人と人とのコミュニケーションで、一番、大切なのは、「笑顔」だと、よく言われていますよね。
笑顔ひとつで、人間関係がスムーズになったり、仕事も上手くはこべたりと、笑顔パワーって、なかなか、あなどれませんよね!
ところで、皆さんは、笑顔の時、ご自分の口元を気にせずに、思いっきりスマイルできていますか?
もしも、「差し歯が気になって、ちょっと・・・」と思われているのでしたら、もったいない!
今は、保険適用で、「白い」差し歯にすることが、可能になっています。
保険適用ですから、費用も、以前に比べると、ぐーんとお安いのですが、いくつか注意するべきポイントもあります。
今回は、保険適用で、差し歯を入れる場合のメリットや、注意点を、いろいろと、ご紹介していきます。
歯医者さんに駆け込む前に、是非、ご一読くださいね!
1.差し歯ってなに?
皆さんには、虫歯の経験はありますか?
おそらく、ほとんどの人は、「YES」と、お答えになられたのではないでしょうか?
厚生労働省が行った調査では、日本人の約8割の人に、虫歯、あるいは、虫歯を治療した歯がみられるという結果になったそうです。
特徴的なのは、未成年の人の虫歯人口の数で、なんと、年々、減少する傾向がみられるそうです。
これは、学校で、フッ素を使ったうがい液が普及したことに、関係しているのではないかと言われています。
また、同じ調査では、年齢があがるにつれて、虫歯人口の数は、どんどん、増加する傾向にあるとも報告されています。
少し、意外な感じがしますよね。
虫歯になると、私たちは、歯医者さんに行って、虫歯になった箇所を削ってもらわなければなりません。
最近では、虫歯になった箇所に、薬を塗布する治療や、レーザーを使った無痛治療など、歯医者さんの治療スタイルにも、徐々に、変化がみられていますが、やはり、昔ながらの器具を使った、削り取る治療方法が、まだまだ、一般的です。
それが嫌で、歯医者さんに行かずに、虫歯を放置したままにしてしまうと、最終的に、大事な歯を失うことになってしまいかねません。
ここで、少し、虫歯の進行について、おさらいをしてみましょう。
虫歯の進行具合は、アルファベットの「C(= caries=カリエス)」の後に、数字の「0~4」をつけた、5つの段階に分けられています。
歯科検診を受けた時に、先生が、「××、C0(シーゼロとは言わず、シーオーと言われることが一般的です)」と言っているのを、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
「C0(シーオー)」とは、歯の表面のエナメル質が、少し濁っていたり、透明感が失われている状態の歯のことを言います。
まだ、「虫歯」とまではいえない状態ですが、そのまま、放置していると、虫歯になる可能性がある歯ということです。
「C0」の段階の歯は、しっかりとケアをすれば、元の健康な歯の状態に戻すことが可能です。
「C0」の次の段階は、「C1」と言います。
「C1」では、歯の表面のエナメル質が、少し溶けだしている状態の歯になります。
この段階の歯は、いわゆる、「初期虫歯」と言われるものですが、まだまだ、虫歯による歯の痛みなど、はっきりとした、自覚症状を感じることはありません。
歯医者さんによっては、とくに治療らしい治療はせずに、「このまま、しばらく様子をみましょう」と言われるような段階です。
「C1」が進行すると、「C2」になります。
「C2」の段階では、歯の神経(歯髄と言います)を覆っている、「象牙質」まで、虫歯が進行しています。
このため、たまに、歯が痛くなったり、熱いものや冷たいものを、飲んだり食べたりすると、歯にしみたりなど、だんだんと、自覚症状があらわれ始めます。
いわゆる、「虫歯」になった状態で、治療が必要になる段階です。
ただし、自覚症状があっても、まだ、日常生活に支障をきたすほどではなく、どうしても、我慢できないほどの痛みを感じることもありません。
「C2」の次の段階は、「C3」になります。
