がんには手術療法、化学(薬物)療法、放射線療法等さまざまな治療法がありますが、これらの治療費はいくらかかるかご存知でしょうか?
今回は、がん治療の特徴とその費用についてわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、がん治療の基本的な知識を得ることができ、その費用を賄うためにどんな方法をとれば良いかを判断する、有効な資料の一つとなることでしょう。
- がんの治療には、手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法、陽子線治療・重粒子線治療がある。
- 高額療養費制度を利用すると、医療機関に支払ったお金が、患者の所得区分に応じて戻ってくる。
- がん保険に加入していると、がんに関連した入院や治療行為に関してきめ細かく手厚い金銭的サポートを受けることができる。
- どこに相談するか迷う人は、平均業界歴11.8年のベテランFP揃いで取扱い保険会社数も30社とトップクラスの保険見直しラボで無料相談をおすすめします。
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がん治療について
Aさん
最近のがん治療は非常に進歩していると聞きます。
手術や抗がん剤、放射線治療の他、新しい治療法も含めて内容を知りたいです・・・・。
松葉 直隆
がん治療の種類
がんを発症した場合、各部位・症状の進行具合(がんステージ)により、受ける治療方法は異なります。
主な治療方法としては以下の通りです。
手術療法
がん組織を外科的な手術で取り除く治療です。
最近では切開手術の他、内視鏡で行える方法が開発されたため、患者への身体的負担の軽減に加え、短期間で退院できるようになりました。
化学(薬物)療法
がん治療で抗がん剤、ホルモン剤等の薬物を使用する治療です。
抗がん剤は、点滴、注射、内服による方法がとられます。
全身に作用するので、手術で取り去ることが難しい場所にがんがあるときや小さな転移にも効果が期待できます。
放射線療法
がん組織に放射線を照射して治療する方法です。
最近では、がんの大きさ・位置を正確に測定し、ピンポイントの照射が可能になりました。
松葉 直隆
免疫療法
患者自身の身体の免疫力によりがん細胞を治療する方法です。
免疫細胞を活性化させる物質の投与によって、がん細胞を治療します。
免疫療法は、化学療法のような副作用が少なく、他の治療ほどの即効性はないことはありますが、効果の長期間の持続が期待できます。
陽子線治療、重粒子線治療
陽子線治療も重粒子線治療も先進医療です。
陽子線治療は放射線治療よりも正確に、効果的にしたがん治療法です。
松葉 直隆
公的医療保険は適用されるか?
三大療法と言われる手術療法、化学(薬物)療法、放射線療法は公的医療保険が適用される場合がほとんどです。
つまり、公的医療保険に該当する治療を受けた場合は、7割が健康保険又は国民健康保険で賄われ、3割が患者の自己負担となります。
高額療養費制度の活用を!
公的医療保険が適用される治療の場合でも、例えば1ヶ月の医療費が総額100万円かかった場合、患者の自己負担は30万円ですが、貯蓄のあまりない方や低所得者には重い負担になることに変わりはありません。
そこで「高度療養費制度」の活用を検討してみましょう。
支払った医療費が高額療養費の対象になると、国民健康保険の加入者には、しばらくして市町村よりお金を払い戻す通知書が送付されてきます。
一方、健康保険組合の加入者では、高額療養費の対象となっていても保険者から送付の通知がある場合と無い場合があります。
保険者から送付の無い場合は、ご自分で費用を計算して申請しなければならないケースもあります。
申請方法について疑問があるならば、ご自分が加入している健康保険組合へ確認を取ってみましょう。
高額療養費の対象となっていたら、速やかに申請書へ記載して、健康保険の加入者は各健康保険組合へ、国民健康保険の加入者は市町村へ提出します。
胃がんの治療費について
Aさん
がん治療は高額になると言われているが、公的医療保険に該当する治療には低所得者に優しい措置もとられていることはわかっりました。
各部位のがんの治療法とその治療費について詳しく知りたいです・・・・・。
松葉 直隆
胃がんとは
胃がんとはどんな病気?
