保険会社のCMなどで、「先進医療」という言葉を耳にしたことがありますか?
「先進医療」については、理解が足らず誤った認識をしている方も多く、注意しなければならないポイントいくつもあるのです。
ぜひ、この記事を読んで「先進医療」を知ることで、広告などに惑わされない保険選びを、そして傷病治療の予備知識として役立ててください。
- 先進医療とは、高度で最新の医療技術を用いた治療。
- 先進医療にかかる費用は、患者が全額自己負担。
- 先進医療は、保険診療を受けるなかで、患者自身が希望し、かつ医師がその治療に合理性と必要性を認めた場合に行われる。
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厚生労働省の認める先進医療とは
先進医療とは
厚生労働大臣が定めた高度な医療技術を用いた治療を指し、健康保険が給付可能な治療法か否かについて検討段階である治療法です。
病院で治療を受ける際は、通常、病院で保険証を提示することで治療費が3割負担*になります。(*被保険者よっては1~2割)
保険診療とは、健康保険の給付対象となる診療です。
それに対して先進医療は、まだ保険診療の対象ではないため「評価療養」の1つとなります。
費用は全額自己負担
先進医療は保険診療ではありません。
つまり、医療の種類や医療機関により、診療報酬が異なります。
なお、先進医療以外の通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱い、その部分は一部の負担金だけを支払うこととなります。
例えば、70歳未満の一般所得者で総医療費100万円のうち先進医療費用が20万円の場合
先進医療に係る費用20万円は、患者が全額負担します。
通常の治療と共通する診察、入院料、投薬、検査などは「保険診療」の費用として扱い、患者が80万円の3割である24万円を負担し、残り7割を各健康保険制度が給付します。
先進医療の種類
厚生労働省が定める先進医療は現在92種類です(※平成30年6月12日現在)。
松葉 直隆
また、保険診療への導入が決まって「先進医療」というカテゴライズではなくなった場合や、保険診療には適さないと評価されたゆえに承認が取り消されることで、「先日まであったはずの技術が無くなっている」ということもあります。
厚生労働省ホームページ「先進医療の各技術概要」にて技術の一覧を確認可能です。
【先進医療A】28種類
先進医療技術とともに使用する医療機器や医薬品等が薬事法上の認証・承認・適用となる際、または承認等が得られていない検査薬等を使用する技術であっても、人体に影響が低いとされているものは「第2項先進医療【先進医療A】」に位置づけられています。
【先進医療B】64種類
「第3項先進医療【先進医療B】」の位置付けは、薬事法上の認証や承認等が得られていない医療機器や医薬品を使用しても、保険診療との併用を一定の条件を満たせば可能とする技術としています。
松葉 直隆
先進医療の実施医療機関
厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つである「先進医療」は、有効性と安全性を確保するため、一定の施設基準が医療技術ごとに設定されています。
「先進医療」の技術の実施は施設基準に該当する医療機関のみで許可されており、保険診療との併用ができるのです。
【先進医療A 】 28種類の技術を実施できる医療機関は、全国872件(平成30年6月1日現在)。
【先進医療B】の医療機関は全国に658件(平成30年6月1日現在)あり、64種類の技術を実施することが可能です。厚生労働省ホームページ「先進医療を実施している医療機関の一覧」より確認することが出来ます。
先進医療とその他の療養制度
先進医療を受けるには
病院での手続き等は、一般の保険診療の場合と同じです。
被保険者証*を窓口に提出します。(*老人医療対象者は健康手帳も同時に提出)
「先進医療」は、保険診療を受けるなかで、患者が自ら希望し、医師がその合理性と必要性を認めた場合に行われることになります。
松葉 直隆
混合診療
健康保険が適用される保険診療と、適用されない保険外診療の両方を受けることを「混合診療」と言いますが、日本では原則として「混合診療」が禁止されています。
混合診療になった場合、全ての医療費が全額自己負担となってしまいます。
松葉 直隆
評価療養と選定療養
「評価療養」と「選定療養」を受けたときは、療養費全体のうち基礎的な部分は保険の給付がなされますが、特別料金の部分は全額自己負担の必要があります。
