障害年金受給資格はどんな内容になっているの?ズバリ解説!

公的年金は、一定の年齢なることや、勤務している事業所によって加入が強制される仕組みとなっています。

年金保険料を一定期間にコツコツと納付し、受給開始年齢がきたら年金を受け取り、老後の生活資金として活用します。

そんな公的年金制度に障害年金があることはご存知でしょうか?この障害年金とは、病気やケガが原因で生活や仕事等が制限されてしまう状態になった時、受け取ることができる年金です。

ケースによっては20歳以上の方も受け取れる年金が、この「障害年金」です。ただし、障害年金の制度自体あまり知られているとはいえません。

また、障害年金制度をいざ申請しようとしても、障害の認定基準がよくわからない、多くの書類が必要で何を収集すべきか頭も混乱する等、さまざまな困難があります。

そこで今回は、障害年金の受給資格をはじめ、支給額や、必要書類の収集と申請までを説明します。

この記事を読めば、障害年金の基本的知識と、申請の際の注意点がおわかりになることでしょう。

目次

1.公的年金制度について

  • 1-1.公的年金制度とは
  • 1-2.公的年金制度の種類
  • 1-3.障害年金の意義

2.障害基礎年金について

  • 2-1.障害基礎年金とは
  • 2-2.障害基礎年金の納付要件
  • 2-3.障害基礎年金の支給額

3.障害厚生年金について

  • 3-1.障害厚生年金とは
  • 3-2.障害厚生年金の納付要件
  • 3-3.障害厚生年金の支給額

4.障害認定基準について

  • 4-1.障害の程度はどう判断?
  • 4-2.障害の状態について
  • 4-3.障害年金は初診日が大切?

5.障害年金の申請について

  • 5-1.申請の流れ
  • 5-2.必要書類について(共通)
  • 5-3.必要書類について(各ケース)

6.特別障害給付金制度について

  • 6-1.特別障害給付金制度とは
  • 6-2.特別障害給付金の支給対象・支給額
  • 6-3.特別障害給付金の申請について

7.まとめ

1.公的年金制度について

国民(基礎)年金や厚生年金は知っているが、障害年金のあることは知らなかった。

自分がどのような事態になった時に、その年金を受けられるのか興味がある。

まず公的年金とは何か、およびその種類について確認したい・・・。

こちらでは、公的年金制度とは?その種類と障害年金の意義を説明します。

1-1.公的年金制度とは

公的年金制度とは、年金加入者が保険料を支払い、そのお金を国が管理し運営する年金の仕組みのことです。

国民(基礎)年金および厚生年金は、この公的年金制度に該当します。私たちの老後に、生活資金で困らないように受給する年金は、高齢になったときの頼りになる制度といえます。

この制度の仕組みは3階建てであり、1階部分に位置するのが「国民(基礎)年金」です。

こちらは、原則として日本国内に住んでいる20歳~60歳未満の全ての方が該当します。

2階部分に位置するのが「厚生(共済)年金」です。こちらはサラリーマン等の会社員や公務員が該当します。

厚生年金を受け取れる方々のうち一部の人は、更に「企業年金」も受けることができます。この企業年金も含めて、年金制度は「3階建て」と呼ばれています。

1-2.公的年金制度の種類

公的年金制度の国民年金と厚生年金は、それぞれ3種類の年金に分かれます。

1.国民年金

種類 内容
老齢基礎年金 国民年金被保険者の方々が受け取る年金です。最低でも10年以上の保険料を納付することが必要です。20歳~60歳になるまで(40年間)全期間の保険料を納めた場合、65歳から満額分が支給されます。
障害基礎年金 国民年金被保険者が、疾病又は負傷(傷病)によって、所定の障害の状態になった場合に支給される基礎年金です。
遺族基礎年金 国民年金被保険者が死亡した時に、遺族に対して支給される基礎年金です。

2.厚生年金

種類 内容
老齢厚生年金 厚生年金保険の適用を受けている事業所へ勤務していた従業員等が受け取る年金です。毎月の給与から年金が差し引かれる形で納付することになります。
障害厚生年金 厚生年金被保険者が、疾病または負傷(傷病)によって、所定の障害の状態になった場合に支給される年金です。
遺族厚生年金 厚生年金被保険者が死亡した時に、遺族に対して支給される年金です。