「C3」では、さらに、虫歯が進行して、歯の神経(歯髄と言います)にまで、到達しています。
この段階では、ズキズキする我慢できない痛みがでたり、炎症をおこして、顏が腫れたりすることがあります。
「C3」の後半の段階になると、激しい痛みのあまりに、勉強や、仕事が手につかなかったり、夜、眠れなかったり、食事をとることができなくなるなど、日常生活にも、さまざまな支障がでてきます。
この段階まで、虫歯を放置してしまうと、治療も、単に、虫歯になった箇所を削り取るだけでなく、歯の内部にある神経を取り除く必要があるため、しばらくのあいだは、せっせと、歯医者通いをしなければならなくなります。
「C3」の次の段階は、「C4」です。
「C4」では、歯の神経(歯髄と言います)が、虫歯菌に侵食されて、消失している状態です。
歯の神経が失われていますので、あれほど激烈だった歯の痛みを、まったく、感じることがなくなります。
人によっては、「虫歯が治った?」と思ってしまいがちですが、大きな誤解です。
「C4」の段階の虫歯とは、いってみれば、「歯の根っこ」までもが、虫歯になった状態ですから、歯の根っこを包んでいる膜(歯根膜と言います)を突き破って、虫歯菌が、大きな血管の中にはいりこんでしまうと、全身に及ぶ、さまざまな健康被害が引き起こされかねません。
最近の研究では、虫歯菌がもたらす健康被害には、糖尿病や、高血圧などの生活習慣病などもあることが、あきらかにされています。
また、ごく稀なケースですが、脳炎(脳の炎症)や、肝炎、腎炎などが引き起こされたケースも、報告されています。
「C4」の段階では、抜歯して、歯の根っこを根気よく消毒して虫歯菌を除去してもらう以外、根治できる治療方法はありません。
「C4」まで進行してしまった虫歯は、最大の健康リスクであると言わざるをえません。
●虫歯の進行段階と、治療方法
C0の段階 |
・セルフケア(歯の再石灰化を促す成分入りの歯磨き粉の使用や、うがい薬など) |
C1の段階 |
・セルフケア(歯の再石灰化を促す成分入りの歯磨き粉の使用、うがい薬など) ・歯科治療(フッ素コーティングなど) |
C2の段階 |
・歯科治療(コンポジットレジン充填、インレーなど) |
C3の段階 |
・歯科治療(根管治療後、コア(=土台)作成、クラウンなど) |
C4の段階 |
・歯科治療(抜歯、根管治療後、ブリッジ、義歯(入れ歯)、インプラントなど) |
1.1差し歯にできるケース
以上のように、虫歯には、「C0」~「C4」までの5つの段階があって、それぞれの段階に応じた治療方法があります。
ただし、虫歯の治療とは、基本的には、虫歯になった箇所を削り取って、削り取った箇所を、充填剤などを使って穴埋めして、元の歯の形に近くなるように、歯の形を整える治療になります。
こういった、本格的な虫歯の治療が必要になるのは、「C2」の段階からです。
ただし、「C2」の段階では、まだ、虫歯菌に侵食されている箇所が小さいため、削り取る部分も少なくてすみます。
削り取った部分には、コンポジットレジン充填剤(いわゆる、銀歯)や、インレーなどの小さな詰め物を使って補てんされて、元の歯の形に整えられます。
「C3」では、虫歯菌に侵食されている部分が大きいため、もう少し、手順が、複雑になります。
いわゆる、「差し歯」が必要になるのが、「C3」の段階です。
1.2差し歯にでないケース
「C3」では、まだ、虫歯菌が、「歯の根(歯根と言います)」にまで到達しておらず、歯の根っこが残っている状態です。
一方、「C4」の段階に進行した虫歯は、歯の根っこの部分まで虫歯菌に侵食されています。
こういったケースであっても、歯根の状態によっては、抜歯・消毒後、歯の根を利用して、差し歯にすることが、可能であるケースもみられますが、ほとんどの場合では、入れ歯(脱着式の義歯)や、ブリッジ、インプラントのいずれかを、選択せざるをえなくなります。
つまり、「C4」の段階では、差し歯にすることは、ほぼ、不可能になります。
2.クラウンってなに?
