保険会社と火災保険を契約して、スッカリ安心した方々もいらっしゃることでしょう。確かに、建物や家財の被害を補償する保険をかけたわけですから、大きな備えを得たわけです。
しかし、まだ安心は早いです。取得した保険証券、今どこに保管してありますか?皆さん。
契約締結後、間を置かず「あっ!」と思って探す人がいたら、少々不安です。火災保険の保険証券は飾りではなく、契約した情報が網羅されています。
近い将来、以前に保険会社と契約した内容が何だったか見返すため、その他のいろいろな手続きに必要となります。
現在は保険証券のペーパーレス化が進展しています。しかし、この書類が「どうでもいい書類だから。」ではありません。
ペーパーレス化されていてもプリントアウトして、紙面の保険証券同様、大切に保管することが賢明です。
しかし、深刻な自然災害の結果、ご自宅が全壊し保険証券など探せない事態になるかもしれません。そんな時はどうすれば良いのでしょう?
1.火災保険について
ようやく賃貸住宅から自分と家族の住宅を持つ目途がたちました。我が家の補償のため火災保険へ加入する予定です。
でも、火災保険ってどんな保険か、加入したことが無いのでピンときません・・・。
こちらでは、火災保険という保険商品と、その必要性等を解説します。
1-1.火災保険とはこんな保険
火災保険とは、火災の他、自然災害や盗難被害等を補償する保険商品です。
火災保険で十分な補償を受けるためには、建物・建物内の家財へそれぞれこの保険をかける必要があります。そうしないと、その両方が補償されなくなります。
火災保険は1年ごとに自動更新で継続する商品から、最長10年まで長期契約できる商品まであります。
各世帯の火災保険の加入率は非常に高く、日本全国で80%を超えています。
また、各損害保険会社も火災保険商品のサービス充実を競っています。
例えば、火災・風災・雪災・水災・破壊・盗難全てを補償可能な商品もあれば、火災(爆発)は基本補償であとは自由にカスタマイズできる商品もあります。
顧客のニーズに合うよう、補償内容を工夫する努力が続けられています。
また、各保険会社で新築割引や、防犯設備利用割引、長期契約割引等の割引サービスを設け、顧客獲得に注力しています。
1-2.火災保険の必要性
火災保険は別に未加入であっても、行政から指導がくるわけでもありませんし、ペナルティもありません。
ただし、住宅ローンを組む場合や、賃貸住宅に住む場合等では、火災保険を条件とすることが多いです。
〇日本人は火が怖い
日本では歴史的に木造建物を建築してきたため、火災は日常茶飯事でした。
そのため失火責任法では、失火者に「重大な過失」がない限り、賠償責任は問われないことを明記しています。
この法律は明治に作られた法律ですが、現在でも効力を有しています。
つまり、ご自分の家から火を出して、ご近所の建物が延焼しても重大な過失でなければ弁償する必要はありません。
〇重大な過失とは
この重大な過失とは、寝たばこで失火した、天ぷらを揚げているにもかかわらずその場から離れた等、誰が見ても危険と感じる不注意と言えます。
そのため、裁判で重大な過失と認められるケースはあまりないのが現状です。
しかし、そのことは逆にご自分が隣家等からもらい火を受け、建物や家財が焼けても、弁償してもらえない可能性の方が高いことを意味します。
これでは、家を焼け出され、我が家はもとより家財を焼失しても泣き寝入りするだけという事態になります。
この不条理な事態に対し、被害者へ甘受することを求めているのが現在の法律の現状といえます。
こんなことにならないため、ご自分で建物や家財に火災保険をかけ“自衛”する必要があるのです。
1-3.火災保険の契約の流れ
火災保険は、代理店等で担当者と対面して申し込む方法もあれば、インターネットで申し込む方法もあります。
ご自分に都合の良い申込方法で火災保険へ加入しましょう。こちらでは、保険会社で盛んに行っているネット申込の流れを解説します。
1.建物や世帯員の情報を入力 |
