいる場合では、同乗者にも課されている、法的な義務です。
ケガ人の救護をした後、ハザードランプを点灯するなどして、後続車に、事故がおきたことを知らせたり、事故の車を動かせることができるのであれば、車を路側帯に移動させるなどして、歩行者や後続車に、2次被害がおきないように、安全措置をとらなければなりません。
その後、110番をして、警察官が臨場するまで、原則、事故現場にて待機します。
真っ先に、保険会社に連絡をしたり、110番をしようとする人もみられますが、①119番(救急車)、②安全措置(2次被害の防止)、③110番(警察)が、事故時の正しい順番です。
事故を起こした時には、必ず、管轄している警察署に、届け出をしなければなりません。
事故を届け出ることは、法律で定められている、自動車ユーザーの義務です。
もし、届け出をしないでいると、あとあとになって不利益を被ることになったり、場合によっては、懲罰を課されることがあります。
事故の届け出をする時には、「人身事故」にするか、「物件事故」にするかを、決める必要があります。
「人身事故」とは、ケガをした人がいる自動車事故のことを言います。
「物件事故」とは、ケガをした人が誰もおらず、物だけが壊れた事故のことを言い、一般的には、「物損事故」と言われています。
届け出は、原則、事故の当事者が、一緒に、提出することとされています。
一見して、ケガ人がいる時には、「人身事故」で届け出をすればよいのですが、自動車事故の場合、後から身体にダメージが出ることもあります。
ですから、できれば、当事者だけでなく、同乗者の方がいるのでしたら、その方も一緒に、病院で検査を受けて、事故によるダメージが、本当にないかかどうかを確認してから、届け出をすることが、理想的です。
その後、当事者の加入している、保険会社に、おのおので、連絡をします。
「人身事故」であった場合、相手方の強制保険(=自賠責保険)から、ケガの治療費や、入通院慰謝料、休業補償費などが、支払われます。
もし、任意保険(=任意の自動車保険)に加入している場合であれば、強制保険(=自賠責保険)でカバーされない自己負担分が、任意保険(=任意の自動車保険)の「賠償責任保険」の中の「対人賠償保険」から、カバーされます。
「物件事故」である場合は、強制保険(=自賠責保険)から、補償を受けることはできません。
もし、相手方が任意保険(=任意の自動車保険)に加入しているのであれば、相手方の「賠償責任保険」の中の「対物賠償保険」から、車の修理代や代車の費用などが、カバーされます。
同乗者の方のケガについては、ご自身と、相手方の強制保険(=自賠責保険)から、損害賠償金(治療費や慰謝料、休業補償費)が支払われます。
また、同乗者の方が配偶者(妻や夫)や、お子さんなど、ご自身のご家族である時には、強制保険(=自賠責保険)や、相手方の「対人賠償保険」以外に、ご自身でも、任意保険(=任意の自動車保険)の中の、傷害保険(「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」)に加入している場合であれば、そちらからも、補償を受けることができます。
3.1自損事故!補償はどうなる?!
「物件事故」では、相手がいない「単独事故(=自損事故)」のケースがあります。
「単独事故(=自損事故)」とは、いってみれば、自分の不注意で、自分がケガをしたり、自分の車を傷つけてしまう自動車事故です。
このような場合、ご自身が加入している強制保険(=自賠責保険)に、損害賠償を請求することはできません。
相手もいないため、相手方の賠償責任保険(対人賠償・対物賠償)に、請求することもできません。
また、自損事故であっても、110番をして、事故の届け出をしなければなりません。
ガードレールや電柱、ブロック塀や、建物を壊してしまった時に、届け出をせずに、そのまま放置してしまうと、「あて逃げ」として、懲罰が課されることもあります。
任意保険(=任意の自動車保険)に加入している場合であれば、「単独事故(=自損事故)」で、ケガをした時には、「自損事故保険」が自動付帯されていますので、ケガの治療費などをカバーすることができます。
強制保険(=自賠責保険)から、運転していた人の治療費などは、カバーされませんが、同乗者がいる場合に、もし、ケガをされてた場合には、強制保険(=自賠責保険)に、請求することができます。
その他、任意保険(=任意の自動車保険)の「傷害保険」の中の「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」を付帯しているのであれば、ご自身のケガや、同乗者の方の補償を受けることができます。
なにか物を壊してしまった時には、損害賠償保険の中の「対物賠償保険」で、カバーすることもできますが、ご自身の自動車については、任意保険(=任意の自動車保険)で、「車両保険」を契約付帯している場合でなければ、修理費用などをカバーすることはできません。
3.2無責事故ってナニ?!