評価療養
現時点では保険適用となっていない新薬や高度な医療技術など、将来的に保険が適用となることを前提として可否評価中の療養のことです。
- 先進医療
- 医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療
- 医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医療機器、医薬品、再生医療等製品の使用
- 薬価基準収載医薬品の適応外使用(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)
- 保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用(効能・効果・使用目的等の一部変更の承認申請がなされたもの)
選定療養
下記に挙げる場合の費用は全額自己負担にとなります。
時間外診療や予約診療、大病院での初診や再診が健康保険の適用外となります。
- 特別の療養環境(差額ベッド)
- 歯科の金合金等
- 金属床総義歯
- 予約診療
- 時間外診療
- 大病院の初診
- 小児う蝕の指導管理
- 大病院の再診
- 180日以上の入院
保険外併用療養制度
評価療養と選定療養の「混合診療」の場合…
通常の治療(診察・検査・投薬・入院料等)と共通する部分の費用は保険診療と同様に扱われ、負担額は被保険者によっては1割~2割ですが基本的には3割となります。
治療費の残りは、健康保険から「保険外併用療養費」として給付されることとなります。
先進医療の実績報告
厚生労働省では、平成24年より先進医療会議を定期的に開催しています。
先進医療会議では、【先進医療A】、【先進医療B】の評価や取り下げの審議や、先進医療技術の実績報告を年度ごとにしています。
平成29年6月30日に開催された第61回先進医療会議の実績報告をもとに、先進医療技術の詳細をご紹介します。
実績報告データの推移
先進医療の実施医療機関が増加しているとともに、先進医療を受ける患者数も増えています。
松葉 直隆
実施件数の多い技術内容とは
- 1位、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術/14,433件
- 2位、前眼部三次元画像解析/11,595件
- 3位、陽子線治療/2,319件
- 4位、重粒子線治療/1,558件
- 5位、Eウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法)/255件
- 6位、歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法/240件
- 7位、MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法/207件
- 8位、腹腔鏡下広汎子宮全摘術/185件 ※平成30年4月より先進医療外となり、保険適用となりました。
- 9位、高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術/180件
- 10位、切除支援のための気管支鏡下肺マーキング法 (微小肺病変)/154件 ※平成29年11月より先進医療外になりました。
最も実施件数の多い先進医療技術は、白内障の治療のために用いる技術で、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」です。
この技術は、医療機関(全国555件)で実施されており、先進医療費用の総額は83.8億円にも上ります。
眼科疾患における検査法として「前眼部三次元画像解析」、腫瘍の摘出やがんの治療として「重粒子線治療」「陽子線治療」が実施されます。
「Eウイルス感染症迅速診断」とは、臓器移植をした方が術後の感染症を検査するための技術です。
先進医療の技術料
がんの治療に用いる、「重粒子線治療」や「陽子線治療」の技術料が圧倒的に高額であることが以下よりお分かり頂けると思います。
- 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術:581,224円
- 前眼部三次元画像解析:3,484円
- 陽子線治療:2,765,086円
- 重粒子線治療: 3,149,172円
- Eウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法):14,607円
- 歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法: 65,870円
- MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法: 110,223円
- 腹腔鏡下広汎子宮全摘術:719,811円
- 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術: 307,008円
- 切除支援のための気管支鏡下肺マーキング法 (微小肺病変):17,113円
白内障治療での先進医療
白内障は、目の水晶体という部分が白く濁ってくる病気です。
原因の多くは加齢によるものと言われていて、老人性白内障または加齢白内障とも呼ばれます。
老人性白内障は白内障患者の7割以上を占めますが、他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病など代謝性の病気、薬剤や放射線による白内障もあります。
白内障の主な治療法
軽度の場合、目薬や内服薬を利用しますが、完全に治療するには手術しか方法がありません。
白内障の手術は、濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入する手術です。
この眼内レンズには、大きく分けて種類「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」があります。
「単焦点レンズ」は保険診療となりますが、「多焦点レンズ」は先進医療の対象です
白内障手術を受ける前に、目に合う眼内レンズは何か、また手術が問題なく行えるかを含めた様々な検査を行い、手術の前に医師と相談をし、自分のライフスタイルに合った眼内レンズを選択することが大切です。
多焦点眼内レンズとは
「多焦点眼内レンズ」は「単焦点レンズ」とは異なり、近方と遠方の双方に焦点を合わせることが可能となります。
そのため、この「多焦点眼内レンズ」を挿入することで、近視、遠視および老眼の治療が一度に可能となり、術後はコンタクトレンズや眼鏡に頼らずに生活が可能となります。
これに対し、「単焦点レンズ」は近方か遠方のどちらかにしか焦点が合わないため、乱視や老眼は治りません。
なお、手術後はそれまで老眼でなかった方であっても老眼鏡が必要となります。
松葉 直隆
もしも、将来的に更に高性能な眼内レンズが現れた場合、交換することは可能はありますが、目に更なる負担がかかってしまうため、医学的には勧められません。
そのようなケースでは「アドオン・レンズ」と呼ばれる保険外治療も存在します。
これは、手術で挿入した過去の眼内レンズの上に新たなレンズを追加するという方法で、単焦点と多焦点がある「アドオン・レンズ」によって見え方に合わせた選択が可能となります。
水晶体再建術
【多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術】の入院日数の平均は、平成29年6月30日の厚生労働省の実績報告において1.2日となっています。
ただし、白内障が進行し、水晶体の核が固くなっているケースにおいては、その核を丸ごと取り出さねばならないため、手術に1時間程度かかることもあります。
どちらの方法においても、手術後は30分以上絶対安静となりますが、必ずしも入院する必要はなく、日帰り手術で実施している医療機関が多いです。
手術後に自宅まで帰るまでで家族などの助けを受けられない方や、高齢の方であれば入院での手術をお勧めします。
がん治療での先進医療
がんとは、細胞の遺伝子異常によって起こる病気です。
- 1位:肺がん
- 2位:大腸がん
- 3位:胃がん
がんは、部位や進行具合によって治療法が異なりますが、罹患数が多いとされる肺がんにおいて、先進医療は有効な治療法であるといえます。
がんの主な治療法
がんと診断されると、標準治療と呼ばれる【放射線治療】、【手術】、【化学療法(抗がん剤治療)】の治療をすることになります。
手術
メスなどを使って、がんを切除する治療法です。
がんの取り残しがないよう、正常な組織やリンパ節も含めてがんの周囲を切除する必要があるため、体に大きな負担がかかります。
しかし、早期に発見されたがんに対しては、効果的な治療法といえます。
例えば、転移のない早期胃がんであれば、手術をすることによって5年生存率が9割近くになるというデータもあります。
