大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2016年6月より保険ブリッジの記事監修を務める。
社会保険に加入している人が対象で、病気や怪我で給食する際に申請が可能な傷病手当金。
社会保険に加入していなければ支給されないものですが、受給するにあたっての条件や対象等をご存知ですか?
傷病手当金のあれこれについて詳しく解説していきます。
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傷病手当金の概要と詳細を知ろう
傷病手当とは?
そもそも、傷病手当金は1927年に出来ました。
松葉 直隆
当時は給付可能日数が180日でしたが、1977年に改正されて1年6ヶ月になりました。
もちろん大前提として社会保険に加入していることですが、それに合わせて最低6ヶ月間の加入継続が必要になります。
つまり、入社したばかりの方は対象外になります。
また、期間には厳しくて、6ヶ月に1日でも足りないと受給はできませんし、支給を受けるためには、他にもいくつかの条件があります
傷病手当をもらった場合の4つのデメリット
傷病手当金の受給自体にデメリットはありません。
ただし、以下のような点が挙げられます。
会社と書類のやり取りをする必要がある
やり取りについてある程度は郵送でも可能ですから、あまり重く考えず申請してみることをおススメします。
- STEP.1書類の取得
- STEP.2書類の記入
- STEP.3提出する
- STEP.4会社から組合へ
もしも総務や人事の担当者に知られたくないといった場合等には次の方法で申請しましょう。
会社に病名を知られずに申請する方法
- STEP.1申請書類の取得
- STEP.2書類に記入、提出
- STEP.3郵送してもらう
- STEP.4病院で記入してもらう
- STEP.5組合に提出
病名を会社に知られたくない等といった場合、このような提出方法も可能です。
受給期間終了後、同一の病気での受給は不可
医師が同じ傷病であると判断した場合、傷病手当金の支給対象外となります。
生命保険への加入が不可能になる場合がある
病歴や、給付金を受給していた期間が審査の対象に該当することがあります。
傷病手当金受給中は失業保険を受給できない
- 退職日までの保険加入期間が1年以上ある
- 退職以前から傷病手当金を受給しており、かつその後も出勤が不可能で退職してしまったケース、または病気や怪我で休職が長引いてしまい、出勤可能で退職した場合
なお、傷病手当金を支給されている期間中、失業保険の受給は不可能です。
また、傷病手当金を満額に渡って受給し終わってもなお仕事に就くことが叶わない場合は、障害年金を申請しましょう。
傷病手当を受給すべき理由
- 傷病手当金は、申請後1ヶ月程度で受給が可能で、給与の2/3の額を得ることができる
- 支給の開始日から1年6ヶ月の期間で受給が可能
傷病手当金を受給した場合の最大のメリットは、「収入の心配がないことで、療養に集中できる」ということではないでしょうか。
傷病手当金を受給したことが理由で転職が不利になることは決してありません。
受給条件は?
業務外の病気やけがのために治療中であること
発生したのが業務時間内ではないこと
業務時間内での事故については、労働災害保険が適用になります。
傷病手当金は、業務時間外での就労不能期間に対して支給されるものが該当するため、業務が原因ではないものや業務時間外にのみ支給されることになっています。
病気やけがで仕事ができない状態であること
医師から就労が不能であると診断されていること
傷病手当金は、自分で感じる体の不歩合を会社に伝えたところで支給されるものではありません。
4日以上欠勤していること
傷病手当金は、働くことができなくなった日からすべての期間に対して支給されるわけではありません。
このことから、傷病手当金の支給は4日目からになり、また待機期間の3日間は連続している必要もあります。
給与の支払いがないこと
ただし、標準報酬月額を基に算出した傷病手当金の日額よりも出勤した日の日額が低かった場合にはその差額分が支給されます。
有給休暇は給料支給と同じ
給料が支給されていないことが、傷病手当金支給の条件です。
待機期間である3日間に傷病手当金は支給されないのであれば、その期間に有給休暇を使用しても良い?
待機期間は傷病手当金の支給対象外の期間となるため、有給休暇を利用しても構いません。
この期間に有給休暇を使用したことが理由で傷病手当金が支給されなくなったり、また支給額が低くなるといったことはありません。
また、有給休暇が残っていても、「先に有給休暇を消費しなさい」という事もありません。
有給休暇がまだあるため、傷病手当金の申請はせずに有給休暇を消化しても良い?
