私たちは、なにかしらの収入があった場合、国に対して税金を納めていますよね。
この時、国に対して納める税金のことを、所得税と言っています。
所得税とは、ざっくり言うと、所得(収入から経費を差しい引いたもの)に対しての税金のことを言いますが、税金の対象となる所得には、実は、さまざまに控除の対象となるものが用意されています。
控除の対象になるものには、いくつか種類がありますが、いずれも、経費以外で、収入から差し引くことができるものです。
つまり、収入から経費以外にも控除できるものがあればあるだけ、結果として、所得は小さくなりますから、税金の額も小さくなる仕組みです。
このように、節税効果を期待できる控除としては、住宅ローン控除や、生命保険料控除、医療費控除、寄付控除(=ふるさと納税)などが有名です。
その他にも、自然災害や事故に備える損害保険料控除などがあります。
今回は、損害保険料控除の中の火災保険のお取り扱いについて見ていきましょう。
うっかりとして、損しないように、是非、賢く注意するようにしましょう!
目次
1.所得控除って?
私たちが、所得税として国に対して納める税金は、収入ごとに決まった一定の税率を乗じて計算されますが、この時の税金の計算の元になるものが、いわゆる、「所得」と言われるものです。
「所得」は、1年間の収入を合計したものから、経費を差し引いて計算します。
1.1所得って?
たとえば、1年間の収入を合計した結果が、500万円であった場合、そこから、収入を得るためにかかった費用が200万円であれば、経費として200万円を差し引いた後に残った金額が、「所得」となります。
つまり、収入を得るためにかかった費用が200万円であれば、500万円(収入)-200万円(経費)=300万円となり、「所得」は、300万円となります。
●「所得」とは=「収入」-「経費」 |
実際に納める所得税の金額は、この「所得」(=300万円)に一定の所得税の税率を乗じたものとなります。
1.2所得税はどう決まる?
所得税の税率は、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と、「所得」に応じて、現在、7段階に分かれています。
「所得」の金額 | 税率 | 控除金額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超え 330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超え 695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超え 900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超え 1,800万円以下 | 33% | 159万6,000円 |
1,800万円超え 4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超え | 45% | 479万6,000円 |
たとえば、1年間(1月1日~12月31日)の収入の合計が500万円で、収入を得るためにかかった経費が200万円であった場合、「所得」は、500万円(収入)-200万円(経費)=300万円となります。
この「所得」=300万円に、所得税の税率である10%(195万円~330万円の税率)を乗じた金額(300万円×10%=30万円)から、控除金額の9万7,500円を差し引いた、20万2,500円が、実際に納める所得税の金額となります。
●「所得」が300万円の場合
20万2,500円【所得税の金額】=
300万円【所得=収入-経費】×10%【税率】-9万7,500円【控除金額】 |
1.2「所得控除」の制度って?
所得税には、所得税法によって、「所得控除」の制度が設けられています。
たとえば、一般的なサラリーマンの方の場合であれば、いわゆる、自営業やフリーランスの方の経費にあたる部分として、「給与所得控除」といったものが用意されています。
その他にも、収入から差し引くことのできる、「所得控除」には、「社会保険料控除」、「配偶者控除」、「扶養控除」、「医療費控除」、「雑損控除」、「生命保険料控除」、「小規模企業共済等掛金控除(iDeco=個人型確定拠出年金の掛け金)」など、現在、14の種類があります。
2.損害保険料控除って?
