大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2016年6月より保険ブリッジの記事監修を務める。
レーシック手術は年間20万人以上が受けていると言われています。
相場はピンからキリまでありますが、質の高いサービスを提供しているところは40~50万円くらいはかかると言われています。
それでは、全て自己負担になるのでしょうか。
今回は、レーシック手術を受けた場合の保険との関係等についてご紹介しますので、最後までお読みください。
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目次
レーシック手術の基本や詳細
あなたは、レーシックと聞いてどの様なイメージを思い浮かべますか。
レーシック手術は、劇的に視力が回復する。
しかし、もしも失敗すると失明するし、手術は失敗する可能性も高いので怖いと言うようなイメージなのではないでしょうか。
レーシックと一概に言っても、その手術方法にはいくつかの種類があって、それぞれ特徴があります。
レーシックの基本的なこと
目の表面は角膜と呼ばれていますが、レーシック(英語名:LASIK)とはこの目の表面を、混合ガスを使用して発生させるレーザーであるエキシマレーザーによって、曲面を整える事で視力を回復させる手術方法のことをいいます。
わずか15分程度で施術時間が完了するという驚異のスピードを誇っています。
レーシック手術の手順
手術の手順としては次の通りです。
- 点眼麻酔(目薬タイプの麻酔薬)をする
- 器具やレーザー等で角膜表面に蓋の役割を果たす膜であるフラップを作成
- 角膜にレーザーを照射して角膜を変形させる
- フラップを元の位置に戻して蓋をする
- 洗浄して終了
- 目は日常生活にかなりの影響を及ぼす部分なので、わずか15分程度で施術が終わるとはいえ、恐怖心も相当なものと思われます。
ただコンタクトレンズと違いレーシックは、一度施術が終われば費用はそれだけなので経済的です。
また、着け外すという手間もありません。
レーシック手術に向かない人
誰もが目が悪いからと言ってレーシックを受けられるという訳ではありません。
次の方々はレーシックを避けた方が良いという方です。
- 20歳未満の方(成長期にある為視力が不安定です)
- 妊娠・授乳中の方
- 眼疾患がある方
- 眼の角膜が薄い方
- 糖尿病等の疾患がある方
これらの方は、レ―シック前の適応検査(眼がどの様な状態にあるかの検査)で、レーシックが受けられないと伝えられる可能性が高いです。
レーシック手術の費用
現在の私たちの身の回りには、パソコン、スマホなどの情報機器がいっぱいで、目を酷使するため、日本人の視力低下が急速に進んでいます。
多くの人々は視力矯正のためメガネやコンタクトレンズを利用していますが、最近では短時間で手術ができるレーシックに人気があります。
それではレーシックの手術費用はどれくらいかかるかみていきましょう。
レーシックの手術費用は、20万円~60万円が相場
レーシックでの手術を受けるためには手術費用だけでなく、事前の検査代や処方薬代、手術後の検診代なども必要となります。
これらにかかる費用は、一般的にはトータルで20万円~60万円が相場となっています。
また、クリニックによっては、レーシック手術を「両眼で7万円」という格安価格で提供しているところも一部にはあります。
しかし「手術費用が安いから」という理由だけで、決めることは適切とは言えません。
クリニックを選ぶ際は、高度な訓練を専門機関で積んだ担当医がいて、設備やサービスについても充実しているところを選ぶことが大切です。
手術費用は10年以内に回収できる
費用対効果の観点からも、視力矯正法としてレーシックは非常に優れていると言えます。
視力矯正を行う上で、有効な手段とメガネやコンタクトレンズもなりえますが、着け外しに手間がかかることや、着けることに違和感を感じる人も少なくないようです。
費用の面からコンタクトレンズの場合、「1日使い捨てタイプ」の一般的な価格帯を使ったとすると、年間で少なく見積もっても、5万円~6万円の維持費用がかかってしまいます。
仮に、10年間コンタクトレンズを使用したとすると、維持費用は50万円~60万円の費用が掛かります。
レーシックの場合は、初期投資として手術費用が数十万円必要となりますが、10年以内に金額的な面で初期投資分を回収できることになります。
メガネやコンタクトレンズの着け外しの煩わしさから解放され、眼鏡やコンタクトレンズの手入れにかかる時間まで大幅に短縮されます。
レーシックは費用対効果の高い「投資」と言えるのではないでしょうか。
レーシック手術と保険について
レーシック手術は年間20万人以上が受けると言われています。
レーシック手術を受けるなら、少しでも安くお得にレーシック手術を受けてもらうための方法を紹介します。
これからレーシック手術を受けようとしているなら、是非参考にしてみてください。
レーシック手術に保険は使えるのか?