問題ありません。
傷病手当金の支給額は給料の2/3ですから、一般的に有給休暇で貰える給料額と傷病手当金を比べれば、よほどのことがない限りは有給休暇の方が金額は大きいでしょう。
松葉 直隆
ただし、退院した後にも何度も通院や治療する事が事前に分かっていたり、しばらくしたら再度入院や療養の可能性も皆無ではないでしょう。
これらのことからも、全ての有給休暇を使用しきらない方がベストかもしれません。
傷病手当金の支給額
傷病手当金として受け取れる金額の三種るをする前に、まず標準報酬月額というものを把握しておく必要があります。
標準報酬月額は月額換算になるので、これを1日の金額になおします。
傷病手当金の支給は、月単位ではなく1日単位で行われるためです。
1日の金額を出すには、その月の日数ではなく、常に30日が基準となります。
28日や31日と月によってバラバラですが、何日ある月であっても30日で計算することになっています。
傷病手当金の計算方法1
- 基本給
- 残業手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 勤務手当
傷病手当金は『標準報酬月額』といった賞与を省いた労働者が受け取るすべてのものを対象としていて、具体的な金額は健康保険協会の定める「傷病手当金支給日額・出産手当金支給日額早見表」を見るのが早いでしょう。
例えば1月の月給が25万円の場合、傷病手当金は1日あたり5,780円の支給となり、20日間(月額)では11万5,600円になります。
傷病手当の計算方法2
傷病手当金の一日あたりの金額(標準報酬日額)を、以下の計算式で計算します。
計算例
例えば、12カ月の月給の平均が26万円だった場合、
26万円÷30日×3分の2 = 1万3,000円
この金額が、1日あたりに貰うことができる傷病手当金の総額です。
参考:日本年金機構 平成28年10月分(11月納付分)からの厚生年金保険料額表
支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合
この場合、
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額
- 28万円(該当年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
この1と2を比較して、少ない方の額で計算します。
- 平成30年2月1日入社
- 標準報酬月額:40万円
- 平成30年7月1日が支給開始日だった場合
- 40万円×5カ月÷5カ月 = 40万円
- 28万円
低いのは28万円の方ですから、
28万円÷30日×2/3=6,220円が、支給日額です。
傷病手当金を受給する際の3つの注意点
病気やケガをした方や家族の生活を保障してくれるありがたい傷病手当金ですが、受給する際には次の3つの注意点があります。
支給開始後、1年半までしか支給されない
傷病手当金の受給を開始して1年6カ月を過ぎた段階でも復職が見込めない場合は、それ以降の保障はなくります。
松葉 直隆
うつ病などのケースでは、障害年金の受給申請をしたら受給できることもあるようです。
病気が長引いてしまい、1年6カ月を超えることが分かった段階で手続きをした方が良いでしょう。
同じ病名では二度目の受給は出来ない
傷病手当金は、1年6カ月の期間におよび給付金が支払われ、対象はひとつの傷病ごとになります。
なお、1年6か月分が貰えるのではなく、『最初の給付から1年6カ月の間』となります。
松葉 直隆
例えばうつ病で欠勤し、1年後に復職したとします。
そして、半年後にうつ病を再発し、やむなく休職するとなった場合、最初に給付を受けて1年6カ月が経過しているため、傷病手当金をは支給されません。
松葉 直隆
申請書の提出のタイミング
上記2つの注意点に関しては知っている方も多いかもしれませんが、次に述べる注意点こそ覚えておいて頂きたい点です。
傷病手当金の申請は、何日分ごとにしなければならないとか、特にいつまでにしなければならないといった決まりはありませんが、休職中は給料を頂かない状態が続いているわけですから、申請はなるべく早くにした方が良いでしょう。
後で傷病手当金をまとめて受給しようと思っても、その間はずっと収入はない状態です。
月ごとに区切り、毎月申請した方が良いででしょう。
後日もらえばいいやと思っていると、給料がないのに厚生年金や健康保険料、税金など給料で天引きされているお金を会社に支払うことになってしまいます。
こうしたことのないように、毎月医師の証明を面倒でも受けて提出することをお勧めします。
会社の担当者に何日までに出せば給与日に間に合うか、確認してそれまでに提出して下さい。
傷病手当金の申請手順
傷病手当金の申請手順について説明します。
申請書の作成
申請書」は全国健康保険協会のホームページから見本も一緒にダウンロードできます。
ほとんどの企業では用紙も貰える事が多いようです。
派遣の場合も、社会保険に加入していれば支給されます。
手続きなどを含めた問い合わせは、派遣先ではなく、登録している派遣会社にしてください。
担当医や会社側が記入すべき用紙は、ご自身で記入しないようにして下さい。
松葉 直隆
記入も添付するものも揃ったら、会社で申請する場合は担当部署へ提出、自身で提出する場合は郵送で大丈夫です。
ただし、いずれの場合も封入の前に記入漏れや必要書類が全て揃っているかを良く確認した後で提出して下さい。
特に、担当医が記入する用紙に関しては、万が一記入漏れなどがあった場合には不備書類として返送されますので、注意深くチェックしてください。
申請から決定まで
事実関係を細かく調査されることを審査と呼びます。
審査で調査されることとは?
