ネット保険はインターネットを介して、保険加入を申し込む方法です。インターネットの普及に合わせ、現在ではほとんど全ての保険会社がネット保険を販売しています。
ネット保険は、インターネットのみで申込が完結できることはあるものの、ケースによっては追加で書類を保険会社へ送付しなければいけないこともあります。
この申込方法は、インターネットから気軽に手続きができるのでたいへん便利です。それに加え、インターネットを通して各保険会社の保険商品を比較検討もできます。
一方で、パソコンやスマートフォンの操作が苦手な方々には不向きです。また、自分の判断で保険商品を選ぶ必要もあります。保険の知識があまり無い人にとって、ナカナカ難しい判断となってしまいます。
そこで今回は、ネット保険の特徴とその利点・注意点について解説します。この記事を読めば、ネット保険の基本的知識を得ることができ、ネット保険で困った時の解決策について良い参考となるはずです。
1.保険の販売方法について
私は万が一のために、生命保険や損害保険等の保険へ加入しようか検討中です。
でも、保険へ加入経験がないのでいろいろと各商品を比較して決めたいです。
ネットでもいろいろと保険商品を見ていますが、申込方法にはどんなものがあるのでしょう・・・?
こちらでは、保険の販売方法とネット保険について解説します。
1-1.保険の販売方法はいろいろある
保険を申し込む際にまず皆さんが連想するのは、ご自分のお住いの地域・勤務先の地域の保険代理店、または保険会社の直営店で担当者と契約する「対面販売」でしょう。
もちろん、ご自分が店舗へ訪問するだけではなく、ご自宅に営業担当者がやってきて保険を勧誘することはあります。
また、共同住宅や一戸建ての賃貸契約等を結ぶ際に、不動産会社から火災保険等を勧められ、そのまま加入を申し込むということもあるはずです。
保険の販売は、保険会社が直に行う場合はもちろん、提携している代理店や他業者を介して販売されることが多いです。
対面である以上、いろいろと担当者へわからない部分を質問する機会は得られます。しかし、自由な時間に好きなだけ他社の保険商品を見比べ、ご自分にとってベストな商品を選ぶという点では、時間や紹介される商品に制約があります。
1-2.保険を身近な存在とするための工夫
保険商品の案内(資料)は、内容が複雑で一般人にはなかなか理解し難く、担当者の話術に誘導されツイツイ申込を行うこともあるはずです。
従来から保険はわかり難く、一般人へナカナカその有用性を受け容れられない点はありました。そもそも保険とは、保険に加入した方々の“相互扶助”で成り立つ仕組みであり、各加入者の「万が一」のための備えです。
そのため、保険という存在を一般人に身近で、その内容も明瞭、かつ選びやすく申込しやすい工夫が求められました。
ネット保険は、その選びやすく申込しやすい商品の一つとして、現在、各保険会社で商品が考案され販売されています。
1-3.ネット保険は時代の最先端?
ネット保険は保険加入を希望する人が、自由な時間に好きなだけ他社の保険商品を比較検討し、自分に合った商品を選ぶことができます。
保険加入を急いで行う必要のある方々はともかく、保険の素人でも保険内容を時間かけて熟慮すれば、時間の制約のある対面販売では気付かないような利点や、自分にとって不要な保障にも気付くことができます。
そして、自分で納得したうえでパソコンで入力を行いネット申込を行います。ただし、生命保険の場合は、各保険会社のホームページで商品を紹介しているものの、申込はあくまで対面で行うケースが多く存在します。
当然のことながら、保険会社が販売する全ての商品の申込が、ネットで完結できるものばかりではありません。
また、加入申し込みに関して、ネット保険が保険商品全体の主流というわけではなく、生命保険文化センターの行った調査では次のような結果が出ています( 公益財団法人生命保険文化センター (2018)「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」)。
加入契約の加入チャネル(平成25〜30年に加入) | 申込の割合 |
生命保険会社の営業職員 | 53.7% |
保険代理店の窓口・営業職員 | 17.8% |
通信販売 |
6.5% その内インターネット:3.3% |
銀行・証券会社を通して | 5.4% |
郵便局の窓口や営業職員 | 4.2% |
勤め先や労働組合等を通じ | 3.4% |
生命保険会社の窓口 | 2.9% |
その他 | 5.6% |
不明 | 0.6% |
やはり、最近でも生命保険会社の営業職員や保険代理店の営業職員からの勧誘・紹介、保険代理店窓口で申込するケースが、圧倒的に多いことがわかります(生命保険会社の営業職員+保険代理店の窓口・営業職員の合計割合:71.5%)。
2.ネット保険について
ネット保険は、自分の自由な時間に商品を選べて便利ですね。そもそもネット保険が開始されたのはいつ位からなのでしょう?