差し歯にできる段階の、「C3」での治療方法を、もう少し、詳しく、みていきましょう。
「C3」では、歯の神経(歯髄と言います)にまで、虫歯が到達しています。
また、歯本体の虫歯部分も大きくなっているため、削り取る部分も、大きく深く削り取らなければなりませんので、局所麻酔をする必要があります。
歯冠(歯本体のことを言います)を大きく削り取った後に、虫歯菌に侵食された歯の神経が、取り除かれます。
歯の神経を取り除いて、消毒する治療のことを、「根管治療(こんかんちりょう)」と言います。
「根管治療」では、虫歯菌に侵食された神経を取り除いた後、歯の神経が詰まっていた歯髄の中をきれいに消毒して、しっかりと、虫歯菌を殺すために、消毒薬に浸した綿を充填して、フタをします。
消毒や、消毒薬に浸した綿を使った治療は、1回で終わることもありますが、ほとんどのケースでは、数回にわたって、「歯髄の消毒⇒消毒薬の充填」という手順が繰り返され、徹底した除菌が行われます。
十分に消毒されたと確認できた後に、「根管充填(こんかんじゅうてん)」が行われます。
「根管充填」とは、歯の神経をとってしまったためにできた空洞部分に、充填剤を埋め込む治療のことを言います。
「根管充填」後は、レントゲン撮影が行なわれ、すきまなく充填できたかどうかが、確認されます。
もし、「根管治療」で、除菌が不十分だったり、「根管充填」した歯髄にすきまがあった場合、そこから、再び、虫歯菌や、他の細菌が入り込んで、増殖し、歯を失うリクスが高まってしまいます。
ですから、「根管充填」をする前や、した後には、必ず、レントゲン撮影をして、確認されます。
もし、何らかの異常があれば、再び、根管治療に逆戻りして、同じ手順が繰り返されます。
「根管充填」の後、歯の状態が落ち着いて安定しており、レントゲン写真でも異常がないことが確認されると、歯の根っこを補強するための短い棒(ポスト)のついた筒状のもの(これを、「コア」と言います)を作るために、「歯型」がとられます。
「歯型」をとった後、治療している歯の箇所によっては、「仮歯」が作られることがあります。
「コア」(「芯」または「土台」)の種類には、「金属(メタルコア)」や、「プラスチック(歯科用プラスチック樹脂=レジン)」などがあります。
通常は、「銀合金(メタルコア)」で作成されます。
出来上がった「コア」(「芯」または「土台」)は、歯科用接着剤を使って、歯の根部分に、しっかりと固着されます。
その後、「コア」に被せる歯を作るために、再び、「歯型」が取られます。
「コア」に被せる歯のことを、クラウン(=冠)と言います。
出来上がってきた「クラウン(=冠)」を「コア」に接着すると、「C3」の虫歯の治療は終了します。
クラウン(=冠)は、「C2」の治療の時でも、治療を受ける歯の場所や、削り取る部分が大きい場合であれば、使われることがありますが、最近では、「コア」とセットになったクラウン(=冠)のことを、「差し歯」と言うケースが、増えています。
3.差し歯の種類って?
