医療保険の加入を考えている方や、保険の見直しを考えている方で、どんな医療保険が良いのか迷う方は多いと思います。
そして、近年では終身保障の医療保険が主流化し、人気を集めています。
この終身医療保険がなぜ人気を集めているのか。そして、終身医療保険のメリット・デメリットはあるのか、また人気の理由から医療保険の必要性など、様々な側面から医療保険を見ていきたいと思います。
終身保障が果たして最適なのか、また定期タイプの人気が落ち込んでいる理由も見えてくると思います。
この記事は、保険の募集行為でもないので、読んでいただいた方が、今後の医療保険や生命保険・がん保険など生命保険会社が販売する商品を購入するうえで、的確な商品を選べるようになる手助けになればと思います。
今回は医療保険をメインに書いていきますが、基本的なことは、生命保険でもがん保険でも同じことなので、応用できるかと思います。
目次
医療保険とはなにか
そもそも医療保険とは何なのか?と聞かれると、大半の方は「病気やケガで入院した時の保障」と答えることが出来るでしょう。
この様に、わざわざ説明しなくても、医療保険の事は皆さん知っているのです。
しかし、その保障内容や、保障期間や保険料払い込み期間などを聞くと、理解している人の数が減っていきます。
それに、インターネットの情報などは書いているサイトなどによって違う情報が書かれていたりします。
しかし、根本的には簡単なことです。
・入院した時に1日どれぐらいの給付金が必要なのか
・保障期間はいつまでいるのか
・保険料はいつまで支払うのか
重要なのはこの3つだけです。
これは、医療保険だけではなく、生命保険会社が販売している「生命保険」「がん保険」にも共通して言えることなのです。しかし「生命保険」「がん保険」には、また違う重要な要素も加わってきますが、今回は医療保険の記事なので、また違う機会に書いていこうと思います。
終身医療保険が人気の理由
医療保険に限らず、生命保険会社の販売している「生命保険」「医療保険」「がん保険」には終身保障(終身保険)と有期保障(定期保険)があります。
日本社の生命保険会社である、日本生命・住友生命・第一生命・太陽生命などが主力商品として長年販売してきた商品は、有期型(定期保険)の医療保険です。
よくある商品で言えば、定期付き終身保険と言い、厳密にいうと終身の死亡保障に定期タイプの生命保険や医療保険をオプション(特約)として、パック商品のようにして販売していたのです。
この様な商品は、大体80歳ぐらいで更新が出来なくなります。
一方で病気やケガで入院するリスクが高くなるのが、この年齢あたりからという事で、ニーズとマッチしないのです。
そして、医療技術や生活が豊かになったことで、平均寿命が延びてきているにも関わらず、商品が昔のままである事がニーズとのアンマッチングを生んでいるのです。
そうした中で、後発と言われる損保系生命保険会社や外資系の生命保険会社は、「生命保険」「医療保険」「がん保険」などを単品売りのような形で販売することで、必要な保障だけを購入できるようにしたのです。
そうすることで、終身保険なのか、定期保険なのかの選択ができることで、病気のリスクが高くなる年齢になっても保障が続く終身保険が売れるようになってきたのです。
それに、保障期間が終身という事で、定期保険に有った「更新」がなくなることで、保険料の支払金額が変わることなく同じ金額で払い続けることが出来るようになるのです。
この保険料も、有期型なのか終身型かによって保険料は変わりますが、更新ごとに保険料が上がることがないという事も人気が出た理由の一つなのでしょう。
定期保険と終身保険
定期保険と終身保険ではどのような違いがあるのか。メリットやデメリットも合わせて見ていきましょう。
まず、定期保険は保険料が安く、大きな保障を必要な期間だけ準備出来ることが、最大のメリットなのです。その他のメリットは、更新がある事で保険の見直しをするタイミングが定期的に訪れることで、見直しをしやすいという所もメリットの1つです。
反対にデメリットは、更新時期がある事で、更新のたびに保険料が高くなること。これは同じ保障で更新していくと、更新時の年齢で契約をするので、新規で加入する場合は健康状態の審査があるところ、契約の更新であれば健康状態の審査がないだけで、保険料はその更新時の年齢で算出されるので、年齢が高くなるにつれ保険料が高くなっていくのです。
それでは、終身保険と定期保険のメリット・デメリットをわかりやすく表にしてみます。
定期保険
メリット | デメリット |
保険料が安い | 更新があり更新ごとに保険料は高くなる |
高額な保障が準備できる | 保険期間が過ぎると保障がなくなる |
必要な時だけ保障を準備できる | 高齢になると更新できない場合がある |
終身保険
メリット | デメリット |
保険料が一生涯上がらない | 保険料が高い |
一生涯の保障がある | 大きな保障が準備しにくい |
貯蓄性がある | 見直しにくい |
これは、医療保険に限らず、生命保険・がん保険にも共通することであり、保険商品や用途によって終身が最適であったり、定期保険が最適であったりします。
医療保険・がん保険は終身保障の終身保険が向いているのですが、生命保険(死亡保障)に関して言えば、用途によっては定期保険の方が向いている場合もあります。