国民年金および厚生年金にも、老齢年金・障害年金・遺族年金に分かれていますが、それぞれ、受給対象者・受給条件・年金受給額が異なります。

1-3.障害年金の意義

公的年金といえば、コツコツ毎月保険料を納付したり、給与から差し引かれるたりするというイメージを多くの方が持っていることでしょう。

一方、障害年金は、病気・ケガで日常生活や労働が制限される場合、受け取ることができる公的年金です。

つまり、老齢年金のような長期的な納付期間に限定されない年金であり、20歳以上の若い方でも、条件に該当すれば受給することが可能です。

障害年金は、障害を持つ方々の困窮を防止し、安定した生活を送るため非常に有益な制度といえます。

ただし、実際のところ障害年金の認知度は低く、本来ならば障害年金に該当する可能性が高い方々であっても、受給していないケースが目立ちます。

平成26年12月1日時点では、障害年金の受給者は約194万人に上っています(参照:厚生労働省報告年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年)。

しかし、内閣府(平成28年度)の発表では、身体障害者が約111万人(18~65歳未満)、知的障害者が約41万人(18~65歳未満)、精神障害者が約202万人(20歳~65歳未満)と、通常の老齢年金受給開始前の年齢であっても、障害を持つ方々が300万人を大幅に超える状況といえます(参照:内閣府報告「障害者の状況(基本的統計より)」。

65歳未満の方であっても、所定の条件によって障害年金が受給可能な事実について、いっそうの周知徹底が求められます。

2.障害基礎年金について

障害礎年金は障害を持つ方々にとって、非常に生活資金として頼りになる年金だが、あまり知られていないのはもったいないことだ。

それでは、国民年金加入者が受給できる障害年金について詳細を知りたい・・・。

こちらでは、障害基礎年金の納付要件や年金額について説明します。

2-1.障害基礎年金とは

国民年金被保険者が、疾病または負傷(傷病)によって、所定の障害の状態になった場合に支給される年金です。

こちらの年金を受け取ることのできる方々は、障害等級1級・2級で次のような条件に該当する方が対象です。

  • 日本在住の20歳以上60歳未満の第1号被保険者(農業者・自営業・無職の人等)や、第2号被保険者(会社員や公務員)、第3号被保険者( 20歳以上60歳未満の第2号被保険者の配偶者)で、障害の原因となった病気・ケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日と呼びます。)があること
  • 20歳前または60歳~65歳未満で年金制度に加入していない期間の人で、日本国内で居住している間に初診日があるとき

2-2.障害基礎年金の納付要件

障害の原因となった病気・ケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)の前日に、次のいずれかの納付要件が備わっていなければなりません。

①初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間で2/3以上の期間、保険料を納付済または免除されている

②初診日において65歳未満でかつ、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

前述した①、②の条件を表にしてみると次の通りです。

(例)国民年金加入者で2018年6月15日が初診日の場合

納付要件 公的年金加入期間 5月 6月
条件①

20歳で年金加入~2018年4月末まで2/3以上、保険料納付済または保険料免除期間がある

初診日
条件② 2017年5月~2018年4月まで1年間(12月分)未納なし 初診日

ただし、20歳前に障害の原因となった病気やケガをして初診日があった場合ならば、納付要件はありません。

2-3.障害基礎年金の支給額

障害基礎年金の支給額は、子(生計を維持されていた①障害の状態にある子:20歳未満、②それ以外の子:18歳到達年度末まで)が何人いるかでも変わります。

○平成30年4月分からの支給額

  • 障害等級(1級):779,300円×1.25+子の加算
  • 障害等級(2級):779,300円+子の加算

○子の加算について

  • 第1子・第2子:各224,300円
  • 第3子以降:各74,800円

○支給される年金額の平均(月額)

毎月受け取ることができる年金額の平均は下表のとおりです(厚生労働省「年金制度基礎調査 / 年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年」をもとに作成)。

国民年金 1級 2級
平均 71,982円 80,844円 65,491円
男性 71,791円 80,845円 65,233円
女性 72,180円 80,843円 65,763円

3.障害厚生年金について

障害基礎年金の納付要件や、支給額はわかった。一方、障害厚生年金の納付要件や、支給額は障害基礎年金と同様というわけではないのだろうか?

