現在、確定申告のために大量のデータと、領収書の計算・記載で大忙しの個人事業主の方々がいらっしゃることでしょう。
そんな方々が注意しなければいけないものに、減価償却する資産と耐用年数があります。減価償却の対象となる資産は様々で耐用年数もそれぞれ異なります。
その減価償却の対象となる資産の一つにパソコンがあるのはご存知でしょうか?パソコンは価格帯ごとに計上の方法も異なります。
また、パソコンの耐用年数もサーバー用かそうでないかで異なります。個人事業主にとって減価償却の計算は面倒ではありますが、根気よく行うことが求められます。
そこで今回は、パソコンの耐用年数と減価償却の方法について解説します。この記事を読めば、パソコンの耐用年数と減価償却の基本的な知識、青色申告者を対象とした便利な特例がよくおわかりになることでしょう。
1.耐用年数について
私は、一人で小さな個人事務所を経営している事業主です。まだまだ開業したばかりで会計に関しては知らないことだらけですね。
まずは、資産の耐用年数とは何のためにあるのか知りたいです・・・。
第1章では、耐用年数とは何か?減価償却とは何か?について解説します。
1-1.そもそも耐用年数とは
耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える年数を言います。長期にわたって、反復使用へ耐える経済的に価値がある物、または所有の価値の減価を各年度で費用配分していく場合、計算の基礎となります。
ただし、減価償却資産が利用に耐える年数を超えたからといって、すぐに故障して使えなくなるわけではありません。
仮に故障したとしても修理して使用するかもしれませんし、故障もなく耐用年数をはるかに超える期間、使い続けることもあるでしょう。
故障して修理した場合の費用処理は第2章で、耐用年数を超えて使い続けるための費用処理は第5章で解説します。
1-2.減価償却とは何?
減価償却は、個人事業主や法人の会計で、購入費用の認識・計算処理の方法として行われています。
各事業所で長期間にわたり、使用され続ける固定資産の取得に要した支出を、その耐用年数にわたり費用を配分するやり方です。
この方法は非常に面倒な手続きと言えますが、次のような理由があげられます。
例えば、ある会社が7億円の商業ビルを建設したとします。
初年度に7億円を建設費用として計上した場合、7億円の赤字となってします。
その後、テナントを募集し入居が順調に進めば、2年目以降になってから莫大な賃料収入を得ることが期待できます。
この商業ビルを建設した会社は、初年度の大赤字から一転して大幅な黒字となることでしょう。
事例のような場合は、商業ビルを所有する会社の正確な収益や、費用を把握することが難しくなります。
そのため、商業ビルの建設費用を、毎年少しずつ配分して費用へ計上する方法を使用するわけです。
1-3.減価償却するものと耐用年数
耐用年数は国(国税庁)によって法定されています。これを「法定耐用年数」と言います。
〇オフィスで使用する機器等の耐用年数
オフィスに必要な事務機器や通信機器その他の電化製品、備品等は次のようになります(国税庁「耐用年数表」を基に作成)。
器具・備品 | 耐用年数 |
①事務机、事務いす、キャビネット(主として金属製) | 15年 |
②事務机、事務いす、キャビネット(主として金属製以外) | 8年 |
③応接セット(接客業用) | 5年 |
④応接セット(接客業用以外) | 8年 |
⑤冷房用・暖房用機器 | 6年 |
⑥パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。) | 4年 |
⑦パーソナルコンピュータ(その他のもの) | 5年 |
⑧テレタイプライター、ファクシミリ | 5年 |
⑨インターホーン、放送用設備 | 6年 |
