現在、日本で一番、加入件数が多いと言われている医療保険。
日本では、「国民皆保険制度」という制度がとられていることは、すでに多くの方がご存知ですよね。
いざという時、なにかと頼りになる公的医療保険制度ですが、どういう時にどれくらい頼れるのかは、案外、ご存知ない方も多いのではないでしょうか?
今回は、いざという時のために、公的医療保険制度をしっかりと理解していきましょう。
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目次
公的医療保険制度って?
私たちが、ケガや病気などで医療機関を受診した時には、必ず「健康保険証」を提示するよう求められます。
「健康保険証」を提示すれば、治療にかかった費用の全額を支払う必要がなくなり、治療費の3割を支払うだけで済むためです。
残りの治療費については、公的な医療費の審査支払機関から、医療機関に支払われる仕組みになっています。
こういったケガや病気の時の治療費以外にも、私たちは様々な形で公的医療保険制度からサポートを受けることができます。
また私たちが加入している公的医療保険制度は、年齢や職業の有無によっていくつかの種類に分かれています。
大きくは、お勤めをしている人がお勤め先で加入する「職域保険」と、お勤め先を持たずに働く人や、無職の人が加入する「地域保険(住民保険)」の2つに分かれています。
職域保険
「職域保険」とは、おもに、民間企業にお勤めされているサラリーマンの方や、公務員の方および、そのご家族の方が加入する保険のことを言います。
「職域保険」は、「被用者保険」とも言われています。
「被用者保険」は、さらに「健康保険(一般被用者保険)」「特定被用者保険」の2つの種類に分かれています。
また、労働者災害補償保険(労災保険)も、民間企業で働く、サラリーマン、パートタイマー、アルバイトの方が対象とされているため、「被用者保険」のひとつとして捉えられています。
健康保険(一般被用者保険)
健康保険(一般被用者保険)とは、民間企業にお勤めのサラリーマンの方と、その家族が加入する医療保険制度のことを言います。
健康保険は、さらに、「組合健保(組合管掌健康保険)」と「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)」の2つの種類に分かれています。
「組合健保」には、おもに、大企業にお勤めされている方と、そのご家族の方や、大企業のグループ会社や関連会社にお勤めの方と、そのご家族の方が加入します。
一方、「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)」には、主に中小企業にお勤めされている方と、そのご家族の方が加入します。
なお、「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)」は、以前、国(社会保険庁)が保険者(健康保険の運営者)であったため、「政管健保(政府管掌健康保険)」と言われていました。
しかしながら、社会保険庁の解散にともない、2008年(平成20年)より、全国健康保険協会に事業の引き継ぎが行われ、呼称も、「政管健保(政府管掌健康保険)」から、「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)」へと変更されています。
特定被用者保険
- 国家公務員
- 地方公務員
- 私立学校の教職員
- 船員
国家公務員、地方公務員、公立学校教職員、私立学校教職員の方の場合には、ご加入されている共済組合が、保険者の役割を果たしています。
- 国家公務員共済組合
- 地方公務員共済組合
- 私立学校教職員共済組合
また、船員としてお勤めされている方は、船員保険に加入します。
船員保険は、船員の方を対象として、業務上・業務外のケガや病気が保障される保険となっています。
労働者災害補償保険(労災保険)
労働者災害補償保険では、健康保険が主に業務外でのケガや病気について保障を行うことに対して、業務上または通勤時のケガや病気に対して保障が行われます。
また、労働者災害補償保険は、業務上で起きた事故などによって障害を負ったため、働けなくなった場合の所得保障や、死亡時におけるご遺族の方に対する死亡保障の機能も合わせもっています。
地域保険
