あなたの医療保険やがん保険には「先進医療特約」は付いていますか?
医療保険やがん保険にしっかり加入していても、この質問に答えることができる人はほんの一握りです。
しかし、加入している保険の善し悪しを判断する上で、先進医療特約が付いているか否かということは大きなポイントとなってきます。
場合によっては、先進医療特約が付けることができない旧式の医療保険であるがために保険をそっくりそのまま別のものへ見直しをするという例もあるほど。
この記事では、先進医療とは何かという基本的なところから、なぜ先進医療に備える必要があるのかということを解説していきます。
もちろん、先進医療特約の必要性は個々の価値観によるものなので「わたしには必要ない!」という考えも有りです!
ただ、要・不要の判断は一度先進医療の概要を把握してからしてみませんか?もしかすると「備えておけば安心ね!」という考えに変わるかもしれません。
一緒に先進医療の概要を知って、あなたにベストな保障について考えていきましょう!
目次
1.保険が全く使えない?医療費の仕組みってどうなってるの?
1−1.保険診療とは?
1−2.自由診療とは?
1−3.混合診療とは?
1−4.先進医療とは?
2.先進医療はどんな場合に使う?その受け方とは?
3.先進医療に指定されている治療の費用や実施件数は?
3−1.実施件数ナンバー1!「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」
3−2.選択肢の一つとして持っておきたい治療
4.医療保険の特約として登場した「先進医療特約」
4−1.先進医療特約の登場
4−2.どれくらいの負担で先進医療特約を付けられるの?
4−2.治療費だけではない?最近の先進医療特約事情
5.がん保険にも「先進医療特約」あり?
5−1.がん保険の先進医療特約の守備範囲とは?
5−2.先進医療特約の医療保険vs.がん保険
6.先進医療に備えるときに知っておきたいこと
6−1.受けられる治療には大きな地域格差あり!
6−2.先進医療特約が100円ちょっとで付けられるにはワケがある!
6−3.複数の保険で先進医療を付けると・・・?
7.まとめ
目次
1.保険が全く使えない?医療費の仕組みってどうなってるの?
健康保険適用の治療であれば、通常3割負担となっている日本の医療費。
しかし、稀に病院で「これは保険対象外なので、自己負担です」などと言われ全額負担することもありますよね?
皮膚科で肌荒れの治療をしたときに保険適用の治療とそうでない治療の線引きがよくわからず戸惑ったなどという体験談を聞いたこともあります。
この章では、日本の医療費制度にはどのような診療パターンがあるかということを整理していきます。保険適用なのかどうかや、高額療養費制度適用の可否なども合わせて確認していきましょう!
1−1.保険診療とは?
保険診療とは、健康保険対象の治療のことです。みなさんがまず始めにイメージする医療費ではないでしょうか?3割負担が原則ですよね。
病院ではよっぽどの理由がない限りは、保険の範囲内での治療を行ってくれます。保険診療は高額療養費制度や医療費控除の対象となります。
1−2.自由診療とは?
自由診療とは、健康保険対象外の治療のことを言います。保険診療が最低限の治療であるのに対し、自由診療は一般的に高額になる傾向はあるものの質の高い医療を受けられる特徴があります。
病院で自由診療を受ける場合には、費用面など相談の上で治療方針を決めていくことになります。
注意点としては、自由診療を選択すると、通常保険診療となる治療についても3割負担の原則は適用にならず全額自己負担となります。
「見た目」などを重視する皮膚科や歯医者などで自由診療を受けるというケースが多いかもしれませんね。
自由診療は高額療養費制度の対象にはなりませんが、場合によって医療費控除の対象となることはあります。
1−3.混合診療とは?