障害厚生年金の詳細についてもぜひ知りたい・・・。

こちらでは、障害基礎年金の納付要件や年金額について説明します。

3-1.障害厚生年金とは

厚生年金被保険者が、疾病または負傷(傷病)によって、所定の障害の状態となった場合に支給される年金です。

こちらの年金を受け取ることのできる方々は、障害等級が1級・2級・3級に該当する方が対象です。なお、初診日から5年以内に病気・ケガが治り、障害等級3級よりも軽い障害が残ったときには、一時金として障害手当金が支給されます。

厚生年金は、公的年金制度の「2階建て」の部分に当たるため、障害等級2級以上に該当する場合、障害基礎年金および障害厚生年金双方を受け取ることができます。

3-2.障害厚生年金の納付要件

障害の原因となった病気・ケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)の前日に、次のいずれかの納付要件が備わっていなければないけません。

①初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間(国民年金の納付期間および厚生年金の納付期間)で2/3以上の期間、保険料を納付済または免除されている

②初診日において65歳未満でかつ、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

前述した①、②の条件を表にしてみると次の通りです。

(例)厚生年金加入者で2018年6月15日が初診日の場合

納付要件 公的年金加入期間 5月 6月
条件① 20歳で国民年金加入+22歳で厚生年金加入~2018年4月末まで2/3以上、保険料納付済または保険料免除期間がある 初診日
条件② 2017年5月~2018年4月まで1年間(12月分)未納なし 初診日


3-3.障害厚生年金の支給額

障害厚生年金の支給額は、被保険者の報酬や配偶者(65歳未満ならば加算対象)の存在でも大きく異なります。

○平成30年4月からの支給額

  • 障害等級(1級):(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
  • 障害等級(2級):(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
  • 障害等級(3級):最低保障額584,500円

○報酬比例部分の年金額計算方法

前述した報酬比例の年金額をまず算出する必要があります。この算出を行うときは原則として「本来水準」の計算式の金額になります。

しかし、平成6年の水準で評価する「従前額保障」の計算式の金額の方が高い場合には、「従前額保障」の計算式の金額を使用することなります。

それぞれの計算方法は次の通りです。

  • 本来水準:平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間月数+平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間月数
  • 従前額保障:〔平均標準報酬月額×(10/1000~7.5/1000生年月日に応じた率)×平成15年3月までの被保険者期間月数+平均標準報酬額×(7.692/1000~5.769/1000生年月日に応じた率)×平成15年4月以後の被保険者期間月数〕×0.999

○支給される年金額の平均(月額)

毎月受け取ることができる年金額の平均は下表のとおりです(厚生労働省「年金制度基礎調査 / 年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年」をもとに作成)。

厚生年金 1級 2級 3級
平均 101,484円 153,399円 115,651円 56,289円
男性 109,087円 162,472円 122,684円 58,687円
女性 84,359円 124,117円 99,743円 51,702円

4.障害認定基準について

前述の説明の中では、障害等級により支給される対象となる方や、支給金額も異なるようだ。障害基礎年金および障害厚生年金双方に、この障害等級が大きく影響している。

障害等級についても詳しく知りたい・・・。

こちらでは、障害の程度はどう判断されるのか等について説明します。

4-1.障害の程度はどう判断?

障害年金の対象になる方々は、手足切断などの肢体の障害に加えて、発達障害・知的障害のような先天性の障害、がんのような重大な病気や、うつ病・アルツハイマー等の精神疾患等、様々な病気・ケガが対象です。

このような病気・ケガの深刻度を判断するのが障害等級といえます。概ね、どのような判断で障害等級を決めているかは次の通りです。

○1級

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病気の状態が、他人から介助してもらわないと患者自身で日常生活を送ることのできない場合を指します。

(例)

基本的に次のようなケースが1級に該当します。

  • 医療機関内の生活ならば、活動の範囲がおよそベッド周辺に限定される場合
  • 自宅内の生活ならば、活動の範囲がおよそ就床室内に限定される場合

○2級

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病気の状態が、他人から介助してもらう必要はないものの、日常生活が極めて 困難であり、患者自身が働いて収入を得ることは不可能な場合を指します。公的年金の1階部分である国民年金のみに加入している場合、2級から障害年金の対象となります。

(例)