胃がんとは、胃の壁の内側にある粘膜内の細胞が変異してがん細胞となり、増殖を繰り返していく病気です。
胃がんは主に食生活の乱れが原因で発生すると指摘されています。
塩分の摂り過ぎ、肉類の過剰摂取、飲酒、喫煙、高血糖が主な要因となります。
厚生労働省の報告では胃がんによる死亡率は男性が49.0%、女性が24.4%と言われています。
胃がんの治療法
早期の胃がんには、「内視鏡手術」が行われます。
開腹せず、高周波スネアまたは高周波メスを用いる手法で体内へ器具を挿入し、がんを焼き切ったり切除したりする方法がとられます。
比較的早期に発見された胃がんに対しては、腹部に数か所の孔を開けた上で患部を治療、追加して5cm程度切開し胃をつなげる手術をする「腹腔鏡手術」が行われます。
また、がんの進行度・発症した場所に応じ、以下のような治療法でがんに蝕まれていない部分は極力残す方法をとります。
- 幽門保存胃切除術・・・胃の出口を残す切除術です。
- 極小残胃切除術・・・少量の胃をできるだけ残す胃切除術です。
- 噴門側胃切除術・・・胃の下半分を残す切除術です。
胃がんの治療費
「内視鏡手術」「腹腔鏡手術」「定型手術」を例に治療費を紹介します。
入院・治療・検査の際の目安にしてください。
内視鏡手術(内視鏡的粘膜切除術)の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
内視鏡治療入院(5日) | 26万円前後 | 約7.8万円 |
定期検査(※)費1年目 | 13万円前後(年3回) | 約3.9万円 |
定期検査費2年目~ | 9万円前後(年2回) | 約2.7万円 |
合計 | 48万円前後~ | 約14.4万円~ |
腹腔鏡手術の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
腹腔鏡手術入院(10日) | 120万円前後 | 約36万円 |
定期検査費1年目 | 5万円前後(年2回) | 約1.5万円 |
定期検査費2年目~ | 9万円前後(年2回) | 約2.7万円 |
合計 | 134万円前後~ | 約40.2万円~ |
定型手術(術後再発予防抗がん剤治療費含)の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
定型手術入院(17日) | 127万円前後 | 約38.1万円 |
抗がん剤治療(再発予防) | 92万円前後 | 約27.6万円 |
定期検査費1年目 | 17万円前後(年3回) | 約5.1万円 |
定期検査費2年目~ | 15万円前後(年2回) | 約4.5万円 |
合計 | 251万円前後~ | 約75.3万円~ |
(※)定期検査・・・主に血液検査、エコー検査、画像検査が行われます。
肺がんの治療費について
Aさん
男性の肺がんの死亡率は極めて深刻な状況にあると聞いたことがあります。
肺がんの治療方法や、その治療費について詳しく知りたいです・・・・・。
肺がんとは
肺がんとはどんな病気?
肺がんとは、気管、気管支、肺胞(はいほう)の一部の細胞ががん化したものです。
肺がんの原因には色々な要因が指摘されていますが、主に喫煙や、普段は喫煙をしていない方でも家族等に喫煙者がいる時の受動喫煙があげられます。
その他、アルミニウムやヒ素、アスベストもその原因になることが指摘されています。
肺がんの治療法
肺がんには様々な治療法がありますが、比較的早期に発見された肺がんに対しては、胸に数か所の孔を開けた上で、最大5~10cm程度切開し、患部を治療する「胸腔鏡手術」が用いられます。
手術が難しい場所にあるがんには、放射線療法の後に抗がん剤による治療が行われる「放射線化学療法」を行う場合があります。
また、がんの進行度に応じて前述した先進医療である「重粒子線治療」も行われ、大きな成果をあげています。
肺がんの治療費
「放射線化学療法」「「胸腔鏡手術」「重粒子線治療」を例に治療費を紹介します。
入院・治療・検査の際の目安にしてください。
放射線化学療法の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
放射線化学療法入院(20日) | 92万円前後 | 約27.6万円 |
抗がん剤治療 | 68万円前後 | 約20.4万円 |
予防的全脳照射 | 18万円前後 | 約5.4万円 |
定期検査費1年目 | 16万円前後(年4回) | 約4.8万円 |
定期検査費2年目~ | 19万円前後(年4回) | 約5.7万円 |
合計 | 213万円前後~ | 約63.9万円~ |
胸腔鏡手術の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
胸腔鏡手術入院(10日) | 165万円前後 | 約49.5万円 |
定期検査費1年目 | 6万円前後(年4回) | 約1.8万円 |
定期検査費2年目 | 16万円前後(年2回) | 約4.8万円 |
定期検査費3年目~ | 8万円前後(年2回) | 約2.4万円 |
合計 | 195万円前後~ | 約58.5万円~ |
重粒子線治療の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
重粒子線治療(※)入院(21日) | 363万円前後 | 約324万円 |
定期検査費1年目 | 17万円前後(年5回) | 約5.1万円 |
定期検査費2年目~ | 16万円前後(年4回) | 約4.8万円 |
合計 | 396万円前後~ | 約333.9万円~ |
大腸がんの治療費について
Aさん
女性の死亡率で大腸がんが1位と聞いています。
大腸がんの治療方法や、その治療費について詳しく知りたいです。
大腸がんとは
大腸がんとはどんながん?