「自損事故(=単独事故)」では、「物件事故」だけでなく、相手がいるケースもあります。
たとえば、道路を走行中に、センターラインをオーバーして相手の車と接触(衝突)した時や、信号無視が原因の事故、停車中の相手の車に後続から追突した時には、相手方に責任を問うことができません。
相手に責任を問えない事故のことを、「無責事故」と言います。
強制保険(=自賠責保険)では、特に、1.センターラインオーバー、2.信号無視、3.停車している車に追突する事故を、「無責事故3大原因」として、保険金の支払い対象から除外されています。
「無責事故」は、相手がいる事故であったとしも、事故の形態としては、自損事故(=単独事故)として扱われます。
任意保険(=任意の自動車保険)に加入している場合、「無責事故」で、ご自身がケガをした時には、「自損事故保険」や、「傷害保険」の中の「人身傷害保険」、「搭乗者傷害保険」、なにか物を壊してしまった時には、損害賠償保険の中の「対物賠償保険」で、カバーすることができます。
また、ご自身の自動車については、任意保険(=任意の自動車保険)で、「車両保険」を付帯している場合であれば、修理費用などをカバーすることができます。
3.3自損事故の免責って?
自損事故で、飲酒して運転していた時や、無免許運転、麻薬などの危険薬物を使用していた時の事故であった場合、保険会社は、保険金の支払い義務を負いません(免責されます)。
また、事故でケガをした人が、運転していた人や、ご家族(両親や配偶者、子供)の場合、「対人賠償保険」は、「免責」されます。
また、自然災害(地震・噴火・地震による津波・噴火による津波損害や、台風・洪水・高潮)が原因の自損事故では、「対物賠償責任保険」も、「免責」されます。
●自損事故での「免責」
対人賠償保険 | 対物賠償責任保険 | 自損事故保険・人身傷害保険・搭乗者傷害保険 | |
故意の事故 | × | × | × |
飲酒運転・無免許運転・麻薬服用時 | × | × | × |
父母・子供・配偶者が相手 | × | - | 〇 |
戦争や内乱、暴動 | × | × | × |
地震・噴火・これらによる津波 | × | × | × |
台風・洪水・高潮 | × | × | × |
4.車両保険の免責って?
車両保険は、人身事故や、物件事故(自損事故を含む)など、事故の形態に関わらず、事故によるご自身のお車の修理費用などが、カバーできる任意保険(=任意の自動車保険)です。
ただし、どのような事故であっても、補償を受けられるといったことはありません。
車両保険から、保険金が支払われない、「免責」にあたる契約条項には、次のようなものがあります。
1.故意、または重大な過失による損害(契約者、被保険者、被保険自動車の所有者、保険金受取人)
「故意」には、「確定的故意」と、「未必の故意」が含まれます。
「重大な過失」とは、無免許運転や、飲酒運転、酒気帯び運転、制限速度を30kmオーバーしている時などのケースが該当します。
また、薬物(麻薬や、大麻、アヘン、覚せい剤、シンナーなど)の使用で、正常な運転ができないと判断される時も、「重大な過失」としてみなされ、「免責」とされています。
2.無免許運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた損害(被保険者)
1.と重複しますが、無免許運転や、飲酒運転、酒気帯び運転、薬物による影響下での運転も、「免責」とされています。
3.欠陥、摩滅、腐食、さび、その他の自然消耗によって生じた損害
保険に加入する自動車の欠陥や、ブレーキパッドの摩耗、部品の腐食やさびなどは、車両保険で補償を受けることができません。
4.パンクなどタイヤのみに生じた損害
タイヤのパンクや、クラック、タイヤのみ盗難やイタズラ被害も、「免責」とされています。
5.契約車両に「定着」されていない付属品の損害
「定着」とは、ボルトやネジで固定されいている状態のことを言います。
たとえば、カーナビゲーションや、カーステレオ、エアコン、カーテレビは、「定着」されているとはみなされず、「免責」されます。
6.競技・曲技に使用すること、競技・曲技を行う目的とする場所において使用している場合に生じた損害
競技とは、カーレースや走行会、ラリーなどのことを言います。
曲技とは、サーカスなどでの使用のことを言います。
使用するだけでなく、使用を目的として会場などに駐車している時に損害を受けた場合も、「免責」されます。
その他、詐欺や横領によって損害を受けた時や、違法に車を改造した時は、「免責」とされています。
また、戦争、内乱、暴動などの異常事態による損害や、地震、噴火、地震津波、噴火津波によって生じた損害も、「免責」になります。
ただし、同じ自然災害であっても、車両保険では、台風、洪水、高潮については、「免責」にならないことが、一般的です。
車両保険は、補償する損害を限定するタイプや、限定しないタイプなど、いくつかのタイプに分かれています。
損害を限定しないタイプであれば、地震、噴火、地震津波、噴火津波によって生じた損害も、一定の条件(車両が全損となった場合など)を満たすことで、一定の金額(50万円など)が支払われる車両保険もあります。
5.車両保険の免責額、いくらが正解?