かつて、「差し歯」といえば、歯の形をしたものの先に、心棒(=ポスト)がついたもののことを言っていました。
このタイプの「差し歯」は、根管充填をした歯に、棒の部分を歯科用接着剤で固着したり、歯の根っこが弱い場合には、先に、ネジのようなものを埋め込んで、そこに固着して使われたりしていました。
ちょっと乱暴な仰天ケースですが、「差し歯がとれたので、自分で接着剤をつけて、ねじこんだ」という、“武勇伝” をきかされたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
心棒(=ポスト)と義歯一体型の差し歯では、もし仮に、差し歯が折れた場合、歯茎を切開して、心棒(ポスト)部分を取り出さなくてはならなかったり、差し歯本体が経年劣化した時に、簡単に、入れ替えることができないなど、いろいろと不都合な点がでてきたため、現在では、ほとんど、使われることがなくなっています。
変わりに登場したのが、「コア」と言う支台築造とセットで使われる、「クラウン(=冠)」です。
このタイプの「差し歯」では、土台になる部分と、土台に被せる部分が、もとから分かれていますので、もし仮に、被せているクラウンが、破損した場合であっても、比較的、簡単に、取り替えることができます。
「コア」には、材質の違いによって、「メタルコア」、「レジンコア」、「ファイバーコア」などの種類があります。
以前、保険が適用になるのは、「メタルコア」、「レジンコア」の2種類のみでしたが、2016年(平成28年)より、「ファイバーコア」にも、保険が適用されるようになっています。
「コア」に被せる「クラウン(=冠)」も、保険適用できるものや、できないものがあります。
また、材質の違いによって、いくつかの種類に分かれています。
次からは、「クラウン(=冠)」の種類について、見ていきましょう。
●「心棒(ポスト)」・「義歯」一体型の差し歯
●「コア」+「クラウン(被せもの)」の差し歯
3.1金属のクラウン(メタルクラウン)
金属のクラウンの代表格には、いわゆる、銀歯があります。
銀歯は、金属(金銀パラジウム合金)でできているため、強く噛み合わせることができるといったメリットがある反面、歯茎の色が黒ずんだりするデメリットがあります。
また、硬いため、かみ合う歯や、歯根膜を傷めてしまったり、金属アレルギーの原因になる場合があります。
銀歯は、保険適用されますから、1本数千円(3千円~5千円)と、なんといっても、リーズナブルです。
金属のクラウンには、銀歯以外にも、保険適用外(いわゆる、自費診療)のゴールドクラウンがあります。
ゴールドクラウンは、金合金で作られています。
金合金は、しなやかで、接合性がよいことでも知られています。
また、自然の歯の硬さに近いため、噛み合う歯や、歯根膜を傷めることがありません。
ゴールドクラウンは、とくに、奥歯での使用に向いています。
ただし、保険適用外となりますから、低カラットゴールドを選んだ場合であっても、1本が8万~9万円と、かなり、お値段がはります。
3.2プラスチック+保険適用金属のクラウン
プラスチック+保険適用金属のクラウンは、硬質レジン前装冠と言われています。
硬質レジン前装冠は、裏側に、保険適用される金属(金銀パラジウム合金)が使われていて、表側には、歯科用プラスチック(硬質レジン)が貼りつけられています。
外側の見える部分は、歯科用プラスチック(硬質レジン)ですから、前歯の差し歯などでよく使われていますが、強度が必要な奥歯に使われることはありません。
また、口を大きく開けたりすると、裏側の金属が目立ってしまったり、プラスチックには吸水性があるため、使用し続けていると、すり減ったり、変色することがあります。
3.3セラミック+樹脂のクラウン
セラミック+樹脂のクラウンは、歯科用プラスチック樹脂(レジン)に、セラミックの粉末を混ぜ合わせて作られるため、ハイブリットセラミック冠、あるいは、ハイブリットレジン冠と言われています。
また、機械を使って切り出されるため、CAD/CAM冠(CADCAMハイブリットレジン冠)と言われていることもあります。
いずれにしても、すべて、セラミック+樹脂のクラウンのことを言っています。
CAD/CAM冠(CADCAMハイブリットレジン冠)は、2014年(平成12年)より、段階的に、保険適用される歯の箇所が広がり、現在では、ほぼ、すべての箇所の歯の治療に、保険適用にて使用することができるようになっています。
ただし、奥歯(第1大臼歯)については、一番奥の第2大臼歯が4本すべて残っていることなど、保険が適用される場合の条件が付与されています。
セラミック+樹脂のクラウンは、セラミックの硬さと、プラスチックの粘り強さを合わせもっています。
プラスチックのクラウンに比べると、すり減ったり、変色する心配もなく、良好な白い歯の状態が、より長持ちします。
3.4セラミックのクラウン
セラミックのクラウンは、陶材でできています。
陶製ですから、自然の歯に近い透明感があり、被せる歯の色も、自分の歯に近い色を選ぶことができるので、とても、見た目のよい仕上がりになります。
また、セラミックのクラウンでは、経年劣化による、すり減りや、変色、着色なども、ほとんどみられません。
しかしながら、一般的なセラミックの歯は、割れやすいといったデメリットがあるために、奥歯に使用されることはありませんでしたが、近年、ジルコニアという特殊な材質のセラミックが登場したため、奥歯にも使用できるようになっています。
セラミックのクラウンには、いくつかの種類があります。
費用は、保険適用がきかない自費診療となるため、1本10万円~(ジルコニアでは19万円など)と、非常に高額になります。
4.白い差し歯を選ぶなら!