地域保険とは、主に自営業の方やフリーランスの方、年金生活者の方が個人単位で加入する医療保険制度のことを言います。
会社を退職されたサラリーマンの方もこちらに加入します。
地域保険には、お住まいの市区町村が保険者となる「国民健康保険」と、同種の事業や業務に従事している300人以上の人で組織された「国民健康保険組合」があります。
国民健康保険は、お住まいの地域ごとで加入資格が得られるのに対して、国民健康保険組合は、職種や業務によって加入資格が得られる点が異なっています。
ただし、国民健康保険組合の場合でもあっても、加入できる地域は限定されていることが一般的です。
現在、国民健康保険組合を設立している業種には、医師、歯科医師、薬剤師、食品販売業、土木建築業、理容美容業、浴場業、弁護士などがあります。
また、2018年4月より、国民健康保険の運営は市区町村から都道府県へ移管されています。
・職場に勤める人が対象 | 職域保険 | ・民間企業に勤めている人 | 健康保険(被用者保険) |
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ) ※(日雇特例被保険者) |
組合管掌健康保険(組合健保) | ||||
・公務員、学校職員など | 国家公務員共済組合 | |||
地方公務員等共済組合 | ||||
私立学校教職員共済 | ||||
・船員 | 船員保険 | |||
・決まった勤め先に勤めている人 | 労働者災害補償保険 (労災保険) ※公務員の場合、国家公務員災害補償保険、地方公務員災害補償保険などが摘要 |
|||
・職域保険に加入していないすべての人が対象 | 地域保険 | ・勤め先を持たない人、退職者、年金生活者など | 国民健康保険(市町村国保) | |
・国民健康保険組合(国保組合)を設立している業種に従事している人 | 国民健康保険組合(国保組合) |
後期高齢者医療制度って?
後期高齢者医療制度は、75歳以上のすべての方と、65歳以上で一定の障害があり、申請により認定を受けた方が加入する医療保険制度です。
2008年(平成20年)より、従来の老人健康保険制度に代わり、後期高齢者医療制度がスタートされました。
後期高齢者医療制度は、各都道府県ごとに、都道府県下の全市区町村で構成された「後期高齢者医療広域連合」が主体となり運営してます。
このため、「後期高齢者医療広域連合」は、各都道府県ごとに1つづつ、合計47の「後期高齢者医療広域連合」が存在しています。
- 被保険者の払う保険料
- 健康組合などが拠出する後期高齢者交付金
- 国・都道府県・市区町村の補助や負担金
75歳の誕生日を迎えた方は、それまで加入していた国民健康保険や、被用者保険から後期高齢者医療制度に移ります。
ただし、特別な手続きをする必要はなく、誕生日を迎えると自動的に後期高齢者医療制度に加入することになりま
公的医療保険制度の特徴
公的医療保障制度は、医療費についてのサポートと、医療そのものへのサポートの大きく2つに分けることができます。
医療費についてのサポートは、ケガや病気などの治療にかかる費用を軽減させることを目的としています。
このため私たちは、治療にかかった費用の全額を支払う必要がなく、一定の割合の負担部分を、一部負担するだけでよい仕組みになっています。
医療費を負担する割合は、年齢や、個人の経済状態によっても、異なった負担割合となっています。
医療そのものへのサポートでは、患者である人が、全国どこでも基本的に同じ質の医療サービスを、同じ料金で受けられように制度化されています。
たとえば、風邪で医療機関を受診した時に、A診療所では3,000円、B病院では5,000円などいったように、受診する医療機関ごとで、料金がバラバラに違っているなどということがなく、A診療所であっても、B病院で診てもらっても、基本的に風邪の治療にかかる費用としては同じ金額になります。
また、患者である人は、自由に、医療機関を選択することができます(このことを、「フリーアクセス」と言います)。
- 国民皆保険(国民全員がなんらかの公的な医療保険制度に加入している)
- フリーアクセス(患者が自由に医療機関を選択できる)
- 開業の自由(医療機関は自由に開業できる ※ただし、病床過剰地域の場合は制限あり)
- 民間医療機関中心の医療提供体制(民間の医療機関が公的な医療機関よりも多い)
公的医療保険制度の保険料はどう決まる?