まずご自分の建物の面積、構造、所在地、世帯人数を入力します。建物の構造や面積等が知りたい場合は、建築確認申請書、建物登記簿謄本の情報を参考に入力していきます。
⇓
2.火災保険で設定する補償を選ぶ |
ご自分が設定したい補償内容を選びます。ご自分で決めるだけではなく、ご家族の意見も聞きながら補償の設定を行うことが大切です。
⇓
3.Web等で確認書類を提出 |
保険会社は入力した内容が本当かどうか、確認する必要があります。そのため、建築確認申請書または建物登記簿謄本等を、スマートフォンで写真を撮ったり、写しを郵送したりして保険会社へ提出します。提出方法は各保険会社の指示に従いましょう。
⇓
4.保険会社が審査開始 |
保険会社は提出した確認書類と入力したデータに不備がないかをチェックします。不備があれば、メールで訂正依頼が来ることもあるので、その際は速やかに訂正を行いましょう。審査で不備等が無ければ、保険料の支払い手続きの案内がメールされてきます。
なお、審査結果の通知は、Webでの確認書類を提出後の4営業日目が目安です。ただし、郵送で書類を提出した場合にはそれ以上の期間を要するのでご注意願います。
⇓
5.保険料の支払い方法を選ぶ |
ご自分が支払い易い方法を選びます。口座振替やクレジットカード払い、コンビニ払い等が選択できます。
⇓
5.申込完了後、保険会社が保険証券を送付 |
申込が全て完了したら、保険会社はご自分が登録したメールアドレスへ契約内容を送信します。その後、保険証券がご自宅へ郵送されます。
保険証券は単なる領収書というわけではないので、大切に保管する必要があります。
2.保険証券について
火災保険の契約を締結した際に送付される保険証券ですが、そもそもこちらは領収書の類ではないのですか?
ネットを見るとどうやら保険証券の不発行を選択できるみたいですし、あまり大切な書類に思えないのですが。
まずは、保険証券ってどんな書類なのかを知りたいです・・・・。
第2章では、保険証券とは何か?その役割や、最近のペーパーレス化について解説します。
2-1.保険証券とは
保険証券は、火災保険契約の場合のみならず、各損害保険契約、生命保険契約を締結した際に、保険会社から送付されてきます。
当該契約成立および契約内容を証明するため保険会社が発行した書類です。
この保険証券さえあれば、過去に契約した保険内容をすっかり忘れていても、この書類をみれば契約当時の内容がすぐにわかります。
そうは言ってもご自分が締結した保険の効力は、保険証券が発行されたりご自宅へ送付されたりしてから発生するものではありません。
保険の効力が発生するのは、契約を締結するための申込書の提出、初回保険料の払い込み、生命保険の場合には告知や診査、そのすべてが完了した時からとなります。なお、火災保険の場合は健康告知・診査は必要ありません。
次項では、保険証券がどんな時に必要となるのかを解説します。
2-2.保険証券の役割
保険証券の最大の役割は、火災保険の場合なら保険金を請求する際に必要となる点です。
保険金を請求する場合に担当者は証券番号を必ず確認します。それが記載されているのが保険証券なので、忘失することは保険金の請求手続きに支障が出る恐れもあります。
また、この証券番号はご自分が契約内容の変更をする場合にも必要です。例えば、火災保険へ特約を新たに追加したいときや、後から地震保険をセットしたい場合が該当します。
なお、火災保険契約を解約したい場合には、保険証券を保険会社に返納することになります。大切に保管していないと、契約が終了する際にも面倒な事態となります。
2-3.今どきはペーパーレス?
火災保険に限らず自動車保険等でも言えることですが、ネット申込を行うと「証券不発行なら〇〇円割引」という形で、発行するか不発行でも良いかを選択する入力画面があると思います。
当然、証券不発行を選んでも契約が成立しないわけではありません。最近ではエコを意識して、このような紙類の削減を保険会社側が行っています。
〇証券番号さえあれば!