大腸がんとは、結腸や直腸および肛門を含めた約2mの大腸で発症するがんです。
大腸がんは暴飲・暴食が原因とされています。その死亡率は男性が44.4%、女性が35.9%です。
松葉 直隆
大腸がんの治療法
大腸がんでは、腹部に数か所の孔を開けた上で患部を治療し、追加で5cm程度切開して後、切除した大腸をとりだす「腹腔鏡手術」が主に行われます。
また、がんの進行度(がんステージ)が進んでいる場合には、腹部を通常15cm以上切開して治療を行う「開腹手術」も行われます。
松葉 直隆
大腸がんの治療費
結腸のがん治療を例に治療費を紹介します。
入院・治療・検査の際の目安にしてください。
切除手術の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
切除手術入院(17日) | 105万円前後 | 約31.5万円 |
定期検査費1年目 | 5万円前後(年4回) | 約1.5万円 |
定期検査費2年目~ | 14万円前後(年2回) | 約4.2万円 |
合計 | 124万円前後~ | 約37.2万円~ |
切除手術(術後再発予防抗がん剤治療費含)の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
切除手術入院(17日) | 106万円前後 | 約31.8万円 |
抗がん剤治療(再発予防) | 92万円前後 | 約27.6万円 |
定期検査費1年目 | 1万円前後(年2回) | 約0.3万円 |
定期検査費2年目~ | 14万円前後(年4回) | 約4.2万円 |
合計 | 213万円前後~ | 約63.9万円~ |
肝臓がんの治療費について
こちらでは、肝臓がんの治療法および治療費について説明します。
肝臓がんとは
肝臓がんとはどんながん?
このがんは肝臓の細胞が何らかの原因で変異し増殖を繰り返していきます。
肝がんの死亡率は男性が30.4%、女性が15.6%となっています。
肝臓の病気である「肝硬変」を経て肝臓がんを発症するケースが多いです。
肝臓がんの治療法
また、抗がん剤治療をはじめとした化学療法も行われます。
患者の健康・体力に問題がなければ、手術療法が用いられます。
松葉 直隆
肝臓がんの治療費
「ラジオ波焼灼療法」「経皮的エタノール注入療法」「動注化学療法」を例に治療費を紹介します。
入院・治療・検査の際の目安にしてください。
ラジオ波焼灼療法の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
ラジオ波焼灼療法入院(7日) | 38万円前後 | 約11.4万円 |
定期検査費1年目 | 20万円前後(毎月) | 約6万円 |
定期検査費2年目~ | 21万円前後(毎月) | 約6.3万円 |
合計 | 79万円前後~ | 約23.7万円~ |
経皮的エタノール注入療法の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
経皮的エタノール注入療法入院(10日) | 33万円前後 | 約9.9万円 |
定期検査費1年目 | 20万円前後(毎月) | 約6万円 |
定期検査費2年目~ | 21万円前後(毎月) | 約6.3万円 |
合計 | 74万円前後~ | 約22.2万円~ |
動注化学療法の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
動注化学療法入院(7日) | 60万円前後 | 約18万円 |
抗がん剤治療 | 24万円前後 | 約7.2万円 |
定期検査費1年目 | 19万円前後(毎月) | 約5.7万円 |
定期検査費2年目~ | 21万円前後(毎月) | 約6.3万円 |
合計 | 124万円前後~ | 約37.2万円~ |
乳がんの治療費について
Aさん
女性特有のがんである乳がんは進行具合によっては、乳房やそのふくらみも取り除かなければいけない場合がある。
乳がんの特徴や治療法・費用を知っておきたい・・・・。
乳がんとは
乳房の乳腺にできる腫瘍を指します。
乳がんは乳房のあらゆる部分に発生するリスクがあります。
松葉 直隆