終身保障にするメリット・デメリット
終身医療保険の人気が上がることで、コマーシャルなどでは「一生涯保険料が上がりません」と言っていますが、裏を返せば「死ぬまで保険料を支払ってください」と言っているのです。
この「一生涯保険料が上がりません」と言うのは、今まで生命保険とは更新型が一般的で、「保険料は更新が来るたびに保険料が上がっていく物」と言う考え方があるため、年配の方や定年退職した世代の方は、収入が減少することで安くて一生涯の保障があり、保険料も上がらないと聞くだけで良い商品だと思う方が多いのです。
しかし、少し保険の事を知って入れば当たり前の事であり、今後医療保険の加入を考える若い世代の方は、もう少し賢い加入方法をすることで、年金生活になっても保険料を支払っていくという事をしなくてもよくなるのです。
終身保険のメリットとデメリットは、先ほどの表でも書きました。
メリットは、保険料が一定の金額になるので、年齢を重ねても保険料の心配をしなくて済みます。この保険料の支払い期間を、定年時期である60歳前後に設定すれば、それ以降は保険料の支払いがなく保障は一生涯続いていきます。そうすることで、収入がある現役時代に退職後の保障を準備してしまうこともできるのです。
また、これから医療保険を見直そうと考えている方で、もうすぐ定年を迎える世代の40代後半から50代の方は、保険料支払い期間を有期(60歳から70歳ぐらいまで)で設定してしまうと、支払保険料が高くなってしまうので、家計との相談になりますが、出来るだけ安くしておきたいと思う方が大半だと思うので、その年代の方は逆に終身保障の終身払いにし、月々の保険料を安く設定することで、家計の負担を軽くする方が得策であると言えます。月々3~4,000円にしておけば、退職後も大きな負担になることはないと思います。
しかし、終身保障にすることは良い事ばかりではなく、デメリットも存在します。
終身医療保険のいちばんのデメリットは、保険の見直しがしにくいという事です。保険料が高い事や大きな保障が出来ないというのは、生命保険(死亡保障)での話が大半であり、医療保険に関して言えば、大きなデメリットは見直しになるのです。
医療保険は年齢や健康状態によって大きく保険料が変わります。
そして医療保険は医療技術の進歩によって入院日数が短くなったりしてきていることもあるので、定期的に見直すことも場合によっては必要になってきます。
現在、見直しが必要なのは以前から販売されている商品で、「入院給付金は5日以上の入院に限る」などの商品です。このような商品は、5日以上の入院になった場合に給付金が支払われる商品であり、日帰りの入院などには対応しきれていないのです。
現在の医療技術では、手術をしても日帰り入院や1泊2日の入院で済むケースも充分にあり、それを考えると現在の医療技術には合っていない商品であると言えます。
この様な商品を更新型で長年契約している方は要注意であり、見直しが必要になってきます。
今後、医療技術がどのように進歩していくかはわかりませんが、若いうちに終身医療保険を契約して、それで安心かと言えば100%ではありません。見直しをしないといけなくなる可能性も充分にある事を考えると、契約した時に一生涯の保障と思っていたら、見直した時の年齢と健康状態では保険料が上がるので、見直しをしにくいという事になります。
医療保険の必要性
終身医療保険が人気なのは書いてきましたが、そもそも医療保険は必要なのか?と思う方もいるかもしれません。
これは、保険屋さんやファイナンシャルプランナーをはじめとする保険に詳しい方の中でも、意見が二分化することがよくあります。そのことから、インターネットの情報や保険屋さんやファイナンシャルプランナーさんによって意見が違い、必要だと言う所もあれば不要だという所もあります。
その事から、情報を得る方法によって意見がバラバラなので、混乱することも多いと思いますが、これは本当に人それぞれだと思います。
必要だと言われれば必要であるし不要と言えば不要なのです。もちろん保険会社は商品を売りたいので必要なものとし、必要であると思わせる様に情報を出します。
しかし、本当に必要かと言われると、首をかしげる人も実際にはいます。
それでは、医療保険が必要な方はどのような人なのかを説明していきます。
・急な病気やケガで入院した場合に収入がなくなる方(自営業やフリーランスの方)
・病気に罹っても貯蓄があり治療費に困らない人
・貯蓄が苦手な人
この様な方は、医療保険に加入しておいた方が良いと思います。
病気で入院した時に掛かる費用でいうと、治療費もそうですが、それ以外でいうと食事代・雑費・差額ベッド代等になります。
また、治療費に関しては、高額療養費を活用することで、手術などを行って高額になっても一般的な収入の方は約9万円で収まります。その事から、生活費以外に急な出費で20万円ほどは余力があるという方は、医療保険が必要ない可能性はありますが、それ以外の方は加入していれば安心できるという事です。
あとは、費用対効果を考えれば、月々支払う保険料を計算し、総額支払う金額と保険会社から給付される金額を考えると、必ずしも同等の金額をもらえるとは限らない保険であるという事から、貯蓄が上手な方は保険料を払ったと思い貯蓄しておけば、将来病気になった場合のリスクを回避できるだけの貯蓄は出来るという考え方が出来るのです。