ネット保険はつい最近になって導入されたものなのですかね・・・?
ネット保険が登場する契機となった出来事、ネット保険登場の経緯について解説します。
2-1.ネット保険は「第一次日本版金融ビッグバン」が契機?
第一次日本版金融ビッグバンとは、1996年~2001年まで実施された金融の自由化政策のことです。この政策の一環として銀行・保険・証券、損害保険と生命保険の業界の垣根を取り払い、相互に参入を自由化することが進展しました。
これに先立ち保険業法も1995年に全面改正され、保険料の自由化、従来の保険外交員による販売チャネルの他に、乗合代理店や銀行窓口販売、そしてネット生命保険等が解禁されました。
生命保険のネット保険は、2003年にアリコジャパン(現・メットライフ生命保険株式会社 )が開始しました。しかし、まだまだ当時のインターネットの世帯普及率は限定的(86.8%)で、郵送等での通信販売の方が効率の良いことを理由に、その取扱いは停止となってしまいました。
2-2.インターネットの普及が後押し
その後、2006年以降からインターネットの世帯普及率は90%を超え、順調に増加していきました。2008年からは、日本初のネット専業のSBIアクサ生命保険株式会社が、ネット保険の営業を開始しています。
そして、同年にはライフネット生命保険株式会社も参入しました。他の保険会社も、その後続々とネット保険へ参入を果たしています。
現在では、スマートフォンの普及が拡大し生命保険会や損害保険は、スマートフォンからの申込で完結できる商品も増え始めています。
金融の自由化政策の影響もあって、保険は現在のようにより選びやすく、加入希望者のニーズに合った商品へと進歩していきました。
2-3.保険は加入希望者が比較検討する時代へ
保険は少なくとも、保険会社や保険代理店の営業マンから勧められるまま加入するという方法の他、ご自分のニーズに合わせ、その内容を本人が自由な時間に検討・決定する時代へ移行したのは間違いありません。
ネット保険は担当者を介さずダイレクトに申し込めるので、比較的保険料は安く、ご自分の好きな時間に申し込める点が魅力です。
その一方で、ご自分で保険内容を吟味し、当初から自己責任で入力を行い、申込を行う必要があります。
このネット保険の利点や注意点ついては、第4章以降で詳細に解説します。
3.ネット保険の申込方法
自分で保険商品を選択し申し込むとはいっても、ネット保険の申込方法は誰でも行いやすいように簡単であることが必要だと思います。
では、ネット保険を申し込む手順について知りたいです・・・。
第3章では、ネット保険申込の流れ、その他いざ保険金請求をする場合の手順等について解説します。
3-1.申込の流れ
ネット保険はその申込の利便性を考慮し、基本的にパソコンまたはスマートフォンを操作し、申込画面で希望の保険商品・ご自分の個人情報を入力します。
必要書類は原則としてその画像を、作成したマイページへアップロードするか、やり方がよくわからないときは後日郵送で提出しても構いません。
〇申込手順
保険会社によって若干異なる点はありますが、概ね次のような流れになります。
(1)ネット保険の入力画面で保険の見積もりを開始 |
まずは、ご自分の年齢・性別・生年月日・メールアドレス・希望のプラン・保険料等を入力していきます。その際に、保険加入希望者本人の本人確認書類(自動車運転免許証やパスポート等)の画像をアップロードします(アップロードの方法がよくわからないときは郵送で提出OK)。
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(2)マイページの作成 |
マイページの作成画面でご自分の職業・年収・健康状態(傷病歴・持病の有無等)を正直に入力していきます。その後、これらの情報を送信します。
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(3)引き受け査定 |
