生命保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になった時、死亡保険金や高度障害保険金が受け取れる商品です。
しかし、この生命保険は本来の死亡保障としての役割のみならず、貯蓄目的として利用できることはご存知でしょうか。
生命保険には終身保険という一生涯の死亡保障を約束するタイプがあり、このタイプには「解約返戻金」が設定されています。
この解約返戻金をうまく活用すれば、払い込んだ保険料より多くお金が戻ってくることもあるのです。
ただし、解約時期を誤ると結局は損をしてしまう場合がありますし、多額の解約返戻金を受け取った場合、今度は課税されてしまうリスクもあります。
そこで今回は終身保険に設定されている解約返戻金の特徴と、メリット・デメリットを解説します。
この記事を読めば、解約返戻金で得したい場合、どんな種類の終身保険へ加入するべきかがよくおわかりになることでしょう。
1.生命保険について
私は万が一の時のために生命保険へ加入し、妻に保険金が下りるようにしている。
しかし、生命保険は死亡保障のみならず、貯蓄のために活用している方々もいると聞く。この点は大いに興味がある。
まずは、生命保険とは何かをおさらいしたい・・・。
こちらでは、生命保険とは何か?生命保険の特徴等について解説します。
1-1.生命保険とは
生命保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金が下りる保険商品を言います。
生命保険会社や共済で数多く販売されており、基本的には死亡保障・高度障害保障として加入することになります。
生命保険では被保険者が死亡した場合は「死亡保険金」が、高度障害状態になった場合は「高度障害保険金」が、受取人へ下りることになります。
なお、高度障害状態とはご自分で通常の日常生活を営むことが極めて困難となった、非常に重い障害状態を指します。
例えば、両目の失明、言語またはそしゃくの機能を永久に失った、寝たきりの状態になった、両腕または両足が欠損またはその機能を完全に失ったこと等が該当します。
高度障害状態は、各保険会社の所定の条件に従い、死亡保険金と同等の額が受け取れることもあります。
1-2.生命保険は大きく分けて2種類ある
生命保険は主に2つのタイプに分けれます。それが「定期保険」と「終身保険」です。
〇定期保険
定期保険は、5年や10年という形で保障期間が設定されており、その期間に被保険者が死亡または高度障害状態になった時、保険金が下りることになります。
定期保険は、保障期間の更新で保険を継続していくことができ、支払う保険料は比較的安いことが特徴です。
ただし、保険期間が消滅したり、途中で解約したりしても保険料は基本的に1円も戻ってきません。このように定期保険は「掛け捨て型」の商品が多いです。
〇終身保険
終身保険は、その名の通り一度保険契約すれば、死亡保障・高度障害保障が一生涯継続するタイプの保険です。
つまり、保険加入者がこの保険をずっと継続すれば、保険会社は確実に死亡保険金または高度障害保険金を支払う必要があります。
よって、保険料は非常に高く、定期保険の支払保険料の平均が毎月1,000円~4,000円なのに対し、終身保険は毎月の支払保険料が数万円に上る場合もあります。
また、終身保険を解約すると何割かのお金が戻ってくることもあります。
これが、「解約返戻金」と呼ばれる制度です。解約時期をうまく選べば、実際に払い込んできた保険料より、多くのお金が受け取れる場合もあります。
1-3.生命保険の役割は死亡保障だけではない
生命保険は、解約返戻金を利用してお金を積み立て、貯蓄としても活用できるので「貯蓄型」と呼ばれています。
死亡保障・高度障害保障の備えだけではなく、ご自分(被保険者)に今のところ何事もないならば、タイミングを見計らい解約すると非常にお得な資産増加が可能となります。
また、解約せずに被保険者が亡くなり、死亡保険金を指定された受取人が受け取っても、受取人の固有の権利とされ、相続が発生した際に通常の遺産相続の対象とはなりません。
生命保険は、受取人の生活保障になることはもちろん、保険加入者であるご自分の貯蓄としても役立つ商品と言えます。