⑩デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話(設備) | 6年 |
⑪デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話(設備以外) | 10年 |
⑫看板、ネオンサイン、気球 | 3年 |
〇減価償却する資産の条件
当然、表であげたオフィスの事務機器等は全てが、減価償却資産の対象になるわけではありません。
賃貸オフィスの場合、入居当初から付属されている備品・冷暖房設備・電話等は、ご自分が購入したわけではないので対象外です。
また、ご自分が実際に購入したものであっても、使用可能期間が1年未満または購入費用が10万円未満なら、購入時に全額経費として処理します。
2.パソコンの耐用年数について
何やら、購入した事務機器や通信機器等で耐用年数がそれぞれ違うので、頭が混乱しそうです。
では、オフィスで最も必要なパソコンの耐用年数と、その費用処理について知りたいです・・・・。
第2章では、パソコンの耐用年数、減価償却が不要な場合等を解説します。
2-1.パソコンの耐用年数は一律ではない
パソコンの耐用年数については、「1-3.減価償却するものと耐用年数」で前述した通り、パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)は4年、パーソナルコンピュータ(その他のもの)は5年となります。
そうは言っても、なかなかどんなパソコンが耐用年数4年なのか5年なのかピンとこないと思うので、具体的な電子計算機類を取り上げて解説します。
(1)パーソナルコンピュータ(PC):耐用年数4年
皆さんが私用や業務でも使っている、デスクトップパソコンやノートパソコンと呼ばれる電子計算機です。
多機能、コスト重視でいろいろな利用者のニーズに応える機能を有しています。
(2)ワークステーション(WS):耐用年数5年
あまり耳慣れないネーミングの電子計算機ですね。科学技術の計算やCAD、グラフィックデザイン、事務処理等に特化した高性能な業務用コンピュータです。
(3)サーバ(サーバー):耐用年数5年
サービスを提供するコンピュータで、個々のコンピュータ(クライアント)からの要求に、情報・処理結果を提供する側のコンピュータやソフトウェアを指します。
ネットワーク内での通信制御や、ホームページを提供するためのWebサーバー等、様々な用途に使用されます。
(4)ミッドレンジコンピュータ:耐用年数5年
企業の基幹業務などに利用される中規模、中クラスのコンピュータです。ネットワークをベースにしたサーバシステムで、サーバ機として利用されることが前提です。
(5)汎用コンピュータ:耐用年数5年
主に企業のような巨大組織の基幹業務用等へ使用される、大型コンピュータを指します。
膨大なデータを集中して処理することになるので、扱うデータ量・処理速度等が必要とされます。
2-2.パソコンを修理し続けて使った場合
前述した通り、パーソナルコンピュータに該当するものはいろいろあります。今回の記事では、我々が私用や業務でも使っている、デスクトップパソコンやノートパソコン(耐用年数:4年)を取り上げます。
我々の使用しているパソコンですが、修理して使い続けるケースも想定されます。
通常の維持管理に関する場合は「修繕費」として費用処理することが可能です。修繕費を事業所の現金で支払った場合は次の通りです。
(事例)業務で使用するパソコンの修理費3万円を現金支出した。
借方 | 貸方 |
修繕費:30,000円 | 現金:30,000円 |
一方、修繕することで資産価値が向上するならば資本的支出に該当するので、原則、旧減価償却資産の耐用年数に基づき減価償却を行ないます。
改良費用が20万円未満や短い周期で修繕するならば、その年の修繕費として計上します。
2-3.減価償却が不要な場合とは?