歯の役割には、食べ物を噛み砕いて、飲みこみやすくすることや、噛むことによって、胃での消化を助けることがあることは、よく知られていますよね。
虫歯などで、歯が使えなくなったり、歯を失ってしまった場合、真っ先に、困るのは、この機能を使えなくなることです。
それ以外にも、私たちの歯には、発音を助けたり、表情を作ったり、意外なところでは、身体の姿勢やバランスを保ったり、食べ物を噛むことで、脳に刺激を与えたりなど、実は、健康を保つために欠かせない、さまざまな役割があります。
そうはいっても、やっぱり、歯の「見た目」は気になるもの。
いくら、機能に問題がないからといって、人と会話している時に、銀歯が気になって、会話に集中できなかったりすると、本末転倒ですよね。
「見た目」のよい白い歯には、どういったもがあるのか、次から、見ていきましょう。
4.1硬質レジン前装冠
硬質レジン前装冠は、内側は、金属(金銀合金)ですが、目に見える外側は、白いプラスチック樹脂でできています。
ただし、プラスチックなので、自然な透明感はなく、さらに、使用していると、着色汚れや黄ばみが目立つようになります。
また、内側に金属が使われているため、強度はありますが、歯茎が黒ずんてきたり、金属アレルギーの原因になることもあります。
硬質レジン前装冠は、前歯に使用する際には、保険適用されますが、奥歯の場合には、保険適用外になります。
いずれ差し替えることになることがわかっているため、良心的な歯医者さんでは、あまりお勧めされません。
4.2CAD/CAM冠(ハイブリットセラミック)
CAD/CAM冠(ハイブリットセラミック)は、セラミックとプラスチックが合わさっているため、自然の歯の硬さに近く、噛み合う歯にダメージを与えにくいというメリットや、硬質レジン冠に比べて、変色しにくく、見た目も、自然で、耐久性に優れています。
ただし、プラスチックが混ぜ合わされているため、セラミックの歯に比べると、傷がつきやすいというデメリットもあります。
また、CAD/CAM冠(ハイブリットセラミック)では、耐久性を保つために、銀歯にする時よりも歯を多く削る必要があるため、十分に厚みが残っていない歯であったりすると、選択できない場合があります。
2014年(平成12年)に、第1,2小臼歯(前歯から数えて4番目、5番目の歯)で保険適用が開始され、2016年(平成28年)には、金属アレルギーの方にかぎって、大臼歯(奥歯)も、保険適用の対象になりました。
その後、2017年(平成29年)には、アレルギーのない方の第1大臼歯(奥歯から数えて2番目の歯)にも、保険が使えるようになっています。
ただし、過度な負担がかかって破損しないように、一番、奥の第2大臼歯が4本とも残っていることが、条件になっています。
4.3メタルボンド
メタルボンド冠は、金属(貴金属)の土台に、セラミックの歯を焼き付けて作られています。
セラミックですから、自然な歯との区別がつきにくく、変色も少なく、耐久性にも、優れています。
また、土台になる金属も、貴金属であるため、金属アレルギーの原因になる可能性は低いのですが、歯と歯茎の境目が、少しグレーがかって見えるなど、審美性に劣ることがあります。
4.4電鋳メタルボンド
電鋳メタルボンド冠は、セラミックの歯の土台にあたる部分が、ゴールド(純金)で作られています。
内側が金色ですから、歯と歯ぐきの境目が明るく見えるなど、メリットもありますが、「セラミック」+「純金」のため、費用は高額になります。
4.4オールセラミック
オールセラミック冠は、金属をまったく使わずに、セラミックのみで作られる被せ物です。