- 健康保険料
- 窓口での自己負担
- 公費負担
このうち、私たちが直接負担する健康保険料は、加入している公的医療保険制度の種類によって、計算方法や納付方法が異なっています。
例えば、主に民間の中小企業にお勤めの方が加入している、「協会けんぽ」では、標準報酬月額に、各都道府県別に定めらた保険料率を乗じて算出されます。
算出された保険料は、被保険者と事業主が折半して納付します。
標準報酬月額とは、毎月変動するお給料を、毎年7月1日に、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額が決定されます。
民間の大企業や、グループ会社にお勤めの方が加入する組合健保(組合管掌健保)の場合は、各組合の規約により、保険料率が取り決められています。
保険料率を標準報酬月額に乗じて保険料が算出され、被保険者と事業主で負担割合を決めて、納付します。
保険料率は3.0%~9.5%の間で設定することになっていますが、被保険者の負担割合が4.5%を超えることはできないとされています。
主に自営業やフリーランス、年金生活者の方が加入する国民健康保険では、それぞれ、全世帯ごとに負担する「平等割」、被保険者の人数に応じて負担する「均等割」、前年中の所得に応じて負担する「所得割」の合計で計算されます。
国民健康保険の保険料は、毎年4月から翌年3月までの1年間の保険料が6月ごろに決定し、6月中旬ごろにお住まいの市区町村から世帯主の方へ通知されます。
国民健康保険(市町村健保) | 協会けんぽ | 組合健保 | 共済組合 | 後期高齢者医療制度 | |
平均保険料 (事業主負担込額) |
8.5万円
一世帯当たり
14.3万円
|
10.7万円(21.5万円)
被保険者一人当たり
18.7万円(37.3万円)
|
11.8万円(26.0万円)
被保険者一人当たり
22.0万円(48.3万円)
|
13.9万円(27.7万円)
被保険者一人当たり
27.2万円(54.4万円)
|
6.9万円 |
保険料負担率 | 9.9% | 7.5% | 5.7% | 6.0% | 8.3% |
公費負担 |
給付費等の50%
+保険料軽減等
|
給付費等の
16.4%
|
後期高齢者支援金への拠出(※平成23年以降実績なし)
|
なし |
給付費
等の約50%
+保険料軽減等
|
●厚生労働省 平成26年度
公的医療保険制度のサポート制度
私たちは、ケガや病気などで医療機関を受診した時に、「健康保険証」を提示すれば、治療にかかる費用の全額ではなく、一部負担すればよいことになっています。
この時、残りの金額は保険者(健康保険の運営者)より、医療費の審査支払機関を通じて医療機関に支払われています。
私たちが、一部負担する治療費の割合は、年齢や加入している医療保険制度によって1割~3割まで変化します。
私たちが一部負担として負担した残りの7割~9割の医療費は、保険者(健康保険の運営者)が負担し、各医療機関へ支払われます。
この仕組みのことを、「療養の給付」と言います。
「療養の給付」以外にも、私たちは、ケガや病気などで医療機関にかかる必要がある時に、公的医療保険制度から、さまざまな形で、サポートを受けることができます。
公的医療保険制度のサポートには、「療養の給付」に代表される、さまざまな「医療給付」以外にも「現金給付」があります。
「医療給付」の種類
種類 | 内容 | 一部負担の割合/金額・給付について |
①療養の給付 |
・診察、薬剤または治療材料の支給・処置・手術その他の治療 ・在宅療養における管理など ・病院・診療所への入院とそのための看護など |
・義務教育就学前:2割 ・義務教育就学後から70歳未満:3割 ・70歳以上75歳未満:2割(※現役並み所得者:3割) ・75歳以上:1割(現役並み所得者:3割) |