車両保険では、事故による損害だけでなく、盗難被害や、落書き、いたずら被害、あて逃げ、飛来物による被害など、さまざまなトラブルによって生じた、ご自身のお車の修理費用や、買い替え費用に備えることができます。
近年、特に、注目されているのが、台風や、強風による被害です。
以前では、車両保険は、おもに、盗難被害に備えて加入することが、多くみられました。
たとえば、新車で自動車を購入した場合、購入代金を一括払いするのではなく、自動車ローンを利用して購入することが、一般的です。
もしも、ローンを支払っている最中に、万が一、盗難被害にあってしまうと、残金の支払いだけが残ってしまううえ、生活上、どうしても自動車が必要である時には、新たに購入するため、場合によっては、2重にローンを支払わなければならなくなります。
こういった事態に備えて、新車で購入する際には、車両保険をつけることが、一般的でした。
その後、自動車の価値が下がる(これを、型落ちと言います)タイミングで、車両保険の補償ははずします。
しかしながら、昨今、台風による水害や、風害が、以前とは比べようがないほど、甚大になることが、珍しいことではなくなっています。
お住まいの地域によっては、毎年、台風がくるたびに、車を買い替えなければならなくなる事態なども、現実味をおびています。
車両保険では、修理にかかる費用を、一部、自己負担することで、保険料を低くすることができます。
この自己負担する金額のことを、「免責金額」と言います。
「免責金額」は、通常、1回目と、2回目以降の事故の金額を組み合わせて選択します。
たとえば、0-5万円の場合であれば、1回目の「免責金額」は、0円(なし)、2回目以降の「免責金額」は5万円ということになります。
また、この時の、1回目、2回目以降というのは、保険期間内(通常、1年間)での事故のことを言います。
「免責金額」は、0-10や、5-10など、保険会社が設定している範囲から選択することができます。
6.車両保険に免責をつけるメリットって?
たとえば、免責金額を、10-10(1回目、2回目とも、自己負担金は10万円)と設定すると、設定しない時に比べて、保険料をぐっとリーズナブルにすることができます。
また、補償の範囲を限定することでも、保険料を抑えることができます。
一般的に、車両保険では、「オールリスク型」と言われているタイプと、「エコノミー型」と言われているタイプに分かれています。
「オールリスク型」では、幅広くカバーされますが、たとえば、「エコノミー型」では、単独事故(=自損事故)や、相手が特定できない時(あて逃げ被害)が、補償対象外となっています。
「エコノミー型」を選択すると、保険料は割安になります。
7.車両保険に免責をつけないメリットって?
車両保険に免責金額を設定しない場合、もらい事故などのケースでも、自己負担をせずに、車を修理することができます。
たとえば、修理費用が高額になることがあらかじめ予測される時や、自己負担をしたくない場合であれば、免責をつけないことを選択するのもよいでしょう。
ただし、免責金額を設定しないと、保険料は割高になります。
車両保険の免責金額を設定するしないは、お住まいの地域の特徴に合わせて、考えるようにしましょう。
また、全損(車両保険で設定した保険金額より、実際にかかる修理費用の方が高額になるケース)では、自己負担金額は、発生しません。
8.まとめ
以上、自動車保険の「免責」について、ざっくりと、みていきましたが、いかがでしたか?
自動車事故では、損害賠償を請求する側のことを、被害者と言い、損害賠償を請求される側のことを、加害者と言っています。
一般的にイメージする、加害者、被害者の意味ではないので、注意するようにしておきたいですね。
ともすれば、私たちは、ついつい、自分の被害だけに目をむけがちですが、はっきりと、交通違反がわかるケース以外、どちらが被害者であるか、加害者であるか、決めつけることはできません。
自動車事故は、不注意から起きるものでもあります。
お互いに、誠意ある対応を、心がけるようにしましょう!