2.解約返戻金について
解約返戻金、非常に興味のある制度だ。貯蓄として活用できるならば、緊急にお金が必要になったときも頼りになる。
解約返戻金制度とは何か詳細を知りたい・・・・。
こちらでは、解約返戻金の特徴とその仕組み等について解説します。
2-1.解約返戻金とは
解約返戻金は、生命保険契約を解約した際に戻ってくるお金です。
医療保険にも、数は少ないながら解約返戻金制度を設けている商品があります。
解約返戻金は終身保険のほぼ全ての商品に設定されています。当然、保険の解約は保険加入者が自由に行えます。
保険会社に連絡し解約の手続きをすれば、解約日から3営業日~4営業日、およそ1週間程度で振り込みが完了します。
そのため、緊急にお金が必要になり、かつ、まとまったお金を用意したい場合、この解約返戻金を活用することができます。
2-2.解約返戻金の仕組み
解約返戻金は、払い込んだ保険料の何割かを積み立ててていく形となります。
保険料には次のような内訳があります。
実際に支払われた保険料=純保険料+付加保険料
付加保険料とは、加入した生命保険会社の経費(例:人件費等)に充てられます。一方、純保険料とは次の2つの保険料に分かれます。
- 危険保険料:保険料が払い込まれた年の保険金支払いに充てられるお金
- 貯蓄保険料:保険料が払い込まれた年の翌年以降の保険金支払いに充てられるお金
そのため、終身保険の保険料の高い理由の一つが、貯蓄保険料を払い込むことにあります。
こ貯蓄保険料を支払う必要のない定期保険は、保険料は安いものの、そのかわり1円もお金が戻らないことになるのです。
この貯蓄保険料の利回りが良いか悪いかで、戻ってくるお金で保険加入者が得するかどうかが決まります。
2-3.解約返戻金を貯蓄に活用する
解約返戻金には返戻率というものがあり、こちらはこれまで払い込んできた保険料と戻るお金の割合を指します。
この返戻率が100%ならば、今まで払い込んだ保険料分のお金が戻ることを意味します(元本保証)。
そして、返戻率が100%を超えると、保険加入者にとっての利得となります。
つまり、返戻率が130%とすると、今まで払い込んだ保険料が1,000万円の場合、解約して1,300万円が受け取れることになります。
返戻率のピークになる時期に解約すれば、例えば孫の大学進学の教育資金として利用したり、新居を購入する資金としても利用できたりと、何かとお金のかかる場面で活用できます。
3.解約返戻金の注意点について
解約返戻金はやはり頼りになる制度だ。まとまったお金が早期に手に入るし、解約時期も保険加入者が自由に決められるのは魅力だ。
では、解約返戻金を活用する場合に注意点はないのだろうか?
こちらでは、保険加入前に確認しておいた方が良い注意事項を説明しす。
3-1.早期解約は損
いくら解約返戻金を利用できるとしても、保険契約して間もない時期に、解約返戻率が100%になる商品はまずありません。
つまり、早期解約をしても戻るお金はわずかとなり、結局損をしてしまうことになります。
解約返戻率の推移は、事例をあげて説明すると次のようになります。
- 加入保険:終身保険
- 加入年齢:35歳男性
- 保険金:500万円に設定
- 保険料払込期間:15年
- 月払保険料:22,855円
年齢(経過年数) | 保険料払込累計額 | 解約返戻金額 | 返戻率 |
40歳(5年経過) | 1,371,300円 | 904,500円 | 65.9% |
50歳(15年経過) | 4,113,900円 | 4,148,000円 | 100.8% |
60歳(25年経過) | 4,113,900円 | 4,360,000円 | 105.9% |
表を見てもわかる通り、返戻率が100%を超えるのは、だいたい15年程度が経過したあたりとなります。
5年経過した時点で解約したい場合は、これまで払い込んだ保険料の7割未満しか戻らないことになります。
ただし、保険加入した生命保険の内容に納得がいかず解約したい場合なら、早期解約した方が毎月の保険料もそんなに支払っているわけではないので、損失は少なくて済みます。
3-2.解約返戻金がある分、保険料が高い
解約返戻金が設定されている分、どうしても保険料は高めになります。