審査は、病状(症状)、退院後の通院の有無、投薬状況、過去に遡っての傷病手当金受給履歴、医師の診断内容との事実照合など細かく調査され、支給対象か否かを判断されます。
「保険給付金支給決定通知書」が、通常は会社あてに届くため、傷病手当金の支給者へは会社から通知を受け取ります。
申請が通らなかった場合もきちんと「傷病手当金の全部不支給について」という名目の通知が送られます。
この通知に関しては、会社経由ではなく本人の自宅に直接届くことになります。
ただし、すでに退職済みで、継続給付を受けるケースなどにおいても自宅に直接郵送される事になっています。
支給申請書のうち、本人が記載する部分について
被保険者の記号・番号
被保険者の記号・番号は健康保険証を確認すると書かれています。
健康保険証
下の四角枠に囲まれた「保険者番号」に記入してしまう方がおられますが、上の「記号」「番号」に記入をしますので注意してください。
記入する際には左詰めで記入します。
生年月日
被保険者の生年月日を記入します。
氏名・印
氏名を記入し、印鑑を押印します。
押印は申請者(被保険者)が自身で直接氏名を記入した場合は省略可能です。
松葉 直隆
住所
被保険者(申請者)の住所を記入します。
傷病手当金の支給が決定したら、ここで記入した住所宛に決定通知書が届きます。
振込先指定口座・受取代理人の欄
振込先指定口座・受取代理人の欄
振込先指定口座には、傷病手当金を振込んでほしい口座を記入します。
基本的には被保険者の口座を記入しますが、もし被保険者(申請者)以外の口座への振り込みを希望する場合には「受取代理人」の箇所に記入・押印をすることで代理人への振り込みも可能です。
申請内容
傷病手当金の申請内容
傷病名、 初診日
担当医師が記入した「療養担当者が意見を記入するところ」を見て記入します。
該当の傷病は病気(疾病)ですか、ケガ(負傷)ですか。
病気かケガかを記入し、病気である場合には発病時の状況を記入します。
療養のため休んだ期間(申請期間)
申請する期間を記入しますが、注意点がいくつかあります。
まず、医師が労務不能と判断した期間の範囲内が申請期間であること
松葉 直隆
医師から証明をもらう際には、医師に傷病手当金を申請したい期間を伝えてから証明をもらいましょう。
被保険者が記入するところ(医師証明)
提出日以前の期間の申請であること
申請したい期間を経過した分についてのみ申請期間に記入しましょう。
会社記載部分について
傷病手当金支給申請書における事業主の証明は、申請期間を網羅するように証明を記入することが大切です。
事業所が決めている給料の計算期間によって必要な証明範囲が異なるため、注意が必要です。
- 申請期間にかかっている賃金計算期間について証明する
- 初回については証明した月とその前月分の出勤簿と賃金台帳を添付する
勤務状況
証明期間の出勤状況について、出勤であれば○、有給であれば△、公休であれば「公」、欠勤には/の印をつけていきます。
一番右端に、1か月分の有給日数と出勤日数を記入します。
賃金を支払いましたか
給料の一部でも支払いがあれば「はい」をチェックし、一切支払いがなかった場合は「いいえ」にチェックします。
給料の種類・賃金計算
給料の支給状況が確認できるよう、賃金計算や給料の種類を記入します。
支給した賃金内訳上の○月○日~○月○日については賃金計算期間を記入します。
松葉 直隆
そして、給料の区分について、単価や支給額を記入します。
一般的な手当に関しては既に記入されていますが、それ以外の手当がある場合はその手当も追記することを忘れないようにしましょう。
支給額の計算に説明が必要な場合は計算式を隣の欄に記入します。
事業主の証明欄について
最後に、「証明日」「事業所所在地、名称、事業主氏名」を記入します。
歳以後に、事業主の印を押印します。
ここで気をつけるべき点は、事業主の証明は申請期間が過ぎてから行うことです。
こうなるであろうという見込みの証明はできません。
ですから、申請期間が経過した後に記入をする必要がありますし、証明日に入るのは申請期間経過後の日付になります。
しかし、申請期間経過後に事業主の証明を行うことを忘れないようにして下さい。
医師記載部分について
3日間休業し4日以上仕事に就けない人が対象