松葉 直隆
そのことから、少ない入院日数が実現出来たという成果も得られています。
科学療法(抗がん剤治療)
がんは、手術で切除してもその後再発することも少なくありません。
取り残されていたがん細胞が増えたり、またリンパや血液から離れた臓器に転移することもあります。
そこで、がん細胞を攻撃する化学療法として抗がん剤の投与が行われたり、手術対象外である進行がんにおいては化学療法のみを行う場合もあります。
抗がん剤は、副作用を最小限に抑えながら最大限の効果が得られるように投与し、最近は、吐き気や白血球減少等といった副作用を軽減する「支持療法」の進歩により、治療を外来で行うこともあるのです。
放射線治療
放射線を照射することにより、がん細胞の増殖を抑える治療法です。
ガンマ線や電子線、X線などをがん細胞に照射し、がん組織を破壊します。
放射線治療は手術とは異なり、がん細胞を体にメスを入れずに破壊することが出来るため、体への負担が少なく済むという特徴があります。
主に、体の外から照射する「外部照射」と、小さな線源を体内に入れて、放射線を照射する「密封小線源治療」があります。
しかし、体の外からX線を照射した場合最もダメージを受けるのは体の表面の細胞であるため、がん細胞を破壊するだけの十分な放射線を当てることは困難です。
この放射線治療の一種で、がん細胞だけを破壊する「陽子線治療」と「重粒子線治療」が先進医療に当たるのです。
重粒子線治療
重粒子線治療は放射線治療の一種ですが、保険の効かない先進医療*で、電子線である炭素イオン線を照射する放射線療法です。
*保険適用となった部位も一部あります。
この放射線は、一定距離進行後に急激に高いエネルギーを放出してそのまま消失するという特徴を持っており、それを利用して表面にある正常な細胞へのダメージを最小限に抑えつつがん細胞のみを破壊する事が可能です。
効果が高い治療ですが、通院で治療することができ、また副作用が無いことが一番の魅力となります。
陽子線治療
松葉 直隆
ただ、陽子線の攻撃力は重粒子線に比べて低いため、照射回数が多くなってしまいます。
この治療も先進医療の対象ですが、重粒子線よりも先進医療費用は若干安く、陽子線治療を行うことが可能な医療機関も全国に14か所に存在します。
先進医療の対象部位
「重粒子線治療」や「陽子線治療」は、放射線治療の中では優れた医療技術です。
しかし、すべてのがんに対して行えるわけではないので、注意が必要です。
これは、放射線治療全般に言えることですが、広範囲に転移のあるがんや血液やリンパに乗っているがん、また大腸や胃など不規則に動く臓器のがんには照射出来ません。
- 肺がん
- 肝臓がん
- 肝内胆管がん
- すい臓がん
- 直腸がんの骨盤内再発
- 食道がん
- 腎臓がん
- 婦人科腫瘍
- 転移性腫瘍(肺・肝・リンパ節の少数個転移)
- 骨軟部がん※2016年4月より保険適用
- 前立腺がん※2018年4月より保険適用
- 頭頸部がん※2018年4月より保険適用
肺がんに有効な重粒子線治療ですが、小細胞肺がんに対しては、治療を受けられません。
陽子線は、脳腫瘍に対しても治療することができます。
先進医療にまつわる落とし穴
先進医療は最先端の優れた医療ではない
新しい治療法や新薬は、治験にクリアし安全性と有効性が認められると、医療現場で使われるようになります。
その後、評価を定めて健康保険が適用され、医療機関でその治療などを受けらるようになります。
治験が終了し、医療現場で実際に使われるのが先進医療で、実績を積んで健康保険を適用にするかどうか評価されます。
厚生労働省が保険診療に認めた=安全性と有効性が評価されたもの、ということで、医療費の負担を少なく、治療を受けられるようになります。
先進医療から外れた技術は、厚生労働省が国民の健康を守るための安全性と有効性を確認できず、広く一般に普及すべきではないと判断された、ということです。
つまり、先進医療を受けるということは、費用も含め自己責任ということになります。
また、肝臓がんの陽子線治療を例にしてみると、確かに体にメスを入れないために副作用も少なく、体に負担が少ないという面で大きなメリットがありますが、陽子線治療と保険診療内の他の治療をした場合の「5年生存率」の治療成績は同等であったというデータもあるのです。
標準と先進と聞くと、先進の方が効果があるように聞こえますが、先進医療は現段階で効果が未知数ということです。
松葉 直隆
先進医療は高額なのか?