これを考えると、医療保険は不要だと考えることが出来るのです。
高額療養費制度
医療保険の事を書く中で、必ず出てくることが高額療養費制度の事です。
この高額療養費制度は、健康保険に加入していれば受けることの出来る公的な制度なので、ほとんどの方は受けることのできる制度なのです。
この高額療養費制度とは、同一月内に掛かった医療費の一定金額を超えた金額に対して、国が費用を負担するというものです。
これは、所得により自己負担額が変わりますが、一般的な収入(年収770万円まで)の方は約9万円の自己負担額になるのです。
解りやすく表にすると下記の表のようになります。
所得区分 | ひと月あたりの自己負担限度額(円) |
年収約1,160万~ | 252,600円+
(医療費-842,000円)×1% |
年収約770万~1,160万まで | 167,400円+
(医療費-558,000円)×1% |
年収約370万~770万まで | 80,100円+
(医療費-267,000円)×1% |
年収370万まで | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 |
この表から計算すると、治療費に30万円かかった場合(80,100円+(300,000-267,000円)×1%=80,430円となります。
1か月の自己負担額は30万円の治療費であっても、約8万円で納まるという事になります。
これが、高額療養費制度と言う制度になります。意外に知らない方が多いのですが、急な入院の場合は、窓口で治療費等の支払いが終わった後でも申請すれば、自己負担額を超えた金額に関しては戻ってきます。また、事前に入院することがわかっている場合などは、入院前に申請することで、窓口での精算時に自己負担額だけの支払いで済みます。
高度先進医療
ここ数年ですごく有名な言葉になり、注目を集めている先進医療ですが、この先進医療に関する特約もここ数年の医療保険には欠かさず付いている特約ですが、昔からある医療保険には付いていない場合が多いです。
付いていないというよりも、その商品が販売されるときには先進医療と言うものがなかった時代なのです。
先進医療とは、がん治療における粒子線治療と言われる、重粒子線治療や陽子線治療などが有名なところだとおもいます。その粒子線治療の費用は、すべて自己負担である「自由診療」になるのです。しかも、粒子線治療の治療費は、1回の治療に300万円ほどかかります。
その先進医療を受けた場合に、医療保険やがん保険に特約で付けることのできる先進医療特約から給付金が出るのです。
また、先進医療とは厳密にいうと、「自由診療」+「保険診療」を厚生労働省が特例で認めた医療行為なのです。
自由診療は、厚生労働省が認めいていないことで全額自己負担での治療になり、保険診療は厚生労働省が認めた治療行為であることから、健康保険に加入をしていれば、3割負担で受けることのできる治療行為なのです。
保険診療と厚生労働省が認める為には、日本国民が平等に受けることが出来る治療行為という事が最大の焦点になるのです。
その中で、自由診療は自由診療で、保険診療は保険診療と、混合することは厚生労働省が認めていないのですが、先進医療に関しては先ほども書いた通り、特例で認めているケースなのです。
これは、技術料(治療費)は全額自己負担の自由診療なのですが、それまでの事前検査や入院等は保険診療の対象になり、3割負担で受けることが出来ます。また、保険診療の部分に関しては高額療養費の対象になるので、先ほども書いた通り高額になっても、8万円ほどの自己負担で受けることが出来るのです。
また、先進医療とはがん治療の粒子線治療だけではなく、平成28年10月1日時点で103種類の医療技術が厚生労働省によって先進医療と認められています。
その中でも、生命保険会社の先進医療特約の給付金額と給付事例が多いのが、白内障の手術なのです。白内障の手術は身近なものだと思いますが、白内障の手術には2種類があり、一般的なものが、「単焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」と言い比較的どこでも受けることのできる手術方法なのです。これは、術後は焦点を一点にしか合わせることが出来ないことで、メガネの使用などが欠かせない手術なのです。
もう一つの方法が、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」という手術方法なのです。
この「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は術後に焦点が複数合わせることが出来るので、メガネ等を使う必要がなくなってきます。
この手術方法が、先進医療の認定を受けているのです。またこの白内障の手術が、医療保険の先進医療特約での支払いが多い事例なのです。
また、先進医療特約は、医療保険とがん保険の両方に同じような特約があるのですが、がん保険の先進医療特約は「がん先進医療特約」となり、がん治療における先進医療である粒子線治療などが対象であり、先ほど書いたような白内障の手術など、がん治療以外の先進医療は対象外になることが多いので要注意です。
医療保険が生活費の補填になるか?