パソコンが減価償却資産に該当すれば、固定資産として計上することになります。そのため、耐用年数に応じた減価償却を行う必要があります。
しかし、パソコンが少額の減価償却資産となるならば、消耗品として経理処理が可能です。耐用年数に応じた面倒な減価償却費を計算することがなくなります。
購入したパソコンを消耗品として扱える条件は次の2つです。
- 購入費用:10万円未満
- 使用可能期間:1年未満
上記のいずれかに該当すれば消耗品として経理処理できます。
たとえ購入費用が50万円でも、使用可能期間が1年未満なら消耗品となりますし、使用可能期間が4年でも、購入費用が7万円ならやはり消耗品として扱えます。
例えば、使用可能期間1年未満で購入費用が50万円のパソコンを、消耗品として購入した年度で計上すれば、いっきに50万円を課税対象金額から差し引けます。その分、確定申告で税制上の優遇措置が受けられます。
ただし、事例のパソコンを無理に消耗品として処理する必要はなく、固定資産として計上し、1年で13.5万円ずつ減価償却していくことが認められます。
その場合は1年で13.5万円、4年間で償却することになります。大きな節税効果はなくても、毎年一定額の節税が可能です。
3.減価償却資産の償却方法について
パソコンは一定の条件にさえ合えば、消耗品としても固定資産としても計上できるわけですね。
では、減価償却資産の計算方法を知りたいです・・・。
第3章では、償却方法の定額法と定率法、一括償却資産とは何か?について解説します。
3-1.定額法と定率法
減価償却の方法で主に使用されているのは「定額法」と「定率法」です。
(1)定額法の場合
定額法は、毎年同じ金額を費用として計上する方法となります。建物に関しては定額法のみで計上することになります。
定額法の計算のやり方は次の通りです。
取得原価×定額法の償却率×使用月数/12ヶ月=減価償却費
(2)定率法の場合
定率法は、当初の減価償却費は多く計上されるものの、年々、費用として計上する金額が減っていく方法です。
建物以外のパソコン等の減価償却資産は、定額法または定率法のどちらかを選んで行います。
定率法の計算のやり方は次の通りです。
(取得原価-減価償却累計額)×定率法の償却率×使用月数/12ヶ月=減価償却費
3-2.個人事業主なら定額法が基本
個人事業であるなら基本的に償却方法は定額法で計算することになります。こちらでは、耐用年数と償却率との関係と、定額法の具体的な計算例を解説します。
〇耐用年数と償却率
耐用年数の長短によって次の通り償却率も変化します。
- 耐用年数2年→償却率0.5
- 耐用年数3年→償却率0.334
- 耐用年数4年→償却率0.25
- 耐用年数5年→償却率0.2
- 耐用年数6年→償却率0.167
〇定額法の具体的な計算例
(事例)事業所では2019年1月に22万円のパソコンを1台購入し、1月から使い始めた。
①パソコンの耐用年数は4年なので、償却率0.25となります。計算すると
→22万円×0.25÷12×12 = 55,000円
②2019年度に経費として計上する減価償却費は、55,000円になります。
なお、計算で小数点以下の端数が出たら切り上げることになります。
3-3.一括償却資産とは?
取得価額が10万円以上20万円未満の資産に関しては、税務上、通常の減価償却計算または簡単な償却計算を用いることができます。
それが「一括償却」という方法です。この方法は、法人税法施行令で認められています。
当該事業年度に取得した資産をまとめて、3年間にわたり均等償却することができます。
この一括償却の便利なところは、それぞれの資産の購入日や耐用年数に関係なく、3年間で経費処理を行える点です。
例えば、パソコンの購入費が12万円だった場合は次のようになります。
耐用年数4年ではなく、1年目4万円、2年目4万円、3年目4万円と3年間で均等に費用処理します。
その他、一括償却資産は固定資産税の対象外になる利点があるので、開業したばかりでマダマダ資金繰りに余裕が無い事業主には助かる制度です。
なお、「減価償却資産」で計上するか「一括償却資産」で計上するかは納税者の自由です。ご自分の都合が良い方法を選択して経費処理を行いましょう。