②入院時食事療養費 | ・入院した時の食事 | ・標準負担額=1食460円(1日3食を限度、低所得者は軽減) |
③訪問看護療養費 | ・難病患者や末期がん患者など、自宅療養中の患者で、かかりつけの医師の指示に基づき指定訪問看護事業者より看護師・保健師等の訪問看護を受けるとき |
・義務教育就学前:2割 ・義務教育就学後から70歳未満:3割 ・70歳以上75歳未満:2割(※現役並み所得者:3割) ・75歳以上:1割(現役並み所得者:3割) |
④療養費 |
①急病や旅行中のケガや、保険証の交付を受けていない間(届出から交付まで)など、やむを得ない理由で保険証を医療機関等に提示できないとき ② 医師が必要と認め、医師の同意を得て受けた、はり・きゅう、あん摩・マッサージの施術費用 ③骨折やねんざなど、柔道整復師の施術を受けた費用を全額支払ったとき(医師の同意が必要な場合があります) ④ 医師が必要と認めたコルセットなどの治療用装具代 ⑤ 輸血をしたときの生血代 |
①は、一部負担金の割合に応じて負担 ②、③、④、⑤ は、厚生労働省の支給基準により給付 |
⑤高額療養費 |
1カ月の医療費で、所定の金額(=自己負担限度額)を超えた自己負担金が発生したとき、超過分が還付されます
|
高額療養費の自己負担限度額計算式 ●年収約1160万円以上 ●年収約770万円~約1160万円 ●年収約370万円~770万円 ●年収~約370万円 ●住民税非課税 |
⑥保険外併用療養費 |
①高度な医療技術を用いた療養など、将来的に保険導入が検討されている「評価療養」を受けたとき ②特別の療養環境の病室(差額ベッド)への入院や、保険外の歯科材料の使用など、保険導入が前提とされない「選定療養」を受けたときには、自費で支払うことにより、一般診療と共通する部分は健康保険で受けることができます ③「患者申出療養」により、患者からの申し出により、国が安全性、有効性、実施計画の内容を審査した治療を受けるとき、一般診療と共通する部分は健康保険で受けることができます |
「評価療養」・「選定療養」など、特別なサービスに当る部分:全額自己負担 一般診療と共通する部分:一部負担金の割合に応じた負担 |
⑦海外療養費 | 海外渡航中のケガや病気により、やむを得ず日本国外の医療機関などで治療を受けたとき | 日本国内で治療を受けた場合を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低い時はその額)から、一部負担金を差し引いた金額を給付 |
「現金給付」の種類
種類 | 内容 | 一部負担の割合/金額・給付について |
①出産育児一時金 | 被保険者※が、妊娠22週(148日)以上で出産(生産・死産・早産・流産)したとき ※被用者保険の場合は、その扶養家族を含む |
原則、1児ごとに42万円を給付 |
②移送費 | 緊急時や、やむを得ない理由で、医師の指示により移動が困難な人を自動車などで入院、転院させたとき | 要した費用の範囲内で給付 |
③埋葬料・葬祭費 | 被保険者※が死亡したとき ※被用者保険の場合は、その扶養家族を含む |
定額5万円を給付 |
④傷病手当金 ※任意給付(実施している市区町村なし) |
被保険者が療養のため(医師が労務不能と認めたとき)3日以上連続して仕事を休み、給料を受けられないとき | 最長で1年6ヶ月のあいだ、1日につき標準報酬日額の3分の2相当額を給付 |
⑤出産手当金 ※任意給付(実施している市区町村なし) |
被保険者が出産のため仕事を休み、給料を受けられないとき | 被保険者本人の産休中(出産日以前42日から出産日後56日まで)の間、1日につき標準報酬日額の3分の2相当額を給付 |
公的医療保険制度でカバーできない!?