レーシック手術は保険外診療にあたりますので、健康保険が使えません。
ですから、レーシックに関わる費用は全て自己負担となります。
相場は前記したとおり40~50万円くらいはすると言われています。
民間の保険会社が商品として販売しているものが「医療保険」と呼ばれている保険があります。
例えば入院した日数に応じて給付金が1日あたり5,000円~1万円が出て、手術をしたときにはその手術に応じて給付金が支給されるという保険です。
もしレーシック手術の費用の一部が給付されたらありがたいですよね。
レーシック手術に医療保険は適用されないのかと言いますと、あなたが入っている医療保険の契約がどのようになっているのかによって変わってきてしまいます。
あなたが今の医療保険に入った年代によって、医療保険が適用されるかどうかが決まってしまいます。
保険加入が2007年4月より以前か以降かによって違う
2007年4月以降に、あなたが医療保険に加入しているのであればレーシックが保険の「対象ではない」可能性がかなり高いといえます。
これは大幅な改訂が2007年4月にあって、医療保険の保障対象からレーシック手術が除外されるようになってしまいました。
改訂の主な理由は、保険の悪用とも思われる行為があったためです。
それまではレーシックは保障の対象でしたが、保険にレーシックをするために入って、手術が終わると保険を解約する人がいて保険会社が問題にして契約の改訂を行ったと言われています。
しかし、2007年4月以前だから必ず保障対象になっているとか、それ以降だから保障の対象になっていないとは言えません。
保険会社によって保障内容が異なりますので、保障内容については、加入している保険会社に問い合わせることが必要です。
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レーシックの手術費用は医療費控除の対象となる
レーシックに保険は使えないのかと、がっかりしてしまったのではないでしようか。
しかし保険以外にもお得にレーシックを行うことができることできる方法があるのです。
それは医療費控除を受けるということなのです。
レーシックの手術を受けると数十万単位の費用が掛かります。
年間で10万円を超えた医療費がある場合は医療費控除が使えます。
医療費控除は、年間で10万円以上の医療費が掛かった場合には、その年の所得から超えた分を差し引くことができるという制度なのです。
課税所得が医療費控除を受けることで低くなります。
翌年の住民税の額を決めるのは所得に応じてです。
医療費控除を受けて課税所得が下がることで翌年の住民税も安くなります。
更に、それまでに支払っている税金についても還付されるのです。
還付金額や所得税の額については、所得税率によって異なりますので一概に幾らとは言えません。
しかし、医療費控除の申請によって税金が還付されたり、翌年の住民税が安くなる可能性は高いので、医療費控除を行って損はしません。
また同じ世帯の医療費控除として家族の医療費も申請ができるため、もし、家族がレーシックを行った場合でも医療費控除を行って還付金や税金を安くすることをおススメします。
この医療費控除を受けるためには、会社員の方であっても確定申告をする必要があります。
確定申告ネットで書式をダウンロード、もしくは直接打ち込んで書類を作成も出来ます。
また、医療費控除の提出書類が平成29年度から簡素化されています。
次は国税庁のホームページに記載されている医療費控除の際の提出書類の簡素化の内容ですから、参考にしてください。
平成29年分の確定申告から医療費控除を受ける場合には、「医療費控除の明細書」を提出することにより、「医療費の領収書」の提出又は提示は不要となりました。
「医療費控除の明細書」には、「医療費の領収書」等に記載された次の事項を記載します。
「医療を受けた方の氏名」、「病院・薬局などの支払先の名称」ごとにまとめて記入することができます。① 医療を受けた方の氏名
② 病院・薬局など支払先の名称
③ 医療費の区分
④ 支払った医療費の額
⑤ ④のうち生命保険や社会保険などで補填される金額
※1医療費控除の内容を確認するため、「医療費の領収書」の提示又は提出を求める場合がありますので、確定申告期限から5年間、ご自宅等で保管してください。
※2経過措置として、平成31年分の確定申告までは、医療費控除の明細書の提出に代えて、医療費の領収書の提出又は提示によることもできます。
医療費通知(医療費のお知らせなど)を提出することにより、明細書が簡単に作成できます。
「医療費通知」(医療費のお知らせなど)を添付する場合、「医療費通知」に記載された医療費の合計額を医療費控除の明細書に記載することができます。
※医療費通知とは、医療保険者が発行する以下の全ての事項が記載された書類をいいます。
(後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合は③を除く)