基本的に次のようなケースが2級に該当します。

  • 医療機関内の生活ならば、活動の範囲がおよそ病棟内に限定される場合
  • 自宅内の生活ならば、活動の範囲がおよそ家屋内で軽食作りや簡易な洗濯等に限定される場合

○3級

労働が著しい制限を受けたり、労働に著しい制限を加えたりすることが必要な場合を指します。 また、病気やケガの完治が見込めない場合、労働の制限を受けたり、労働に制限を加えたりすることが必要となる場合も該当します。

○障害手当金

傷病が治ったものの、労働の制限を受けたり、労働へ制限を加えたりする必要がある場合に該当します。

4-2.障害の状態について

こちらでは各部位や精神疾患等が、具体的にどのような状態であるとき障害等級または障害手当金に該当するかを説明します。

○1級(国民年金法施行令第4条の6別表)

1級 障害の状態
両眼の視力の和:0.04以下(1号)
両耳の聴力レベル:100デシベル以上(2号)
・両上肢(両腕)の機能に著しい障害を有する(3号)

・両上肢のすべての指を欠く(4号)

・両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有する(5号)

・両下肢(両足)の機能に著しい障害を有する(6号)

・両下肢を足関節以上で欠く(7号)

体幹 座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有する(8号)
その他 1~8号に該当するものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病気の状態が、他人から介助してもらわないと患者自身で日常生活を送ることができない場合(9号)
精神 精神の障害で1~9号と同程度以上と認められる程度(10号)
障害の重複 身体の機能の障害、長期にわたる安静を必要とする病気、精神の障害が重複する場合で、1~10号の状態と同程度以上のもの(11号)

○2級(国民年金法施行令第4条の6別表)

2級 障害の状態
両眼の視力の和:0.05以上0.08以下(1号)
両耳の聴力レベル:90デシベル以上(2号)
平衡機能 平衡機能に著しい障害を有する(3号)
あご そしゃくの機能を欠く(4号)
言語機能等 音声または言語機能に著しい障害を有する(5号)
・両上肢の親指及びひとさし指または中指を欠く(6号)

・両上肢の親指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有する(7号)

・1上肢(片腕)の機能に著しい障害を有する(8号)

・1上肢のすべての指を欠く(9号)

・1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有する(10号)

・両下肢のすべての指を欠く(11号)

・1下肢(片足)の機能に著しい障害を有する(12号)

・1下肢を足関節以上で欠く(13号)

体幹 歩くことができない程度の障害を有する(14号)
その他 1~14号に該当するものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病気の状態が、他人から介助してもらう必要はないものの、日常生活は極めて 困難であり、患者自身が働いて収入を得ることは不可能な場合(15号)
精神 精神の障害で1~15号と同程度以上と認められる程度(16号)
障害の重複 身体の機能の障害、長期にわたる安静を必要とする病気の状態、精神の障害が重複する場合で、1~16号の状態と同程度以上のもの(17号)

○3級(厚生年金法施行令第3条の8別表第1)

3級 障害の状態
両眼の視力:0.1以下(1号)
両耳の聴力レベル:40 cm以上で通常の話声を解することがで きない程度(2号)
あご、言語機能 そしゃくまたは言語機能に相当程度の障害を残す(3号)
脊柱 脊柱の機能に著しい障害を残す(4号)
腕、足 ・1上肢の3大関節(肩・肘・手)で、2関節の用を廃したもの(5号)

・1下肢の3大関節(股・膝・足)で、2関節の用を廃したもの(6号)

・長管状骨(上腕・前腕・大腿・下腿の管状の骨)に偽関節(骨折部の骨癒合プロセスが完全に停止したもの)を残し、運動機能に著しい障害を残す(7号)

・1上肢の親指及びひとさし指を失ったものまたは親指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失った(8号)

・親指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの(9号)

・1下肢をリスフラン関節(足趾の一番付け根、土踏まずの前方)以上で失った(10号)

・両下肢の十趾の用を廃した(11号)

その他 1~11号に該当するものの他、身体の機能に労働が著しい制限を受けたり、労働に著しい制限を加えたりすることを必要とする程度の障害を残す(12号)
精神 精神または神経系統に、労働が著しい制限を受けたり、労働に著しい制限を加えたりすることを必要とする程度の障害を残す(13号)
障害が治らない場合 障害が治らず、身体の機能または精神若しくは神経系統に労働が制限を受けたり、労働に制限を加えたりすることを必要とする程度の障害を有し、厚生大臣が定めるもの(14号)