4.少額減価償却資産の特例について
一括償却資産は便利な方法ですね。一方、青色申告者に限定したお得な特例制度が設けられているようです。
こちらの特例についても詳細を知りたいです・・・。
こちらでは、「少額減価償却資産の特例」の特徴と注意点を解説します。
4-1.少額減価償却資産の特例とは
納税者が青色申告者の場合、30万円未満の少額減価償却資産であれば、一括でその事業年度の経費にすることができる特例もあります。 それが「少額減価償却資産の特例」です。
こちらの対象となるのは、2020年3月31日までの間に取得した30万円未満の少額減価償却資産ということになります。
この特例は事業主が消費税の免税事業者か課税事業者かで、「30万円未満」の扱いが異なります。
〇免税事業者の場合
消費税の免税事業者とは、消費税の申告納税が不要な事業者です。こちらには、消費税課税期間の基準期間における課税売上高1,000万円以下である方々が該当します。
消費税の免税事業者の場合は、税込金額で「30万円未満」を判断することになります。例えば、税抜き金額で296,000円でも、消費税(8%)を含めれば319,680円となるので、この場合に特例は利用できません。
〇課税事業者の場合
消費税の課税事業者とは、消費税の申告納税が必要な事業者です。こちらに該当するのは次の場合です。
- 基準となる対象期間の課税売上高1,000万円超であること
- 資本金1,000万円以上で新たに会社設立した
- ご自分で消費税を納めると決め、消費税課税事業者選択届出書を提出した
この3つのいずれかに該当すれば課税事業者となります。
この場合には、会計処理を税抜経理で行っているときは「税抜金額」で、会計処理を税込経理で行っているときは「税込金額」で、「30万円未満」であるかを判断します。
4-2.少額減価償却資産の特例の特徴
特例を利用したパソコン等、30万円未満の少額減価償却資産を取得した際の仕訳は次のようになります。事例を上げて説明します。
(例)
- 事業形態:個人
- パソコン:購入費用28万円(税込)
- 購入日:2019年1月26日
- 購入方法:現金
①購入日に次のような仕訳を行います。
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2019年1月26日 | 工具器具備品:280,000円 | 現金:280,000円 | パソコン |
パソコンは「工具器具備品」として処理します。工具器具備品とは、事業所で購入する工具・器具備品のための勘定科目です。
②個人事業の方々の決算日は12月31日です。パソコンをその年度の経費として一括処理(即時償却)します。
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2019年12月31日 | 減価償却費:280,000円 | 工具器具備品:280,000円 | パソコンを少額減価償却資産の特例で減価償却 |
ただし、パソコンが特例に該当していても、本来の事業目的へ使用せず放置している場合は、その年の減価償却費として計上できません。
30万円未満の少額減価償却資産を購入するだけではなく、その年に利用することが特例を適用する条件となります。
4-3.少額減価償却資産の特例の注意点
少額減価償却資産の特例は、 30万円未満のものであるなら、全て一括でその年の経費にできるわけではない点を注意しなければいけません。
あくまで、この特例の合計限度額は300万円となります。それを超えてしまうと、通常通りの減価償却の方法で計上することになります。
また、年の途中で新規開業し事業年度が1年未満の年度の場合、 300万円を12ヶ月で割り、月数をかけた金額が限度額に縮減されてしまいます。
例えば、6月1日に新規開業した場合は、年度末まで7ヶ月間事業を運営することになりるので、次のような限度額となります。
300万円÷12×7=175万円
新規開業年度は175万円までが限度額となります。
なお、この特例により計上した資産も、通常の減価償却で処理する資産と同様、固定資産税の対象です。
5.パソコンを定額法で仕訳てみる!