一部でも自由診療の治療が入ると全額自己負担になるというのは前述したとおりですが、実は例外があります。
それが、混合診療というものです。
日本では、平等な医療を提供するという国民皆保険の原則に反するため、混合診療は原則認められていません。しかし、以下の例外があります。
評価療養 | 選定療養 |
・先進医療 ・医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療 ・医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用 ・薬価基準収載医薬品の適応外使用 (用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの) ・保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用 (使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの) |
・特別の療養環境(差額ベッド) ・歯科の金合金等 ・金属床総義歯 ・予約診療 ・時間外診療 ・大病院の初診 ・小児う蝕の指導管理 ・大病院の再診 ・180日以上の入院 ・制限回数を超える医療行為 |
例えば、入院時に大部屋ではなく個室や2人部屋などを希望しそちらに入院したときには差額ベッド代を支払うことになります。こちらは保険適用外の自己負担。これを希望したがために、その他の手術や薬代などの入院にかかる費用全てが自己負担になることはないですよ!という意味です。
時間外診療についても同様ですね。夜間に病院にかかったとしても10割負担になることはないですよね?「それでも、日中病院にかかるよりちょっぴり割高だな・・・」と感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?これは保険適用の部分は3割負担のまま、時間外診療費だけは別途全額自己負担の混合診療の形を取っているからなんです。
1−4.先進医療とは?
先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療方法で、まだ公的保険の対象になっていないモノの事を言います。厚生労働大臣によって認められたもので、現在92種類の医療技術が指定されています。
一般的に費用は高額で、受けられる医療機関も限られています。
92種類もの治療が存在するため、その費用や年間の実施件数にはバラツキがありますが、後ほどよく利用される治療や、最も高額とされる治療について紹介していきます。
先進医療は混合診療が認められている治療方法の一つです。もちろん、先進医療は高額療養費制度の対象になりませんが、医療費控除は対象です。
2.先進医療はどんな場合に使う?その受け方とは?
先進医療はどのような人がどんな場合に使うことができるのでしょうか?
厚生労働省の定めによると、先進医療とは、一般の保険診療を受けていく中で、患者さんが希望し、医師がその合理性を認めた場合に受けることができるとされています。
医療機関から治療方法や費用の説明を受け、十分に納得した上で同意書に署名し治療を受けることとなります。
ただし、先進医療技術によっては実施医療機関が非常に限られており、希望しても1年待ち、2年待ち、更には空きが出なければ予約ができない場合も。
いくらご自身の症状が先進医療技術の対象となっていても、このような物理的問題でスムーズに受けることができないということもあるんです。
3.先進医療に指定されている治療の費用や実施件数は?
「先進医療」と言っても、具体的にどんな治療が先進医療に分類されているか分からなければ、それが必要なものなのかどうかいまいちピンと来ませんよね。
先進医療に指定されている治療は平成30年6月の時点で92種類。年間トータルで2万4千人以上の患者さんが先進医療を利用しました。先進医療の種類は厚生労働省が指定しており、毎年指定件数が変動しています。
ここでは、実施件数の最も多い先進医療や、がんになった場合の先進医療を中心に、先進医療技術について見ていきます。
3−1.実施件数ナンバー1!「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」
そもそも対応する医療機関数が少なく実施件数が全体的に少ないとされる先進医療ですが、年間1万1千件以上の治療実績のある先進医療があります。
それは、白内障治療の一つである「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」です。
白内障とは、目の中にある水晶体が濁ってしまい視力が低下する病気です。老化が原因と言われています。今日の高齢化の影響で白内障に悩む方が増えているのが現状です。
保険対象となっている一般的な白内障の治療では、「単焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」という、焦点を遠くのものに合わせ近くのものを見るときは老眼鏡などで補うという方法が取られますが、先進医療の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」では、遠近どちらにも対応できるように治療をしていきます。
技術料は55万円程度です。この金額が手の届きやすい金額であることや、実施医療機関が比較的多いこと、目の見え方は生活の質に多大に影響してくることなどから多く利用されています。
自分が患者さんやその家族の立場だったらどちらを選びたいか・・・。そう考えると先進医療は非常に重要なものだと感じますよね。
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術の実施機関数や実施件数は以下のようになっています。
適応症例 | 1件あたりの先進医療費用 | 年間実施件数 | 実施医療機関数 |
白内障 | 554,707円 | 11,478件 | 459機関 |
この治療を実際に受けた方の声としては「眼帯を取った瞬間、今までぼやけていたものが鮮明に見えて世界が変わった!」や「近い所も遠い所も問題なく眼鏡なしで見ることができるようになって感動している。新しいことにチャレンジしたい!」などがあります。
3−2.選択肢の一つとして持っておきたい治療
「家族が大きな病気をしたときに、治る可能性があるのであればどんなに高額な治療費を負担してでも最高の治療を受けてもらいたい!」そう考える方は多いのではないでしょうか?
