大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2016年6月より保険ブリッジの記事監修を務める。
生命保険が本当に不要かどうかは、一人一人の人生設計によって違います。
今回は生命保険の仕組み、不要という方の意見を解説した上で、あなたの人生設計に、本当に生命保険が必要かどうかを一緒に考えていきたいと思います。
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目次
生命保険不要論とは
将来に備えて入る生命保険ですが、入らない方がいいという声も聞こえるようになってきました。
生命保険に加入しないことでどのようなメリットがあるのか、考えていきましょう。
貯蓄型保険より普通に貯蓄がいい
まず、普通に貯金をした方が貯蓄型保険に入るよりお金が溜まります。
貯蓄型生命保険は確かに返戻金があります。
しかし、普通の貯蓄と比較すると以下のようなデメリットがあります。
- 払い込み期間満了の前に解約すると払った金額の一部しかもらえない
- 一時所得として税金がかかる
これらについて、順を追ってみていきましょう。。
まず、解約返戻金は保険に加入した期間に応じて金額が決まります。
しかし、加入してから支払いを終える年まで払い込まなかった場合は、受け取れる額が100%を切ってしまいます。
もし毎月保険料を支払うお金を貯金に回していれば、そのお金はそのまま100%残っていたはずです。
貯蓄に重きを置くならば、普通に貯蓄するほうがよいといえますね。
また、満期まで返戻金を支払った後は、支払った額以上の返戻金をもらえる保険があります。
ですが、その場合は保険金に所得税が課せられます。
課税所得額=(保険金+配当金-払込保険料総額-50万)×1/2 |
所得税は累進課税なので、受け取れる保険金が高くなればなるほど多く税金がかかります。
この2点を踏まえると、普通に貯金をした場合のメリットが理解できます。
- 貯蓄の途中で貯金を取り崩しても大丈夫。
- 税金がかからない
やはり、貯蓄のほうが貯蓄型保険より資産を築くには有効といえます。
生命保険は早く入るほど損!?
生命保険は入る人の年齢が若ければ若いほど損といえます。
そもそも保険の本質は、貯蓄で備えられない事態に対応するために作られたものです。
昔は不慮の事故や犯罪、食糧難など命を脅かす危険がたくさんありました。
しかし、いまの時代は普通に暮らす分にははるかに安全になっています。
若い人に関していえば死亡リスクはかなり低いでしょう。
実際、先ほど掲載した予定死亡率を見直してみると、現在の30歳は10年前の20歳より死亡率が低いです。
2018年 30歳の予定死亡率 | 0.68% |
2007年 20歳の予定死亡率 | 0.84% |
今後も医療技術は発達し、予定死亡率は低下していくでしょう。
そう考えると、死んでしまう危険がないのに保険に入るのはお金の無駄になってしまいます。
それならば、若い頃は貯蓄や投資をしていった方が賢いお金の使い方といえるかもしれません。
日本は公的保険制度が充実
また、日本には年金制度や介護保険といった社会保障制度があります。
年金制度 |
払った期間に応じて年金を受け取れる。 65歳からもらえる老齢年金 障害をもった時にもらえる障害年金 加入者の遺族がもらえる遺族年金 |
健康保険(国民健康保険) |
医療費の負担を軽減 6~69歳 3割負担 70歳以上 2割負担 75歳以上 1割負担 |
雇用保険 | 失業者が就職困難であったり、就業訓練を受けたときに受給できる |
給与から天引きされているから自覚しにくいですが、私たちはこういった社会保障を受けるために様々な税金を払っています。
そのお陰で生活のあらゆるトラブルに公的扶助を受けられます。
必要性から考えても、わざわざ民間の生命保険に加入するメリットはなさそうです。
必要な時だけ、必要な保険に入る
生命保険を不要という方でも、場合によっては掛け捨て型の生命保険に加入する利点は認めています。
- 保険料が低い(余計な費用がかからない)
- お金が必要な期間(子供の教育費など、)に頼れる人(両親がいない場合など)だけ加入できる
貯蓄型に比べると、払った保険料が一切帰ってこない掛け捨て型は損な保険に思えるかもしれません。
しかし掛け捨て型は保険料が安い分、お金を他のことに使えますし、必要がなくなったらスッパリやめられます。
保険はあくまで保険として扱い、貯蓄などの資産形成は別で行うのであれば掛け捨て型生命保険がよいということになります。
また、保険の無料相談所を利用してプロの意見を無料で聞き、比較・検討するのも一つの手。
訪問型で選ばれている保険見直しラボなどがおすすめですが、相談所を利用する前に、あなた自身もある程度の知識を身につけておくと、よりスムーズに自分に最適な保険が見つかりますよ!