入力された情報を基に保険会社の審査が開始されます。約1週間ほどかかります。ただし、入力された情報によっては、保険会社から申込後に特別条件を付加されたり、受け取る保険金額・給付金額が更に限定されたり、引受を拒否されたりすることがあります。
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(4)引き受け通知後、必要書類提出 |
保険会社から引き受ける旨の回答を受け取ったら、今度は必要書類の収集に移ります。なお、保険の種類によって、提出する書類は異なる場合があります。提出方法は必要書類の画像をアップロードするか郵送で行います。期限が指定されているので、必ず期限内に書類を収集し提出しましょう。
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(5)契約成立 |
契約が成立した証明として、基本的に「保険証券」がご自宅へ郵送されます。気になる保険料の方はネット申込をした月の翌月分から発生するのが一般的です。
〇ネット申込の際の注意点
申込を行う際、次のような点に注意しましょう。
(1)入力は人任せにしない
ネット保険は実のところ、保険会社からすれば本人が入力しているか、その家族が入力しているか判断は付きません。
それを良いことに「自分は入力が面倒だから。」と、家族まかせにするのはいけません。
申込の際は健康状態、職業・収入等の詳細を告知する必要があるので、後日事実と異なる点が発見された場合は、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。
(2)同一のメールは確かに便利だが
ネット保険を申し込む際には、加入希望者本人のメールアドレスの入力が必要です。また、希望者の中にはご夫婦またはご家族で申し込む場合もあるでしょう。
その際には、その加入される方々それぞれのメールアドレスの登録が必要です。家族の代表者だけに大事な報告が通知されれば良いわけではないので、面倒がらずに全員のメールアドレスを入力しましょう。
(3)保障が開始されるのはいつ?
保険契約が成立した場合は、原則としてご自分の申し込んだ日時に遡って保障が開始されます。
ただし、「がん保険」のネット保険を申し込んだ場合には注意が必要です。がん保険のほぼ全ての商品には「待ち期間(免責期間)」が設けられており、申込日からその日を含めておよそ90日間は保障対象外となります。
がん保険のみに待ち期間(免責期間)が適用される理由としては、がんは自覚症状があまりない病気なので、本人ががんを発症したと知らずにがん保険へ加入する場合もあるからです。
そのため、保険会社としてはすぐに保険加入者(被保険者)を保障対象とするのではなく、しばらく様子をみるという観点からこの待ち期間を設けているのです。
3-2.ネットですべて完結する訳ではない
ネット保険はご自宅に居ながら、パソコンを介して申込が可能なのでとても便利です。
しかし、ネット申込だからと言って、保険契約を締結する際に必須となる「告知審査」が緩くなるわけではありません。
ネット申込の際に、入力した個人情報を偽るような行為にはペナルティがあります。
保険会社はその虚偽の発覚後、「告知義務違反」として保険加入者との契約を解除することがあります。当然ながらこのような事態になれば、保険金・給付金を受け取ることは非常に難しくなります。
また、保険会社が、申し込みの当初から受け取った個人情報に疑義を感じた場合、非常に高額な保険契約申込(例えば死亡保険金が数億円で設定等)の場合、引き受け審査の査定に必要と判断した場合、実際に保険加入希望者と面談確認を行うこともあります。
つまり、頻繁に機会を設けるわけではないですが、ネット保険の申込であっても、審査の過程で保険担当者が希望者と面談を行い、引き受けるかどうかを判断するケースもあることに留意しておきましょう。
3-3.保険金請求もネット申込と同じ要領で?