少なくとも、国民皆保険が実現している日本では「お金がないから治療を諦める・・・」というケースは非常に稀であり、もしそうしなければならなくなったときには心を痛めてしまう方がほとんどだと思います。
しかし、先進医療の一部の治療ではまさに「資金を準備できない」という理由で有効な治療を諦めなければならないケースもあるんです。
その代表格ががんに対応する先進医療です。
がんの治療として、「重粒子線治療」「陽子線治療」という技術がありますが、これらの技術料はなんと重粒子線治療で309万円、陽子線治療で276万円と非常に高額になっています。
これらは、保険適用のエックス線を利用した放射線治療に比べ、がん細胞にピンポイントで照射することができることや、破壊力が高くより少ない照射回数で済むことから体に与えるダメージを抑えながらも効果的な治療を行うことができる技術です。
「ダメージが少ない!より効く!」と聞けば、やはり先進医療も治療の選択肢の一つにしたいと思いますよね?
先進医療技術とは言え、がんが「完治」するわけではないので、繰り返し照射する必要もあります。
その度に300万円程度の技術料・・・。通常はこれらの資金を継続的に用意していくのはほぼ不可能でしょう。
しかし、がんと戦う家族のことを考えたときに選択肢として持っておきたいと多くの方が願うのが重粒子線治療・陽子線治療です。実施機関数や実施件数は次のようになっています。
適応症例 | 1件あたりの先進医療費用 | 年間実施件数 | 実施医療機関数 | |
重粒子線治療 | ・脳腫瘍 ・頭頚部腫瘍 ・食道腫瘍 ・肺がん ・肝臓がん ・膵臓がん ・子宮がん ・直腸がん ・前立腺がん ・骨、軟部腫瘍 ・眼球腫瘍 ・涙腺がん |
3,093,067円 | 1,787件 | 5機関 |
陽子線治療 | ・脳腫瘍 ・頭頚部腫瘍 ・食道腫瘍 ・非小細胞肺がん ・肝臓がん ・転移性腫瘍 ・直腸がん述語 ・骨盤内局所再発 ・前立腺がん |
2,760,022円 | 2,016件 | 9機関 |
(データは厚生労働省『平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』を参照)
4.医療保険の特約として登場した「先進医療特約」
今でこそ当たり前に医療保険の特約にラインナップされている「先進医療特約」ですが、実は一昔前まではこのような特約は存在していませんでした。
最初は少額の保障から開始し、その内容は時代とともに充実し今現在の先進医療特約の形が出来上がりました。
この章では、先進医療特約の歴史や最新の保障内容について見ていきたいと思います。
4−1.先進医療特約の登場
先進医療特約は2008年頃に開始されました。
そのため、10年以上前の医療保険に加入している場合には、そもそも先進医療特約の選択肢がないという場合が多くなっています。
保険は医療技術の高度化や、傾向の変化に伴って日々変化していっていますが、先進医療特約も例外ではありません。
保障の内容は、発売当初は技術料通算300万円や500万円といった額が多かったのに対し、今日では技術料通算2,000万円などと金額も拡大しています。
保険会社によっては、先進医療特約が存在しなかった頃の医療保険を契約している方を対象に先進医療特約を「中途付加」できるケースもあります。
もしご自身の医療保険が契約当初に先進医療特約そのものがなかった場合には、すぐに最新のものへ切り替えをする前に、保険会社に中途付加制度について問い合わせてみるのもおすすめです。
4−2.どれくらいの負担で先進医療特約を付けられるの?