それでも生命保険が必要と言われる理由
しかし、生命保険に加入している方は現実に多くいます。
また、不要論の方も全ての保険を否定しているわけではありません。
ここでは貯蓄にはない、保険に入ることで得られるメリットをお伝えします。
節税効果は生命保険ならでは
生命保険に加入することで節税することができます。
生命保険控除制度があることはお伝えしましたが、所得税と住民税について、以下のような控除が受けられます。
所得税控除額(平成24年1月1日以降に契約した保険に適用)
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等と同額 |
20,000~40,000円 | 支払保険料等÷2+10,000円 |
40,000~80,000円 | 支払保険料等÷4+20,000円 |
80,000円以上 | 一律40,000円 |
住民税控除額(平成24年1月1日以降に契約した保険に適用)
年間の支払保険料等 | 控除額 |
12,000円以下 | 支払保険料等と同額 |
12,000~32,000円 | 支払保険料等÷2+6,000円 |
32,000~56,000円 | 支払保険料等÷4+14,000円 |
56,000円以上 | 一律28,000円 |
上記を元に、年収300万円の人が控除でどのくらいとくをするか計算してみましょう。
払い込み保険料が平均の1万6,400円だとすると、
16,900円の保険料 ⇒ 同額の控除 ⇒16,400円 × 10%(所得税率)= 1,640円
16,900円の保険料 ⇒ 同額の控除 ⇒16,400円 × 10%(住民税は一律) =1,640円
計 3,280円
払った保険料の20%ほどが税金控除で浮く計算になります。
もちろん、所得税に関しては年収が上がれば税率が上がり、より節税効果が上がるでしょう。
また、生命保険は相続税対策としても使えます。
保険金の受け取り人を被保険者(亡くなる人)自身にすることによって、保険金を相続財産として受け取れるようにできます。
500万円×法定相続人= 保険金の非課税額
相続財産が大きい場合は、生命保険を使って相続税を安くすることができるのです。
こういった点も、生命保険に加入する上で見逃せないポイントになります。
生命保険は人生設計がしやすい
生命保険(特に終身型)は加入すれば、どのくらいの費用がかかるか、老後にどのくらいの返戻金をもらえるかがハッキリ分かります。
自分で貯蓄する方がいいといっても、自力で定期的にお金をため続けるには強い意志が必要です。
今月くらいは貯金しないでいいかな・・・と気持ちが緩んでしまうこともあるでしょう。
貯蓄型生命保険に加入すれば、契約である以上しっかり払う必要があります。
払えなかった場合は保険契約が切れてしまうので、中だるみすることなく計画的にお金を貯められるでしょう。
生命保険に加入するほうが、ライフプランに見通しは立てやすいです。
公的保険制度も変わるリスクがある
日本社会は超高齢化社会になりつつあり、今後は社会保障制度も変わるおそれがあります。
実際、1973年には老人医療費支給制度が設立され、70歳以上の方は医療費が無料になった時期がありました。
しかし、その10年後には制度が中止され、現在の制度に落ち着いています。
現在も所得が現役並にある方は年齢に関係なく3割負担になっています。
公的保証制度は税金によって運営されていますが、若い世代が減っていけば税収も減ります。
年金制度や医療保険も変わる可能性を視野に入れるべきです。
「国の保障制度があるから大丈夫だよ。」と思っていると手痛いしっぺ返しをくらうかもしれません。
自分で自分を守るためにも民間の保険に加入することを検討しましょう。
現在の保険加入状態
現在の日本では、多くの方が何らかの生命保険に加入しています。
出典:平成28年度 生命保険文化センター 生活保障に関する調査
30歳を越えてからは、保険に加入する人が8割を下回ることはありません。
日本社会の不安によるものか、ライフプランニングのためかは分かりませんが、世界的に見ても日本の保険加入率は非常に高いです。
生命保険が不要か人生設計で考える
「みんなが入っているなら、やっぱり入ったほうがいいじゃないか?」と思われるかもしれませんが、生命保険は一長一短であることはこれまでお伝えした通りです。
無駄なお金を払わなくてもよいなら、払わないに越したことはありません。
最後に生命保険不要論の考えを、ケースに当てはめてみましょう。