確認の為に、病院で診察を受ける前に医師もしくは看護師に治療期間や治療費を確認してください。
松葉 直隆
傷病手当金支給申請書の「医師の証明」の記入ができない医師の場合があります。
必ず記入をしてもらえる病院や医師を探しましょう。
申請書に医師の証明を記入してもらう場合は300円かかる
傷病手当金の医師の証明は医療費と同様の取り扱いのため、自己負担金が300円発生します。
この傷病手当金の証明料には保険が適用されます。
医師の証明は申請期間が経過してから記入してもらう
申請期間が経過してから記入してもらいましょう。
医師の証明は、申請期間が過ぎる前に記入されたものは無効となる可能性があります。
書いてもらえない場合は産業医に意見書を書いてもらう
医師の証明が得られない場合は、諦めずに企業の産業医に相談をしてみましょう。
松葉 直隆
医師の証明をもらうには労務不能の認定期間と休んだ期間の一致が必要
労務不能と医師が記入した期間と、被保険者が記入する「療養のため休んだ期間」が一致しているか確認しましょう。
病院の所在地等を示す箇所への押印も確認してください。
医師の証明だけでなく事業主からも証明をもらう
傷病手当金支給申請書に病院で医師の証明を頂いたら、ご自身で記入する被保険者欄に記入漏れの有無を確認し、会社に送付し、事業主の証明を貰います。
事業主の証明がなされて返送されたならば、健康保険組合に送付または持参をして申請が終了となります。
通知書が届いたらすぐに傷病手当金の振込み予定日に手当金が振り込まれたか否かを確認しましょう。
「医師の証明」は、療養期間の一致と認定が必要であり申請期間に注意
傷病手当金の申請時に医師の証明をもらう場合の注意点でしたが、この様に、傷病手当金の申請書は医師の証明が必要となります。
病院や医師によっては証明をしてもらえない場合もあり、かかりつけの医師全員に書いてもらえるとは限りません。
申請書を求める段階で判明するよりも受診した段階で事前に確認しておくと申請がスムーズにできます。
受診の際に必ず確認をするようにしてください。
支給申請書を健康保険に提出する
「会社の証明」と「医師の意見書」が揃ったら本人記入分の申請書と一緒に、保険者(協会けんぽ、健康保険組合)へ会社から提出してもらいます。
ただし、協会けんぽの場合は会社を介さずに本人が申請することもできます。
手続きが遅れてしまうと支給日もその分遅れてしまうので、急ぐ場合は会社に相談してみましょう。
その後は審査が行われ、支給される場合は「支給決定通知書」、支給されな場合は「不支給決定通知書」が送付されます。
指定の口座へ入金されるまでの期間は、申請後約2~3週間になります。
(「支給決定通知書」が手元に届いてから間もなく入金されるそうです。)
以上が、病気や怪我の発生から傷病手当金の支給までの流れです。
松葉 直隆
手続きに必要な書類
傷病手当金の支給申請には以下の書類が必要です。
- 傷病手当金支給申請書
- 事業主の証明(退職後は不要)
- 医師の意見書
その他、状況に合わせて必要になる書類
<支給開始日以前の12ヶ月以内に勤め先が変わった場合>
以前勤めていた会社の会社名、住所、勤務期間がわかる書類
協会けんぽに確認したところ、必要であればこの書類は協会けんぽが申請書を用意するそうです。
『障害厚生年金を受給している場合』
障害厚生年金を受給している場合に必要な書類
- 年金給付額等がわかる書類(以下のすべての書類が必要です。)
- 障害厚生年金給付の年金証書またはこれに準ずる書類のコピー
- 障害厚生年金給付の額、支給開始年月日を証明する書類
- 年金額改定通知書等のコピー
『老齢退職年金を受給している人で資格喪失後に申請する場合』
老後退職年金を受給していて資格喪失後に申請する場合の必要書類
- 年金給付額等がわかる書類(以下のすべての書類が必要です)
- 老齢退職年金給付の年金証書またはこれに準ずる書類のコピー
- 老齢退職年金給付の額、支給開始年月を証明する書類
- 年金額改定通知書等のコピー
『労災保険から休業補償給付を受給している場合』
休業補償給付支給決定通知書のコピー
『ケガ(負傷)の場合』
負傷原因届
『第三者による傷病の場合』
第三者行為による傷病届
『被保険者が亡くなり、相続人の方が請求する場合』
被保険者との続柄がわかる戸籍謄本など