先進医療特約そのものは月々100円程度で付加することが可能です。医療保険の特約として付加する場合には、厚生労働大臣が認める全ての先進医療技術が対象です。
しかし、「先進医療だけの保険」というものは厳密に言うと存在しません。
厳密にと言うのも、先進医療と臓器移植に特化した保険はありますが、1年更新の保険であり、医療保険の見直しが出来ない(病歴や手術歴があるなど)方に向けての商品と言える保険はあります。
そのため、あくまでも医療保険などの主契約を契約した上でそのオプションとして加入することが一般的と言えるのです。
「先進医療以外の治療は高額療養費である程度カバーできるから先進医療の保障だけほしい!」と思っても、医療保険とセットで加入する事をおすすめします。
また、加入している保険の保険証券やこれから加入することを検討している保険のパンフレットなどがお手元にあれば確認していただきたいのですが、終身医療保険の場合それぞれの保障項目の保険料の多くが生涯保険料の変わらない設定となっていますが、先進医療特約は「10年更新」などと記載されているケースが多くなっています。中には「終身」となっているものもありますが稀なケースです。
これは契約から10年経過後も継続していくのであれば「保険料改訂」があることを意味します。
現在の100円程度という特約保険料は、あくまでも今の先進医療の対象技術数や費用をもとに決められたものです。
しかし、将来的に先進医療という制度そのものがどうなっていくか想像がつきません。先進医療が受けられる医療機関が増えれば、わたしたちにとってより身近なものになり利用者が増えるなどといった変化も考えられますよね。
そんな場合には、先進医療特約の保険料自体が更新時に上がるということも可能性として考えられます。
逆に「終身」であれば生涯100円程度のオプション料金で継続できるということです。
まれに複数の医療保険に入っていて、どの医療保険で先進医療を付ければ良いのか決めかねている方もいらっしゃいますが「終身」なのか「10年更新」なのかを選択基準としても良いかもしれません。
4−2.治療費だけではない?最近の先進医療特約事情
最新の医療保険の先進医療特約では、「技術料を通算2,000万円まで保障」というものが一般的になってきています。
「通算」ということなので、仮に何度か先進医療を受けた場合でも2,000万円に達するまでは保障の対象となるのです。
「100円のオプション料金でこれだけの充実の保障内容!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は保険会社によってはまだまだプラスで保障が付いているケースもあるんです。
それは、「先進医療を受けるためにかかる医療機関までの交通費や宿泊費を負担してくれる」という保障です。
先進医療を受けられる医療機関は非常に限られています。そのため、施設に恵まれた地域に住む方と地方に住む方の機会格差が大きいと言われています。
それらを是正するために交通費や宿泊費までカバーしてくれるより充実した先進医療特約が存在するのです。
先進医療特約を付けて医療保険にこれから入るという場合には、この点に注目してみても良いかもしれませんね。
このように、医療技術プラスその他の諸費用も負担してくれる先進医療特約。もし実際に先進医療を利用するとなっても一度きりの負担で終わらない場合も考えられます。そうなったときに「預金で対応する」では限界が来てしまうかもしれません。
やはり、病気になったときに受けられる治療の幅を広げたいとお考えの場合には、預金で備えるより保険で備えておく方が安心ではないでしょうか?
5.がん保険にも「先進医療特約」あり?
医療保険で用意されている先進医療特約についてはご理解いただけたことでしょう。
次にがん保険にセットできる先進医療特約について見ていきたいと思います。
医療保険・がん保険どちらも加入している方やこれから加入しようとしている方は必見です!
5−1.がん保険の先進医療特約の守備範囲とは?
がん保険とは、その名が示すとおり「がん」に特化した保険です。
心筋梗塞や脳卒中などの疾病、糖尿病などの生活習慣病など、病気には様々なものがあるにも関わらず、がんだけが「がん保険」として専門の保険が存在するのはどうしてでしょうか?
