火災保険は年末調整や確定申告で所得控除が認められているの?ズバリ解説!

火災保険は、新築または中古の一戸建て・マンション、ビル等の不動産、建物内にある家具・機材等の動産を補償する商品です。

火災保険へ加入していると、火災の他にも台風や落雷、水害等の被害を受けた場合、その被害に応じて保険金が受け取れます。

こちらの保険は、賃貸物件の他、住宅ローン完済前の一戸建てであっても加入を必要とされる場合があります。

保険へ加入した場合には保険料を支払っていくことになります。その保険料が、年末調整や確定申告の際の所得控除として利用できればうれしいですよね。

しかし、火災保険は生命保険や医療保険、がん保険等のように保険料控除として、税制上の優遇措置を受けることは原則不可能です。

「せっかく、保険へ加入したのに残念。」と、思われるかもしれません。ただし、例外的に保険料控除が認められる場合はあります。

そこで今回は、例外的に火災保険が控除対象になるケースと、年末調整や確定申告の申告方法について解説します。

この記事を読めば、火災保険および保険料控除の基礎的な知識と、各申告方法がよくおわかりになることでしょう。

1.火災保険について

私は新築の一軒家を購入予定ですが、住宅ローンを組むため火災保険の加入は必須と金融機関から言われました。

火災保険へ加入するからには、保険料を支払う必要が出てくるので、税制上の優遇措置は受けたいものです・・・。

こちらでは、火災保険とはどんな保険か、所得控除は可能か否かを解説します。

1-1.火災保険とはこんな保険

火災保険は、新築や中古の一戸建・マンション、ビル等の不動産、建物内にある家具・機材等の動産を補償する商品です。

この保険は、建物だけに保険をかければ、火災で建物が燃えてしまったとき、下りる保険金は建物が受けた被害分のみに限定されてしまいます。

火災の際に家財を消失しても、建物の中の動産(家財道具等)の被害は、残念ながら補償されません。

家財道具等を補償範囲とするには、こちらにも火災保険をかけなければなりません。

なお、火災保険は火災の被害だけを補償する商品ではなく、次のような被害も補償対象です。

  • 落雷
  • ガス漏れ等の破裂・爆発等
  • 台風、旋風、竜巻、暴風等の風災
  • 雹の建物への直撃被害や豪雪、雪崩の雹災・雪災
  • 台風・豪雨が原因となる洪水等の水災
  • 給排水設備の事故で生じた事故に伴う、漏水、放水、溢水による水濡れの損害
  • 建物の外部からの物体落下、飛来、衝突、接触、倒壊
  • 集団行動・労働争議が原因の暴力行為・破壊行為
  • 盗取、損傷、汚損等
  • 不測かつ突発的な事故

火災保険では、最初から上記の内容すべて補償範囲として設定されている商品もありますが、契約者が自由にカスタマイズして補償範囲を設定できる商品もあります。

1-2.加入が必須の場合もあり

一軒家やマンション購入、賃貸物件を契約する場合に、すべてのケースで火災保険が加入条件となるわけではありません。

少なくとも、ご自分の住む賃貸物件や、ローン完済前の物件ならば、火災保険への加入がほぼ必須条件です。

住宅ローンを組んだ金融機関から、その金融機関と提携している損害保険会社の火災保険へ加入を勧められるケースもあるでしょう。

しかし、これからローンも返済していくため、その保険料が家計に無理のない負担であるかは、ご自分で判断する必要があります。

また、お住いになる地域で想定される災害等のリスクを十分に考慮した上で、よりご自分や家族に合った火災保険へ入るため、各商品を比較検討しながら選ぶことが重要です。

1-3.年末調整や確定申告で所得控除不可?