某保険会社が急な病気などで入院し収入が減少した場合のリスクに備えて、「医療保険だけではなく、所得補償保険に入りましょう」とコマーシャルを流しています。
この考え方は、間違いではないのですが、医療保険だけでも生活費の補填に使えるのです。先ほども書きましたが、入院した場合に掛かる費用と収入の減少分の補填とを考えると、入院日額の設定次第では充分生活費の補填まで出来るのです。
入院に掛かる費用は先ほども書きましたが、治療費(手術代含む)・食事代・雑費・差額ベッド代(場合による)を合わせても、高額療養費制度を使うことで、1か月間入院した場合でも、30日間入院しかかった費用が、治療費(約9万円)+食事代(1日1,000円)+雑費(1日1,000円)とした場合、1日5,000円ほどになります。
医療費だけをカバーするのであれば、入院日額5,000円あれば補填できます。しかし大半の方は入院日額を8,000円から10,000円の設定にしていると思います。
その金額で入院日額を設定していると、入院に掛かった費用以外は生活費の補填に使えます。また、自営業者やフリーランスの方は、入院してしまい仕事が出来なければ、収入がなくなってしまいますが、会社員の方であれば、健保組合等などで平均給与の3分の2の金額を疾病給付金として受け取ることが出来るので、収入が0になることはないのです。
そして、給与の残り3分の1の金額を入院日額で治療費等に使いあまった部分で補填が出来るのです。
このことを考えると、医療保険の入院日額を5,000円などに設定し、安く済ませても給与保障保険に加入すれば、医療保険で入院日額10,000円の保障を買うよりも高額になる可能性もあります。
これは、病気で入院した場合の話ですが、病気によっては入院後も通院等で治療が続き仕事が長期に渡って出来ないという事も考えられます。このような場合には、給与保障保険などは有効な手段になるかもしれませんが、保険料と保険金支払い要件次第で検討の余地はあるのかと思います。しかし基本的にはあまり役に立たないのかなとは思います。
がん保険
終身医療保険の人気が高くなり、加入者も多くなってきていると思いますが、そもそも必要なのか?という事も書いてきました。
そして、医療保険は必要ないかな?と考える方には、無理に医療保険に加入する必要もないので、それはそれで良いと思います。しかし生命保険会社の商品で医療保険に最も近い商品である、「がん保険」は検討の余地があると考えています。
日本の死因の2人に1人はがんで死亡しています。また、がんになる確率は60%以上とも言われています。医療保険でもがんに対する準備はできますが、保険料の事と内容を考えると、がんに特化した保険に加入することが、いちばんであると言えます。
がん保険は、がん治療を目的とした入院・通院・先進医療などに対しての保障が手厚く、また保険料も終身保障の終身払いにすることで、安ければ月々2,000円程で入院日額10,000円ぐらいの保障の保険には加入することが出来ます。
そして、がん保険は見直しを前提に加入することが多い為、月々の保険料を安くする必要性が有るのです。
この見直し前提と言うのは、がん治療はその他の医療技術の進歩よりも早く医療技術が進歩してきています。現在は先進医療である粒子線治療の1つである、「陽子線治療」は数年後には保険診療の扱いで3割負担の金額で治療を受けることが出来るようになるかもしれません。またその他の治療技術も出来る可能性もある事も充分に考えられます。そうなれば、今よりも入院日数が短くなり、入院をしなくて済むようになるかもしれないのです。その事を考えると、がん保険は遅くても10年に一回程度は見直して加入しなおす保険と言えます。がん保険に関して言えば、発売から20年経つか経たないか位の、比較的新しい商品であるにも関わらず、通院保障が出来たり、先進医療特約が出来たりと、数年で内容が変わる商品なのです。
また、医療保険よりも保険料が安く、治療費が高額になる病気という事もあり、一時金などを含めると給付金は大きな金額になります。
医療保険に比べると、給付金をもらう確率が高く、コストパフォーマンスの事を考えると、非常にコストパフォーマンスが高い商品であると言えるのです。