乳がんの死亡率は21.8%で、初期のがんは自覚症状がほとんど無いので、早期発見・早期治療には定期的な検診が欠かせません。
ただし、がんが進行すれば、それだけ乳房の周辺に気になる症状が出始めます。
- 胸にしこりのような物がある
- 乳房が痛い
- 乳首から分泌物が出る
- 乳頭がただれ、乳房の皮膚が腫れた
- 乳頭が陥没している
- 脇の下の腫れ
乳がんの治療法
乳がんへの治療方法は、放射線治療、抗がん剤治療をはじめとした化学療法、手術療法が併用されるケースが多いです。
がんの進行具合によっては、手術の前に化学療法で腫瘍を小さくし、その後に手術療法が行われます。
手術療法に関しては、乳房の一部のみを切除し、乳房のふくらみ・乳房を残す「乳房部分切除術」、乳房全部をがん細胞と共に摘出する「乳房切除術」、皮膚と乳頭・乳輪を残し、乳腺を全て切除すると同時に再建を行う「乳頭温存乳房切除術」があります。
乳がんの治療費
「乳房温存手術」「手術前薬物療法・手術(2パターン)」を例に治療費を紹介します。
入院・治療・検査の際の目安にしてください。
乳房温存手術の治療費
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
乳房温存手術入院(7日) | 68万円前後 | 約20.4万円 |
抗がん剤治療(再発予防) | 98万円前後 | 約29.4万円 |
放射線化学療法 | 33万円前後 | 約9.9万円 |
再発予防ホルモン療法1年目(検査込含) | 15万円前後 | 約4.5万円 |
再発予防ホルモン療法2年目(検査込含) | 57万円前後 | 約17.1万円 |
再発予防ホルモン療法3年目(検査込含) | 49万円前後 | 約14.7万円 |
再発予防ホルモン療法4年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
再発予防ホルモン療法5年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
合計 | 370万円前後~ | 約111万円~ |
手術前薬物療法・手術の治療費その1
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
手術前薬物療法 | 105万円前後 | 約31.5万円 |
切除手術入院(7日) | 80万円前後 | 約24万円 |
放射線化学療法 | 33万円前後 | 約9.9万円 |
再発予防ホルモン療法1年目(検査込含) | 15万円前後 | 約4.5万円 |
再発予防ホルモン療法2年目(検査込含) | 57万円前後 | 約17.1万円 |
再発予防ホルモン療法3年目(検査込含) | 49万円前後 | 約14.7万円 |
再発予防ホルモン療法4年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
再発予防ホルモン療法5年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
合計 | 389万円前後~ | 約116.7万円~ |
手術前薬物療法・手術の治療費その2
治療・検査 | 総額 | 自己負担額 |
手術前薬物療法 | 166万円前後 | 約49.8万円 |
切除手術入院(7日) | 80万円前後 | 約24万円 |
放射線化学療法 | 33万円前後 | 約9.9万円 |
抗がん剤治療(再発予防) | 68万円前後 | 約20.4万円 |
抗がん剤治療(再発予防)2年目 | 136万円前後 | 約40.8万円 |
再発予防ホルモン療法1年目(検査込含) | 15万円前後 | 約4.5万円 |
再発予防ホルモン療法2年目(検査込含) | 57万円前後 | 約17.1万円 |
再発予防ホルモン療法3年目(検査込含) | 49万円前後 | 約14.7万円 |
再発予防ホルモン療法4年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
再発予防ホルモン療法5年目(検査込含) | 25万円前後 | 約7.5万円 |
合計 | 654万円前後~ | 約196.2万円~ |
その他のがん治療に関係する費用
公的医療保険が適用されない費用とは?