保険契約を行い保険料を支払うと、税制上の優遇措置が受けられることもあります。これを「保険料控除」といいます。

この控除が受けられると、所得税・住民税の一定額が軽減され、納税者にとって有利となります。

この保険料控除を申告する方法は、会社員のような事業所に勤務する給与取得者であれば「年末調整」で、自営業者・自由業者の場合なら「確定申告」で行うことになります。

年末調整も、確定申告も、申告時期や方法、必要書類は異なるので注意が必要です。

そして、肝心の火災保険の保険料が控除対象となるかですが、残念ながら原則として「控除対象外」となります。

その理由については次章で解説します。

2.火災保険料は何故控除されない?

火災保険が所得控除の対象にならないのは残念です。少しでも節税しようと思っていたので。

火災保険は以前、控除対象になっていたと思いましたが・・・・。

こちらでは、火災保険料が控除対象外となった理由と、例外的に控除対象となるケースを解説します。

2-1.損害保険料控除廃止のため

火災保険や傷害保険は以前ならば「損害保険料控除」の対象となっていました。

平成18年12月31日までは、控除額は次のように設定されていました。

平成18年12月31日まで 損害保険料控除
所得税 最大:15,000円
住民税 最大:10,000円

以前は、生命保険や医療保険、がん保険等と同様に、年末調整や確定申告で申告できました。

しかし、この損害保険料控除が平成19年1月1日から廃止されたため、原則として火災保険料は控除対象外となりました。

2-2.平成18年の税制改正とは

損害保険料控除の廃止は「平成18年度税制改正」で決定されました。

この時期は租税収入が バブル期をピークになり、その後長期低落の傾向に陥りました。平成18年度の国の一般会計の租税・印紙収入の総額は、45兆8,780億円で、ピーク時の平成2年度に比べ約14.2兆円少ない事態となっていました。

その原因は、長く続いた国内の経済活動の落ち込みによるもので、それに伴い、景気対策等の観点から、所得税・法人税の減税等を行ってきたことが要因と国は判断しました。

こうした中、平成18年度は、経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、所得税・個人住民税を改正することになりました。

損害保険料控除もその改正の対象となり、「地震保険料控除の創設」に伴い廃止されることとなったのです。

2-3.全面的に所得控除が不可能ではない!

火災保険料は原則として控除対象外となりましたが、地震保険料控除が創設され、地震保険へ加入していれば申告により、所得控除が可能となります。

そして、火災保険の中でも、平成18年12月31日締結分までの「長期損害保険料」は経過措置として、従来から行われていた損害保険料控除が適用されることになりました。

所得控除の対象になる「地震保険」、「長期損害保険契約」については、次章以降でその特徴および保険料控除額等を解説していきます。

3.地震保険について

地震については、マイホームを購入した時に家族とも話し合いました。

阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、日本各地で続発する地震に不安を感じています。

まずは地震保険について詳細を知りたいです・・・・。

こちらでは地震保険とは何か?その補償内容と、保険料控除がどの位の額になるのかを解説します。

3-1.地震保険とは

地震保険とは、火災保険では補償対象外となる地震や噴火・津波を原因とした、建物の火災や損壊、埋没、流出による損害を補償するための保険です。

このことから、火災保険では基本的に地震を原因とした火災は補償されず、あくまで地震保険でしか補償されないことになります。

〇地震保険単独の契約は不可能

地震に対する補償だけを備えたくても、地震保険だけの加入が認められていません。地震保険に加入したい場合は、火災保険とセットで加入する必要があります。

地震は台風とは違い、いつどこで発生するか予測が極めて困難な災害です。それに加え、過去の地震の発生からみてもわかる通り、被害は発生源の他その広範囲にわたり、被害額も甚大な状況になることは明白です。

〇地震保険は国と民間が共同運営

この一度起これば、重大な被害を招く地震から的確に補償対象をサポートするため、地震保険は、地震保険法に基づき“国と保険会社が共同で運営している制度”となっています。