それはがんという病気が他の病気に比べて「再発リスク」があり、入院や通院が長期化しやすいという特徴があるからなんです。
現在、がん治療の主流は「手術」「放射線」「抗がん剤」という3つの治療になっています。
がん細胞がまだ手術で除去できるレベルであれば、手術で取り除くという選択がされます。根っこから取り除けるという点では3つの治療の中では最も再発リスクが低いと言われてはいますが、それでも取り残しなどがあればそこから再発・転移などによって再度治療が必要になるケースもあります。
放射線や抗がん剤はがん細胞を殺していく治療方法です。
しかし、これらの方法はあくまでもがんを小さくしていくというものなので、がんを完全に消すという効果は期待できません。そのため、放射線や抗がん剤治療を繰り返し行い治療が長期化するというケースも考えられます。
手術、放射線、抗がん剤治療は一般的には保険適用となる治療ですし、高額療養費制度を使えば平均月8万円程度の治療費で済みますが、その8万円というのも数回の支払であれば何とかやっていけるとしても、それが2年、3年と続いていけば家計のダメージはだんだんと大きくなってくることでしょう。
そんながんの特殊性から「がん保険」が単独で存在しているのです。
医療保険の入院給付支給の限度が60日などと定めがあるのに対して、がん保険には限度日数が存在せず入院し続けている限り給付を受けることができます。このことからもがんは長期戦となることは想像つくことでしょう。
こういったがんのリスクを踏まえて、多くの方ががん保険に加入しています。
最新のがん保険であれば医療保険と同じように「先進医療特約」付加の選択ができるようになっています。
やはり100円程度といった金額設定が一般的です。
その守備範囲は、がんに特化しています。放射線治療の一つである、重粒子線治療、陽子線治療などが対象となってきます。
5−2.先進医療特約の医療保険vs.がん保険
それでは、医療保険とがん保険どちらも加入している場合には先進医療特約はどのような付加の仕方をすれば良いのでしょうか?よくある質問なので、解説していきます。
結論から言うと、どちらか一方を選ぶのであれば迷わず医療保険に先進医療特約を付加してください。
ここまで説明してきた内容からも推測いただけると思いますが、医療保険の方が、がん保険より対象技術の守備範囲が広いからです。
例えば、同一の保険会社で医療保険とがん保険など複数の先進医療特約がラインナップされている保険に加入する場合には、「どれか一つの保険に対してのみ」先進医療特約を付加することが可能です。
もし誤って(もしくは気付かずに)ダブルで先進医療特約付加を選択してしまうと後日保険会社から訂正依頼の連絡が入ります。
保険会社の担当者の案内に沿って手続きを進めている場合には、間違ってもがん保険に先進医療特約を付加するということはないかと思いますが「なぜ医療保険に付加するのか」ということを覚えておいていただければより安心でしょう。
医療保険とがん保険が別会社の契約の場合には、それぞれに先進医療特約を付けることも可能です。
もちろん不要と思えば医療保険だけの選択で良いとは思いますが、例えば「将来的に医療保険をずっと継続していくかはわからない。そのうちにがん保険一本に絞る可能性がある」などという場合には双方に付けておくメリットはあるかもしれませんね。
一般的に、特約は契約時しか付けることができないので、「医療保険を解約して先進医療特約もなくなってしまったので、がん保険で追加の付加をお願いします!」ということは残念ながらできません。
逆に、どちらでもひとまず付けておいて、「必要がないのでやっぱり特約だけ解約します!」というのは可能です。
6.先進医療に備えるときに知っておきたいこと
ここまでの内容を読んで、「先進医療はやっぱり必要かも!」と思い始めた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「高額療養費制度の対象外!預金で備えるしかない!?そんな大金無理なので保険で備える意義有り!」と判断された方もいらっしゃるかもしれませんが、飛びつく前に念のため、先進医療特約を付加する前に知っておいていただきたいことをまとめてお伝えしていきます。
6−1.受けられる治療には大きな地域格差あり!