貯蓄ができるなら不要
改めて強調しますが、自分で貯蓄をすることが一番の備えになります。
貯蓄型生命保険の返戻金が100%を超えるのは、保険会社が投資などで資産運用するためです。
ですが、資産運用するだけならば投資信託で運用してもらうことで返戻金の貯蓄より早く、多く資産を増やせる可能性があります。
また、起業などの自分の新たな挑戦に使うのも良いでしょう。
生命保険で貯蓄するならば、10~30年間ずっと保険料を払い続ける必要があります。
その間に転職活動や病気など、収入が途切れる期間もないとはいえません。
自分の貯蓄であれば柔軟に対応できるため、決断に困ることもないでしょう。
健康状態に自信があるなら不要
生命保険は「死に備える」保険です。
もし自分に自信があるならリスクは限りなく低くなるため、入る必要性自体がなくなります。
浮いた保険料の分で食生活や運動など健康的な生活を送るよう心掛ければ、中年期になっても健康体を維持できるでしょう。
最近はサプリメントも充実してきているので、医者に世話にならない体作りを楽しむのも手段の一つです。
リスクに怯えてお金を払うより、リスクに立ち向かえる体を自分で作る方が、考え方としてもポジティブで望ましいといえます。
養う家族がいないなら不要
生命保険を必要とする人がいない場合も、生命保険は不要です。
子供が既に成人して働いていれば、自分で生きていけるため必要性がないのです。
仮に親が家のローンを残して死亡したとしても、子供はローンを支払うことを拒むことができます。
限定相続 =相続する財産と債務を清算して、残った財産のみを相続する
相続放棄 =全ての財産と債務を放棄する
保証人などになっていない限り、子供は親の財産の範囲内で借金を返せばいいのです。
そして、借金が高額であれば相続放棄をすれば金銭的負担は全く生じません。
自分が亡くなることで借金が子供の負担になることを不安に思う必要はないのです。
他の保険に入っているなら不要
医療保険などの保険に入っているなら必ずしも必要とはいえません。
お金が必要になる場面の多くは「人が生きている時」です。
人は生きている限り病気やケガを繰り返して生きていくのに対し、死亡するのは1回です。
老後の資金作りに貯蓄型生命保険を、という考え方もあります。
しかし、そもそも解約することを前提に生命保険に入るより。医療保険に入るほうが理にかなっています。
医療保険であれば必要に応じて保証を受けられますし、解約する必要もありません。
自分が亡くなった時に家族を支えてくれる生命保険よりも、手厚い治療を受けて病気を治し、家族を支えられる自分に戻る医療保険の方が保険に入っている人もありがたみを感じられます。
保険に入るにしても、他の保険に加入することで代わりが効くならば、生命保険の加入は見送ってもよいでしょう。
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保険に限らずどの業界でも同じことが言えますが、担当してもらう人の質はやはり運という部分も無きにしもあらずです。
保険に限って言えば、保険の相談を何年もしてきている人もいれば、経験の浅い新人に担当される場合もあるでしょう。
こればかりは仕方がないことでもありますので、時間が許す限り、様々な代理店で相談をしてみることに損はありません。
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複数の商品を知れるメリット
さらに、担当して下さる方によってはあなたに勧めてくる保険の商品も異なってくる可能性も十分にあります。
しかし、保険会社や保険商品は今や五万とある時代。
同じ商品を勧めて来られるほうが稀かもしれません。
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勧めて来られるからには理由があります。
あなたにとってのベストな選択肢が増えることはメリットでしかないでしょう。
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取扱い保険会社の数が多い窓口を選ぶ
保険会社を1つでも多く取り扱っていれば、それだけ選択肢が増えます。
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可能であれば、2社3社、あるいは2名以上のFPに話を聞き、様々な商品に触れてより良い保険を選択できるのがベストだと言えます。
そもそも生命保険ってなに?