更に、地震保険は同法に基づいて、損害保険会社を通して提供された地震保険を日本政府が「再保険」しています。

この再保険とは、保険利用者と契約し、最初に引き受けた保険会社の保険金支払責任の全部または一部を、他の保険会社などに転嫁することです。

これは金銭的補償が確実になされるよう、保険金の支払いリスクを分散するために行います。

そのため、ご自分がどの保険会社と地震保険を契約しても、損害が発生した場合、最終的には「政府+損害保険会社」が共同で補償する形となります。

〇地震保険のカスタマイズは特約で

地震保険は国と民間が共同して補償するので、どんな保険会社で保険契約をしても、地震保険の補償内容・保険料は同一です。

つまり、基本補償の内容に各社の差別化が反映されない、極めて公共的な仕組みになっています。

ただし、保険会社の中には基本補償とは別に、「地震補償特約」を設け、保険金の増額を図る等、差別化を図っているところもあります。

地震補償をより手厚くしたい場合には、特約で他社と差別化を図っている保険会社の商品を選ぶのも良いでしょう。

3-2.地震保険の補償内容

こちらでは、地震保険で補償対象となる財産、補償内容等について解説します。

〇地震保険の補償対象

地震保険も火災保険と同様に、建物・家財のそれぞれで加入する必要があります。

  • 居住用建物:住居のみに使用される建物と併用住宅が対象となります。
  • 居住用建物内の家財一式:ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属類等は対象外です。

※店舗専用物件や自家用車は補償対象外です。

〇地震保険の補償認定

地震保険の場合、火災保険のような実際の損害額が保険金として支払われるわけではありません。

まずは損害の程度により「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定を行い、その後、地震保険金額の100%・60%・30%・5%が支払われるという形になります。

なお、これらの認定は各保険会社が独自に設定した基準で行われるのではなく、一般社団法人日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」に従って認定されます。

地震被害という甚大な損害に対して、損害認定処理を迅速、的確かつ公平に行うための措置と言えます。

〇地震保険の補償内容

補償内容は次の4段階です。下表を参考にしてください。

[1]全損

全損 損害の程度
建物 ①建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)

→建物の時価額の50%以上

②焼失・流失した床面積が

→建物の延床面積の70%以上

家財 家財全体の時価額の80%以上
保険金額 100%(時価額が限度)

[2]大半損

大半損 損害の程度
建物 ①建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)

→建物の時価額の40%~50%未満

②焼失・流失した床面積が

→建物の延床面積の50%~70%未満

家財 家財全体の時価額の60%~80%未満
保険金額 60%(時価額の60%が限度)

[3]小半損

小半損 損害の程度
建物 ①建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)

→建物の時価額の20%~40%未満

②焼失・流失した床面積が

→建物の延床面積の20%~50%未満

家財 家財全体の時価額の30%~60%未満
保険金額 30%(時価額の30%が限度)

[4]一部損

一部損 損害の程度
建物 ①建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)

→建物の時価額の3%~20%未満

②全損・大半損・小半損ではない建物が

→床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水

家財 家財全体の時価額の10%~30%未満
保険金額 5%(時価額の5%が限度)

〇保険金の支払いの注意点

巨大地震等の発生により、1回の地震等の全損害保険会社の支払保険金総額が11.3兆円を超える場合、上記の保険金額を縮減されるおそれがあります(2018年9月現在)。

これも、被害者へ地震損害の公正公平な金銭的補償を配分するため、やむを得ない措置と言えます。

なお、72時間以内に生じた2以上の地震等は、これらを一括して1回とみなすことになります。

また、地震保険の保険金額は、火災保険で設定した金額分の30~50%で設定することになります。その保険金額の上限は建物で5,000万円、家財が1,000万円とあらかじめ決められています。

3-3.地震保険には地震保険料控除が適用される!