「損害保険料控除」は、火災保険や傷害保険などの損害保険の保険料を、所得から控除することができる、「所得控除」のうちのひとつでしたが、2006年度(平成18年度)の税制改正により、2007年(平成19年)以降、廃止されています。
損害保険は、偶発的な事故や天災によって、家や家財、あるいは、身体的に、なんらかの損害を受けた場合をカバーする保険のことを言います。
火災保険や傷害保険の他にも、自動車保険や自転車保険、所得補償保険など、いくつもの種類があります。
損害保険料控除とは、所得税を算定する際に、「所得控除」として、損害保険の中の火災保険や傷害保険の保険料を、所得から差し引くことができるものでした。
しかしながら、2006年(平成18年)に行われた税制改正により、損害保険の中では、地震保険のみを、「所得控除」の対象とすることが決定されました。
このため、「所得控除」の名目も、損害保険料控除という名目ではなく、2007年(平成19年)以降は、地震保険料控除へと変更されています。
ただし、損害保険料控除の経過措置として、一定の条件を満たす火災保険や傷害保険などの損害保険の契約であれば、「旧長期損害保険料控除」として、引き続き、「所得控除」を受けることが可能です。
2.1長期保険契約って?
一般的に言って、火災保険や傷害保険には、次の2つのタイプの保険契約があります。
●長期保険契約
●短期保険契約
長期保険契約とは、保険期間(保険契約でカバーされる期間)が、10年以上であり、保険期間終了時には、満期金や返戻金を受け取ることのできる保険契約のことを言います。
2.2短期保険契約って?
火災保険や傷害保険の短期保険契約とは、保険期間(保険契約でカバーされる期間)が、1年や3年などの10年未満の契約で、保険期間終了時に、満期金や返戻金を受け取ることができない保険契約のことを言います。
また、損害保険の短期保険契約とは別に、少額短期保険と言われている保険契約もあります。
少額短期保険とは、「ミニ保険」とも呼ばれているもので、おもに、少額短期保険業者により取り扱いされている生命保険や医療保険、損害保険のことを言います。
少額短期保険は、おおむね、保険期間が最長でも2年以内(更新は可能)などの短期間の保険契約であり、ペット保険や、糖尿病患者の方に特化した医療保険など、特定のニーズに合った保障を、リーズナブルな保険料で備えることができる保険商品です。
なお、通常、少額短期保険の保険料は、もともと、「所得控除」の対象ではありませんでした。
少し、ややこしいですが、注意するようにしておきましょう。
3.火災保険が控除対象になるケースって?
現在では、「所得控除」の対象からはずれている火災保険や傷害保険ですが、次の条件1.~条件4.を満たしているケースであれば、損害保険料控除の経過処置である、「旧長期損害保険料控除」として、引き続き、「所得控除」を受けることができます。
条件1.
平成18年(2006年)12月31日までに締結した契約
ただし、保険期間(または、共済期間)の開始が、平成19年(2007年)1月1日以後のものであれば、「旧長期損害保険料控除」を受けることができません。
条件2.
保険期間満了後に、満期返戻金のあるもの
条件3.
保険期間(または、共済期問)が、10年以上の契約のもの
条件4.
平成19年(2007年)1月1日以後に、損害保険契約の変更をしていないもの
4.いくら控除される?
ご加入されている火災保険が、「旧長期損害保険料控除」のケースに該当している場合、「所得控除」を受けることができる金額は、次のようになります。
4.1所得税
所得税を計算する際に、「旧長期損害保険料控除」として、年間の払い込み保険料の合計金額が、1万円以下のケースでは、全額を控除することができます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、1万円以上2万円以下のケースでは、払い込み保険料×1/2+5,000円を、控除することができます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、2万円以上であれば、1万5,000円を控除することができます。
たとえば、年間の火災保険料の払い込み金額が、9,000円であれば、9,000円全額を控除金額として、申告することができます。
年間の火災保険料の払い込み金額が、1万2,000円であれば、1万2,000円×1/2+5,000円=1万1,000円として、申告することができます。
年間の火災保険料の払い込み金額が、2万2,000円であれば、1万5,000円として、申告します。