○障害手当金(厚生年金法施行令第3条の9別表第2)

障害手当金 障害の状態
・両眼の視力:0.6以下(1号)

・1眼(片眼)の視力:0.1以下(2号)

・両眼のまぶたに著しい欠損を残す(3号)

・両眼による視野が1/2以上欠損または両眼の視野が10度以内(4号)

・両眼の調節機能及びふくそう機能に著しい障害を残す(5号)

1耳(片耳)の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度(6号)
あご、言語機能 そしゃくまたは言語機能に障害を残す(7号)
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残す(8号)
脊柱 脊柱の機能に障害を残す(9号)
腕、足 ・1上肢の3大関節で、2関節に著しい機能障害を残す(10号)

・1下肢の3大関節で、1関節に著しい機能障害を残す(11号)

・1下肢を3cm以上短縮したもの(12号)

・長管状骨に著しい転移・変形を残す(13号)

・1上肢の2指以上を失った(14号)

・1上肢のひとさし指を失った(15号)

・1上肢の3指以上の用を廃した(16号)

・ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃した(17号)

・1上肢の親指の用を廃した(18号)

・1下肢の第1趾または他の4趾以上を失った(19号)

・1下肢の5趾の用を廃した(20号)

その他 1~20号に該当するものの他、身体の機能に労働の制限を受けたり、労働に制限を加えたりすることを必要とする程度の障害を残す(21号)
精神 精神または神経系統に、労働が制限を受けたり、労働に制限を加えたりすることを必要とする程度の障害を残す(22号)

4-3.障害年金は初診日が大切?

年金を受け取る条件である「初診日」とは、初めて医師または歯科医師の診察を受けた日を指します。ただし、ケースごとに初診日とされる日が異なります。

  • 初めて治療行為または療養に関する指示があった日
  • 同一傷病で医療機関が変わった→一番最初に医師の診療を受けた日
  • 同一傷病で傷病が治癒し再度発症した→再発後に最初に医師の診療を受けた日
  • 勤務先の健康診断で異常を発見後、医師の診療を受けた→原則として健康診断を受けた日は初診日になりません。
  • 誤診があった→その後に傷病名が確定すれば、最初に誤診をした医師等の診療を受けた日
  • じん肺症(じん肺結核含)になった→じん肺と診断された日
  • 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病がある→最初の傷病の初診日
  • 知的障害→出生した日と認定
  • 先天性疾患(網膜色素変性症、先天性心疾患、発達障害等)→発症、受診した日が初診日
  • 最初にAという傷病になり、それが原因でBという別の病気を発症→傷病Aの初診日

5.障害年金の申請について

各傷病のいろいろな状態によって、障害等級を決定することがわかった。

では、障害年金の申請はどのように行うのだろう?

こちらでは、障害年金の申請の流れと提出する必要書類について説明します。

5-1.申請の流れ

障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)は必要書類もほとんど差異は無く、提出先は障害基礎年金の場合なら住所地の市区町村役場、障害厚生年金または初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合なら最寄りの年金事務所となります。

  1. 障害年金を受給できる傷病の発症
  2. 申請書への記載・必要書類を収集
  3. それぞれの申請先へ提出(住所地の市区町村役場または最寄りの年金事務所)

ただし、傷病に至るケースによって揃える書類は異なります。以降ではどんな障害でも共通して必要な書類と、被保険者に配偶者または子がいるケース、障害の原因が第三者行為のケースについてそれぞれ必要な書類を説明します。

5-2.必要書類について(共通)

基本的な提出書類は次の通りです。なお、請求書用紙等は日本年金機構のホームページでも取得できます(日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」、「障害厚生年金を受けられるとき」参照)。

  • 年金請求書:住所地の市区町村役場、または最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターの窓口で取得します。
  • 年金手帳
  • 戸籍謄(抄)本または住民票の写し等:戸籍謄(抄)本は本籍地の市区町村で、住民票の写しは住所地の市区町村で取得します。
  • 医師の診断書:障害認定日より3カ月以内の現症の診断書が必要です。
  • 受診状況等証明書:初診時の医療機関と、診断書を作成した医療機関が異なる場合に必要となります。
  • 病歴・就労状況等申立書:障害状態を確認するための補足資料となります。
  • 印鑑:認印で構いません。
  • 金融機関の通帳等