医療保険に月々5,000円程の保険料を支払うのであれば、がんにだけ特化したがん保険に加入している方が安心できると考えられるのです。
まとめ
終身保険医療保険の人気の理由と、医療保険に関することを書いてきました。
医療保険に限らず、長年に渡りは販売されていた生命保険の多くが、定期付き終身保険と言われる商品であり、また医療保険等も定期保険にする事で、定期的な見直しを勧め、新たな契約を結ぶことにより、保険会社や外交員の方が得をしていく仕組みになっていたのです。
契約者は年齢を重ねるごとに保険料が上がり、また保険の内容が分かりづらい仕組みという事もあり、訳の解らないままに契約をして医療保険や生命保険も実際に必要な時には保障が無くなっているという事がよくあったのです。
そのような商品を契約していた方が、保険を見直す時に「保険料は一生涯上がりません」や「一生涯の保障があります」と言われると、飛びつくのは解りきっていることなのです。
そして、その言葉の裏には、「保険料を一生涯支払ってください」という事が隠れているのです。コマーシャルなどでターゲットにしているのは、現役を引退した世代である60歳代後半ぐらいの年齢の方ですが、その年齢で月々4,000円ほどの医療保険であれば安いと思うかもしれませんが、一生涯という事は死ぬまでという事です。日本の平均寿命は男性で約80歳であり、女性では85歳を超えます。そうすると、65歳で月々4,000円の医療保険に加入すると、85歳まで生きたとすると、20年間保険料を支払うことになります。月々は4,000円ですが、年間に換算すると48,000円になります。これを20年間支払うと、960,000円と約100万円になります。
約100万円を保険会社に支払い、病気で入院した時にもらえる金額は多くても50万円ぐらいであると考えると、どうでしょうか。
そこまでして、医療保険に加入する必要があるかと考える方もいるかもしれません。
これが、若い方でも同じことが言えます。若い方で例えば、30歳で月々4,000円の医療保険を60歳まで支払い、保障は一生涯にしておけば死ぬまでの間病気で入院した時の経済的な不安はなくなりますが、30年間の総保険料を考えると、144万円になります。この金額の保険料を支払い、もらえるだろう金額を考えると、無駄にしているお金が多くなる可能性もあるのです。若い間に入院を伴う病気になれば話は別ですが、病気になるリスクは年齢を重ねるほど高くなっていくのです。
この様に、終身医療保険は一見良い事ばかりなような事を謳って加入を勧めますが、実際は総支払金額などを考えれば、本当に良い商品であるか見えてくると思います。
そして、終身医療保険が人気なように見えるのも、保険会社が売りたい商品であることから、コマーシャルはもちろん、販売に関わる外交員の方や保険代理店の方なども力を入れて販売しますので、よく見えてしまうのです。
決して医療保険が悪い物だという事は言いませんが、人それぞれの考え方と経済力があるので、一概には言えませんが、そうした側面もあるという事を理解しておいてください。
また、終身医療保険が人気になった理由の一つには、先ほども書いた以前から販売されていた生命保険や生命保険に対するイメージで難しい物・解りにくい物と言うイメージを、根本的に変えるぐらいシンプルで解りやすい商品であるという事が、人気と言うよりも販売数が伸びた理由でもあり、また近年では、心疾患・脳疾患・高血圧症・糖尿病・腎疾患などの生活習慣病に罹る人が増えた事も要因の一つであると言えるのです。
成人病ともいわれる生活習慣病が身近なものになったことと、解りやすい商品になったことで、医療保険がより身近な商品になり、納得して加入する方が多くなったのでしょう。
そして、医療保険の考え方は人それぞれですが、必要だと思う方も、金銭的なことを考えると、不要だという方もいます。
それほど、医療保険に関する考え方は人それぞれであるので、加入を考えている方は、しっかりと考えて、加入を検討してください。
長くなりましたが、参考になれば良いと思います。ご覧いただきありがとうございました。