減価償却資産となる事業用のパソコンを、実際に仕訳けてみたいです。
パソコンの仕訳の流れを教えてください・・・。
こちらでは、事例を上げてパソコンの減価償却費を計算していきます。
5-1.事例を上げてパソコンの仕訳
こちらでは事例をあげ、パソコン購入日の仕訳、年末の仕訳、翌年以降の仕訳を解説していきます。
減価償却の方法は、個人事業主の場合の基本的な算出方法である定額法を用いて、耐用年数を4年とします。
(例)
- 事業形態:個人
- パソコン:購入費用28万円(税込)
- 購入日:2019年2月1日
- 購入方法:現金
- 耐用年数:4年
- 計算方法:定額法
5-2.パソコン購入から年末まで
(事例1)事業所では2019年2月1日に28万円のパソコンを1台購入し、当日には利用を開始した。
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2019年2月1日 | 工具器具備品:280,000円 | 現金:280,000円 | パソコン |
工具器具備品(パソコン)という資産が28万円分増加し、現金28万円が減ったという処理になります。
パソコンは、「3-2.個人事業主なら定額法が基本」で述べた通り、耐用年数4年なので償却率は0.25です。
2019年2月から利用したので、2019年はこのパソコンを11ヶ月使ったことになります。
ただし、購入日ではなく、実際に使用を開始した月を基準に、減価償却費の計算をします。例えば2月に買っても使用したのが3月だった場合、年末までに10ヶ月使ったことになります。
事例では2019年2月に購入し、購入当日には利用したので次のような計算式となります。
取得価額28万円×償却率0.25÷12×使用月数11 =64,166円
なお、計算で小数点以下の端数が出たら切り上げることになります。
(事例2)個人事業の決算日は12月31日なので、パソコンを減価償却費として経費計上した。
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2019年12月31日 | 工具器具備品:64,166円 | 現金:64,166円 | パソコンの減価償却 |
2019年度は、工具器具備品(パソコン)の資産価値が64,166円分減り、減価償却費64,166円分の経費が計上されたという仕訳となります。
毎年定額で資産価値を減らし、減価償却費として少しずつ経費計上する形で行います。
5-3.翌年以降の仕訳と備忘価額
翌年の2020年度からは、年末に減価償却費の仕訳をして、資産価値が減っていることを計上します。
〇翌年以降の仕訳
2020年は使用期間12ヶ月なので次のように計算します。
取得価額28万円×償却率0.25=70,000円
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2020年12月31日 | 工具器具備品:70,000円 | 現金:70,000円 | パソコンの減価償却 |
2020年度は、工具器具備品(パソコン)の資産価値が70,000円分減り、減価償却費70,000円分の経費が計上されたという仕訳となります。
ちなみに、2021年・2022年も同じように経費を計上していきます。
〇最後の年の仕訳
2023年は残りの月数(1ヶ月分)で減価償却の計算をします。
取得価額28万円×償却率0.25÷12×1=5,834円
2023年の計上額は5,834円となり、この最後の年は計上額から1円差し引いた金額を計上することになります。
5,834円-1円=5,833円
このやり方で、事業所の資産である工具器具備品が1円だけ残ることになります。これを「備忘価額」と言います。
この備忘価額とは、資産価値が0円になったと考えられる場合でも、その資産が残っていることを忘れないようにするため、1円を残しておく名目的な価額を言います。
日時 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
2020年1月31日 | 工具器具備品:5,833円 | 現金:5,833円 | パソコンの減価償却 |
資産価値が0円になったとしても、いきなりパソコン等の工具器具備品が壊れて使い物にならなくなるわけではありません。
よって、1円分を残す仕訳が行われ、事業所の資産として今後も残るこになります。
そのため、減価償却が終了した工具器具備品(パソコン)が1台なら1円、3台なら3円残ることになります。
〇年度ごとの減価償却費
年度ごとの減価償却費の金額をまとめれば、次のようになります。
年度 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