5-3.必要書類について(各ケース)

次のケースに該当する場合、共通の必要書類に追加して書類を添付します。

○(障害基礎年金)子がいる場合

生計を維持されていた障害の状態にある子(20歳未満)、それ以外の子(18歳到達年度末まで)がいる場合は、次の書類が必要です。

  • 戸籍謄本:子と請求者との続柄と、子の氏名・生年月日確認のために必要です。
  • 住民票の写し(世帯全員分):請求者との生計維持を確認するために必要です。
  • 在学証明書、学生証等:子が高校生である時、生計維持の確認に必要です。
  • 医師の診断書:子が1級または2級の障害の状態にあることを確認するために必要です。

○(障害厚生年金)配偶者・子がいる場合

生計を維持されていた配偶者または障害の状態にある子(20歳未満)、それ以外の子(18歳到達年度末まで)がいる場合は、次の書類が必要です。

  • 戸籍謄本:配偶者・子と請求者との続柄と、子の氏名・生年月日確認のために必要です。
  • 住民票の写し(世帯全員分):請求者との生計維持を確認するために必要です。
  • 所得証明書、課税または非課税証明書、源泉徴収票等のいずれか:配偶者が請求者から生計維持されたいたことの認定に必要となります。
  • 在学証明書、学生証等:子が高校生である時、生計維持の確認に必要です。
  • 医師の診断書:1級または2級の障害の状態にあることを確認するために必要です。

○障害の原因が第三者行為の場合

事故等に関係する書類の提出が求められます。

  • 第三者行為事故状況届
  • 事故証明書等:事故内容がわかる新聞の写しでも構いません。
  • 確認書
  • 源泉徴収票・健康保険証の写し・学生証の写し等:事故被害者に被扶養者がいる場合、これらの証明が必要です。
  • 損害賠償金算定書:既に決定されている場合に準備します。示談書のように受領額が明記されている書類を準備しましょう。

その他にも、追加で要求される書類があります。事前に市区町村または年金事務所で必要な書類について相談しておきましょう。

6.特別障害給付金制度について

障害年金は各ケースによって、必要書類が異なる場合もあることはわかった。

一方、公的年金制度が運用・改正されていく過程で、国民年金に任意加入していなかったことにより、障害基礎年金等を受給していない方々に対しての救済制度もあるという。

この制度についての詳細を知りたい・・・。

こちらでは、特別障害給付金制度についてと、その支給対象・支給額等を説明します。

6-1.特別障害給付金制度とは

国民の中には、国民年金制度の発展過程で生じた特別な事情によって、国民年金に任意加入しておらず、障害基礎年金等を受給していない方々もいます。

そこで、国民年金任意加入対象であった学生や、被用者等の配偶者を対象に、福祉的措置として創設された制度が、この「特別障害給付金制度」です。

6-2.特別障害給付金の支給対象・支給額

この給付金の対象者や支給金額は次の通りです。

○給付金対象者

  • 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生(大学・大学院、短大、高等学校および高等専門学校等)
  • 昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者で、①当時、任意加入していなかった期間内に初診日があること、②現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害状態にある方、③65歳に達する日の前日までに当該障害状態にあたる方

○給付金額(平成30年度)

  • 障害基礎年金1級相当に該当→基本月額51,650円
  • 障害基礎年金2級相当に該当→基本月額41,320円

※ご本人の所得や補償、他の年金受給がある場合には、支給額の全額または半額が停止されることもあります。

6-3.特別障害給付金の申請について

請求の窓口は、住所地の市区町村役場となります。必要書類は次の通りです。

  • 特別障害給付金請求書
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 障害の原因となった傷病にかかる診断書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • (診断書が初診時に治療を受けた医療機関と異なる場合)受診状況等証明書
  • 特別障害給付金所得状況届
  • 戸籍謄(抄)本または住民票
  • 年金額改定通知書等

請求者によっては市区町村から追加の書類を要求される場合があります。

7.まとめ

いろいろと条件や支給額、請求手続きも複雑になってしまうのが障害年金の面倒な部分ですが、市区町村や年金事務所の方々に確認を取りながら、慎重に手続きを進めていきましょう。

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