保険証券の最大の役割である保険金請求手続きに関してですが、証券番号さえわかれば、保険証券自体が手もとになくても問題はありません。
保険加入者が保険証券を所持するメリットは、締結した契約内容がすぐに分かることです。
ただし、ネット申込を行った場合なら、ご自分のマイページにも設定されているはずです。こちらで補償内容が確認できれば問題はありません。
法律でも保険証券の交付は強制ではなく任意となっているので、あくまで契約の際に発行しないことを合意していれば、不発行でも問題は無いのです。
〇ただし、火災保険へ質権が設定されていれば別
ただし、ご自分で保険証券の発行・不発行を選択できない場合もあります。
それは火災保険に「質権設定」を行った時です。この質権とは、債権の担保に債務者からの返済がなされるまで、物品・権利書等を債務者または第三者から債権者が預かり、債務の返済の不可能なとき、その預かったものを売却して、優先的に弁済を受けられる権利のことです。
火災保険の場合ならば、金融機関から住宅ローン(いわゆる借金)の担保として、火災保険の保険金を設定することになります。
金融機関からすれば、ローンを組んだ人が借金を返せなくなった時、その保険金から弁済を得られるので安心ですよね。
金融機関が保険金から弁済を受ける場合も保険証券が必要となります。そのため、火災保険へ質権設定を行った際は、保険会社からローンを組んだ金融機関に保険証券が発行されます。
なお、ローンを組んだ人には保険証券の写しが発行されます。
3.保険証券の内容について・その1
住宅ローンを組んで火災保険へ質権を設定した場合は、保険証券の発行・不発行はやはり選べないわけですか。
では、保険証券には具体的にどんな情報が記載されているのでしょう・・・?
第3章では、保険証券に明記されている内容等について解説します。
3-1.全契約情報が記されている?
保険証券は一目見て契約情報が確認できるようになっているので、保険契約に関する全情報が明記されています。
保険証券1枚あればいろいろな諸手続きが必要になっても、スムーズに手続きが進むはずです。
なお、ペーパーレス化で保険証券不発行を選んでも、契約した保険会社のWebでマイページを作成しているならば、全情報の確認は可能です。
ただし、ご自分のパスワードを入力して開く必要があります。もし、パスワードを忘れてしまったら、保険会社にパスワードを変更する手続き等が必要になります。
保険証券不発行を選んでも、証券番号をはじめとした契約情報をスムーズに確認するため、マイページの内容をコピー機で印刷して紙面に残しておいた方が無難です。
3-2.保険証券のおもて面はこんな内容
各保険会社によって差異はありますが、保険証券は両面で印刷され、契約情報全般が明記されています。
こちらでは、おもて面で記載されている契約情報について解説します。
(1)基本情報
火災保険を契約したご自分の氏名・住所はもちろん、損害保険会社名や住所が記載されています。
①火災保険の証券番号等
ご自分がどんな火災保険へ加入したかを示す保険商品名、証券番号、保険期間(火災保険基本契約の他、地震保険を設定した場合はその期間)が明記されています。
②保険対象所在地
火災保険契約の対象となる建物の住所地、建物構造用途(建物の種類、専用住宅か併用住宅か、階数、建築年月、延面積、専有面積、構造級別等)、建物付属物(門・塀・垣)が記載されています。
③被保険者名
保険対象の所有者が明記されています。
④払込方法
保険料の支払い方法や払込期日、合計保険料、基本保険料・特約保険料・地震保険料等の内訳が表示されています。
(2)保険会社の連絡先
質問や契約内容変更等がある場合の連絡先として、取扱店・代理店の連絡先と、取扱者名が記載されています。また、保険事故が発生した場合には事故受付専用電話番号が明記されています。
また、地震保険をセットで加入している場合には、地震保険料控除証明書も保険証券のおもて面に添付されています。
こちらの使用方法等については次項で解説します。
3-3.地震保険料控除証明書って何?