ここまで生命保険の是非を問うてきましたが、そもそも保険とはどういったものなのでしょうか。
保険に入った人が亡くなった時にお金が入り、家族が助かるものであるということはご存知かもしれませんが、そもそもその仕組みがどういった考えのもと作られたのか、どういう仕組みのものなのかを分かっている方は多くありません。
ここでは生命保険の基本的な考え、仕組みについてお話ししていきます。
保険の基本は「相互扶助」
保険の考えかたの基本は「相互扶助」です。
中世ヨーロッパで働く人々の集団「ギルド」で、共に働く仲間を助けられる仕組みとして生まれました。
人生は何が起こるか分かりません。
明日には事故で亡くなるかもしれないし、仕事をなくして収入がなくなるかもしれません。
もちろん、もしものことを考えて貯金はするかもしれませんが、貯蓄が十分にな前にアクシデントに見舞われるかもしれませんし、そもそも職を失ってしまうことも考えられます。
そういった心配を解決するために、生活の心配がある人が共同して資金を提供し、もしもの時は加入者が集めた資金から保険金を出して助ける、そういった考えのもとに作られました。
そのため、保険は加入してすぐにアクシデントが起こった場合でもすぐに保険金がもらえます。
この点で、「保険は四角、貯金は三角」というのですね。
現代になって、保険の種類は様々になりました。
病気、自然災害、自動車事故、盗難、様々なアクシデントに対応した保険があります。
それぞれ、自分の生活環境に潜むリスクに対応するために保険が作られたのですね。
生命保険は人の死への備え
そんな保険の中でも代表的な存在である生命保険は、加入した人(被保険者)が死亡した時に遺族が保険金を受け取れる商品です。
家計を支える人が一人だった場合には、生命保険はとても助かる保証です。
生命保険の値段は、基本的に加入年齢の上昇に伴って保険料が高くなります。
これは高齢になればなるほど、人の死亡リスクが高くなるためです。
保険は加入してすぐに保険金がもらえますが、アクシデントに遭遇しやすい方が同じ金額で保険に加入すると、保険制度が成り立ちません。
そのため、保険の種類に応じて年齢や病歴が保険料を決定します。
このように保険料とリスクは切っても切れない関係なのです。
公的保険との違い
保険の中には、国によって運営されている公的な保険制度もあります。
その中でも民間の企業による生命保険と比較しやすいのは、遺族年金制度です。
遺族年金制度と比較した場合、民間の生命保険がもつ特徴は以下のような違いがあります。
- 任意加入である
- 税金が一部免除
- 保険の種類が豊富
日本は国民皆保険制度といって、国民全員が公的保険に強制加入します。
それに対し民間の生命保険は入るか入らないか、またどこの保険会社を選ぶかも自由です。
また、民間の生命保険に加入している場合は、生命保険料控除制度を利用できます。
この制度は払い込んだ生命保険料に応じて、所得税と住民税の一部を控除してもらえる制度です。
生命保険の種類
民間の生命保険は自由度が高いです。
というのも、保険会社は営利事業として保険を売っています。
そのためには、様々な保険を作り人々のニーズを満たすことで保険の加入者が増えます。
ここでは生命保険の種類やその性質も踏まえて紹介します。
掛け捨て型
生命保険の中でも、掛け捨て型生命保険を「定期型生命保険」といいます。
- 加入してから一定期間のみ保険の保証を受けられる
- 返戻金、満期金はない場合がほとんど
- 期間満了後も保険が必要な時は更新が必要(更新の度に年齢が高くなるため保険料は高くなる)
基本的な考え方としては、保険はあくまで「もしもの」場合が起こった時にのみ役立つものであり、常時必要なものではない、というものです。
他の生命保険と異なり、保険対象の死亡が起きた時以外にはお金を受け取れるシチュエーションはありません。
その代わりに、他の生命保険に比べ月額の保険料が安く、受け取れる保険金も高めに設定されているというメリットがあります。
貯蓄型
生命保険の中でも「終身型生命保険」は、その性質から貯蓄型生命保険と呼ばれています。
- 加入日から死亡するまで保険に加入する
- 解約した場合でも加入期間に応じた返戻金を受け取れる
- 加入時の保険料がずっと続く
終身型生命保険は、加入した時の保険料がずっと続くという特徴があります。
そのため、若い時に保険に入っておけば、老後の保険料は定期型生命保険よりも安くなります。