傷病手当金支給の申請に必要な書類は健康保険組合などによって違う場合があります。
申請前に必ず確認するようにしてください。
傷病手当金の支給期間
まずは待期期間について説明します。
傷病手当金は、該当する業務外の病気や怪我で欠勤したとしても、すぐに支給はされません。
また、待期期間には有給休暇や土日祝といった公休日も含まれます。
傷病手当の待機期間
傷病手当金は、就労困難となった初日から全期間支給されるものではなく、待機期間だけは支払われないことになっています。
待機期間は3日間とされており、つまり、支給されるのは4日目からということになります。
そして、その3日間は連続している必要もあります。
傷病手当金の支給期間は最長で1年6ヵ月
傷病手当金の支給期間は、原則として1年6か月です。
また、1年6か月が経過した後も復職が不可能な際は支給の延長が可能な制度を設けているケースもあります。
松葉 直隆
仮に、勤続年数が短かったとしても、支給期間自体がが短くなるといったことはありません。
パートや契約社員の場合、傷病手当金の支給期間は変わるのでしょうか?
正社員でない場合も傷病手当金の支給期間である1年6ヶ月に変わりはありません。
たとえ毎日ではなく週3回の勤務であっても、傷病手当金の支給期間が1年6ヶ月未満になるといったことはありません。
以下では1年6か月のケースを例にご説明します。
1年6か月の数え方
実際に傷病手当金をもらい始めた日から数えます。
「待期期間」が終わって傷病手当金をもらい始めた日から数えて、1年6か月です。
月の途中からもらい始めた場合でも、ちょうど1年6か月後の日でに支給期間は終了です。
公休日(土日祝日等)も入れて1年6か月間が支給期間です。
途中復帰後に再度休業したときも期間は延長されない
一旦復帰して、また休業となった場合の支給期間
復帰後に同じ病気や怪我で再度欠勤する場合は、待期期間は無しで支給が再開されまず。また、支給期間は最初の支給開始日から1年6ヵ月目までとなります。
要するに、途中復帰のありなしに関わらず、支給開始日から1年6ヵ月を超えたらそれ以降は傷病手当金の支給がなくなります。
退職することになった場合の支給期間
会社を退職しても働くことができない状態が続いていれば、残りの期間について引き続き傷病手当金の受給が可能です。
退職後も傷病手当を受けることができる場合の条件
- 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)がある。
- 退職時に傷病手当金を受けている、または受ける条件を満たしている。
また、退職日に出勤したらその時点で給付は終了になり、その翌日以降は傷病手当金の給付対象となる休業から外れてしまいます。
また、退職後は一旦仕事ができるまでに回復すると、その後、再度就労不能になっても傷病手当金の支給は不可能です。
傷病手当金の申請のタイミング
傷病手当金は事後請求です。
傷病手当金請求書には、自分で記入する箇所、医者に記入して貰う箇所、会社が記入する箇所があります。
自分で記入する欄には請求の内容を記入し、医者に記入して貰う欄には就労不能の証明や入院通院履歴、会社側が記入する欄には給与の支払い状況やあなたの出欠勤の状況を記入します。
従って、過去の事しか記入出来ません。
松葉 直隆
それか、9月1日~2月28日まで一気に請求しても問題ありませんが、入金が4月か5月頃になるだけです。
ほか、傷病手当金の請求時効は2年となっていますので、その期間中に請求すれば受給が可能です。
賞与は、3ヶ月以内の間隔で支給されるものは給与による報酬とみなされますが、4ヶ月以上の間隔で支給されるものに関しては給与による報酬とはみなされません。
傷病手当金の受給には時効がある
傷病手当金の申請の時効は、働くことが出来なかった日の翌日から起算して2年になります。
特に主だった理由や事情がなければすぐに申請するのが得策でしょう。
傷病手当の継続給付
退職後も継続して受給できますが、注意点があります。
継続給付を受給しながら失業手当も受給できますか。
これは、それぞれについて考えれば答えは見えてきます。
まず、傷病手当金を継続しているという事は、つまり働けない状態にあります。
一方、失業手当というのは働きたいまたは働く意思がある方に対する給付です。