このように、所得税については、最大1万5,000円まで、「所得控除」を受けることができます。
1年間の払い込み保険料の合計金額 | 控除できる金額 |
1万円以下 | 全額 |
1万円超え 2万円以下 | 払い込み保険料の合計金額 × 1/2+5,000 円 |
2万円超え | 1万5,000円 |
4.2住民税
私たちが、なんらかの収入を得た時に、国に対して納める税金のことは、所得税と言っていますが、同様に、住所地(住所地とは住民票のある市町村のことを言います)の市町村や都道府県に対しても、市町村税や、都道府県民税といった形で、税金を納める義務を負っています。
一般的に、なんらかの収入を得た時に、市町村や、都道府県に納める税金のことは、住民税と言われています。
住民税には、所得税と同様に、「税額控除」の制度が設けられています。
住民税の「税額控除」の対象となる項目は、「社会保険料控除」、「配偶者控除」、「扶養控除」、「医療費控除」、「雑損控除」、「生命保険料控除」など、おおむね、所得税と同様の項目について控除対象とされています。
ただし、所得税が、国に対して納める国税であるのに対して、住民税は、お住まいの市町村や都道府県に対して納める地方税となるため、納付する先が異なっています。
このため、所得税の場合では、「所得」に対して、5%~45%まで、収入に応じた7段階に分かれた税率を乗じて計算されるのに対して、住民税の場合では、収入によらず、一律の税率を乗じて、計算されます。
住民税の税率は、お住まいの自治体によって決められていますが、通常は、一律10%(市町村税6%、都道府県民税4%)の税率であることが、一般的です。
また、「所得」から控除できる「税額控除」の金額も、「社会保険料控除」、「医療費控除」、「小規模企業共済等掛金控除」、「雑損控除」については、所得税と同じ控除金額ですが、その他の項目では、異なった金額のものが控除金額として適用されています。
住民税の場合、「旧長期損害保険料控除」として、年間の払い込み保険料の合計金額が、5,000円以下のケースでは、全額を控除することができます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、5,000 円以上、1万5,000 円以下のケースであれば、年間の払い込み保険料×1/2+2,500円を、控除することができます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、1万5,000 円以上の場合であれば、1万円が控除されます。
たとえば、年間の払い込み保険料の合計金額が、5,000円であれば、5,000円全額が、「控除金額」として「所得」から控除されます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、1万2,000円であれば、1万2,000円×1/2+2,500円=8,500円「控除金額」として「所得」から控除されます。
年間の払い込み保険料の合計金額が、4万2,000円であれば、1万円を、「控除金額」として「所得」から控除されます。
このように、住民税の「旧長期損害保険料控除」は、最大1万円までが、「税額控除」を受けることができる金額となります。
また、計算のもとになる「所得」は、所得税の場合では、1年間(当年1月1日~12月31日)であるのに対して、住民税の場合では、前年の1年間(前年の1月1日~12月31日)の所得になります。
住民税と所得税では、控除金額や、「所得」を計算する年度が異なっていますので、注意するようにしましょう。
1年間の払い込み保険料の合計金額 | 控除できる金額 |
5,000円以下 | 全額 |
5,000円超え 1万円5,000円以下 | 払い込み保険料の合計金額 × 1/2+2,500 円 |
1万円5,000円万円超え | 1万円 |
5.火災保険と地震保険の関係って?
ここで少し、火災保険と地震保険の関係について、見ていきましょう。
火災保険は、損害保険のひとつであり、火災による損害だけでなく、水災や風災、雪による被害や、落雷など、自然災害によって被害を受けた場合や、水道管が破裂したなどの水浸し事故や、盗難にあった場合などにおいて、建物や家財を補償することを目的とした、マイホームを守るための保険です。
ただし、火災保険では、自然災害であっても、地震を原因とする損害はカバーされません。
また、火災保険では、地震が原因でおこった火災の損額を補てんする特約(地震火災費用特約と言います)が、あらかじめ付帯されている保険商品や、付帯できる保険商品があります。
5.1損害保険金と費用保険金って?