また、老後にお金が必要になって保険を解約した場合でも「解約返戻金」として払った保険料が戻ってきます。
中には支払い期間を満期になった後に解約すれば、支払った保険料以上のお金がもらえるものもあります。
この返戻金のことを指して、貯蓄型生命保険と言われいるのですね。
両方の性質をもった養老保険
大多数の方は、この二つの生命保険に加入しています。
ですが、最近は養老保険という両方の性質を備えた保険も登場しています。
- 加入してから一定期間のみ保険の保証を受けられる
- 解約した場合でも加入期間に応じた返戻金を受け取れる
- 保険が満期(契約が切れる日になった)場合、満期金を受け取れる
途中で契約を打ち切った場合は返戻金をもらえ、死亡せず期間を満了した場合は満期金がもらえます。
払う保険料は貯蓄型と同じく定期型より高めで、受け取れる保険金は定期型より低いです。
しかし、定期型のように払った保険料が掛け捨てにならないという点ではメリットがあります。
様々なオプション(特約)
生命保険には本体となる契約とは別に、オプションとして取り決めを行うことができます。
リビング・ニーズ特約 |
被保険者が余命6ヶ月以下と診断された場合、保険金の一部を生前に受け取れる。 メリット:医療費を捻出しやすくなる、余命を充実させることができる。 |
災害割増特約 |
不慮の事故、自然災害で被保険者が死亡した場合に、保険金が割り増しされる。 メリット:災害に遭遇しやすい環境にいる場合、手厚い保護を受けられる。 |
定期保証特約 |
一定期間内のみ、死亡した場合の保険金を増額して受け取れる。 メリット:終身型生命保険でも定期型と同等の保険金を受け取れる。 |
メインの生命保険に加入することが前提条件ですが、特約を設けることでより多くの事態に備えることができます。
あくまでオプションなので、本体の生命保険に比べて特約の価格は低めになっています。
最近の生命保険の相場は?
生命保険の種類や仕組みは分かりましたが、具体的な値段はどのくらいなのでしょうか?
先ほど少しお伝えした通り、保険料は保険に加入する人の死亡リスクに応じて設定されます。
ここからは保険料の仕組みと、相場をお伝えします。
生命保険は3つの予測を元に設定される
生命保険は「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」を元に設定されます。
保険料はリスクを元に計算されることは先ほどもお伝えした通りですが、死亡率以外の色々な要素が絡み合っています。
保険の会社も、利益を上げるために保険料の見積もりを綿密に行っています。
加入する人を増やすには安い保険料であるほうが有利である一方で、将来の社会が大きく変わった場合のことを考えて多少高めの料金設定にしておく必要があります。
予定死亡率
予定死亡率とは、過去の統計を元に年齢・性別ごとの死亡率を判定したものです。
死亡率が低い方が保険に加入してくれれば、保険金を支払うリスクは低くして保険料をもらえます。
そのため、予定死亡率が低い人ほど保険料が低くなる傾向があります。
近年は医療の発達によって、平均寿命は上昇傾向にあります。
標準生命表
年齢 | 2018年死亡率 | 2007年との割合 | 2007年死亡率 |
20歳 | 0.59 | 70 | 0.84 |
30歳 | 0.68 | 79 | 0.86 |
40歳 | 1.18 | 80 | 1.48 |
50歳 | 2.85 | 78 | 3.65 |
60歳 | 6.58 | 78 | 8.34 |
70歳 | 15.44 | 70 | 21.93 |
80歳 | 50.06 | 83 | 60.39 |
引用:日本アクチュアリー協会「2018標準生命表」
表の通り、今の日本社会に生きる人の死亡リスクは、10年前に比べて約20%減っていることが分かります。
そのため、保険会社によっては生命保険の保険料は安くなる傾向にあります。
一方、存命期間が長いぶん病院にかかる機会は多くなると考えられます。
そのため、医療保険は高くなっています。
予定利率
保険会社が運用するお金がどの程度の利率で増えるかを予測した数字が予定利率です。
予定利率が高いほど、運用により利益が増える=保険料が低くなるという関係になります。
この予定利率は、保険会社が自由に決められるわけではありません。
金融庁によって標準利率という統計が出され、それを元に各保険会社が予定利率を計算します。