医療を受ける機会の地域格差は日本の大きな社会問題となっています。保険診療でもこの問題は顕著ですが、もともと実施医療機関が少ない先進医療ではこの問題は更に深刻です。
例えば、がんの治療方法の一つである重粒子線、陽子線治療は極めて受けられる医療機関が限定されています。
平成30年6月現在、重粒子線治療は5施設・5都道府県(千葉県、兵庫県、群馬県、佐賀県、神奈川県)、陽子線治療は14施設・12都道府県(千葉県、兵庫県、静岡県、茨城県、福島県、鹿児島県、福井県、愛知県、北海道、長野県、岡山県、大阪府)となっており、身近に実施機関がないという方も少なくはないはずです。
・重粒子線治療実施施設のある地域
・陽子線治療実施施設のある地域
もちろん、先述のように、先進医療特約の中にはこのような格差是正のために旅費や宿泊費負担もプラスで付いてくるものもあります。
しかし、地域に先進医療に対応している医療機関がない場合には、先進医療技術に対する「情報」も不足しているというケースも少なくありません。
もし先進医療特約に加入していて、何か病気を煩ってしまった場合には「受けられる先進医療があるのに知らなかった!」となってしまっては非常に残念な話です。
先進医療特約は月に100円程度の気軽な掛金のオプションですが、やはりせっかく加入されているのであれば日頃から「先進医療」という言葉にアンテナを立てて情報をアップデートさせていくということも大切です。
毎年対象となる医療技術も改訂されています。「自分の地域には先進医療を行うような大きな医療機関がないから関係ない!」ではなく、「自分は先進医療特約を付けているから、必要があれば日本全国どこだって行ける!」の気持ちで興味を持つことが大切です。
6−2.先進医療特約が100円ちょっとで付けられるにはワケがある!
これまで「先進医療特約は(たったの)100円程度で付加できますよ!」ということをお伝えしてきましたが、実はこの安さには理由があります。
保険は、契約者が負担する保険料と保険会社が給付する保険金のバランス良いところで成り立っているもの。
保険料が安いということは「お得」というよりはむしろ「使える可能性が少ない」と考えるのが筋です。
前述したように、先進医療は実施医療機関が限られている問題などもあり、願っても受けられない場合や、症状が対象の症例と微妙に噛み合わず受けられないなどの問題もあるのは残念ながら事実です。
そうは言っても、「300万円もの高額な治療をも選択肢の一つに含められる安心感は大きい!」と思う方は先進医療特約向きです。
ただし、願っても受けられない場合もあるということを踏まえた上での加入をオススメします。
6−3.複数の保険で先進医療を付けると・・・?
世の中には、「医療保険を数本・・・がん保険を数本・・・」などのように複数の医療保険・がん保険に加入されている方もいます。
通算給付金額や宿泊費・旅費の給付があるかどうかなどの違いがあるため、最も状況の良いものを選ぶのがベストですが、中にはそれぞれの保険が異なる保険会社の保険であるがゆえに全てに先進医療特約をつけているというケースもあるようです。
この場合、どうなるのかというと、すべての保険会社から重複して先進医療給付を受けることが理論上可能です。
4件入っていれば、4倍の額が受け取れてしまうというわけなんです。
ただ、やはり先進医療を実際に利用するケースが稀であることからも「もしものときのお守り」という意味合いが強い先進医療特約ですので、無駄があれば省いてしまって良いのではないかというのが正直なところです。
複数保険に加入している方は再度チェックして重複がないか確認してみても良いかもしれませんね。
7.まとめ
「先進医療とは何か」「先進医療はどう備えるべきか」ということを見てきましたがいかがでしたか?
92種類もの治療方法が認定されている先進医療。ものによっては300万円を超えてくる高額な治療方法もあることがわかりましたね。
先進医療が必ずしもご自身にベストな治療法とは限りませんが、万が一病気になってしまったときにより広い治療の選択肢の中から選ぶことができるということは、ご自身にとっても家族にとっても安心につながることは間違いありません。
人によっては「先進医療特約こそが医療保険やがん保険に加入する最大の意義だ」と主張する方もいるくらい、重用視している方もいるほど。
まずはご自身が先進医療特約に加入しているのかしていないのかということをしっかりと把握することから始めてみましょう!
毎月たったの100円だから・・・という加入の仕方ではなく、自分なりの先進医療特約に加入する意味を考えたり、先進医療特約で可能なことを知っていくということも大切かもしれませんね。