より自然な歯に近い色や、形を再現することができます。
また、長年の使用によって、変色することもなく、健康的な歯の輝きを維持することができます。
ただし、割れやすいといったデメリットがあります。
また、奥歯に使いたい場合には、耐久性のあるジルコニアを選択しなければならず、その場合、費用が、はね上がります。
オールセラミックの差し歯は、人から、差し歯であることを指摘される心配は、一切、ありません。
●歯の名前と種類
材質 | 呼称 | 保険適用可範囲 | 費用 |
プラスチック+合金 | 硬質レジン前装冠 |
中切歯、側切歯、犬歯 第1小臼歯、第2小臼歯 |
5,000~8,000円/本 (保険適用の場合) |
プラスチック+セラミック | CAD/CAM冠(ハイブリットセラミック) | 第1臼歯の場合は、第2臼歯が4本残っていること |
9,000円前後/本 |
セラミック+貴金属 | メタルボンド冠 |
保険適用外 |
8万円~10万円前後/本 |
セラミック+純金 | 電鋳メタルボンド | 保険適用外 | 10万円~18万円/本 |
セラミックのみ | オールセラミック冠 | 保険適用外 |
10万円~16万円/本 (ジルコニア:13万円~19万円/本) |
5.差し歯を選ぶ時のポイントはコレ!
白い差し歯を選択する場合には、必ず、「コア」の材質とセットで考える必要があります。
たとえば、頑張って、セラミックの白い歯を入れたとしても、「コア」が合金であった場合には、歯から合金が透けて、せっかくの白い歯が黒ずんで見えてしまいます。
差し歯を入れる場合、着色汚れがつきやすいかどうか、すぐに、黄ばみがでたり、歯茎に黒ずみがでたりして、入れ替えなければならなくなるかどうかなども、きちんと考慮しておく必要があります。
また、差し歯を入れ替えることになる、1番の原因になるのが、「破損」です。
差し歯は、人工物ですから、経年劣化の問題は、どうしても避けることはできませんが、できるだけ、長持ちする材質のものを、きちんとケアしながら、使い続けるようにしましょう。
差し歯をいれる歯とは、一度、虫歯になって、神経をとってしまった歯であるため、再び、虫歯菌が繁殖しやすい状態にあります。
また、神経を抜いてしまった失活歯(死んだ歯というこです)では、神経がなくなっているために、なにか異変があっても、なかなか気がつきにくく、そのため、手遅れになって、歯を失ってしまうことが、危惧されます。
歯医者さんとよく相談して、一番、体に負担が少なく、より健康な状態が、長く続く治療方法や、材質を選択するようにしましょう。
6.まとめ
差し歯というと、大人気ドラマ、「逃げるは恥だが役に立つ」で、ヒロインのみくりと、石田ゆりこさん扮するゆりちゃんとのやり取りを、思い出す人も多いかもしれませんね!
みくり「一番安い銀歯なら、保険が効いて3,000円。」
ゆり 「見える位置だと銀歯は嫌よね。」
みくり「保険適用外の強化プラスチックで、47,000円。」
ゆり 「プラスチックはね、5年で変色する。セラミック一択。」
みくり「セラミック、95,000円、ジルコニアセラミックにいたっては、150,000円。」
なかなか、リアルでしたよね!
まだ、CAD/CAM冠が、保険適用される前の設定ですから、お高いです(会話中の強化プラスチックが、CAD/CAM冠にあたると思われます)。
それでも、やっぱり、セラミックを選択するかなぁと思ったりもします(そうでないと、その後のバイトする話がなくなって、ドラマの展開も変わってしまいます)。
差し歯になったら(ならなくても)、歯の検診には、定期的に通うようにして、お口の中の健康を保つように心がけたいですよね!