失業手当を貰っている方は傷病手当金の継続給付を受けることはできません。
絶対にやってはいけないこと
生活保護費などの不正受給が常々問題視されています。
実は、傷病手当金についても悪用する人や企業が増えています。
松葉 直隆
傷病手当金が標準報酬をもとに算出される点を利用し、直近の報酬を高く支払う裏工作をします。
それによって傷病手当金の支給額が実際の金額より高額になります。
心の病気は目には見えないため、本人の申告のみで簡単に診断書を入手できます。
しばらく会社を休みたいなどといった時に気軽にこの手を利用する人がいます。
この方法で医師に「就労困難」という事を記入さえしてもらえば、健康体であっても働かずして収入が入ってくるのです。
これは人としてのモラルも欠落しているとしか言えません。
言えることは、不正はのちに絶対に暴かれてしまいます。やってはいけません。
傷病手当金の申請をする場合の注意点
いざ実際に傷病手当金を申請するとなると、申請に必要な書類やのタイミングなどわからないことも出てくると思います。
申請書に不備があった場合、書類は返送されてきますので再送せねばならなくなり、そうすると傷病手当金の受給が遅れます。
お金にまつわることですので、申請はスムーズにして受給開始したいですよね。
会社との関係も良好に保つ
傷病手当金の請求では、あなたが病気で欠勤していることを証明する書類を会社に明記してもらわねばなりません。
この書類を会社に明記してもらえなければ、本来、傷病手当金をもらえる場面でも、もらうことができません。
また、傷病手当金の請求手続き自体も通常は、会社の人事担当者があなたに代わって行います。
そのため、いざというときに、スムーズに傷病手当金を請求できるようにするためには、日ごろから会社の人事部など傷病手当金請求の際にお世話になる部署と良好な関係をつくっていと良いでしょう。
実際に病気や休職をきかっけに会社とトラブルになってしまい、傷病手当金の請求に支障が生じるケースがありますので、気をつけましょう。
主治医との関係も良好に保つ
主治医が「労務不能」と判断しなければ傷病手当金の申請ができないため、傷病手当金の申請においては主治医との関係を良好に保つことも必須です。
退職を考えている人も申請は在職中にする
退職するとしても、最初に傷病手当金の申請をする際は在職中にすることをおすすめします。
松葉 直隆
退職前日より以前に3日以上連続での欠勤が必要
傷病手当金を請求するためには、退職日の時点で傷病手当金を請求可能な状態にないといけません。
このことから、退職前日より以前に3日以上連続して欠勤し、待期期間の3日間を終えていることが必要になります。
退職日に欠勤していることが必要
傷病手当金の請求には、退職日は必ず欠勤していなければなりません。
退職日に出勤して給与をもらってしまうと、退職後に傷病手当金の請求ができなくなります。
松葉 直隆
退職前の期間の欠勤について会社の証明が必要
前述の2店の事実について、会社の証明が必要です。
具体的には、傷病手当金の申請用紙の一部を会社に記載してもらうことが必要となります。
現在の職場での在職が1年未満の場合は注意が必要
在職中に申請をしても、職場での在職が現時点で1年未満の際は注意が必要になります。
これには、以下のようなルールが存在するためです。
「もし支給期間中に退職した場合、退職日以前の健康保険加入期間が1年未満のときは退職後は、傷病手当金は支給されない」
この退職日より以前の健康保険への加入期間が1年未満か否かの判断は、「退職日より以前に同一の健康保険に連続して加入していた期間」が1年未満か否かで判断されます。
松葉 直隆
条件1:あわせて1年以上であること
条件2:空白期間がないこと
条件3:同じ健康保険であること
一方、現在の職場での勤務が1年以上であるならば、退職した後であっても引き続き傷病手当金の受給が可能です。
まとめ
今回の記事では、傷病手当金とはどのようなものか、支給期間はどれくらいか、申請前に押さえておきたいことなどについて解説しました。
傷病手当金は、あなたが病気やケガをした場合に、あなたや家族の生活費を保障してくれる制度です。
申請してから支給までには期間が掛かりますから、この期間を見越して、早めに準備し申請することをおススメします。