毎月の支払保険料が重い負担とならないよう、保険契約前によくご自分の家計の状況を考慮したうえで判断することが大切です。
しかし、保険を継続してい間、自分がリストラにあったり、転職して一時的に収入が減少したりすることも考えられます。
それでも、保険を継続したい場合には、解約返戻金を利用した次の負担軽減方法があります。
いずれの場合も、加入している保険会社で利用が可能か確認したうえで、検討する必要があります。
〇払い済み保険
解約返戻金を活用した保険料の支払を軽減する方法です。つまり、受取人が受け取る保険金額を減らし、解約返戻金を一時払いして、以後の保険料の払い込みを終える方法です。
一生涯保障の保険金額は減ってしまいますが、解約返戻金に関しては再び増え続けることになります。
注意点としては、原則として主契約に付加していた特約・配当金等は消滅します。また、この制度を一度利用すると、保険内容を元に戻すことはできません。
〇契約者貸付制度
契約している終身保険の解約返戻金の一定範囲内で、貸し付けを受け保険料の支払いが滞ることを回避する制度です。
この方法なら、保険金額が減ることもなく保障継続も可能です。
ただし、貸付である以上、保険会社所定の利息が付いてしまいます。当然その分も返済する必要があります。
それでも返済が滞ってしまう場合、返済額が解約返戻金の額を上回るリスクがあります。
その場合、契約した終身保険自体が失効してしまい、保険の効力がなくなることになります。
〇自動振替貸付制度
解約返戻金の範囲内で、支払保険料を自動的に保険会社側が立て替え、保険契約を有効に継続させる方法です。
自動振替貸付の適用は基本的に最低6ヶ月からとなっています。適用分は次の通りです。
- 月払→6ヶ月分の保険料額
- 半年払→半年分の保険料額
- 年払→1年分の保険料額
この方法も、立て替える保険料とその利息が解約返戻金を上回ると、自動振替貸付は適用されなくなり保険契約が失効します。
3-3.課税対象になることも
解約返戻金を多く受け取ることができるのはうれしいものの、課税対象になってしまうことがあります。
〇一時所得の場合
解約返戻金を一括で受け取った場合には、一時所得(営利目的でない所得)として所得税の対象となります。
一時所得の計算式は次の通りです。
(解約返戻金総額-払込保険料総額-50万円[特別控除])×1/2
なお、解約返戻金を受け取っても、払込保険料総額の差が特別控除の50万円を超えなければ課税対象となりません。
〇雑所得の場合
解約返戻金を分割(年金)で受け取った場合には、雑所得として所得税の対象となります。
雑所得の計算式は次の通りです。
その年中に受け取った解約返戻金額[所得金額]-(その年中に受け取った解約返戻金額[所得金額]×支払った保険料総額[必要な出費]÷解約返戻金総額[見込み額])
4.解約返戻金がお得な終身保険その1
解約返戻金は、保険料支払いの滞りそうになったとき活用できるが、受け取ったお金は課税対象になることもあるので注意が必要だ。
では、終身保険で解約返戻率の高い保険商品にはどんなものがあるだろう?
こちらでは、外貨建て終身保険とは?そのメリット・デメリットを解説します。
4-1.外貨建て終身保険とは
外貨建て終身保険は、保険料の支払いや、保険金・解約返戻金の受け取りを米ドル・豪ドル・ユーロ等の外貨で行う保険商品です。
もちろん、保険加入者自身が外貨をそのまま使用して運用するわけではなく、保険契約を締結した保険会社が、保険加入者の保険料を元手に運用します。
外貨建て終身保険は、通常の終身保険(円で運用する終身保険)より利回りの良い点が特色です。
ただし、外国の通貨で運用する以上、その通貨を発行する国の経済状態が良し悪しに大きく影響されます。
その国の経済状態が良好ならば利率は上がり、経済状態が悪化すれば利率は下がってしまいます。
4-2.外貨建て終身保険の特徴
外貨建て終身保険はその利回りの良さで注目されている保険商品です。円で運用する終身保険以上に、多額の解約返戻金の受け取りが期待できます。
〇外貨建て終身保険の種類
外貨建て終身保険は更に2種類に分かれます。
- 外貨建て終身保険:支払った保険料を外貨で運用する終身保険です。死亡保険金・解約返戻金を受け取るときの為替レートで、日本円で受け取る金額は増減します。