保険契約後、保険金・給付金を請求する事態が発生した場合にも、基本的に申込の場合と同じくネットで請求手続きが完結します。
〇保険金・給付金の請求手順
保険会社によって若干異なる点はありますが、概ね次のような流れになります。
(1)請求内容を保険会社へ連絡 |
保険金・給付金を請求したいときは、ネットでご自分のマイページから問い合わせることが可能です。受付時間は24時間365日可能です。
一方、保険の担当者が確認して回答するまでの時間は惜しい、と思われる人は電話による連絡も当然可能です。ただし、保険会社によっては受付時間が限定され、年末年始、土曜、日曜、祝日は利用できないことがほとんどです。
その他、保険会社によっては保険金・給付金請求の場合、電話による連絡に限定していることがあります。そのため、保険契約の際に取得した保険のしおり等をしっかり確認し、問い合わせをするようにしましょう。
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(2)必要書類の収集 |
保険金・給付金の請求書は、保険会社のホームページで取得することもできますし、保険会社から申請書類を郵送してもらうこともできます。
また、請求の際に添付する書類は、死亡保険金を受け取る場合は、「(被保険者の)死亡診断書」、治療に関する給付金を受け取る場合は「(医師の)診断書」等が必要になります。
保険会社の指示に従い、必要書類を収集しましょう。提出する場合はネット申込の場合と同じく、画像アップロードするか郵送で行います。
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(3)保険会社が受理 |
ネットまたは郵送で保険金・給付金の請求を受け付けた保険会社は、必要書類の不備がないか確認し、保険金・給付金の支払いを行うか拒否するかを決定します。
なお、保険金・給付金を支払いを拒否する場合は、その理由を書面で説明することが多いです。
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(4)保険金・給付金の受取 |
保険会社が保険金・給付金を支払いを行う場合は、保険金・給付金を請求者の指定口座に振り込みます。
各保険会社では、書類の不備等がなければ書類到着から原則5営業日以内に、保険金・給付金を振り込むことが多いようです。
〇代理請求等はネットで手続きができない
医療保険等の給付金を受け取る事態が発生した場合、保険加入者(被保険者)本人が重傷を負ったり、障害を負ったりして意思表示が非常に困難となることもあります。
本人は、給付金を請求できないやむを得ない事情が発生することを想定し、自分の代理として、あらかじめ「指定代理請求人」を選ぶこともできます。
本人の意思表示が難しくなった場合、この指定代理請求人は、本人に代わり給付金の請求を行うことが可能です。
ただし、指定代理請求人が給付金の代理請求を行う場合には、必ず保険会社のコンタクトセンターに連絡し、その指示を受けながら手続きを行う必要があります。
ネット保険で登録したマイページは、あくまで保険加入者(被保険者)本人のためのものなので、他人が保険加入者本人のパスワードを勝手に利用し請求することはできません。
4.ネット保険のメリット
ネット保険の手続き方法に関する手順や注意点はわかりました。それでは、ネット保険の利点を知りたいです。
ネット保険は自由な時間に申込ができる他に、加入者に何か有利な点はあるのでしょうか・・・?
こちらでは、ネット保険のメリットについて解説します。
4-1.ネット保険は保険料が安い傾向が
ネット保険で取り扱われている商品は、対面販売で加入する保険よりも保険料の比較的安いプランで販売されているケースが多いです。
この商品の保険料が安い理由は、保険会社や代理店で対面販売しないことで人件費が抑えられ、直接ご自分がパソコンを操作して、保険会社に申し込みをする点があげられます。
各保険会社とも商品の種類や保障内容、加入年齢により支払う保険料は異なりますが、医療保険の場合なら、ネット保険の月払は1,000円~4,000円程度、対面販売の場合は4,000~10,000円程度が相場といえます。
ただし、いくら保険料が安くとも、保険会社のホームページに掲載されている条件や保障内容がわからないまま、加入申込をすることは控えるべきでしょう。
不明な点がある時には、加入を希望する保険会社のカスタマーセンターへ質問をして、納得した後に申込を行いましょう。
4-2.インターネット割引を行う商品も!