標準利率
2017年 | 1.0% |
2013年 | 1.5% |
2001年 | 2.0% |
1999年 | 2.7% |
このように、標準利率は年々低下する傾向にあります。
バブル経済の時期の生命保険は経済が好況だったため、予定利率が高く保険料が安くなっていました。
この時期に終身型生命保険に加入している方のなかには「逆さや」と呼ばれる恩恵を預かっている人もいます。
「逆さや」とは保険の運用でかかる費用が保険料の収入を上回るり、保険会社の方が損をしてしまうケースのことです。
こういった保険は「お宝保険」と呼ばれ、現在の同レベルの保険商品に対して割安なため重宝されています。
予定事業費率
保険会社が企業を運営するために必要な費用の見積もりのことをいいます。
保険会社も企業である以上、人件費や保険の管理費用などでお金がかかります。
ここでは大和総研から出ている保険ごとの事業費の統計を見ていきましょう。
表を見てみると分かる通り、予定事業費率の傾向は一概にはいえません。
ですが、保険会社を選ぶ時にはインターネット保険会社の方が予定事業費率は低いと考えられます。
大手保険会社は規模が大きい分、不動産や従業員が増え、費用も膨れます。
一時期、インターネット保険が登場い話題になったことがありました。
営業マンが営業活動する費用を削減できる分、インターネット保険は予定事業費が低くなります。
そのため保険を安く売れる、という結果につながります。
毎月かかる保険料は平均1.64万円
さて、肝心の保険料の相場については生命保険文化センターの資料をもとに見ていきましょう。
年間保険料平均額
年間払込保険料-全生保(個人年金保険含む) | (単位:%) | ||||||||||
N | 12万円 未満 |
12~2 4万円未 満 |
24~3 6万円未 満 |
36~4 8万円未 満 |
48~6 0万円未 満 |
60万円 以上 |
わからない | 平均 (万円) |
|||
全体 | 2,943 | 34.9 | 32.6 | 14.8 | 6.2 | 2.2 | 3.9 | 5.4 | 19.7 | ||
性別 | |||||||||||
男性 | 1,234 | 26.7 | 33.6 | 16.7 | 9.5 | 2.9 | 5.2 | 5.4 | 22.8 | ||
女性 | 1,709 | 40.8 | 31.8 | 13.5 | 3.7 | 1.8 | 3.0 | 5.4 | 17.4 | ||
年齢別 | |||||||||||
18~19歳 | 24 | 83.3 | 12.5 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 4.2 | 5.7 | ||
20歳代 | 200 | 48.0 | 34.5 | 10.5 | 2.5 | 1.0 | 0.5 | 3.0 | 13.2 | ||
30歳代 | 540 | 35.2 | 37.2 | 13.9 | 4.6 | 1.5 | 2.8 | 4.8 | 17.5 | ||
40歳代 | 757 | 30.6 | 32.0 | 17.8 | 6.7 | 2.4 | 4.5 | 5.9 | 21.1 | ||
50歳代 | 639 | 23.5 | 32.9 | 18.8 | 8.9 | 3.8 | 5.8 | 6.4 | 24.3 | ||
60歳代 | 783 | 43.2 | 29.8 | 11.0 | 5.5 | 1.8 | 3.7 | 5.1 | 18.2 |
引用:生命保険文化センター「平成28年度生活保証に関する調査 第Ⅵ章生命保険加入状況」
上記の通り、全体の平均保険料は19.7万円(月16416円)となっています。
その中でも多くの方は年間12~24万円(月1~2万円)の人が最も多く67.5%となっています。
個人年金保険や医療保険など、生命保険とは異なる保険も含めてのデータではありますが、毎月1.6万円で保険をやり繰りする考え方が一般的ということになります。
まとめ
生命保険は必ずしも必要とはいえない理由がおわかりいただけたでしょうか。
日本人のおよそ8割が加入してからといって、それが合理的であるとはいえません。
人にはそれぞれ、環境や収入に見合った生き方があります。
今まで漠然と保険料を払っていた方も、これから生命保険に入ろうか悩んでいる方も、ご自分の身の回りも含めて保険のことを考えていただければと思います。