地震保険料控除証明書とは、地震保険料を納付したことを申告する際に添付が必要な書類です。
〇地震保険料を申告すればどんな得が?
地震保険料を支払えば所得税・住民税の税制上の優遇措置が利用できます。要する支払った保険料を活用して節税ができるわけです。
では、火災保険料でも同様に節税できるのかと言えばそうではなく、地震保険料を支払った場合にのみ適用される優遇措置です。
具体的に年間で地震保険料をどのくらい支払えば、どのくらいの控除額になるかは次の通りです。
①年間の地震保険料50,000円まで |
(所得税)全額控除・(住民税)保険料の1/2 |
②年間の地震保険料50,000円超~ |
(所得税)50,000円・(住民税)25,000円 |
〇地震保険料控除証明書は持っているだけではダメ
ただし、この証明書は保険証券に添付されているだけでは、何ら効果を発揮しません。
この証明書を切り取って、ご自分が給与所得者なら年末調整で、個人事業主なら確定申告(期間:毎年2月中旬~3月中旬)で各申告書と共に提出します。
この証明書に記載されている「申告対象保険料」を参考に、年末調整で提出する場合なら「給与所得者の保険料控除等申請書兼配偶者特別控除申告書」の控除欄へ記載します。
確定申告で提出する場合ならば、「確定申告書」に必要事項を記載しましょう。
なお、年末調整・確定申告の申告手続きを行う場合には、地震保険料控除証明書の原本を必ず添付します。コピーは認められません。
〇地震保険契約を更新したら?
地震保険料控除は1回提出すれば、優遇措置がずっと継続するわけではありません。
保険契約が2年以上になれば、毎年、地震保険料控除証明書が保険会社から送付され、その都度、年末調整・確定申告で申告をします。
だいたい10月~11月に証明書がご自宅へ届きますが、12月になっても保険会社から送付されないときは、速やかに保険証券等で記載されている連絡先へ送付確認を行いましょう。
仮に、年末調整へ間に合わない場合も、確定申告を行うことで優遇措置が利用できます。
ただし、給与所得者は確定申告を行ったことが無い人もいると思います。そのため、申告手続きにやや手間取ることがあるかもしれません。
4.保険証券の内容について・その2
地震保険も忘れずに加入するので、保険証券に地震保険料控除証明書が添付されているかシッカリ確認したいです。
では、保険証券のうら面にはどんな内容が記載されているのでしょうか・・・?
第4章では、保険証券のうら面の内容と、内容誤りがある場合等について解説します。
4-1.保険証券のうら面はこんな内容
こちらでは、保険証券のうら面で記載されている内容について解説します。
(1)基本契約で締結した補償内容
火災保険の保険対象として、建物や家財にどの位の保険金をかけたかが記載されています。
①各補償内容
火災や爆発および落雷被害、風災・雹災・雪災被害、水漏れ・落下物等の被害、盗難被害、水災被害の補償の有無が明記されています。
②各特約内容
前述した補償内容以外の特約を設定したかどうかが記載されます。
③その他
その他の特約と割引サービス等が追記されます。
(2)地震保険
地震保険で建物・家財に、どの位の保険金をかけたかが記載されています。
4-2.あれ、内容の違う箇所が!
ここまで保険証券のおもて面・うら面をチェックしてきて、ご自分の氏名が間違っていたり、補償内容の違ったりしていることが判明することはあるでしょう。
人の手で入力する以上は間違いが起こる可能性もあります。ただし、いずれ指摘すれば良いといって放置するのは考えものです。
いざ、保険金を請求する事態になった場合、その手続きで混乱が生じることも想定されます。
保険証券が送付された際に、しっかりと内容を確認することが大切です。間違いがあれば、保険会社の連絡先へ報告し修正してもらいましょう。
4-3.紛失しそうなときは
保険証券は紙面である以上、保管に場所はとりませんが、逆に亡失しやすいことも事実です。
そのため、保管場所を選んでそこにしまっておくことを皆さん考えるでしょう。
そうはいっても、保険金請求が必要となる事態はそうは起きませんし、時間が経てば保管場所自体を忘れるかもしれません。では、一番忘れない方法は何でしょう?