火災保険(積立型を含)にセットされる、居住用家屋または生活用動産を保険の目的とした地震保険契約の保険料が、年末調整または確定申告の際に控除対象となります。

〇控除額について

前述した平成18年度税制改正により、所得税は平成19年以後、住民税は平成20年度分以後の個人住民税から適用されています。

控除対象額は次の通りです。

年間控除対象保険料 所得税控除額 住民税控除額
50,000円以下 支払保険料全額 支払保険料×1/2
50,000円超 50,000円 25,000円

〇地震保険の加入状況は?

地震保険契約の保険料が優遇されるようになったので、全国的に地震保険への加入率は上がっているのでしょうか?

損害保険料率算出機構によれば、都道府県全体平均は63.0%となっています(2017年度)。まだ6割程度にしか達していないのが現状です。

地震保険の加入率(付帯率)の上位となっている都道府県は次の通りです(1位~10位)。

下表を参考にしてください(損害保険料率算出機構「付帯率 都道府県順」を参考作成)。

順位 都道府県 加入(付帯)割合
1 宮城県 86.3%
2 高知県 85.2%
3 宮崎県 80.3%
4 鹿児島県 78.0%
5 熊本県 77.5%
6 岐阜県 76.1%
7 愛知県 73.7%
8 徳島県 73.3%
9 山梨県 70.4%
10 香川県 70.2%

2011年の東日本大震災で最悪の被害を出した宮城県が86.3%と非常に高い割合となっています。

また、2016年に大地震が起きた熊本県も77.5%と5位にランキングしています。

しかし、ご自分のお住いの地域で地震被害が起きているか・いないかで、加入(付帯)を検討するのではなく、いずれ起こり得る災害として、火災保険と共に必ず加入しておくことが大切です。

4.長期損害保険料控除について

地震保険に加入したら是非、地震保険料控除を利用して節税に役立てたいです。

その他に、火災保険で例外的に保険料控除が適用されるものもあるようですね。どんなタイプの保険なのでしょうか?

こちらでは、長期損害保険料控除の特徴等について解説します。

4-1.長期損害保険料控除とは?

長期損害保険契約に係る損害保険料は、次の条件に全て該当することが必要です。

  • 平成18年12月31日までに締結した火災保険契約であること
  • 満期返戻金があり保険期間は10年以上の契約であること
  • 平成19年1月1日以降、その火災保険契約の変更をしていないこと

この長期損害保険料控除に該当すれば、経過措置として所得税の優遇措置が受けられます。

もしも、平成18年12月31日以前に、ご自分の所有する物件で火災保険契約を締結していたなら、前記した条件に該当していないか、保管している保険証券や保険のしおり等で確認してみましょう。

4-2.長期損害保険料控除の優遇措置

長期損害保険料控除に該当すれば、控除対象額は次の通りになります。

〇所得税

最高15,000円が控除額となります。

年間控除対象保険料 控除額
10,000円以下 支払保険料全額
10,001円~20,000円以下 支払保険料×1/2+5,000円
20,001円~ 15,000円

〇住民税

最高10,000円が控除額となります。

年間控除対象保険料 控除額
5,000円以下 支払保険料全額
5,001円~15,000円以下 支払保険料×1/2+2,500円
15,001円~ 10,000円

4-3.地震保険との関係で控除額が変わることも!

地震保険料控除と長期損害保険料控除は、いかなる場合でも申告の際に両方が控除となるわけではありません。

保険契約の内容が、同一契約か別契約かにより、控除金額がそれぞれ異なります。

〇火災保険の長期損害保険+地震保険が同一契約

火災保険の長期損害保険と地震保険が同一契約となっているケースでは、長期損害保険または地震保険いずれかの控除しか申告できません。

両方の控除を申告しても認められないので注意が必要です。ただし、どちらの控除を受けるかはご自分で自由に選択できます。

例えば、地震保険料が年間30,000円で、長期損害保険料が10,000円なら、地震保険料の方を申告するというように、ご自分にとって、金額的に得する方を控除申請すると良いでしょう。