こちらは損害保険、例えば自動車保険・海外旅行保険等のネット保険でよくあるサービスです。
自動車保険の場合は、期間限定で「最大10,000円割引」・「最大50%OFF」という形でキャンペーンを実施している保険会社があります。
保険商品の内容がご自分のニーズに合っていて、割引サービスを行っていればその分お得に保険加入ができますよね。
一方、海外旅行保険の場合は、ネットで申し込みを行うと対面販売よりも、大幅に安く契約できることがほとんどです。
こちらは期間限定の割引サービスと違い、常時行っている場合が多いです。
4-3.とにかくにスムーズに手続き可能!
ネット保険の申込は受付時間が24時間365日で、いつでも申し込めるだけではなく、入力方法もわかりやすいのが特徴です。
各保険会社では、利用者がわかりやすく手続き可能なように、パソコン・スマートフォン画面で入力する内容を順次掲示して、手続きを進める工夫を行っています。
画面の指示通り入力すれば、専門知識の必要もなくスムーズに手続きが可能です。
また、対面販売のように、手続きを急かすような雰囲気も当然ないので、内容をよく確認しながらご自分のペースで手続きができます。
5.ネット保険のデメリット
ネット保険は、保険料が比較的安くて、お得なキャンペーンを行っている商品もあるのは魅力ですね。
では、ネット保険へ申し込む前に確認するべき事項があれば教えてください・・・。
第5章では、ネット保険のデメリットについて解説します。
5-1.パソコンが苦手な人は難あり
いくらネット保険の申込が専門知識の必要もなくスムーズに手続き可能といっても、パソコンの苦手な方々は戸惑ってしまうことがあるでしょう。
パソコンの使用に抵抗がある方々や、パソコンをはじめたばかりの高齢者は、そう自由自在に操作できるわけではありません。
ただし、自分のペースで画面入力をしながら手続き可能なので、例えば保険会社のお客様サポートセンター等で、電話でわからない点を教えてもらいながら手続きを進めても良いでしょう。
5-2.自分で保険を選ぶ自信はある?
ネット保険は前述したように対面販売のような方式ではないで、そのための人員を要しない分、保険料は割安です。
ただし、これは加入申込当初からご自分の判断で商品を選択・決定しなければならないことを意味します。
加入申し込みの際の条件や、保険金・給付金の支給条件は、各社ともそれぞれ異なるので、その特徴を把握できていないと、後で「こんなはずでは無かった!」と頭を抱えることにもつながります。
〇頭を抱えるケース・その1
例えば、医療保険の場合は1入院の入院給付金支払い限度日数が設定されています。支払い限度日数が60日の場合は、1入院につき60日まで入院給付金(日額)が受け取れます。
しかし、前回の入院で30日間入院して30日分の入院給付金をもらったものの、再び医療機関へ入院したら、支払い限度日数がまた60日まで受け取れるかといえばそうとは限りません。
そこで、入院給付金が支払われる条件として「前回の退院日の翌日から80日経過後に、同じ病気・ケガが原因で入院した場合、別の入院とみなす」と規定されていればどうなるでしょう。
この場合は、前回の退院日の翌日から80日以内に入院した場合、前回の病気・ケガと全く別の病気・ケガで入院しない限り、前回の1入院にカウントされてしまうこととなります。
つまり、再び同じ病気やケガが原因で、今度は50日入院したというケースでは、前回利用した日数分を踏まえ、支払い限度日数が30日のみに限定されてしまいます。
保障内容に記載されている細かい条件を見過ごすと、ご自分の予想した給付金額が受け取れない事態も起こり得ます。
〇頭を抱えるケース・その2
ネット保険は、各保険会社がこぞって販売している商品です。しかし、全商品が対象となっているわけではありません。
ネット保険の商品では終身型(一生涯保障される)保険は登場していますが、各保険会社によっては内容の簡易な定期型保険に限定されている場合、保障プランが限られる場合等、まだまだ限定的です。
実は、ネット保険の保険料の安さに惹かれ加入したのは良いが、後日、対面販売の保険商品の保障内容の方が自分に合っていた、ということもありえます。
5-3.クーリング・オフできない!!