この場合には、口座を開設している銀行等の通帳の保管場所と一緒にしておく方が無難です。
通帳は、保険証券以上に利用頻度が高いので、保険証券の存在もその際に確認できます。長年経って忘失する心配はありません。
5.保険証券を紛失した場合・その1
保険証券は、いろいろな情報が記載されているので、やはり保管することは大切ですね。
でも、万が一なくしてしまったらどうすればいいのでしょう?少々不安です・・・。
第5章では、保険証券を見つけるコツや再発行等について解説します。
5-1.保険証券がなくなると冷や冷やもの
保険証券は、契約の変更手続きや保険金の請求、解約の際に必要となります。ただし、保険証券は、頻繁に利用する書類というわけではありません。
そのため、忘失のリスクがあることは想定しておきましょう。また、証券番号さえわかれば、保険金請求に影響はありません。
証券番号もわからないと、いよいよ困った事態になります。ただし、焦りは禁物です。
次項では、保険証券がなくなった際の諸ケースを取り上げ、その対応を解説します。
5-2.諸ケースを考える
こちらでは、保険証券をなくした各ケースについて、その対応策を説明します。
(1)保険会社がわかっている
保険証券は相変わらず見つからなくても、保険会社がわかっているなら、保険会社のカスタマーセンターへ連絡しましょう。
電話の担当者は本人確認を行うので、その確認が取れたら、火災保険の補償内容等をすぐに調査してくれます。
その際には、保険証券の再発行もお願いすれば、万が一の時も安心です。再発行手続きは次項で解説します。
(2)保険会社がわからない!
火災保険の長期契約を締結したり、自動更新を行ったりして、すっかりご自分がその状況に慣れてしまうこともあります。
そして、数年たって契約した商品や、保険会社すら忘れてしまう場合があるかもしれませんね。
そんな時は、まず保険会社がどこかを確認しましょう。口座引落で支払っているならば、保険会社名が通帳へ記載されるはずです。こちらを頼りにして、保険会社を突き止め、(1)と同様に再発行手続きを行います。
(3)支払いがクレジットカードの場合
火災保険の保険料をクレジットカードで払っていることもあります。どの保険会社と契約したか忘れていても、ネットでクレジットカードの履歴が確認できる場合もあります。
当然、利用店名(保険会社名)が明記されています。こちらで保険会社を突き止め、(1)と同様に再発行手続きを行います。
5-3.保険証券再発行手続きの流れ
保険証券の再発行手続きは若干手間がかかります。しかし、万が一の事態が起きれば、保険証券の有無がスムーズな手続きの進行に大きな影響を及ぼすこともあります。
忘失した場合は、速やかに再発行手続きを行いましょう。手順は概ね次の通りです。
1.保険会社へ連絡 |
保険加入者であるご自分で、保険会社のカスタマーセンターへ連絡します。ただし、代理店等で契約した場合はそちらへ訪問して手続きをしても構いません。
⇓
2.保険会社の指示・請求書送付 |
保険会社で本人の確認が取れたら、保険会社から提出書類の指示があります。必要書類は基本的に①保険証券再発行請求書、②本人確認書類となります。
⇓
3.書類を提出 |
保険会社から保険証券再発行請求書が送られてきたら、必要事項を記載しましょう。そして、本人確認書類(運転免許証やパスポート等)の写しを添付して提出します。
⇓
4.保険証券再発行手続き完了 |
手続きが完了したら、新しい保険証券が郵送されます。到着後、すみやかに内容を確認しましょう。
6.保険証券を紛失した場合・その2
自分の不注意で忘失した場合は、前述した再発行手続きで対応できると思います。
しかし、大規模な自然災害が起きて、自分の住宅が倒壊や焼失した場合は、がれきの中から保険証券を探すなんてとても無理です。
この場合には、どうしたら良いのでしょうか・・・?