①被保険者等の氏名
②療養を受けた年月
③療養を受けた者
④療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
⑤被保険者等が支払った医療費の額
⑥保険者等の名称
(注)全ての事項の記載がない通知は「医療費通知」として利用できませんので、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」に記入してください。
出典 国税庁ホームページ
迷ったら税務署の方に相談しながらも作成できますから、時間があれば税務署にお出かけ下さい。
医療費控除の還付の申告期限は5年ですから、もし、今から5年前の間に手術をしていて医療費控除の申請をしていなかった場合は、申請することをおススメします。
医療費控除申請に必要な他の書類等については、税務署にお問い合わせください。
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可能であれば、2社3社、あるいは2名以上のFPに話を聞き、様々な商品に触れてより良い保険を選択できるのがベストだと言えます。
レーシック手術費用を抑えるための方法
レーシック手術費用を、医療保険が適応されなくても抑える方法について紹介します。
医療保険の手術給付金の対象になるかの確認
前記3.2でも紹介しましたが、2007年4月より前に医療保険を契約した場合は、手術給付金が受け取れる場合があります。
自分の加入している医療保険の保障内容について、手術をする前には必ず確認してください。
高額療養費
高額療養費とは、医療費の1カ月にかかる自己負担額に上限が決められていて、それを超過した分が給付されるものです。
年齢(70歳未満か70歳以上)と、年収によって上限額は決められております。
70歳未満で年収約370万円~約770万円の人では約9万円です。
レーシック費用はこの制度を利用することによって、かなり抑えることができます。
紹介制度や学割などの各種割引の利用
クリニックによって内容は変わりますが、レーシック手術を行う際に、紹介制度や学生割引がある場合があります。
紹介制度はレーシック手術を受けた人が他の人に自分の手術を受けた病院を紹介すると、紹介された人の手術費用が数万円単位で安くなったり、紹介した人にも謝礼が出る場合があります。
その他クリニックによって学割や家族割引など様々な割引がありますから、色んなクリニックのホームページなどで確認してください。
レーシック手術の年齢制限
レーシック手術に年齢制限はあるのでしょうか。
日本眼科学会が定める屈折矯正手術のガイドラインを紹介します。
レーシック適応年齢の下限は18歳
レーシックの適応年齢は、日本眼科学会が定める屈折矯正手術のガイドラインによれば、18歳以上であります。
また、未成年者は親権者の同意が必要となっています。
レーシック適応年齢の上限はなし
レーシックの適応年齢の上限について、日本眼科学会が定める屈折矯正手術のガイドラインでは、定めていません。
ただし、クリニックによっては「65歳以上は不適応」などの上限を設けている場合がありますので、受診するクリニックで確認してください。
レーシックは25歳〜34歳がベストタイミング
次のような理由によって、25歳〜34歳がレーシックには適応年齢と考えられます。
- 近視の進行が落ち着いている可能性が高い年齢層である
- まだ老眼が進行していない可能性が高い年齢層である
レーシックを20歳未満には強く推奨できない理由としては、まだ近視が進行している年齢であり、レーシックをしても視力が下がる可能性があるため。
レーシック手術で、近視の進行を止めることはできません。
20歳前後で一般的には近視の進行は落ち着くと言われています。
近視の進行が落ち着いた年齢になってからレーシックを受けるべきではないでしようか。
また、40歳以上にはレーシックを強く推奨できない理由としては、40歳以上の場合は老眼が進行している可能性があります。
実は老眼が進行しているのに、近視のために近くが見えているだけということがあります。
もし老眼なのにレーシックを受けた場合、近視を取り除いてしまったために、老眼の症状が浮き彫りになる可能性があります。
40歳以上でレーシックを受けたい人は、老眼・白内障を考慮してから受けるべきかどうかを検討すべきであると言えます。
レーシック手術のリスク
レーシックは保険診療ではないため、「宣伝合戦」や「価格競争」という日本の医療界ではあまり馴染みがないことが生じています。
その結果、費用を他の病院より安くしようとした眼科が滅菌業務を疎かにするなど、大きな事件も発覚しました。
確率は低いと言ってもあくまでも”手術”なため、リスクが全くないとは言い切れません。
どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
近視の戻り