一般的に、建物や家財が火災で損害を受けた場合、火災保険から、保険の対象となっている建物や家財に対して、保険金が支払われます。
たとえば、1,000万円を保険金額として火災保険に加入した場合、もし仮に、火災で損害を受けた時には、1,000万円の保険金額を受け取ることができます(ただし、保険会社や保険契約によっては受け取ることのできる保険金が100%に満たない場合もあります)。
この時の保険金のことを、「損害保険金」と言います。
また、火災での損害は、建物や家財の損害だけでなく、火災後の後片付けの費用や、住む所がなくなってしまったために、別の住まいを借りるための費用など、さまざまな費用が発生します。
こういった費用をカバーするものが、「損害保険金」に対して、「費用保険金」と言われるものです。
一般的な火災保険では、「損害保険金」と、「費用保険金」の2つの保険金を受け取ることができます。
ただし、「費用保険金」は、あらかじめ、火災保険に付帯されているものと、特約として付帯する必要があるものに分かれています。
●代表的な「費用保険金」
臨時費用保険金 | 損害保険金が支払われる事故が発生したときの臨時費用 |
残存物取り片づけ費用保険金 | 損害を受けた保険の対象の残存物を片付けるための費用 |
失火見舞保険金 | 失火による延焼で第三者の所有物に被害を与えたときのお見舞金などの費用 |
損害防止費用保険金 | 火災、落雷、破裂または爆発による損害の発生または拡大の防止のために必要、または、有益な消火活動による費用 |
地震火災費用保険金 | 地震、噴火、または、これらによる津波による火災で保険の対象に一定の条件で損害が発生した場合の費用 |
このような「費用保険金」は、一般的には、火災の損害の大きさによらず、「損害保険金」が支払われるケースであれば、保険金額の3%や5%など、一定の割合や、10万円や50万円など、一定の金額を受け取ることができます。
また、火災保険では担保されない地震を原因とした火災などで損害を受けた場合、地震火災費用特約を付帯しているのであれば、地震火災費用保険金を受け取ることができます。
ただし、地震火災費用保険金の金額は、火災保険の保険金額の5%など、一定の割合や、300万円までなど、補償金額に限度額が設けられていることが、一般的です(ただし、火災保険によっては、保険金額の30%、または、50%を補償するプランを選択することが可能な保険商品もあります )。
なお、一般的には、地震火災費用特約では、地震を原因とする「損壊」、「埋没」、「流失」による損害に対して、補償を受けることはできません。
また、地震火災費用特約は、火災保険に付帯する特約(オプション)であるため、地震保険料控除の対象とはなりません。
一方、地震保険では、地震火災費用特約で補償されない、地震を原因とする「損壊」、「埋没」、「流失」を含めた損害をカバーすることができます。
5.2セットで加入!?地震保険
地震保険は、その名の通り、地震により受けた、損害がカバーされる保険です。
日本は、世界有数の地震大国であり、世界中で発生している大きな地震の約2割が、日本で発生しているというデータもあります(平成22年度 内閣府 防災白書)。
また、今後、30年以内に、「首都直下地震」は、約70%、「南海トラフ地震」は、70~80%という高い確率で巨大地震が発生すると予測されています。
地震が発生すると、建物が倒壊する以外にも、火災や、津波による損壊、土砂による埋没など、マイホームを一瞬で失ってしまう可能性があります。
また、マイホームを失ったにもかかわらず、住宅ローンだけが残るというケースも想定されます。
このようなことからも、万が一、地震の被害に遭った場合、生活再建への道筋が立ちやすいように、経済的な負担を少しでも軽減することを目的とした地震保険への加入普及を目指して、2006年(平成18年)の税制改正では、損害保険料控除が廃止されるとともに、地震保険料控除として、地震保険の保険料を、「所得控除」の対象とすることが決定されました。