減価償却費 | 64,166円 | 70,000円 | 70,000円 | 70,000円 | 5,833円 |
使用月数 | 11ヶ月 | 12ヶ月 | 12ヶ月 | 12ヶ月 | 1ヶ月 |
6.確定申告について
自分が開業してから初めての確定申告を行うことになりました。減価償却資産の経費処理も行えたと思います。
確定申告とは何か、申告に必要な書類について教えてください・・・。
こちらでは、確定申告を行う意味と、申告に必要な書類等を解説します。
6-1.確定申告とは
確定申告は、毎年1月1日~12月31日までの1年間に生じた、全ての所得金額と所得税・復興特別所得税額を計算し、源泉徴収された税金・予定納税で納めた税金等との過不足を精算することです。
確定申告は納税者自身で申告を行う必要があります。2018年度の確定申告の場合、2019年ならば2019年2月18日(月)~3月15日(金)が確定申告期間となります。
確定申告書等を、確定申告期間中にご自分の納税地を管轄する税務署へ提出します。
確定申告書等は、専用のソフトで作成しても良いですし、最寄りの税務署で配布されている用紙を使って作成しても構いません。
提出方法は、「e-Tax」というインターネットを使った手続ができるシステムを利用してネット申告を行ったり、ご自分の納税地を管轄する税務署へ持参・郵送したりと様々な方法で行えます。
6-2.確定申告の必要な人
確定申告の必要な方々は自営業者・自由業者のような個人事業主に限られません。
次のような方々が該当します。
(1)給与所得がある人
通常なら勤務先の事業所で年末調整を行います。ただし、次の該当する方々は確定申告の必要があります。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 給与を1か所から受け、その給与の金額が源泉徴収の対象となる場合、給与所得や退職所得を除いた各種の所得金額の合計額が20万円を超える人
- 給与を2か所以上から受け、その給与の金額が源泉徴収の対象となる場合、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得や退職所得を除いた各種の所得金額との合計額が20万円を超える人 等
(2)公的年金等の雑所得のみの人
公的年金等、雑所得の金額から所得控除を差し引き、残額があるなら確定申告をしなければなりません。
ただし、次のすべての条件に該当する方々は確定申告が不要となります。
- 公的年金等の収入金額が400万円以下
- 公的年金等の全部が源泉徴収の対象となり、公的年金等の雑所得以外の所得金額が20万円以下
(3)退職所得がある人
外国企業に勤務して退職の際に受け取った退職金がある等、源泉徴収されないものがあれば、確定申告が必要です。
(4)その他の人
(1)~(3)に該当しない人で、各種の所得の合計額から所得控除を差し引き、課税される所得金額に所得税の税率を乗じ、計算した所得税額から配当控除額を差し引いて、なお残額のある人は確定申告が必要です。自営業者・自由業者の方々はこちらに該当します。
6-3.確定申告に必要な書類
確定申告の際の必要書類は次の通りです。
(1)確定申告書
最寄りの税務署で用紙が取得できます。また、確定申告用のソフトでプリントアウトできるようになっています。用紙に手書きまたはパソコン画面で必要事項を入力します。
(2)支払調書
受け取った支払調書または源泉徴収票があれば、添付書類台紙へ貼付します。
(3)本人確認書類
マイナンバー(個人番号カード)の両面の写し:添付書類台紙へ貼り付けます。裏面も貼り忘れないようにしましょう。
一方、マイナンバー(個人番号カード)が無い場合は、やや多くの書類の添付が必要となります。
- 番号確認書類の写し(通知カード、住民票の写し、住民票記載事項証明書等のいずれか1点)
- 身元確認書類の写し(運転免許証、パスポート、在留カード等のいずれか1点)
上記2点を添付書類台紙へ貼付します。
(4)印鑑
※他にも、生命保険料控除や医療費控除等の税制上の優遇措置が受けられるならば、忘れずに申告書等へ必要事項を記載し、添付書類を貼付して提出しましょう。
7.まとめ
パソコンをはじめとした減価償却資産は、耐用年数や償却率等、いろいろな要素を加味して面倒な経費処理を行う必要があります。
業務も大切ではありますが、会計処理は仕事終わりに必ず行うことが大切です。
うっかり会計処理を忘れてしまった場合は、収入や経費の漏れが発生してしまうこともあります。
会計を効率的に行うためにも、特例制度等も利用しながら正確かつスムーズに行っていきましょう。
特に個人事業主の方々は、お一人で確定申告の準備をしなければならない場合もあります。日ごろから会計処理を正しく行い、時間に余裕をもって確定申告の手続きを進めることが賢明です。