第6章では、自然災害で保険証券が所在不明になった場合の対応を解説します。
6-1.自然災害で建物が倒壊した!
大規模な地震や津波、台風のような自然災害に被災して、住居の倒壊・流出や家財が多数破損することもあります。
その際に、保険証券が流出したりや焼失したりすることはあるでしょう。
保険会社や証券番号も忘れてしまっていれば、前述した保険会社を確認する方法も取り難く、保険金請求ができない事態に陥ります。
ご自分や家族が頭を抱える状況と言えますね。しかし、まだ保険会社との契約を照会できる方法があります。
それが「自然災害損保契約照会制度」です。次項ではこの制度を設けている日本損害保険協会について解説します。
6-2.日本損害保険協会とは?
日本損害保険協会は各損害保険会社の中心的機構として設立された一般法人です。
損害保険の普及や啓発活動、基盤整備に役立つ事業、損害保険業の研修や試験・認定等の事業を行う他、契約者等からの苦情、保険会社との紛争解決そして相談対応も行っています。
また、日本損害保険協会では2014年より「自然災害損保契約照会センター」を設置し、保険契約に関する手掛かり(保険証券)をなくした保険契約者の契約照会に応じています。
ただし、どんな自然災害でも契約照会サービスが利用できるわけではなく、災害救助法が適用された地域住民の方々に限定されます。
次項では、災害救助法が適用となる災害について解説します。
6-3.災害救助法が適用となる災害とは
災害救助法が適用となる災害は幅広く、風水害(台風や洪水)、地震や津波、噴火、火災、地滑り等の土砂災害、大雪被害などの災害が該当します。
ただし、災害救助法が適用されるかどうかは、各都道府県知事が市町村単位で判断を下します。
関係地方自治体のみならず、国も迅速かつ適切な被災者の救助活動を行ない、自然災害で混乱する社会秩序の回復・保全をはかることを目的とします。
救助は国(消防庁・防衛省等)、地方自治体、日本赤十字社等が互いに協力し合って行われます。
災害救助法適用期間やその方法、程度についての必要事項は政令で定めることが規定されています。
なお、救助活動は各市町村人口に応じ設定された数以上の世帯家屋が滅失した場合に行なわれます。救助費用は都道府県・国が負担します。
活動メニューは非常に豊富で、避難所・被災者の応急仮設住宅設置、食料・飲料水支給、衣服や寝具・生理用品等の生活必需品の支給、けが人への医療行為、被災者救出、死者の埋葬、そして保険契約照会サービスがあります。
6-4.自然災害損保契約照会制度を活用!
保険契約照会の方法は、保険契約者(対象住民)から提供してもらった情報を、日本損害保険協会の全会員会社へ連絡し、各保険会社は契約の有無を調査します。
該当する契約があった場合は、基本的にご自分が保険契約した保険会社から、照会を依頼した人へ連絡があります。
その後、保険金を請求する手続きが行われることになります。ただし、照会受付から連絡まで2週間程度が目安となります。自然災害の規模が大きければ、更に時間がかかることも想定されます。
自然災害損保契約照会センターでの照会が利用可能な方々は、なるべく被災された保険契約者本人で行う必要があります。
ただし、負傷して対応が難しい場合や、残念ながら死亡してしまうこともあるでしょう。
その際に、保険契約者本人の配偶者や両親、子または兄弟姉妹の方々であれば契約照会は可能です。
7.まとめ
保険証券は、保険契約を締結した際の領収書ではありません。保険事故が起きた場合に、不可欠な書類となります。
ただし、前述したように自然災害で保管していた建物自体が倒壊、流出し証券の行方が分からなくなることもあります。
このような事態に備えるためにも、ご自分の身に着けている手帳や携帯に証券番号を記録しておけば、スムーズに保険金の請求手続きが進むことでしょう。