手術後は以前と比べると確かによく見えていますが、しばらく経つと、裸眼視力0.7未満という軽い近視を患うことがあります。
レーシック手術は近視を矯正するためにゴムボールのような眼球の角膜を削り、角膜を薄くすることによって屈折を変える手術です。
手術によって角膜が薄くなると、眼球内圧によって薄くなった箇所が圧迫され、角膜のカーブが少し強まることによってまた近視化すると言われております。
他にも、角膜の上皮の厚みが施術後増すことによって、当初思っていたより近視化するという説もあります。
ドライアイ
角膜にフラップを作る時は、角膜の知覚神経を切ります。
このため、ドライアイをレーシック術後に来たしやすいと言われております。
ドライアイは点眼でほとんどの場合治療可能です。
角膜混濁
一時的に手術後、角膜が濁り視力が出づらくなることがありましたが、最近の手術では滅多におこるということはありません。
万が一起こった場合はほとんどの場合は、抗炎症剤を点眼することで治療が可能となっています。
医原性の角膜不正乱視
最も警戒すべき、レーシック後の合併症の一つです。
特に発症しやすい方の特徴は、
角膜後面のカーブに異常がある方。
万が一発症してしまった場合は、コラーゲンクロスリンキングと呼ばれる方法で角膜を固くし、進行を抑制します。
また視力回復法としては、
- 角膜移植
- 角膜内リング
- ハードコンタクトレンズ装用
などが挙げられます。
この合併症を防ぐために1番大事なことは、ちょっとでも角膜後面に異常が見られた方はレーシックを行わないことです。
ハローグレア
角膜を削る手術のレーシックは、削った部分と削っていない部分では当然ながら、段差ができます。
そのため、夜の暗闇などで瞳が大きくなると、滲んだりぼやけて見える可能性があります。
こういう風な現象をハローグレア現象と言います。
しかし、時間が経つにつれてほとんどの方は脳が順応してきますので、気になることはなくなります。
フラップトラブル
レーシック手術の流れは角膜にフラップを作り、角膜にレーザーを照射して削り、最後にフラップを元に戻します。
ところが、まれに皺がフラップに入ったようになって固定されてしまう場合があります。
そんな時は再度フラップをあけて洗浄し、綺麗にしてから戻せば心配ありません。
感染症
感染症は手術である以上、全くないとは言えません。
万一の場合は、抗生剤の点滴等での加療となりますが、術後の点眼などは医師の指示に従って下さい。
レーシック手術のメリット・デメリット
レーシック手術にはメリットとデメリットがあります。
レーシック手術を受ける前に正しい知識を身につけて、正しい手術を受けましょう。
レーシック手術のメリット
レーシック手術の最大のメリットは、裸眼で生活ができるようになることです。
主なメリットは次のとおりです。
- すばやく安全に視力の回復ができる。
- コンタクトや眼鏡の無い日常生活が送れる。
- 点眼麻酔をおこなうため、痛みを術中はほとんど感じることがない。
- およそ15分程度という短時間の手術時間で、入院する必要がない。
- 手術の後すぐに視力の回復を感じることができる。
- 手術は両眼同時が可能のことから、両眼の視力回復が1日で可能である。
レーシック手術のデメリット
医師や専門家による正しい手法を用いないと、非常に安全で簡単に視力回復ができるレーシック手術は、逆にデメリットが発生する可能性があります。
主なデメリットとしては、つぎのことがあげられます。
- 近視が残る場合がある。
- 二重にものが見えることがある。
- 後遺症としてドライアイ、視界のぼやけなどが起きる場合がある。
- 合併症や感染症を引き起こす場合がある。
実績のある医師の手術を
レーシックはレーザーを角膜に照射することで視力回復の効果が期待できる手法です。
しかし、「一度レーシックをした角膜はレーシック前の状態には戻せない」ということです。
再手術ができないというわけではありませんが、何度も手術を行うことは感染症や合併症のリスクを伴います。
それを防ぐために重要なことは、実績、経験の多い医院で行うことなのです。
患者さん一人一人によって目の状態は違いますから、実績の多さはそれまでのデーターの蓄積があります。
経験の豊富さから患者さんの症例にあった方法を提示してくれます。
あなたが、レーシックを受けようとしているクリニックのレーシック実績について確認することが必要です。
まとめ
海外に行って眼鏡を掛けているのは日本人と言われるほど、日本人の多くの方が近視で眼鏡やコンタクトのお世話になっております。
レーシック手術で近視を治すことができれば、眼鏡やコンタクトをつける煩わしさから逃れることができるので魅力的な手術です。
しかしレーシック手術には健康保険は適用されませんし、現在は生命保険の医療保険も適用されなくなっています。
でも、高額療養費の制度を利用したり、税金の医療費控除を申請することによって、経済負担を少しでも減らすことがお分かりになられたのではないでしょうか。