- 健康保険法によって、必ず給付しなければならないと定められている「法定給付」
- 独自に給付することができる「任意給付」
- 法定給付に上積みして給付される「付加給付」
法定給付は、法律によってその種類と要件が定められており、さらに、(1)医療給付(現物給付)と、(2)現金給付とに区分されています。
法定給付~(1)医療給付(現物給付)
- 療養の給付
- 入院時食事療養費
- 訪問看護療養費
- 療養費
- 高額療養費
- 保険外併用療養費
- 海外療養費
- 入院時生活療養費
法定給付~(2)現金給付
- 出産育児一時金
- 移送費
- 埋葬料・葬祭費
任意給付
任意給付には、前出の一覧表 「現金給付」の種類 の④傷病手当金、⑤出産手当金が該当します。
付加給付
付加給付とは、組合健保(健康保険組合)などが、それぞれ独自の組合規約に基づき、法定給付に上積みする給付のことを言います。
- 一部負担還元金
- 訪問看護療養費付加金
- 出産手当金付加金
- 埋葬費付加金
公的医療保険制度でカバーできるもの
みなさんの中には、私たちが受ける医療には、「保険がきく」ものと、「保険がきかない」ものの、2つの種類があることをご存知の方も多くおられるのではないでしょうか。
一般的に「保険がきく」医療のことは、「保険診療」と言います。
保険診療は、法定給付の医療費給付の療養の給付に相当します。
- 医療機関で診療を受けた時の一般的な診療費(医科診療・入院・入院外・歯科治療)
- 調剤費
- 入院時食事療養費
- 訪問看護医療費
- 柔道整復師・はり師による治療
- 移送費
- 治療補装費
保険適用の対象となる診療を受けた場合、医療費としてかかる費用の一部負担する割合に応じた自己負担金の金額で、治療を受けることができます。
また、一部負担する医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用すれば、自己限度額を超える部分については、公的な医療保険制度から給付を受けることができます。
公的医療保険でカバーされるもの
●診療 |
・医師が診察・検査・画像診断等を患者の身体に施し、異常があるかどうかを判断する医療行為 ・医師の判断で患者宅に赴き診療する(往診) ※患者が診療のための通院費用や、往診時の交通費などは、全額自己負担となります。 |
●医薬品の支給 |
・治療に必要な医薬品の支給(ただし、医師より処方箋の提供がある処方薬に限る) ※調剤薬局などで個人の判断で購入する医薬品は除く |
●治療に必要な物品の支給 |
・治療のために必要なガーゼ、包帯など ・骨折の際の松葉杖、車いすなどは医療機関により貸与されます ※なお、患部を固定するために装着するコルセット、義手・義足等は、療養費として給付されます |
●注射、処置、手術等の治療 |
・医師が必要と判断した処置や手術、注射 ・身体の機能を維持・回復させるためのリハビリテーション ・がん細胞を治療するための放射線治療 ・精神疾患の治療を目的とする精神科療法など |
●医療機関への入院 | ・医師の判断による入院治療および看護 |
公的医療保険制度でカバーできないもの
- 美容を目的とする整形手術の費用
- レーシックなどの近視の手術の費用
- 健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等にかかる費用
- 人間ドックの費用
- 医師の指示以外によるマッサージなどの費用
- 正常な妊娠・分娩等にかかる費用※ただし、出産育児一時金・出産手当金あり
- 義眼や義肢等の費用
- 先進医療にかかる費用
- 医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験にかかる費用
- 特別療養環境室(差額ベッド)代
- 歯科の金属料差額
- 200床以上の病院の初診・再診(医師による紹介状がない場合)
- 時間外診療にかかる費用
- 同じ病気での180日を超える入院料の一部
ただし、次のような場合には、例外的に保険適用が認められています。
例外的に保険適用の対象とされているケース
- 斜視など労務に支障をきたす場合の手術費
- 生まれつきの口唇裂の手術費
- ケガの処置のための整形手術費
- 他人に著しい不快感を与えるワキガの手術費
- 大学病院などで厚生労働大臣の定める診療を受ける場合
- 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などによる異常分娩
- 母体に危険が迫った場合に母体を保護するための人工妊娠中絶手術
公的医療保険連動って?