つまり、国をあげて、国民の地震保険への加入をバックアップしよう!ということが、決まったということですね。
こういった経緯からもわかるように、地震保険は、次の2つの点で、少し、ユニークな側面を持つ保険商品となっています。
●地震保険は、原則、火災保険に付帯
一般的に、地震保険は、地震保険のみで加入することはできません。
火災保険に加入している方のみが、地震保険にも加入できる仕組みです。
このことを、【原則、火災保険に付帯】と言います。
また、地震保険の保険金額は、セットで契約する火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定することができます。
もし仮に、地震被害に遭った場合、損害の程度(全損、大半損、小半損、一部損の4段階)に応じて、地震保険の保険金額の一定の割合(100%、60%、30%、5%)を受け取ることができます。
たとえば、保険金額が、1000万円の火災保険に加入した場合であれば、地震保険の保険金額は、300万円~500万円の範囲で設定します。
この時、地震保険の保険金額が500万円であれば、全損の場合では、500万円(100%)、大半損であれば、300万円(60%)、小半損なら、100万円(30%)、一部損なら、10万円(5%)を保険金として受け取ることができます。
ただし、地震保険では、30万円を超える貴金属や宝石類、現金や商品券、自動車などは補償の対象外とされています。
また、単体で契約することのできる地震保険もありますが、この場合、「所得控除」の対象外とされていますので、注意するようにしましょう。
●地震保険は半官、半民
火災保険とセットで加入する地震保険は、国と保険会社が、共同で運営している保険です(いわゆる、半官半民と言われています)。
一般的に、地震保険法に基づき、損害保険会社から提供される地震保険では、政府によって再保険制度がとられています。
再保険制度とは、甚大な地震災害が発生した場合、保険金の支払い金額も非常に大きくなることが予測されることから、保険会社1社では、担いきれなくなることを防ぐことを目的として、政府が、他の保険会社にも、保険金の支払いを振り分けることができる制度のことを言います。
再保険制度の支払い分担金は、3者(日本地震再保険株式会社、損害保険会社、政府)で、決められた金額が、分担されます。
ですから、原則、どの損害保険会社の地震保険であっても、なにかあった場合、政府と他の民間の損害保険会社が、共同で補償を担う形式がとられていると言えます。
このため、地震保険では、損害保険会社によって、支払い条件が変わるということがなく、実際、保険金の受け取りも、非常に、スムーズに行われています。
また、地震保険は、所在地と建物の構造(耐火・非耐火)によって、国が保険料を定めているため、どの保険会社で加入してたとしても、補償内容や、保険料が変わるということはありません。
ただし、お住まいの地域によって、保険料は異なっています。
つまり、地震保険の保険料が、他の地域に比べて高い場合であれば、それだけ、その地域で地震被害が大きいことが、国によって予測されているということになります。
まだ、地震保険への加入していない方の場合でしたら、今一度、お住まいの地域の保険料が、他の地域に比べて、高いか低いを調べてみることも、検討の一助になるかと思われます。
なお、火災保険の契約期間は、最長10年(2015年10月以降の契約)、地震保険の契約期間は、1~5年となります。
いずれも、長期契約で保険料を一括払いする場合、契約期間が長いほど、保険料の割引率は、大きくなります。
その他にも、地震保険には、「建築年割引」、「耐震等級割引」、「免震建築物割引」、「耐震診断割引」の4つの割引があり、保険料は、おおむね10%~50%の割引率が適用されます。
6.控除のポイントはコレ!