- 外貨建て一時払終身保険:保険契約時に全ての保険料を一括で支払う一時払タイプの終身保険です。加入した時点・死亡保険金や解約返戻金を受け取るときの為替レートで、日本円で受け取る金額は外貨建て終身保険以上に損益の差が広がります。
この2種類の保険商品は、貯蓄という性格よりも積極的な資産運用に近い商品である点に注意する必要があります。
いずれも為替変動を特に注視する必要があります。
〇返戻率の高さ
円建ての終身保険の返戻率は、保険プランや設定金額、経過年数にもよりますが、概ね101%程度が平均と言われています。
一方、外貨建て終身保険の場合は、110%~150%と非常に返戻率は高く、生命保険を運用資金として活用したい方々に向いている保険です。
ただし、短期間で返戻率が急上昇するわけではなく、返戻率のピークに達するまではそれなりの期間が必要です。
〇支払う保険料が安い
外貨建て終身保険は、円建ての終身保険と比べると、保険料が比較的安い傾向にあります。
その理由としては、日本と海外の金利差があげられます。 日本は2016年2月からマイナス金利政策が実施され、超低金利が続いています。
そのため、円建て終身保険での資産運用が非常に難しい状況となっています。
一方、海外では特に米ドル・豪ドル等のように日本よりも金利が高いケースがあり、保険の運用が容易な分、支払い保険料を軽減できるのです。
4-3.外貨建て終身保険の注意点
外貨建て終身保険は、一方で円建て終身保険にはないリスクが存在します。このリスクを納得したうえで契約する必要があります。
〇為替相場に大きく影響される
生命保険契約時よりも、満期や解約時に円高となってしまったなら、受け取る保険金額や解約返戻金は減少することになります。最悪の場合、元本割れを起こす事態も考えられます。
加えて保険加入時に、契約満了時期の為替相場の状況を予測することは極めて困難です。
そのため、多くの解約返戻金を得たい場合には、ご自分の判断と責任で、解約しても満足できる状況であることを確認して、解約を決定する必要があります。
〇両替の時に手数料がかかる
外貨から円貨に両替する際に為替手数料が発生します。この手数料は当然、保険加入者の負担です。
保険料の支払いの際には、どの保険会社も概ね1ドル=50銭の為替手数料がかかります。ただし、保険金等を受け取る場合の為替手数料は、各社によって様々で1ドルにつき1銭~50銭となっています。
受取額が大きくなれば、それだけ為替手数料の負担も大きくなります。
5.解約返戻金がお得な終身保険その2
外貨建て終身保険は返戻率の高さが魅力でも、為替相場に大きく影響されるリスクがあることはわかった。
その他、解約返戻率の高い保険に「低解約返戻金型終身保険」という種類の商品があると聞いた。
こちらの保険の詳細も知りたい・・・・。
こちらでは、低解約返戻金型終身保険とは?そのメリット・デメリットを解説します。
5-1.低解約返戻金型終身保険とは
低解約返戻金型終身保険とは、保険料を支払っている期間中に解約すれば、解約返戻金が低くなってしまいますが、毎月の支払う保険料を割安にした商品です。
通常の終身保険よりは保険料が安いですが、保険料の払込を終える前に解約すると、解約返戻金が元本のおよそ7割くらいに減額されてしまいます。
ただし、保険料の払込が満了した後に解約すると、お金がたくさん戻ります。
保険プランや経過期間等にもよりますが、払込満了後は105~130%程度の解約返戻率が期待できます。
5-2.低解約返戻金型終身保険の特徴
低解約返戻金型終身保険の解約返戻率の推移を、事例で説明すれば次のようになります。
- 加入保険:終身保険
- 加入年齢:30歳男性
- 保険金:500万円に設定
- 保険料払込期間:60歳満了
- 低解約払戻期間:60歳
- 月払保険料:10,920円
年齢(経過年数) | 保険料払込累計額 | 解約返戻金額 | 返戻率 |
35歳(5年経過) | 655,200円 | 444,500円 | 67.8% |
50歳(20年経過) | 2,620,800円 | 1,963,600円 | 74.9% |