私たちが医療機関を受診したときに負担する医療費は、国が定める「診療報酬点数」により計算されています。
「診療報酬点数」では、保険診療で受けることができるすべての医療行為について点数が定められており、1点は10円として計算されます。
このことを、保険診療の診療報酬制度と言います。
診療報酬制度では、医療の価格だけでなく、リハビリテーションは月160分まで、ガンの検査は1回のみなど、医療の内容も規定されています。
また、保険適用となる手術についても、「診療報酬点数」が、「医科診療報酬点数表」に定められています。
「公的医療保険と連動」と言った場合では、この「医科診療報酬点数表」に点数が記載されている医療行為、または、手術のことを指して言っています。
公的医療保険連動の医療保険って?
民間の医療保険の中には、「公的医療保険に連動」が謳われているものもあります。
「公的医療保険に連動の医療保険」とは、一般的には、1000種類あると言われている「医科診療報酬点数表」に記載されている医療行為または手術を、給付の対象にしていることを言います。
「医科診療報酬点数表」には、専門的に細分化された医療行為や手術名が記載されているので、私たちには分かり難いものです。
しかし。記載されている医療行為や手術の内容とは、保険適用されるものでもあることから、保険診療の対象となる医療行為、または、手術のことであると理解しておくとよいでしょう。
また、民間の医療保険では、保険診療の適用範囲であっても、以下のものについては、保険金給付の対象外とされていることが、一般的です。
公的医療保険連動型の民間の医療保険で対象外とされているもの
- 診断・検査などの治療を直接の目的としない手術
- 抜歯手術
- 創傷処理(切り傷などを止血すること)
- 皮膚切開術
- デブリードマン(感染した組織や壊死した組織を外科的に除去し清浄化することで他の組織への影響を防ぐ処置)
- 骨または関節の非観血的整復術・非観血的整復固定術・非観血的授動術
医療保険を選ぶなら?ランキング5選を一挙公開!
松葉 直隆
医療共済と医療保険の違いや種類をご紹介してまいりましたが、ここからは民間の医療保険のおすすめ商品を紹介していきます。
ソニー生命「メディカル・ベネフィット」
①毎月の支払保険料
35歳男性の場合:2,025円~(健康還付給付金特則なしの場合)
35歳女性の場合:1,980円~(健康還付給付金特則なしの場合)
35歳男性の場合:4,610円~(健康還付給付金特則ありの場合)
35歳男性の場合:4,340円~(健康還付給付金特則ありの場合)
※健康還付給付金特則を付ける付けない共に、保険期間・保険料払込期間共に終身の場合の保険料です。
また、保障内容は入院1日5,000円(1入院120日型)の場合の保険料です。
②保障内容
松葉 直隆
- 保険金額:病気やケガでの入院1日につき3,000円から20,000円の範囲で1,000円単位で選択可能
- 1入院の支払限度日数も60日・120日・360日から選択が可能
- その他、手術・放射線治療・骨髄移植などの治療にも対応
③その他
先進医療に関しては特約で選択可能となっています。
また、健康還付給付金特則を付けない場合は、死亡保障の選択が可能となっています。
「メディカル・ベネフィット」の評価
医療保険検討者
松葉 直隆
- 主契約が病気やケガでの入院・手術の保障であり、放射線治療や骨髄移植などの手術にも対応している
- 先進医療や入院一時金・三大疾病*での入院による上乗せ保障などは特約によって追加できる
- 三大疾病の入院は主契約での保障で1入院の入院日数と通算入院日数は無制限。=三大疾病にも手厚い保障
保障内容としては、バランスのとれた保険と言って良いでしょう。
- がん
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
ただ、保険料は安くはないのですが、もう一つの特徴である「健康還付給付金特則」を付けると、あらかじめ設定した年齢までに入院給付金などを受けなかった場合、それまでの保険料が還付されます。
また、入院給付金や手術給付金を受けている場合には、その給付金を差し引いた金額が還付されます。