現在、「所得控除」からはずれている火災保険ですが、「旧長期損害保険料控除」の対象である保険契約のケースに該当していたり、地震保険にセットで加入しているケースであれば、「地震保険料控除」として、所得税と住民税の税額控除の対象となります。
また、火災保険の「旧長期損害保険料控除」の対象であり、地震保険にも加入しているケースであれば、個々に申告することができます。
ただし、ひとつの保険契約で、「旧長期損害保険料控除」と「地震保険料控除」がある場合、どちらか一方を選択して、申告します。
●火災保険の「旧長期損害保険料控除」の対象となるケース
年間払い込み保険料 | 控除限度額 | |
所得税 | 1万円以下 | 年間払い込み保険料の合計 |
1万円超え 2万円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2+5,000円 | |
2万円超え | 1万5,000円 | |
5,000円以下 | 年間払い込み保険料の合計 | |
住民税 | 5,000円超え 1万5,000円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2+2,500円 |
1万5,000円以上 | 1万円 |
●火災保険と地震保険をセットで加入しているケース
年間払い込み保険料※ | 控除限度額 | |
所得税 | 5万円以下 | 年間払い込み保険料の合計 |
5万円超え | 5万円 | |
5万円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2 | |
住民税 | 5万円超え | 2万5,000円 |
※ただし、地震保険の保険料のみが税額控除の対象となるため、火災保険の保険料は含まれません。
●火災保険の「旧長期損害保険料控除」の対象となるケース、かつ、地震保険も付帯しているケース
地震保険の年間払い込み保険料※ | 控除限度額 | 火災保険の年間払い込み保険料※ | 控除限度額 | |
所得税 | 5万円以下 | 年間払い込み保険料の合計 | 1万円以下 | 年間払い込み保険料の合計 |
1万円超え 2万円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2+5,000円 | |||
5万円超え | 5万円 | 2万円超え | 1万5,000円 | |
住民税 | 5万円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2 | 5,000円以下 | 年間払い込み保険料の合計 |
5,000円超え 1万5,000円以下 | 年間払い込み保険料の合計×1/2+2,500円 | |||
5万円超え | 2万5,000円 | 1万5,000円以上 | 1万円 |
火災保険(旧長期損害保険料控除の対象)と、地震保険の保険料が、別契約であれば、個々に計算して、申告します。
ひとつの契約の中に、「旧長期損害保険料控除」と、「地震保険料控除」が混在しているケースであれば、どちらか一方を選択して、申告します。
7.年末調整で申告する場合
会社にお勤めの方や、公務員の方であれば、所得税の納税は、毎月のお給料から天引きされる形で、お勤め先などを通じて行われています。
ただし、毎月のお給料から天引きされる所得税は、1年間(1月1日~12月31日)の収入をもとに、概算で計算されています。
このため、毎年、12月に最終的な納税額の調整がなされています。
これを、年末調整と言います。
年末調整では、その年に納めた税金の金額が、払い過ぎである場合、還付を受けることができます。
また、年末調整は、給与を支払う側の義務となっています。
ですから、会社にお勤めの方や、公務員の方であれば、年末調整の際に、「控除」も適用されますから、年末調整書類とともに、「生命保険料控除証明書」や、「住宅ローン控除申請書」などとともに、「地震保険料控除証明書(旧長期損害保険料控除証明書)」を、会社に提出します。
8.確定申告で控除を受ける場合
会社員にお勤めの方であっても、年収(税引き前)が2,000万円以上であったり、2か所以上から給与が支払われているケースであれば、確定申告をする必要があります。
確定申告では、原則、毎年、2月15日(土日の場合は翌週の月曜日)~3月15日までの期間内に、住所地を管轄している税務署に赴いて、確定申告書を提出します。
また、年末調整の対象の会社員や公務員の方であっても、医療費控除や、雑損控除がある場合には、確定申告を行う必要があります。
確定申告して、控除を申告する際には、所定の控除証明書等を準備していく必要があります。
また、確定申告で控除の申告した場合、自動的に住民税にも適用されるため、あらためて、住民税の控除を申告する必要はありません。
9.まとめ
以上、火災保険の控除について見ていきましたが、いかだでしたか?
ところで、「地震雷火事親父(ジシンカミナリカジオヤジ)」というコトバを、ご存知でしょうか?
今では、死語となりつつある感もありますが、世の中にある怖いものを順番に並べた呪文のようなフレーズです。
親父はともかく、地震と火事には、くれぐれも注意するようにしたいですね!
保険に加入することは、「防災」への第一歩ですが、それ以外にも、日頃から、防災マップを確認するなどして備えたり、とくに、火事などは、火元のチェックを怠らないようにするなど、この機会に、是非、生活の中で、防災意識を高めるようにしておきたいですね!