高額な費用がかかる先進医療として「重粒子線治療」や「陽子線治療」もありますが、平成29年6月30日の実績報告によると、実際に実施された先進医療技術87種類のうち100万円未満の技術が77%を占めていました。
また、先進医療費の平均はおよそ60万円で、こちらに関しても将来的に保険適用と認定されれば70歳未満の一般所得者であれば3割負担となります。
高額療養費制度と先進医療
保険診療の部分にかかり負担する費用については、【高額療養費制度】の対象となります。
しかし、先進医療にかかる費用については、【高額療養費制度】の対象外となります。
高額療養費制度とは
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、1か月間(1日から末日まで)で上限額を超えた場合にその超えた額が支給される制度をいい、入院時の差額ベッド代や食費負担等は含みません。
なお、入院診療や外来診療において「認定証」の提示をすることで、窓口での支払いを上限額に留められます。
「認定証」の入手は、事前に健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などに問い合わせる必要があります。
なお、先進医療は【医療費控除】の対象にはなります。
医療費控除
医療費控除とは、自分や生計を共にしている配偶者、またはその他親族のために支払った年間の医療費に対して、所得控除を受けられる制度のことです。
医療費控除を受けるためには、確定申告を行います。
医療費の領収書が必要なので、きちんと保管しましょう。
松葉 直隆
なお、保険金などで補填される金額とは、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。
引ききれない金額が生じても、他の医療費からは差し引きません。
健康保険などで支給される高額療養費、産育児一時金、生命保険契約などで支給される入院費給付金など。
保険の先進医療特約
先進医療特約とは
松葉 直隆
先進医療にかかる技術料と同額を給付するという内容で、月々100円程度の保険料で付加することができます。
基本的には医療保険などに付加するもので、先進医療特約のみの加入は不可能です。
先進医療特約の必要性
先進医療特約は比較的安価ですが、先進医療の技術料の保障を受けられることを加味すると付加するに越したことはないでしょう。
また、現在先進医療特約に加入していなくて付加したいといった場合は「中途付加」をとなりますが、この「中途付加」が出来るかどうかは、加入している保険によって異なります。
もし、「中途付加」が出来ないとなると、医療保険ごと新しく加入するか、他社に乗り換えたり転換するといった見直が必要です。
先進医療特約は確かに安くて魅力的な保険ですが、これを付加するためだけで転換や他社に乗り換えることはお勧めしません。
それに加え、保険の見直しとなると、現在の年齢で保険料が計算されるため、以前加入していた生命保険よりも保険料は必然的に高くなります。
保険料を上げて、先進医療特約を付けるというのは、疑問を感じます。
ですが、先進医療を受ける患者数は増えているため、今後先進医療特約の保険料も上昇するかもしれません。
自由診療に備える保険
自由診療とは
松葉 直隆
例えば、抗がん剤などで国内未承認のものによる治療は、健康保険などが適用されず、先進医療にも該当しないため「自由診療」で受けることになります。
日本では、これら「保険外の治療」と診察や検査、入院料、投薬等の保険診療を一緒に受ける「混合診療」は認められていません。
そのため、「自由診療」を受けるならば、保険診療の費用も全額自己負担になってしまうのです。
がん治療においては新たな治療方法が数多く開発されており、最先端の治療を「自由診療」で受けることが可能であり、「自由診療」に備える保険も存在します。
がん保険において、給付方法は以下の2つです。
定額型
診断給付金や治療給付金など、手術内容や入院日数にかかわらず、一時金という名目で定額給付されるケースが増えてきています。
給付金を「自由診療」に充てることもでき、時代とともに変動するがん治療に対応しています。
実損補填型
実際にかかった医療費を保障するタイプの保険で、一部の保険会社のみ取り扱いがあります。
自由診療も保障対象としており、医療費の心配をせず希望する治療が受けられるため、非常に心強い保険といえます。
まとめ
日本の医療は、世界的にみても高水準であり、中でも健康保険の適用が認められた技術というのは、国が定める厳しい基準をクリアした医療ですから最も優れたものと言えるでしょう。
しかし、最近テレビCMなどで、先進医療は高いもの、最高の治療であるというイメージを持つ人も多く、「がんになったら先進医療を受けたら良い」と考えている方が多いのではないでしょうか?
しかし、実際には「先進医療=がんの治療」ということではなく、実施件数が現在で最も多い技術は「白内障」であることはあまり知られていません。
また、がん治療における先進医療も、あくまで治療の副作用などから生活の質=QOLを守るためには有効でも、傷病の完治という目的に対して最良であるとは限りません。
このように、とりあえず先進医療を受ければ良いだろうということではなく、担当医師と相談しながら、その人それぞれにとって最良となる治療を受けることが大切なのです。
ただし、傷病について先進医療の知識が無ければ、治療法として検討することも出来ません。
松葉 直隆