この特則を採用している保険会社は少なく、20代・30代の方であれば、60代になったときに健康還付給付金を受け取った後に、保険の見直しがしやすくなるというメリットがあります。
ただし、健康状態が良いと言う条件での話にはなります。
また、保険料の払い込みは終身となるので、実際に払い込む保険料は、他の保険会社の60歳払い済みなどと総額はあまり変わらないので、少し割高感はある商品と言えるでしょう。
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東京海上日動あんしん生命「メディカルKit NEO」
①毎月の支払保険料
35歳男性の場合:2,229円~(健康還付給付金特則なしの場合)
35歳女性の場合:2,089円~(健康還付給付金特則なしの場合)
35歳男性の場合:4,589円~(健康還付給付金特則ありの場合)
35歳男性の場合:3,876円~(健康還付給付金特則ありの場合)
また、健康還付給付金の受け取りは60歳に設定しています。
※健康還付給付金特則を付ける付けない共に、保険期間・保険料払込期間共に終身の場合の保険料です。
また、保障内容は入院1日5,000円(1入院60日型)の場合の保険料です。
②保障内容
松葉 直隆
- 病気やケガでの入院1日につき5,000円・10,000円の2つのタイプから選択可能
- 手術や三大疾病に罹った場合の保障も手厚い
- 1入院の支払限度日数は60日型となっており、通算の支払限度日数は1095日。
③その他
その他の保障としては、先進医療特約はもちろんですが、5疾病が理由での就業不能に関する給付金を特約として選択が可能です。
- 悪性新生物
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
- 肝硬変
- 慢性腎不全
「メディカルKit NEO」の評価
医療保険検討者
松葉 直隆
主契約は、病気やケガでの入院・手術を保障するだけの非常にシンプルな内容になっていますが、特約として三大疾病での入院に対して給付金を上乗せしたり、先進医療に対する保障を付けられたりと、保障内容は他社の商品と見劣りもしない内容となっています。
大きな特徴の一つとして「メディカルkit R」があり、健康であればそれまで支払った保険料が戻ってくることで、保険の見直しもしやすくなるというメリットがあります。
また、この保険も保険料は決して安くないですが、若い世代にとっては将来の医療保険の見直しという面を考えるのであれば、面白い商品と言えるでしょう。
オリックス生命「新CURE(キュア)」
①毎月の支払保険料
35歳の場合:1807円~(男女ともに同額保険料)
保険期間・保険料払込期間共に終身の場合の保険料です。
②保障内容
松葉 直隆
- 病気やケガでの入院1日につき3,000円から10,000円の範囲で1,000円単位で選択可能
- 0歳から49歳までは5000円からとなる
- 基本的な保障は入院・手術・先進医療特約のみ
③その他
基本保障がシンプルなため、特約が充実していると言ってもいい保険です。
がんや三大疾病に関する給付金などは、特約で備える形になります。
「新CURE(キュア)」の評価
医療保険検討者
松葉 直隆
主契約は、病気やケガでの入院・手術の保障とシンプルな作りとなっていますが、七大生活習慣病での入院の場合には、1入院の限度が60日増え、三大疾病の場合は入院日数の上限が無制限となります。
そのことから、七大生活習慣病・三大疾病への保障は手厚くなると言えます。
- がん(悪性新生物・上皮内新生物)
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝硬変
- 慢性腎不全
また、先進医療の保障は基本的には、基本保障に組み込まれますが、「がん」に対する保障が特約で充実しているため、医療保険とがん保険を検討している方には、この商品である程度の保障は準備できると言って良いでしょう。
また、保険料の安さで言うと、他社の商品と比べてもお手軽な値段設定となっているので、若い方や子育て中の方など、あまり保険にお金を掛けられないと言う方にとっては、良い商品と言えるでしょう。
メディケア生命「メディフィットA(エース)
①毎月の支払保険料
35歳男性の場合:1,595円~
35歳女性の場合:1,525円~