60歳(30年経過) | 3,931,200円 | 3,047,800円 | 77.5% |
61歳(31年経過) | 3,931,200円 | 4,355,900円 | 110.8%(※) |
80歳(50年経過) | 3,931,200円 | 4,755,700円 | 120.9% |
事例を見ると、やはり毎月保険料を払い込んでいる間は、解約返戻率は非常に低く、経過年数5年程度では解約返戻率67.8%に過ぎません。
一方、事例では保険料払込期間が60歳となっているので、その後は返戻率は急激に上昇します。
60歳時(経過年数30年)では解約返戻率77.5%であるものの、(※)の61歳(31年経過)には一気には110.8%になっています。
その後、保険加入者が80歳(50年経過)になっても、返戻率は上昇を続けていくことになります。
5-3.低解約返戻金型終身保険の注意点
低解約返戻金型終身保険は、安易な中途解約をしてしまうと、解約返戻金が思うように戻らず大きく損をすることになります。主に次のような注意点があります。
〇中途解約で大きく損をするリスク
一度契約すると保険料払込期間の満了前に解約しても、「5-2.低解約返戻金型終身保険の特徴」の表で示した通り、大きく元本割れを起こしてしまいます。
そのため、事前に加入する際には、解約返戻率がどの位になれば解約するかを決め、死亡保険金額や保険料払込期間を慎重に考慮して、保険契約を行いましょう。
〇状況の変化による対応が困難
中途解約で損をするリスクがあるならば、保険料払込期間が満了した場合を除いて、緊急にお金の必要になる事態が発生すると、その対応に苦慮する場合があります。
例えば、加入している保険が低解約返戻金型終身保険のみだと、次のような事態では十分な対応がとれないおそれもあります。
貯金が十分に無い状態で、保険料払込期間が満了する前に大きな病気やケガをし、早急に入院費や治療費が必要になった際、かなり少ない解約返戻金を受け取って負担を賄う必要が出てきます。
公的医療保険に加入し、高額療養費制度のような自己負担限度額を超えて支払った医療費分が戻る制度を利用しても、保険適用外のサービスには対応できません。
保険適用外のサービスとは、例えばご自分が望んで有料の病室を利用した際に請求される「差額ベッド代」や、最先端の医療を用いた先進医療の医療費が該当します。
これらは全額自己負担となり、民間の医療保険のような医療保障等で賄う以外に負担を軽減できません。
このような万が一の事態が、ご自分の人生で起こらないという保証はどこにもありません。
そのため、事前に民間の医療保険やがん保険の加入したり、低解約返戻金型終身保険で設定されている介護・医療保障特約を追加したりして備えておくことが大切です。
6.終身保険のおすすめ商品について
解約返戻率の高い生命保険には、それなりのリスクもあることがわかった。
それでは、解約返戻率の高い生命保険で、おすすめの保険商品はないだろうか?
こちらでは、解約返戻率の高さを売りにした終身保険の一例をあげます。
6-1.オリックス生命「終身保険ライズ」
終身保険ライズは、低解約返戻金型終身保険です。こちらの商品は低解約払戻期間経過後に、解約返戻率が急激に高くなります。
〇保険内容
項目 | 内容 |
契約年齢 | 15~75歳まで |
保険期間 | 終身 |
設定保険金額 | 200~5,000万円(100万円単位で設定可) |
保険料払込期間(年数) | 10年払済・15年払済・20年払済 |
保険料払込期間(年齢) | 50歳払済・55歳払済・60歳払済・65歳払済・70歳払済・75歳払済・80歳払済・終身払 |
保険料払込方法 | 月払、半年払、年払 |
〇解約返戻率
契約例をあげ説明します。
(例)
- 加入年齢:30歳男性
- 保険金:500万円に設定
- 保険料払込期間:60歳満了
- 低解約払戻期間:60歳
- 月払保険料:10,870円
保険加入者60歳(30年経過) | 金額または率 |
払込保険料累計額 | 約392万円 |
解約返戻金 | 約430万円 |
返戻率 | 109.9% |
〇特約
①リビング・ニーズ特約
この特約を付加すると、保険加入者(被保険者)が医師から余命6か月以内と判断されたとき、指定保険金額より6ヶ月間の指定保険金額に対応する利息・保険料相当額を差し引いた金額を受け取ることができます。