〇火災保険の長期損害保険+地震保険が別契約

火災保険の長期損害保険と地震保険が別契約でそれぞれ加入しているケースでは、長期損害保険と地震保険の両方の契約を合算して申告できます。

ただし、長期損害保険の所得税控除額が15,000円で、地震保険の所得税控除額が50,000円となる場合、「15,000円+50,000円=65,000円」で、65,000円が控除額とはなりません。

この場合は、「15,000円+50,000円=65,000円」であっても、地震保険の所得税控除額の年間上限50,000円まで控除を受けられます。

住民税の場合も同様に、控除額の年間上限25,000円まで控除を受けられます。

5.年末調整について

火災保険の長期損害保険と地震保険が同一契約か別契約でも、控除額が変わってくるわけですか。

では、保険料の控除申告をする際の手続きについて詳細を知りたいです・・・。

こちらでは、年末調整とは?その申告手続きの方法、必要書類等を解説します。

5-1.年末調整とは

年末調整とは、事業所へ勤務する給与所得者の所得税額について、年末に1年間の所得や、給与所得者個人が保険料を支払った等の生活事情と照合して再計算を行い、その過不足額を調整する方法です。

年末調整はご自分の勤める事業所を通じて所得申告する方法であり、給与所得者にとって簡易な手続きで申告可能である点がメリットです。

この年末調整について、会計を外部委託していないならば、主な担当部署は事業所の総務課・経理課等が該当します。

年末調整を行うのは事業主(給与支払者)の義務なので、各給与所得者が提出した記載事項の正確性を、各事業所内でしっかり確認することになります。

年末調整で控除できるものは次の13種類です。

各控除 内容
給与所得控除 給与所得者であれば誰でも受けられる控除
配偶者控除 配偶者がおり、かつ配偶者の所得額が年38万円未満の場合に受けられる控除
扶養控除 給与所得者に所得税法上の扶養者がいるときに受けられる控除
基礎控除 無条件で受けられる38万円の控除
障害者控除 納税者自身または配偶者、扶養者が障害者のときに受けられる控除
寡婦(寡夫)控除 納税者が寡婦または寡夫の場合に受けられる控除
勤労学生控除 納税者が勤労学生のときに受けられる控除
配偶者特別控除 配偶者の所得額が年38万円よりも多く76万円未満の場合等に受けられる控除
社会保険料控除 社会保険料を支払っているときに受けられる控除
小規模企業共済等掛金控除 確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者の掛金等を支払ったとき受けられる控除
生命保険料控除 生命保険会社の保険に加入し、生命保険料を支払うと受けられる控除
地震保険料控除 地震保険料を支払っていると受けられる控除
住宅借入金等特別控除 住宅用ローンを支払っていると受けられる控除

5-2.年末調整と保険料控除

会社員の方々は少なくとも12月中には、会社側から必要書類を指示され、提出しなければならない書類を収集し、期日までに申告を済ませることとなります。

年末調整に必要な書類は、次のような書類があります。

[1]給与所得者の保険料控除等申請書兼配偶者特別控除申告書

ご自分の勤務する事業所から取得します。地震保険料または長期損害保険料のいずれかまたは両方を記載し、申告を行います。

[2]地震保険料控除証明書・長期損害保険料控除控除証明書

毎年、一定の時期に保険会社からご自宅へ送付されてきますが、12月に入ってもナカナカ届かない時は、加入保険会社へ連絡しましょう。

[1]および[2]を準備したら担当部署へ提出しましょう。

5-3.年末調整の注意点

年末調整は非常に便利な申告方法ですが、地震保険料や長期損害保険料の申告を忘れたり、仕事が忙しくて年末調整自体ができなかったりした場合は、確定申告で手続きを行うことになります。

こちらは次章で解説しますが、確定申告に慣れている自営業者・自由業者の方々ならばともかく、給与所得者の方々は初めて申告する場合も多く、記載事項や手続きに手間取るかもしれません。