保険の場合のクーリングオフとは、保険加入者個人に考え直す期間を与え、一定の期間内であればその本人が、保険業者と締結した契約を一方的に解除できるという制度となります。
ネット保険でも問題なくクーリングオフできるかといえば、必ずしもそうではありません。
保険業法ではインターネット・郵送等の通信販売で保険を申し込んだ場合は、基本的にクーリングオフができない旨を規定しています(保険業法第309条第1項以降を参照)。
つまり、原則としてネット保険はクーリングオフできないことになります。ただし、保険業法は、保険会社が保険加入者の有利となる約束事を否定していません。
例えば、「保険会社の所定の指示に従えば、ネット保険のクーリングオフが可能」という取り決めは認められます。
クーリングオフができるかどうかは、各保険会社のホームページで確認するか、保険会社のお客様センターへ合わせて確認してみましょう。
6.ネット保険で悩んだら
ネット保険をはじめとした保険選びで迷うことがあるかと思います。私としては、専門家のような方々と相談しながら決めたいのですが。
そんな相談サービスはないですかね・・・?
こちらでは、保険相談の際の専門家と、その相談サービスについて解説します。
6-1.ファイナンシャルプランナーとは
ファイナンシャルプランナーとは、税金、保険等の専門的な知識を有し、お客に適した人生設計をアドバイスする有資格者のことです。
生命保険・損害保険の幅広い知識を持つ方々も多く、利用者の相談に有効なアドバイスが期待できます。
特に独立系ファイナンシャルプランナーは、企業・金融機関から距離を置き、個人で事務所を経営していることが多いです。
そのため、相談料は有料になりますが、中立の立場から有益な助言が得られることでしょう。
6-2.無料の保険相談窓口もある
一方で、最近参入事業者が急拡大しているのは、「無料の保険相談サービス」です。
相談者は何度でも無料で保険相談を受けることが可能で、気軽にアドバイスや商品の提案を聴くことができます。
ショッピングモールや駅前、商店街等にお店を構える「店舗型」や、ご自宅等に相談スタッフが訪問してサービスを提供する「訪問型」もあります。
ただし、店舗型も訪問型も保険相談に関してサービス内容自体は変わらないので、ご自分の都合に応じて各サービスを利用するのが良いでしょう。
6-3.無料保険相談のメリット・デメリット
こちらでは、無料保険相談の利点・注意点を解説します。
〇メリット
無料保険相談は、文字通り何度利用しても無料なので費用の心配はありません。
また、相談スタッフはもちろん素人ではなく、保険の知識を有した専門スタッフです。相談者の質問への回答の他、相談者に合った保障プラン・保険料の見積もりを出してくれます。
〇デメリット
無料の保険相談サービスは便利ですが、相談者から相談料をとらない分、提携している保険会社から手数料をとっています。
つまり、相談スタッフのすべてが中立公正な立場から、相談者にアドバイスしてくれるとは限りません。もし担当スタッフが、特定の保険商品ばかりをゴリ押しするような場合は、即座に相談を中止した方が無難です。
7.まとめ
ネット保険は便利で保険料が安い反面、保険商品の選択と決定は終始ご自分で行う必要があります。
判断に迷ったときは、保険の相談サービスを利用する等して、保険の知識を有する方々の意見を聴いてみるのも良いでしょう。