②介護前払特約
指定保険金額から、保険会社所定の率により死亡保険金の前払となる期間相当の利息を差し引いた金額が受け取れます。
ただし、主契約の保険料払込期間経過した後で、保険加入者(被保険者)の年齢が満65歳以上であり、約款所定の要介護状態となったことが条件です。
6-2.マニュライフ生命「こだわり終身保険V2」
こだわり終身保険V2は、低解約返戻金型終身保険ですが、心と身体のケアを意識したサービスが設けられています。
〇保険内容
項目 | 内容 |
契約年齢 | 0~70歳まで(ただしプランによる) |
保険期間 | 終身 |
設定保険金額 | 200~7億円(10万円単位で設定可) |
保険料払込期間(年数) | 20年払済・30年払済 |
保険料払込期間(年齢) | 35歳払済・40歳払済・45歳払済・50歳払済・55歳払済・60歳払済・65歳払済・70歳払済・80歳払済・90歳払済・終身払 |
保険料払込方法 | 月払、半年払、年払 |
〇解約返戻率
契約例をあげ説明します。
(例)
- 加入年齢:30歳男性
- 保険金:500万円に設定
- 保険料払込期間:60歳満了
- 低解約払戻期間:60歳
- 保険料率:非喫煙者保険料率
- 特定疾病保険料払込免除特則:あり
- 月払保険料:10,795円
保険加入者60歳(30年経過) | 金額または率 |
払込保険料累計額 | 約389万円 |
解約返戻金 | 約413万円 |
返戻率 | 106.3% |
〇付帯サービス
「こころとからだの健康をサポートする」ための付帯サービスを無料で利用できます。
①メディカルほっとコール24
医師・看護師等の相談スタッフが、年中無休かつ24時間常勤体制で、健康・医療・介護・育児・メンタルヘルス等に関する相談を受け付けています。
ご自宅・勤務先周辺の医療機関情報や夜間・休日の医療機関情報、専門医療情報等を提供しています。
②メディカルソムリエ
各専門分野を代表する総合相談医との面談・電話で、治療方法等に関するセカンドオピニオンを受けることができます。
セカンドオピニオンサービスへ相談後、一定の条件が満たされる場合、医療機関での受診、治療を手配・紹介してもらうサービスも利用できます。
③メンタルケア支援サービス
ストレス・メンタルヘルスについて、臨床心理士を中心とした心理カウンセラーの電話相談・面談によるカウンセリングが利用できます。
④生活習慣病支援サービス
高血圧や脂質異常症等の生活習慣病を改善する具体的な取組内容を、提案・紹介してもらえます。
⑤ガン支援サービス
ガン全般の相談に、専門スタッフが電話や面談でアドバイスしてくれます。
6-3.メットライフ生命「USドル建終身保険 ドルスマート」
USドル建終身保険 ドルスマートは外貨建て終身保険です。積立利率は年3%が最低保証され、払込通貨・受取通貨を米ドル・円から選択できます。
為替相場の影響を受けたくない場合、保険加入者自身が最初から米ドルで保険料を支払い、保険金や解約返戻金の受け取りも米ドルで行う必要があります。
プランには、「低解約返戻金プラン」「三大疾病・介護保険料払込免除特約プラン」「三大疾病・介護給付終身保険特約(米ドル建)プラン」の3種類があります。
〇解約返戻率
低解約返戻金プランを例に、払込保険料累計額と解約返戻金額の割合を紹介します。
(例)
- 保険加入者:男性30歳
- 保障プラン:低解約返戻金プラン
- 保険期間:終身
- 保険料払込期間:15年
- 保険金額:10万米ドル
- 保険料(月払):80米ドル
- 積立利率:年3.50%
経過年数 | 払込保険料累計額 | 解約返戻金 | 返戻率 |
10年 | 27,336 | 18,348 | 67.1% |
20年 | 41,004 | 50,305 | 122.6% |
30年 | 41,004 | 65,405 | 159.5% |
35年 | 41,004 | 74,209 | 180.9% |
7.まとめ
解約返戻率の高い終身保険は魅力的ではありますが、無視できないリスクもあることを念頭に置き、加入するべきかどうかをご自分の責任で判断することになります。