もしも、申告内容が地震保険料や長期損害保険料の申告だけならば、還付申告でも構いません。

この還付申告は、いつでも申告を税務署で行えて、記載する事項も個人情報や保険料の情報等に限られます。

また、還付申告をすべき事柄が起きた翌年の1月1日から5年間、申告が猶予されるので焦らず手続きができます。

ただし、「期限は5年もあるし、当分放置してもいいだろう。」と楽観的に考えていると、そのうち申告を忘れてしまい、猶予期限が過ぎてしまうこともありえます。

そのため、できるだけ速やかに申告手続きを行った方が無難です。

6.確定申告について

私は会社員ですが、念のため確定申告の方法も確認しておきたいと思います。

確定申告の手続きについて教えてください・・・・。

こちらでは、確定申告とは何か?確定申告手続きの方法と必要書類について解説します。

6-1.確定申告とは

確定申告とは、自営業者・自由業者の収益・経費等を決まった期間に申告する方法です。確定申告は個人の場合なら次のような手続きを行います。

  1. その年1月1日~12月31日を課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費、寄付、扶養家族状況等から所得を計算
  2. 申告書へ必要事項を記載
  3. 必要書類を税務署へ提出し、ご自分が納付しなければならない所得税額を確定

申告する期間は、毎年2月16日~3月15日での1ヶ月間となります。

もし期日が土曜日・日曜日と重なったならば、順次繰り下げて月曜日までとなります。

6-2.確定申告と保険料控除

火災保険の長期損害保険・地震保険の保険料を申告する場合は、申告書Bの第1表部分の、「所得から差し引かれる金額」の項目の⑮「地震保険料控除」欄に年間保険料の控除金額を記載します。

加えて、申告書Bの第2表部分で⑮「地震保険料控除」欄の「地震保険料の計」または「旧長期損害保険料の計」のいずれか、または双方に保険料額を記載します。

長期損害保険・地震保険の保険契約の内容が、同一契約かそれぞれ別契約かで、控除金額の記載内容が異なりますので気を付けましょう。

なお、第1表部分の⑮「地震保険料控除」欄には第2表部分で算定した、年間保険料の合計額(控除上限額)を記載します。

6-3.確定申告の必要書類

確定申告の際の必要書類は次の通りです。

[1]確定申告書

最寄りの税務署で取得します。前述した通り必要事項を記載し、ご自分の納税地を管轄する税務署へ提出します。

[2]地震保険料控除証明書・長期損害保険料控除控除証明書

毎年、一定の時期に保険会社からご自宅へ送付されてきますが、確定申告期間前でもナカナカ届かない時は、加入保険会社へ連絡しましょう。

[3]源泉徴収書

給与所得者の場合のみ添付します。

[4]本人確認書類

①マイナンバー(個人番号カード)の両面の写しを添付した添付台紙を用意します。

②マイナンバー(個人番号カード)が無い場合は次の2種類の書類を用意します。

  • 番号確認書類の写し(通知カード、住民票の写し、住民票記載事項証明書のいずれか)
  • 身元確認書類の写し(運転免許証、パスポート、在留カード等のいずれか)

[5]印鑑

認印で構いません。確定申告用紙に押印します。

7.まとめ

今回は、例外的に火災保険が控除対象になるケースと、年末調整や確定申告の申告方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

この記事では次のような解説を行いました。

  • ご自分の住む賃貸物件や、ローン完済前の物件ならば、火災保険への加はほぼ必須だが、残念ながら所得控除による節税は原則として認められていない
  • ただし、地震保険や火災保険の長期損害保険の場合は、年末調整や確定申告で申告することにより、税制上の優遇措置が受けられる
  • 年末調整や確定申告で申告する場合は、手続き方法が異なるので、慎重に確認しながら申告用紙の記載や、必要書類の収集を行う

ご自分にとっては申告手続きは面倒かもしれませんが、その分節税効果は期待できます。忘れずに申告を行いましょう。

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