公的医療保険が適用されない治療法・サービスの費用は次の通りです。
公的医療保険が適用されない治療法
先進医療
既に「がん治療の種類」でも説明しましたが、免疫療法、陽子線治療、重粒子線治療が該当します。
先進医療は治療法自体の費用は自己負担ですが、保険診療に該当する部分は3割負担に抑えられます。
つまり、先進医療の自己負担分は「先進医療費+保険診療(3割自己負担)」となります。
ただし、保険診療の場合よりもかなり費用は高額になってしまいます。
自由診療
前述した免疫療法、陽子線治療・重粒子線治療が先進医療として認められていても、厚生労働大臣が認定していない医療機関がこれらの治療法を用いれば、全て自由診療となります。
自由診療を行う場合は、本来ならば公的医療保険となる診療分まで患者の全額自己負担となります。
また、自由診療は医療機関側が自由に費用を設定できるため、医療機関毎で費用に大きな差が生まれます。
患者が保険診療にとらわれない、ご自分の体質にあった効果的な治療を望む場合は大きな効果が期待できますが、金銭的費用が多額になるため、医療機関から十分な説明を受けた上で、診療を受けるかどうか判断しましょう。
公的医療保険が適用されない治療法
差額ベッド代
特別療養環境室料のことです。
患者のプライバシーを守りつつ、良質な医療を安心して受けるため、公的医療保険の範囲外の病室を利用した時に請求される使用料です。
差額ベッド室料金は、同じ医療機関でも料金に差があり1日数十円~数十万円のものまでいろいろあります。
料金は医療機関の窓口等に掲示していますので確認してみましょう。
そうすると、1入院の費用は次のようになります。
6,000円(1日分)×20日=12万円
治療費も多額に上る中、入院費用が全額自己負担なのは家計にも響くことでしょう。
入院時の食事代
入院中の食事は、がん治療のための体力を維持するのに必要不可欠ですが、こちらも1食360円分は自己負担しなければいけません。
360円超えた分の食事代には公的医療保険が適用されますが、こちらも想定外の負担と言えます。
がん入院の目安はおよそ20日と言われていますので、20日分の食事代を計算すると次の通りになります。
1080(1食360円×3食)×20=21,600円
なお、平成30年4月1日から1食100円が値上げされ460円となります。
がん保険とは
がん保険とは?
がんの治療費も重い負担と言えますが、公的医療保険外の治療法・サービスを利用すると、その負担は更に増加します。
公的医療保険や高額療養費制度だけでは、とても金銭的負担を賄うことは難しいと感じられたことでしょう。
そこで、最近は民間会社の「がん保険」が注目されています。
がん保険とは、がんに関係する入院や治療行為に関して細やかで手厚い金銭的サポートを受けることが期待できます。
がん保険の加入率は平成28年度で37.8%となっています(公益財団法人生命保険文化センター 平成28年度「生活保障に関する調査」)。
がん保険は非常に人気の高い商品になっており、生命保険各社とも競って新しいがん保険を登場させています。
がん保険の可能性
がん保険で保障される入院・治療に関しての給付金は以下の通りです。
がん診断確定給付金
医師からがんと診断確定された時に加入者が受け取れる一時金です。
50万円~350万円程度のまとまったお金が下ります。
初期のがんが保障されない保険商品もあれば、初期のがんも悪性のがんも同額保障の保険商品があります。
松葉 直隆
入院給付金
がんで入院した場合に受け取れる給付金です。
入院すればするほど多額になる差額ベッド代や、入院時の食事を賄うことが可能です。
通院給付金
がんの進行度(がんステージ)によっては入院・手術を行い退院しても、長期間通院しなければならない場合もあります。
その際の交通費等を賄うために金銭的サポートとなる給付金です。
抗がん剤治療給付金および放射線治療給付金
抗がん剤治療、放射線治療を受けた場合に受け取れる給付金です。
治療が行われた月毎に給付金が支払われます。
入院・通院をとわず受け取れる保険商品もあります。
手術給付金
外科的手術をした際に受け取れる給付金です。
回数無制限で何回でも受け取れる保険商品がほとんどです。
先進医療給付金
がん保険の主契約に特約として付加する形が多い給付金です。
なお、最近では自由診療向けのがん保険も登場し、保険選びの幅がどんどん広がっています。
まとめ
公的医療保険や高額療養費制度は、非常に優れた制度ではありますが、がん治療では適用外の範囲も多く、決して万能とは言えません。
松葉 直隆