保険期間・保険料払込期間共に終身の場合の保険料です。
②保障内容
松葉 直隆
- 病気やケガでの入院1日につき3,000円から10,000円の範囲で1,000円単位で選択可能
- 1入院の支払限度日数も60日・120日から選択が可能
- 入院の通算支払限度日数の選択も可能(三大疾病・七大疾病での給付条件の選択)
- 手術給付金の倍率の選択も可能
③その他
基本保障は、入院・手術に加えて、放射線治療や骨髄移植手術の保障となっていますが、先進医療や通院・がん・三大疾病に関しては特約で備えられるようになっています。
「メディフィットA(エース)」の評価
医療保険検討者
松葉 直隆
メディケア生命の「メディフィットA(エース)」は、ソニー生命の保険と似ている商品と言えます。
主契約は、病気やケガでの入院・手術の保障と、放射線治療・骨髄移植などの治療への保障となっています。
また、特約として先進医療や三大疾病での給付金の上乗せや通院に備える保障が選べます。
保険料は終身払いにすると安く見えますが、有期払い(60歳払い済み)にすると、少し保険料が高くなります。
しかし、それでも比較的お手頃な保険料と言えるでしょう。
ネオファースト生命「ネオdeいりょう」
①毎月の支払保険料
35歳男性の場合:589円~
35歳女性の場合:582円~
※入院給付金3,000円のみの場合
保険期間・保険料払込期間共に終身の場合の保険料です。
②保障内容
松葉 直隆
保障内容は、病気やケガでの入院1日につき3,000円・5000円・10,000円の3つのタイプから選択可能となっています。
また、主契約は入院給付金のみとシンプルな内容になっています。
③その他
手術給付金や先進医療や三大疾病など、幅広い保障はすべて特約となっていますので、自分好みの保険を作ることが可能と言えます。
また、健康な方には保険料の割引なども設定されています。
「ネオdeいりょう」の評価
医療保険検討者
松葉 直隆
- 先進医療
- 手術
- 退院後の通院
- がん診断給付金
- 抗がん剤治療など
上記以外にも様々な特約があるので、自分が必要だと思う保障内容の保険商品が作れてしまうのが魅力の一つと言えるでしょう。
保険料は特段安いとは言えませんが、シンプルな保障のみとするのであれば保険料も安く済ませることが出来るでしょう。
特約が多いため、あれもこれもと特約を付けるのであれば、他社でバランスの良い保険商品を選ぶ方が無難と言えるかもしれません。
ただ、他社商品の内容が自分に合っていないと言う方であれば、自在にカスタマイズできるのは最大の魅力と言えるのではないでしょうか。
医療保険の選び方
医療保険のおすすめの商品を紹介してきましたが、保険会社によって特徴が様々なので、どの商品が良いのか正直迷うと思います。
また、若い方であれば本当に医療保険のお世話になるのは60歳を超えてからとなるのが一般的ですの。
そのため、今の医療保険の内容と、将来の医療保険の内容が大きく異なった場合には、保険の見直しが必要となります。
今の保険料が安くても、60歳になったときに保険を見直して新たな医療保険に加入するとなれば、保険料も上がるでしょう。
考え方一つですが、健康に自信のある方であれば、健康還付特則の付いた商品を選び、60歳や65歳の時にそれまでの保険料を返してもらい、新たな保険に加入すると言うのも考え方の一つと言えるでしょう。
その場合、将来のことを考えるのであれば、今の保険料が少し割高でも、総支払額と言うところを考えると、安く済む可能性があると言うことを知っておいてください。
松葉 直隆
まとめ
以上、公的医療保険制度についてみていきましたが、いかがでしたでしょうか。
日本には、公的医療保険制度以外にも、全額が公費で負担される「公費負担医療助成制度」もあります。
もっとも身近なものとしては、各自治体が行っている「子ども医療費助成制度」(乳幼児医療制度や、子どもに対する医療費助成制度)があります。
「子ども医療費助成制度」は、保険診療の自己負担分を、都道府県や市町村が、独自に助成している制度です。
なにかと幅広くカバーされている公的医療保険制度!
いざという時には、賢く活用できるようにしておきたいですね!
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